JP2020088941A - 回転電機 - Google Patents

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Abstract

【課題】分布巻係数が0.99以上となる回転電機を提供する。【解決手段】回転電機の固定子1のティース部2は、複数相の巻線が所定の相対巻数比Raで巻回される第1ティース部を備え、各前記ティース部の巻線に生じる誘起電圧の位相差によるトルク損失を示す分布巻係数において、トルク損失最小時において該分布巻係数を最大値の1とすると、第1ティース部に巻回された複数相の巻線は、分布巻係数kdが0.99以上となる位相を有する起磁力を、第1ティース部において生じさせるように調整された相対巻数比Raを有するものである。【選択図】図1

Description

本願は、回転電機に関するものである。
集中巻にて巻回された巻線を備えた集中巻モータと一般的に称される回転電機は、空調用、制御機器用、家電用など幅広い分野で使用されている。これらの集中巻モータは、永久磁石式ロータと組み合わせて、集中巻永久磁石式モータとして使用されるケースが多い。これは巻線を固定子のティース部に集中巻にて巻回することでコイルエンドを短縮させて軸方向の長さを短縮でき、永久磁石式とすることで効率が向上できるという効果があるためである。
このような集中巻モータでは、さらなる小型化、高性能化が求められている。先ず、巻線係数を向上させることは、モータ出力向上となるため、モータの小型化に直結する。また、巻線が集中巻で巻線されている場合には低次の起磁力に起因する鉄損、リップル等が発生するため、高性能化のため低次の起磁力を抑制することが求められる。このような小型化、高性能化が実現された回転電機として、以下のような三相モータが開示されている。
即ち、三相モータにおいて、1番目のポールピースと4番目のポールピースに巻回される巻数は、2番目のポールピースと3番目のポールピースに巻回される巻線の半分となっている。このように三相モータの各相のコイルは互いに相隣接する4個のポールピースの回りに交互の極性に巻回されると共に、相隣接する4個のポールピースの両端のポールピースにおいては、それぞれ異なる相のコイルのポールピースを兼ねる構造となっている(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−308195号公報(段落[0013]〜[0029]、図1、図2)
上記特許文献1に示される回転電機としての三相モータでは、各相のコイルを4個のポールピースに分散し、かつ位相のずれが大きくなる両端のポールピースの巻回数を中央の2個のポールピースの半分とすることで、低次の起磁力を抑制して回転ムラを低減している。しかしながらこのような巻線構成では、一般的な巻線構成と比較した場合においても半分程度の低次の起磁力が残るため、鉄損、リップル等は十分に抑制されないという課題があった。また、巻線係数が十分に向上されないため、モータの損失が十分に低減されないという課題もあった。
本願は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、高性能で低損失の回転電機の提供を目的とする。
本願に開示される回転電機は、
周方向に所定の間隔を隔てて径方向内側に突出する複数のティース部に、巻線が集中巻にて巻回されて形成された固定子と、
前記固定子の径方向内側に回転可能に設けられ、複数の磁極が周方向に所定の間隔を隔てて設けられた回転子と、を備え、
複数の前記ティース部は、それぞれ位相の異なる電流が通電される複数の相の前記巻線が所定の相対巻数比で巻回される第1ティース部を含み、
各前記ティース部の巻線に生じる誘起電圧の位相差によるトルク損失を示す分布巻係数において、トルク損失最小時において該分布巻係数を最大値の1とすると、
前記第1ティース部に巻回された前記複数の相の巻線は、前記分布巻係数が0.99以上となる位相を有する起磁力を、前記第1ティース部において生じさせるように調整された前記相対巻数比を有する、
ものである。
本願に開示される回転電機によれば、高性能で低損失の回転電機を得られる。
実施の形態1による集中巻モータの概略構成を示す断面図である。 一般的な集中巻モータにおける出力効率を示す各係数の値を記載した図である。 比較例の集中巻モータの概略構成を示す断面図である。 実施の形態1による集中巻モータの各ティース部に鎖交する磁束を示すベクトル図である。 比較例の集中巻モータにおける磁束と起磁力とのベクトル図である。 比較例の集中巻モータの空隙における起磁力分布を示す図である。 比較例の集中巻モータの空隙における起磁力分布を次数分解した図である。 比較例の集中巻モータの概略構成を示すブロック断面図である。 比較例の集中巻モータの空隙における起磁力分布を次数分解した図である。 実施の形態1による集中巻モータの相対巻数比の調整の説明に関する図である。 実施の形態1による集中巻モータの相対巻数比の調整の説明に関する図である。 実施の形態1による集中巻モータの相対巻数比の調整の説明に関する図である。 実施の形態1による集中巻モータの相対巻数比の調整の説明に関する図である。 実施の形態2による集中巻モータの概略構成を示す断面図である。 実施の形態2による集中巻モータにおける巻線構成を示す図である。 実施の形態2による集中巻モータにおける磁束と起磁力とを示したベクトル図である。 実施の形態2による集中巻モータにおける起磁力分布を次数分解した図である。 実施の形態2による集中巻モータにおける起磁力分布を次数分解した図である。 実施の形態3による集中巻モータの概略構成を示す断面図である。 実施の形態3による集中巻モータにおける巻線構成を示す図である。 実施の形態3による集中巻モータにおける磁束と起磁力とを示したベクトル図である。 実施の形態3による集中巻モータにおける巻線構成を示す図である。 実施の形態3による集中巻モータの概略構成を示す断面図である。 実施の形態3による集中巻モータにおける磁束と起磁力とを示したベクトル図である。 実施の形態3による集中巻モータにおける巻線構成を示す図である。 実施の形態3による集中巻モータにおける磁束と起磁力とを示したベクトル図である。 実施の形態3による集中巻モータにおける巻線構成を示す図である。 実施の形態4による集中巻モータにおける巻線構成を示す図である。
実施の形態1.
先ず、一般的に用いられている集中巻モータの出力効率について説明する。
空調用、制御機器用、家電用等、さまざまな用途に使用される集中巻モータは、固定子の各ティース部に集中的に巻線が巻回されるものであり、一般的に分布巻と呼ばれる複数のティースに跨って巻線する方式とは異なる巻線方式を有する。
この集中巻モータは、使用される固定子のティース数と極数(回転子の磁石数)との比が限られており、多くはその比が、3:2、9:8、12:10、等であり、あるいは、これらと同一の固定子で極数のみが異なる、3:4、9:10、12:14がほとんどである。これら代表的なティース数と極数との比を有する一般的な集中巻モータの出力効率を示す各係数を図2に示す。
図2は、一般的な集中巻モータにおける出力効率を示す各係数の値を記載した図である。
図2に示される係数の内、短節巻係数ksは、回転子の磁極数と、固定子のスロット数とから求められるものであり、回転子の磁石からの磁束が、固定子の巻線をどれだけ通過するかを、最大値を1として示すものである。
また、分布巻係数kdは、各ティース部2の巻線に生じる誘起電圧の位相差によるトルク損失を示す係数であり、トルク損失が最小時において最大値の1となる。
また、巻線係数kwは、これら短節巻係数ksと分布巻係数kdとの積で表されるものであり、最大値は1である。
図2に示されるように、ティース数と極数との比が9:8の集中巻モータは、巻線係数kwの値が高いため、さまざまな用途に使用される。
以下、図1を用いて、ティース数と極数との比が9:8である、本実施の形態1の集中巻モータ100の詳細構成について説明する。
図1は、実施の形態1による集中巻モータ100の概略構成を示す断面図である。
本図において、集中巻モータ100における周方向をS、径方向をK、径方向内側をK1、径方向外側をK2として示した。
図1に示すように、本実施の形態における回転電機としての集中巻モータ100は、固定子1と、この固定子1の径方向内側K1に、空隙9を介して回転可能に設けられた回転子10と、を備える。
固定子1は、周方向Sに所定の間隔を隔てて径方向内側K1に突出する9本のティース部2a〜2iを有する固定子鉄心3と、このティース部2a〜2iに巻線が集中巻にて巻回されて形成されたコイル4と、を備える。
以降の説明において、各ティース部2a〜2iをそれぞれ区別する必要がない場合は、単にティース部2と称す。また、図示の都合上、ティース部2cにおけるコイル4のみを図示し、その他のティース部2のコイル4の図示は省略する。
また、固定子鉄心3は、図示しないフレーム等によりその外周側が固定される。
1つのティース部2において、それぞれ位相の異なる電流が通電される3相(U、V、W)の巻線の内、2相分の巻線が巻回されてコイル4が形成される。各ティース部2に巻回される2相分の巻線の相およびその極性は、ティース部2aから2iまで時計回りに、(U/W−)、(U−/W)、(U/W−)、(U−/V)、(U/V−)、(U−、V)、(V−/W)、(V/W−)、(V−/W)である。
なお、U相、V相、W相の巻線にそれぞれ通電される交流電流の互いの位相差は120°である。
各ティース部2に巻回される2相分の巻線は、それぞれ所定の相対巻数比Raを持って巻回される。この相対巻数比Raについては詳細を後述する。
以降、固定子1が備える複数のティース部2の内、2相分の巻線が相対巻数比Raを持って巻回されたティース部2を、第1ティース部と称す。
本実施の形態の固定子1が備える9つのティース部2は、全て、2相分の巻線が調整された相対巻数比Raを持って巻回された第1ティース部である。
各ティース部2には、固定子鉄心3と巻線とを絶縁するために、ティース部2を覆うように設けられた絶縁性のインシュレータ5が装着される。このインシュレータ5は、各ティース部2において巻回される2相の巻線の相間絶縁を確保するために、2相の巻線を互いに絶縁する鍔部5aを備える。なお、図示の都合上、インシュレータ5は、ティース部2cに装着されたもののみを示した。
回転子10は、回転子鉄心11と、磁極としての永久磁石12(N極磁石12n、S極磁石12s)とを備える。
回転子鉄心11の外周面には、N極磁石12nとS極磁石12sとが、周方向Sに対して交互に所定の間隔を隔てて合計8個配置される。
また、回転子10の中心部には、外部に軸出力を伝達するシャフト15が設けられる。
このシャフト15の軸方向の両端には、図示しないベアリングが配置され、さらに図示しないブラケット等を介してフレームと固定される。こうして、集中巻モータ100が構成される。
次に、鉄損、リップル等の原因となる低次の起磁力について、比較例による集中巻モータ100Ex1を用いて説明する。
図3は、比較例の集中巻モータ100Ex1の概略構成を示す断面図である。
比較例の集中巻モータ100Ex1では、1つのティース部2において、1相分の巻線のみが巻回されてコイル4Exが構成される点が、本実施の形態の集中巻モータ100と異なる。各ティース部2に巻回される巻線の相およびその極性は、ティース部2aから2iまで時計回りに、(U)、(U−)、(U)、(V)、(V−)、(V)、(W)、(W−)、(W)である。
なお、本図においても図示の都合上、ティース部2cにおけるコイル4Exのみを図示し、その他のティース部2のコイル4Exの図示は省略する。また、固定子鉄心と巻線とを絶縁するためのインシュレータの図示も省略した。
図4は、ティース部2の数と極数との比が9:8の集中巻モータにおいて、各ティース部に鎖交する磁束を示すベクトル図である。
なお、比較例の集中巻モータ100Ex1および本実施の形態の集中巻モータ100において、各ティース部2に鎖交する磁束の位相は同じである。
比較例の集中巻モータ100Ex1および本実施の形態の集中巻モータ100では、ティース部2の数と極数とが異なっているため、各ティース部2に鎖交する磁束の位相が異なる。
図4において、隣り合う1つのN極磁石12nと1つのS極磁石12sとがなす角度を電気角180度として示す。また、隣り合う1つのティース部2がなす角度は電気角160度である。本図より、各ティース部2に鎖交する永久磁石12からの磁束は、160度ごと位相が異なっていることがわかる。
各ティース部2に鎖交する磁束がこのような位相となる集中巻モータでは、通常、巻線係数kwを大きくして出力効率が向上するように、前述の、図3に示した比較例の集中巻モータ100Ex1のような各相巻線配置としている。
この集中巻モータ100Ex1において、コイル4Exを構成する巻線へは、永久磁石12からの磁束と、各ティース部2のコイル4Exが生じさせる起磁力とが直交するような位相で通電させる。そのため、以下の図5に示すような初期位相を有する、起磁力となる電流を通電させる。
図5は、比較例の集中巻モータ100Ex1において、U相のティース部2に鎖交する磁束と、起磁力とのベクトル図である。本図は説明を簡素化するため、U相のみ記載している。
ここで、ティース部2bにおいては、鎖交する磁束と起磁力Iuとは前述のように直交している。しかしながら、ティース部2a、2cでは、鎖交する磁束と起磁力Iuとは直交せず、それぞれ70度と110度の角度となっており、直交からは20度ずつ位相がずれている。
各ティース部2の巻線に生じる誘起電圧の位相差によるトルク損失を示す分布巻係数kdは、この磁束と起磁力の角度差による損失割合を用いて示される。
即ち、永久磁石12からの磁束のベクトルと、この磁束が鎖交するティース部2における起磁力のベクトルとの成す角度をθとすると、以下、式(1)で表すことができる。なお、本願では、角度はすべて度(degree)で表示することとする。
Figure 2020088941
各ティース部2a、2b、2cの分布巻係数kdは、以下、式(2)から式(4)で表せる。
Figure 2020088941
Figure 2020088941
Figure 2020088941
U相全体の分布巻係数kdUは、これらの平均となるため、以下、式(5)のように表せる。
Figure 2020088941
V相、W相も配置は同じであるため、U相、W相においても分布巻係数kdは、U相の同じ0.96となる。よって、これらの平均値である0.960が、ティース数と極数との比が9:8であって、且つ、ティース部2に1相分の巻線のみが巻回された集中巻モータ100Ex1の分布巻係数kdとなり、図2に記載の値と同一である。
図6は、比較例の集中巻モータ100Ex1の空隙9における起磁力分布を示す図である。
図7は、図6に示す起磁力分布を次数分解した結果を示す図である。
8極の集中巻モータを例にしているため、図6においては4次が8極成分の基本波となる。本図においては、この基本波成分が1となるよう正規化して表示している。
図7では、基本波成分より低次の1次、2次の成分が発生していることがわかる。
1次成分は正相、つまり、基本波成分と同じ方向に進む起磁力であるが、2次成分は逆相、つまり、基本波成分と反対方向に進む起磁力である。本図はわかりやすいよう正相起磁力を正、逆相起磁力を負の値として示している。この逆相成分はロータの鉄損、リップルとなるため小さいことが望ましい。
更に、別の比較例である集中巻モータ100Ex2の起磁力分布について、集中巻モータ100Ex1の起磁力分布と比較して説明する。
図8は、比較例の集中巻モータ100Ex2の概略構成を示すブロック断面図である。
比較例の集中巻モータ100Ex2では、ティース部2a、2d、2gにおいて、2相分の巻線が、それぞれ同じ巻数巻回されてコイル4Exが構成される点が、前述の比較例の集中巻モータ100Ex1と異なる。各ティース部2に巻回される巻線の相およびその極性は、ティース部2aから2iまで時計回りに、(U/W−)、(U−)、(U)、(U−/V)、(V−)、(V)、(V−/W)、(W−)、(W)である。
本比較例の集中巻モータ100Ex2は、図3に示した比較例の集中巻モータ100Ex1の巻線配置を、上記のような巻線配置とすることで、低次の起磁力を低減することを目的としている。
図9は、比較例の集中巻モータ100Ex2の巻線配置における、ある時間における空隙9における起磁力分布を、次数分解した結果を示す図である。図9において、図7に示した比較例の集中巻モータ100Ex1における起磁力分布についても併記している。
図9から、比較例の集中巻モータ100Ex2においては、基本波である4次の成分が若干低下しているが、逆相である2次の成分が、比較例の集中巻モータ100Ex1と比較して、40%程度低減していることが判る。よって、比較例の集中巻モータ100Ex1よりも、図8に示した巻線配置を有する比較例の集中巻モータ100Ex2の方が、回転子鉄損、リップルが低減していることが判る。
しかしながら、比較例の集中巻モータ100Ex2においても、2次の逆相成分が、集中巻モータ100Ex1に比較して60%残っており、これを限りなく小さくする方がよいことは言うまでもない。
次に、本実施の形態の集中巻モータ100の起磁力分布について説明する。
本実施の形態では、図2に示した集中巻モータの係数のうち、分布巻係数kdに着目している。そして、本実施の形態の集中巻モータ100は、分布巻係数kdが最大値の1ではないティース部の分布巻係数kdを、最大値の1により近い、0.99以上に向上させ、低次の起磁力を低減するものである。
前述のように、集中巻モータ100の各ティース部2に巻回される2相分の巻線は、それぞれ所定の相対巻数比Raを持って巻回される。この相対巻数比Raは、各ティース部2における分布巻係数kdが0.99以上となるように調整されたものである。
以下、この相対巻数比Raの詳細とその調整について説明する。
図10は、実施の形態1による集中巻モータ100の相対巻数比Raの調整の説明に関する図であり、各ティース部2に鎖交する磁束と、起磁力とを示したベクトル図である。
なお、図5に示したものと同様に、起磁力となる電流位相は、それぞれ互いに120°の位相差を有しているが、初期位相は異なる。相対巻数比Raの調整は、起磁力となる電流の初期位相はどの位相であってもいいため、図10を例として説明する。
なお、図10では、説明を簡素化するため、U相のみを記載している。
ここでティース部2aにおける起磁力について検討する。そのため、ティース部2aに関連する項目のみを図11に再記する。
図11は、図10に示される磁束と起磁力のベクトル図において、ティース部2aに関係する項目のみを選出して示した図である。
分布巻係数kdを0.99以上とするには、前述の式(1)から明らかなように、ティース部2aに略直交する位相を有する起磁力となる電流を巻線に流す必要がある。ティース部2aに直交する起磁力となる電流を流すためには、Iw−とIuの間に位置するような位相を有する起磁力I2aが必要である。よって、ティース部2aにおいては、W相とU相の2相分の巻線を巻回する。この場合、起磁力I2aの位相は、起磁力Iw−のベクトルと、起磁力Iuのベクトルとを用いて、以下式(6)で示される。
Figure 2020088941
この係数αとβを求めるにあたり、式を簡素化するため、図11を図12の通り回転させる。
図12は、図11に示したベクトル図を、起磁力IuがX軸上に位置するように回転させた図である。なお、図12に示したベクトル図を用いて係数α、βを求める場合でも、I2a、Iw−、Iu、の相対角度は図11に示すものと同じである。そのため、図11のベクトル図から求められる係数αとβの値と、図12のベクトル図から求められる係数αとβの値が同じになることは言うまでもない。
ここで、起磁力I2aとX軸の正の向きとが成す角度をγとして示す。
U相、V相、W相は、それぞれ120度ずつ位相の異なる電流が通電されるため、起磁力Iw−と起磁力Iuとが成す角度は60°である。よって、起磁力Iw−と起磁力Iuは、それぞれ以下の式(7)、式(8)で示される。
Figure 2020088941
Figure 2020088941
よって、式(6)は、上記式(7)、式(8)を用いて、以下式(9)のように表される。
Figure 2020088941
上記式(9)における起磁力I2aの位相分は、以下式(10)と表すことができる。
Figure 2020088941
ここで、起磁力I2aの位相は、起磁力I2aがX軸に対して成す角度γを用いると以下式(11)のように表される。
Figure 2020088941
即ち、上記式(10)および上記式(11)から、以下式(12)、式(13)となることである。
Figure 2020088941
Figure 2020088941
ここで、ティース部2aに鎖交する磁束のベクトルが、X軸となす角度は140°である。よって、ティース部2aにおける分布巻係数kdは、以下式(14)で表される。
Figure 2020088941
上記式(14)は、式(12)、式(13)を用いて以下のように表される。
Figure 2020088941
となる。
ここで、上記式(15)が、0.99以上となるような係数α、βの値を選出することが特徴である。
上記式(13)で示される分布巻係数kdが0.99以上となるような係数α、βの値として、例えば、α=0.79、β=0.33がある。
図13は、起磁力I2a、Iu、Iw−の関係を説明するためのベクトル図である。
ここで、各ティース部2における起磁力は、巻線の巻数nと電流の大きさとの積に対応するため、図13に示す起磁力のベクトルの長さは、巻線の巻数nに比例している。よって、前述の式(6)に示したように、I2aは、起磁力Iu、Iwとなる巻線の巻数である基本巻数n1を、それぞれβ倍(0.33)したIu’と、α倍(0.79倍)したIw’との合成ベクトルにより示される。
このように、ティース部2aに略直交する起磁力I2aの位相、即ち、ティース部2aにおいて分布巻係数kdが0.99以上となる起磁力I2aの位相は、Iuの基本巻数n1に対する巻数率を示す係数βと、Iw−となる基本巻数n1に対する巻数率を示す係数αとの、それぞれの値の調整により決定される。
また、分布巻係数kdが0.99以上となる起磁力I2aの位相範囲は、分布巻係数kdが1となる図13に示すI2aを中心に、±δ°(およそ±8°)の角度範囲である。
図1に示すように、ティース部2a、2c、2d、2f、2g、2iでは、2相分の巻線が、それぞれ基本巻数n1を0.79倍、0.33倍した巻数にて巻回されており、相対巻数比Raは0.79/0.33=2.14である。
また、ティース部2b、2e、2hでは、2相分の巻線が、それぞれ基本巻数n1を0.69倍、0.45倍した巻数にて巻回されており、相対巻数比Raは0.69/0.45=1.53である。
実際に巻回しされている巻線の巻数nは、例えば、ティース部2において通常巻回される巻線の巻数nである基本巻数n1を100ターンとすると、ティース部2aに巻回されるU相巻線の巻数nは100ターン×0.33=13ターンとなり、W−相の巻数nは100×0.79=79ターンとなる。
また、ティース部2bに巻回されるU−相巻線の巻数nは100ターン×0.69=69ターンとなり、W相巻線の巻数nは100ターン×0.45=45ターンである。
なお、ティース部2aにおいて巻回されるU相、W−相巻線の相対巻数比Raの調整に関する計算を示したが、他のティース部2に関しても同様に計算することが可能である。
集中巻モータの基本巻数n1は、電圧条件等により必要とされる巻数が変わる。そのため、本実施の形態では、各ティース部2における各相巻線の巻数nの数値をそれぞれ定義するのではなく、基本巻数n1に対する各相巻線の巻数率を示す係数α、βの比である相対巻数比Raの数値を定義した。
上記のように構成された本実施の形態の集中巻モータによると、固定子が備えるティース部は、複数相の巻線が所定の相対巻数比Raで巻回される第1ティース部を含む。そして、この第1ティース部に巻回された複数相の巻線は、分布巻係数kdが0.99以上となる位相を有する起磁力を、第1ティース部において生じさせるように調整された相対巻数比Raを有する。このように分布巻係数kdを0.99以上に向上させることは、集中巻モータの損失低減となり、集中巻モータの小型化につながる。また、分布巻係数kdを0.99以上に向上させることにより、低次の起磁力を限りなく0に近づけることができ、集中巻モータの鉄損、リップルを抑制して、集中巻モータの性能を向上できる。
また、分布巻係数kdの逆数の2乗に比例して損失が増えるため、分布巻係数kdが0.96である一般的な集中巻モータに比較して、分布巻係数kdが0.99以上である本実施の形態の集中巻モータは、損失が6%以上低減される。このように、本実施の形態の集中巻モータは、一般的な集中巻モータに比較して十分な損失低減効果を得られる。
また、第1ティース部に巻回された複数相の巻線の相対巻数比Raは、上記式(1)に示されるように、第1ティース部に鎖交する磁束に対して、限りなく直交する起磁力となる電流を印加できる巻線構成を有するものである。これにより、確実に分布巻係数kdを向上させ、高性能で低損失の集中巻モータを提供できる。
また、相対巻数比Raは、第1ティース部に巻回された複数相の巻線により生じる起磁力の合成ベクトルが、第1ティース部における分布巻係数kdが0.99以上となる位相を有するように、第1ティース部に巻回された複数相の巻線の巻数nをそれぞれ決定して調整されたものである。このように、第1ティース部における起磁力の位相は、複数相の巻線のそれぞれの巻数nにより調整可能であるため、容易に分布巻係数kdを向上できる巻数nを選出できる。
なお、以上では、第1ティース部において2相分の巻線が巻回される例を示した。しかしながら磁束に直交するような起磁力は、3つのベクトルの合成ベクトルであってもよいため、第1ティース部において3相分の巻線が巻回されていてもよい。
また、集中巻モータとして、回転子の表面に磁石が装着されたPM(Permanent Magnet)モータを示したが、回転子に磁石を埋設したIPM(Interior Permanent Magnet Motor)モータであっても同様の巻線構成が適用可能である。
また、集中巻モータには永久磁石式モータが多く使用されている。これは分布巻と異なり、集中巻では逆相起磁力が発生するため、誘導機のような起磁力による誘導電流で発生する磁束で回転力を得るモータには適さないためである。ただし、本実施の形態で示した巻線構成の適用対象として誘導機を除外するものではない。
また、以上では、ティース部2の数と極数との比が9:8の集中巻モータを示したが、これに限定するものではない。各ティース部に鎖交する磁束と起磁力との角度差による損失が生じ、分布巻係数kdが1ではない全ての集中巻モータに対して、本実施の形態の巻線構成が適用可能である。
なお、集中巻モータでは、非常に大きな極数のものも存在するが、一般には10極以下が採用されるケースが多い。ティース部間に跨がって巻線されるような、連続的な巻線の数が少なく、各相の絶縁確保が容易であるティース数と磁石数(極数)が9:8の集中巻モータが使用しやすい集中巻モータであると考えられる。
また、以上では、回転電気として、電気エネルギーによりシャフトを回転させるモータを示したが、シャフトの回転を電気エネルギーに変換する発電機であってもよい。
実施の形態2.
以下、本願の実施の形態2を、上記実施の形態1と異なる箇所を中心に図を用いて説明する。上記実施の形態1と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。
実施の形態1では、分布巻係数kdを0.99以上に向上させる相対巻数比Raを有する集中巻モータ100について説明した。実施の形態2では、分布巻係数kdを最大値の1とする相対巻数比Raを有する集中巻モータ200について説明する。
図14は、実施の形態2による集中巻モータ200の概略構成を示す断面図である。
図15は、実施の形態2による集中巻モータ200において、各ティース部2に巻回された巻線の相と、相対巻数比Raとを示す図である。
図16は、集中巻モータ200の各ティース部2に鎖交する磁束と、起磁力とを示したベクトル図である。実施の形態1の図10では、U相のみの記載であったが、図16においては、全てのティース部2a〜2iに鎖交する磁束と、全相の起磁力とを示した。
図14、図15では、各ティース部2における係数α、βの値を示しているが、図示の都合上小数第3位以下の値は省略した。
図14、図15に示すように、集中巻モータ200は、ティース部2a、2c、2d、2f、2g、2iにおいては、2相分の巻線がそれぞれ基本巻数n1を約0.8845倍、約0.2005倍した巻数にて巻回されている。従って、ティース部2a、2c、2d、2f、2g、2iにおいては相対巻数比Raは4.41である。
また、ティース部2b、2e、2hにおいては、2相分の巻線がそれぞれ基本巻数n1を約0.5773倍、約0.5773倍した巻数にて巻回されており、相対巻数比Raは1である。
以下、集中巻モータ200における上記相対巻数比Raの調整について説明する。
分布巻係数kdを最大値の1とするには、実施の形態1に示した起磁力I2aの位相を示す式(11)に基づき、起磁力I2aが、以下式(16)のようになることである。
Figure 2020088941
即ち、上記式(16)、および実施の形態1に示した式(10)から、以下、式(17)、式(18)となることである。
Figure 2020088941
Figure 2020088941
上記式(17)および上記式(18)から、分布巻係数kdを最大値の1とする、αの値、βの値は、以下式(19)、式(20)に示すように、一意の値に決まる。
Figure 2020088941
Figure 2020088941
よって、ティース部2aにおいては、W−巻線は基本巻数n1の0.88倍の巻数n、U相巻線は基本巻数n1の0.20倍の巻数nが巻回される。
以上、ティース部2の数と極数との比が9:8となる集中巻モータにおいて、ティース部2aにおける分布巻係数kdが1となる相対巻数比Raの理論値について、角度γを50°とおくことで示した。
以下、任意のティース部2の数と極数との比を有する集中巻モータにおいて、任意のティース部2における分布巻係数kdが1となる相対巻数比Raの理論値を、角度γをγとおき、実施の形態1に示した式(12)、式(13)を用いて以下に示す。
Figure 2020088941
図15に示した各ティース部2における係数α、βは、図16に示した磁束と起磁力とのベクトル図から角度γが導出されれば、上記式(12)、式(13)により算出される。
このような分布巻係数kdが1となる相対巻数比Raの理論値に基づいて各ティース部2の巻線の巻数が巻回された状態の集中巻モータ200において、空隙9の起磁力を次数分解した結果を図17に示す。
図17は、実施の形態2による集中巻モータ200の巻線配置における、ある時間における空隙9における起磁力分布を、次数分解した結果である。図17において、比較のために、比較例の集中巻モータ100Ex1、100Ex2における起磁力分布を次数分解した結果を共に示す。
図17から、本実施の形態の集中巻モータ200は、比較例の集中巻モータ100Ex1、100Ex2よりも基本波起磁力が増加しており、逆相である2次の成分のみならず、1次の成分など、多くの成分が0になっていることがわかる。集中巻モータ200では、このように低次の起磁力成分は0となるため、低次の起磁力成分に起因するロータの鉄損、リップルを0とできる。
上記図17に示した集中巻モータ200の起磁力分布結果は、分布巻係数kdが1となる相対巻数比Raの理論値通りの巻数nで、各ティース部2に巻線が巻回された例であった。一方で、例えば、基本巻数n1が40ターンだとすると、式(19)、式(20)から、W−巻線は35.38ターン、U相巻線は8.02ターンが、相対巻数比Raが4.41となる巻数nの理論値となる。しかしながら、モータの巻線の巻数nは整数であることが必要であるため、整数でない巻回はできない。よって、本実施の形態の集中巻モータ200においては、実際にティース部2に巻回される巻線の巻数nを、理論値の係数α、βに対して、それぞれ±5%以内の巻数nとすることを特徴とする。
式(19)、式(20)により得られた係数α、βの理論値を±5%とすると、α=0.840〜0.929、β=0.190〜0.210となる。この場合、例えば、基本巻数n1が40ターンであれば、ティース部2cにおけるW−巻線は33.6〜37.2ターンとなり、選択できる巻数は34,35,36,37となる。U相巻線は7.6〜8.4となるため、選択できる巻数は8である。
このように、各相の巻数nを理想的な理論値の巻数nに対して±5%とすることは、言い換えると、相対巻数比Raは相対巻数比Raの理論値に対して±10%となる。
係数α、βをそれぞれ±5%とした場合の空隙の起磁力を次数分解した結果を図18に示す。
図18は、実施の形態2による集中巻モータ200の巻線配置において、相対巻数比Raを±10%とした場合の、ある時間における空隙9における起磁力分布を次数分解した結果である。図18において、理解を容易にするため、基本波次数である4次以下の周波数のみの記載とした。また、分布巻係数kdが1となる相対巻数比Raの理論値の係数α、βに対して、α+5%、β+5%とした集中巻モータを200a、α+5%、β−5%とした集中巻モータを200b、α−5%、β+5%とした集中巻モータを200c、α−5%、β−5%とした集中巻モータを200d、として示した。
図18から、相対巻数比Raを、分布巻係数kdが1となる理想的な相対巻数比Raの理論値に対して±10%以内とした集中巻モータ200a、200b、200c、200dでは、低次の起磁力成分が0ではなくなってしまう。しかしながら、比較例の集中巻モータ100Ex1、100Ex2と比較すると、どの次数においても良好な結果が得られていることがわかる。ここで、付け加えるが、巻数nは整数である必要があるために、分布巻係数kdが1となる相対巻数比Raの理論値に対して±10%の範囲を設けたが、理論値の巻数nに近い方が、特性が良いことは本図を見れば明らかである。
上記のように構成された本実施の形態の集中巻モータによると、第1ティース部に巻回された複数相の巻線は、分布巻係数kdが最大値の1となる位相を有する起磁力を第1ティース部において生じさせるように調整された理想的な相対巻数比Raの理論値に対して、±10%以内の相対巻数比Raとなる巻数nにそれぞれ巻回される。これにより、分布巻係数kdを最大値の1に最も近づけつつ、実際に巻線が巻回可能な整数の巻数nを整定できる。これにより、更に高性能で低損失の集中巻モータを提供できる。
また、第1ティース部における起磁力の合成ベクトルIrと、第1ティース部に巻回された2相の巻線の内の一方の巻線による起磁力のベクトルと、の位相差を角度γとするとき、分布巻係数kdが1となる理想的な相対巻数比Raの理論値は、上記式(21)により決定される。こうして、角度γが導出されれば、分布巻係数kdを最大値の1とするように調整される相対巻数比Raが容易に導出できる。
なお、本実施の形態では、式(21)を用いて、分布巻係数kdが1となるような相対巻数比Raを算出した。しかしながら式(21)において分布巻係数kdが0.99以上となるような角度γを適用すれば、実施の形態1に示すような、分布巻係数kdが0.99以上となる相対巻数比Raを算出可能である。
実施の形態3.
以下、本願の実施の形態3を、上記実施の形態2と異なる箇所を中心に図を用いて説明する。上記実施の形態2と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。
図19は、実施の形態3による集中巻モータ300の概略構成を示す断面図である。
図20は、実施の形態3による集中巻モータ300において、各ティース部2に巻回された巻線の相と、相対巻数比Raとを示す図である。
図21は、実施の形態3による集中巻モータ300の各ティース部2に鎖交する磁束と、起磁力とを示したベクトル図である。
実施の形態1、実施の形態2で示した集中巻モータ100、200では、固定子1が備えるティース部2の全てが、複数相の巻線が巻回された第1ティース部であった。本実施の形態の集中巻モータ300は、固定子鉄心3が複数備えるティース部2のうち、2相分の巻線が巻回しされたティース部2(第1ティース部)と、1相分の巻線のみが巻回されたティース部2との両方を備える。
図19、図20に示すように、ティース部2a、2c、2d、2f、2g、2iは2相分の巻線がそれぞれ基本巻数n1を0.39倍、0.74倍した巻数にて巻回されており、相対巻数比Raは1.88である。この相対巻数比Raは分布巻係数kdが0.99以上となるように調整されている。
ティース部2b、2e、2hは1相分の巻線のみが巻回されているため、相対巻数比Raは「−」と示した。
図21に示すように、集中巻モータ300の起磁力となる電流の初期位相は、実施の形態2の図16に示した起磁力となる電流の初期位相と異なる。即ち、図21に示す初期位相においては、ティース部2bに鎖交する磁束に対して起磁力Iuは直交し、ティース部2eに鎖交する磁束に対して起磁力Iv−は直交し、ティース部2hに鎖交する磁束に対して起磁力Iw−は直交する。従って、ティース部2b、2e、2hに対しては1相分の巻線のみを巻回すればよい。
複数相の巻線が巻回されるティース部2a、2c、2d、2f、2g、2iでは、インシュレータ5は複数相の巻線の相間の絶縁を確保する鍔部5aのような形状が必要となるが、1相分の巻線のみが巻回されるティース部2b、2e、2hについては鍔部5aは不要となる。このように複数相の巻線が巻回される第1ティース部の数を所定の第1数(本例ではティース部2a、2c、2d、2f、2g、2iの6ティース)以下とすることで、複雑な形状を有するインシュレータ5の使用量を低減でき、また巻線工程を簡素化できる。
さらに、2相分の巻線が巻回される第1ティース部(ティース部2a、2c、2d、2f、2g、2i)においては、相対巻線比が全て1.88である。これは、第1ティース部においては、インシュレータ5などの絶縁部材が1種類で済む、ということである。
また、実施の形態2の集中巻モータ200では、図15に示す様に、例えばU相巻線は6つのティース部2a、2b、2c、2d、2e、2fに跨って巻線されていたが、本実施の形態の集中巻モータ300では、図20に示すように、例えばU相巻線は5つのティース部2a、2b、2c、2d、2iに跨がって巻線されるため、こちらも簡素化されることがわかる。このように、起磁力となる電流の初期位相を調整することで、同一相の巻線が巻回されるティース部2の数を、所定の第2数(本例では、ティース部2a、2b、2c、2d、2iの5ティース)以下に抑えることができる。
図22は、実施の形態1において示した比較例の集中巻モータ100Ex1において、各ティース部2に巻回された巻線の相と、相対巻数比Raとを示す図である。
図22から、比較例の集中巻モータ100Ex1のティース部2b、2e、2hの巻線構成は、本実施の形態の集中巻モータ300のティース部2b、2e、2hと同一であり、それ以外のティース部2の巻線構成が異なっていることが判る。これは、比較例の集中巻モータ100Ex1では、ティース部2b、2e、2hの分布巻係数kdがもともと1であるためで、それ以外のティース部2の分布巻係数kdが1ではないためである。繰り返しになるが、本実施の形態の趣旨は、ティース部2の分布巻係数kdが1ではないティース部2の分布巻係数kdを限りなく1に近づけるものである。こうして、比較例の巻線構成を示す図22と、本実施の形態の集中巻モータ300の巻線構成を示す図20とを比較することにより、本実施の形態の集中巻モータ300では、比較例において分布巻係数kdが1ではなかったティース部においてのみ、分布巻係数kdを向上させるために巻線構成が変更されていることが判る。
以上、ティース部2と極数(磁石数)との比が9:8の集中巻モータ300において、起磁力となる電流の初期位相を調整した場合の巻線構成について示した。
以下、ティース部2と極数(磁石数)との比が12:10の集中巻モータ300aにおいて、起磁力となる電流の初期位相を調整した場合の巻線構成について2例挙げて説明する。
図23は、実施の形態3による集中巻モータ300aの概略構成を示す断面図である。
図24は、図23に示す集中巻モータ300aにおいて各ティース部2に鎖交する磁束と、所定の初期位相に設定された起磁力とを示すベクトル図である。
図25は、集中巻モータ300aにおいて、図24に示される初期位相に設定された起磁力となる電流が巻線に印加される場合の巻線構成を示す図である。
図26は、図23に示す集中巻モータ300aにおいて各ティース部2に鎖交する磁束と、図24とは異なる初期位相に設定された起磁力とを示すベクトル図である。
図27は、集中巻モータ300aにおいて、図26に示される初期位相に設定された起磁力となる電流が巻線に印加される場合の巻線構成を示す図である。
図25、図27のいずれの初期位相の場合においても、集中巻モータ300aの各ティース部2の分布巻係数kdは0.99以上となるように相対巻数比Raは調整されている。
ここで、図25においては複数相の巻線が巻回しされる第1ティース部の数は6ティースであるのに対して図27では8ティースとなり、図25の方が少ない。しかしながら図27の場合では、全てのティース部2の相対巻数比Raが2.73と同一であることから、全てのティース部2に対して同一の種類のインシュレータ5を用いることができるメリットがある。
インシュレータ5の種類は増やしたくないため、極力種類数を減らすことが望ましい。このように、起磁力となる電流の初期位相を調整することで、インシュレータ5の種類減が可能である。また、相対巻数比Raを2.73と同一とすることで、製造工程を簡素化できる。
上記のように構成された本実施の形態の集中巻モータによると、実施の形態1、2と同様の効果を奏し、少なくとも一つのティース部に巻回された複数相の巻線は、分布巻係数kdが0.99以上となる位相を有する起磁力を、第1ティース部において生じさせるように調整された相対巻数比Raを有するため、小型で、高性能、低損失の集中巻モータを提供できる。
さらに、巻線に通電される起磁力となる電流は、複数相の巻線が巻回される第1ティース部の数が所定の第1数以下となるように調整された初期位相を有する。これにより、複数相の巻線の相間絶縁を確保する鍔部のような構造を有する複雑な形状のインシュレータの使用量を低減でき、さらに、巻線工程が簡素化される。
さらに、巻線に通電される起磁力となる電流は、複数の巻線が巻回される第1ティース部において、相対巻数比Raがそれぞれ同一になるように調整された初期位相を有する。これにより、第1ティース部において使用されるインシュレータの種類が1種類で済むため、製造工程を簡素化し、低コスト化を図れる。また、固定子が備える複数のティース部の全てが、複数相の巻線が巻回される第1ティース部となるように初期位相を調整し、この第1ティース部における相対巻数比Raが全て同一になるように電流の初期位相を調整すれば、集中巻モータで使用されるインシュレータ5の種類を1種類とすることができ、更なる製造工程の簡素化、低コスト化を図れる。
また、巻線に通電される起磁力となる電流は、同一相の巻線が巻回されるティース部の数が、所定の第2数以下となるように調整された初期位相を有してもよい。これにより、製造工程の簡素化を図れる。
実施の形態4.
以下、本願の実施の形態4を、上記実施の形態1と異なる箇所を中心に図を用いて説明する。上記実施の形態4と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。
図28は、実施の形態4による集中巻モータにおける各ティース部2のU相コイルの巻線状況を示した図であり、固定子1を部分的に展開したものである。
各相巻線の配置、相対巻数比Raは、実施の形態3の図20に示したもの同様である。
図20からU相巻線はティース部2a、2b、2c、2d、2iに巻線されている。なお、ティース部2i、2b、2dはU−相巻線、ティース部2a、2cはU相巻線であるが、U相とU−相は巻き方向を変えるだけで、連続的に巻線することが可能である。別々に巻線すると、それぞれのティース部2の巻線を結線する必要があるが、本実施の形態のように、各相毎の巻線を複数のティース部2に跨がって連続的に巻線すると、ティース部2毎に結線作業が不要となるため、集中巻モータの低コスト化につながる。
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
1 固定子、
2,2a,2b,2c,2d,2e,2f,2g,2h,2i,2j,2k ティース部、
5 インシュレータ、10 回転子、12 磁石(磁極)。

Claims (13)

  1. 周方向に所定の間隔を隔てて径方向内側に突出する複数のティース部に、巻線が集中巻にて巻回されて形成された固定子と、
    前記固定子の径方向内側に回転可能に設けられ、複数の磁極が周方向に所定の間隔を隔てて設けられた回転子と、を備え、
    複数の前記ティース部は、それぞれ位相の異なる電流が通電される複数の相の前記巻線が所定の相対巻数比で巻回される第1ティース部を含み、
    各前記ティース部の巻線に生じる誘起電圧の位相差によるトルク損失を示す分布巻係数において、トルク損失最小時において該分布巻係数を最大値の1とすると、
    前記第1ティース部に巻回された前記複数の相の巻線は、前記分布巻係数が0.99以上となる位相を有する起磁力を、前記第1ティース部において生じさせるように調整された前記相対巻数比を有する、
    回転電機。
  2. 前記第1ティース部に巻回された前記複数の相の巻線は、前記分布巻係数が1となる位相を有する起磁力を前記第1ティース部において生じさせるように調整された前記相対巻数比の理論値に対して、±10%以内の前記相対巻数比を有するように巻回された、
    請求項1に記載の回転電機。
  3. 前記巻線に通電される電流は、複数の前記第1ティース部における前記相対巻数比がそれぞれ同一になるように調整された初期位相を有する、
    請求項1または請求項2に記載の回転電機。
  4. 前記巻線に通電される電流は、前記第1ティース部の数が所定の第1数以下となるように調整された初期位相を有する、
    請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の回転電機。
  5. 前記巻線に通電される電流は、複数の前記ティース部の全てが前記第1ティース部となるように調整された初期位相を有する、
    請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の回転電機。
  6. 前記巻線に通電される電流は、同一相の巻線が巻回される前記ティース部の数が、所定の第2数以下となるように調整された初期位相を有する、
    請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の回転電機。
  7. 前記分布巻係数は、

    Figure 2020088941
    但し、θは、前記第1ティース部に鎖交する前記磁極からの磁束のベクトルと、前記第1ティース部における起磁力のベクトルとの成す角度
    と表されるものであり、
    前記第1ティース部に巻回された前記複数の相の巻線は、前記1式が0.99以上となる位相を有する起磁力を、前記第1ティース部において生じさせるように調整された前記相対巻数比を有する、
    請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の回転電機。
  8. 前記相対巻数比は、
    前記第1ティース部に巻回された前記複数の相の巻線により生じる起磁力の合成ベクトルが、前記第1ティース部における前記分布巻係数が0.99以上となる位相を有するように、前記第1ティース部に巻回された前記複数の相の巻線の巻数がそれぞれ決定されて調整された、
    請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の回転電機。
  9. 前記複数の相の巻線は、各相間の位相差が120°の電流が通電される3相巻線であり、
    前記第1ティース部には、前記3相巻線の内、2相分の巻線が巻回され、
    前記相対巻数比は、
    前記第1ティース部における前記分布巻係数が0.99以上となる位相を有する、前記第1ティース部に巻回された前記2相の巻線により生じる起磁力の合成ベクトルと、
    前記第1ティース部に巻回された前記2相の巻線の内の一方の巻線による起磁力のベクトルと、の位相差を角度γとするとき、

    Figure 2020088941
    と表される、
    請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の回転電機。
  10. 前記ティース部を覆うように設けられ、前記ティース部と前記巻線とを絶縁すると共に、前記第1ティース部において前記複数の巻線の相間を互いに絶縁するインシュレータを備え、
    前記インシュレータは、複数の前記第1ティース部においてそれぞれ同形状に形成された、
    請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の回転電機。
  11. 前記相対巻数比は、4.41±10%である、
    請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の回転電機。
  12. 前記ティース部の数と前記回転子の磁極の数との比が9:8である、
    請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の回転電機。
  13. 各相毎の前記巻線が、複数の前記ティース部に跨がって連続して巻回された、
    請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の回転電機。
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