JP2020087772A - 充電システム - Google Patents

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Abstract

【課題】リチウムイオン二次電池のLi析出量を高い精度で推定できる充電システムを提供する。【解決手段】充電システムにおいて、小容量の第2リチウムイオン二次電池を採用し、スイッチによって第1充電回路と第2充電回路とを切り替えることにより、充電開始から所定時間が経過するまでの第1期間においては、第2リチウムイオン二次電池に充電電流を流し、充電開始から所定時間が経過した後の第2期間においては、第2リチウムイオン二次電池に充電電流を流さないようにする。この充電システムは、第2リチウムイオン二次電池の容量から、第1期間における第1リチウムイオン二次電池のLi析出量X1を推定する第1推定部と、第1リチウムイオン二次電池の充電電流の波形を用いて、第2期間における第1リチウムイオン二次電池のLi析出量X2を推定する第2推定部と、Li析出量X1及びX2を加算する第3推定部とを備える。【選択図】図14

Description

本開示は、充電システムに関し、特に、リチウムイオン二次電池を含む充電システムに関する。
リチウムイオン二次電池では、リチウムが電荷担体となり、充電時においては負極活物質にリチウムが挿入され、放電時においては負極活物質からリチウムが脱離する。こうした充放電が繰り返し行なわれると、リチウムイオン二次電池の負極にリチウム(金属リチウム)が析出することがある。リチウムイオン二次電池の負極におけるリチウムの析出(以下、「Li析出」とも称する)は、リチウムイオン二次電池の性能(たとえば、電池容量)を低下させる。このため、リチウムイオン二次電池の性能を把握するためには、Li析出量を推定することが求められる。
特開2017−91666号公報(特許文献1)には、周期的に検出されたリチウムイオン二次電池の充電電流の波形を用いて、リチウムイオン二次電池のLi析出量を推定する方法が開示されている。
特開2017−91666号公報
駆動輪に機械的に接続されたモータジェネレータにより発電される回生電力がリチウムイオン二次電池に充電されるように構成された車両が知られている。以下、回生電力によるリチウムイオン二次電池の充電を、「回生充電」とも称する。回生電力は、主に、車両走行中の減速時又は制動時における回生ブレーキによって生成される。回生ブレーキ中は、基本的には回生充電が継続される。
短時間の回生充電が行なわれることもある。たとえば、車両が走行する路面に凍結部が存在し、車両が凍結部でスリップした場合には、車両が凍結部から再び通常の路面に戻る瞬間に短時間の回生充電が行なわれることがある。また、運転者がアクセルペダルを深く踏み込んで車両が高速走行になっている状態から、運転者がアクセルペダルを離した瞬間に、エンジンブレーキ(回生ブレーキ)によって短時間の回生充電が行なわれることがある。また、車両が滑りにくい路面を走行しているときに急ブレーキをかけると、瞬間的に回生充電が行なわれることがある。
特許文献1に記載されるLi析出量推定方法では、上記のような短時間の回生充電が考慮されておらず、短時間の充電に起因して生じるLi析出量を高い精度で推定することは難しい。
本開示は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、リチウムイオン二次電池のLi析出量を高い精度で推定できる充電システムを提供することである。
本開示の充電システムは、第1リチウムイオン二次電池と、第1リチウムイオン二次電池よりも容量が小さい第2リチウムイオン二次電池と、複数種の充電回路を切り替えるスイッチと、スイッチを制御することによって複数種の充電回路のいずれかを形成するように構成される制御装置と、第1リチウムイオン二次電池のLi析出量を推定するLi析出量推定装置とを備える。
上記の制御装置は、充電回路に供給される電力によって第1リチウムイオン二次電池が充電されているときに、充電開始から所定時間が経過するまでの第1期間においては、直列に接続された第1リチウムイオン二次電池及び第2リチウムイオン二次電池を含む第1充電回路を形成し、充電開始から所定時間が経過した後の第2期間においては、第1リチウムイオン二次電池を含み、かつ、第2リチウムイオン二次電池を含まない第2充電回路を形成するように構成される。
上記のLi析出量推定装置は、情報取得部と第1推定部と第2推定部と算出部とを含む。情報取得部は、第2リチウムイオン二次電池の容量と第1期間における第1リチウムイオン二次電池のLi析出量との関係を示す対応情報を取得するように構成される。第1推定部は、第2リチウムイオン二次電池の容量を検出し、検出された第2リチウムイオン二次電池の容量と、情報取得部により取得される対応情報とを用いて、第1期間における第1リチウムイオン二次電池のLi析出量を推定するように構成される。第2推定部は、第2期間において周期的に第1リチウムイオン二次電池の充電電流を検出し、検出された第1リチウムイオン二次電池の充電電流の波形を用いて、第2期間における第1リチウムイオン二次電池のLi析出量を推定するように構成される。算出部は、第1期間における第1リチウムイオン二次電池のLi析出量と、第2期間における第1リチウムイオン二次電池のLi析出量とを加算することにより、充電開始から充電終了までの第1リチウムイオン二次電池のLi析出量を算出するように構成される。
上記充電システムでは、小容量の第2リチウムイオン二次電池を採用し、スイッチによって第1充電回路と第2充電回路とを切り替える。この切替えにより、充電開始から所定時間が経過するまでの第1期間においては、第2リチウムイオン二次電池に充電電流を流し、充電開始から所定時間が経過した後の第2期間においては、第2リチウムイオン二次電池に充電電流を流さないようにする。
第1期間において第2リチウムイオン二次電池に充電電流が流れることによって第2リチウムイオン二次電池にLi析出が生じる。第2リチウムイオン二次電池のLi析出量が多くなるほど、第2リチウムイオン二次電池の劣化が進行し、第2リチウムイオン二次電池の容量が小さくなる。第2リチウムイオン二次電池の容量は、第1リチウムイオン二次電池の容量よりも小さいため、第2リチウムイオン二次電池のLi析出量が増加したときには、第2リチウムイオン二次電池の容量が大きく変化する。こうした知見に基づき、上記第1推定部では、第2リチウムイオン二次電池の容量から、第1期間における第1リチウムイオン二次電池のLi析出量を推定するようにしている。こうした第1推定部によれば、充電開始から上記所定時間が経過する前に終了するような短時間の充電に起因して生じる第1リチウムイオン二次電池のLi析出量を高い精度で推定することが可能になる。
第2推定部では、第2期間において検出された第1リチウムイオン二次電池の充電電流の波形を用いて、第2期間における第1リチウムイオン二次電池のLi析出量を推定するようにしている。こうした第2推定部によれば、充電開始から上記所定時間が経過した後に終了するような長時間の充電に起因して生じる第1リチウムイオン二次電池のLi析出量を高い精度で推定することが可能になる。
上記算出部が、第1推定部によって推定される第1期間における第1リチウムイオン二次電池のLi析出量(以下、「第1Li析出量」とも称する)と、第2推定部によって推定される第2期間における第1リチウムイオン二次電池のLi析出量(以下、「第2Li析出量」とも称する)とを加算することにより、充電開始から充電終了までの第1リチウムイオン二次電池のLi析出量(以下、「第3Li析出量」とも称する)を取得することができる。このため、本開示の充電システムによれば、第1リチウムイオン二次電池のLi析出量を高い精度で推定することが可能になる。なお、充電開始から上記所定時間が経過する前に終了するような短時間の充電では、第2Li析出量が0(析出なし)となり、第1Li析出量がそのまま第3Li析出量になる。
第2リチウムイオン二次電池の容量は、第1リチウムイオン二次電池の容量の0.1倍以下であってもよい。第1リチウムイオン二次電池の容量が1Ah超30Ah以下であり、第2リチウムイオン二次電池の容量が0.05Ah以上1Ah以下であってもよい。各リチウムイオン二次電池は、リチウムを電荷担体として充放電を行なう二次電池であり、液体電解質(たとえば、有機溶媒)を使用した一般的なリチウムイオン二次電池(電解液式リチウムイオン二次電池)だけでなく、固体電解質を使用した全固体電池(全固体式リチウムイオン二次電池)も含む。各リチウムイオン二次電池は、単電池であってもよいし、組電池であってもよい。
上記スイッチは、複数種の充電回路に加えて、第2リチウムイオン二次電池のSOC(State Of Charge)を調整するための調整回路に切替可能に構成されてもよい。SOCは、たとえば、満充電状態の電気量に対する現在の電気量の割合を0〜100%で表わしたものである。調整回路は、第1リチウムイオン二次電池と第2リチウムイオン二次電池との間での電力のやり取りを可能にするように構成されてもよい。上記の制御装置は、第2リチウムイオン二次電池のSOCが所定SOC範囲から外れたときに、スイッチを制御して調整回路を形成することによって、第2リチウムイオン二次電池のSOCを所定SOC範囲内に入れるように構成されてもよい。スイッチは、半導体スイッチであってもよい。
第1期間及び第2期間を規定するための上記所定時間は、第2推定部における第1リチウムイオン二次電池の充電電流の検出周期(たとえば、演算装置による制御周期)と同じであってもよい。上記所定時間は、第2推定部の電流検出時における時間分解能(すなわち、電流の検出が可能な最小充電時間)と同じであってもよい。上記所定時間は、0.01秒以上0.50秒以下であってもよい。
情報取得部は、Li析出量推定装置の記憶部から対応情報を取得してもよいし、外部との通信によって対応情報を取得してもよい。対応情報は、マップでもテーブルでも数式でもモデルでもよい。また、対応情報は、複数のマップ等を組み合わせて構成されていてもよい。
第1推定部は、所定の開始SOCから所定の終了SOCまでの外部充電(すなわち、車両外部の電源から供給される電力による充電)を行なったときに第2リチウムイオン二次電池に充電される電気量を用いて、第2リチウムイオン二次電池の容量を推定してもよい。
本開示によれば、リチウムイオン二次電池のLi析出量を高い精度で推定できる充電システムを提供することが可能になる。
本開示の実施の形態に係る充電システムが搭載された車両の全体構成を概略的に示す図である。 図1に示した電池パックの詳細構成を示す図である。 本開示の実施の形態に係る第1充電回路を示す図である。 本開示の実施の形態に係る第2充電回路を示す図である。 本開示の実施の形態に係る調整回路を示す図である。 本開示の実施の形態に係るLi析出量推定装置(ECU)の検出限界時間について説明するための図である。 本開示の実施の形態に係るメイン電池及びサブ電池の各々の特性を対比して示す図である。 車両走行中に車両の制御装置(ECU)によって実行される充電制御の処理手順を示すフローチャートである。 外部充電時に車両の制御装置(ECU)によって実行される充電制御の処理手順を示すフローチャートである。 車両の制御装置(ECU)によって実行されるメイン電池のLi析出量推定及び劣化判定の処理手順を示すフローチャートである。 T−β情報の一例を示す図である。 サブ電池の初期の容量と、サブ電池の現在の容量ΔCと、サブ電池の経年劣化による容量低下量ΔD1と、サブ電池のLi析出による容量低下量ΔD2との関係を示す図である。 第1期間におけるメイン電池のLi析出量X1と、サブ電池のLi析出量X10との関係を示す図である。 本開示の実施の形態に係るLi析出量推定装置(ECU)によって推定される各Li析出量(X1、X2、及びX3)の一例を示す図である。 メイン電池が組電池である例を示す図である。 メイン電池及びサブ電池の各々が組電池である例を示す図である。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図中、同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。以下では、この実施の形態に係る充電システムがプラグインハイブリッド車に適用される例について説明する。しかし、充電システムの適用対象は、プラグインハイブリッド車に限定されず、エンジンを搭載しない電気自動車であってもよい。
図1は、この実施の形態に係る充電システムが搭載された車両の全体構成を概略的に示す図である。
図1を参照して、車両1は、モータジェネレータ(以下、「MG(Motor Generator)」と称する)11,12と、エンジン20と、駆動輪30と、動力分割装置31と、駆動軸32と、電力制御ユニット(以下、「PCU(Power Control Unit)」と称する)40と、充電システム2とを備える。
充電システム2は、電池パック100と、システムメインリレー(以下、「SMR(System Main Relay)」と称する)50と、充電リレー60と、充電ユニット70と、インレット80と、電子制御ユニット(以下、「ECU(Electronic Control Unit)」と称する)300とを備える。この実施の形態に係るECU300は、本開示に係る「制御装置」及び「Li析出量推定装置」の一例に相当する。この実施の形態では、「制御装置」及び「Li析出量推定装置」を1つのECUで具現化しているが、「制御装置」及び「Li析出量推定装置」を別々のECUで具現化してもよい。
インレット80は、充電ケーブルを介して、たとえば普通充電器又は急速充電器のような充電スタンドと接続可能に構成される。充電ケーブルは、内部に信号線と電力線とを含む。充電スタンドにつながれた充電ケーブルのコネクタが車両1のインレット80に接続されることで、充電スタンドの電源(すなわち、車両1の外部に設けられた電源)から充電ケーブルを通じて車両1に電力を供給することが可能になる。車両1と充電スタンドとは、充電ケーブルを介して通信可能に接続される。
充電ユニット70は、インレット80に入力される電力に所定の処理を行なう回路(図示せず)を含む。充電ユニット70は、電力変換回路を含んでもよいし、フィルタ回路を含んでもよい。こうした回路の処理により、電池パック100の充電に適した電力(直流電力)が、充電ユニット70から電池パック100へ出力される。
SMR50は、電池パック100とPCU40とを結ぶ電流経路に設けられている。SMR50の状態(接続/遮断)は、ECU300によって制御される。SMR50が接続状態(ON状態)であるときには電池パック100とPCU40との間で電力の授受を行なうことが可能になり、SMR50が遮断状態(OFF状態)であるときには電池パック100とPCU40との間で電力の授受を行なうことができなくなる。
充電リレー60は、電池パック100とPCU40とを結ぶ電流経路から分岐して充電ユニット70に接続される電流経路に設けられている。充電リレー60の状態(接続/遮断)は、ECU300によって制御される。充電リレー60が遮断状態(OFF状態)であるときには、インレット80から電池パック100までの充電経路は遮断される。充電リレー60が接続状態(ON状態)であるときには、インレット80からSMR50までの電力の供給が可能になる。そして、充電リレー60に加えてSMR50も接続状態(ON状態)であるときには、上記の充電経路が接続され、インレット80から電池パック100への電力の供給が可能になる。
PCU40は、ECU300からの制御信号に従って、電池パック100とMG11,12との間で双方向の電力変換を実行する。PCU40は、MG11,12の状態をそれぞれ別々に制御可能に構成されており、たとえば、MG11を発電状態にしつつ、MG12を力行状態にすることができる。PCU40は、たとえば、MG11,12に対応して設けられる2つのインバータと、各インバータに供給される直流電圧を電池パック100の出力電圧以上に昇圧するコンバータとを含んで構成される。
MG11,12は、交流回転電機であり、たとえば、ロータに永久磁石が埋設された三相交流同期電動機である。MG11は、主として、エンジン20により駆動される発電機として動作する。エンジン20の駆動力は動力分割装置31を経由してMG11に伝達される。MG11が発電した電力は、PCU40を介してMG12及び電池パック100の少なくとも一方に供給される。
MG12は、駆動軸32(ひいては、駆動輪30)に機械的に接続されている。MG12は、電池パック100からの電力とMG11の発電電力との少なくとも一方によって駆動されることによって、力行状態になる。力行状態のMG12は、電動機として動作し、駆動軸32(ひいては、駆動輪30)を回転させる。MG12によって駆動輪30が駆動されることで、車両1が電動走行を行なうようになる。車両1の減速時及び制動時には、MG12は、発電状態になり、回生発電を行なう。MG12の回生発電によって回生電力が生成される。MG12が発電した回生電力は、PCU40を介して電池パック100に供給される。PCU40から供給される回生電力によって、電池パック100は回生充電される。
エンジン20は、空気と燃料との混合気を燃焼させたときに生じる燃焼エネルギーをピストン又はロータのような運動子の運動エネルギーに変換することによって動力を出力する内燃機関である。エンジン20は、ECU300によって制御される。動力分割装置31は、たとえば、サンギヤ、キャリア、及びリングギヤを含む遊星歯車機構を備える。動力分割装置31は、エンジン20から出力される動力を、MG11を駆動する動力と、駆動輪30を駆動する動力とに分割するように構成される。
ECU300は、演算装置301及び記憶装置302を含んで構成される。演算装置301としては、たとえばCPU(Central Processing Unit)を採用できる。記憶装置302は、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、各種情報を保存するストレージ(たとえば、ROM(Read Only Memory)及び書き換え可能な不揮発性メモリ)とを含む。記憶装置302のストレージには、各種制御で用いられるプログラムのほか、プログラムで使用される各種パラメータも予め格納されている。記憶装置302に記憶されているプログラムを演算装置301が実行することで、各種制御が実行される。なお、各種制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。この実施の形態に係るECU300は、本開示に係る「情報取得部」、「第1推定部」、「第2推定部」、及び「算出部」を含む。より具体的には、演算装置301と記憶装置302内のプログラムとによって、「情報取得部」、「第1推定部」、「第2推定部」、及び「算出部」が具現化されている。
ECU300は、以下に説明する2種類の走行モード(EVモード及びHVモード)で車両1を走行させる。EVモードは、電動機(たとえば、MG12)のみで車両1を走行させる走行モードである。HVモードは、エンジン20とMG12とを併用して車両1を走行させる走行モードである。ECU300は、電池パック100の状態(たとえば、後述する図2に示すメインバッテリ101のSOC(State Of Charge))及び車両1の走行状態(たとえば、車速及び負荷)に基づいて、EVモードとHVモードとを切り替えるように構成される。ECU300は、メインバッテリ101(図2)のSOCが十分大きい場合には、主にEVモードで車両1を走行させる。ただし、車両1の走行負荷が大きい場合(たとえば、急加速時及び登坂路走行時)には、ECU300はHVモードで車両1を走行させる。なお、ユーザが手動でEVモードとHVモードとを切り替えることができるようにしてもよい。
ECU300は、上記EVモード及びHVモードの各々において、各種センサの出力を用いて把握される車両1の状態(車速、エンジン回転速度、アクセル操作量等)に基づいて要求電流を求めて、得られた要求電流を用いて電池パック100の入出力電流(充電電流及び放電電流)を制御している。要求電流は、電流制限がなされていないときの電池パック100の入出力電流である。充電電流が制限されていない場合には、要求電流どおりの充電電流が電池パック100に供給される。要求電流が所定の充電制限値を超える場合には、ECU300は、充電制限値を超えないように充電電流を制限する。充電制限値は、固定値であってもよいし、所定のパラメータ(たとえば、電池パック100の状態)に応じて可変であってもよい。ECU300は、PCU40を制御してMG12による回生発電を制限することで、回生電力(ひいては、充電電流)を制限することができる。
図2は、電池パック100の詳細構成を示す図である。図2を参照して、電池パック100は、メインバッテリ101と、サブバッテリ102と、スイッチ103,104と、抵抗器105とを備える。図2において、メインバッテリ101の負極端子Eは電池パック100の負極端子に相当し、スイッチ104の端子Aは電池パック100の正極端子に相当する。
メインバッテリ101は、主に電動走行用の電力を蓄える大容量のバッテリである。サブバッテリ102は、主にメインバッテリ101のLi析出量を推定するために用いられる小容量のバッテリ(ダミーバッテリ)である。この実施の形態では、メインバッテリ101及びサブバッテリ102の各々として、リチウムイオン二次電池を採用する。各リチウムイオン二次電池の詳細構成については後述する(図7参照)。この実施の形態では、各リチウムイオン二次電池が単電池であるが、各リチウムイオン二次電池は組電池であってもよい(後述する図15及び図16参照)。以下、メインバッテリ101に含まれるリチウムイオン二次電池を「メイン電池」と称し、サブバッテリ102に含まれるリチウムイオン二次電池を「サブ電池」と称する。この実施の形態に係るメイン電池、サブ電池は、それぞれ本開示に係る「第1リチウムイオン二次電池」、「第2リチウムイオン二次電池」の一例に相当する。
監視ユニット101a、102aは、それぞれメインバッテリ101、サブバッテリ102の状態を監視するように構成される。監視ユニット101a、102aは、それぞれメインバッテリ101、サブバッテリ102の状態(たとえば、温度、電流、及び電圧)を検出する各種センサを含み、検出結果をECU300へ出力する。
スイッチ103,104は、以下に説明する複数種の充電回路(たとえば、図3及び図4に示される第1充電回路及び第2充電回路)を切り替えるように構成される。スイッチ103,104は、ECU300によって制御される。ECU300は、スイッチ103,104を制御することによって複数種の充電回路のいずれか(たとえば、第1充電回路又は第2充電回路)を形成することができる。さらに、ECU300は、スイッチ103,104を制御することによって、以下に説明する調整回路(図5参照)を形成することもできる。スイッチ103及び104の各々としては、公知のスイッチを採用できる。ただし、大電流が流れる状況でもスイッチ103,104を適切に動作させるためには、スイッチ103,104として、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)のような半導体スイッチを採用することが好ましい。
図3は、この実施の形態に係る第1充電回路を示す図である。図3を参照して、スイッチ103,104が端子A−Bを接続することによって、直列に接続されたメインバッテリ101(ひいては、メイン電池)及びサブバッテリ102(ひいては、サブ電池)を含む第1充電回路が形成される。第1充電回路は、PCU40をさらに含む。第1充電回路では、メインバッテリ101、サブバッテリ102、及びPCU40が直列に接続される。PCU40から出力される回生電力によって電池パック100が回生充電されるときには、図3中の矢印D1で示すように、PCU40から、電池パック100の正極端子、サブバッテリ102、メインバッテリ101、電池パック100の負極端子、PCU40(戻り)の順に電流が流れる。他方、電池パック100の電力が放電されるときには、図3中の矢印D2で示すように、電池パック100の正極端子から、PCU40、電池パック100の負極端子、メインバッテリ101、サブバッテリ102、電池パック100の正極端子(戻り)の順に電流が流れる。
図4は、この実施の形態に係る第2充電回路を示す図である。図4を参照して、スイッチ103,104が端子A−Cを接続することによって、メインバッテリ101(ひいては、メイン電池)を含み、かつ、サブバッテリ102(ひいては、サブ電池)を含まない第2充電回路が形成される。第2充電回路は、PCU40をさらに含む。第2充電回路では、メインバッテリ101及びPCU40が直列に接続される。PCU40から出力される回生電力によって電池パック100が回生充電されるときには、図4中の矢印D1で示すように、PCU40から、電池パック100の正極端子、メインバッテリ101、電池パック100の負極端子、PCU40(戻り)の順に電流が流れる。他方、電池パック100の電力が放電されるときには、図4中の矢印D2で示すように、電池パック100の正極端子から、PCU40、電池パック100の負極端子、メインバッテリ101、電池パック100の正極端子(戻り)の順に電流が流れる。
上記では、PCU40から出力される回生電力によって電池パック100が回生充電される場合の充電回路(ひいては、充電電流の経路)について説明したが、車両1の外部に設けられた電源(たとえば、充電スタンドの電源)からインレット80に供給される電力によって電池パック100の充電(外部充電)が行なわれる場合も、充電電流の経路は上記と同じである。ただしこの場合、各充電回路(図3、図4)におけるPCU40が充電ユニット70に変わることになる。
図5は、この実施の形態に係る調整回路を示す図である。図5を参照して、スイッチ103,104が端子B−Dを接続することによって、メインバッテリ101(ひいては、メイン電池)及びサブバッテリ102(ひいては、サブ電池)を含み、かつ、PCU40を含まない調整回路が形成される。調整回路は、抵抗器105をさらに含む。抵抗器105は、ECU300によって制御され、電気抵抗の大きさを変更可能に構成される。抵抗器105は、たとえば可変抵抗素子(図示せず)を含んで構成される。ECU300は、抵抗器105を制御することによって、調整回路に流れる電流量を調整することができる。調整回路に流れる電流量は、メインバッテリ101及びサブバッテリ102の各々にLi析出が生じない程度の大きさ(たとえば、1A程度)に調整されることが好ましい。サブバッテリ102から放電される電力は、メインバッテリ101に供給されるとともに、抵抗器105で消費される。ただしこれに限られず、サブバッテリ102から放電される電力が、車両1に搭載される他のバッテリ(たとえば、図示しない補機バッテリ)に供給されるようにしてもよい。
調整回路において、電流が矢印D3の向きに流れると、メインバッテリ101の電力によってサブバッテリ102が充電され、サブバッテリ102のSOCが上昇する。電流が矢印D4の向きに流れると、サブバッテリ102は放電し、サブバッテリ102のSOCが低下する。サブバッテリ102から放出された電力は、メインバッテリ101に蓄えられる。メインバッテリ101の容量はサブバッテリ102の容量よりも大きいため、調整回路に電流が流れたときのメインバッテリ101のSOCの変動は、サブバッテリ102のSOCの変動に比べて小さくなる。たとえば、調整回路において容量4Ahのメインバッテリ101によって容量0.3Ahのサブバッテリ102を充電してサブバッテリ102のSOCを0%から50%に上昇させる場合、充電に要する電気量は0.15Ah(=0.3Ah×0.5)であるため、メインバッテリ101のSOCの低下量は3.75%(=100%×0.15Ah/4Ah)程度になる。この際、電流値が1Aであるとすると、充電にかかる時間は9分(=60分×0.15Ah/1A)程度となる。調整回路において、抵抗器105によって電流量を調整しながらサブバッテリ102の充電又は放電を行なうことで、サブバッテリ102のSOCを所望のSOC値に調整することができる。
ところで、リチウムイオン二次電池では、リチウムが電荷担体となり、充電時においては負極活物質にリチウムが挿入され、放電時においては負極活物質からリチウムが脱離する。こうした充放電が繰り返し行なわれると、リチウムイオン二次電池の負極にリチウム(金属リチウム)が析出することがある。リチウムイオン二次電池のLi析出量が多くなるほどリチウムイオン二次電池の劣化度合いが大きくなる。リチウムイオン二次電池がどの程度劣化したかを知るためには、高い精度でリチウムイオン二次電池のLi析出量を推定することが要求される。
たとえば、周期的に検出されたリチウムイオン二次電池の充電電流の波形を用いて、リチウムイオン二次電池のLi析出量を推定することができる。しかし、こうした方法では、短時間の回生充電に起因したLi析出量を高い精度で推定することは難しい。電流検出装置(たとえば、ECU300)の時間分解能(すなわち、電流の検出が可能な最小充電時間)よりも短い回生充電によってLi析出が生じたときには、リチウムイオン二次電池の充電電流波形からLi析出量を検出することができない。以下、ECU300によって電流の検出が可能な最小充電時間を、「検出限界時間」とも称する。
図6は、この実施の形態に係るECU300の検出限界時間について説明するための図である。図6において、線k12で示される充電時間が検出限界時間に相当する。検出限界時間は演算装置301の性能によって変わり得るが、この実施の形態では、検出限界時間が0.1秒(=100ms)である。
図6を参照して、線k11よりも充電時間が短い領域R1は、Li析出の反応(Li+e→Li)が起こらない充電条件を示している。領域R1に属する充電時間の回生充電によっては、リチウムイオン二次電池の負極にLi析出が生じない。図6に示される温度範囲(約−30℃〜約20℃)においては、リチウムイオン二次電池の温度が高くなるほどLi析出の反応が起こりにくくなる傾向がある。
線k11よりも充電時間が長く、かつ、検出限界時間(線k12)よりも充電時間が短い領域R2は、Li析出の反応は起こる(すなわち、リチウムイオン二次電池の負極にLi析出が生じる)が、ECU300によって充電電流(ひいては、Li析出量)を検出できない充電条件を示している。この充電条件では、ECU300は、充電電流を検出できないため、充電電流を制御することもできない。
線k12よりも充電時間が長い領域R3は、Li析出の反応が起こり、かつ、ECU300によって充電電流(ひいては、Li析出量)を検出できる充電条件を示している。この充電条件では、ECU300は、充電電流を検出することも制御することもできる。
この実施の形態に係る充電システム2では、検出限界時間(たとえば、0.1秒)よりも短い回生充電によって生じたメインバッテリ101(メイン電池)のLi析出量(すなわち、図6に示す領域R2において生じるLi析出量)を推定するためにサブバッテリ102(サブ電池)が採用されている。
この実施の形態では、メイン電池とサブ電池とが、電極サイズ以外は同一仕様のリチウムイオン二次電池である。メイン電池とサブ電池とでは、同一組成の電極(正極及び負極)が採用されている。各リチウムイオン二次電池は、たとえば、以下に説明するような構成を有する電解液式リチウムイオン二次電池(以下、単に「電池」とも称する)である。
電池は、たとえば角型のケースの内部に電極体が収容されて構成される。電極体は、正極と負極とがセパレータを介して積層され、その積層体が捲回されることにより形成されている。電解液は、正極、負極、及びセパレータ等に保持されている。
正極は、正極集電体(たとえば、アルミニウム箔)と、正極活物質層とを含む。正極活物質、バインダ、及び導電助剤を含有する正極合材を正極集電体の表面に塗工することにより、正極集電体の両面に正極活物質層を形成することができる。また、負極は、負極集電体(たとえば、銅箔)と、負極活物質層とを含む。負極活物質、バインダ、及び導電助剤を含有する負極合材を負極集電体の表面に塗工することにより、負極集電体の両面に負極活物質層を形成することができる。
正極活物質は、たとえばリチウム含有ニッケルコバルトマンガン複合酸化物(コバルト酸リチウムの一部がニッケル及びマンガンにより置換された三元系の材料)である。負極活物質は、たとえば炭素系材料(たとえば、グラファイト)である。セパレータは、たとえばポリエチレン又はポリプロピレンのようなポリオレフィンである。電解液は、たとえば、有機溶媒とリチウム塩(たとえば、LiPF)と添加剤とを含む溶液である。有機溶媒の例としては、DMC(dimethyl carbonate)とEMC(ethyl methyl carbonate)とEC(ethylene carbonate)との混合溶媒が挙げられる。添加剤の例としては、LiBOB(lithium bis(oxalate)borate)、Li[PF(C]が挙げられる。
なお、リチウムイオン二次電池の構成は上記に限定されない。正極、負極、セパレータ、及び電解液には、それぞれリチウムイオン二次電池の正極、負極、セパレータ、及び電解液として公知の材料を用いることができる。角型のケースに代えて、円筒型又はラミネート型のケースを採用してもよい。電極体は、捲回構造ではなく積層構造を有するものであってもよい。リチウムイオン二次電池は全固体電池であってもよい。電解液に代えて、ポリマー系電解質を用いてもよいし、無機系固体電解質(たとえば、酸化物系又は硫化物系)を用いてもよい。
図7は、この実施の形態に係るメイン電池及びサブ電池の各々の特性を対比して示す図である。図7を参照して、電極(正極及び負極)のサイズ(より特定的には、面積)は、サブ電池よりもメイン電池のほうが大きい。電極サイズが異なることによって、サブ電池の容量はメイン電池の容量よりも小さくなっている。この実施の形態では、サブ電池の容量がメイン電池の容量の0.1倍以下である。メイン電池の容量は4Ahであり、サブ電池の容量は0.3Ahである。
この実施の形態に係るメイン電池及びサブ電池は、互いに同一組成の負極を有する。このため、メイン電池とサブ電池とでは、負極表面における単位面積あたりのLi析出耐性が同じになる。Li析出限界電流(すなわち、リチウムイオン二次電池の負極にリチウムが析出しない充電電流の最大値)が200Aであるときには、200A以下の充電電流ではLi析出の反応が起こらず、充電電流が200Aを超えると、負極にLi析出が生じる。なお、電池の状態がLi析出を促進しやすい状態であるほどLi析出限界電流は小さくなる。たとえば、高SOCからの充電、長時間の継続充電、及び電池抵抗が高い状態(たとえば、電池温度が低い状態)での充電が、Li析出を促進する。
Li析出限界電流200A、充電時間0.05秒、充電電流500Aの条件で電池の充電が行なわれた場合には、15Cの電荷がLi析出に寄与することになる。電気量(15C)は、式「(500−200)×0.05=15C」から導かれる。こうした条件でメイン電池及びサブ電池の各々が充電された場合、メイン電池において容量4Ah(初期の電池容量)に対してLi析出に寄与する電荷が占める割合は約0.1%となり、サブ電池において容量0.3Ah(初期の電池容量)に対してLi析出に寄与する電荷が占める割合は約1.4%となる。以下、初期の電池容量に対して充電時にLi析出に寄与する電荷が占める割合を、「Li析出割合」と称する。上記メイン電池のLi析出割合(約0.1%)は、式「100×15/(4×60×60)≒0.1%」から導かれる。上記サブ電池のLi析出割合(約1.4%)は、式「100×15/(0.3×60×60)≒1.4%」から導かれる。
図7中には、メイン電池及びサブ電池の各々の負極表面の状態が示されている。メイン電池及びサブ電池の各々の負極は負極集電体201及び負極活物質層202を含む。メイン電池及びサブ電池が同じ条件で充電された場合、サブ電池のLi析出割合は、メイン電池のLi析出割合の約14倍になる。このように、サブ電池のLi析出割合とメイン電池のLi析出割合とは相関する。
メイン電池及びサブ電池が同じ条件で充電された場合、メイン電池のLi析出割合よりもサブ電池のLi析出割合のほうが多くなる。このため、メイン電池よりもサブ電池のほうが、充電(ひいては、充電に伴うLi析出)によって電池容量維持率が低下しやすくなる。電池容量維持率は、初期の電池容量に対する現在の電池容量の割合であり、たとえば「電池容量維持率=100×(現在の電池容量)/(初期の電池容量)」のような式で表すことができる。
この実施の形態に係る充電システム2では、サブ電池のLi析出量が増加したときにサブ電池の容量が大きく変化することを利用して、検出限界時間よりも短い回生充電によってメイン電池の負極に生じるLi析出量を、サブ電池の容量を用いて推定するようにしている。以下、図8〜図14を用いて、この実施の形態に係るLi析出量推定方法について説明する。
図8は、車両1の走行中にECU300によって実行される充電制御の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、車両1が走行中であるときに、所定の制御周期ごとにメインルーチン(図示せず)から呼び出されて繰り返し実行される。この実施の形態では、制御周期が検出限界時間(100ms)と一致する。「走行中」は、車両1が走行可能な状態になっていることを意味する。この実施の形態に係る車両1では、車両システムが停止状態であり、かつ、電池パック100が充電中ではない状況において、ブレーキペダル(図示せず)が踏まれている状態で起動スイッチ(図示せず)が押されると、車両システム(ひいては、ECU300)が起動する。そして、起動したECU300によってSMR50がON状態(導通状態)にされることによりPCU40に電力が供給され、車両1が走行可能な状態(すなわち、走行中)になる。車両1の発進は、電動機(たとえば、MG12)によって行なわれる。車両1の走行開始時においては、スイッチ103,104が端子A−Bを接続することによって第1充電回路(図3参照)が形成されている。車両1の走行中において、エンジン20は、ECU300によって制御され、車両1の状態に応じて自動的に始動したり停止したりする。なお、起動スイッチは、車両システムを起動させるためのスイッチであり、一般に「パワースイッチ」又は「イグニッションスイッチ」と称される。
図1及び図2とともに図8を参照して、ステップ(以下、単に「S」とも表記する)11では、電池パック100の充電が実行されているか否かが、ECU300によって判断される。
車速が安定した状態で車両1が走行しているとき(通常走行時)には、PCU40から電池パック100に電流が入力されないため、S11においてNOと判断される。また、後述する回生充電が終了したときにも、S11においてNOと判断される。S11においてNOと判断されると、処理がS10を経てS15へ進む。S10では、ECU300がスイッチ103,104に端子A−Bを接続させて、第1充電回路(図3参照)を形成する。このため、充電中にスイッチ103,104の状態が変更されても、充電が終了すると、S10の処理によって、スイッチ103,104の状態が充電開始時の状態(端子A−B接続)に戻されることになる。S15では、ECU300が、監視ユニット101a,102aから取得した各バッテリ(メインバッテリ101、サブバッテリ102)の状態(たとえば、温度、電流、及び電圧)を記憶装置302に保存(記録)する。そして、S15の処理後、処理がS16へ進む。S16では、ECU300が、実行中の充電が終了したか否かを判断する。前回S11でYESと判断され、かつ、今回S11でNOと判断された場合には、S16においてYESと判断され、処理がS17へ進む。S17の処理については後述する。
電池パック100の充電が実行されていない期間(より特定的には、連続してS11においてNOと判断されている期間)においては、S16でNOと判断され、処理はメインルーチンへと戻される。この期間においては、S11、S10、S15、及びS16の処理が制御周期ごとに繰り返され、各バッテリの状態が周期的に記録される。
車両1の走行中の減速時又は制動時には、回生ブレーキによって回生充電が行なわれる。回生充電によってPCU40から電池パック100に電流が入力されるため、S11においてYESと判断され、処理がS12へ進む。スイッチ103,104によって第1充電回路(図3参照)が形成されているときに回生充電が行なわれると、メインバッテリ101(メイン電池)及びサブバッテリ102(サブ電池)の両方が充電される。スイッチ103,104によって第2充電回路(図4参照)が形成されているときに回生充電が行なわれると、メインバッテリ101(メイン電池)のみが充電される。
S12では、ECU300が、サブバッテリ102のSOCが所定のSOC範囲内に入っているか否かを判断する。ECU300は、監視ユニット102aからサブバッテリ102のSOCを取得することができる。この実施の形態では、上記所定のSOC範囲として、0%超100%未満の範囲を採用する。S12の判断に用いられるSOC範囲は、サブバッテリ102において過充電及び過放電のいずれもが生じないように設定される。この実施の形態では、SOC範囲として0%超100%未満が設定されているが、SOC範囲は、この数値範囲に限定されることはなく、より狭い範囲になるように設定されてもよい。
サブバッテリ102のSOCが0%又は100%である場合には、S12においてNOと判断され、S121〜S123においてサブバッテリ102のSOCが調整される。S121では、ECU300がスイッチ103,104に端子B−Dを接続させて、調整回路(図5参照)を形成する。そして、調整回路によってサブバッテリ102のSOC調整が行なわれる。調整回路における抵抗器105によって電流量を調整しながらサブバッテリ102の充電又は放電を行なうことで、サブバッテリ102のSOCを所望のSOC値に調整することができる。サブバッテリ102のSOC調整が完了するまで、S122及びS123が制御周期ごとに繰り返される。ECU300は、各バッテリ(メインバッテリ101、サブバッテリ102)の状態(たとえば、温度、電流、及び電圧)を記録しながら(S122)、サブバッテリ102のSOC調整が完了したか否かを判断する(S123)。このSOC調整は、たとえばサブバッテリ102のSOCが所定の調整完了範囲に入ると、完了する。調整完了範囲は、一点(所定SOC値)であってもよい。この実施の形態では、調整完了範囲として50%を採用する。サブバッテリ102のSOCが50%になると、サブバッテリ102のSOC調整が完了した(S123にてYES)と判断される。
サブバッテリ102のSOC調整が完了した(S123にてYES)と判断されると、処理がS124を経て前述のS15へ進む。S124では、ECU300が、スイッチ103,104の状態を充電開始時の状態(端子A−B接続)に戻す。
サブバッテリ102のSOCが0%及び100%のどちらでもない場合には、S12においてYESと判断され、処理がS13へ進む。S13では、充電時間(すなわち、充電開始からの経過時間)が所定時間(たとえば、100ms)以下であるか否かが、ECU300によって判断される。S13の判断に用いられる所定時間は、メイン電池の検出限界時間(図6参照)を考慮して設定される。上記所定時間を、メイン電池の検出限界時間と一致させてもよい。この実施の形態では、所定時間として100msが設定されているが、この数値に限定されるわけではない。
上記充電時間の計測には、公知のタイマーを用いることができる。こうしたタイマーは、ソフトウェアによってもハードウェアによっても実現できる。たとえば、ECU300の記憶装置302内にカウンタ(変数)を用意して、S11で充電が開始されたと判断された時点から制御周期ごとにそのカウンタをインクリメントしつつ、カウンタ値が所定値に達したか否かを判断するようにしてもよい。
S13で充電時間が所定時間を超えた(NO)と判断された場合には、処理がS14を経由してS15へ進む。S14では、ECU300がスイッチ103,104に端子A−Cを接続させて、第2充電回路(図4参照)を形成する。第2充電回路が形成された状態で電池パック100の充電が行なわれると、メインバッテリ101(メイン電池)のみに充電電流が流れる。他方、S13で充電時間が所定時間以下である(YES)と判断された場合には、処理がS14を経由せずにS15へ進むため、スイッチ103,104は充電開始時の状態(端子A−B接続)で維持される。この状態で電池パック100の充電が行なわれると、メインバッテリ101(メイン電池)及びサブバッテリ102(サブ電池)の両方に充電電流が流れる(図3参照)。
充電開始から100msが経過するまでの第1期間(S13にてYESと判断されている期間)においては、メイン電池だけでなくサブ電池にも充電電流が流れる一方、充電開始から100msが経過した後の第2期間(S13にてNOと判断されている期間)においては、サブ電池に充電電流が流れなくなる。こうした制御により、サブ電池の過充電及び過放電が抑制される。
充電が終了した場合(S16にてYES)には、S17において、ECU300が、S15で取得したメインバッテリ101の状態履歴(たとえば、充電電流の波形)を用いて、充電開始から100msが経過した後の充電期間(第2期間)におけるメインバッテリ101のLi析出量X2(以下、単に「X2」とも表記する)を推定する。その後、ECU300は、推定したX2を記憶装置302に保存する。
第2期間におけるメインバッテリ101のLi析出量X2は、メインバッテリ101の充電電流の波形を用いて推定される。Li析出量の推定方法としては、公知の方法(たとえば、特許文献1に記載される方法)を採用することができる。メインバッテリ101の状態を示す所定のパラメータと、第2期間におけるメインバッテリ101のLi析出量X2との関係を示す情報(以下、「X2推定情報」とも称する)が、予め実験等によって求められて記憶装置302に記憶されていてもよい。演算装置301は、X2推定情報を参照して、S15で取得された所定のパラメータに基づいて、第2期間におけるメインバッテリ101のLi析出量X2を推定してもよい。ECU300は、充電電流の最大値と、充電電流の平均値と、充電電流の積算値と、充電時間と、充電開始時のSOC及び電池温度と、前回充電から今回充電までの間隔との少なくとも1つに基づいて、第2期間におけるメインバッテリ101のLi析出量X2を推定してもよい。充電時間が長くなるほど、また、充電電流が大きくなるほど、Li析出量が多くなる傾向がある。ECU300は、推定処理の簡略化又は推定精度の向上のために所定の情報処理(たとえば、特許文献1に記載されるような矩形波への置換)を行なってもよい。
車両1の走行中に上記図8の処理が繰り返し実行されることによって、充電が終了するごとに、その充電の第2期間におけるメインバッテリ101のLi析出量X2が推定される(S16及びS17)。
図9は、外部充電時にECU300によって実行される充電制御の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、車両1が外部充電可能な状態になると、開始される。この実施の形態では、車両1が駐車中であるときに、充電スタンド(図示せず)につながれた充電ケーブルのコネクタ(図示せず)が車両1のインレット80に接続されると、車両1が外部充電可能な状態になる。「駐車中」とは、停車中の車両1において、エンジン20が停止しており、かつ、MG11,12に電力が供給されていない状態をいう。この実施の形態に係る車両1では、停車中にシフトポジションがP(パーキング)になった状態で起動スイッチ(図示せず)が押されると、ECU300が、エンジン20を停止させるとともにSMR50をOFF状態(遮断状態)にする。これにより、車両1が駐車中になる。
図1及び図2とともに図9を参照して、S21では、ECU300がスイッチ103,104に端子A−Bを接続させて、第1充電回路(図3参照)を形成する。これにより、メインバッテリ101(メイン電池)及びサブバッテリ102(サブ電池)の両方に充電電流が流れるようになる。
S21の処理後、ECU300は、S221〜S224において、サブバッテリ102の容量を推定するためのデータを取得する。なお、サブバッテリ102の容量を推定する方法については後述する(図10のS311参照)。
S221では、サブバッテリ102のSOCが測定開始値に調整される。測定開始値は、たとえば20%以上50%以下の範囲内で設定され、この実施の形態では、測定開始値を40%とする。サブバッテリ102のSOCが測定開始値を超えている場合には、サブバッテリ102のSOCが測定開始値になるように、サブバッテリ102の放電が行なわれる。ECU300は、たとえばスイッチ103,104を制御して調整回路(図5参照)を形成することによって、サブバッテリ102の放電を行なうことができる。調整回路によってサブバッテリ102のSOCが調整された場合には、SOC調整後にスイッチ103,104の状態が端子A−B接続に戻される。他方、サブバッテリ102のSOCが測定開始値よりも小さい場合には、ECU300は、外部充電を実行することによってサブバッテリ102のSOCを測定開始値に調整することができる。
サブバッテリ102のSOCが測定開始値(たとえば、40%)に調整されると、ECU300は、S222において、SMR50、充電リレー60、及び充電ユニット70を制御して、一定速度の外部充電を実行する。この外部充電は、第1充電回路(図3参照)で行なわれる。充電速度は1C以下(たとえば、0.5C)であることが好ましい。外部充電の実行中は、充電スタンドの電源から充電ケーブルを通じて車両1(ひいては、第1充電回路)に電力が供給される。そして、第1充電回路に供給される電力によってメインバッテリ101及びサブバッテリ102が充電される。
上記外部充電の実行中(S223)において、ECU300は、監視ユニット101a,102aから取得した各バッテリ(メインバッテリ101、サブバッテリ102)の状態(たとえば、温度、電流、及び電圧)を記憶装置302に保存(記録)する。
上記外部充電は、サブバッテリ102のSOCが測定終了値になるまで実行される。測定終了値は、たとえば60%以上95%以下の範囲内で設定され、この実施の形態では、測定終了値を90%とする。
S224において、サブバッテリ102のSOCが測定終了値になったか否かが判断され、S224においてNOと判断されている期間は、S222〜S224の処理が制御周期ごとに繰り返され、各バッテリの状態が周期的に記録される。外部充電によってサブバッテリ102のSOCが測定終了値になると、S224においてYESと判断され、処理がS23へ進む。
S23では、ECU300がSMR50、充電リレー60、及び充電ユニット70を制御して、外部充電を中断する。続けて、ECU300は、S24において、スイッチ103,104に端子A−Cを接続させて、第2充電回路(図4参照)を形成する。これにより、メインバッテリ101(メイン電池)のみに充電電流が流れるようになる。
S24の処理後、ECU300は、S251〜S253において、メインバッテリ101の外部充電を実行する。
S251では、ECU300が、SMR50、充電リレー60、及び充電ユニット70を制御して外部充電を実行する。この外部充電は、第2充電回路(図4参照)で行なわれる。メインバッテリ101の充電を早期に完了させるためには、S251の外部充電が、S222の外部充電よりも速い充電速度で行なわれることが好ましい。外部充電の実行中は、充電スタンドの電源から充電ケーブルを通じて車両1(ひいては、第2充電回路)に電力が供給される。そして、第2充電回路に供給される電力によってメインバッテリ101が充電される。
上記外部充電の実行中(S252)において、ECU300は、監視ユニット101a,102aから取得した各バッテリ(メインバッテリ101、サブバッテリ102)の状態(たとえば、温度、電流、及び電圧)を記憶装置302に保存(記録)する。
上記外部充電は、所定の完了条件が成立するまで継続され、完了条件が成立すると終了する。完了条件が成立するか否かは、S253においてECU300が判断する。完了条件は、たとえば、充電中にメインバッテリ101のSOCが所定SOC値以上になった場合に成立する。所定SOC値は、ECU300によって自動的に設定されてもよいし、ユーザによって設定されてもよい。この実施の形態では、所定SOC値を100%(満充電状態)とする。なお、完了条件は上記に限られず任意に設定することができる。たとえば、充電時間が所定値よりも長くなった場合に完了条件が成立するようにしてもよい。また、充電中にユーザから充電停止の指示があった場合に完了条件が成立するようにしてもよい。
メインバッテリ101が満充電になるまでの間(すなわち、S253においてNOと判断されている期間)は、S251〜S253の処理が制御周期ごとに繰り返され、各バッテリの状態が周期的に記録される。外部充電によってメインバッテリ101が満充電になると、S253においてYESと判断され、図9の一連の処理が終了する。
外部充電時に上記図9の処理が実行されることによって、サブバッテリ102の容量を推定するためのデータを取得することができる。詳細は後述するが、ECU300は、所定の開始SOC(測定開始値)から所定の終了SOC(測定終了値)までの外部充電を行なったときにサブバッテリ102に充電される電気量(すなわち、S221〜S224で取得されるデータ)を用いて、サブバッテリ102の容量を推定することができる。
図10は、ECU300によって実行されるメインバッテリ101のLi析出量推定及び劣化判定の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、所定の実行条件が成立すると、開始される。実行条件は任意に設定できるが、この実施の形態では、図9の処理(ひいては、外部充電)が終了すると、実行条件が成立する。
図1及び図2とともに図10を参照して、S311では、ECU300が、SOCが40%から90%になるまでの外部充電を行なったときにサブバッテリ102に充電される電気量(すなわち、所定SOC範囲の充電量)を用いて、サブバッテリ102の現在の容量ΔC(以下、単に「ΔC」とも表記する)を推定する。所定SOC範囲(この実施の形態では、40%〜90%)の充電量は、図9のS221〜S224で取得したデータから求められる。ΔCは、SOCが0%から100%になるまでの充電を行なったときにサブバッテリ102に充電される電気量に相当する。
この実施の形態では、所定SOC範囲の充電量とΔCとの関係を示す情報(以下、「ΔC推定情報」とも称する)が、予め実験等によって求められて記憶装置302に記憶されている。演算装置301は、ΔC推定情報を参照して、所定SOC範囲の充電量に対応するΔCを取得することができる。
S312では、ECU300が、サブバッテリ102の温度頻度分布と劣化速度βとを用いて、サブバッテリ102の経年劣化による容量低下量ΔD1(以下、単に「ΔD1」とも表記する)を推定する。
サブバッテリ102の温度頻度分布は、サブバッテリ102の温度毎の頻度を示す情報である。典型的なサブバッテリ102の温度頻度分布では、横軸にサブバッテリ102の温度が示され、縦軸に度数(すなわち、サブバッテリ102の温度が、横軸で示される温度であった積算回数)が示される。ECU300は、サブバッテリ102の温度の実測データ(たとえば、図8のS15及びS122、並びに図9のS223及びS252で取得したデータ)を用いてサブバッテリ102の温度頻度分布を作成することができる。
サブバッテリ102の劣化速度βは、サブバッテリ102の温度によって変わる。演算装置301は、T−β情報を参照することによりサブバッテリ102における各温度の劣化速度βを取得することができる。T−β情報は、サブバッテリ102の温度と劣化速度βとの関係を示す情報であり、予め実験等によって求められて記憶装置302に記憶されている。
図11は、T−β情報の一例を示す図である。図11を参照して、横軸はサブバッテリ102の温度の逆数(1/T)を示し、縦軸は劣化速度の自然対数値(ln(β))を示している。線k21は、サブバッテリ102の温度(T)と劣化速度βとの関係を規定しており、詳しくは、サブバッテリ102の温度(T)が高くなるほど劣化速度βが大きくなるような関係を規定している。線k21により、サブバッテリ102における各温度の劣化速度βが得られる。アレニウス則に従う温度依存性から、線k21で示されるように、1/Tとln(β)とは略比例関係を有する傾向がある。
ECU300は、サブバッテリ102の温度ごとに、温度頻度分布の頻度と劣化速度βとを乗算することにより、各温度におけるサブバッテリ102の容量低下量を求めることができる。さらに、ECU300は、各温度におけるサブバッテリ102の容量低下量を積算することにより、ΔD1を求めることができる。
再び図10を参照して、S313では、ECU300が、ΔCとΔD1とを用いて、サブバッテリ102(サブ電池)のLi析出量X10(以下、単に「X10」とも表記する)を推定する。
図12は、サブバッテリ102の初期の容量と、ΔCと、ΔD1と、サブバッテリ102のLi析出による容量低下量ΔD2(以下、単に「ΔD2」とも表記する)との関係を示す図である。図12を参照して、ΔCとΔD1とΔD2との合計は、サブバッテリ102の初期の容量に等しくなる。
X10とΔD2とは相関し、一定の関係を有する。X10が多くなるほどΔD2が大きくなる傾向がある。この実施の形態では、ΔCとΔD1とX10との関係を示す情報(以下、「X10推定情報」とも称する)が、予め実験等によって求められて記憶装置302に記憶されている。演算装置301は、X10推定情報を参照して、S311及びS312で取得されたΔC及びΔD1に基づいて、サブバッテリ102のLi析出量X10を推定することができる。X10推定情報で示される関係は、図8のS15及びS122、並びに図9のS223及びS252で取得されるサブバッテリ102の状態履歴(たとえば、温度、電流、及び電圧)に基づいて補正されてもよい。
再び図10を参照して、S32では、ECU300が、サブバッテリ102のLi析出量X10を用いて、充電開始から100msが経過するまでの充電期間(第1期間)におけるメインバッテリ101のLi析出量X1(以下、単に「X1」とも表記する)を推定する。
図13は、X1とX10との関係を示す図である。図13を参照して、直線k22で示されるように、X1とX10とは比例関係を有する。比例係数は、メインバッテリ101とサブバッテリ102との容量比率に対応する。この実施の形態では、X10とX1との関係を示す情報(以下、「X1推定情報」とも称する)が、予め実験等によって求められて記憶装置302に記憶されている。演算装置301は、X1推定情報を参照して、X10に基づいて、第1期間におけるメインバッテリ101のLi析出量X1を推定することができる。
再び図10を参照して、S33では、ECU300が、記憶装置302から、第2期間におけるメインバッテリ101のLi析出量X2(図8のS17参照)を取得する。続けて、ECU300は、S34において、X1とX2とを加算することにより、充電開始から充電終了までのメインバッテリ101のLi析出量X3(以下、単に「X3」とも表記する)を算出する。充電ごとにX3(=X1+X2)を求めて、得られたX3を積算することによって、全ての充電のX3が得られる。
S35では、ECU300が、全ての充電のX3が所定の許容値よりも小さいか否かを判断する。X3が許容値よりも小さい場合(S35にてYES)にはS36を経ずに、X3が許容値以上である場合(S35にてNO)にはS36を経て、図10の一連の処理を終了する。
X3が許容値以上である場合(S35にてNO)には、メインバッテリ101が劣化したと判定され、S36において、ECU300が所定の処理(メインバッテリ劣化時の処理)を実行する。ECU300は、たとえば、メインバッテリ101の電流制限と、電池劣化が生じていることの報知と、電池劣化が生じていることの記録との少なくとも1つを実行してもよい。ECU300は、たとえば充電制限値を小さくすることによって電流制限を強めてもよい。報知方法は任意であり、所定の表示装置への表示(たとえば、文字又は画像の表示)で知らせてもよいし、スピーカーにより音(音声を含む)で知らせてもよいし、所定のランプを点灯(点滅を含む)させてもよい。ECU300は、無線通信を通じて図示しない所定の携帯機器(たとえば、スマートフォン又はスマートウォッチ)による表示及び/又は鳴動を制御して、電池劣化が生じていることをユーザへ報知してもよい。また、ECU300は、記憶装置302内のダイアグ(自己診断)のフラグの値(初期値はOFF)をONにすることにより、電池劣化が生じていることを記憶装置302に記録してもよい。
図14は、ECU300によって推定される各Li析出量(X1、X2、及びX3)の一例を示す図である。図14において、線L20は、メインバッテリ101の電流波形を示している。充電側の電流は正(+)の値で、放電側の電流は負(−)の値で示されている。線L21、L22、L23はそれぞれ、線L20で示される充電電流がメインバッテリ101に流れるときに、ECU300によって推定されるX1、X2、X3を示している。
図14を参照して、線L20は、4回の充電を示している。1回目の充電は、タイミング(以下、単に「t」とも表記する)11で開始され、t12で終了する。1回目の充電は、充電開始(t11)から検出限界時間(100ms)が経過する前に終了するため、ECU300は、この充電の電流を検出することができない。この実施の形態では、第1期間(すなわち、充電開始から100msが経過するまでの充電期間)におけるメインバッテリ101のLi析出量X1が、サブバッテリ102の容量変化に基づいて検出される(図10のS311〜S32参照)。こうした方法によれば、上記のような短時間の充電に起因して生じるメインバッテリ101のLi析出量を高い精度で推定することが可能になる。1回目の充電によって、X1(線L21)は増加するが、X2(線L22)は増加しない。
2回目の充電は、t21で開始され、t22で終了する。t23は、t21から検出限界時間(100ms)が経過したタイミングに相当する。2回目の充電では、t21〜t23が第1期間に相当し、t23〜t22が第2期間に相当する。2回目の充電時間は、検出限界時間(100ms)よりも長いため、ECU300は、この充電の電流を検出できる。第2期間(すなわち、充電開始から100msが経過した後の充電期間)におけるメインバッテリ101のLi析出量X2は、ECU300が検出したメインバッテリ101の充電電流の波形に基づいて検出される(図8のS17参照)。第1期間におけるメインバッテリ101のLi析出量X1は、1回目の充電と同様、サブバッテリ102の容量変化に基づいて検出される。2回目の充電によって、X1(線L21)及びX2(線L22)の両方が増加する。
3回目の充電は、t31で開始され、t32で終了する。3回目の充電は、充電開始(t31)から検出限界時間(100ms)が経過する前に終了するため、1回目の充電と同様にX1(線L21)が検出される。
4回目の充電は、t41で開始され、t42で終了する。t43は、t41から検出限界時間(100ms)が経過したタイミングに相当する。4回目の充電では、t41〜t43が第1期間に相当し、t43〜t42が第2期間に相当する。4回目の充電は、検出限界時間(100ms)よりも長いため、2回目の充電と同様にX1(線L21)及びX2(線L22)が検出される。
ECU300は、充電ごとに検出されるX1及びX2を積算することによって、上記4回の充電によって生成したメインバッテリ101のLi析出量X3を推定することができる。
以上説明したように、ECU300は、充電回路(図3、図4)に供給される電力によってメインバッテリ101が充電されているときに、充電開始から所定時間(たとえば、検出限界時間)が経過するまでの第1期間においては、直列に接続されたメインバッテリ101及びサブバッテリ102を含む第1充電回路(図3)を形成し、充電開始から所定時間(たとえば、検出限界時間)が経過した後の第2期間においては、メインバッテリ101を含み、かつ、サブバッテリ102を含まない第2充電回路(図4)を形成するように構成される。
ECU300は、サブバッテリ102の容量ΔCと第1期間におけるメインバッテリ101のLi析出量X1との関係を示す対応情報を取得するように構成される。この実施の形態に係るΔD1、X10推定情報、及びX1推定情報が、本開示に係る「対応情報」の一例に相当する。
ECU300は、サブバッテリ102の容量ΔCを検出し(図10のS311)、ΔCと、ΔD1と、X10推定情報と、X1推定情報とを用いて、第1期間におけるメインバッテリ101のLi析出量X1を推定するように構成される(図10のS312、S313、及びS32)。ECU300は、少なくとも第2期間において周期的にメインバッテリ101の充電電流を検出し(図8のS15)、メインバッテリ101の充電電流の波形を用いて、第2期間におけるメインバッテリ101のLi析出量X2を推定するように構成される(図8のS17)。ECU300は、X1及びX2を加算することにより、充電開始から充電終了までのメインバッテリ101のLi析出量X3を算出するように構成される(図10のS34)。
上記構成を有するECU300によれば、メインバッテリ101のLi析出量を高い精度で推定することが可能になる。
上記実施の形態では、メインバッテリ101及びサブバッテリ102の各々が単電池である例について説明したが、メインバッテリ101及びサブバッテリ102の少なくとも一方が組電池を含んで構成されてもよい。
図15は、メイン電池が組電池である例を示す図である。図15を参照して、この例では、メインバッテリ101(メイン電池)が、複数のリチウムイオン二次電池B1が直列に接続されて構成される組電池である。サブバッテリ102(サブ電池)は、1つのリチウムイオン二次電池B2(単電池)である。メインバッテリ101(組電池)の容量は、サブバッテリ102(単電池)の容量よりも大きい。
図16は、メイン電池及びサブ電池の各々が組電池である例を示す図である。図16を参照して、この例では、メインバッテリ101(メイン電池)が、複数のリチウムイオン二次電池B1が並列に接続されて構成される組電池である。サブバッテリ102(サブ電池)は、複数のリチウムイオン二次電池B2が並列に接続されて構成される組電池である。リチウムイオン二次電池B1の数とリチウムイオン二次電池B2の数とは、互いに同じである。メインバッテリ101(組電池)の容量は、サブバッテリ102(組電池)の容量よりも大きい。
図1に示す構成では、充電リレー60がSMR50とPCU40との間に接続されているが、充電リレー60は電池パック100とSMR50との間に接続されてもよい。
充電システムが適用される対象は、車両に限られず任意である。充電システムの適用対象は、たとえば、他の乗り物(船、飛行機等)であってもよいし、無人の移動体(無人搬送車(AGV)、農業機械、ドローン等)であってもよいし、建物(住宅、工場等)であってもよい。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 車両、2 充電システム、11,12 MG、20 エンジン、30 駆動輪、31 動力分割装置、32 駆動軸、40 PCU、50 SMR、60 充電リレー、70 充電ユニット、80 インレット、100 電池パック、101 メインバッテリ、101a 監視ユニット、102 サブバッテリ、102a 監視ユニット、103,104 スイッチ、105 抵抗器、201 負極集電体、202 負極活物質層、300 ECU、301 演算装置、302 記憶装置、B1,B2 リチウムイオン二次電池。

Claims (1)

  1. 第1リチウムイオン二次電池と、
    前記第1リチウムイオン二次電池よりも容量が小さい第2リチウムイオン二次電池と、
    複数種の充電回路を切り替えるスイッチと、
    前記スイッチを制御することによって前記複数種の充電回路のいずれかを形成するように構成される制御装置と、
    前記第1リチウムイオン二次電池のLi析出量を推定するLi析出量推定装置とを備え、
    前記制御装置は、前記充電回路に供給される電力によって前記第1リチウムイオン二次電池が充電されているときに、充電開始から所定時間が経過するまでの第1期間においては、直列に接続された前記第1リチウムイオン二次電池及び前記第2リチウムイオン二次電池を含む第1充電回路を形成し、前記充電開始から前記所定時間が経過した後の第2期間においては、前記第1リチウムイオン二次電池を含み、かつ、前記第2リチウムイオン二次電池を含まない第2充電回路を形成するように構成され、
    前記Li析出量推定装置は、
    前記第2リチウムイオン二次電池の容量と前記第1期間における前記第1リチウムイオン二次電池のLi析出量との関係を示す対応情報を取得する情報取得部と、
    前記第2リチウムイオン二次電池の容量を検出し、検出された前記第2リチウムイオン二次電池の容量と、前記情報取得部により取得される前記対応情報とを用いて、前記第1期間における前記第1リチウムイオン二次電池のLi析出量を推定する第1推定部と、
    前記第2期間において周期的に前記第1リチウムイオン二次電池の充電電流を検出し、検出された前記第1リチウムイオン二次電池の充電電流の波形を用いて、前記第2期間における前記第1リチウムイオン二次電池のLi析出量を推定する第2推定部と、
    前記第1期間における前記第1リチウムイオン二次電池の前記Li析出量と、前記第2期間における前記第1リチウムイオン二次電池の前記Li析出量とを加算することにより、充電開始から充電終了までの前記第1リチウムイオン二次電池のLi析出量を算出する算出部とを含む、充電システム。
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