JP2020086456A - ディスプレイおよびそれに用いる積層フィルム - Google Patents

ディスプレイおよびそれに用いる積層フィルム Download PDF

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孝行 宇都
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Abstract

【課題】色変換部材を含むカラーフィルターを備えたディスプレイにおいて、輝度が高くかつ混色不良のないディスプレイを提供する。【解決手段】光源と、光源から入射された入射光を、その入射光よりも長波長の光に変換し、かつ複数のセルで分割されてなる色変換部材と、異なる複数の熱可塑性樹脂が交互に11層以上積層されてなる積層フィルムとを含み、光源、積層フィルム、色変換部材の順に配置してなるディスプレイ。【選択図】 なし

Description

本発明は、光源と色変換部材と積層フィルムを含むディスプレイに関する。
色変換方式によるマルチカラー化技術を、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、照明などへの応用することが盛んに検討されている。色変換とは、発光体からの発光をより長波長な光へと変換することであり、たとえば青色発光を緑色や赤色発光へと変換することを表す。
この色変換機能を有する組成物をシート化し、例えば青色光源と組み合わせることにより、青色光源から、青、緑、赤の3原色を取り出すこと、すなわち白色光を取り出すことが可能となる。このような青色光源と色変換機能を有するシートを組み合わせた白色光源をバックライトユニットとし、液晶駆動部分と、カラーフィルターと組み合わせることで、フルカラーディスプレイの作製が可能になる。また液晶駆動部分が無ければ、そのまま白色光源として用いることができ、たとえばLED照明などの白色光源として応用できる。
色変換方式を利用する液晶ディスプレイの課題として、色再現性の向上が挙げられる。色再現性の向上には、バックライトユニットの青、緑、赤の各発光スペクトルの半値幅を狭くし、青、緑、赤の各色の色純度を高めることが有効である。これを解決する手段として無機半導体微粒子による量子ドットを色変換部材の成分として用いる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。量子ドットを用いる技術は、確かに緑、赤色の発光スペクトルの半値幅が狭く、色再現性は向上する。
また、この色変換部材をカラーフィルターに用いる検討も進められている(たとえば、特許文献2参照)。色変換部材をカラーフィルターに用いることで、色変換材料から発光する際に光を散乱するため側面視認性が向上する。
特開2012−22028号公報 特開2017−146580号公報
一方で、色変換材料は光を発光する際に元に光の偏光状態を変えてしまうため、通常の液晶ディスプレイの構成と異なり液晶層とカラーフィルターの間に偏光子を設ける必要がある。しかし、色変換部材からの発光時に光が散乱することから、ディスプレイ前方方向以外(例えば後方(偏光板方向))にも光が発光するため、偏光子で光をロスして輝度が低下したり、隣同士の異なるセル間で光が混色するという問題があった。
そこで、本発明は上記の課題を解決せんとするものであって、色変換部材を備えたディスプレイにおいて、輝度が高くかつ混色不良のないディスプレイを提供することを課題とする。
本発明は、上記の課題を解決せんとするものであって、光源と、光源から入射された入射光を、その入射光よりも長波長の光に変換し、かつ複数のセルで分割されてなる色変換部材と、異なる複数の熱可塑性樹脂が交互に11層以上積層されてなる積層フィルムとを含み、光源、積層フィルム、色変換部材の順に配置してなるディスプレイである。
本発明によれば、量子ドットに代表される色変換部材を含むカラーフィルターを実装した際にも、高輝度でかつ混色不良のないディスプレイを得ることができる。
本発明のディスプレイの一例を示す模式断面図である。 本発明のディスプレイの一例を示す模式断面図である。 本発明のディスプレイの一例を示す模式断面図である。 本発明のディスプレイの一例を示す模式断面図である。 積層フィルムの長尺方向末端、短尺方向末端、中央の場所を示す模式図である。 透過軸方向に偏光された光と、反射軸方向に偏光された光とを表す模式図である。
以下に本発明の実施の形態について詳細に述べるが、本発明は以下の実施例を含む実施の形態に限定して解釈されるものではなく、発明の目的を達成できて、かつ、発明の要旨を逸脱しない範囲内においての種々の変更は当然あり得る。
本発明のディスプレイは、図1に示すとおり光源、積層フィルム、色変換部材をこの順番で含んでなる必要がある。また、図2に示すとおり側面に光源を供えた導光板を積層フィルムの下面に設けた構成であってもよい。以下、これらの構成をベースとして説明する。
<光源>
本発明のディスプレイを構成する光源の種類は、後述の色変換部材に含まれる発光物質が吸収可能な波長領域に発光を示すものであればいずれの光源でも用いることができる。例えば、熱陰極管や冷陰極管、無機ELなどの蛍光性光源、有機エレクトロルミネッセンス素子光源、LED、白熱光源、あるいは太陽光などいずれの光源でも原理的には利用可能であるが、特にはLEDが好適な光源である。たとえば、ディスプレイや照明用途では、青色光を受けて緑色を発光させたり、紫外光をうけて青色光を発光させたりするが、前者の場合、青色光の色純度を高められる点で、400〜500nmの範囲に発光帯域を備えた光源を持つ青色LEDがさらに好適な光源である。また、後者の場合、青色発光効率を高めつつも紫外線による内部材料の劣化を抑制する観点から380〜420nmの範囲に発光帯域を備えた光源をもつ近紫外線LEDがさらに好適な光源である。
光源は1種類の発光ピークを持つものでもよく、2種類以上の発光ピークを持つものでもよいが、色純度を高めるためには1種類の発光ピークを持つものが好ましい。また、発光ピークの種類の異なる複数の光源を任意に組み合わせて使用することも可能である。
<液晶層>
本発明のディスプレイの好ましい態様として、液晶層をさらに含む態様が挙げられる。本発明のディスプレイを構成する液晶層は特に限定されるものではなく、画素電極に対応して光の透過性を制御できるものであれば使用可能である。また、その方式も限定されるものではなく、TN(Twisted Nematic)方式、VA(Vertical Alignment)方式、IPS(In−Plane−Switching)方式のいずれも使用できる。
また、本発明のディスプレイでは、液晶層を含む場合、図3および図4に示すとおり光源、液晶層、積層フィルム、色変換部材の順番で含むことが好ましい。複数のセルで分割された色変換部材は、後述のとおりカラーフィルターとして色表示を行うために用いることができ、その場合、光源、液晶層、色変換部材の順番に配置されて用いることになるが、さらに液晶層と色変換部材の間に積層フィルムを用いることで、後述のとおり高輝度でかつ混色不良のないディスプレイを得ることができる。
<偏光子>
本発明のディスプレイにおいては、液晶層と色変換部材の間に偏光子を含んでなることも好ましい態様として挙げられる。偏光子を含むことで、液晶ディスプレイの構成によって、画素電極に対応して光の透過性を制御できるようになる。偏光子の種類は特に制限されるものではなく、吸収型偏光板でもよく、反射型偏光板でもよい。
<色変換部材>
本発明のディスプレイには、前記の光源から入射された入射光を、すなわち色変換部材に入射する光源からの光を、その入射光よりも長波長の光に変換する色変換部材を含む構成とすることが必要である。ここでいう光源から入射された入射光をその入射光よりも長波長の光に変換するとは以下のとおり定義されるものである。まず、光源の発光スペクトルを計測し、発光スペクトルの最大強度を示す波長を光源の発光ピーク波長とし、光源の発光ピーク波長での発光強度の50%以上の強度を示す発光帯域をもって光源の発光帯域とする。つづいて、光源からの光を色変換部材を通して受光した際の発光スペクトルを計測する。その際の光源の発光ピーク波長をのぞく最大強度を示す波長を色変換部材の出光ピーク波長とし、色変換部材の出光ピーク波長での出光強度の50%以上の強度を示す帯域を色変換部材の出光帯域とする。この色変換部材の出光帯域が、光源の発光帯域よりも長波長側にあることをもって光源から入射された入射光をその入射光よりも長波長の光に変換するとし、さらに具体的には色変換部材の出光帯域の長波長端が光源の発光帯域の長波長端よりも長波長側にあることとする。このような色変換部材を用いることで、赤・緑・青の色を個別に発光させることが容易となり、表現できる色の種類が多く色再現性の高いディスプレイを得られるものである。また、色変換部材からの局所的な出光ピークを複数備える場合は、色変換部材の出光帯域の一部で最大強度の50%未満となる場合もあるが、この場合も分断された色変換部材の出光帯域の中で最も長波長の色変換部材の出光帯域の端となる波長が光源の発光帯域の長波長端よりも長波長側にあればよい。また、本願で用いる光源と色変換部材の組合せとしては、光源の発光波長の長波長端よりも色変換部材の出光帯域の低波長端(波長基準でみた帯域において最も小さい波長を低波長端いう。また、同帯域において最も大きい波長を長波長端という)が長波長側にあることがより好ましい。この場合、色変換部材が、光源とは異なる色の光を発光するため、より色再現性に優れたディスプレイが得られるようになる。
本発明のディスプレイを構成する色変換部材は、前述のとおり特定の波長の光を他の波長の光に変換する部材であり、樹脂フィルムに含有したものや、基材となるフィルム上に色変換材料を含有した膜を積層したものなどが例示される。また、別の例として、通常の赤・緑・青色の3色からなるカラーフィルターの代替として、色変換部材を用いることが例示される。青色光源を用いる場合には、赤・緑・青のそれぞれのカラーフィルターの代替として、赤色への色変換部材、緑色への色変換部材、青色を透過する透明部材を用いられる。
特に本発明のディスプレイにおいては、色変換部材は複数のセルで分割されてなる必要がある。好ましくは、複数のセルで分割されてなり、隣接するセルに設けたれた色変換部材の各々から発光される光の波長が異なることである。カラーフィルターとして用いるためには、赤、緑、青の色を表示する必要があるため、隔壁により画素に対応するセルに分割された構成である必要があり、隣接するセルで発光される光が異なる必要がある。一方で、全てのセルに色変換部材を含む必要はなく、たとえば光源として発光波長400〜500nmの青色LEDを用いた場合には、青色の発光材料を含まない透明セルで青色を表現できるようになる。ここで、各セルを分割する隔壁は特に限定されるものではなく、透明であっても、吸収性の黒色材料であっても、反射性の材料であってもよい。
本発明のディスプレイを構成する色変換部材は、前述のとおり色変換部材に入射する光源からの光を、その入射光よりも長波長の光に変換する部材である。その一例として光波長を変換する機能を有する量子ドットや蛍光体などの色変換材料を含有したフィルムまたはシート体が例示される。色変換材料を樹脂フィルムに含有したものでもよく、基材となるフィルム上に、色変換材料を含有した膜を積層したものでもよく、さらには基材となるフィルムとして後述の積層フィルムを用いてもよい。また、別の例として、通常の赤・緑・青色の3色からなるカラーフィルターの代替として、色変換部材を用いることが例示される。青色光源を用いる場合には、赤・緑・青のそれぞれのカラーフィルターの代替として、赤色への色変換部材、緑色への色変換部材、青色を透過する透明部材を用いられる。
量子ドットとしては、ZnSシェルを有するCdSeが例として挙げられる。また、CdSe/ZnS、InP/ZnS、PbSe/PbS、CdSe/CdS、CdTe/CdS、又はCdTe/ZnSを含むコア/シェル発光ナノ結晶を用いてもよい。
無機蛍光体は、最終的に所定の色を再現できるものであれば特に限定はなく、公知のものを用いることができる。例としては、YAG蛍光体、TAG蛍光体、シリケート蛍光体、ナイトライド蛍光体、オキシナイトライド蛍光体、窒化物、酸窒化物蛍光体、β型サイアロン蛍光体等が挙げられる。中でも、YAG蛍光体およびβ型サイアロン蛍光体がそれぞれ好ましく用いられる。
YAG蛍光体は、少なくともセリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム酸化物蛍光体、少なくともセリウムで賦括されたイットリウム・ガドリニウム・アルミニウム酸化物蛍光体、少なくともセリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット酸化物蛍光体、及び、少なくともセリウムで賦活されたイットリウム・ガリウム・アルミニウム酸化物蛍光体などがあり、具体的には、Ln12:R(Lnは、Y、Gd、Laから選ばれる少なくとも1以上である。Mは、Al、Caの少なくともいずれか一方を含む。Rは、ランタノイド系である。)、(Y1−xGa(Al1−yGa12:R(Rは、Ce、Tb、Pr、Sm、Eu、Dy、Hoから選ばれる少なくとも1以上である。0<x<0.5、0<y<0.5である。)などがあげられる。
β型サイアロンは、β型窒化ケイ素の固溶体であり、β型窒化ケイ素結晶のSi位置にAlが、N位置にOが置換固溶したものである。単位胞(単位格子)に2式量の原子があるので、一般式として、Si6−zAl8−zが用いられる。ここで、組成zは、0〜4.2であり、固溶範囲は非常に広く、また(Si、Al)/(N、O)のモル比は、3/4を維持する必要がある。β型サイアロンの一般的な製法は、窒化ケイ素の他に、酸化ケイ素と窒化アルミニウムとを、あるいは酸化アルミニウムと窒化アルミニウムとを加えて加熱する方法である。
β型サイアロンは、結晶構造内に希土類などの発光元素(Eu、Sr、Mn、Ceなど)を取り込むことで、紫外から青色の光で励起して520〜550nmの緑色発光を示すβ型サイアロン蛍光体となる。これは白色LED等の発光装置の緑色発光成分として好ましく用いられる。特にユーロピウム(Eu2+)を含有させたEu2+付活β型サイアロン蛍光体は、発光スペクトルは非常にシャープであるため、青、緑、赤の狭帯域発光が要求される画像処理表示装置又は液晶ディスプレイパネルのバックライト光源に適した素材である。
有機蛍光体としては、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、トリフェニレン、ペリレン、フルオランテン、フルオレン、インデン等の縮合アリール環を有する化合物やその誘導体;
フラン、ピロール、チオフェン、シロール、9−シラフルオレン、9,9’−スピロビシラフルオレン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、イミダゾピリジン、フェナントロリン、ピリジン、ピラジン、ナフチリジン、キノキサリン、ピロロピリジン等のヘテロアリール環を有する化合物やその誘導体;
ボラン誘導体;
1,4−ジスチリルベンゼン、4,4’−ビス(2−(4−ジフェニルアミノフェニル)エテニル)ビフェニル、4,4’−ビス(N−(スチルベン−4−イル)−N−フェニルアミノ)スチルベン等のスチルベン誘導体;
芳香族アセチレン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、アルダジン誘導体、ピロメテン誘導体、ジケトピロロ[3,4−c]ピロール誘導体;
クマリン6、クマリン7、クマリン153などのクマリン誘導体;
イミダゾール、チアゾール、チアジアゾール、カルバゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾールなどのアゾール誘導体およびその金属錯体;
インドシアニングリーン等のシアニン系化合物;
フルオレセイン・エオシン・ローダミン等のキサンテン系化合物やチオキサンテン系化合物;
ポリフェニレン系化合物、ナフタルイミド誘導体、フタロシアニン誘導体およびその金属錯体、ポルフィリン誘導体およびその金属錯体;
ナイルレッドやナイルブルー等のオキサジン系化合物;
ヘリセン系化合物;
N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン等の芳香族アミン誘導体;および
イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、オスミウム(Os)、及びレニウム(Re)等の有機金属錯体化合物などがある。
色変換材料は、色変換部材の中に少なくとも1種含まれていればよく、2種以上含まれていてもよい。
なおここで、色変換部材は、前記の色変換機能を有する材料が単独でまたは他の材料に積層されることでフィルム形状を有しているものや、色変換機能を有する材料がガラスに代表される硬質部材上に印刷・塗布により固定化されたものを例示として、色変換機能を有する物質を構成要素とする有体物である。なお、フィルムは二次元上の拡がりを有するが、その拡がりの大きさはフィルムの意味を左右しない。例えば、厚み(z軸方向)が10nmでxy面の面積が1μmであってもフィルムということができる。
<積層フィルム>
本発明のディスプレイの構成要素である積層フィルムは、光源、積層フィルム、色変換部材の順に配置されることが必要である。本発明のディスプレイが液晶層をさらに含んでなる場合は、積層フィルムは、液晶層と色変換部材との間に存在することが好ましい。液晶層と色変換部材との間に積層フィルムを設けることで、後述のとおり、色変換部材から出光した光を液晶層に反射されたりすることを防ぐことができ、輝度の低下や色の混色を抑制できるものである。また、本発明のディスプレイに、液晶層および偏光子を含む場合は、積層フィルムは、液晶層と色変換部材との間に存在し、かつ、偏光子と色変換部材の間に配置されてなることが好ましい。かかる態様で配されることで、色変換部材から出光した光が偏光子で吸収されたり、液晶層に反射されたりすることをより防ぐことができ、輝度の低下や色の混色をさらに抑制できるものである。
本発明の積層フィルムは、異なる複数の熱可塑性樹脂が交互に11層以上積層されてなることが必要である。ここでいう熱可塑性樹脂が異なるとは、フィルムの面内で任意に選択される直交する2方向および該面に垂直な方向のいずれかにおいて屈折率が0.01以上異なること、または異なる融点またはガラス転移温度を備えることを指す。ここでの異なる融点またはガラス転移温度とは、融点またはガラス転移温度が5℃以上異なることをあらわす。なお、一方の熱可塑性樹脂が融点、ガラス転移温度を有しており、もう一方の熱可塑性樹脂が融点あるいはガラス転移温度を示さない樹脂である場合もまた融点またはガラス転移温度が5℃以上異なるとする。また、ここでいう交互に積層されてなるとは、異なる熱可塑性樹脂からなる層が厚み方向に規則的な配列で積層されていることをいい、熱可塑性樹脂A、Bからなる場合、各々の層をA層,B層と表現すれば、A(BA)n(nは自然数)のように積層されたものである。このように光学的性質の異なる樹脂が交互に積層されることにより、各層の屈折率の差と層厚みとの関係より設計した波長の光を反射させることが出来る干渉反射を発現させることが可能となる。また、積層する層数がそれぞれ10層以下の場合には、所望する帯域において高い反射率を得られない。また、前述の干渉反射は、層数が増えるほどより広い波長帯域の光に対して高い反射率を達成できるようになり、所望する帯域の光を反射する積層フィルムが得られるようになる。好ましくは100層以上であり、より好ましくは200層以上。さらに好ましくは600層以上である。また、層数に上限はないものの、層数が増えるに従い製造装置の大型化に伴う製造コストの増加や、フィルム厚みが厚くなることでのハンドリング性の悪化が生じるために、現実的には10000層程度が実用範囲となる。
本発明のディスプレイに用いる積層フィルムは、光源の光を透過し、かつ色変換部材から出光した光を反射することが好ましい。ここで、光源の光を透過するとは、積層フィルムの入射角度0°での透過スペクトルにおいて上述の光源の発光帯域での平均透過率が70%以上であることをあらわす。積層フィルムが光源から入射された光を透過することで、光源から入射された光が色変換部材に到達する光量が増大し、色変換部材での発光を容易に高めることが可能となる。好ましくは、光源から積層フィルムに入射される入射光の、入射角度0°における光源の発光帯域での平均透過率が80%以上であり、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。透過率が増加することで、より効率的に色変換部材での色変換効率を高めることが容易となる。このような積層フィルムを得るためには、フィルムの各層の層厚みを制御することによる反射帯域の最適化に加えて、表面への低屈折率の樹脂からなる層を設けることで表面反射を抑えることで達成できる。
また、ここでいう色変換部材から出光した光を反射するとは、積層フィルムの入射角度10°の反射スペクトルにおいて、上述の色変換部材の出光帯域内での最大反射率が30%以上であることをあらわす。色変換材料を含む色変換部材をカラーフィルターとして用いたディスプレイにおいて輝度が低下する原因の一つは、色変換部材からの光が等方的に発光することによって発生する光源側への光が光源や液晶層、偏光子に吸収されることによって生じる光ロスである。また、この色変換部材から出光する光源側への光は、偏光子に吸収されない光が光源や液晶層まで侵入することで隣接するセルに反射され光モレをすることで、本来黒表示したい箇所が発光したり、異なる色の発光が生じたりすることもある。ここで、光源や液晶層と、色変換部材との間に、光源から色変換部材に入射されて長波長の光に変換された光を反射する前述の積層フィルムをおくことで、色変換部材からの光を色変換部材直下にて反射することができ、輝度の低下や隣接するセルへの光モレなどを抑制することが容易になる。好ましくは、積層フィルムの入射角度10°および60°での反射スペクトルにおいて上述の色変換部材の出光帯域内での最大反射率が30%以上であることである。色変換部材からの出光された光は等方的な発光であるため幅広い入射角度の光を反射することが好ましく、入射角度10°および60°で入射される光を高い反射率で反射できることで、輝度がさらに向上するのに有効なものとなる。また、好ましくは、入射角度10°での積層フィルムの反射スペクトルにおいて、色変換部材の出光帯域における平均反射率が30%以上であることであり、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは90%以上である。色変換部材の出光帯域における平均反射率が大きくなるに従い、色変換部材より光源側に出光された光を視認側へと変換する効果が高くなり、より輝度の高いディスプレイを得られるものである。
本発明のディスプレイに用いる積層フィルムは、少なくとも一方の表面におけるフィルム長尺方向、短尺方向のいずれかの屈折率が1.68以上であることも好ましい。少なくとも一方の表面の屈折率を1.68以上とすることで積層フィルムの反射率を高めることができ、入射角度10°での積層フィルムの反射スペクトルにおいて、色変換部材の出光帯域における平均反射率が90%以上とすることも容易となる。この達成方法の例としては、積層フィルムを構成する熱可塑性樹脂の少なくとも一つがジカルボン酸構成成分とジオール構成成分を有するポリエステル樹脂であって、ジカルボン酸構成成分にナフタレンジカルボン酸を含むことが挙げられる。このような構成とすることで、A層とB層との屈折率差を設けることができ、より反射性能に優れた光干渉多層膜とすることが容易となる。
また、少なくとも一方の表面におけるフィルム長尺方向、短尺方向のいずれかの屈折率が1.68以上となる熱可塑性樹脂として、式(1)で表される構造をジオール構成成分として含むポリエステル樹脂であることも好ましい。この場合、単に屈折率を1.68以上とすることが容易になるだけでなく、ガラス転移温度を低くすることが可能となり、積層フィルムとする際に積層された各層での密着性を向上することができるようになる。
−O−(C2n−O)− ・・・式(1)
(m、nは、m×nが5以上となる自然数をあらわす。)
ここでm×nは6以上が好ましく、更に好ましくは8以上が好ましい。式(1)で表される構造を有する化合物としては、具体的にはポリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、トリブチレングリコール、テトラブチレングリコール等が挙げられる。式(1)で表される構造を有する化合物をポリエステル樹脂が主成分である層に含む場合は、ポリエステル樹脂の全ジオール構成成分に対して0.5mol%以上40.0mol%以下含むことが好ましい。より好ましくは2.0mol%以上30.0mol%以下、更に好ましくは4.0mol%以上20.0mol%以下である。前述の範囲で式(1)で表される構造を有する化合物を含有せしめると、本用途で使用する際の実際に使用温度や加工時の温度である100℃での層間密着性が良好となり、また積層フィルムの反射率を好適な範囲とすることができる。このような構成とすることで、高い屈折率を有するため光干渉多層膜に好ましく用いられるナフタレンジカルボン酸をジカルボン酸構成成分として含むポリエステル樹脂を用いてもガラス転移温度を低くすることが可能となるため、高い屈折率を維持したまま層間密着性を向上させることが出来る。なお、式(1)で表される構造をポリエステル樹脂を主成分とする層に含める場合、式(1)で表される構造をジオール構成成分として含むと、蒸散や昇華などによってフィルム系外に流出するのを抑制できるため好ましい。
また、本発明のディスプレイにおいて、発光帯域が波長400〜500nmを含むLEDを光源として用い、出光帯域が波長500〜700nmを含む色変換部材を用いた場合には、積層フィルムの入射角度10°での反射帯域が500〜700nmの区間に含まれてなることも好ましい。この場合、波長400〜500nmのLEDの光に対して高い透過性を示す一方で、色変換部材から光源側へ出光した光を効率的に視認側へ反射することが容易となるものである。さらに好ましくは積層フィルムの波長400〜500nmの区間における平均透過率が70%以上であることである。この場合、光源の光はロスすることなく色変換部材へ到達するため、高い輝度や色変換効率を実現できる。
本発明のディスプレイに用いる積層フィルムは、光源の光のうちP波の反射率について、積層フィルム面に対して20°、40°、60°の角度で入射したときの光源の発光帯域における反射率をR20(%)、R40(%)、R60(%)とした場合にR20<R40<R60であることが好ましい。ここでいうP波とは、フィルム面と直交し光の光軸方向を含む入射面に平行に振動する光であり、具体的には、分光光度計で偏光子を用いて測定することによって得られる。このような積層フィルムを用いた場合、正面方向に入射された光よりも斜め方向に入射された光の反射率が高いため、結果として正面方向に進む光の割合が増加して正面方向の輝度が向上するとともに、光源や液晶層にて光を遮蔽している箇所への光が漏れることも抑制できるため、黒表示部と白表示部のコントラストを高めたり、混色することなく所望する色を得ることが容易となる。従来の無機材料の交互積層体では、P偏光は入射角度の増加に伴い一旦減少した後ブリュースター角で反射率がゼロとなり、その後反射率が増加するため、R20<R40<R60を満足しえない。一方、ポリマーからなる多層積層フィルムを二軸延伸し、さらに反射帯域を正面入射では光源の発光帯域には含まれずかつ斜入射時に光源の発光帯域と一部重複するように制御することでR20<R40<R60を満足する積層フィルムが得られるようになる。好ましくは、該積層フィルムのフィルム面に対して60°入射における反射帯域の低波長端が、光源の発光帯域の長波長端よりも低波長側にあることである。ここでいう積層フィルムの反射帯域とは、後述する測定方法により求められる積層フィルムの所定の入射角度における反射スペクトルにおいて、波長400〜1600nmにおける最大反射率をRmax(%)とした際に、Rmax/2(%)となる波長の中で最も低波長でかつ400nm以上である波長を積層フィルムの反射帯域の低波長端、最も長波長でかつ1600nm以下である波長を積層フィルムの反射帯域の長波長端とし、前記低波長端と長波長端の間の区間を積層フィルムの反射帯域とする。例えば、フィルム面に対して60°入射における反射帯域とは、入射角度60°における反射スペクトルにおいて、波長400〜1600nmにおける低波長端と長波長端の間の帯域をいう。このような積層フィルムを用いることで、フィルム面に対して60°で積層フィルムに入射された光源からの光を効率的に高い反射率で反射できるようになるため、より正面方向の輝度向上や黒表示のコントラスト向上効果、混色抑制による色再現性の向上効果を得やすくなるものである。
本発明のディスプレイに用いる積層フィルムは、光源の発光帯域において透過軸方向に偏光された光の平均透過率が70%以上であり、かつ光源の発光帯域において反射軸方向に偏光された光の平均透過率が30%以下であることが好ましい。ここでいう透過軸方向とは、積層フィルムに対して、偏光フィルターを0〜180°まで15°ずつ回転させて測定した透過率が最大となる方向とし、フィルム面内において透過軸方向に直交する方向を反射軸方向とする。液晶層および偏光子を経て積層フィルムに入射する光はいずれかの方向に偏光された直線偏光性を帯びた光となっている。一方、色変換部材に導入された光源の光は、大部分は色変換部材で異なる色に変換されるものの、一部は色変換部材の中で散乱され、光源側へ散乱して漏れ出てきてしまい、輝度の低下や混色などの原因となる。そこで、光源の発光帯域における透過軸方向に偏光された光の平均透過率が70%以上であり、かつ反射軸方向に偏光された光の平均透過率が30%以下である積層フィルムを用いた場合、液晶層および偏光子で偏光された光のみを選択的に透過した上で、さらに色変換部材にて拡散し光源側に漏れ出てきた偏光を帯びていない光のみを選択的に反射できるようになるため、輝度向上と混色防止に効果を奏するものである。好ましくは、偏光子の透過軸と積層フィルムの透過軸のなす角が15°以下である。偏光子と積層フィルムの透過軸の方向にズレが生じた場合、偏光子を透過した光の一部が積層フィルムで反射されるようになり、輝度向上効果が十分に得られなくなる場合がある。発光帯域が波長400〜500nmを含む青色LEDを用いた場合には、反射帯域が400〜500nmの区間に含まれてなることも好ましい。
また、好ましくは、光源の発光帯域において、光源の発光帯域において透過軸方向に偏光された光源の発光帯域における一方の偏光の光の透過率が70%以上であり、かつ光源の発光帯域において反射軸方向に偏光された光の透過率他方の偏光の光の透過率が30%以下であり、かつ色変換部材から出光した光を反射することである。この場合、色変換部材から散乱してきた光源の光に加えて、色変換部材で変換された光も反射できるようになる。このような積層フィルムは、1枚のフィルムで構成してもよいが、光源の発光帯域における透過軸方向に偏光された光の平均透過率が70%以上であり、かつ反射軸方向に偏光された光の平均透過率が30%以下である積層フィルムと、光源の光を透過し、かつ色変換部材から出光した光を反射する積層フィルムを貼りあわせてもよい。
本発明のディスプレイに用いる積層フィルムは、前記積層フィルムの長尺方向の中央と両末端の3点における配向角の最大値と最小値の差、及び短尺方向の中央と両末端の3点における配向角の最大値と最小値の差がともに1°以上40°以下であることも好ましい。ここでいう長尺方向の両末端とは、図5に示すとおり、短尺辺の中間点にある長尺方向の両末端をあらわし、短尺方向の両末端とは、図5に示すとおり、長尺辺の中間点にある短尺方向の両末端をあらわす。また、積層フィルムの長尺方向とは、ディスプレイが略四角形である場合、四角形の長辺方向をもって長尺方向とし、短辺方向をもって短辺方向とする。ディスプレイが略四角形でない場合、重心をとおりかつ最も長くなる対角線がとれる方向をもって長尺方向、前記対角線に直交する方向をもって短尺方向とする。この場合、長尺方向の両末端とは、上記で定義される長尺方向の両末端をあらわし、短尺方向の両末端とは、上記で定義される短尺方向の両末端をあらわす。また、ここでいう配向角とは、KSシステムズ(株)製(現王子計測機器(株))の分子配向計MOA−2001にて測定されるものである。液晶層および偏光子を経て積層フィルムに入射する光はいずれかの方向に偏光された直線偏光性を帯びた光となっているが、直線偏光性の光は積層フィルムの配向方向によっては、さらに偏光サングラスを用いる場合のように視認側にさらに偏光子を設けた場合に透過率が低下する。ここで、積層フィルム内で配向方向にばらつきがある場合、ディスプレイとして用いる際にサングラス越しに画面を見た際に画面内で輝度のムラや色ムラが生じる原因となる場合がある。そこで、前記積層フィルムの長尺方向の中央と両末端の3点における配向角の最大値と最小値の差、及び短尺方向の中央と両末端の3点における配向角の最大値と最小値の差がともに40°以下であることにより、ディスプレイとして実装した際に偏光サングラス越しに画面を見ても画面内での輝度ムラや色ムラの発生を抑制することが可能である。好ましくは、前記積層フィルムの長尺方向の中央と両末端の3点における配向角の最大値と最小値の差、及び短尺方向の中央と両末端の3点における配向角の最大値と最小値の差がともに30°以下であり、さらに好ましくは20°以下である。配向角の最大値と最小値の差が20°以下となれば、透過率の差は小さくなり、輝度・色の差として視認されがたくなる。このような積層フィルムを得るためには、後述の積層フィルムの製造工程で横方向への延伸制御を行うことで達成される。
また、本発明のディスプレイが液晶層および偏光子を有する構成である場合は、偏光子の透過軸方向と積層フィルムの中央における配向軸の方向が20°以下となるように配置されてなることが好ましい。液晶層および偏光子を経て積層フィルムに入射する光はいずれかの方向に偏光された直線偏光性を帯びた光となっているが、直線偏光性の光は積層フィルムの配向方向によっては、さらに偏光サングラスを用いる場合のように視認側にさらに偏光子を設けた場合に透過率が低下するが、その低下の程度は偏光子の透過軸方向と積層フィルムの配向軸方向のなす角度に依存して変化する。ここで、偏光子の透過軸方向と積層フィルムの中央における配向軸の方向が0°以上20°以下である場合、ディスプレイとして実装した際に偏光サングラス越しに画面を見ても画面内での輝度ムラや色ムラの発生を抑制することが容易となる。より好ましくは偏光子の透過軸方向と積層フィルムの中央における配向軸の方向が10°以下であり、さらにこの好ましくは5°以下である。
本発明のディスプレイに用いる積層フィルムは、積層フィルムの長尺方向の中央と両末端の3点における反射帯域の低波長端の最大値と最小値の差、または、短尺方向の中央と両末端の3点における反射帯域の低波長端の最大値と最小値の差が30nm以下であることが好ましい。積層フィルムの反射帯域の低波長端の位置がずれることで、ディスプレイおよびそれを用いたディスプレイとした際に、面内での正面方向の輝度が変化する原因となる。そこで、積層フィルムの長尺方向の中央と両末端の3点における反射帯域の低波長端の最大値と最小値の差、または、短尺方向の中央と両末端の3点における反射帯域の低波長端の最大値と最小値の差が30nm以下であることにより、ディスプレイの正面方向の輝度が均一化し、さらに輝度ムラのないディスプレイが得られるようになる。好ましくは、中央ならびに両末端の3点における反射帯域の低波長端の最大値と最小値の差が20nm以下であり、この差が小さくなればなるほど正面方向の輝度の均一度は優れたものとなる。このような積層フィルムを得る方法としては、積層フィルムを得る際の横延伸倍率を高めることや、積層フィルムが後述の積層フィルムからなる場合には最表層の厚みを積層フィルム厚みの3%以上とすることがあげられ、このような方法をとることでフィルム製造時の流れ方向に直交する幅方向での反射帯域の均一性が向上させることができる。
また、積層フィルムの長尺方向の中央と両末端の3点における反射帯域の低波長端の最大値と最小値の差、および、短尺方向の中央と両末端の3点における反射帯域の低波長端の最大値と最小値の差がいずれも30nm以下であることも好ましい。長尺方向、短尺方向ともに反射帯域の低波長端が揃うことで、ディスプレイとした際に正面方向の輝度が均一化し、面内全域でムラのないものとできるようになる。
また、積層フィルムの長尺方向の中央と両末端の3点における反射帯域内での平均反射率の最大値と最小値の差、および、短尺方向の中央と両末端の3点における反射帯域内での平均反射率の最大値と最小値の差がいずれも10%以下であることも好ましい。ここでいう反射帯域内での平均反射率とは、前述のとおり決定した反射帯域における平均反射率とする。色目や輝度へ寄与する因子として、上述の積層フィルムの反射帯域の低波長端の位置以外にも、反射帯域内での反射率のムラがある。ここで、反射帯域内での平均反射率が均一であるに従い、ディスプレイやそれを用いたディスプレイとした際に、特に輝度ムラのない均一なものとすることが容易となる。好ましくは反射帯域内での平均反射率の最大値と最小値の差が5%以下であり、さらに好ましくは3%以下である。平均反射率の差が小さくなるに従い、正面方向の輝度の均一なディスプレイやそれを用いたディスプレイが得られるようになる。このような積層フィルムを得る方法としては、積層フィルムを得る際の横延伸倍率を高めることや、積層フィルムが後述の積層フィルムからなる場合には最表層の厚みを積層フィルム厚みの3%以上とすることがあげられ、このような方法をとることでフィルム製造時の流れ方向に直交する幅方向での反射帯域の均一性が向上させることができる。また、反射帯域の平均反射率を高めることでも反射率のバラつきを抑制することが可能となる。
また、積層フィルム中央の波長400〜800nmの反射率と、長尺方向の両末端および短尺方向の両末端の4点における波長400〜800nmの反射率の相関係数の最小値が0.8以上であることも好ましい。ここでいう相関係数とは、後述する測定方法によりフィルムの中央を波長400nm〜800nmにおいて1nm刻みで反射率を計測して得られる値と、フィルムの各末端にて波長400nm〜800nmにおいて1nm刻みで反射率を計測して得られる値との相関係数を表す。この相関係数の値が高いほど、反射率の分布が近しいことを表し、まったく同じ反射率分布を有する場合は、その値は1となる。そして、相関係数の最小値が0.8以上であるとは、フィルム中央の波長400nm〜800nmにおける反射率と、長尺方向の両末端および短尺方向の両末端の4点の波長400nm〜800nmにおける反射率から得られる4つの相関係数のうち、もっとも小さい相関係数が0.8以上となることをさす。上述では、積層フィルムの反射帯域の低波長端ならびに平均反射率で正面方向の輝度の均一化を説明したが、相関係数はいずれもの要素も含み、かつ反射波形の均一さを示す指標であることから、相関係数が0.8以上であることにより、正面方向の輝度ともに均一性の優れた積層フィルムとなり、それを用いたディスプレイおよびディスプレイも輝度ムラのないものとできる。好ましくは相関係数が0.9以上であり、さらに好ましくは0.95以上である。相関係数が0.95以上となれば、実装時にディスプレイ内での輝度のムラはほとんどわからないものとできる。このような積層フィルムを得る方法としては、積層フィルムを得る際の横延伸倍率を高めることや、積層フィルムが後述の積層フィルムからなる場合には最表層の厚みを積層フィルム厚みの3%以上とすることがあげられるが、特に最表層の厚みを積層フィルム厚みの5%以上とすることで相関係数を0.95以上とできるものである。
積層フィルムは、積層フィルムの反射帯域の低波長端が、光源の発光波長より大きく、かつ色変換部材の出光波長よりも小さいことが好ましい。ここでいう積層フィルムの反射帯域の低波長端が光源の発光波長より大きいとは、積層フィルムの反射帯域の低波長端が光源の発光帯域の長波長端よりも長波長側にあることを示す。また、積層フィルムの低波長端が色変換部材の出光波長よりも小さいとは、積層フィルムの反射帯域の低波長端が色変換部材の出光帯域の低波長端よりも低波長側にあることを示す。たとえばモバイルディスプレイのように、ディスプレイの設計やそれを用いたディスプレイの使用方法によっては正面から見た際の輝度が重要となるが、その場合、積層フィルムの低波長端が、光源の発光波長より大きくかつ色変換部材の出光波長よりも小さいことでより、色変換部材から出光した光を積層フィルムで正面方向へ効率的に反射することが容易となり、優れた正面輝度の向上効果が得られるものである。
積層フィルムは、下記式(2)を満足することも好ましい。下記式(2)は、光を反射する波長帯と透過する波長帯との間での反射率の変化が急峻であることを示しており、|λ1−λ2|が小さくなるにつれて、より急峻に反射する波長帯から透過する波長帯へと変化する。このように反射する波長帯から透過する波長帯、すなわち、光源の発光帯域から色変換部材の出光帯域への反射率の変化が急峻に行われることによって、光源からの光のみを選択的・効率的に透過しつつ、色変換部材から出光される光を効率的に反射することができ、積層フィルムの効果を最大限得やすくなるものである。より好ましくは|λ1−λ2|が30nm以下であり、|λ1−λ2|が小さくなるに従い、輝度向上効果や輝度の均一度が向上する。
|λ1−λ2| ≦ 50 (ただし、λ1<λ2) (2)
λ1:積層フィルムの反射帯域の低波長端近傍で反射率が
最大反射率の1/4となる波長(nm)
λ2:積層フィルムの反射帯域の低波長端近傍で反射率が
最大反射率の3/4となる波長(nm)
本発明のディスプレイに用いる積層フィルムは、色変換部材と隣接して用いることが好ましい。ここでいう隣接するとは、色変換部材と積層フィルムの間に空気を含まないことを示し、ガラスなどの透明基材や接着層などを介して一体化されている構成を示す。色変換部材と積層フィルムとの距離は特に混色に大きく寄与し、距離が大きくなるほど隣接するセルの間での混色が生じやすくなる。また、積層フィルムと色変換部材との間に空気層を含む場合、積層フィルムー空気界面および色変換部材―空気界面での光の反射により光源からの光の透過率が低下し、輝度が低下する原因となりうる。ここで、積層フィルムと色変換部材が一体化されることに、界面での光ロス抑制による輝度向上効果や混色抑制効果が容易に得られるものである。
本発明のディスプレイを構成する積層フィルムは、熱可塑性樹脂からなることが好ましい。熱可塑性樹脂は一般的に熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂と比べて安価であり、かつ公知の溶融押出により簡便かつ連続的にシート化することができることから、低コストで積層フィルムを得ることが可能となる。
本発明のディスプレイを構成する積層フィルムを構成する樹脂は特に限定されるものではなく、たとえば、国際公開2013/002130号公報の〔0016〕〜〔0024〕段落に例示される観点で選択されるものである。
また、本発明のディスプレイを構成する積層フィルムは、積層フィルムを構成する熱可塑性樹脂の少なくともいずれかに紫外線吸収剤を含んでなることも好ましい。ここでいう紫外線吸収剤とは、波長300〜410nmの光を吸収する熱可塑性樹脂以外の成分を示し、波長300〜410nmにおける{100−平均透過率−平均反射率(≒吸収率)}が10%以上であることにより紫外線吸収剤を含むと判断する。紫外線吸収剤を含むことで紫外線をカットすることが容易となる。さらに好ましくは、積層フィルムとして積層フィルムを用い、かつ波長300〜410nmでの最大反射率が20%以上である積層フィルムに紫外線吸収剤を含むことである。積層フィルムでは、隣接する層の界面にて層の厚みに対応する波長の光を反射するが、その際にフィルム内を光が何度も反射した上でフィルム外に光がもたらされる。そのため、積層フィルム中に紫外線吸収剤を添加することにより、フィルム内での反射の無い数層レベルのフィルムの場合と違い紫外線吸収剤を含む層を通過する回数が増えることから、少量の紫外線吸収剤にて効率的に高い紫外線カット効果が得られるようになり、効率的に紫外線をカットすることができるようになる。また、1層ないし10層以下の層数のフィルムを用いる場合には長期信頼性試験において紫外線吸収剤が析出する場合があるが、11層以上の積層フィルムを用いることで、各層の界面や層の内部で紫外線吸収剤がトラップされ、フィルム表面に析出するのを抑制できるようになるというメリットもある。
また、積層フィルムは、少なくともその片面に硬化性樹脂からなる層を有し、かつ硬化性樹脂からなる層に紫外線吸収剤を含んでなることも好ましい。この場合、硬化性樹脂の組成に応じて、耐擦傷や寸法安定性などの機能を付加することができることに加えて、硬化性樹脂からなる層の架橋性が高いため、積層フィルムの内部に含まれているオリゴマーや添加剤などの析出を抑制することが出来る。硬化性樹脂からなる層は積層フィルムの上に直接コーティングされてもよい。また、硬化性樹脂からなる層は片面に設けてもよいが、オリゴマーなどの析出は一般にフィルムの両面より発生し、さらに片面のみに設ける場合は硬化性樹脂からなる層の側に硬化による収縮応力が強く働き、硬化性樹脂からなる層の厚みに応じて自身が著しくカールする場合があるため、好ましくは両面に硬化性樹脂からなる層を設けることである。また、片面に紫外線吸収剤を含む硬化性樹脂からなる層を設ける場合には、該層は光源側に設けることが特に好ましい。光源側に設けることで、積層フィルムそのものの劣化も抑制することが可能となる。
前記の硬化性樹脂は特に限定されるものではないが、高透明で耐久性があるものが好ましく、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フッソ系樹脂、シリコン樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル系樹脂を単独または混合して使用できる。硬化性や可撓性、生産性の点において、硬化性樹脂はポリアクリレート樹脂に代表されるアクリル樹脂などの活性エネルギー線硬化型樹脂からなることが好ましい。
また、紫外線吸収剤は、一般的な380nm以下の波長領域の紫外線を吸収する汎用紫外線吸収剤と、紫外線領域と可視光領域の境界近傍(380〜430nm付近)の光までカットできる可視光線吸収色素の2種を定義する。汎用紫外線吸収剤は一般的に380nm以下の波長領域の紫外線を吸収する能力に特化しており、紫外線領域と可視光領域の境界近傍(380〜430nm付近)の光線を吸収する能力は優れていない。そのため、汎用紫外線吸収剤を含有させることのみで、紫外線領域と可視光領域の境界近傍(380〜430nm)の光線をカットするためには、後述する一部の長波長紫外線吸収を除いて、高濃度に含有させる必要がある。紫外線領域、および、紫外線領域と可視光領域の境界近傍(380〜430nm)の波長カットを、単独の汎用紫外線吸収剤により達成可能な紫外線吸収剤としては、あくまで一例であるが、市販の汎用紫外線吸収剤としては2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−第三ブチル−4−メチルフェノールや、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−3−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジンの構造で記される化合物などが挙げられる。また、汎用紫外線吸収剤は、波長320〜380nmの間に極大吸収波長を有する汎用紫外線吸収剤であることが好ましい。極大波長が320nmより小さい場合、長波長側の紫外線領域を十分にカットすることは難しく、また、380nmを超えて430nm以下の可視光低波長領域に最大となる極大波長を有する色素との組み合わせを行った場合であっても、波長300〜380nmにおける領域内において10%以上の光線透過率を示す領域が発生してしまうことが多い。
一方、可視光線吸収色素は、一般に可視光低波長領域のカット性能に優れるが、380nm以下の紫外線領域のカット能力に乏しい。そのため、可視光線吸収色素を含有させることのみで、汎用紫外線領域の光線をカットするためには、後述する一部の可視光線吸収色素を除いて、高濃度に含有させる必要がある。また、可視光線吸収色素は、一般的に広範囲にわたる波長領域をブロードにカットする性質のものが多く、高濃度に含有させる場合、目的とする波長領域よりもさらに長波長側の可視光領域を吸収するため、優れた透明性を実現できない問題点を有する。また、特に波長380〜440nmの領域における紫外線領域と可視光領域の境界近傍を狭帯域でカットする性質を有する可視光線吸収色素は種類が多くなく、特定の構造をもつ可視光線吸収色素を選定して使用することが望まれる。紫外線領域、および、紫外線領域と可視光領域の境界近傍(380nm〜430nm)の波長カットを、単独添加により達成可能な可視光線吸収色素としては、たとえば、BASF(株)製の「LumogenF Violet570」などが挙げられる。汎用紫外線吸収剤および/または可視光線吸収色素にはそれぞれ得意とする領域が存在していることから、高濃度添加によるブリードアウト、それに伴う工程汚染を防ぐためには、1種類以上の紫外線吸収剤と1種類以上の可視光線吸収色素を効果的に組み合わせる手法がより好ましい。
本発明において用いられる汎用紫外線吸収剤は、少なくとも1種類がトリアジン骨格構造を有する紫外線吸収剤であることが好ましい。トリアジン骨格構造は、その他一般的に紫外線吸収剤に利用されるベンゾトリアゾール骨格構造やベンゾフェノン骨格構造と比較して熱分解温度が高く、長期の安定性に優れることが知られており、長期で性能保持が要求されるディスプレイ用途の積層フィルムや紫外線カットフィルムに好適である。また、融点が低いことから紫外線吸収剤自身の固体成分としての表面析出が抑制されるだけでなく、オリゴマーやその他昇華性の高い紫外線吸収剤を析出させにくくする効果を奏することから好ましく利用することができる。
本発明において用いられる可視光線吸収色素は、390nm以上410nm以下に極大波長を有することがより好ましい。410nmより長波長領域に極大波長を有するものを選択した場合、非常に狭帯域のカット性能を有する色素を選択しない限り、光源の発光帯域における平均透過率が80%を下回る場合がある。390nm以上410nm以下の波長帯域に極大波長を有し、狭い帯域で吸収性能を発揮可能な可視光線吸収色素としては、アントラキノン、アゾメチン、インドール、トリアジン、ナフタルイミド、フタロシアニン、トリアジンのいずれかの骨格を有するものを好ましく用いることが出来る。
<積層フィルムの製造方法>
次に、第1の積層フィルムの好ましい製造方法を熱可塑性樹脂A,Bからなる積層フィルムを例にとり以下に説明する。もちろん本発明は係る例に限定して解釈されるものではない。また、この積層フィルムの積層構造は、特開2007−307893号公報の〔0053〕〜〔0063〕段に記載の内容と同様の方法により簡便に実現できるものである。
熱可塑性樹脂をペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、熱風中あるいは真空下で乾燥された後、別々の押出機に供給される。また、積層フィルム中に紫外線吸収剤を含む場合には、あらかじめ熱可塑性樹脂中に紫外線吸収剤を混練したペレットを準備したり、熱可塑性樹脂と紫外線吸収剤とを押出機中にて混練する。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルター等を介して異物や変性した樹脂などを取り除かれる。これらの樹脂はダイにて目的の形状に成形された後、吐出される。そして、ダイから吐出された多層に積層されたシートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化され、キャスティングフィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させることが好ましい。また、スリット状、スポット状、面状の装置からエアーを吹き出してキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させたり、ニップロールにて冷却体に密着させ急冷固化させたりする方法も好ましい。
また、A層に用いられる熱可塑性樹脂とそれと異なる熱可塑性樹脂Bの複数の樹脂を2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出し、多層積層装置に送り込まれる。多層積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィードブロックやスタティックミキサー等を用いることができるが、特に、本発明の構成を効率よく得るためには、11個以上の微細スリットを有するフィードブロックを用いることが好ましい。このようなフィードブロックを用いると、装置が極端に大型化することがないため、熱劣化による異物が少なく、積層数が極端に多い場合でも、高精度な積層が可能となる。また、幅方向の積層精度も従来技術に比較して格段に向上する。また、この装置では、各層の厚みをスリットの形状(長さ、幅)で調整できるため、任意の層厚みを達成することが可能となったものである。
このようにして所望の層構成に形成した溶融多層積層体をダイへと導き、上述と同様にキャスティングフィルムが得られる。
このようにして得られたキャスティングフィルムは、二軸延伸することが好ましい。ここで、二軸延伸とは、長手方向および幅方向に延伸することをいう。延伸は、逐次に二方向に延伸しても良いし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに長手方向および/または幅方向に再延伸を行ってもよい。
逐次二軸延伸の場合についてまず説明する。ここで、長手方向への延伸とは、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸を言い、通常は、ロールの周速差により施され、この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行っても良い。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+100℃が好ましい。
このようにして得られた一軸延伸されたフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。特に、積層フィルムと色変換シートを含む積層部材を形成する際には、積層フィルムの最表層となる熱可塑性樹脂Aよりも低く、色変換部材の最表層となるフィルムの屈折率よりも高い屈折率となる樹脂をインラインコーティングすることが好ましい。
つづいて幅方向の延伸とは、フィルムに幅方向の配向を与えるための延伸をいい、通常は、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。特に本発明における積層フィルムでは、横延伸倍率は4倍以上とすることが好ましく、横延伸倍率を高めることで反射帯域の均一性、平均反射率の均一性、相関係数を高めるのに有効である。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
ここで、特に本発明の積層フィルムにおいては、フィルム幅方向での配向角の均一性の向上のためにフィルム幅方向への延伸時に段階的に延伸温度を低温から高温へと昇温する方法や、フィルム幅方向への延伸時に高延伸倍率で延伸したのちに低延伸倍率で延伸する方法などを採用することも好ましい。配向角の幅方向均一性の低下の原因の一つは、幅方向延伸時にフィルム流れ方向に働く延伸応力に伴うことが多い。ここで、上記の方法を採用することにより、フィルム幅方向への延伸時にフィルム流れ方向で生じる応力を抑制でき、相対的にフィルム幅方向の応力を高めることができるため、フィルム幅方向での配向角の均一化を達成できるものである。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。熱処理を行うことにより、成形用フィルムの寸法安定性が向上する。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に弛緩処理などを併用してもよい。
ここで、特に本発明の積層フィルムにおいては、フィルム幅方向の配向角を均一化するために、フィルム幅方向に延伸したのちに一旦ガラス転移温度以下に冷却した後に熱処理を行うことも好ましい。この場合、ガラス転移温度以下に冷却することでフィルム幅方向への延伸工程におけるフィルム流れ方向の延伸応力を抑制することが可能となり、結果としてフィルム幅方向での配向角の均一性を高められるものである。
また、本発明の積層フィルムにおいては、熱処理時の温度を段階的に昇温することも好ましい。より好ましくは、フィルム幅方向への延伸終了時の温度をT1、熱処理開始時の温度をT2、熱処理工程の最高温度をT3とした場合、T2はT1+10℃以上であり、かつT3−10℃以下であることであり、さらに好ましくはT2が(T1+T3)/2±10℃の範囲にあることである。このように、熱処理温度を段階的に昇温することでも、フィルム幅方向への延伸工程におけるフィルム流れ方向の延伸応力を抑制することが可能となり、結果としてフィルム幅方向での配向角の均一性を高められるものである。
また、本発明の積層フィルムにおいては、熱処理工程においてもフィルム幅方向へフィルム幅方向への延伸工程終了後のフィルム幅に対して1.01倍以上1.2倍以下で延伸することも好ましい。熱処理工程においては、フィルム長手方向への応力はほとんど生じないため、幅方向での配向角の均一性を向上させることができる。一方、熱処理工程でのフィルム幅方向への延伸倍率が1.2倍より大きくなった場合には、フィルムに厚みムラが生じ、ディスプレイへの実装に適さないフィルムとなりうる。
同時二軸延伸の場合について次に説明する。同時二軸延伸の場合には、得られたキャストフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
次に、キャストフィルムを、同時二軸テンターへ導き、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、長手方向と幅方向に同時および/または段階的に延伸する。同時二軸延伸機としては、パンタグラフ方式、スクリュー方式、駆動モーター方式、リニアモーター方式があるが、任意に延伸倍率を変更可能であり、任意の場所で弛緩処理を行うことができる駆動モーター方式もしくはリニアモーター方式が好ましい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、面積倍率として6〜50倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、面積倍率として8〜30倍が特に好ましく用いられる。特に同時二軸延伸の場合には、面内の配向差を抑制するために、長手方向と幅方向の延伸倍率を同一とするとともに、延伸速度もほぼ等しくなるようにすることが好ましい。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。この熱処理の際に、幅方向での主配向軸の分布を抑制するため、熱処理ゾーンに入る直前および/または直後に瞬時に長手方向に弛緩処理することが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に長手方向および/あるいは幅方向に弛緩処理を行っても良い。熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理する。
<ディスプレイ>
本発明によるディスプレイは、少なくとも光源、積層フィルムおよび色変換部材を含む構成であり、好ましい態様としては、さらに液晶層を含む構成が挙げられる。これらの部材の配置方法については、光源、積層フィルム、色変換部材の順に配置してなる構成が挙げられ、液晶層を含む場合は、液晶層と色変換フィルムの間に積層フィルムを含む構成が好適な構成として挙げられる。
本発明のディスプレイは、ディスプレイ、照明、インテリア、標識、看板、などの用途に使用できるが、特にディスプレイや照明用途に特に好適に用いられる。
以下、実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
<光源の発光強度、発光帯域の測定>
浜松フォトニクス製ミニ分光光度器(C10083MMD)にNA0.22の光ファイバーを取り付け、光源の光を計測した。得られた発光スペクトルについて、最大強度を示す波長を光源の発光ピーク波長とし、光源の発光ピーク波長での発光強度の50%以上の強度を示す発光帯域をもって光源の発光帯域とした。
<色変換部材の発光強度、出光帯域の測定>
浜松フォトニクス製ミニ分光光度器(C10083MMD)にNA0.22の光ファイバーを取り付け、光源の光を照射した色変換部材から出光する光を計測した。得られた発光スペクトルについて、光源の発光ピーク波長をのぞく波長の中で最大強度を示した波長を色変換部材の出光ピーク波長(ピーク波長1)とし、色変換部材の出光ピーク波長での出光強度の50%以上の強度を示す帯域を色変換部材の出光帯域とした。なお、本願で用いた色変換部材は上記で定義される出光ピーク波長以外にも極大点が存在するものであったため、当該極大点の波長を第2の発光ピーク波長(ピーク波長2)とした。
<積層フィルムの透過率、反射率、反射帯域の測定>
日立製作所製 分光光度計(U−4100 Spectrophotomater)に付属の角度可変透過装置と付属のグランテーラ社製偏光子を取り付け、入射角度φ=10度、20度、40度および60度における波長250〜1600nmのP波反射率及びS波反射率ならびに入射角度φ=0度での波長250〜1600nmの透過率を測定した。測定条件:スリットは2nm(可視)/自動制御(赤外)とし、ゲインは2と設定し、走査速度を600nm/分とした。サンプルは65インチを想定して、フィルム長手方向から45cm間隔で、フィルム幅方向から70cm間隔で5cm×10cmで切り出しフィルム短尺方向を回転軸として入射角度が変わるように設置して測定した。また、積層フィルムに対して、偏光フィルターを0〜180°まで15°ずつ回転させて測定した透過率が最大となる方向を透過軸とし、フィルム面内において透過軸方向に直交する方向を反射軸方向とした。また、反射率はフィルム両面で測定し、より高い反射率となった結果をもって反射率とした。各々のパラメーターは以下のとおりの方法で求めた。
<積層フィルムの低波長端・高波長端、λ1、λ2>
上記で得られた反射スペクトルについて、各波長ごとにP波とS波の平均値を用いた平均反射スペクトルを算出し、波長400〜1600nmにおける最大反射率をRmax(%)とした際に、Rmax/2(%)以上となる波長の中で最も低波長でかつ400nm以上である波長を積層フィルムの反射帯域の低波長端、最も長波長でかつ1600nm以下である波長を積層フィルムの反射帯域の長波長端とした。同様に、低波長端近傍でRmax/4(%)となる波長をλ1、Rmax×3/4となる波長をλ2とした。ただし、低波長端が観測されないものについては「なし」とする。
<光源の発光帯域における平均透過率>
上記で得られた透過スペクトルについて、各波長ごとにP波とS波の平均値を用いて平均透過スペクトルを算出し、この平均透過スペクトルに対して上で求めた光源の発光帯域に対応する波長範囲での平均透過率を算出した。
<光源の発光帯域におけるP波の反射率>
上記で得られた反射スペクトルについて、P波の反射スペクトルに対して上で求めた光源の発光帯域に対応する波長範囲での平均反射率を算出した。
<色変換部材の出光帯域における最大および平均反射率>
上記で得られた反射スペクトルについて、各波長ごとにP波とS波の平均値を用いた平均反射スペクトルを算出し、この平均反射スペクトルに対して上で求めた色変換部材の出光帯域に対応する波長範囲での最大反射率および平均反射率を算出した。
<相関係数>
上記で得られた反射スペクトルについて、各波長ごとにP波とS波の平均値を用いた平均反射スペクトルを算出し、フィルム幅方向および長手方向の末端のフィルムサンプルの各々について、フィルムサンプル中央との平均反射スペクトルの波長400〜800nmの区間での相関係数を算出し、4つの相関係数を得た。この中で、最小の値となった相関係数を相関係数の最小値とした。
<正面輝度の測定>
評価用の光源を含む光源ユニットとして、Sony製KD−65X9500Bの光源ユニットを用いた。浜松フォトニクス製ミニ分光光度器(C10083MMD)にNA0.22の光ファイバーを取り付け、光源のみおよび色変換部材から出光する光を計測した。本光源の発光帯域は430〜485nmであり、色変換部材の出光帯域は、508〜678nmであり、ピーク波長1は532nm、ピーク波長2は648nmであった。
セルに分割された色変換部材のモデル試験として、付属の拡散板の上に、吸収型偏光板、積層フィルムならびに以下のとおり製作した色変換部材をこの順で設置しディスプレイを作成した。
まず、透明基板(コーニング1737ガラス:50×50×1.1mm)上に、隔壁材料としてVPA204/P5.4−2(新日鉄化学社製)をスピンコートし、格子状のパターンになるようなフォトマスクを介して紫外線露光し、2%炭酸ナトリウム水溶液で現像後、200℃でベークして、透明な隔壁(膜厚25μm)のパターンを形成した。
つづいて、テトラリン溶媒中に赤色ピロメテン誘導体RD−1(0.2重量%)とポリメタクリル酸メチル(PMMA)(クラレ製)(3重量%)を混合して、インクを調製した。調製したインクを、インクジェット法を用いて、窒素雰囲気中で、赤色変換層領域の表面へ付着させた。その後、該基板を200℃で30分間、乾燥させ、膜厚300nmの赤色変換層を作製した。
つづいて、テトラリン溶媒中へ緑色ピロメテン誘導体GD−1(1.5重量%)を溶解させてインクを調製した。調製したインクを、インクジェット法を用いて、窒素雰囲気中で、緑色変換層領域の表面へ付着した。その後、該基板を200℃で30分間、乾燥させ、膜厚300nmの緑色変換層を作製した。
このようにして作製した色変換部材は、それぞれ線幅0.1mm、ピッチ0.33mm、膜厚2μmのラインパターンを有した。
この色変換部材から出光した光について開口部中央ならびに開口部から1cmはなれた箇所(遮光部とする)の2箇所の輝度をBM−7(トプコンテクノハウス製)を用いて測定した。また、開口部の輝度は、積層フィルムを挿入する前の輝度をブランクとして輝度向上率(%)を算出した。
<配向角>
サンプルは65インチを想定して、フィルム長手方向から40cm間隔で、フィルム幅方向から70cm間隔で10cm×10cmで切り出し、KSシステムズ(株)製(現王子計測機器(株))の分子配向計MOA−2001を用いて、配向角を求めた(計測される配向角の範囲はー90〜90°である)。
<屈折率>
ナトリウムD線(波長589nm)を光源とし、マウント液としてヨウ化メチレンを用い、25℃にてアッベ屈折計 4T(株式会社アタゴ社製)フィルム長手方向、幅方向の屈折率を求めた。
(実施例1)
積層フィルムは以下に示す方法にて得た。
熱可塑性樹脂Aとして、ポリエチレンナフタレート(PEN)を用いた。また熱可塑性樹脂Bとして融点を持たない非晶性樹脂である、シクロヘキサンジメタノールを共重合したエチレンテレフタレート(PETG)を用いた。準備した結晶性ポリエステルと熱可塑性樹脂Bとをそれぞれ、2台の単軸押出機に投入し、280℃で溶融させて、混練した。次いで、それぞれFSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて計量しながら、スリット数11個で両表層に設けられた最表層の各々の厚みがフィルム厚みの5%となるように設計された積層装置にて合流させて、厚み方向に交互に11層積層された積層体とした。積層体とする方法は、特開2007−307893号公報〔0053〕〜〔0056〕段の記載に従って行った。ここでは、スリット長さ、間隔は全て一定とした。得られた積層体は、熱可塑性樹脂Aが6層、熱可塑性樹脂Bが5層であり、厚み方向に交互に積層された積層構造を有していた。口金内部での拡幅比である口金リップのフィルム幅方向長さを口金の流入口部でのフィルム幅方向の長さで割った値を2.5となるようにした。
得られたキャストフィルムを、130℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、フィルム長手方向に3.3倍延伸し、その後一旦冷却した。つづいて、この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布し、透明・易滑・易接着層を形成した。該易接着層の屈折率は1.57であった。
この一軸延伸フィルムをテンターに導き、110℃の熱風で予熱後、130℃の温度でフィルム幅方向に4.5倍延伸した。ここでの延伸速度と温度は一定とした。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で240℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度条件で幅方向に2%の弛緩処理を、さらに100度まで急冷した後に幅方向に5%の弛緩処理を施し、その後、巻き取り積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムと、前述の光源、色変換部材を含むディスプレイの評価ならびに正面輝度測定結果を表1に示すが、積層フィルムを用いない比較例1と比較すると顕著な輝度向上がみられた。
(実施例2)
熱可塑性樹脂Aとして、融点が258℃のポリエチレンテレフタレート(PET)を用いた。また熱可塑性樹脂Bとして融点を持たない非晶性樹脂である、スピログリコールをジオール成分全体に対して25mol%、シクロヘキサンジカルボン酸をジカルボン酸成分全体に対して30mol%共重合したエチレンテレフタレート(PET/SPG・T/CHDC)を用い、かつ熱可塑性樹脂AからなるA層の層数を51層、熱可塑性樹脂BからなるB層の層厚みを50層とした積層フィルムを用いて、実施例1と同様にキャストフィルムを得た。
得られたキャストフィルムを、72〜78℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、フィルム長手方向に3.3倍延伸し、その後一旦冷却した。つづいて、この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布し、透明・易滑・易接着層を形成した。該易接着層の屈折率は1.57であった。
この一軸延伸フィルムをテンターに導き、110℃の熱風で予熱後、130℃の温度でフィルム幅方向に4.5倍延伸した。ここでの延伸速度と温度は一定とした。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で240℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度条件で幅方向に2%の弛緩処理を、さらに100度まで急冷した後に幅方向に5%の弛緩処理を施し、その後、巻き取り積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムと、前述の光源、色変換部材を含むディスプレイの評価ならびに正面輝度測定結果を表1に示すが、実施例1対比の色変化部材の出光帯域での反射率向上を反映してさらなる輝度向上がみられた。
(実施例3)
熱可塑性樹脂AからなるA層の層数を101層、熱可塑性樹脂BからなるB層の層厚みを100層とした以外は、実施例2と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムと、前述の光源、色変換部材を含むディスプレイの評価ならびに正面輝度測定結果を表1に示すが、実施例2対比の色変化部材の出光帯域での反射率向上を反映してさらなる輝度向上がみられた。
(実施例4)
熱可塑性樹脂AからなるA層の層数を301層、熱可塑性樹脂BからなるB層の層厚みを300層とした以外は、実施例2と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムと、前述の光源、色変換部材を含むディスプレイの評価ならびに正面輝度測定結果を表1に示すが、実施例3対比の色変化部材の出光帯域での反射率向上を反映してさらなる輝度向上がみられた。
(実施例5)
熱処理工程において、さらに幅方向に1.1倍延伸した以外は実施例4と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムと、前述の光源、色変換部材を含むディスプレイの評価ならびに正面輝度測定結果を表1に示すが、フィルム輝度は実施例4と同等である一方、配向角の幅方向の均一性が向上したことでフィルム幅方向の測定位置による輝度ムラが大幅に抑制されていた。
(実施例6)
フィルム長手方向への延伸倍率を3.1倍とした以外は実施例5と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムと、前述の光源、色変換部材を含むディスプレイの評価ならびに正面輝度測定結果を表1に示すが、フィルム輝度は実施例5と同等である一方、配向角の幅方向の均一性が向上したことでフィルム幅方向の測定位置による輝度ムラがさらに抑制されていた。
(実施例7)
積層フィルムを以下に示す方法にて得た。
熱可塑性樹脂Aとして、ポリエチレンナフタレート(PEN)を用いた。また熱可塑性樹脂Bとして融点を持たない非晶性樹脂である、2,6−ナフタレンジカルボン酸をジカルボン酸成分全体に対して50mol%、テレフタル酸をジカルボン酸成分全体に対して50mol%、ジオール成分としてエチレングリコールを用いた共重合PENを用いた。準備した結晶性ポリエステルと熱可塑性樹脂Bとをそれぞれ、2台の単軸押出機に投入し、280℃で溶融させて、混練した。次いで、それぞれFSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて計量しながら、スリット数801個で最表層厚みがフィルム厚みの5%となるように設計された積層装置にて合流させて、厚み方向に交互に801層積層された積層体とした。
得られたキャストフィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布し、透明・易滑・易接着層を形成した。該易接着層の屈折率は1.57であった。
このキャストフィルムをテンターに導き、130℃の熱風で予熱後、150℃の温度でフィルム幅方向に5.0倍延伸した。ここでの延伸速度と温度は一定とした。延伸したフィルムは、そのまま、熱処理を行うことなく幅方向に2%の弛緩処理を施し、その後、巻き取り積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムと、前述の光源、色変換部材を含むディスプレイの評価ならびに正面輝度測定結果を表1に示すが、フィルムは青色の光源の光に対して顕著な偏光反射特性を示し、輝度も積層フィルムを用いない比較例1と比較すると顕著な輝度向上がみられた。
(実施例8)
フィルム厚みを調整し、光源の光ならびに色変換部材からの光をすべてに対して偏光反射特性を示すようにした以外は実施例5と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムと、前述の光源、色変換部材を含むディスプレイの評価ならびに正面輝度測定結果を表1に示すが、色変換部材からの光を反射することを受けて、顕著な輝度向上がみられた。
(実施例9)
熱可塑性樹脂Aとして、ジカルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸を用い、ジオール成分として、ポリエチレングリコール(平均分子量400、m×nは10以上)をジオール成分全体に対して6mol%、エチレングリコールをジオール成分全体に対して94mol%を共重合した共重合PENを用いた以外は、実施例4と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムと、前述の光源、色変換部材を含むディスプレイの評価ならびに正面輝度測定結果を表1に示すが、実施例4対比の色変化部材の出光帯域での反射率向上を反映してさらなる輝度向上がみられた。
(比較例1)
前述の光源、色変換部材を含み、積層フィルムを用いない構成でのディスプレイの正面輝度測定結果を表1に示すが、実施例1〜8のいずれと比較しても低い輝度となっていた。
(比較例2)
熱可塑性樹脂AとしてPETを用い、かつ熱可塑性樹脂Aのみからなる1層のフィルムとした以外は、実施例2と同様にしてフィルムを得た。
得られた積層フィルムと、前述の光源、色変換部材を含むディスプレイの評価ならびに正面輝度測定結果を表1に示すが、光源または色変換部材からの光に対して反射特性を示さないことから輝度は比較例1よりも低下し、さらに配向角のばらつきを反映して輝度のムラも大きなものであった。
(比較例3)
実施例4で得られた積層フィルムと、光源、色変換部材、積層フィルムの順に配置した以外は、実施例4と同様にディスプレイの評価ならびに正面輝度測定を行った。結果を表1に示すが、光源と色変換フィルムの間に積層フィルムを設けないことによる光のロスに加えて、色変換フィルムから出光された光を積層フィルムが遮蔽することから、大幅な輝度低下が生じた。
(比較例4)
色変換部材として、赤色変換層と緑色変換層を厚み方向に重ねて形成しセルで分割されていない色変換部材を用いた以外は、実施例4と同様にディスプレイの評価ならびに正面輝度測定を行った。結果を表1に示すが、単体でみると高い輝度を示すものの、セルで分割されておらずRGB表示ができないことから、さらに実用的に必要となるカラーフィルターを設けた場合に光の1/3はカラーフィルターに吸収されることから正面輝度が45%となり、ディスプレイとして使用する際の輝度は著しく低いものとなった。
1 ディスプレイ
2 光源
3 液晶層
4 積層フィルム
5 色変換部材
6 セル
7 隔壁
8 導光板
9 積層フィルムの長尺方向の両末端
10 積層フィルムの短尺方向の両末端
11 積層フィルムの中央
21 反射軸方向
22 反射軸方向に偏光された光
23 透過軸方向に偏光された光

Claims (14)

  1. 光源と、
    光源から入射された入射光を、その入射光よりも長波長の光に変換し、かつ複数のセルで分割されてなる色変換部材と、
    異なる複数の熱可塑性樹脂が交互に11層以上積層されてなる積層フィルムとを含み、
    光源、積層フィルム、色変換部材の順に配置してなるディスプレイ。
  2. 前記ディスプレイが液晶層をさらに含んでなり、かつ光源、液晶層、積層フィルム、色変換部材の順に配置してなる請求項1に記載のディスプレイ。
  3. 前記積層フィルムが光源の光を透過し、かつ色変換部材から出光した光を反射する請求項1に記載のディスプレイ。
  4. 前記積層フィルムの入射角度10°での反射帯域が500〜700nmの区間に含まれてなる請求項3に記載のディスプレイ。
  5. 前記積層フィルムが光源の発光帯域において透過軸方向に偏光された光の平均透過率が70%以上であり、かつ光源の発光帯域において反射軸方向に偏光された光の平均透過率が30%以下である請求項1に記載のディスプレイ。
  6. 前記積層フィルムの入射角度10°での反射帯域が400〜500nmの区間に含まれてなる請求項5に記載のディスプレイ。
  7. 前記積層フィルムが、光源の発光帯域において透過軸方向に偏光された光の透過率が70%以上であり、
    かつ光源の発光帯域において反射軸方向に偏光された光の透過率が30%以下であり、
    かつ色変換部材から出光した光を反射する請求項1に記載のディスプレイ。
  8. 液晶層と色変換部材の間にさらに偏光子を含んでなり、
    かつ積層フィルムが偏光子と色変換部材の間に配置されてなる請求項2に記載のディスプレイ。
  9. 前記積層フィルムの長尺方向の中央と両末端の3点における配向角の最大値と最小値の差、及び短尺方向の中央と両末端の3点における配向角の最大値と最小値の差がともに40°以下である請求項1に記載のディスプレイ。
  10. 積層フィルムが、色変換部材と隣接して配置されてなる請求項1に記載のディスプレイ。
  11. 光源が波長400〜500nmに発光帯域を備えてなり、
    色変換部材が、光源から入射された入射光を、その入射光よりも長波長の光に変換して出光する光が、500〜700nmに出光帯域を備えてなる請求項1に記載のディスプレイ。
  12. 異なる複数の熱可塑性樹脂が交互に11層以上積層されてなる積層フィルムであって、波長400〜500nmにおける平均透過率が70%以上であり、かつ反射帯域が波長500〜700nmに含まれてなり、光源、積層フィルム、色変換部材の順に配置してディスプレイに用いられる積層フィルム。
  13. 前記積層フィルムの少なくとも一方の表面の屈折率が1.68以上である請求項12に記載の積層フィルム
  14. 前記積層フィルムを構成する熱可塑性樹脂の少なくとも一つがジカルボン酸構成成分とジオール構成成分を有するポリエステル樹脂であって、式(1)で表される構造をジオール構成成分として全ジオール構成成分に対して0.5mol%以上40mol%以下含む請求項13に記載の積層フィルム。
    −O−(C2n−O)− ・・・式(1)
    (m、nは、m×nが5以上となる自然数をあらわす。)
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