JP2020086202A - 画像形成装置およびその経時変化を予測するための情報取得方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】取得したいタイミングにおける定着温度が特定の温度ではなくても、特定の温度である場合のトルクを示す情報を取得する。【解決手段】画像形成装置は、定着ベルトを回転させるモータの測定し、設定温度が基準温度であるときの基準時トルクT0と、副基準温度であるときの副基準時トルクT1でありかつ基準時トルクT0との測定タイミングのずれΔが設定範囲Δth内である注目副基準時トルクT1’とに基づいて、基準時トルクT0と注目副基準時トルクT1’とのトルク相対値TRを算出し、副基準時トルクT1が測定されたタイミングL4の以前におけるトルク相対値TRの変化率TRrと当該副基準温度トルクT1’とに基づいて、定着器の経時変化を予測するための情報として、当該タイミングにおける基準時トルクT0(L4)を算出する。【選択図】図7
Description
本発明は、画像形成装置およびその経時変化を予測するための情報取得方法に関する。
電子写真法によってシートに画像を印刷する画像形成装置は、トナー像が転写されたシートに熱と圧力とを加える定着器を有している。加熱と加圧とによって色材であるトナーが溶融してシートに定着する。
定着器の方式として、シートを挟む定着ニップをパッド(固定の押え部材)とローラとで構成するパッド式がある。このパッド式によると、一対のローラで定着ニップを構成するローラ方式よりも定着器の熱容量を小さくすることができ、省エネルギー化を図ることができる。
パッド式では、パッドを周回するよう定着ベルトが設けられる。パッドとローラとの間に定着ベルトが介在し、定着ベルトとローラとの間をシートが通る。ローラの回転駆動によりシートが搬送され、シートの移動にともなって定着ベルトが回転する。このとき、パッドと定着ベルトとが摺動するので、この種の定着器では、定着ベルトの摩耗を防ぐために定着ベルトの内周面を被覆するように潤滑剤が塗布される。
定着ベルトに塗布された潤滑剤の粘度は、温度に依存する。一般に、温度が上昇するにつれて低くなる。特許文献1には、定着器のウォームアップ時において、定着ベルトを回転させるモータのトルクを低減するために、温度が上がるにつれてローラの駆動速度を速くすることが開示されている。
また、定着器を限界まで使用することで画像形成装置のランニングコストを低減するための先行技術として、特許文献2に記載の技術がある。
特許文献2には、プリント動作に際して、通紙終了後の後回転期間または通紙前の着状態の回転期間に、定着駆動モータのトルクを測定し、測定したトルクに基づいて定着器の交換時期であるか否かを判断する画像形成装置が開示されている。
なお、画像形成装置におけるモータと潤滑剤とに関わる他の先行技術として、特許文献3に記載の技術がある。特許文献3には、環境温度が所定値以下である場合は、油潤滑式軸受けを採用したスキャナモータを起動する際に、潤滑剤の粘性による回転不足をモータ電流の増加で補う代わりに、次に起動するユニットの起動までの待ち時間を変化させることが開示されている。
一般に、定着のためにシートを加熱する温度、すなわち定着温度は、印刷モードに応じて設定される。例えば、色が異なる複数のトナー像を重ねた積層を定着させるカラーモードでは、単一のトナー像を定着させるモノクロモードよりも高い温度に設定される。その他、シートの厚さ、または印刷速度などに応じて最適な定着温度が設定される。
ところで、パッド式の定着器においては、定着ベルトの摺動面を覆う潤滑剤が次第に減少する経時変化がある。潤滑剤が枯渇しまたはそれに近い欠乏状態になると、定着ベルトの摩耗が始まる。摩耗が進行して定着ベルトの寿命が尽きる以前に、定着ベルトを交換する必要がある。
そこで、摩耗が始まるタイミング、すなわち潤滑剤が欠乏するタイミングを見極め、そのタイミング以降において、寿命が尽きるタイミングを見過ごすことのないよう適度な頻度で寿命が尽きるタイミングを予測することが考えられる。寿命の予測において、潤滑剤が欠乏してから短期間のうちに寿命が尽きる場合が有り得るので、潤滑剤が欠乏するタイミングを正確に見極めることが重要となる。
潤滑剤が欠乏したかまたは欠乏しそうであるか否かをモータのトルクの測定値に基づいて定期的に判定する場合には、毎回の測定を同じ温度条件で行う必要がある。温度条件が異なれば、潤滑剤の粘性が異なるので、潤滑剤の残存量が同じであってもトルクに差が生じてしまう。
しかし、定期的にトルクを測定する場合に毎回の測定タイミングにおける印刷モードが同じであるとは限らない。このため、所定の測定間隔ごとに定着ベルトが特定の温度である場合のトルクを示す情報を取得することができないおそれがあるという問題がある。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、取得したいタイミングにおける定着温度が特定の温度ではなくても、特定の温度である場合のトルクを示す情報を取得することを目的とする。
本発明の実施形態に係る画像形成装置は、シートを加熱する定着ベルトと当該定着ベルトを押さえるパッドとの間に潤滑剤を介在させたパッド式の定着器を有する画像形成装置であって、定着温度を印刷モードに応じて設定される設定温度に保つように当該定着ベルトのヒータを制御する温度制御部と、前記定着ベルトを回転させるモータの回転時のトルクを測定するトルク測定部と、前記設定温度が基準温度であるときの前記トルクである基準時トルクと、前記設定温度が当該基準温度ではない副基準温度であるときの前記トルクである副基準時トルクでありかつ当該基準時トルクとの測定タイミングのずれが設定範囲内である注目副基準時トルクとに基づいて、当該基準時トルクと当該注目副基準時トルクとの比または差であるトルク相対値を算出する第1算出部と、前記注目副基準時トルクではない前記副基準時トルクが測定されたタイミングの以前における前記定着ベルトの積算使用量の増加に伴う前記トルク相対値の変化率と当該副基準温度トルクとに基づいて、前記定着器の経時変化を予測するための情報として、当該タイミングにおける前記基準時トルクを算出する第2算出部と、を有する。
本発明によると、取得したいタイミングにおける定着温度が特定の温度ではなくても、特定の温度である場合のトルクを示す情報を取得することができる。
図1には本発明の実施形態に係る画像形成装置1の構成の概要が、図2には定着器17の構成が、それぞれ示されている。
図1に示される画像形成装置1は、タンデム型のプリンタエンジン10を備える電子写真方式のカラープリンタである。画像形成装置1は、ネットワークを介して外部のホスト装置から入力されるジョブに応じて、カラーまたはモノクロの画像を形成する。
画像形成装置1は、その動作を制御する制御回路100を有している。制御回路100は、制御プログラムを実行するプロセッサおよびその周辺デバイス(ROM、RAMなど)を備えている。また、ハウジンジングの上部の前面側に操作パネル50が配置されている。操作パネル50は、操作入力または状態表示のための画面を表示するタッチパネルディスプレイを有している。
プリンタエンジン10は、4個のイメージングユニット3y、3m、3c、3k、プリントヘッド6、および中間転写ベルト12を有する。
イメージングユニット3y〜3kは、それぞれ筒状の感光体4、帯電器5、現像器7、およびクリーナ8などを有している。イメージングユニット3y〜3kの基本的な構成は同様である。
プリントヘッド6は、イメージングユニット3y〜3kのそれぞれに対してパターン露光を行うためのレーザビーム6Bを射出する。プリントヘッド6において、感光体4の回転軸方向にレーザビーム6Bを偏向する主走査が行われる。この主走査と並行して、感光体4を定速回転させる副走査が行われる。
中間転写ベルト12は、トナー像の一次転写における被転写部材である。中間転写ベルト12は、一対のローラ間に巻回されて回転する。中間転写ベルト12の内側には、イメージングユニット3y、3m、3c、3kごとに転写電圧を印加するための一次転写ローラ11が配置されている。
カラー印刷モードにおいて、イメージングユニット3y〜3kは、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、およびK(ブラック)の4色のトナー像を並行して形成する。4色のトナー像は、回転中の中間転写ベルト12に順次に一次転写される。最初にYのトナー像が転写され、それに重なるようMのトナー像、Cのトナー像、およびKのトナー像が順次に転写される。
一次転写されたトナー像は、二次転写ローラ16と対向するとき、下方の給紙カセット14から取り出されてタイミングローラ15を経て搬送されてきたシート(記録媒体)2に二次転写される。そして、二次転写の後、パッド式の定着器17の内部を通って上部の排紙トレイ19へ送り出される。定着器17を通過するとき、加熱および加圧によってトナー像がシート2に定着する。
モノクロ印刷モードにおいては、4個のイメージングユニット3y〜3kのうち、二次転写位置に最も近いイメージングユニット3kによりKのトナー像が形成される。他のイメージングユニット3y〜3cはトナー像を形成しない。カラー印刷モードと同様に、一次転写、二次転写、および定着が行われてシート2にモノクロ画像が形成される。
図2に示す通り、定着器17は、定着ベルト71、加熱ローラ72、定着ヒータ73、パッド74、および加圧ローラ75などを備えている。定着器17は、シート2を加熱する定着ベルト71を固定配置されたパッド74により押さえて定着ニップを形成するパッド式の定着器である。
定着ベルト71は、耐熱性樹脂を基材として構成される可撓性のエンドレスベルト状の定着部材であり、加熱ローラ72とパッド74とに接しながらこれらを周回するよう回転可能に設けられている。
加熱ローラ72は、これに内蔵された定着ヒータ73により発熱し、これの周面と接する定着ベルト71を加熱する。定着ヒータ73は、例えば複数のハロゲンランプにより構成される。
パッド74は、定着ベルト71を介して加圧ローラ75と対向するようステー76に固定されている。パッド74の構成は後で述べる。
加圧ローラ75は、筒状の芯金とその周囲を覆う弾性体とから構成される。加圧ローラ75は、パッド74に対する押圧力の調整が可能となるよう径方向に移動可能に支持されている。加圧ローラ75は、定着モータ30により回転駆動される。定着モータ30の回転駆動力は、ギヤ群35により加圧ローラ75に伝達される。
定着器17の内部をシート2が通過する定着時において、加圧ローラ75は、シート2をパッド74に押し当てながら回転する。このとき、加圧ローラ75の弾性体がパッド74に沿うよう変形し、シート2を押圧する所定長さの定着ニップが形成される。加圧ローラ75の回転によりシート2が搬送され、シート2に引き摺られて定着ベルト71が回転する。
なお、定着ベルト71が待機温度に加熱される待機時において、加圧ローラ75は、定着ベルト71にそれを回転させる最小限の押圧力(軽圧)が加わるよう径方向に位置決めされる。
定着ベルト71が回転するとき、定着ベルト71は、パッド74に対して摺動する。摺動による定着ベルト71の摩耗を防ぐために、定着ベルト71の内周面に潤滑剤が塗布されている。定着器17は、潤滑剤の枯渇を遅らせるために定着ベルト71の内周面に潤滑剤を補給する潤滑剤貯留部77を有している。
また、定着器17は、定着ベルト71の温度を検出する温度センサ78を備えている。温度センサ78は、定着ベルト71の回転方向におけるパッド74の上流側に配置されている。加熱ローラ72の内部に温度センサ78を配置して加熱ローラ72の周面の温度を定着温度として検出してもよい。
図3には定着器17における摺動部分の構造およびその経時変化の様相が模式的に示され、図4には定着モータ30のトルクTの経時変化の様相が示されている。
図3(A)の通り、パッド74は、本体740とその表面を覆う摺動シート741とから構成される。本体740は、例えば剛性のベースに弾性体を重ねて構成され、最大サイズのシート2の幅以上の長さを有する。摺動シート741は、基材742と、基材742の表面を保護するコーティング層743とから構成される。基材742は、例えばガラス繊維素材からなり、コーティング層743は、例えばフッ素樹脂からなる。
パッド74と定着ベルト71との間に介在させる潤滑剤80として、シリコーングリスまたはフッ素グリスなどの合成潤滑油グリスが用いられる。オイルと比べて粘性の高いグリスを用いることにより、定着ベルト71の幅方向の両側に潤滑剤80がはみ出しにくくなる。
図3(B)に示すように、定着器17においては、パッド74と定着ベルト71との間に介在する潤滑剤80が次第に減少する。この経時変化は、定着ベルト71の摺動にともなって潤滑剤80が定着ベルト71の幅方向の両側に徐々にはみ出ていくことにより起こる。
画像形成装置1が使用され始めた初期の状態C1では、摺動部分に潤滑剤80が十分に存在する。経時変化が進んだ状態C2では、潤滑剤80は、コーティング層743と定着ベルト71とが接触し始める許容限界まで減少している。以下、この状態C2を「潤滑膜切れ状態」と記すことがある。さらに経時変化が進んだ状態C3では、潤滑剤80は、実質的に枯渇しており、コーティング層743および定着ベルト71の摩耗が進んでいる。
図4において、横軸の走行距離Lは、パッド74と定着ベルト71との相対移動距離であり、経時変化に関わる積算使用量に相当する。縦軸のトルクTは、定速回転状態の定着モータ30のトルク(出力トルク)Tである。
定着モータ30の個体差、潤滑剤80の塗布量のばらつき、および使用環境などにより経時変化に差異が生じるが、トルクTの変化には図示のように変化の進行がある段階から速くなるという傾向がある。
詳しくは、定速回転時のトルクTは、初期値のTaから潤滑剤80が減少するにつれてTbまで徐々に減少する。この緩やかな経時変化の要因としては、定着ベルト71とパッド74との間に介在する潤滑剤80の層が薄くなることによる摺動抵抗(粘性抵抗)の低下が挙げられる。緩やかな経時変化は、上述の状態C2になるまで続く。そして、状態C2になった後は、トルクTの変化が減少から増加に転じかつトルクTは急峻に増大する。この急峻な増大の要因としては、定着ベルト71とパッド74との摩擦による負荷トルクが大きくなることが挙げられる。
トルクTが寿命しきい値Tthまで増大する頃には、定着ベルト71の摩耗がかなり進んでいる。定着ベルト71が破断するおそれがあるとともに、定着モータ30の駆動電流が大きくなり過ぎるおそれもある。
したがって、トルクTが寿命しきい値Tthとなるときの走行距離L、つまり定着ベルト71の寿命LAを予測し、寿命LAが尽きる直前で定着ベルト71を新品に交換するのが望ましい。
また、寿命LAが尽きてしまうのを確実に防ぐために、状態C2になった以降においては状態C2になる以前よりも頻繁に寿命LAを予測するのが望ましい。このため、状態C2またはそれに近い状態になるまで経時変化が進むタイミング、すなわちトルクTが例えばTbになるときの走行距離Lを予測して、その後の寿命予測の間隔を短くするのが好ましい。
なお、定着ベルト71を長持ちさせて交換するべき時期を遅らせるために、状態C2になる前に潤滑剤80を補給するメンテナンス作業を実施することが考えられる。その場合は、状態C2になるタイミングを予測することにより、早過ぎることも遅過ぎることもない適切なタイミングでメンテナンス作業を実施することができる。
図5にはトルクTおよびトルク相対値TRの温度依存性が示されている。
図5(A)に示す通り、潤滑剤80の量(グリス量)が多い場合、すなわち定着器17が状態C1である場合は、潤滑剤80の粘性の温度変化の影響が大きいことから、定着温度H(設定温度)が高いほどトルクTは小さい。つまり、定着温度HとトルクTとに逆相関(負の相関)の関係がある。
グリス量がやや少ない場合もグリス量が少ない場合も、定着温度が高いほどトルクTは小さい。すなわちこれらの場合にも逆相関の関係がある。ただし、定着温度の差に対するトルクTの差の割合は、グリス量が多い場合と比べて、グリス量がやや少ない場合は小さく、グリス量が少ない場合にはさらに小さい。
なお、グリス量が減少するにつれて、潤滑剤80の粘性の温度変化の影響が小さくなってギヤなどの部材の熱膨張の影響が顕在化し、定着温度が高いほどトルクTは大きい正の相関の関係に近づく。
このようにトルクTは定着温度に依存するので、定期的に定着ベルト71の経時変化を予測するために定期的にトルクTを測定するにあたって、毎回の測定を同じ温度条件で行う必要がある。
しかし、画像形成装置1においては、定着ベルト71の温度制御における定着温度Hの目標値(設定温度)が印刷モードに応じて変更される。印刷モードは、カラー/モノクロ、片面/両面、スマートプリント/通常プリント/コピーといった基本指定項目によって大別され、シート2の種類および画像濃度などのその他の項目によって細分化される。多種多様の印刷モードの中には、定着温度Hが他の印刷モードと同一であるものもあるが、異なるものもある。
したがって、例えば走行距離Lが所定量(例えば10km)増えるごとにトルクTを測定するものとした場合に、前回の測定時と今回の測定時とで定着温度Hが互いに異なるという事態が起こり得る。
ところで、潤滑剤80が残存している期間内の任意のタイミングにおいて、定着温度Hが異なる2つの場合のそれぞれのトルクTどうしの相対関係は、これらの2つの場合の定着温度Hの差に依存する。この相対関係は、2つの場合のそれぞれのトルクTどうしの比または差であるトルク相対値TRによって表わすことができる。
図5(B)では、定着温度Hの上限値Hmaxと他の定着温度Hとのトルク相対値TRが示されている。グリス量にかかわらず、他の定着温度Hが下限値Hminであるときのトルク相対値TRが最も大きく、他の定着温度Hが上限値Hmaxに近いほど、トルク相対値TRは小さい。
画像形成装置1は、トルク相対値TRの経時変化の変化率に基づいて、潤滑剤80の残存の状態の判定に用いられる特定の温度におけるトルクTを算出する機能を有している。
以下、この機能を中心に画像形成装置1の構成および動作を説明する。
図6には制御回路100の機能的構成が示され、図7にはトルクTおよびトルク相対値TRの経時変化が模式的に示されている。図8にはトルク相対値TRの他の例が、図9には係数テーブル60の例が、それぞれ示されている。
図6において、制御回路100は、メイン制御部101、温度制御部171、回転指令部172、トルク測定部173、記憶部174、第1算出部175、第2算出部176、判定部177、寿命予測部178、および報知処理部179などを有している。これらの機能は、CPU(Central Processing Unit) を含む制御回路100のハードウェア構成により、または制御プログラムがCPUによって実行されることにより、またはこれらの組合せにより実現される。
メイン制御部101は、画像形成装置1の全体の制御を受け持つコントローラである。メイン制御部101は、通信インタフェース52を介して外部のホスト装置からジョブが入力されると、そのジョブにより指定された枚数の印刷を行うようプリンタエンジン10および搬送機構40などを制御する。搬送機構40には、定着器17の加圧ローラ75を径方向に移動させる圧接力可変機構が含まれる。
温度制御部171は、定着ヒータ73を制御する。メイン制御部101から通知される印刷モードに応じて定着温度Hを目標温度として設定し、定着ヒータ73を点灯させて定着ベルト71を昇温させる。温度センサ78の出力を監視して定着温度Hまで昇温させる。そして、定着温度Hに昇温した後は、定着ベルト71を定着温度Hに保つよう定着ヒータ73をオンオフする温調制御を行う。
回転指令部172は、定着モータ30の回転を制御するベクトル制御部23に対して速度指令ω*を与える。速度指令ω*は、印刷モードに応じた定着速度でシート2を搬送するよう加圧ローラ75を回転させるための指令である。
回転指令部172とベクトル制御部23とから構成されるモータ制御部103は、温度制御部171による定着ベルト71の昇温の開始から定着温度Hに昇温するまでの立上げ期間にわたって、定着モータ30を定速回転させる。ベクトル制御部23の構成の例を後に挙げる。
トルク測定部173は、定着ベルト71がシート2と接することなく定速回転しているときに、定着モータ30のトルクTを測定する。シート2が定着ニップを通過する期間、すなわち定着ベルト71がシート2と接する期間は、通過していない期間と比べて搬送速度が不安定になりやすく、搬送速度の微妙な変化に伴ってトルクTが変化するおそれがある。したがって、シート2が定着ニップを通過していないときにトルクTを測定するのが望ましい。
定着温度Hに保つ温度制御および定着ベルト71を定速回転させるモータ制御の両方が行われ、かつシート2が定着ニップを通過していない期間としては、例えば印刷ジョブの最終のシート2の定着が終わってから定着モータ30を停止させるまでの期間がある。印刷ジョブにおいて、先行のシート2が定着ニップを通過し終えてから後続のシート2が定着ニップに進入するまでの期間、および印刷ジョブの途中で画像安定化処理を行う場合おいて画像安定化処理を行っている期間もある。
本実施形態においては、トルク測定部173は、トルクTをベクトル制御部23からのq軸電流値Iqに基づいて測定データを得る。q軸電流値Iqを定着モータ30に固有のトルク定数を用いてトルク値に換算してトルクTの測定データとしてもよいし、q軸電流値Iqをトルク値に換算することなく測定データとしてもよい。
トルク測定部173は、例えばメイン制御部101からの定期測定指令S173に従って、トルクTの測定を定期的に行う。定期測定指令S173は、例えば走行距離Lが設定値だけ増えるごとに、または所定枚数の印刷を行うごとに、トルク測定部173に与えられる。詳しくは、後に述べる基準時トルクT0を取得したい測定タイミングの少し前のタイミングから印刷ジョブを実行するごとに与えられる。つまり、トルク測定部173は、定期的に複数の印刷ジョブのそれぞれの実行時にトルクTを測定することができるように、定期測定指令S173が発せられる。
この基準時トルクT0を取得したい測定タイミングは厳密である必要はなく、走行距離Lが設定値よりも若干少ない値または若干多い値まで増加したタイミングであってもよい。印刷ジョブの入力状況などに応じて適宜調整することができる。
また、後に述べるように潤滑剤80が欠乏した状態であると判定された以降においては、トルクTの測定の実施間隔(測定間隔ΔL’)をこの判定の以前の実施間隔(測定間隔ΔL)よりも短くするのが好ましい。したがって、測定の実施間隔は、定着ベルト71の経時変化の段階に応じて変更される。
なお、トルク測定部173には、定期測定指令S173が与えられるとともに、そのときの走行距離Lがメイン制御部101から通知される。
記憶部174は、定着温度Hが基準温度H0であるときのトルクTである基準時トルクT0の測定データをそのときの走行距離Lと対応づけて記憶する。また、定着温度Hが副基準温度H1であるときのトルクTである副基準時トルクT1の測定データをそのときの走行距離Lと対応づけて記憶する。走行距離Lは、例えばトルク測定部173から取得する。
基準温度H0および副基準温度H1は、いずれも印刷モードに応じて選択的に設定される定着温度Hの選択肢である。基準温度H0は、測定時の温度条件を揃えてトルクTの経時変化を示す測定データを収集するために当該温度条件として定められた温度である。副基準温度H1は、測定データを取得したいタイミングにおける定着温度Hが基準温度H0ではない場合に、基準温度H0でのトルクTを算出(推定)するために定められた温度である。副基準温度H1は、1つだけで定めてもよいし、複数定めてもよい。複数の副基準温度H1を定める場合は、それぞれについてトルク相対値TRを算出して蓄積する必要がある。
本実施形態では、シート2として普通紙を用いる標準のカラー印刷モードにおいて定着温度Hに設定される温度(例えば165℃)が基準温度H0とされている。また、標準のモノクロ印刷モードにおいて定着温度Hに設定される温度(例えば145℃)が副基準温度H1とされている。
ただし、例えば厚紙を用いる非標準のモノクロ印刷モードにおいて、定着温度Hが基準温度H0に設定される場合がある。逆に非標準のカラー印刷モードにおいて、定着温度Hが副基準温度H1に設定される場合があり得る。
図7も参照して、第1算出部175は、基準時トルクT0と、副基準時トルクT1でありかつ基準時トルクT0との測定タイミングのずれΔが設定範囲Δth内である注目副基準時トルクT1’とに基づいて、当該基準時トルクT0と当該注目副基準時トルクT1’とのトルク相対値TRを算出する。そして、算出したトルク相対値TRを記憶部174に記憶させる。
設定範囲Δthは、基準時トルクT0と当該注目副基準時トルクT1’とを実質的に同じタイミングのトルクTとみなすか否かを決める判断条件であり、走行距離Lのずれのしきい値と測定日時のずれのしきい値とで構成される。
例えば、モノクロ印刷を行って副基準時トルクT1を測定し、続けて数枚程度のカラー印刷を行って基準時トルクT0を測定した場合を想定する。この場合、測定タイミングのずれΔは、走行距離Lについては数枚程度のシート2に対応する僅かな値であり、測定日時については長くで数分程度でしかない。したがって、副基準時トルクT1を測定してから基準時トルクT0を測定するまでに、予測に影響する程の経時変化は生じていないと考えられる。この場合のずれΔが範囲内となるように設定範囲Δthは定められている。
また、他の例として、副基準時トルクT1を測定した後、その日は印刷を行わず、あくる日の最初の印刷で基準時トルクT0を測定した場合を想定する。この場合は、走行距離Lのずれは僅かであっても、測定日時のずれは例えば半日以上になる。印刷が行われなかった半日の間に定着器17の状態を無視できない程度に経時変化させる何らかアクシデントが発生したおそれがある。したがって、この場合のずれΔが範囲外となるように設定範囲Δthは定められている。
図7の上側のグラフにおいて、白抜きの丸は副基準時トルクT1および注目副基準時トルクT1’を表わし、二重丸は基準時トルクT0を表わす。破線の二重丸は、測定ではなく算出により得られることを表わしている。
走行距離LがL0である使用開始時において、例えばカラー印刷とモノクロ印刷とを連続的に行うことにより、実質的に同一タイミングの基準時トルクT0(L0)と注目副基準時トルクT1’(L0)とが得られている。
走行距離LがL1,L2,L3であるタイミングにおいて、基準時トルクT0(L1),T0(L2),T0(L3)が得られている。そして、これらの基準時トルクT0が得られる以前に注目副基準時トルクT1’(L1),T1’(L2),T1’(L3)が得られている。ただし、基準時トルクT0が得られる以前に限らず、破線の白抜きの丸で示すように、基準時トルクT0を得た以後に得られた副基準時トルクT1を注目副基準時トルクT1’とすることもできる。
図7の下側のグラフにおいて、黒丸は、走行距離LがL0,L1,L2,L3であるときのトルク相対値TRを表わす。図7の例において、トルク相対値TRは、注目副基準時トルクT1’に対する注目副基準時トルクT1’と基準時トルクT0との差の比である。このトルク相対値TRは、(1)式で表わされる。
TR=(T1’−T0)/T1’ …(1)
ただし、これに限らない。図8(A)の例において、トルク相対値TRは、注目副基準時トルクT1’に対する基準時トルクT0の比であり、(2)式で表わされる。
ただし、これに限らない。図8(A)の例において、トルク相対値TRは、注目副基準時トルクT1’に対する基準時トルクT0の比であり、(2)式で表わされる。
TR=T0/T1’ …(2)
図8(B)の例において、トルク相対値TRは、注目副基準時トルクT1’と基準時トルクT0との差であり、(3)式で表わされる。
図8(B)の例において、トルク相対値TRは、注目副基準時トルクT1’と基準時トルクT0との差であり、(3)式で表わされる。
TR=T1’−T0 またはTR=T0−T1’ …(3)
図6に戻って、第2算出部176は、基準時トルクT0を測定するべきタイミングにおいて副基準時トルクT1がトルク測定部173によって測定された場合に、定着ベルト71の経時変化を予測するための情報として当該タイミングにおける基準時トルクTOを算出する。この算出は、記憶部174に記憶されている測定データを用いて副基準時トルクT1を補正するものである。詳しくは次の通りである。
図6に戻って、第2算出部176は、基準時トルクT0を測定するべきタイミングにおいて副基準時トルクT1がトルク測定部173によって測定された場合に、定着ベルト71の経時変化を予測するための情報として当該タイミングにおける基準時トルクTOを算出する。この算出は、記憶部174に記憶されている測定データを用いて副基準時トルクT1を補正するものである。詳しくは次の通りである。
再び図7を参照して、第2算出部176は、注目副基準時トルクT1’ではない副基準時トルクT1が測定されたタイミング(L4)におけるトルク相対値TR(L4)を推定する。なお、タイミング(L4)とは、走行距離LがL4であるタイミングである。
この推定では、当該タイミング(L4)の以前で直近の2以上のn回のトルクTの測定で得られたn個のトルク相対値TRの変化(各測定間隔ΔLにおける変化率TRrの推移)を近似する関係式を求める。
例えば、3個以上のトルク相対値TRに基づいて、最小二乗法により回帰曲線の式を求める。または、測定間隔ΔLごとの変化率TRr12,TRr23の推移から当該タイミング(L4)の直前の測定間隔ΔL34におけるトルク相対値TRの変化を一次近似する。例えば変化率TRr12,TRr23が共にほぼ1%であった場合は、測定間隔ΔL34の変化率TRr34が1%であるものとして、トルク相対値TRの直近の変化を表わす一次関数を特定する。
次に、近似により得られた関係式を用いてタイミング(L4)におけるトルク相対値TR(L4)を算出し、算出したトルク相対値TR(L4)を係数化する。すなわち、副基準時トルクT1を補正する演算に用いる係数αを決める。この係数化には、図9に示す係数テーブル60を用いる。ただし、所定の変換式を用意しておいて計算によりトルク相対値TR(L4)から係数αを算出してもよい。
図9の例において、トルク相対値TR(L4)が例えば4.5〜5.5%の範囲内の値であった場合、係数αは「0.5」と決まる。
係数αを決めると、第2算出部176は、次の(4)式を用いて基準時トルクTOを算出する。
TO=T1×(1+α)×K …(4)
TO:基準時トルク
T1:副基準時トルク
α:トルク相対値に基づく係数
K:付加係数(K>0)
(4)式中の付加係数Kは、算出した基準時トルクTOと実験により測定した基準時トルクTOとに未知の要因によるずれが生じる場合に、そのずれを補正するために付加した係数である。ずれが生じない場合は、Kは1に定められる。
TO:基準時トルク
T1:副基準時トルク
α:トルク相対値に基づく係数
K:付加係数(K>0)
(4)式中の付加係数Kは、算出した基準時トルクTOと実験により測定した基準時トルクTOとに未知の要因によるずれが生じる場合に、そのずれを補正するために付加した係数である。ずれが生じない場合は、Kは1に定められる。
このようにして基準時トルクTO(推定値)を算出すると、第2算出部176は、算出した基準時トルクTO(L4)と算出の過程で推定したトルク相対値TR(L4)とをタイミング(L4)における測定データとして記憶部174に記憶させる。
図6に示した判定部177は、例えば記憶部174に新たにトルク相対値TRが記憶されるごとに、トルク相対値TRに基づいて潤滑剤80の残存の状態を判定する。例えば、直近の複数のトルク相対値TRを比較し、トルク相対値TRの経時変化が飽和したこと、つまり複数のトルク相対値TRの差がほぼ0であることを、潤滑剤80が欠乏した潤滑膜切れ状態であると判定する。または、最新のトルク相対値TRが所定のしきい値以下であることを潤滑膜切れ状態であると判定してもよい。
寿命予測部178は、記憶部174により記憶されている複数の基準時トルクT0のうちの直近の複数個に基づいて、基準時トルクT0が寿命しきい値Tth(図4参照)になるまでの残り走行距離(余命LB)を予測する。
例えば、直近の2個の基準時トルクT0の変化率を求め、以後もこの変化率で基準時トルクTOが変化(この場合は増加)すると仮定し、基準時トルクTOが寿命しきい値TOthになるであろうタイミングの走行距離Lthを算出する。そして、Lthと現在の走行距離Lとの差を余命LBとして算出する。
寿命予測部178は、このような予測を、潤滑膜切れ状態であると判定部177により最初に判定されたとき以降にのみ行う。つまり、潤滑剤80の残存量が適量範囲内である間は、予測を省略して制御系の負担を軽減する。
報知処理部179は、寿命予測部178により予測された余命LBを操作パネル50のタッチパネルディスプレイに表示させることでユーザに報知する。この報知に際して、サービスコールをユーザに薦めるメッセージを表示させてもよい。また、ユーザへの報知に加えてまたはそれに代えて、サービスセンターに画像形成装置1の経時変化の状態を通知するデータ送信処理を行ってもよい。
図10にはモータ駆動回路21の構成の例が示されている。
定着モータ30として、DCブラシレスモータ、例えばセンサレス型の永久磁石同期電動機(PMSM:Permanent Magnet Synchronous Motor)を用いることができる。
定着モータ30は、回転磁界を発生させる電機子としての固定子と、永久磁石を用いた回転子32とを備えている。固定子31は、120度間隔で配置されたU相、V相、W相のコア、およびY結線された3つの捲線(コイル)33,34,35を有している。
モータ駆動回路21は、定着モータ30に対して、d−q座標系を基本とした制御モデルを用いて回転磁界の磁束の方向および大きさを決めるベクトル制御を行う。ベクトル制御では、捲線33〜35に流れる3相の交流電流を、回転子である永久磁石と同期して回転している2相の捲線に流す直流電流に変換して制御を簡単化する。
制御モデルは、永久磁石の磁束方向をd軸とし、d軸から電気角でπ/2[rad](90°)進んだ方向をq軸とするものである。d軸およびq軸はモデル軸である。U相の捲線33を基準とすると、d軸の進み角θは、U相の捲線33に対する磁極の角度位置(磁極位置)を示す。d−q座標系は、U相の捲線33を基準としてこれより角度θだけ進んだ位置にある。
捲線33〜35に流す電流のうち、q軸の方向に流れるq軸成分は、誘起電圧定数に応じて定着モータ30を正転または逆転させる方向のトルク(回転トルク)に変換される。d軸の方向に流れるd軸成分(d軸電流)は、トルクには変換されず、捲線33〜35において熱として消費される。
モータ駆動回路21は、ベクトル制御部23、速度推定部24、磁極位置推定部25、3相インバータ26、電流検出部27、および座標変換部28などを有している。
3相インバータ26は、ベクトル制御部23から入力される制御信号U+,U−,V+,V−,W+,W−に従って、捲線33,34,35に電流を流して定着モータ30を回転させる。
電流検出部27は、捲線33,34に流れる電流Iu,Ivを検出する。Iu+Iv+Iw=0であるので、検出した電流Iu,Ivの値から計算によって電流Iwを求めることができる。なお、W相電流検出部を有してもよい。
ベクトル制御部23は、速度推定部24から入力される推定速度ωmおよび磁極位置推定部25から入力される推定角度θmに基づいて、目標速度ω*で回転する回転磁界が生成されるよう3相インバータ26を制御する。ベクトル制御部23は、速度制御部231、電流制御部232、および電圧パターン生成部233を有する。
速度制御部41は、上述の回転指令部172からの速度指令値(目標速度)ω*と速度推定部24からの推定速度ωmとの差を零に近づける比例積分制御(PI制御)のための演算を行い、d−q座標系の電流指令値Id*,Iq*を決定する。
電流制御部232は、電流指令値Id*,Iq*と座標変換部28から入力される推定電流値Id,Iqとの差を零に近づける比例積分制御のための演算を行い、d−q座標系の電圧指令値Vd*,Vq*を決定する。
電圧パターン生成部233は、磁極位置推定部25から入力される推定角度θmに基づいて、電圧指令値Vd*,Vq*をU相、V相、およびW相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に変換する。そして、電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に基づいて制御信号U+,U−,V+,V−,W+,W−のパターンを生成し、3相インバータ26へ出力する。
速度推定部24は、第1演算部241および第2演算部242などを有し、回転子32の捲線33〜35に流れる電流Iu,Iv,Iwに基づいて回転子32の回転速度を推定する。
第1演算部241は、電圧パターン生成部43により決定された電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に基づいて、d−q座標系の電流値Idb,Iqbを算出する。
第2演算部242は、座標変換部28からの推定電流値Id,Iqと第1演算部241による電流値Idb,Idbとの差に基づいて、いわゆる電圧電流方程式に従って推定速度(速度推定値)ωmを求める。推定速度ωmは、速度制御部231および磁極位置推定部25に入力される。
磁極位置推定部25は、推定速度ωmに基づいて定着モータ30の回転子の磁極位置を推定する。すなわち、推定速度ωmを積分することにより推定角度θmを算出する。
座標変換部28は、電流検出部27により検出されたU相の電流IuおよびV相の電流Ivの各値からW相の電流Iwの値を算出する。そして、推定角度θmと3相の電流Iu,Iv,Iwの値とに基づいて、d−q座標系の推定電流値(d軸電流値Idおよびq軸電流値Iq)を算出する。
上に述べた通り、q軸電流値Iqは、トルクTの大きさを示す検出情報としてトルク測定部173により取得される。
図11には画像形成装置における処理の流れが、図12には基準温度時の処理の流れが、図13には副基準温度時の処理の流れが、図14には残存状態の判定処理の流れが、それぞれ示されている。
図11において、印刷ジョブにより指定された印刷を行い(#301)、定着ベルト71の経時変化の判定および予測のための測定データを取得するべき測定タイミング(定期測定タイミング)であるか否かをチェックする(#301)。つまり、前回の定期測定からの走行距離Lの増加分が測定間隔ΔLに相当する値になったか否かをチェックする。
現在が定期測定タイミングである場合に(#301でYES)、今回の印刷の印刷モードをチェックする(#303)。
今回の印刷の印刷モードが定着温度Hを基準温度H0に設定するモード(例えば標準のカラー印刷モード)であれば、基準温度時の処理を行う(#304)。今回の印刷の印刷モードが定着温度Hを副基準温度H1に設定するモード(例えば標準のモノクロ印刷モード)であれば、副基準温度時の処理を行う(#305)。
ステップ#302でNOの場合、およびステップ#302において今回の印刷の印刷モードが定着温度Hを基準温度H1でもなく副基準温度H1でもない温度に設定するモードであった場合は、直ちに図11のフローの処理を終える。
図12に示すように基準温度時の処理において、基準時トルクT0を測定する(#401)。その後、前回の印刷の印刷モードをチェックする(#402)。
前回の印刷の印刷モードが定着温度Hを副基準温度H1に設定するモードであれば、前回の印刷からの経過時間および積算印刷枚数の増加分がそれぞれのしきい値以下であるか否かをチェックする(#403)。つまり、前回の印刷に際して測定した最新の副基準時トルクT1が注目副基準時トルクT1’であるか否かをチェックする。
最新の副基準時トルクT1が注目副基準時トルクT1’である場合は(#403でYES))、ステップ#401で測定した基準時トルクT0と最新の副基準時トルクT1とのトルク相対値TRを算出する(#404)。
そして、算出したトルク相対値TRと今回の測定時の走行距離Lとを対応付けて記憶する(#405)。
他方、前回の印刷の印刷モードが定着温度Hを基準温度H0に設定するモードである場合には、定着ベルト71の寿命を予測するタイミングであるか否かをチェックする(#406)。寿命を予測するタイミングであれば(#406でYES)、余命LBを算出して必要に応じて報知する寿命予測処理を行う(#407)。
ステップ#402において前回の印刷の印刷モードが定着温度Hを基準温度H1でもなく副基準温度H1でもない温度に設定するモードであった場合、ステップ#403でNOの場合、およびステップ#406でNOの場合は、直ちに図11のフローに戻る。
図13に示すように副基準温度時の処理においては、まず、副基準時トルクT1を測定する(#501)。
続いて、図7に示したように、過去のトルク相対値TRの変化を近似して今回の測定を行ったタイミングにおけるトルク相対値TRを算出し(#502)、算出したトルク相対値TRに基づいて係数αを特定し、(4)式を用いて基準時トルクT0を算出する。そして、算出した基準時トルクT0およびトルク相対値TRを、今回の測定時の走行距離Lと対応付けて記憶する。
その後、残存状態の判定処理を行い(#505)、寿命を予測するタイミングである場合に(#506でYES)、余命LBを算出して必要に応じて報知する寿命予測処理を行う(#507)。ステップ#506でNOの場合は、寿命予測処理を行うことなく図11のフローに戻る。
図14に示すよう残存状態の判定処理においては、トルク相対値TRの変化率TRrが所定のしきい値以下であるか否かをチェックする(#601)。このチェックの結果がYESである場合に、トルク相対値TRの変化が飽和していると判断して潤滑剤80の残存の状態を潤滑膜切れ状態であると判断する(#602)。
図15には制御回路100の機能的構成の変形例が示されている。図15において、図6と同一の機能を有する要素には図6と同一の符合を付し、それらの説明を省略しまたは簡略化する。
画像形成装置1bは、サービスセンターに設置されたサーバ93とネットワーク90を介して通信可能に接続される。ネットワーク90は、例えば、インターネットまたはその他の広域ネットワークとそれに接続されるLAN(Local Area Network)と含んで構成される。
画像形成装置1bは、図1の画像形成装置1と同様のハードウェアにより構成される。すなわち、画像形成装置1bは、電子写真方式のカラープリンタであって、プリンタエンジン10とともに、定着ベルト71を接触させてシート2を加熱する定着器17、定着ベルト71を回転させる定着モータ30、および制御回路100bを備えている。
制御回路100bと図6の制御回路100との差異は、制御回路100が有する寿命予測部178および報知処理部179に代えて、制御回路100bが送信処理部180を有している点である。
送信処理部180は、トルク測定部173によって基準時トルクT0が測定されると、当該基準時トルクT0をそれの測定タイミング(走行距離L)と対応づけてサーバ93に送信する。このとき、基準時トルクT0を記憶部174を介して取得する。トルク測定部173から直接に取得するようにしてもよい。
また、送信処理部180は、第2算出部176によって基準時トルクT0が算出されると、当該基準時トルクT0をそれの算出に用いた注目副基準時トルクT1’の測定タイミング(走行距離L)と対応づけてサーバ93に送信する。
サーバ93は、画像形成装置1bから送られてきた基準時トルクT0と走行距離Lとの組を、定着ベルト71の寿命を予測するための情報として蓄積する。
サーバ93には、蓄積した基準時トルクT0に基づいて定着ベルト71の寿命LAおよび余命LBを予測する機能、および、予測の結果をサービスパーソンによる随時の閲覧が可能に保存する機能が設けられている。サービスパーソンは、基準時トルクT0の経時変化を解析し、定着ベルト71の交換の要否を判断したりメンテナンスを行う訪問スケジュールを決めたりすることができる。
図16には本発明の実施形態に係る画像形成システム200の構成が示されている。
図16に示すように、画像形成装置1cと、画像形成装置1cに印刷ジョブを入力するホスト装置91と、画像形成装置1cを管理するためのサーバ94とを、ネットワーク90を介して接続し、画像形成システム200を構築してもよい。
画像形成装置1cは、画像形成装置1と同様のハードウェアにより構成される電子写真方式のカラープリンタである。画像形成装置1cは、画像形成装置1と同様に定着モータ30のトルクTを測定する機能、および測定した基準時トルクT0または副基準時トルクT1を測定時の走行距離Lとともに測定データとして逐次にサーバ94に送信する機能を有している。
サーバ94は、画像形成装置1cから送られてきた測定データおよびそれに基づいて算出したトルク相対値TRを蓄積し、定期的に潤滑剤80の残存の状態を判定したり、定着ベルト71の寿命を予測したりする。すなわち、サーバ94は、画像形成装置1の記憶部174、第1算出部175、第2算出部176、判定部177、および寿命予測部178に相当する機能を有している。
サーバ94において判定された潤滑剤80の残存の状態を画像形成装置1cに通知し、画像形成装置1cにおけるトルクTの測定間隔ΔLの設定に反映させることができる。サーバ94において予測された寿命は、画像形成装置1cのメンテナンス管理に利用することができる。
以上の実施形態によると、取得したいタイミングにおける定着温度Hが特定の温度としての基準温度H0ではなくても、基準温度H0である場合のトルクTを示す情報として算出される基準時トルクT0を取得することができる。
上に述べた実施形態によると、基準温度H0を算出する際にトルク相対値TRを算出するので、トルクTを定期的に測定するタイミングごとのトルク相対値TRの蓄積の抜けを防ぎまたは起きにくくすることができる。これにより、トルク相対値TRの推移に基づく潤滑剤80の残量の判定の精度を高めることができる。
上に述べた実施形態においては、ベクトル制御部23からトルクを発生させるq軸電流成分の推定値(Iq)を取り出してトルクTを示す情報として用いたが、定着モータ30にトルクセンサを設け、その検出信号に基づいてトルクTを測定してもよい。3相インバータ26に電源回路から流れ込む電流、または定着モータ30の捲線33〜35から3相インバータ26へ流れる電流の検出信号に基づいてトルクTを測定してもよい。
定着ベルト71の積算使用量を表わす数値データは、走行距離Lに限らない。例えば印刷枚数(積算印刷回数)を用いてトルクTの測定タイミングを定めたり定着ベルト71の寿命を定量化したりすることができる。
上に述べた実施形態において、基準温度H0は、定着温度Hの設定における選択肢のいずれか1つに限らない。互いに値が近い複数の選択肢がある場合は、これらの選択肢をすべて基準温度H0に定めることができる。つまり、各温度でのトルクTの差が誤差程度であるような互いに近い温度のグループを、基準温度H0として定めてもよい。この場合、グループに属する種々の温度が定着温度に設定される印刷モードにおいて、基準時トルクT0としてトルクTが測定される。副基準温度H1についても同様にグループ化することができる。ただし、基準温度H0および副基準温度H1は、それらによるトルクTの差が誤差範囲を超える十分に大きい差となるように選定する必要がある。
その他、画像形成装置1,1bの全体または各部の構成、処理の内容、順序、またはタイミング、定着ベルト71の加熱の方式、定着モータ30の種類、モータ制御の方式などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
1,1b,1c 画像形成装置
2 シート(記録媒体)
17 定着器
30 定着モータ(モータ)
33,34,35 捲線
71 定着ベルト(定着部材)
73 定着ヒータ(熱源)
74 パッド
80 潤滑剤
93 サーバ(外部の装置)
171 温度制御部
173 トルク測定部
175 第1算出部
177 判定部
178 寿命予測部
180 送信処理部
H 設定温度
H0 基準温度
H1 副基準温度
Iq q軸電流値(捲線を流れる電流の値)
L1,L2,L3,L4 走行距離(測定タイミング、積算使用量)
LA 寿命
T トルク
T0 基準時トルク
T1 副基準時トルク
T1’ 注目副基準時トルク
TR トルク相対値
TRr 変化率
Tth 寿命しきい値(しきい値)
Δ ずれ
ΔL,ΔL’ 測定間隔(測定の実施間隔)
Δth 設定範囲
2 シート(記録媒体)
17 定着器
30 定着モータ(モータ)
33,34,35 捲線
71 定着ベルト(定着部材)
73 定着ヒータ(熱源)
74 パッド
80 潤滑剤
93 サーバ(外部の装置)
171 温度制御部
173 トルク測定部
175 第1算出部
177 判定部
178 寿命予測部
180 送信処理部
H 設定温度
H0 基準温度
H1 副基準温度
Iq q軸電流値(捲線を流れる電流の値)
L1,L2,L3,L4 走行距離(測定タイミング、積算使用量)
LA 寿命
T トルク
T0 基準時トルク
T1 副基準時トルク
T1’ 注目副基準時トルク
TR トルク相対値
TRr 変化率
Tth 寿命しきい値(しきい値)
Δ ずれ
ΔL,ΔL’ 測定間隔(測定の実施間隔)
Δth 設定範囲
Claims (9)
- シートを加熱する定着ベルトと当該定着ベルトを押さえるパッドとの間に潤滑剤を介在させたパッド式の定着器を有する画像形成装置であって、
定着温度を印刷モードに応じて設定される設定温度に保つように当該定着ベルトのヒータを制御する温度制御部と、
前記定着ベルトを回転させるモータの回転時のトルクを測定するトルク測定部と、
前記設定温度が基準温度であるときの前記トルクである基準時トルクと、前記設定温度が当該基準温度ではない副基準温度であるときの前記トルクである副基準時トルクでありかつ当該基準時トルクとの測定タイミングのずれが設定範囲内である注目副基準時トルクとに基づいて、当該基準時トルクと当該注目副基準時トルクとの比または差であるトルク相対値を算出する第1算出部と、
前記注目副基準時トルクではない前記副基準時トルクが測定されたタイミングの以前における前記定着ベルトの積算使用量の増加に伴う前記トルク相対値の変化率と当該副基準時トルクとに基づいて、前記定着器の経時変化を予測するための情報として、当該タイミングにおける前記基準時トルクを算出する第2算出部と、を有する、
ことを特徴とする画像形成装置。 - 前記トルク相対値の変化が飽和したことを前記潤滑剤が欠乏した状態であると判定する判定部を有する、
請求項1記載の画像形成装置。 - 前記第2算出部は、前記潤滑剤が欠乏した状態と判定された以降においては、前記副基準時トルクを前記基準時トルクの算出結果として出力する、
請求項2記載の画像形成装置。 - 前記トルク測定部は、前記潤滑剤が欠乏した状態と判定された以降においては、前記トルクの測定の実施間隔を、前記潤滑剤が欠乏した状態と判定される以前よりも短くする、
請求項2または3記載の画像形成装置。 - 前記基準時トルクがしきい値を超えるときの前記積算使用量を前記定着ベルトの寿命として予測する寿命予測部を有する、
請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。 - 前記積算使用量は、前記定着ベルトの前記パッドに対する走行距離、または印刷枚数である、
請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置。 - 前記トルク測定部は、前記モータの捲線を流れる電流の値に基づいて前記トルクを測定する、
請求項1ないし7のいずれかに記載の画像形成装置。 - 前記定着ベルトの寿命を予測する外部の装置に、前記トルク測定部によって測定された前記基準時トルク、および前記第2算出部によって算出された基準時トルクを通知する送信処理部を有する、
請求項1または2記載の画像形成装置。 - シートを加熱する定着ベルトと当該定着ベルトを押さえるパッドとの間に潤滑剤を介在させたパッド式の定着器を有する画像形成装置の経時変化を予測するための情報取得方法であって、
定着温度を印刷モードに応じて設定される設定温度に保つように当該定着ベルトのヒータを制御しかつモータにより定着ベルトを定速回転させている状態における当該モータのトルクを複数の測定タイミングごとに測定し、
前記設定温度が基準温度であるときの前記トルクである基準時トルクと、前記設定温度が当該基準温度ではない副基準温度であるときの前記トルクである副基準時トルクでありかつ当該基準時トルクとの測定タイミングのずれが設定範囲内である注目副基準時トルクとに基づいて、当該基準時トルクと当該注目副基準時トルクとの比または差であるトルク相対値を算出し、
前記注目副基準時トルクではない前記副基準時トルクが測定されたタイミングの以前における前記定着ベルトの積算使用量の増加に伴う前記トルク相対値の変化率と当該副基準温度トルクとに基づいて、前記定着器の経時変化を予測するための情報として、当該タイミングにおける前記基準時トルクを算出する、
ことを特徴とする情報取得方法。
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