JP2020086039A - 弾性ローラ - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、フィルミングの発生が良好に抑制されるとともに、製造にあたっての作業性に優れ、良好な生産性を有する弾性ローラを提供することを目的とする。
(A)両末端変性シリコーンオイル及びイソシアネート化合物を含む組成物を重合したバインダー主剤、(B)ブロックイソシアネート化合物、(C)粒子径が0.2μm以上10μm以下である、シリコーンゴム粒子及び/又はアクリル粒子、(D)希釈溶剤。
本発明の弾性ローラ1は、軸体2と、軸体2の外表面に設けられる弾性層3と、弾性層3より外側に設けられる表層4と、を備える。本発明の弾性ローラ1は、好ましくは、現像ローラとして用いられるものであるが、そのような用途に限定されるものではない。
軸体2は、好ましくは、導電特性を有する、従来公知の弾性ローラに用いられる軸体を用いることができる。軸体2は、例えば、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、及び真鍮からなる群より選択される少なくとも1種の金属で構成されていることが好ましい。なお、このような軸体2は、一般に、「芯金」の名称でも知られている。
弾性層3は、シリコーンゴムを含むゴム材料から構成される。弾性層3がシリコーンゴムを含むことで、圧縮永久歪みを低減することができるとともに、低温環境下における柔軟性に優れるという効果が得られる。
上記のゴム組成物は、架橋によりシリコーンゴムを構成するゴム成分を含有することが好ましい。このようなゴム成分としては、例えば、オルガノポリシロキサン等のシリコーン生ゴムが挙げられる。
RnSiO(4−n)/2
[Rは、置換されていてもよい一価の炭化水素基を示す。炭化水素基の炭素数は、1以上12以下が好ましく、1以上8以下がより好ましい。複数のRは同一でも異なっていてもよい。nは1.95以上2.05以下の数を示す。]
表層4は、弾性ローラ1の最表面に設けられるものである。弾性ローラ1におけるフィルミングの発生を防止するためには、少なくとも、表層4の特性を調整する必要がある。本発明においては、表層4は、下記(A)成分から(D)成分の混合物を塗布して硬化したものである。
(A)両末端変性シリコーンオイル及びイソシアネート化合物からなる組成物を重合したバインダー主剤、
(B)ブロックイソシアネート化合物、
(C)粒子径が0.2μm以上10μmである、シリコーンゴム粒子及び/又はアクリル粒子、
(D)希釈溶剤。
バインダー主剤は、両末端変性シリコーンオイル及びイソシアネート化合物からなる組成物を重合させたものである。この組成物は、必要に応じて、更に、片末端ジオール変性シリコーンオイル、並びにカーボネートポリオール及び/又は水添ブタジエンポリオールを含んでいてもよいが、カーボネートポリオール及び水添ブタジエンポリオール以外のポリオールを含有していない必要がある。この組成物にカーボネートポリオール及び水添ブタジエンポリオール以外のポリオールが含有される場合、後述する(B)成分のブロックイソシアネート化合物との相溶性が低下し、上記の混合物の硬化不良を起こすこととなる。
両末端変性シリコーンオイルは、いわゆる、反応性シリコーンオイルの1種であり、イソシアネート化合物、及び後述する(B)成分のブロックイソシアネート化合物と重合する特性を有する。よって、両末端変性シリコーンオイルは、アミノ基(1級又は2級アミノ基)、メルカプト基、又はヒドロキシル基により、シリコーン鎖の両末端が変性されていることが好ましい。これらの両末端変性シリコーンオイルは、両末端アミノ変性シリコーンオイル、両末端メルカプト変性シリコーンオイル、両末端カルボキシル変性シリコーンオイル、両末端フェノール変性シリコーンオイル、両末端カルビノール変性シリコーンオイルとして市販されている。
片末端ジオール変性シリコーンオイルは、両末端変性シリコーンオイルと同様に、反応性シリコーンオイルであるが、シリコーン鎖の一方の末端に、2つのヒドロキシル基が結合しているものである。通常、両末端変性シリコーンオイルとイソシアネート化合物とを重合させた場合、直鎖状のポリウレタンが生成するが、片末端ジオール変性シリコーンオイルを併用することにより、ポリウレタンに分岐鎖が導入され、弾性ローラ1のナノレベルの微細な粗さを向上させることができる。
本発明において、バインダー主剤の調製のために用いるイソシアネート化合物としては、シリコーンオイルに導入された反応性基との反応性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等のジイソシアネート、及びそれらのビュレット変性体、イソシアヌレート変性体、ウレタン変性体等を挙げることができる。これらのイソシアネート化合物の中でも、ヘキサメチレンジイソシアネート、及びそのビュレット変性体、イソシアヌレー卜変性体、ウレタン変性体等を使用することが好ましい。イソシアネート化合物は、その分子鎖が長いほど、より高い柔軟性を有するポリウレタンを生成することができる。
カーボネートポリオール及び水添ブタジエンポリオールは、上述のイソシアネート化合物や後述するブロックイソシアネート化合物と反応して、ポリウレタンを形成するものであるが、他のポリオールとは異なり、ブロックイソシアネート化合物との相溶性に優れている。本発明の発明者らは、他のポリオールを使用した場合、ブロックイソシアネートとの間で層分離を起こし、硬化不良につながるため、カーボネートポリオール及び水添ブタジエンポリオール以外のポリオールは、バインダー主剤を形成するための組成物には使用できないことを見出したが、カーボネートポリオール及び水添ブタジエンポリオールについては、ブロックイソシアネート化合物との相溶性が良好で、このような問題を引き起こさないことが判明した。よって、これらのポリオールを使用することにより、良好な特性を有する表層4を形成することができる。
ブロックイソシアネート化合物は、ポリウレタンの調製に通常使用される各種イソシアネート化合物(例えば、芳香族イソシアネート化合物、脂肪族イソシアネート化合物、脂環式イソシアネート化合物)を、アダクト型又はイソシアヌレート型に誘導したものであって、メチルエチルケトンオキシムにより末端封止されたイソシアヌレート型ブロックイソシアネート又はアダクト型ブロックイソシアネートを使用することができる。
表層4を形成するための混合液は、シリコーンゴム粒子及び/又はアクリル粒子を含有する。このシリコーンゴム粒子及びアクリル粒子の粒子径は、0.2μm以上10μm以下であることが好ましく、0.8μm以上5μm以下であることがより好ましい。シリコーンゴム粒子及びアクリル粒子の粒子径を上記の範囲内のものとすることにより、弾性ローラ1の表面粗さが適切に維持され、現像剤搬送性が良好に保たれる一方で、解像度を高い水準に維持して、画質の悪化を防止することができる。シリコーンゴム粒子及びアクリル粒子の粒径は、弾性ローラ1を切断処理した後に、顕微鏡により断面を観察することにより測定することができる。
希釈溶剤としては、水系溶剤、及び有機系溶剤を使用することができ、求められる乾燥速度に応じて、低沸点溶剤、高沸点溶剤を組み合わせて使用することができる。
本発明の弾性ローラ1は、軸体2と弾性層3との間、及び弾性層3と表層4との間に、接着層を備えていてもよい接着層はその電気的特性を調整することにより、弾性ローラ1としての電気的特性を調整することができ、これにより、現像ローラとしての弾性ローラ1の現像性能を良好に調整することができる。
以下に示す材料を混合して、バインダー主剤を調製するための組成物を調製し、これを、100℃から120℃で、4時間から6時間保持して、バインダー主剤を調製した。バインダー主剤を調製するための組成物を調製する際の詳細な配合については、表1に示した。
(A1)両末端ヒドロキシル基変性ジメチルシリコーンオイル
(A2)片末端ジオール変性シリコーンオイル
(A3)カーボネートジオール
(A4)水添ブタジエンジオール
(A5)イソシアネート化合物(アダクト型イソシアネート)
(A6)イソシアネート化合物(ヌレート型イソシアネート)
バインダー主剤と、下記に示す各材料を混合して、表層を形成するための混合液を調製した。混合液調整の際の詳細な配合については、表2に示した。
(B1)メチルエチルケトンオキシムで封止されたヌレート型イソシアネート
(B2)メチルエチルケトンオキシムで封止されたアダクト型イソシアネート
(C1)シリコーンゴムビーズ(平均粒子径2μm)
(C2)高復元性アクリル微粒子(平均粒子径3μm)
(C3)高復元性アクリル微粒子(平均粒子径10μm)
(D1)酢酸ブチル
(F1)シランカップリング剤
(F2)有機チタン化合物(チタンオリゴマー)
(F3)有機ジルコニウム化合物(ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート)
快削鋼SUM23で構成されている軸体(直径7.5mm、長さ274.1mm)の表面にシリコーン系プライマーを塗布した後、ギヤオーブン中で150℃乾燥させた。この操作により、軸体の外周面をプライマー処理した。
(印字濃度及びフィルミング量の測定)
製造した各現像ローラについて、以下のようにして、印字濃度及びフィルミング量を測定した。用いた画像形成装置は、型番:HL−L2360DN(ブラザー工業株式会社製)であった。この画像形成装置の現像ローラとして、製造した各現像ローラを現像装置内に装着した。次いで、温度23℃湿度55%の条件で、ベタ画像を形成し、印字評価を確認した。4000枚印刷後のフィルミング状況と、4000枚印刷後の印字濃度(ベタ印字の初期印字形成部分と終期印字形成部分との濃度段差率)を評価した。濃度測定にはX−Rite社製のX−Rite500分光濃度計を使用した。
A:濃度段差率が96〜100%であり、かつ印字ドットがきれいであった場合
B:濃度段差率が92〜95%であり、かつその他の不具合(印字ドットが粗い)があった場合
C:濃度段差率が91%以下であり、かつその他の不具合があった場合
A:0mg以上0.003mg以下
B:0.003mgより多く0.006mg以下
C:0.006mgより多い
相溶性の評価については、アズワン株式会社製の分光光度計ASV11Dにより測定した透過率を用いた。透過率60%未満をC、60%以上をB、70%以上をA、80%以上をSとした。B以上であれば合格とした。
表層を形成するための混合液を、室温で、0時間から12時間放置し、1時間ごとに粘度を測定して、その安定性を評価した。8時間以内に粘度が80mPa・s以上となったものをC、0時間から8時間の間に粘度が50mPa・s以上80mPa・s未満となったものをB、1224時間放置しても粘度が2050mPa・s未満以下に抑えられたものをAとした。本発明ではA以上を合格とした。
作製した現像ローラにおける表層、接着層について、LCRメーター(株式会社NF回路設計ブロック製)を使用して、0.01Hz及び100kHzにおける比誘電率を測定した。
2 軸体
3 弾性層
4 表層
Claims (5)
- 軸体と、前記軸体の外周面上に設けられる弾性層と、弾性層より外側に設けられる表層と、を備え、
前記表層が、下記(A)成分から(D)成分の混合物を塗布して硬化したものである、弾性ローラ;
(A)両末端変性シリコーンオイル及びイソシアネート化合物を含む組成物を重合したバインダー主剤、
(B)ブロックイソシアネート化合物、
(C)粒子径が0.2μm以上10μm以下である、シリコーンゴム粒子及び/又はアクリル粒子、
(D)希釈溶剤。 - (A)成分が、両末端変性シリコーンオイル、片末端ジオール変性シリコーンオイル、及びイソシアネート化合物を含む組成物を重合したバインダー主剤である、請求項1に記載の弾性ローラ。
- (A)成分が、両末端変性シリコーンオイル、片末端ジオール変性シリコーンオイル、イソシアネート化合物、並びにカーボネートポリオール及び/又は水添ブタジエンポリオールを含む組成物を重合させたバインダー主剤である、請求項1に記載の弾性ローラ。
- (B)成分が、メチルエチルケトンオキシムで末端封止されたイソシアヌレート型ブロックイソシアネート、又はメチルエチルケトンオキシムで末端封止されたアダクト型ブロックイソシアネートである、請求項1から3のいずれかに記載の弾性ローラ。
- さらに、弾性層及び表層の間に接着層を有し、
接着層が、有機チタン化合物及び/又は有機ジルコニウム化合物を含有する、請求項1から4のいずれかに記載の弾性ローラ。
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