JP2020085130A - 高圧タンク - Google Patents

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松本 浩司
Koji Matsumoto
浩司 松本
信一郎 亀山
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信一郎 亀山
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Abstract

【課題】繊維層に含まれる樹脂を硬化させる際に、流動する樹脂が、口金に組み付けられた冶具と口金との間の隙間に侵入することを防止することができる高圧タンクを提供する。【解決手段】高圧タンク10は、ライナー11とライナー11の軸方向の両端部に取り付けられる口金12、13とを備え、口金12、13は、ライナー11の軸方向に延在するとともにライナー11の内部に挿入される挿入部41とライナー11の外部に露出する露出部42とを有する口金本体31と、露出部42からライナー11の径方向外側に張り出す顎部32と、顎部32の外周部からライナー11の径方向内側に折り返す折り返し部33とを有することを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、ライナーとライナーの軸方向の両端部または一端部に取り付けられる口金とを備える高圧タンクに関する。
この種の高圧タンクとして、口金を装着したライナーの外表に繊維束を繰り返し巻き付けて形成した繊維層を備えるものが開示されている(特許文献1参照)。
特開2017−194150号公報
特許文献1に記載の高圧タンクは、高圧タンクが製造される際に、各製造設備において加工が行われるよう、高圧タンクの口金に対して冶具の組み付けを行っている。しかしながら、高圧タンクの外表に繊維束が繰り返し巻き付けられて形成された繊維層には樹脂が含まれており、この樹脂を硬化させる硬化工程において、昇温により樹脂の粘度(Pa・s)が低下し、流動することで、組み付けられた冶具と口金との間の隙間に樹脂が侵入してしまうおそれがある。具体的には、図6に示すように、高圧タンク1の一端部に装着された口金2に対して冶具3が組み付けられた状態で、繊維層4に含まれる樹脂を硬化させる際に、流動する樹脂5が、矢印aで示すように、冶具3と口金2との間の隙間Sに侵入してしまうおそれがあるという問題がある。
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、繊維層に含まれる樹脂を硬化させる際に、流動する樹脂が、口金に組み付けられた冶具と口金との間の隙間に侵入することを防止することができる高圧タンクを提供することを課題とする。
本発明に係る高圧タンクは、ライナーと前記ライナーの軸方向の両端部または一端部に取り付けられる口金とを備える高圧タンクであって、前記口金は、前記ライナーの軸方向に延在するとともに前記ライナーの内部に挿入される挿入部と前記ライナーの外部に露出する露出部とを有する口金本体と、前記露出部から前記ライナーの径方向外側に張り出す顎部と、前記顎部の外周部から前記ライナーの径方向内側に折り返す折り返し部と、を有することを特徴とする。
本発明に係る高圧タンクにおいては、口金が、ライナーの内部に挿入される挿入部とライナーの外部に露出する露出部とを有する口金本体と、口金本体の露出部からライナーの径方向外側に張り出す顎部と、顎部の外周部からライナーの径方向内側に折り返す折り返し部とにより構成されている。この構成により、冶具を露出部に組み付けても、高圧タンクの繊維層に含まれる樹脂を硬化させる硬化工程の際に、流動する樹脂が顎部により、露出部から冶具側に流動することが防止される。さらに、折り返し部により、流動する樹脂が顎部からライナーの径方向の内側に案内されるので、より確実に樹脂が冶具側に流動することが防止される。その結果、樹脂が冶具と口金との間の隙間に侵入することが防止される。
本発明によれば、繊維層に含まれる樹脂を硬化させる際に、流動する樹脂が、口金に組み付けられた冶具と口金との間の隙間に侵入することを防止することができる高圧タンクを提供することができる。
本発明の実施形態に係る高圧タンクの図であり、図1(a)は、高圧タンクの軸方向に沿う断面図を示し、図1(b)は、図1(a)のA−Aで切断した断面図を示す。 本発明の実施形態に係る高圧タンクの図であり、図2(a)は、口金装着部の断面図を示し、図2(b)は、顎部および折り返し部の拡大断面図を示す。 本発明の実施形態の変形例1に係る高圧タンクの図であり、図3(a)は、口金装着部の断面図を示し、図3(b)は、顎部の拡大断面図を示す。 本発明の実施形態の変形例2に係る高圧タンクの図であり、図4(a)は、口金装着部の断面図を示し、図4(b)は、溝形状の顎部の拡大断面図を示す。 本発明の実施形態の変形例3に係る高圧タンクの図であり、図5(a)は、口金装着部の断面図を示し、図5(b)は、別体構造の顎部および折り返し部の拡大断面図を示す。 従来の高圧タンクの口金装着部の断面図。
本発明に係る高圧タンクを適用した実施形態に係る高圧タンク10について図面を参照して説明する。
本実施形態に係る高圧タンク10は、図1(a)、図1(b)に示すように、ライナー11と、口金12、13と、ライナー11の外周面を被覆する繊維層14とにより構成されている。高圧タンク10は、気体を透過させにくい性質、いわゆるガスバリア性を有しており、内部には水素などの高圧のガスが充填されるようになっている。
ライナー11は、筒状の中空容器からなり、シリンダー部21と、一対のドーム部22とを有しており、ポリアミド樹脂(PA)、いわゆるナイロン(登録商標)などの高い機械的強度を有するエンジニアリングプラスチックで一体的に形成されている。なお、ライナー11は、金属材料で形成されていてもよい。
シリンダー部21は、円筒状に形成され、両端部で各ドーム部22と一体的に形成されている。各ドーム部22は、略半球体状の中空で、ライナー11の軸線に沿った長手方向端部に、ライナー11の軸線を中心とする所定の深さの凹みを有する口金装着部23を有している。口金装着部23の内周の壁面には、図1(b)の破線で示すように、均等の間隔で凹凸部23aが形成されている。
口金12は、図2(a)に示すように、口金本体31と、顎部32と、折り返し部33を有しており、金属材料によって一体的に形成されている。口金本体31は、挿入部41と、露出部42とを有しており、挿入部41および露出部42は軸心を同じくして形成されている。挿入部41および露出部42には、軸方向に貫通する段付きの貫通孔31aが形成されている。
挿入部41は、ライナー11の軸方向に延在するとともにドーム部22の内部に挿入されており、ドーム部22の口金装着部23に装着されるフランジ41aを有している。フランジ41aの外周部には、図1(b)の破線で示すように、凹凸部41bが形成されており、凹凸部41bが口金装着部23の凹凸部23aに嵌まり込むように構成されている。
露出部42は、ドーム部22の外部に露出しており、軸方向の先端部には冶具Jを装着する冶具装着部42aが円筒状に形成されている。
顎部32は、露出部42からライナー11の径方向外側に、所定の直径(mm)および厚み(mm)で、円盤状に張り出して形成されている。顎部32は、図2(b)の矢印bで示すように、繊維層14に含まれている樹脂Pを硬化させる硬化工程の際に、昇温により粘度(Pa・s)が低下した樹脂Pが露出部42から冶具J側に流動することを防止する機能を有している。
折り返し部33は、顎部32の外周部からライナー11の径方向内側に所定の幅(mm)で湾曲状に折り返して形成されている。折り返し部33は、顎部32と同様、繊維層14に含まれている樹脂Pを硬化させる硬化工程の際に、昇温により粘度(Pa・s)が低下した樹脂Pを、図2(b)の矢印bで示すように、顎部32からライナー11の径方向の内側に案内し、樹脂Pが露出部42から冶具J側に流動することを防止する機能を有している。
なお、顎部32の所定の直径(mm)および厚み(mm)と、折り返し部33の所定の幅(mm)は、ライナー11、口金12、13、繊維層14に含まれる樹脂Pの設定諸元や実験値などのデータに基づいて適宜選択される。
口金13は、図1(a)に示すように、口金12と同様に形成されているが、挿入部41および露出部42を貫通する貫通孔31aおよび冶具装着部42aが異なっている。口金13の挿入部41には、ライナー11の内部に向かって開口する段付きの穴13aが形成されている。口金13の露出部42には、先端部に冶具Jを装着する段付きの穴13bが形成されている。口金13も、口金12と同様に、金属材料で形成されている。
繊維層14は、図1(b)に示すように、ライナー11の外周面を覆う層からなり、炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)やガラス繊維強化プラスチック(GFRP:Glass Fiber Reinforced Plastics)などのプラスチックの繊維束がライナー11の外周面に繰り返し巻回されることにより形成されている。
繊維束は、数十本の単繊維を撚り合わせて1本の糸にした、いわゆるマルチフィラメントが、数千〜数万本程度束ねられた繊維束からなる。繊維束に樹脂を含浸させながら、または、あらかじめ樹脂を含侵させた繊維束がライナー11の外周面に繰り返し巻回される。繊維束に含浸させる樹脂は、例えば、エポキシ樹脂(EP)、ポリエステル樹脂(PE)やポリアミド樹脂(PA)などの熱硬化性樹脂からなる。
以上のように構成された実施形態に係る高圧タンク10の効果について説明する。
本実施形態に係る高圧タンク10は、口金12が、ライナー11の内部に挿入される挿入部41とライナー11の外部に露出する露出部42とを有する口金本体31を備え、口金本体31が、露出部42からライナー11の径方向外側に張り出す顎部32と、顎部32の外周部からライナー11の径方向内側に折り返す折り返し部33とにより構成されている。
この構成により、冶具Jを露出部42に組み付けても、高圧タンク10を構成する繊維層14に含まれる樹脂Pを硬化させる硬化工程の際に、流動する樹脂Pが顎部32により、露出部42から冶具J側に流動することが防止されるという効果が得られる。さらに折り返し部33により、流動する樹脂Pが顎部32からライナー11の径方向の内側に案内されるので、より確実に樹脂Pが冶具J側に流動することが防止される。その結果、樹脂Pが冶具Jと口金12との間の隙間Sに侵入することが防止されるという効果が得られる。
本実施形態に係る高圧タンク10においては、口金12を口金本体31と、顎部32と、折り返し部33とを有する構造で構成した場合について説明した。しかしながら、本発明に係る高圧タンクにおいては、口金12を口金本体31、顎部32および折り返し部33と異なる構造で構成してもよい。
以下、本実施形態の口金12を異なる構造で構成した変形例1に係る高圧タンク10A、変形例2に係る高圧タンク10Bおよび変形例3に係る高圧タンク10Cについて図面を参照して説明する。なお、変形例1、変形例2および変形例3に係るタンク10A、10Bおよび10Cの構成と、実施形態に係るタンク10の構成が同一の場合は、同一の符号を付し、主に異なる構成について説明する。
(変形例1)
変形例1に係るタンク10Aは、図3(a)に示すように、口金12Aが口金本体31と、顎部32Aとにより構成されており、顎部32Aは、露出部42からライナー11の径方向外側に、所定の直径(mm)および厚み(mm)で、円盤状に張り出して形成されている。顎部32Aは、基部61から外周部62に向かって、ドーム部22の方向に向かって傾斜している。
顎部32Aは、図3(b)の矢印cで示すように、繊維層14に含まれている樹脂Pを硬化させる硬化工程の際に、昇温により粘度(Pa・s)が低下した樹脂Pが露出部42から冶具J側に流動することを防止する機能を有している。
以上のように構成された実施形態の変形例1に係る高圧タンク10Aは、実施形態に係る高圧タンク10と同様の効果が得られる。即ち、冶具Jを露出部42に組み付けても、高圧タンク10Aを構成する繊維層14に含まれる樹脂Pを硬化させる硬化工程の際に、流動する樹脂Pが顎部32Aにより、露出部42から冶具J側に流動することが防止される。その結果、樹脂Pが冶具Jと口金12Aとの間の隙間Sに侵入することが防止されるという効果が得られる。
(変形例2)
変形例2に係るタンク10Bは、図4(a)に示すように、口金12Bが口金本体31と、顎部32Bとにより構成されており、顎部32Bは、露出部42からライナー11の径方向内側に、所定の深さ(mm)および所定の幅(mm)の溝71により形成されている。溝71における露出部42の先端部側の内壁面は、溝71の底面から開口に向かってドーム部22側に傾斜する傾斜面で形成されている。また、溝71における挿入部41側の内壁面は、溝71の底面から開口に向かってドーム部22側に傾斜する傾斜面で形成されている。
顎部32Bは、図4(b)の矢印dで示すように、繊維層14に含まれている樹脂Pを硬化させる硬化工程の際に、昇温により粘度(Pa・s)が低下した樹脂Pが露出部42から冶具J側に流動することを防止する機能を有している。
以上のように構成された実施形態の変形例2に係る高圧タンク10Bは、実施形態に係る高圧タンク10と同様の効果が得られる。即ち、冶具Jを露出部42に組み付けても、高圧タンク10Bを構成する繊維層14に含まれる樹脂Pを硬化させる硬化工程の際に、流動する樹脂Pが顎部32Bにより、露出部42から冶具J側に流動することが防止される。その結果、樹脂Pが冶具Jと口金12Bとの間の隙間Sに侵入することが防止されるという効果が得られる。
(変形例3)
変形例3に係るタンク10Cは、図5(a)に示すように、口金12Cが口金本体31と、顎部32Cと、折り返し部33Cとにより構成されている。顎部32Cおよび折り返し部33Cは一体的に形成されているが、顎部32Cおよび折り返し部33Cは、実施形態の口金12とは異なり、口金本体31とは別体で形成されている。
顎部32Cは、実施形態の顎部32と同様の形状で形成され、折り返し部33Cは実施形態の折り返し部33と同様の形状で形成されている。
顎部32Cは、図5(b)の矢印eで示すように、実施形態の顎部32と同様、繊維層14に含まれている樹脂Pを硬化させる硬化工程の際に、昇温により粘度(Pa・s)が低下した樹脂Pが露出部42から冶具J側に流動することを防止する機能を有している。
折り返し部33Cは、実施形態の折り返し部33と同様、繊維層14に含まれている樹脂Pを硬化させる硬化工程の際に、昇温により粘度(Pa・s)が低下した樹脂Pを、図5(b)の矢印eで示すように、顎部32Cからライナー11の径方向の内側に案内し、樹脂Pが露出部42から冶具J側に流動することを防止する機能を有している。
以上のように構成された実施形態の変形例3に係る高圧タンク10Cは、実施形態に係る高圧タンク10と同様の効果が得られる。即ち、冶具Jを露出部42に組み付けても、高圧タンク10Cを構成する繊維層14に含まれる樹脂Pを硬化させる硬化工程の際に、流動する樹脂Pが顎部32Cにより、露出部42から冶具J側に流動することが防止される。その結果、樹脂Pが冶具Jと口金12Cとの間の隙間Sに侵入することが防止されるという効果が得られる。
さらに折り返し部33Cにより、流動する樹脂Pが顎部32Cからライナー11の径方向の内側に案内されるので、より確実に樹脂Pが冶具J側に流動することが防止され、樹脂Pが冶具Jと口金12Cとの間の隙間Sに侵入することが防止されるという効果が得られる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
10,10A,10B,10C・・・高圧タンク、11・・・ライナー、12,12A,12B,12C,13・・・口金、13a,13b・・・穴、14・・・繊維層、21・・・シリンダー部、22・・・ドーム部、23・・・口金装着部、23a,41b・・・凹凸部、31・・・口金本体、32,32A,32B,32C・・・顎部、31a・・・貫通孔、33,33C・・・折り返し部、41・・・挿入部、41a・・・フランジ、42・・・露出部、42a・・・冶具装着部、61・・・基部、62・・・外周部、71・・・溝、J・・・冶具、P・・・樹脂、S・・・隙間

Claims (1)

  1. ライナーと前記ライナーの軸方向の両端部または一端部に取り付けられる口金とを備える高圧タンクであって、
    前記口金は、前記ライナーの軸方向に延在するとともに前記ライナーの内部に挿入される挿入部と前記ライナーの外部に露出する露出部とを有する口金本体と、前記露出部から前記ライナーの径方向外側に張り出す顎部と、前記顎部の外周部から前記ライナーの径方向内側に折り返す折り返し部と、を有することを特徴とする高圧タンク。
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