JP2020084876A - 内燃機関の吸気装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸気装置の内表面に付着した燃料に、ヒータにおいて発生した熱を効率的に伝えることにより、燃料の気化を効率的に促進することが可能な内燃機関の吸気装置を提供する。【解決手段】この内燃機関Eの吸気装置5は、吸気ポート11の内表面11aと対向する外側ポート部材52と、外側ポート部材52の内側に配置された内側ポート部材53と、内側ポート部材53の内側に配置されたヒータ54とを備える。内側ポート部材53は、吸気ポート11の吸気流れ方向Aの直交する方向においてヒータ54の外側に積層されるとともに、ヒータ54からの熱を断熱するように構成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の吸気装置、特に、ヒータを備える内燃機関の吸気装置に関する。
従来、ヒータを備える内燃機関の吸気装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、空気および燃料を含む混合気が供給される樹脂製のライナ部材と、電熱線とを備える内燃機関の吸気ポート構造が開示されている。上記特許文献1のライナ部材は、円筒スリーブ状に形成されている。上記特許文献1の吸気ポート構造では、ライナ部材は、シリンダヘッドの吸気ポート部に挿入されている。上記特許文献1の吸気ポート構造では、電熱線は、ライナ部材の外周部に螺旋状に巻き付けられている。上記特許文献1の吸気ポート構造では、電熱線は、ライナ部材の外周部に巻き付けられた状態で、ライナ部材に一体成型されるかまたは絶縁層によりコーティングされる(覆う)ことによって固着されている。
ここで、上記特許文献1の吸気ポート構造では、ライナ部材の周囲温度が低下した際に、ライナ部材に供給された混合気のうち燃料が、ライナ部材の内表面に付着したまま残る場合がある。そのため、上記特許文献1の吸気ポート構造では、ライナ部材の周囲温度が低下したことに基づいて、電熱線によりライナ部材が加熱される。これにより、上記特許文献1の吸気ポート構造では、ライナ部材の内表面に付着した燃料の気化を促進している。
特許第4807232号公報
しかしながら、上記特許文献1の吸気ポート構造では、電熱線によるライナ部材の加熱の際、電熱線において発生した熱が、ライナ部材の内表面に熱伝達するだけでなく、ライナ部材の外側の部材および空間に逃げてしまいやすいという不都合がある。このため、上記特許文献1の吸気ポート構造では、ライナ部材の内表面に付着した燃料に、電熱線(ヒータ)において発生した熱が効率的に伝わらないので、燃料の気化を効率的に促進できないという問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、吸気装置の内表面に付着した燃料に、ヒータにおいて発生した熱を効率的に伝えることにより、燃料の気化を効率的に促進することが可能な内燃機関の吸気装置を提供することである。
上記目的を達成するために、この発明の一の局面における内燃機関の吸気装置は、シリンダヘッド内の吸気ポートに挿入され、吸気ポートの内表面と対向する外側ポート部材と、外側ポート部材の内側に配置された内側ポート部材と、外側ポート部材および内側ポート部材の内側に形成され、気筒に供給される空気および燃料を含む混合気を流す吸気通路と、内側ポート部材の内側に配置されたヒータとを備え、内側ポート部材は、吸気ポートの吸気流れ方向の直交する方向においてヒータの外側に積層されるとともに、ヒータからの熱を断熱するように構成されている。なお、外側ポート部材の内側に配置される内側ポート部材とは、外側ポート部材の内表面から外表面までの厚みの中央部分よりも内表面側に、内側ポート部材の少なくとも一部が配置されている場合を含む広い概念である。
この発明の一の局面による内燃機関の吸気装置では、上記のように、内側ポート部材を、吸気ポートの吸気流れ方向の直交する方向においてヒータの外側に積層されるとともに、ヒータからの熱を断熱するように構成する。これにより、ヒータの加熱の際、内側ポート部材により、ヒータにおいて発生した熱の内側ポート部材への熱伝達が抑制されるので、ヒータの熱が所望の加熱箇所以外に逃げることを抑制することができる。この結果、吸気装置の内表面に付着した燃料に、ヒータにおいて発生した熱を効率的に伝わりやすくすることができるので、燃料の気化を効率的に行うことができる。また、ヒータを外側ポート部材に設けることにより、この点でも、吸気装置の内表面に付着した燃料の気化を促進することができる。これにより、内燃機関では、燃焼室内の空燃比を安定させることができるので、燃焼室内が理想的な燃焼状態になり未燃焼排出ガスを低減させることができる。
上記一の局面による内燃機関の吸気装置において、好ましくは、ヒータを吸気通路側から覆うヒータ保護部をさらに備え、ヒータ保護部は、内側ポート部材よりも断熱性が低い。
このように構成すれば、ヒータからの熱が内側ポート部材よりもヒータ保護部の方に熱伝達しやすいので、吸気装置の内表面に付着した燃料に、ヒータにおいて発生した熱をより効率的に伝わりやすくすることができる。
この場合、好ましくは、ヒータ保護部、ヒータ、内側ポート部材および外側ポート部材は、吸気ポートの吸気流れ方向の直交する方向において順に積層されている。
このように構成すれば、ヒータからの放熱を外側ポート部材に熱伝達しにくくするために、ヒータと外側ポート部材との間に内側ポート部材が配置されることにより、外側ポート部材へヒータの熱が逃げることを抑制することができる。また、ヒータとヒータ保護部とを直接的に積層することにより、ヒータからの熱が内側ポート部材よりもヒータ保護部の方により熱伝達しやすくすることができる。これらの結果、吸気装置の内表面に付着した燃料に、ヒータにおいて発生した熱をより一層効率的に伝わりやすくすることができる。
上記ヒータ保護部、ヒータ、内側ポート部材および外側ポート部材が積層された内燃機関の吸気装置において、好ましくは、外側ポート部材は、吸気ポートの吸気流れ方向の直交する方向に内表面を窪ませた凹部を含み、ヒータ保護部、ヒータおよび内側ポート部材は、外側ポート部材の凹部に、吸気ポートの吸気流れ方向に直交する方向においてヒータ保護部、ヒータおよび内側ポート部材の順に積層された状態で埋め込まれている。
このように構成すれば、ヒータにおいて発生した熱を所望の加熱箇所以外へ逃がさないため、ヒータ保護部、ヒータおよび内側ポート部材を上記した順に積層させた状態の伝熱構造を、外側ポート部材の凹部に埋め込むことにより、吸気通路を流れる吸気に起因するヒータの温度低下を抑制することができる。また、上記伝熱構造を外側ポート部材に内蔵することができるので、上記伝熱構造の大型化および複雑化を抑制することができる。
上記一の局面による内燃機関の吸気装置において、好ましくは、外側ポート部材および内側ポート部材には、共に、吸気ポートに燃料を供給するインジェクタから噴射された燃料を導入する開口部が形成されている。
このように構成すれば、インジェクタから噴射される燃料を、開口部を介して内側ポート部材の内側の吸気通路に容易に供給することができる。
この場合、好ましくは、ヒータは、内側ポート部材の内表面に沿って設けられるとともに、内側ポート部材の開口部が形成された部分に対応する部分が開口した面状ヒータを含む。
このように構成すれば、面状ヒータを内側ポート部材の内表面に沿って配置することができるので、吸気装置の内表面に付着した燃料にヒータにおいて発生した熱をより効率的に伝えることができる。
なお、上記一の局面による内燃機関の吸気装置において、以下のような構成も考えられる。
(付記項1)
すなわち、上記一の局面による内燃機関の吸気装置において、外側ポート部材が吸気ポートに挿入された状態において、外側ポート部材の外表面と吸気ポートの内表面との間には、断熱層としての空気層が形成されている。
このように構成すれば、シリンダヘッドの温度が上昇し高温となったとしても、シリンダヘッドから外側ポート部材への熱伝達を抑制することができるので、吸気通路内の吸気の温度の上昇を抑制することができる。
(付記項2)
上記ヒータ保護部、ヒータ、内側ポート部材および外側ポート部材が積層される内燃機関の吸気装置において、吸気ポートの吸気流れ方向の直交する方向において順に積層されている内側ポート部材は、発泡樹脂材を含み、内側ポート部材の発泡樹脂材は、吸気ポートの吸気流れ方向に直交する方向において、ヒータと外側ポート部材との間に配置されている。
このように構成すれば、内側ポート部材を発泡樹脂材とすることにより、内側ポート部材の断熱性を向上させることができるとともに、内側ポート部材の軽量化を図ることができる。
(付記項3)
この場合、外側ポート部材は、非発泡樹脂材を含む。
このように構成すれば、耐熱性が低い発泡樹脂材を外側から発泡樹脂材よりも耐熱性が高い非発泡樹脂材である外側ポート部材により覆うことができるので、内側ポート部材の耐熱性を確保することができる。
(付記項4)
上記一の局面による内燃機関の吸気装置において、外側ポート部材は、吸気ポートの吸気流れ方向の下流側端部に、吸気通路の断面部の中心部に向かって突出するフランジ部を有し、内側ポート部材は、吸気ポートの吸気流れ方向の逆方向側からフランジ部により覆われている。
このように構成すれば、燃焼室内の高温ガスが吸気ポートに流入した場合、外側ポート部材により内側ポート部材が覆われていることによって、内側ポート部材に高温ガスが直接的に接触しないので、内側ポート部材の損傷を抑制することができる。
(付記項5)
上記ヒータ保護部を備える内燃機関の吸気装置において、ヒータ保護部は、樹脂材または樹脂製フィルムにより構成されている。
このように構成すれば、ヒータ保護部を簡易な構成にすることができる。
(付記項6)
上記一の局面による内燃機関の吸気装置において、外側ポート部材、内側ポート部材およびヒータは、吸気ポートの吸気流れ方向から視て、インジェクタ側が開放されたU字形状またはC字形状に形成されている。
このように構成すれば、インジェクタから噴射される燃料を、吸気通路に容易に供給することができるとともに、内燃機関の吸気装置の構造を簡易な構造にすることができる。
本実施形態によるインテークポートをシリンダヘッドに取り付けた状態を示した断面図である。 本実施形態によるインテークポートの斜視図である。 本実施形態によるインテークポートの分解斜視図である。 本実施形態によるインテークポートの吸気方向に直交する方向の断面図である。 図4の100−100線に沿った断面と温度センサと制御部とを示した模式図である。 本実施形態によるインテークポートを備えるエンジンの制御部において実施されるエンジン初動時のヒータ加熱処理を示したフローチャートである。 本実施形態によるインテークポートを備えるエンジンの制御部において実施されるエンジン再始動時のヒータ加熱処理を示したフローチャートである。 本実施形態の第1変形例による図4の100−100線に相当する断面図である。 本実施形態の第2変形例による図4の100−100線に相当する断面図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態では、吸気ポート11の内部を流れ、燃焼室12内に吸入される気流の流れ(以下、吸気流れ方向A)に基づいて上流および下流を定義する。また、複数の気筒2(図1では1つのみ図示)のエンジンEが図示しない車両に搭載された状態において、気筒2の延びる方向をZ方向(上下方向)とし、Z方向の一方をZ1方向(上方向)とし、Z方向の他方をZ2方向(下方向)と定義する。複数の気筒2の並ぶ方向をX方向(前後方向)とし、X方向の一方をX1方向(前方向)とし、X方向の他方をX2方向(後方向)と定義する。Z方向およびX方向に直交する方向をY方向(左右方向)とし、Y方向の一方をY1方向(右方向)とし、Y方向の他方をY2方向(左方向)と定義する。
自動車用のエンジンE(特許請求の範囲の「内燃機関」の一例)は、図1に示すように、シリンダブロック(図示せず)のZ1方向側にシリンダヘッド1を固定させた構造となっている。シリンダヘッド1は、燃焼室12に連通する複数の吸気ポート11および複数の排気ポート13を有している。また、シリンダヘッド1は、燃焼室12と複数の吸気ポート11および複数の排気ポート13のそれぞれとを連通させる開口を開閉する吸気バルブ14および排気バルブ15を有している。
ここで、吸気ポート11では、燃焼室12と吸気ポート11とを連通させる開口付近の部分が、Y2方向に沿った方向(水平方向)に延びている。なお、吸気ポート11では、Y1方向側の開口から燃焼室12と吸気ポート11とを連通させる開口までの全体にわたって、Y2方向に向かうにしたがいZ2方向に傾斜する下り勾配としてもよい。
エンジンEは、気筒2の燃焼室12内に空気Kおよび燃料Fを含む混合気Mを供給するように構成されている。具体的には、エンジンEは、インジェクタ3と、インテークマニホールド4とを備えている。
インジェクタ3は、燃焼室12に向けて流れる空気Kに、霧状の燃料Fを噴射するように構成されている。インジェクタ3は、吸気ポート11内における吸気流れ方向Aに対してZ1方向(上方向)側に傾けられてシリンダヘッド1に取り付けられている。インジェクタ3は、燃焼室12に向かうにしたがい周囲に拡散するように、燃料Fを噴射する。燃料Fは、たとえば、ガソリン、ガス燃料またはエタノールなどである。このように、エンジンEは、燃料Fが吸気ポート11内に噴射されるポート噴射式のエンジンである。
インテークマニホールド4は、燃焼室12内に空気Kを供給するように構成されている。
具体的には、インテークマニホールド4は、樹脂により形成されている。インテークマニホールド4は、サージタンク(図示せず)と、吸気管41と、取付部42とを有している。サージタンクは、空気Kを一時的に貯留させる。サージタンクは、インテークマニホールド4において、吸気流れ方向Aの上流側端部に配置されている。吸気管41は、内部に形成された通路に沿って空気Kを流す。吸気管41は、サージタンクよりも下流側に配置されている。吸気管41は、サージタンクと取付部42とを接続する。取付部42は、インテークマニホールド4をシリンダヘッド1に固定する締結具(図示せず)を挿入するために設けられている。取付部42は、フランジ形状を有している。インテークマニホールド4は、シリンダヘッド1に取付部42を介して固定されている。
(インテークポート)
エンジンEは、インテークマニホールド4から燃焼室12に供給される空気Kに対して、シリンダヘッド1からの熱伝達を抑制する樹脂製のインテークポート5(特許請求の範囲の「内燃機関の吸気装置」の一例)を備えている。このように、エンジンEは、吸気ポート11内に樹脂製のインテークポート5を挿入してシリンダヘッド1からの熱を断熱する断熱ポート構造を有している。
具体的には、図1〜図3に示すように、インテークポート5は、取付部51と、複数(4個)の外側ポート部材52と、複数(4個)の内側ポート部材53と、複数(4個)の吸気通路54と、複数(4個)のヒータ55と、複数(4個)のヒータ保護フィルム56(特許請求の範囲の「ヒータ保護部」の一例)とを含んでいる。
ここで、インテークポート5は、取付部51を含むフランジ部分と、外側ポート部材52、内側ポート部材53、吸気通路54、ヒータ55およびヒータ保護フィルム56を含む筒状部分とにより構成されている。また、インテークポート5では、フランジ部分がシリンダヘッド1へのインテークポート5の取り付けに用いられる部分であり、筒状部分が吸気ポート11の上流側から吸気ポート11内に挿入される部分である。
図1および図2に示すように、インテークポート5は、取付部51により、インテークマニホールド4とともにシリンダヘッド1に固定されている。インテークポート5の取付部51は、インテークマニホールド4の取付部42とシリンダヘッド1の吸気ポート11の吸入口の周囲の部分との間に配置されている。取付部51は、フランジ形状を有している。取付部51は、インテークマニホールド4をシリンダヘッド1に固定する締結具(図示せず)を挿通させるように構成されている。
インテークポート5の取付部51には、ガスケット57が配置されている。ガスケット57は、インテークポート5の取付部51の吸気ポート11側に配置されている。ガスケット57は、インテークポート5の取付部51と吸気ポート11の吸入口の周囲の部分との間から吸気ポート11内への、水などの異物の侵入を抑制するために設けられている。
〈外側ポート部材〉
次に、外側ポート部材52の説明を行うが、複数(4個)の外側ポート部材52の互いの形状は同じであるので、X2方向側の端部に配置された外側ポート部材52の構成のみについて説明を行う。また、内側ポート部材53、吸気通路54、ヒータ55およびヒータ保護フィルム56についても同様に、X2方向側の端部に配置されたもののみについて説明を行う。
図1に示すように、外側ポート部材52は、シリンダヘッド1から伝達される熱および燃焼室12からの熱に対する耐熱性を有するように構成されている。具体的には、外側ポート部材52は、非発泡樹脂材を有している。たとえば、外側ポート部材52は、耐熱性を有するポリアミド6により形成されている。これにより、外側ポート部材52が配置されている範囲において、シリンダヘッド1から伝達される熱および燃焼室12からの熱に対する物性の変化(たとえば溶解など)を抑制することが可能である。
外側ポート部材52は、シリンダヘッド1の吸気ポート11に挿入され、吸気ポート11の内表面11aと対向する。より詳細には、外側ポート部材52は、吸気流れ方向Aにおいて、吸気ポート11の上流側端部から吸気ポート11の下流側端部の近傍まで挿入可能な長さを有している。つまり、外側ポート部材52は、吸気ポート11の上流側端部から吸気ポート11の下流側端部まで、吸気ポート11の内表面11aと吸気通路54との間に配置される。これにより、吸気ポート11の上流側端部から吸気ポート11の下流側端部まで、シリンダヘッド1から吸気通路54内を流れる空気Kへの熱伝達が抑制可能である。
また、図1および図2に示すように、外側ポート部材52は、隔壁部52aと、インジェクタ用開口部58(特許請求の範囲の「開口部」の一例)と、バルブ用開口部59とを含んでいる。
隔壁部52aは、吸気通路54を流れてくる空気Kを、1つの吸気ポート11に対して設けられた吸気バルブ14の数に合わせて分ける機能を有している。すなわち、隔壁部52aは、1つの吸気ポート11に対して設けられた2つの吸気バルブ14が設けられている場合には、吸気通路54を流れてくる空気Kを二手に分けるように構成されている。具体的には、隔壁部52aは、外側ポート部材52の下流側に設けられている。隔壁部52aは、X方向における中央部分に配置されている。隔壁部52aは、外側ポート部材52の内表面52bにおいて、Z1方向側(上方向側)の面部からZ2方向側(下方向側)の面部まで設けられている。
インジェクタ用開口部58は、吸気ポート11に燃料Fを供給するインジェクタ3から噴射された燃料Fを導入するために形成されている。つまり、インジェクタ用開口部58は、インジェクタ3の燃料Fの噴射領域6よりも大きい開口面積を有している。インジェクタ用開口部58は、Z1方向側(上方向側)から視て、略矩形状(長方形状)に形成されている。ここで、インジェクタ用開口部58は、吸気流れ方向Aを長手方向とする。
インジェクタ用開口部58は、外側ポート部材52のZ1方向側の部分(上部)に設けられている。インジェクタ用開口部58は、X方向における中央部分に設けられている。インジェクタ用開口部58は、吸気流れ方向Aにおける中央部分に設けられている。インジェクタ用開口部58は、外側ポート部材52を吸気流れ方向Aに直交する方向(Z方向)に貫通している。インジェクタ用開口部58の吸気流れ方向Aの長さは、隔壁部52aの吸気流れ方向Aの上流側端部から吸気ポート11の吸気流れ方向Aの中央部までの長さよりも大きい。インジェクタ用開口部58のX方向の長さは、外側ポート部材52をZ1方向側(上方向側)から視たときの外側ポート部材52のX方向の長さよりも小さい。
外側ポート部材52は、インジェクタ用開口部58を形成した部分において、吸気流れ方向Aの下流側から視るとC字形状を有している。
バルブ用開口部59は、吸気バルブ14と外側ポート部材52との干渉を防止するために形成されている。つまり、バルブ用開口部59は、吸気バルブ14と外側ポート部材52との干渉領域よりも大きい開口面積を有している。
バルブ用開口部59は、外側ポート部材52のZ1方向側の部分(上部)に設けられている。バルブ用開口部59は、吸気流れ方向Aにおける下流側端部に設けられている。バルブ用開口部59は、外側ポート部材52の下流側端部の部分を除去することにより設けられている。バルブ用開口部59の吸気流れ方向Aの長さは、隔壁部52aの吸気流れ方向Aの長さよりも大きい。
外側ポート部材52は、バルブ用開口部59を形成した部分において、吸気流れ方向Aの下流側から視るとC字形状を有している。
このような外側ポート部材52の外表面は、図4に示すように、吸気流れ方向Aに直交する断面において、吸気ポート11の内表面11aに合わせた形状を有している。また、外側ポート部材52の外表面と吸気ポート11の内表面11aとの間隔は、略一定である。
〈内側ポート部材〉
図3および図4に示すように、内側ポート部材53は、ヒータ55からの熱の伝達を抑制する断熱材として機能するように構成されている。具体的には、内側ポート部材53は、発泡樹脂材を有している。すなわち、内側ポート部材53は、ポリアミドを発泡成形することにより形成されている。このように、内側ポート部材53は、内部にガスを封入した気泡を形成することにより断熱性能を向上させている。内側ポート部材53は、ヒータ保護フィルム56の熱伝達率の約10%以下の熱伝達率であることが好ましい。
内側ポート部材53は、外側ポート部材52の内側に配置されている。詳細には、内側ポート部材53は、外側ポート部材52に埋め込まれている。ここで、内側ポート部材53は、外側ポート部材52の内表面52bに直接接触した状態で設けられている。
図1に示すように、内側ポート部材53は、吸気流れ方向Aにおいて、外側ポート部材52の略中央部から下流側端部まで設けられている。つまり、内側ポート部材53の吸気流れ方向Aの上流側端部の配置位置は、外側ポート部材52のインジェクタ用開口部58の吸気流れ方向Aの下流側端部の位置と、外側ポート部材52のインジェクタ用開口部58の吸気流れ方向Aの上流側端部の位置との間に配置されている。
ここで、内側とは、吸気ポート11の吸気流れ方向Aに直交する断面において、吸気ポート11の内表面11aよりも吸気通路54の中心部に近い範囲を示す。なお、外側とは、吸気ポート11の吸気流れ方向Aに直交する断面において、吸気通路54の中心部よりも吸気ポート11の内表面11aに近い範囲を示す。
このように、内側ポート部材53は、外側ポート部材52の一部の内表面52bの内側に設けられている。
また、図1および図3に示すように、内側ポート部材53は、インジェクタ用開口部58と、バルブ用開口部59とを含んでいる。内側ポート部材53のインジェクタ用開口部58は、外側ポート部材52のインジェクタ用開口部58と同様の構成であるので説明を省略する。また、内側ポート部材53のバルブ用開口部59は、外側ポート部材52のバルブ用開口部59と同様の構成であるので説明を省略する。
内側ポート部材53は、吸気流れ方向Aの下流側から視るとC字形状を有している。すなわち、内側ポート部材53は、バルブ用開口部59を形成した部分において、外側ポート部材52を吸気流れ方向Aの下流側から視たときの形状に合わせた形状により形成されている。
このように、外側ポート部材52および内側ポート部材53には、共に、吸気ポート11に燃料Fを供給するインジェクタ3から噴射された燃料Fを導入するインジェクタ用開口部58が形成されている。つまり、外側ポート部材52のインジェクタ用開口部58および内側ポート部材53のインジェクタ用開口部58は、インジェクタ3からの燃料Fを吸気通路54内に噴射可能(供給可能)とするために設けられている。
上記したように、インテークポート5は、吸気ポート11に挿入される上記筒状部分(挿入部材)を、外側ポート部材52と内側ポート部材53とに分割した二分割構造により構成されている。
〈吸気通路〉
吸気通路54は、外側ポート部材52および内側ポート部材53の内側に形成され、混合気Mを流すように構成されている。つまり、吸気通路54は、外側ポート部材52および内側ポート部材53の内部空間である。具体的には、吸気通路54は、吸気流れ方向Aにおいて、外側ポート部材52および内側ポート部材53を貫通している。吸気通路54は、吸気流れ方向Aの下流側から視て、X方向の長さよりもZ方向の長さが小さい扁平形状を有している。すなわち、吸気通路54では、1つの吸気ポート11に対して設けられた吸気バルブ14の数に合わせて、吸気流れ方向Aの下流側から視たときのX方向の長さが設定される。
〈ヒータ〉
ヒータ55は、図3および図4に示すように、エンジン始動直後の冷間時(排気管に配置された三元触媒の暖気前)などにおいて、インテークポート5の内表面5aに気化せず付着した燃料Fを気化させるように構成されている。すなわち、インテークポート5は、周囲温度が低い場合であっても、インテークポート5の内表面5aに気化せず付着した燃料Fを強制的に気化させるように構成されている。これにより、冷間始動時のA/F(Air/Fuel ratio(空燃比))が安定し、燃料噴射量を少なくコントロールでき、燃焼室12内に過剰な量の燃料Fが供給されること抑制することが可能となる。
具体的には、ヒータ55は、高昇温特性を有する発熱素子を含んでいる。すなわち、ヒータ55は、エンジン初動時から微少時間(約3〜約5秒)の間に所定温度(約70℃)に達する高昇温特性を有することが好適である。このため、ヒータ55は、カーボンを主成分とする発熱素子として、たとえばカーボングラファイトまたはカーボンナノチューブなどを有している。ここで、ヒータ55は、シート状のカーボンナノチューブをヒータ保護フィルム56に貼り付ける、または、液体状のカーボンナノチューブをヒータ保護フィルム56に塗布することにより形成されることがより好ましい。
図1および図5に示すように、ヒータ55は、インテークポート5の内表面5aに気化せず付着した燃料Fに直接的に熱を与えることが可能な位置に配置されている。詳細には、ヒータ55は、内側ポート部材53の内側に配置されている。そして、ヒータ55は、インジェクタ3の噴射領域6に対応する位置に配置されている。すなわち、ヒータ55は、外側ポート部材52の先端部付近に設けられている。詳細には、ヒータ55は、吸気流れ方向Aにおいて、外側ポート部材52の中央部分から下流側端部の範囲に内蔵されている。
ヒータ55は、インテークポート5の内表面5aに拡散して付着する燃料Fに確実に熱を与えるように構成されている。具体的には、ヒータ55は、吸気流れ方向Aに直交する断面において、内側ポート部材53の内表面53aの略全体にわたって設けられている。つまり、ヒータ55は、内側ポート部材53の内表面53aに沿って設けられるとともに、インジェクタ用開口部58が形成された部分が開口した面状ヒータ7を含んでいる。
〈ヒータ保護フィルム〉
図4および図5に示すように、ヒータ保護フィルム56は、インジェクタ3から噴射された燃料Fをヒータに付着させないため、ヒータ55を保護するように構成されている。具体的には、ヒータ保護フィルム56は、ヒータ55を吸気通路54側から覆う。すなわち、ヒータ保護フィルム56は、ヒータ55の吸気流れ方向Aに直交する断面形状の全体にわたって設けられている。このように、ヒータ保護フィルム56は、ヒータ55の内表面に沿って設けられるとともに、インジェクタ用開口部58が形成された部分が開口している。
ヒータ保護フィルム56は、ヒータ55の内表面に沿わせやすい材質により形成されている。詳細には、ヒータ保護フィルム56は、樹脂製フィルムにより構成されている。ここで、ヒータ保護フィルム56は、耐熱・耐油・耐薬品の性質を有する樹脂材であることが好ましい。たとえば、ヒータ保護フィルム56としては、ポリイミドなどが好適に用いられる。
ヒータ保護フィルム56は、ヒータ55からの熱を伝達しやすいように構成されている。具体的には、ヒータ保護フィルム56は、吸気通路54側へ向かうヒータ55からの放熱を妨げないように、薄膜の樹脂製フィルムにより形成されている。すなわち、ヒータ保護フィルム56は、たとえば、厚み約0.125[mm]程度の薄い樹脂製フィルムであることが好ましい。
また、ヒータ保護フィルム56は、内側ポート部材53よりも断熱性が低い。詳細には、ヒータ保護フィルム56は、内側ポート部材53の熱伝達率の約10倍以上の熱伝達率であることが好ましい。
〈インテークポートの内部構造〉
図4および図5に示すように、本実施形態のインテークポート5の内部構造は、ヒータ55からの放熱を、ヒータ55の吸気通路54側の内表面以外の箇所に逃がさないように構成されている。なお、インテークポート5の内部構造とは、インテークポート5の内側ポート部材53およびヒータ55が設けられた箇所における吸気流れ方向Aに直交する断面の構造(図4参照)を示す。さらに、インテークポート5の内部構造とは、インテークポート5の内側ポート部材53およびヒータ55が設けられた箇所における吸気流れ方向Aに沿った断面の構造(図5参照)を示す。
具体的には、内側ポート部材53が、吸気ポート11の吸気流れ方向Aの直交する方向においてヒータ55に積層されるとともに、ヒータ55からの熱を断熱するように構成されている。つまり、内側ポート部材53の吸気通路54側の内表面53aは、ヒータ55の吸気通路54側とは反対側の外表面と面接触している。また、内側ポート部材53は、上記したように、ヒータ55からの熱を断熱する材質を有している。このように、内側ポート部材53の発泡樹脂材は、吸気流れ方向Aに直交する方向において、ヒータ55と外側ポート部材52との間に配置されている。
インテークポート5の内部構造は、四層構造により構成されている。具体的には、ヒータ保護フィルム56、ヒータ55、内側ポート部材53および外側ポート部材52は、吸気流れ方向Aの直交する方向において順に積層されている。つまり、インテークポート5では、外側ポート部材52の一部に、ヒータ保護フィルム56、ヒータ55、内側ポート部材53および外側ポート部材52による積層構造が形成されている。
ここで、ヒータ保護フィルム56の吸気通路54側とは反対側の外表面は、ヒータ55の吸気通路54側の内表面と面接触している。上記したように、ヒータ55と内側ポート部材53とは、面接触している。内側ポート部材53の吸気通路54側とは反対側の外表面は、外側ポート部材52の吸気通路54側の内表面52bと面接触している。
また、外側ポート部材52は、吸気流れ方向Aの直交する方向に内表面52bを窪ませた埋込凹部52d(特許請求の範囲の「凹部」の一例)を有している。埋込凹部52dは、吸気流れ方向Aに直交する断面において、外側ポート部材52の内表面52bの略全体にわたって形成されている。ここで、ヒータ保護フィルム56、ヒータ55、内側ポート部材53および外側ポート部材52による積層構造は、埋込凹部52dに埋め込まれるように構成されている。
具体的には、ヒータ保護フィルム56、ヒータ55および内側ポート部材53は、外側ポート部材52の埋込凹部52dに、吸気ポート11の吸気流れ方向Aに直交する方向においてヒータ保護フィルム56、ヒータ55および内側ポート部材53の順に積層された状態で埋め込まれている。つまり、インテークポート5では、ヒータ55からの放熱を所望の加熱箇所以外へ逃がさない伝熱構造が、外側ポート部材52に内蔵されている。
外側ポート部材52は、内側ポート部材53の周縁部を包み込むように構成されている。すなわち、外側ポート部材52は、内側ポート部材53よりも耐熱性を有していることにより、内側ポート部材53を熱的に保護するように構成されている。
具体的には、外側ポート部材52は、吸気流れ方向Aの下流側端部に、吸気通路54の断面部の中心に向かって突出するフランジ部52cを有している。つまり、内側ポート部材53は、吸気流れ方向Aの逆方向側からフランジ部52cにより覆われている。ここで、フランジ部52cは、埋込凹部52dの吸気流れ方向Aの端部を形成している。このように、外側ポート部材52は、フランジ部52cにより、燃焼室12(図1参照)から放出される高熱から内側ポート部材53を熱的に遮断している。
また、外側ポート部材52は、ヒータ55を設けたヒータ保護フィルム56の内側ポート部材53からの剥離を抑制するように構成されている。具体的には、外側ポート部材52は、ヒータ55を設けたヒータ保護フィルム56を吸気流れ方向Aに直交する方向から押さえる突出押さえ部52eを有している。突出押さえ部52eは、ヒータ55を設けたヒータ保護フィルム56の吸気通路54側の面の周縁部を押さえている。つまり、突出押さえ部52eは、図5に示す吸気流れ方向Aの埋込凹部52dの断面において、埋込凹部52dの吸気流れ方向A側の周縁部から、埋込凹部52dの中心に向かって突出している。
インテークポート5の内部構造では、ヒータ保護フィルム56の内表面56aと外側ポート部材52の内表面52bとが略面一に配置されている。詳細には、ヒータ保護フィルム56と、内側ポート部材53を設けた部分に隣接する外側ポート部材52の吸気通路54側の内表面52bとが、面一に設けられている。
外側ポート部材52、内側ポート部材53およびヒータ55は、吸気ポート11の吸気流れ方向Aから視て、インジェクタ3側が開放された略C字形状(略U字形状)に形成されている。つまり、外側ポート部材52、内側ポート部材53およびヒータ55は、インジェクタ3の位置に合わせて設けられるインジェクタ用開口部58により、一部を欠如させた形状に形成されている。
図1および図4に示すように、インテークポート5は、シリンダヘッド1からの熱を断熱するように構成されている。具体的には、外側ポート部材52が吸気ポート11に挿入された状態において、外側ポート部材52の外表面52fと吸気ポート11の内表面11aとの間には、断熱層としての空気層8が形成されている。すなわち、吸気流れ方向Aに直交する方向において、外側ポート部材52の断面形状は、空気層8を形成するため、吸気ポート11の断面形状よりも小さく形成されている。
上記した構成を備えるインテークポート5では、外側ポート部材52と、ヒータ55を設けた状態のヒータ保護フィルム56を内側ポート部材53に固定した接合部材とが一体的に形成されている。すなわち、インテークポート5は、外側ポート部材52に上記接合部材をインサート成型することにより形成されている。
(ECU)
図5に示すように、エンジンEは、ヒータ55の温度を計測する温度センサ9と、温度センサ9により計測した温度に基づいて、ヒータ55の温度を制御する制御部10とを備えている。
制御部10は、制御回路としてのCPU(Central Processing Unit、図示せず)と、記憶媒体としてのメモリ(図示せず)とを含むECU(Engine Control Unit)により構成されている。
制御部10は、CPUがメモリに記憶されているエンジン制御プログラムを実行することにより、エンジンEの各部を制御する。また、制御部10は、第1所定条件、第2所定条件およびヒータ55の温度などの情報を把握するように構成されている。
ここで、第1所定条件とは、エンジン初動前において、ヒータ55をプレヒート(余熱)する際の条件であり、たとえば、ワイヤレスキーを所持したユーザの車両への接近、ユーザによるドアの開錠、ユーザのシートへの着座およびユーザによるブレーキペダルの踏み込みの少なくともいずれかを含む条件である。また、第2所定条件とは、エンジン再始動前において、ヒータ55をプレヒート(余熱)する際の条件であり、たとえば、外気温、排気管に配置された三元触媒の温度、吸気ポート11の内壁面の温度およびエンジンEの冷却水の温度の少なくともいずれかを含む条件である。
制御部10は、エンジン制御プログラムにより、温度センサ9において計測された温度に基づいて、ヒータ55の過剰発熱を防止するように構成されている。また、制御部10は、エンジン制御プログラムにより、第1所定条件および第2所定条件に基づいて、インテークポート5の内表面5aに気化せず付着した燃料Fをヒータ55により確実に気化させるように構成されている。
温度センサ9は、たとえば、サーミスタ、熱電対および側温抵抗体などから最適なセンサが選択される。温度センサ9では、温度変化に対する応答の速いセンサが好適に用いられる。
(エンジン初動時のヒータ加熱処理)
以下に、制御部10による、エンジン制御処理に含まれるエンジン初動時のヒータ加熱処理について図6を参照して説明する。エンジン初動時のヒータ加熱処理は、エンジン初動前にあらかじめヒータ55の加熱を開始させておく処理である。
ステップS1において、制御部10では、第1所定条件(たとえば、ユーザによるドアの開錠)を満たしたか否かが判断される。制御部10では、第1所定条件を満たしている場合にはステップS2に進み、第1所定条件を満たしていない場合にはステップS1に戻る。ステップS2において、制御部10では、三元触媒の温度が所定温度よりも低い低温であるか否かが判断される。制御部10では、三元触媒の温度が低温である場合にはステップS3に進み、三元触媒の温度が低温ではない場合(高温の場合)にはステップS4に進みエンジンを始動させてエンジン初動時のヒータ加熱処理が終了される。
ステップS3において、制御部10では、ヒータ55による加熱が開始された後に、ステップS4に進みエンジンEが始動される。そして、ステップS4に進んだ後、制御部10では、エンジン初動時のヒータ加熱処理が終了される。
なお、制御部10では、エンジン初動時のヒータ加熱処理の終了時においてヒータ55の加熱が停止される。ここで、ヒータ55の加熱の停止のタイミングは、三元触媒の暖機完了時、エンジン始動後の所定時間(約20〜約30秒)経過後などであってもよい。
(エンジン再始動時のヒータ加熱処理)
以下に、制御部10による、エンジン制御処理に含まれるエンジン再始動時のヒータ加熱処理について図7を参照して説明する。エンジン再始動時のヒータ加熱処理は、エンジン再始動前にあらかじめヒータ55の加熱を開始させておく処理である。
ステップS11において、制御部10では、第2所定条件(たとえば、三元触媒の温度が低温)を満たしたか否かが判断される。制御部10では、第2所定条件を満たしている場合にはステップS12に進み、第2所定条件を満たしていない場合にはステップS14に進み、エンジンを始動させてエンジン再始動時のヒータ加熱処理が終了される。
ステップS12において、制御部10では、ヒータ55による加熱が開始される。ステップS13において、制御部10では、ヒータ55の温度が所定温度以上か否かが判断される。制御部10では、ヒータ55の温度が所定温度以上である場合にステップS14に進み、ヒータ55の温度が所定温度未満である場合にステップS13に戻る。
ステップS14において、制御部10では、エンジンEが始動された後、エンジン再始動時のヒータ加熱処理が終了される。
なお、制御部10では、エンジン再始動時のヒータ加熱処理の終了時においてヒータ55の加熱が停止される。ここで、ヒータ55の加熱の停止のタイミングは、三元触媒の暖機完了時、エンジン再始動後の所定時間(約20〜約30秒)経過後などであってもよい。
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、上記のように、内側ポート部材53を、吸気ポート11の吸気流れ方向Aの直交する方向においてヒータ55の外側に積層されるとともに、ヒータ55からの熱を断熱するように構成する。これにより、ヒータ55の加熱の際、内側ポート部材53により、ヒータ55において発生した熱の内側ポート部材53への熱伝達が抑制されるので、ヒータ55の熱が所望の加熱箇所以外に逃げることを抑制することができる。この結果、インテークポート5の内表面5aに付着した燃料Fに、ヒータ55において発生した熱を効率的に伝わりやすくすることができるので、燃料Fの気化を効率的に行うことができる。
また、本実施形態では、上記のように、ヒータ55を外側ポート部材52に設けることにより、この点でも、インテークポート5の内表面5aに付着した燃料Fの気化を促進することができる。これにより、エンジンEでは、燃焼室12内の空燃比を安定させることができるので、燃焼室12内が理想的な燃焼状態になり未燃焼排出ガスを低減させることができる。
また、本実施形態では、上記のように、ヒータ55を吸気通路54側から覆うヒータ保護フィルム56を設ける。ヒータ保護フィルム56は、内側ポート部材53よりも断熱性が低い。これにより、ヒータ55からの熱が内側ポート部材53よりもヒータ保護フィルム56の方に熱伝達しやすいので、インテークポート5の内表面5aに付着した燃料Fに、ヒータ55において発生した熱をより効率的に伝わりやすくすることができる。
また、本実施形態では、上記のように、ヒータ保護フィルム56、ヒータ55、内側ポート部材53および外側ポート部材52を、吸気ポート11の吸気流れ方向Aの直交する方向において順に積層する。これにより、ヒータ55からの放熱を外側ポート部材52に熱伝達しにくくするために、ヒータ55と外側ポート部材52との間に内側ポート部材53が配置されることにより、外側ポート部材52へヒータ55の熱が逃げることを抑制することができる。また、ヒータ55とヒータ保護フィルム56とを直接的に積層することにより、ヒータ55からの熱が内側ポート部材53よりもヒータ保護フィルム56の方により熱伝達しやすくすることができる。これらの結果、インテークポート5の内表面5aに付着した燃料Fに、ヒータ55において発生した熱をより一層効率的に伝わりやすくすることができる。
また、本実施形態では、上記のように、外側ポート部材52には、吸気ポート11の吸気流れ方向Aの直交する方向に内表面52bを窪ませた埋込凹部52dを設ける。ヒータ保護フィルム56、ヒータ55および内側ポート部材53を、外側ポート部材52の埋込凹部52dに、吸気ポート11の吸気流れ方向Aに直交する方向においてヒータ保護フィルム56、ヒータ55および内側ポート部材53の順に積層された状態で埋め込む。これにより、ヒータ55において発生した熱を所望の加熱箇所以外へ逃がさないため、ヒータ保護フィルム56、ヒータ55および内側ポート部材53を上記した順に積層させた状態の伝熱構造を、外側ポート部材52の埋込凹部52dに埋め込むことにより、吸気通路54を流れる吸気に起因するヒータ55の温度低下を抑制することができる。また、上記伝熱構造を外側ポート部材52に内蔵することができるので、上記伝熱構造の大型化および複雑化を抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、外側ポート部材52および内側ポート部材53には、共に、吸気ポート11に燃料Fを供給するインジェクタ3から噴射された燃料Fを導入するインジェクタ用開口部58を形成する。これにより、インジェクタ用開口部58を介して内側ポート部材53の内側にインジェクタ3から噴射される燃料Fを、吸気通路54に容易に供給することができる。
また、本実施形態では、上記のように、ヒータ55を、内側ポート部材53の内表面53aに沿って設けるとともに、内側ポート部材53のインジェクタ用開口部58が形成された部分に対応する部分が開口した面状ヒータ7に設ける。これにより、面状ヒータ7を内側ポート部材53の内表面53aに沿って配置することができるので、インテークポート5の内表面5aに付着した燃料Fにヒータ55において発生した熱をより効率的に伝えることができる。
また、本実施形態では、上記のように、外側ポート部材52が吸気ポート11に挿入された状態において、外側ポート部材52の外表面52fと吸気ポート11の内表面11aとの間に、断熱層としての空気層8を形成する。これにより、シリンダヘッド1の温度が上昇し高温となったとしても、シリンダヘッド1から外側ポート部材52への熱伝達を抑制することができるので、吸気通路54内の吸気の温度の上昇を抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、吸気ポート11の吸気流れ方向Aの直交する方向において順に積層されている内側ポート部材53を、発泡樹脂材により設ける。内側ポート部材53の発泡樹脂材を、吸気ポート11の吸気流れ方向Aに直交する方向において、ヒータ55と外側ポート部材52との間に配置する。これにより、内側ポート部材53を発泡樹脂材とすることにより、内側ポート部材53の断熱性を向上させることができるとともに、内側ポート部材53の軽量化を図ることができる。
また、本実施形態では、上記のように、外側ポート部材52を、非発泡樹脂材により設ける。これにより、耐熱性が低い発泡樹脂材を外側から発泡樹脂材よりも耐熱性の高い非発泡樹脂材を含む外側ポート部材52により覆うことができるので、内側ポート部材53の耐熱性を確保することができる。
また、本実施形態では、上記のように、外側ポート部材52に、吸気ポート11の吸気流れ方向Aの下流側端部に、吸気通路54の断面部の中心部に向かって突出するフランジ部52cを設ける。内側ポート部材53を、吸気ポート11の吸気流れ方向Aの逆方向側からフランジ部52cにより覆う。これにより、燃焼室12内の高温ガスが吸気ポート11に流入した場合、外側ポート部材52により内側ポート部材53が覆われていることによって、内側ポート部材53に高温ガスが直接的に接触しないので、内側ポート部材53の損傷を抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、ヒータ保護フィルム56を、樹脂製フィルムにより構成する。これにより、ヒータ保護フィルム56を簡易な構成にすることができる。
また、本実施形態では、上記のように、外側ポート部材52、内側ポート部材53およびヒータ55を、吸気ポート11の吸気流れ方向Aから視て、インジェクタ3側が開放されたC字形状(U字形状)に形成する。これにより、インジェクタ3から噴射される燃料Fを、吸気通路54に容易に供給することができるとともに、インテークポート5の構造を簡易な構造にすることができる。
また、本実施形態では、ヒータ55を、外側ポート部材52の先端部付近に設ける。これにより、インテークポート5の内表面5aにおいてインジェクタ3から噴射される燃料Fが付着しやすい位置にヒータ55を配置することにより、インテークポート5の内表面5aに付着した燃料Fの気化をより促進することが可能である。この結果、エンジンEでは、燃焼室12内の空燃比をより安定させることが可能であるので、燃焼室12内が理想的な燃焼状態になり未燃焼排出ガスをより低減させることが可能である。
また、本実施形態では、上記のように、外側ポート部材52に、ヒータ55を設けたヒータ保護フィルム56を吸気流れ方向Aに直交する方向から押さえる突出押さえ部52eを設ける。これにより、ヒータ保護フィルム56が剥がれることを抑制することが可能であるので、ヒータ55が吸気通路54に露出してヒータ55に燃料Fがかかることを抑制することが可能である。この結果、ヒータ55の損傷を抑制することが可能である。
また、本実施形態では、上記のように、吸気ポート11における燃焼室12と吸気ポート11とを連通させる開口付近の部分を、Y2方向に向かうにしたがいZ1方向に傾斜する上り勾配とすることなく、Y2方向に沿った方向(水平方向)に延ばしている。これにより、外側ポート部材52の外表面52fと吸気ポート11の内表面11aとの間に形成された空気層8に浸入した燃料F、水および油などを燃焼室12に容易に排出すること可能であるので、吸気ポート11の内表面11aに燃料F、水および油などが堆積することを抑制することが可能である。
[変形例]
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、ヒータ保護フィルム56(ヒータ保護部)は、樹脂製フィルムである例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ヒータ保護部は、耐熱・耐油・耐薬品の性質を有する材質であれば他の材質であってもよい。ヒータ保護部は、外側ポート部材によりヒータを包み込むことによって構成されてもよいし、金属テープであってもよい。
また、上記実施形態では、外側ポート部材52は、ポリアミド6により形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、外側ポート部材は、耐熱の性質を有する材質であれば他の材質であってもよい。
また、上記実施形態では、ヒータ保護フィルム56(ヒータ保護部)は、たとえば、厚み約0.125[mm]程度の薄い樹脂製フィルムである例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ヒータ保護部の厚みは、約0.125[mm]とは異なる厚みにしてもよい。
また、上記実施形態では、外側ポート部材52は、隔壁部52aを有する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、外側ポート部材は、隔壁部を有していなくてもよい。
また、上記実施形態では、内側ポート部材53は、ポリアミドを発泡成形することにより形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、内側ポート部材は、高い断熱性を有していればよく、ガラス、メラニン発泡材、ゴアテックス、セルロース、特殊繊維またはメッキ処理を施した樹脂材などであってもよい。
また、上記実施形態では、ヒータ55は、カーボンを主成分とする発熱素子として、カーボングラファイトまたはカーボンナノチューブなどを有している例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ヒータは、セラミックヒータ、シリコーンラバーヒータまたはステンレスヒータなどであってもよい。
また、上記実施形態では、インテークポート5の内部構造は、四層構造により構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、インテークポート205の内部構造は、図8に示す第1変形例のように、三層構造により構成されてもよい。つまり、外側ポート部材252に、埋込凹部ではなく、外側ポート部材252を貫通する貫通孔252dを形成し、貫通孔252dにヒータ保護フィルム56、ヒータ55および内側ポート部材253のそれぞれを面接触させた状態で積層した構成を埋め込んでもよい。また、インテークポート305の内部構造は、図9に示す第2変形例のように、五層構造により構成されてもよい。つまり、外側ポート部材352の埋込凹部352dに、ヒータ保護フィルム56、ヒータ55、ヒータ保護フィルム356、内側ポート部材353および外側ポート部材352のそれぞれを面接触させた状態で積層してもよい。
また、上記実施形態では、インジェクタ用開口部58は、外側ポート部材52を吸気流れ方向Aに直交する方向(Z方向)に貫通している例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、インジェクタ用開口部は、外側ポート部材を吸気流れ方向に沿ってきり欠いた切欠形状であってもよい。
また、上記実施形態では、制御部10は、CPUと、メモリとを含むECUにより構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部は、ECU以外にヒータの温度を制御する専用の制御回路であってもよい。
また、上記実施形態では、説明の便宜上、制御部10の制御処理を、処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の制御処理を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
また、上記実施形態では、インテークポート5(内燃機関の吸気装置)とインテークマニホールド4とが分割された構造である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、内燃機関の吸気装置は、インテークマニホールドを溶着などで一体的に接合した構造であってもよい。
1 シリンダヘッド
2 気筒
5、205、305 インテークポート(内燃機関の吸気装置)
7 面状ヒータ
11 吸気ポート
11a 吸気ポートの内表面
52、252、352 外側ポート部材
52b 外側ポート部材の内表面
52d、352d 埋込凹部(凹部)
53、253、353 内側ポート部材
54 吸気通路
55 ヒータ
56、356 ヒータ保護フィルム(ヒータ保護部)
58 インジェクタ用開口部(開口部)
252d 貫通孔
A 吸気流れ方向
E エンジン(内燃機関)
F 燃料
K 空気
M 混合気

Claims (6)

  1. シリンダヘッド内の吸気ポートに挿入され、前記吸気ポートの内表面と対向する外側ポート部材と、
    前記外側ポート部材の内側に配置された内側ポート部材と、
    前記外側ポート部材および前記内側ポート部材の内側に形成され、気筒に供給される空気および燃料を含む混合気を流す吸気通路と、
    前記内側ポート部材の内側に配置されたヒータとを備え、
    前記内側ポート部材は、前記吸気ポートの吸気流れ方向の直交する方向において前記ヒータの外側に積層されるとともに、前記ヒータからの熱を断熱するように構成されている、内燃機関の吸気装置。
  2. 前記ヒータを前記吸気通路側から覆うヒータ保護部をさらに備え、
    前記ヒータ保護部は、前記内側ポート部材よりも断熱性が低い、請求項1に記載の吸気装置。
  3. 前記ヒータ保護部、前記ヒータ、前記内側ポート部材および前記外側ポート部材は、前記吸気ポートの吸気流れ方向の直交する方向において順に積層されている、請求項2に記載の内燃機関の吸気装置。
  4. 前記外側ポート部材は、前記吸気ポートの吸気流れ方向の直交する方向に内表面を窪ませた凹部を含み、
    前記ヒータ保護部、前記ヒータおよび前記内側ポート部材は、前記外側ポート部材の凹部に、前記吸気ポートの吸気流れ方向に直交する方向において前記ヒータ保護部、前記ヒータおよび前記内側ポート部材の順に積層された状態で埋め込まれている、請求項3に記載の内燃機関の吸気装置。
  5. 前記外側ポート部材および前記内側ポート部材には、共に、前記吸気ポートに燃料を供給するインジェクタから噴射された燃料を導入する開口部が形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の内燃機関の吸気装置。
  6. 前記ヒータは、前記内側ポート部材の内表面に沿って設けられるとともに、前記内側ポート部材の前記開口部が形成された部分に対応する部分が開口した面状ヒータを含む、請求項5に記載の内燃機関の吸気装置。
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