JP2020084782A - 内燃機関のブリーザー装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構成でレイアウトの自由度が高く、気液分離効果に優れる内燃機関のブリーザー装置を提供する。【解決手段】内燃機関のクランク室(14)から吸気系(24)にブローバイガスを還流させるブリーザー装置であって、空間入口(33)と空間出口(34)とを有する流体減速空間(31)と、空間入口から流体減速空間に内挿される内挿部分(44)を有する筒状部材(40)とを備える。筒状部材は、流体減速空間外に位置する入口部(43)と、内挿部分に設けられ流体減速空間内に位置する出口部とを有する。出口部は、内挿部分の軸方向と交差する方向に向けて開口し、それぞれが入口部よりも断面積の小さい複数の孔(47)からなり、筒状部材の内挿部分のうち、空間出口を指向しない特定範囲(44b、44d)に複数の孔が形成され、特定範囲以外で内挿部分は閉塞される。【選択図】図2
Description
本発明は、内燃機関のブリーザー装置に関する。
内燃機関では、燃焼室からクランクケース内に漏出したブローバイガス(未燃焼ガス)を吸気系に還流させるためのブリーザー装置が用いられる。ブリーザー装置は、ブローバイガスに含まれるオイルを分離させる気液分離手段を備える。
ブリーザー装置の気液分離手段として、内燃機関の外郭を構成するケーシング(クランクケースやクランクケースカバー)内に隔壁を設けて、迷路状のブリーザー通路を形成したものが知られている(例えば、特許文献1)。
また、特許文献2のように、管外筒の内部に分離板で区画される流路を形成し、この区画された流路内に、ミスト入口を構成する管状部材を挿入したミストセパレータが知られている。管状部材には、周面上に複数の孔(ミスト出口)が形成されている。特許文献2では、管状部材のうち入口とは反対側の端部(管外筒に挿入されている側の端部)が閉塞されていることは記載されていない。従って、管状部材の入口から入ったオイルミストは、入口の反対側に位置する端部開口や、周面上の複数の孔を通って、管外筒の内部流路に流入する。管外筒の内部に流入したオイルミストは、分離板に形成されたドレンを通って管外筒の出口に向かう。
ブリーザー装置に求められる要件として、部品点数が少なく簡単な構成であること、設置場所の自由度が高いこと、気液分離性能(分離したオイルの回収性能や気液分離の際の騒音低減を含む)に優れること、等が挙げられる。
特許文献1では、クランクケースやクランクケースカバーのようなケーシング内に、隔壁を設けてブリーザー通路を形成している。そのため、気液分離性能の向上を図る場合、隔壁を増やしたり隔壁の形状を複雑にさせたりして、ケーシングの大型化や重量増加を招くおそれがある。また、ケーシングのサイズやレイアウトが予め決まっている場合は、ブリーザー通路の容積や隔壁構造における自由度が制限され、気液分離性能が制約されるおそれがある。
特許文献2では、管状部材のうち管外筒に挿入されている側の端部が閉塞されていることの記載がない。そのため、管状部材の一端に位置する入口から入ったオイルミストの大部分が、他端側の開口を通して管外筒の内部空間へ流れてしまい、管状部材の周面上に設けた複数の孔を通過するオイルミストの割合が極めて限定される。また、管状部材の周面上の複数の孔が周方向の全体に亘って形成されており、オイルミストが周面上の孔を通る場合でも、噴出の向きがコントロールされずに、管外筒の出口側に向けての直接的なオイルミストの流れが生じるおそれがある。故に、管状部材から管外筒に至るまでの部分における気液分離効果が低い。加えて、特許文献2は、管外筒の内部に隔壁として機能する分離板を設けている点で、上述した特許文献1と同様の課題を有する。特に、管状部材の端部開口や周面上の孔から分離板上のドレンを経て管外筒の出口に向かうので、管外筒内部での流路断面積が終始狭くなり、高い流速のままオイルミストが進みやすい。以上の要因により、気液分離が不十分な状態でオイルミストが排出されてしまう、オイルミスト通過時の圧力脈動を起因とする騒音が低減されにくい、といった問題が生じる。
本発明は係る点に鑑みてなされたものであり、簡単な構成でレイアウトの自由度が高く、気液分離性能に優れる内燃機関のブリーザー装置を提供することを目的とする。
本発明は、内燃機関のクランク室から吸気系にブローバイガスを還流させるブリーザー装置であって、クランク室側に接続される空間入口と吸気系側に接続される空間出口とを有する流体減速空間と、空間入口を通して流体減速空間に内挿される内挿部分を有する筒状部材とを備える。筒状部材は、流体減速空間外に位置してクランク室側からブローバイガスが流入する入口部と、内挿部分に設けられ流体減速空間内に位置する出口部とを有する。出口部は、内挿部分の軸方向と交差する方向に向けて開口する、それぞれが入口部よりも断面積の小さい複数の孔からなる。筒状部材の内挿部分のうち、空間出口を指向しない特定範囲に複数の孔が形成され、特定範囲以外で内挿部分は閉塞されていることを特徴とする。
本発明によれば、簡単な構成でレイアウトの自由度が高く、気液分離効果に優れる内燃機関のブリーザー装置を得ることができる。
以下、本実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下においては、本発明に係る内燃機関のブリーザー装置を自動二輪車に適用した形態について説明するが、本発明は、自動二輪車以外の車両にも適宜変更可能である。
図1を参照して、本実施の形態に係る内燃機関の概略構成について説明する。図1は、自動二輪車の内燃機関であるエンジンユニット10とその周辺構造を示す側断面図である。なお、図1においては、自動二輪車における車体前方を矢印Fr、車体後方を矢印Re、高さ方向の上方を矢印Up、高さ方向の下方を矢印Loで示している。図2以降の図面についても同様である。
エンジンユニット10は、クランクケース11と、クランクケース11から斜め上方に前傾して突出するシリンダ12及びシリンダヘッド13とを有している。クランクケース11内のクランク室14には、自動二輪車の車幅方向に延びるクランク軸15が配されている。シリンダ12にはピストン16が摺動可能に挿入され、ピストン16にコンロッド17の一端部が連結されている。コンロッド17の他端部は、クランク軸15のクランクピンに連結されている。ピストン16の往復運動がコンロッド17を介してクランク軸15の回転運動に変換される。
ピストン16の上面は、シリンダヘッド13内に形成した燃焼室18に面している。燃焼室18に連通して吸気ポート19及び排気ポート20が形成される。燃焼室18と吸気ポート19の間は吸気バルブ21によって開閉され、燃焼室18と排気ポート20の間は排気バルブ22によって開閉される。燃焼室18内には点火プラグ(不図示)が挿入されている。
燃焼室18に空気を取り込む吸気系は、吸気ポート19に接続するインテークパイプ23と、インテークパイプ23の上流側に位置するエアクリーナ24とを有する。エアクリーナ24は、クリーナケース24a内にフィルタ24bを備えており、吸入された外気に含まれる異物等をフィルタ24bによって除去し、清浄化された空気を燃焼室18に供給する。
吸気ポート19内に燃料を噴射するインジェクタ25を備える。吸気系から取り込まれた空気と、インジェクタ25で噴射された燃料とによって混合気が形成され、吸気バルブ21の開弁によって混合気が燃焼室18内に入る。点火プラグを点火させると、混合気が燃焼してピストン16を往復動させる。
排気ポート20には排気管26が接続する。排気管26は、車体後方へ延びて排気マフラ(不図示)に接続される。排気バルブ22の開弁によって、燃焼後の排気ガスが排気ポート20から排気管26に送られ、触媒(不図示)による浄化を経て排気ガスが外部に放出される。
クランクケース11内には、クランク軸15の後方に、変速装置を構成するギヤ群27を配置したギヤ室28が形成されている。クランクケース11内の最下部には、オイルが貯まるオイル貯留部29がある。
以上のエンジンユニット10において、燃焼室18からシリンダ12を経てクランク室14へ漏出したブローバイガス(未燃焼ガス)を、吸気系に還流させるブリーザー装置30を備える。ブリーザー装置30は、クランクケース11の内部空間からエアクリーナ24のクリーナケース24a内までを導通させると共に、ブローバイガスをオイル成分と気体成分に分離(気液分離)させる気液分離機能を有している。以下、ブリーザー装置30の詳細を説明する。
図2及び図3に示すように、ブリーザー装置30は、流体減速空間31を囲む筐体32と、流体減速空間31に内挿される筒状部材40及び接続パイプ52とを備えている。
図2及び図3に示すように、筐体32は、互いに平行な入口壁32a及び出口壁32bと、互いに平行な上壁32c及び下壁32dと、互いに平行な側壁32e及び側壁32fと、を有する箱状体であり、これらの各壁で囲まれる内部空間が流体減速空間31になっている。本実施形態では、入口壁32aが車体後側、出口壁32bが車体前側、上壁32cが車体上側、下壁32dが車体下側、側壁32eが車体左側、側壁32fが車体右側に位置している。
図3に示すように、入口壁32aには空間入口33が形成され、出口壁32bには空間出口34が形成されている。空間入口33と空間出口34はそれぞれ、流体減速空間31の内外を連通させる円形断面の貫通孔である。空間入口33の中心を通る中心軸33x(図3)と、空間出口34の中心を通る中心軸34x(図3)は、互いに平行である。空間入口33が空間出口34よりも、高さ方向の低い位置(下方)に形成されている。筐体32は、空間入口33と空間出口34以外の部分が、外部と連通せずに閉塞されている。
図5や図7に示すように、筒状部材40は、中心軸40xに沿って延設されている。以下、筒状部材40に関して、中心軸40xに沿う方向を軸方向、中心軸40xに対して垂直な軸直交断面内で中心軸40xを通過する直線方向を径方向、中心軸40xを中心とする円周方向を周方向とする。筒状部材40は、軸方向に延設される周壁部41と、周壁部41の軸方向の一端を塞ぐ端壁部42とを有し、周壁部41は中心軸40xを中心とする円筒形状である。
周壁部41のうち、端壁部42と反対の軸方向端部は、開口した入口部43になっている(図2、図3、図7参照)。軸直交断面上での入口部43の開口面積を入口断面積D1とする。図7に示すように、周壁部41の内周面の内径は、端壁部42から入口部43に至るまで軸方向の全体に亘って一定である。そのため、筒状部材40の内部空間は、入口断面積D1と同じ断面積が軸方向に連続する。
図5に示すように、周壁部41は、軸方向の途中に位置するストッパ部46を境として、内挿部分44と突出部分45とに分けられる。内挿部分44と突出部分45は、軸方向に連続して同軸上に位置している。内挿部分44は、端壁部42からストッパ部46までの軸方向領域であり、筐体32に対して挿入される部分である。突出部分45は、入口部43からストッパ部46までの軸方向領域であり、筐体32の外側に突出する部分である。内挿部分44のうちストッパ部46に隣接する部分は、固定領域44aである。固定領域44aの外径は、筐体32の空間入口33の内径よりも僅かに大きい。固定領域44aを除く内挿部分44の外径(後述する出口形成領域44bと閉塞領域44cの外径)は、固定領域44aの外径よりも小さく、空間入口33を軸方向に通過可能である。ストッパ部46の外径は、固定領域44aの外径よりも大きく、空間入口33を通過不能である。
内挿部分44には複数の出口孔47が形成されている。各出口孔47は、周壁部41を径方向(軸方向と交差する方向)に貫通する孔であり、個々の出口孔47の断面積は、入口部43の入口断面積D1に比して遥かに小さい。全ての出口孔47の断面積を合わせた合計断面積D2は、入口断面積D1とほぼ等しい。
図5に示すように、内挿部分44のうち固定領域44aを除く部分は、軸方向において、出口形成領域44bと閉塞領域44cとに区分けされる。出口形成領域44bは、出口孔47が形成される軸方向範囲であり、軸方向で固定領域44a寄りに位置している。閉塞領域44cは、出口孔47を形成しない軸方向範囲であり、軸方向で端壁部42寄りに位置している。閉塞領域44cよりも出口形成領域44bの方が、軸方向の広い範囲を占めている。
図6に示すように、内挿部分44はさらに、周方向において、出口形成領域44dと閉塞領域44eとに区分けされる。出口形成領域44dは、出口孔47が形成される周方向範囲であり、閉塞領域44eは、出口孔47を形成しない周方向範囲である。周方向の約180°の範囲が出口形成領域44bであり、周方向の残りの範囲が閉塞領域44eとなる。
従って、複数の出口孔47は、軸方向において出口形成領域44b、周方向において出口形成領域44d、の両方を満たす内挿部分44上の特定範囲にのみ形成されている。
筐体32に対して筒状部材40は、端壁部42側を先頭にして、空間入口33を通して内挿部分44を流体減速空間31内に挿入して組み付けられる。空間入口33を通過不能なストッパ部46が入口壁32aの外面に当接することで、筒状部材40のそれ以上の挿入が規制される。突出部分45は、流体減速空間31には内挿されずに筐体32の外側に突出する(図2参照)。固定領域44aの外径が空間入口33の内径よりも僅かに大きいため、固定領域44aの外周面が空間入口33の内周面に圧入状態で接して、互いに隙間が無いように固定される。この固定状態で、筒状部材40の中心軸40xと空間入口33の中心軸33xとが一致する。
なお、筐体32に対する筒状部材40の固定は、固定領域44aの圧入以外の手段で行うことも可能である。例えば、空間入口33の内周面と固定領域44aの外周面に、互いに螺合可能なネジを形成することも可能である。また、溶接等の固定手段を用いても良い。固定手段の形態に関わらず、固定領域44aと空間入口33の間は流体を通過させないように閉塞される。
筒状部材40を筐体32に取り付けた状態で、内挿部分44に形成された全ての出口孔47は流体減速空間31内に位置している。図4及び図6に示すように、筒状部材40は、出口形成領域44dの周方向の中心が最も下方に位置するように、周方向位置を定めて筐体32に固定される。これにより各出口孔47は、内挿部分44のうち下半領域に配置されて下方(鉛直方向又は斜め下方)に向けて開口しており、筒状部材40内から流体減速空間31へ向けて上向きに開口する出口孔47は存在しない。図4に示すように、空間出口34は筒状部材40よりも上方に位置しているので、複数の出口孔47はいずれも、空間出口34の側を向いていない。言い換えれば、内挿部分44のうち複数の出口孔47が設けられている出口形成領域44d(下半領域)は、空間出口34を指向しない領域である。
図3及び図4に示すように、下壁32dの内面に凹部35が形成されている。凹部35は、内挿部分44の外周面に沿う湾曲した内面形状を有する溝形状の部位であり、空間入口33の中心軸33xに沿う方向に向けて延びている。凹部35の一端は空間入口33に連通している。筒状部材40を筐体32に固定した状態で、内挿部分44における出口形成領域44b、44dのうち最も下方に位置する部分が、凹部35内に入り込んで筐体32に接触する(図4参照)。すなわち、下壁32dと内挿部分44の互いの肉厚の一部がオーバーラップする。
図2に示すように、筐体32の空間出口34には接続パイプ52が挿入される。接続パイプ52の外周面が空間出口34の内周面に圧入状態で接して、互いに隙間が無いように固定される。固定した状態で、接続パイプ52と空間出口34の間は密封されて流体を通さない。接続パイプ52は両端が開口した円筒体であり、一方の端部開口が流体減速空間31内に位置している。
筐体32は、筒状部材40と接続パイプ52を除いた単体状態(図3)で、内部に隔壁を有していない。そして、筒状部材40を流体減速空間31に挿入することによって、筒状部材40の内挿部分44のうち、複数の出口孔47の形成領域(出口形成領域44b、出口形成領域44d)以外の部分(端壁部42、閉塞領域44c、閉塞領域44e)が、流体減速空間31内に隔壁を形成する。
図2から図4に示すように、流体減速空間31の空間容積は、筒状部材40内部の流路容積に比べて十分に広く設定されている。例えば、図4において、流体減速空間31の高さ方向の寸法(上壁32cと下壁32dの間隔)は、筒状部材40における周壁部41の内径寸法の3倍程度である。流体減速空間31の左右方向の寸法(側壁32eと側壁32fの間隔)は、筒状部材40における周壁部41の内径寸法の2倍以上である。
図1に示すように、ブリーザー装置30は、クランクケース11の外側に設置される。より詳しくは、シリンダ12の後方でクランクケース11の上部に筐体32が取り付けられる。ブリーザー装置30を取り付ける対象として、クランクケース11や自動二輪車のフレーム部にブラケットを設けても良い。クランクケース11には、オイル貯留部29の油面位置OLよりも高い位置に、ブローバイガス導入用の導入口50が設けられる。導入口50と筒状部材40の突出部分45とが、管状の導入路51によって接続される。
接続パイプ52は筐体32の外側に突出しており(図2参照)、この接続パイプ52の突出部分に、管状の排出路53(図1参照)の一端が接続する。排出路53の他端は、エアクリーナ24のクリーナケース24aに接続している。排出路53は、吸気系に吸入される空気の進行方向において、フィルタ24bよりも下流側に接続する。
燃焼室18からクランク室14に入ったブローバイガスは、導入口50から導入路51に入り、ブリーザー装置30を通る際にオイル成分と気体成分に分離され、分離された気体成分が排出路53を通ってエアクリーナ24に送られて吸気系に還流される。続いて、ブリーザー装置30による気液分離について説明する。
クランクケース11内のブローバイガスは、霧化されたオイル等を含んだオイルミストの状態で、導入路51を通してブリーザー装置30に送られて、入口部43から筒状部材40内に入る。固定領域44aと空間入口33が接する部分は隙間なく固定されているので、オイルミストが筒状部材40と筐体32の間から外部に漏出することはなく、必ず筒状部材40内を通る。図7に示すように、筒状部材40においては各出口孔47が入口部43の軸方向延長上に位置していない。そのため、オイルミストは、筒状部材40内を軸方向へストレートに進んで流体減速空間31に向かうのではなく、以下のように流れる。
入口部43から内挿部分44まで進んだオイルミストの一部は、筒状部材40の内面に衝突する。この衝突による気液分離効果によって、オイル成分が分離する。特に、図7に示すように、入口部43からの軸方向の延長上に端壁部42が位置して塞がれているため、入口部43から流入したオイルミストが軸方向に進んで端壁部42に対して衝突しやすい。すると、オイルミストに含まれるオイル成分が、端壁部42への慣性衝突によって分離される。内挿部分44では、端壁部42から軸方向の所定範囲が、出口孔47を有さない閉塞領域44cになっている。そのため、端壁部42への慣性衝突によって捕集されたオイルは、出口孔47を通りにくく、筒状部材40内で効率的に回収される。
また、入口部43から内挿部分44まで進んだオイルミストの一部は、筒状部材40と流体減速空間31の間の気流や内圧の関係に応じて、筒状部材40内で進行方向を変更する。この進行方向変更による気液分離効果によって、オイル成分が分離する。例えば、図7に示すように、筒状部材40内を軸方向に進んでいるオイルミストが、出口孔47側へ向けて急激に進行方向を変えようとすると、気体成分よりも比重が大きく進行方向を変更しにくいオイル成分が、慣性の影響によって分離される。その結果、オイルが筒状部材40内で捕集され、オイル分離後の気体成分が出口孔47を通って流体減速空間31に進む。
さらに、多孔群を構成する複数の出口孔47と、各出口孔47の間の周壁部41の壁面とが、フィルタとして機能することで、気液分離効果を得ることができる。図7に示すように、筒状部材40内で径方向に進むオイルミストの一部は、各出口孔47の周囲で周壁部41の内面に衝突して、上述の端壁部42への慣性衝突の場合と同様にオイル成分が分離される。また、オイルミストに含まれるオイルの粒径に対して、各出口孔47の断面積が所定以上小さい場合は、遮りによる気液分離が生じる。筒状部材40は小径の出口孔47を多数有するので、オイルの回収効率に優れている。
図1に示すように、クランクケース11内の油面位置OLよりも上方に導入口50が配置され、ブリーザー装置30は導入口50よりも上方に配置されているため、筒状部材40内に回収されたオイルは、重力によって導入路51から導入口50を経てクランクケース11内に戻り、オイル貯留部29に回収される。
このように、単一部材である筒状部材40が複数の気液分離手段を備えており、部品点数が少ない簡単な構造でありながら、非常に優れた気液分離性能を得ることができる。特に、筒状部材40において入口部43の軸方向延長上に端壁部42を配置することで、オイルミストを筒状部材40の内面に効率良く衝突させることができる。また、中心軸40xに対して直交する向きで各出口孔47を形成しているため、筒状部材40内に複雑な整流壁等を設けることなく、入口部43から内挿部分44に向かうオイルミストの流れを途中で急激に変化させやすい。また、端壁部42に比して広い面積を持つ周壁部41に各出口孔47を形成することで、軸方向や周方向での出口孔47の形成範囲(出口形成領域44b、44d)の広さや、各出口孔47の大きさ及び形状等の設定の自由度が高くなり、筒状部材40の出口部に関する最適なパラメータを実現しやすい。
本実施形態の筒状部材40は、入口部43の入口断面積D1と、全ての出口孔47の断面積を合わせた合計断面積D2とが、ほぼ等しい。そのため、筒状部材40の入口と出口の間の圧力損失が緩和され、優れた気液分離性能を備えつつ、ブローバイガスを効率的に筒状部材40から流体減速空間31へ流すことができる。
筒状部材40による気液分離を経たブローバイガスは、複数の出口孔47を通って流体減速空間31に入る。そして、ブローバイガスは、流体減速空間31に挿入されている接続パイプ52と、接続パイプ52に接続する排出路53とを通って、エアクリーナ24のクリーナケース24a内に導かれる。
筒状部材40で各出口孔47が形成されている出口形成領域44dは、内挿部分44のうち下半領域に設定されているため、出口孔47を通過したブローバイガスの大部分は、流体減速空間31内で下向き(斜め下方を含む)に噴出される。そして、下向きに噴出されたブローバイガスが、流体減速空間31内を巡って、内挿部分44よりも上方へ位置する接続パイプ52の端部開口に達する。すなわち、筒状部材40のうち、端壁部42と、周壁部41の閉塞領域44c及び閉塞領域44eとが、流体減速空間31内でのブローバイガスの進行経路を迂回及び複雑化させる隔壁として機能する。筒状部材40自体が隔壁として機能する一方で、筐体32の内部には流体減速空間31を区切る隔壁等を設けていない。そのため、筐体32をシンプルに構成できる。また、筐体32の内部に隔壁を形成する場合に比して、筒状部材40の周壁部41や端壁部42を隔壁として用いる方が、隔壁の薄型化や小型軽量化を実現しやすい。
また、図4に示すように、筒状部材40の内挿部分44の下方には筐体32の下壁32dが近接配置され、内挿部分44の側方には側壁32eと側壁32fが配置されているため、各出口孔47から流体減速空間31へ噴出したブローバイガスは、下壁32d、側壁32e及び側壁32fの内面に衝突しやすい。従って、筒状部材40内だけでなく流体減速空間31内においても、慣性衝突によるオイル分離を促進させることができる。
流体減速空間31の空間容積は筒状部材40内の流路容積よりも十分に大きく、しかも筐体32自体には流体減速空間31を区切る隔壁等が設けられていないので、流体減速空間31内でブローバイガスの流速が効果的に低減される。特に、断面積が非常に小さい出口孔47の次に大容量の流体減速空間31に進むので、流路容積の拡大が急激であり、ブローバイガスの減速効果が高くなる。その結果、筒状部材40で分離したオイル成分が、ブローバイガスの勢いによって流体減速空間31側に持ち出されるおそれが軽減される。また、流速の低減によって、ブローバイガスの通過時に筒状部材40内で発生する圧力脈動を緩和し、脈動に起因する異音を低減できる。
以上のように、筒状部材40から空間出口34(接続パイプ52の設置位置)に向けて直接にブローバイガスが進行しないように(空間出口34を指向しないように)、出口孔47からの噴射を方向付けているので、流体減速空間31におけるブローバイガスの移動距離が大きくなると共に、移動経路が複雑になる。また、筒状部材40と流体減速空間31の容積差によってブローバイガスの流速が低減される。移動距離の増加、移動経路の複雑化、流速の変化はそれぞれ、気液分離の促進に寄与するので、流体減速空間31に入ったブローバイガスにオイル成分が残存する場合に、流体減速空間31内でも優れたオイル成分の分離効果を得ることができる。
筐体32は、流体減速空間31を囲む外壁だけで構成されて内部に隔壁等を有さないので、生産しやすく低コストに得ることができる。筐体32内に隔壁等を設けなくても、上述したように、筒状部材40と筐体32のそれぞれの一部が隔壁や迂回路のように機能するので、シンプルな構造でありながら、優れた気液分離性能が得られる。また、筒状部材40は、一端が端壁部42で塞がれた筒状体を基本構造とし、周壁部41の一部に複数の出口孔47を貫通させたものであるため、生産しやすく低コストに得ることができる。
流体減速空間31内で分離されたオイルや、筒状部材40内で分離されてから出口孔47を通して流体減速空間31に漏出したオイルは、流体減速空間31内で下方に溜まる。溜まったオイルは、出口孔47を通って筒状部材40内に戻される。図4に示すように、内挿部分44の出口形成領域44dのうち最も下方に位置する箇所が、下壁32dに凹設された凹部35内に入り込んでいるので、流体減速空間31内で凹部35を超える高さ位置までオイルが溜まるよりも前に、筒状部材40内にオイルが回収される。従って、流体減速空間31内に滞留するオイル量は極めて少なく抑えられ、高効率にオイル回収を行うことができる。
また、空間出口34及び接続パイプ52は、流体減速空間31内で筒状部材40よりも上方に配置されているので、流体減速空間31内のオイルは、空間出口34及び接続パイプ52の高さ位置まで達することがなく、筒状部材40に回収される。従って、ブローバイガスから分離されたオイルが吸気系まで到達してしまうおそれがなく、オイルによるエアクリーナ24等の汚損を防ぐことができる。
続いて、図8から図10を参照して、ブリーザー装置30の変形例を説明する。これらの変形例において、上記実施形態と共通する要素については、上記実施形態で用いた名称や符号で示し、説明を省略する。
図8は、筒状部材40の内挿部分44における軸方向端部に端壁部48を備えた変形例である。上記実施形態の端壁部42の内面は、筒状部材40の中心軸40xに対して垂直であり、入口部43に対して正対する形状になっている(図7参照)。これに対して、図8に示す端壁部48は、中心軸40xに対して所定の角度で傾斜する内面48aと内面48bを有している。内面48aと内面48bは、筒状部材40の先端側(入口部43とは反対側)に進むにつれて、径方向への互いの間隔を狭くする傾斜面である。
内面48aと内面48bはいずれも、オイルミストに対して慣性衝突による気液分離効果を有する。また、内面48aや内面48bに当たってオイルミストの進行方向が変わることで気流が複雑になり、気流どうしの衝突による気液分離効果も得られる。さらに、内面48a、48bで反射される気流の進行方向は、筒状部材40の径方向に対して交差する関係にあるので、径方向に向けて開口している各出口孔47に対して気流が遮られやすくなり、フィルタ効果による気液分離性能の向上にも寄与する。
図8の変形例は、筒状部材40の内面形状を異ならせた一例である。この一例以外にも、気液分離性能を向上させるための筒状部材40の内面形状を、適宜選択することが可能である。
図9は、筐体32の空間出口34に、接続パイプ52に代えて、気液分離機能を有する出口側筒状部材60を配した変形例である。出口側筒状部材60の構成は、筒状部材40に似ており、円筒状の周壁部61の一端を端壁部62で塞ぎ、周壁部61の他端を開口させて出口部63を形成している。周壁部61の軸方向及び周方向の特定範囲には、複数の入口孔64が形成されている。
出口側筒状部材60は、端壁部62を先頭にして空間出口34から流体減速空間31に挿入されて筐体32に固定される。出口部63は流体減速空間31の外側に位置し、複数の入口孔64は流体減速空間31の内側に位置する。複数の入口孔64は、出口側筒状部材60における周方向の上半部分に形成され、且つ軸方向で空間出口34寄りの所定範囲にのみ形成されている。別言すれば、複数の入口孔64は、筒状部材40が配置されている下方とは逆を向く上向きに形成されると共に、軸方向で端壁部62寄りの範囲には形成されていない。
流体減速空間31内で、入口側の筒状部材40の各出口孔47は、入口壁32aと下壁32dが交わる角部(図9中の右下隅)付近に位置している。一方、出口側筒状部材60の各入口孔64は、出口壁32bと上壁32cが交わる角部(図9中の左上隅)付近に位置している。従って、各出口孔47から各入口孔64に至るまでの経路が、流体減速空間31で最大限に長く確保され、気液分離効果を高めることができる。また、流体減速空間31内にオイルが存在しても、出口側筒状部材60の上半部分に形成された各入口孔64にはオイルが流入しにくい。
また、出口側筒状部材60では、上述した筒状部材40での気液分離と同様の原理によって、エアクリーナ24側から流れてくる空気中の水分の分離を行い、クランクケース11内への水分の混入を防止することができる。出口側筒状部材60で分離した水分は、上向きの各入口孔64から流体減速空間31には漏出しにくく、ブローバイガスの気流に乗ってエアクリーナ24側に戻される。
以上のように、図9に示す変形例では、流体減速空間31の入口側と出口側に、それぞれが気液分離機能を有する筒状部材40と出口側筒状部材60を備えることで、ブリーザー装置30の気液分離性能を向上させている。
図10は、筐体32における空間入口36の向きを変更した変形例である。空間入口36は、筐体32の下壁32dのうち、出口壁32bとは反対側に位置する側壁32g寄りの位置に貫通形成されている。なお、上記実施形態の入口壁32aとは異なり、側壁32gには空間入口となる開口が形成されていない。空間入口36の中心を通る中心軸33xは、高さ方向に向いている。つまり、空間入口36の中心軸36xと、空間出口34の中心軸34xとが、互いに交差(直交)する関係になっている。
空間入口36から流体減速空間31に挿入される筒状部材70の構成は、上記実施形態の筒状部材40と同様であり、円筒状の周壁部71の一端を端壁部72で塞ぎ、周壁部71の他端を開口させて入口部73を形成している。周壁部71の軸方向及び周方向の特定範囲には、複数の出口孔74が形成されている。
筒状部材70は、端壁部72を先頭(上向き)にして空間入口36から流体減速空間31に挿入されて筐体32に固定される。入口部73は、流体減速空間31の外側に位置して下方に向けて開口する。複数の出口孔74は、筒状部材70のうち、側壁32gに最も近い箇所を中心とする周方向の約180°の範囲に形成されている。つまり、各出口孔74は、出口壁32bに形成される空間出口34を指向しない範囲に形成されている。また、複数の出口孔74は、軸方向で空間入口36寄りの所定範囲にのみ形成されており、軸方向で端壁部72寄りの範囲には出口孔74が形成されていない。
筒状部材70を筐体32に固定した状態で、複数の出口孔74のうち最も空間入口36寄り(下方)に位置する出口孔74aは、下壁32dの内面とほぼ同じ高さ位置に設けられている。これにより、流体減速空間31内で下方に溜まったオイルを、最下方に位置する出口孔74aから筒状部材70内に回収することができる。筒状部材70の入口部73が下向きに開口しているため、筒状部材70内のオイルは、重力によってクランクケース11(図1参照)内に回収される。
図10の変形例から分かるように、流体減速空間31の入口と出口は、互いの中心軸(36x、34x)が平行ではなく、交差する関係で配置されていてもよい。空間入口36が空間出口34よりも下方に位置しており、且つ筒状部材70の出口孔74が出口側筒状部材60の入口孔64よりも下方に位置している。そのため、高い位置にある空間出口34側にはオイルが到達しにくく、低い位置にある空間入口36側からオイルを回収できる。このように、流体減速空間31の入口と出口は、高さ方向の上下関係を満たしていれば、それぞれの開口方向については制約が少ないので、ブリーザー装置30は構造や設置位置の自由度が高い。
以上の実施形態及び各変形例におけるブリーザー装置30は、筐体32に筒状部材40(70)等を内挿したシンプルな構造であるため、構造上の制約が少なく、設置場所の自由度が高い。図1に示すブリーザー装置30は、クランクケース11とは別構造としてクランクケース11上部に設置されている。そのため、クランクケース11内からブリーザー装置30までの流体移動経路が長く確保され、ブリーザー装置30に達するまでにブローバイガスをある程度冷却することができる。また、ブリーザー装置30自体も、クランクケース11内部の高温環境下から離して設置されるので、流体減速空間31や筒状部材40(70)内部の温度上昇を抑制できる。このように、ブリーザー装置30は、構造及び配置の自由度の高さによって温度管理を行い易くなっており、適切な温度管理によって、ブローバイガス通過時の気液分離性能を高めることができる。
図11は、冷却性向上を図ったブリーザー装置の配置例を示したものである。エンジンユニット10を構成するクランクケース11とシリンダ12とシリンダヘッド13や、吸気系を構成するインテークパイプ23及びエアクリーナ24や、排気系を構成する排気管26については、図1と図11で一部形状が異なっているが、それぞれの機能は図1を参照して先に説明した通りである。
図11に示すように、シリンダヘッド13の前方には、エンジンユニット10を冷却するための熱交換器であるラジエーター80が設けられている。ラジエーター80を構成するフィンに冷却風を当てるラジエーターファン(不図示)が設けられており、このラジエーターファンによる冷却風の流れを図11に矢印W1で示した。また、ラジエーターファンとは別に、走行風を取り込んでエンジンユニット10を冷却する導風路(不図示)が設けられており、この導風路による冷却風の流れを図11に矢印W2で示した。
図11に示すブリーザー装置130は、ラジエーターファンによる冷却風W1と、導風路による冷却風W2とが当たる位置に設置されている。ブリーザー装置130は、自動二輪車のフレーム部等に取り付けられる。ブリーザー装置130の入口側に接続する導入路151は、ブリーザー装置130から下方に延びて導入口150でクランクケース11に接続している。排出路153は、ブリーザー装置130から後方に延びてエアクリーナ24に接続している。
冷却風W1、W2が当たることによって、ブリーザー装置130でブローバイガスが効率的に冷却される。また、ブリーザー装置130は、クランクケース11から大きく離間した位置に配置されており、導入路151と排出路153を含めた流路長が大きい。これにより、優れた気液分離性能を得ることができる。
クランクケース11や吸気系(エアクリーナ24)から独立した単体構造の筐体32で流体減速空間31を形成することにより、ブリーザー装置30、130のように配置の自由度を高めることができる。しかし、本発明は、クランクケース11や吸気系(エアクリーナ24)の内部に流体減速空間31を形成する構成を排除するものではない。例えば、クランクケース11内に流体減速空間31を設けた場合でも、流体減速空間31自体には複雑な内部隔壁を形成せず、筒状部材40、70等を流体減速空間31に内挿するのみで優れた気液分離性能が得られる。そのため、クランクケース内に多数の隔壁を設けて形成される既存のブリーザー通路に比して、構造の簡単さや小型軽量化等の点でメリットがある。
以上説明したように、本実施形態及び各変形例の内燃機関のブリーザー装置によれば、簡単でレイアウトの自由度が高い構造によって、優れた気液分離性能を得ることができる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施形態において、添付図面に図示されている構成や制御等については、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
例えば、上記実施形態及び変形例では、流体減速空間31に内挿される筒状部材40、70の周壁部41、71が円筒形状である。当該構造とは異なり、周壁部が角筒状の筒状部材を用いることも可能である。
また、上記実施形態及び変形例では、流体減速空間31は、六面の外壁を有する箱状の筐体32によって形成されているが、当該構造とは異なる形状の流体減速空間を用いることも可能である。例えば、流体減速空間の断面形状が楕円や円形であってもよい。
上記実施形態の筒状部材40、70では、個々の大きさ(断面積)が同じである出口孔47や出口孔74を複数個配置している。当該構造とは異なり、複数の出口孔の大きさを不均一にさせることも可能である。
例えば、図7に示す筒状部材40で各出口孔47の大きさを異ならせる場合、軸方向において、端壁部42に近い側では出口孔47の大きさを小さくし、入口部43側に進むにつれて、出口孔47を段階的に大きくさせることが好ましい。入口部43側ほど、流体減速空間31の空間出口34までの流路長(流体移動距離)が大きくなるので、出口孔47を大きくしても、ブローバイガスが空間出口34に到達するまでにオイルを分離させやすい。一方、空間出口34までの流路長(流体移動距離)が小さくなる端壁部42側では、出口孔47を小さくしてフィルタ効果による気液分離性能を向上させることが有効である。
また、上記実施形態の筒状部材40、70では、出口孔47や出口孔74が軸方向や周方向に規則的に並んでいるが、複数の出口孔の配置の粗密関係や並びの順序については、不規則なものにすることも可能である。
上記実施形態の筒状部材40は、内挿部分44と突出部分45が同軸(中心軸40x)上に位置する直管形状であり、軸方向の一端に端壁部42を有し、軸方向の他端に開口する入口部43が形成されている。筒状部材70も同様の構成である。このような直管の一端を閉塞した形状の筒状部材は、構成がシンプルで低コストに得ることができ、出口孔47等を形成するための加工性にも優れている。しかし、本発明の筒状部材は、直管形状に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態の筒状部材40とは異なり、突出部分45が内挿部分44に対して屈曲または湾曲する構成の筒状部材を適用することも可能である。この場合、入口部43は、内挿部分44の中心軸の延長上には位置しない。そのため、入口部43から内挿部分44に至る途中の屈曲箇所や湾曲箇所において、オイルミストの進行方向変更や慣性衝突による気液分離効果を得ることができる。
また、筒状部材の内面を、平滑な円筒面や平面以外の形状に設定することが可能である。具体的には、筒状部材の内面に、出口孔とは別に凹凸形状を設けた構成や、筒状部材の内径サイズを部分的に異ならせた構成等を選択してもよい。このような筒状部材の内面構造の設定によって、オイルミストの進行方向変更や慣性衝突による気液分離効果の向上を図ることができる。
以上説明したように、本発明は、簡単な構成でレイアウトの自由度が高く、気液分離効果に優れる内燃機関のブリーザー装置を得られるという効果を有し、特に、エンジンが小型でブリーザー装置の設置場所の制約を受けやすい自動二輪車等に有用である。
10 :エンジンユニット
11 :クランクケース
14 :クランク室
24 :エアクリーナ(吸気系)
30 :ブリーザー装置
31 :流体減速空間
32 :筐体
33 :空間入口
34 :空間出口
35 :凹部
36 :空間入口
40 :筒状部材
41 :周壁部
42 :端壁部
43 :入口部
44 :内挿部分
45 :突出部分
47 :出口孔(出口部)
48 :端壁部
50 :導入口
51 :導入路
52 :接続パイプ
53 :排出路
60 :出口側筒状部材
64 :入口孔
70 :筒状部材
71 :周壁部
72 :端壁部
73 :入口部
74 :出口孔(出口部)
80 :ラジエーター
130 :ブリーザー装置
151 :導入路
153 :排出路
11 :クランクケース
14 :クランク室
24 :エアクリーナ(吸気系)
30 :ブリーザー装置
31 :流体減速空間
32 :筐体
33 :空間入口
34 :空間出口
35 :凹部
36 :空間入口
40 :筒状部材
41 :周壁部
42 :端壁部
43 :入口部
44 :内挿部分
45 :突出部分
47 :出口孔(出口部)
48 :端壁部
50 :導入口
51 :導入路
52 :接続パイプ
53 :排出路
60 :出口側筒状部材
64 :入口孔
70 :筒状部材
71 :周壁部
72 :端壁部
73 :入口部
74 :出口孔(出口部)
80 :ラジエーター
130 :ブリーザー装置
151 :導入路
153 :排出路
Claims (14)
- 内燃機関のクランク室から吸気系にブローバイガスを還流させるブリーザー装置であって、
前記クランク室側に接続される空間入口と前記吸気系側に接続される空間出口とを有する流体減速空間と、前記空間入口を通して前記流体減速空間に内挿される内挿部分を有する筒状部材とを備え、
前記筒状部材は、前記流体減速空間外に位置して前記クランク室側からブローバイガスが流入する入口部と、前記内挿部分に設けられ前記流体減速空間内に位置する出口部とを有し、
前記出口部は、前記内挿部分の軸方向と交差する方向に向けて開口する、それぞれが前記入口部よりも断面積の小さい複数の孔からなり、
前記筒状部材の前記内挿部分のうち、前記空間出口を指向しない特定範囲に前記複数の孔が形成され、前記特定範囲以外で前記内挿部分は閉塞されていることを特徴とする内燃機関のブリーザー装置。 - 前記筒状部材は、前記流体減速空間の外側に突出する突出部分を備え、前記突出部分が前記内挿部分と同軸上に位置し、
前記入口部は、前記突出部分の軸方向端部に開口していることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のブリーザー装置。 - 前記流体減速空間の前記空間入口は、前記空間出口よりも高さ方向の低い位置に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関のブリーザー装置。
- 前記流体減速空間の容積は前記筒状部材の内部容積よりも大きいことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の内燃機関のブリーザー装置。
- 前記筒状部材の前記内挿部分は、前記軸方向に延びる周壁部と、前記周壁部の軸方向端部を塞ぐ端壁部とを有し、前記複数の孔はそれぞれ前記周壁部を貫通していることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の内燃機関のブリーザー装置。
- 前記周壁部は、前記端壁部から前記軸方向の途中位置まで、前記複数の孔が形成されない閉塞領域を有することを特徴とする請求項5に記載の内燃機関のブリーザー装置。
- 前記複数の孔は、下方に向けて開口しており、
前記周壁部のうち、前記複数の孔が形成される前記特定範囲の少なくとも一部が、前記流体減速空間を囲む筐体のうち下方の内面に接していることを特徴とする請求項5又は6に記載の内燃機関のブリーザー装置。 - 前記周壁部は、前記軸方向に延びる中心軸を中心とする円筒形状であることを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の内燃機関のブリーザー装置。
- 前記入口部の断面積と前記複数の孔の合計断面積とがほぼ等しいことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の内燃機関のブリーザー装置。
- 前記流体減速空間を囲む筐体は、内部に隔壁を備えていないことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の内燃機関のブリーザー装置。
- 前記空間出口を通して前記流体減速空間に内挿される内挿部分を有する出口側筒状部材を備え、
前記出口側筒状部材の前記内挿部分は、前記筒状部材の前記複数の孔とは異なる方向に向けて開口する複数の孔を有し、該複数の孔以外の部分が前記流体減速空間に対して閉塞されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の内燃機関のブリーザー装置。 - 前記出口側筒状部材の前記複数の孔は、上方に向けて開口していることを特徴とする請求項11に記載の内燃機関のブリーザー装置。
- 前記クランク室を形成するクランクケース内に貯留されるオイルの油面よりも高い位置にブローバイガスの導入口を備え、
前記導入口よりも高い位置に前記流体減速空間及び前記筒状部材を備え、
前記導入口と前記筒状部材の前記入口部とを接続する導入路を備えることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の内燃機関のブリーザー装置。 - 前記内燃機関の冷却に用いる冷却風が通る冷却風路上に配置されることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の内燃機関のブリーザー装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018215336A JP2020084782A (ja) | 2018-11-16 | 2018-11-16 | 内燃機関のブリーザー装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN112065533A (zh) * | 2020-08-04 | 2020-12-11 | 潍柴动力股份有限公司 | 一种油气预分离装置及发动机 |
-
2018
- 2018-11-16 JP JP2018215336A patent/JP2020084782A/ja active Pending
Cited By (2)
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CN112065533A (zh) * | 2020-08-04 | 2020-12-11 | 潍柴动力股份有限公司 | 一种油气预分离装置及发动机 |
CN112065533B (zh) * | 2020-08-04 | 2021-11-19 | 潍柴动力股份有限公司 | 一种油气预分离装置及发动机 |
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