JP2020084383A - 褥瘡予防用の使い捨て補助パッド - Google Patents

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Abstract

【課題】おむつを常時使用する寝たきりの高齢者に対して、臀部等体圧がかかる部分に載置して、体圧による圧迫を緩和することによって、褥瘡を適切に予防することができ、かつ、液体の肌への逆戻りや液漏れを効果的に防止する、褥瘡予防用の使い捨て補助パッドを提供する。【解決手段】液透過性のトップシートと、液透過性のバックシートと、トップシート及びバックシートの間に配置される吸収体と、吸収体の全体を覆う開孔フィルムと、を有し、吸収体は、トウからなる繊維集合体と高吸収性ポリマーを含有し、さらに、圧力特性を所定の範囲内とした、褥瘡予防用の使い捨て補助パッドを提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、褥瘡予防用の使い捨て補助パッドに関する。
褥瘡は、高齢者が寝たきりなどによって、体重で圧迫されている場所の血流が悪くなったり滞ることで、皮膚の一部が赤い色味をおびたり、ただれたり、傷ができてしまうことである。
通常、寝ているときは寝返りを打ち、長時間椅子に座っているときはお尻を浮かせるなどして、同じ部位に長い時間の圧迫が加わらないよう、「体位変換」を行っている。しかし、自分で体位変換できない高齢者は、体重で長い時間圧迫された皮膚の細胞に十分な酸素や栄養が行き渡らなくなり、これにより「褥瘡」が発生してしまう。また、重症時には、皮膚の表面だけでなく、皮膚の中にある骨に近い組織が傷ついている場合がある。
自分で体位変換ができず長期間寝たきりで、栄養状態が悪い、皮膚が弱くなっている(高齢者、排泄物や汗により皮膚のふやけがある、むくみが強い、抗がん剤やステロイドなど薬の副作用で免疫力が低くなっている)人が、圧迫だけでなく摩擦やずれなどの刺激が繰り返されている場合は褥瘡になりやすいといわれている。(日本褥瘡学会WEBサイトより引用)
また、上記寝たきりの高齢者は、自分でトイレにおいて排泄することができず、ほとんどの場合紙おむつ等を着用している。紙おむつ等は排泄物を吸収した後、できるだけ肌を濡らさないように設計されているが、長時間の使用においては十分とはいえない。よって褥瘡が発生しやすい環境となっている。
褥瘡の発生を抑制した吸収性物品として、例えば、特許文献1には、尿取りパッドであって、臀部領域の内面シート上にオーバーラップシートが接合され、オーバーラップシートと内面シートの間に低摩擦部材が設けられていることを特徴とする褥瘡予防機能付き使い捨て尿取りパッドが開示されている。
また、特許文献2には、液不透過性のシート材に、その一方の表面から他方の表面に液体を通過させるための複数の通液孔が形成された通液性シート材と、この通液性シート材の一方の表面における外周部分に配設された粘着層とを備え、通液性シート材の一方の表面が患部である褥瘡部位に密着するように、通液性シート材を褥瘡部位に貼り付けて使用する褥瘡用シートが開示されている。
特開2014−155609号公報 特開2007−97911号公報
しかし、特許文献1及び2のいずれも、装着して寝ている状態で臀部に体圧がかかった場合、吸収性物品が体圧を緩和するように考慮されておらず、結果として、圧迫による褥瘡の発生を適切に予防することはできない。また、吸収性物品に体圧がかかった場合、吸収性物品に吸収されていた液体が漏れ出し、肌に逆戻りすることで、肌が浸潤し、褥瘡の発生につながるおそれがある。
したがって、本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、おむつを常時使用する寝たきりの高齢者に対して、臀部等体圧がかかる部分に載置して、体圧による圧迫を緩和することによって、褥瘡を適切に予防することができ、かつ、液体の肌への逆戻りや液漏れを効果的に防止し、簡易な構成である、褥瘡予防用の使い捨て補助パッドを提供することを目的とする。
本発明の発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意研究を行った。その結果、トウからなる繊維集合体と高吸収性ポリマーを含有する吸収性コアを備える吸収体の上部、下部及び四方を液透過性の親水性不織布で覆ったパッド形状に形成し、吸収体の全体を覆う開孔フィルムを設け、かつ、圧縮弾力性を所定範囲とすることで上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
(1)本発明の第1の態様は、液透過性のトップシートと、液透過性のバックシートと、前記トップシート及び前記バックシートの間に配置される吸収体とを有し、前記トップシートと前記バックシートの間に、前記吸収体の全体を覆う開孔フィルムが配置される、褥瘡予防用の使い捨て補助パッドであって、前記吸収体は、トウからなる繊維集合体と高吸収性ポリマーを含有し、前記トウからなる繊維集合体の坪量は、20g/m以上100g/m以下であり、前記高吸収性ポリマーの坪量は、40g/m以上500g/m以下であり、前記高吸収性ポリマーの坪量は、前記トウからなる繊維集合体の坪量に対して、1.0倍を超え5.0倍以下であり、前記褥瘡予防用の使い捨て補助パッドの、ハンディ圧縮試験機KES−G5(カトーテック株式会社製)による、圧縮硬さLCが4.0以上8.0以下であり、圧縮仕事量WCが120gf・cm/cm以上200gf・cm/cm以下であり、圧縮率が15%以上35%以下であり、かつ、圧縮回復性RCが30%以上70%以下であることを特徴とする、褥瘡予防用の使い捨て補助パッドである。
(2)本発明の第2の態様は、(1)に記載の褥瘡予防用の使い捨て補助パッドであって、前記開孔フィルムは、厚み方向で一方の面の開孔径が小さく、他方の面の開孔径が大きい開孔が施され、前記開孔フィルムは、前記トップシートと前記吸収体の間に配置され、前記吸収体の上部及び上側部を覆う第1開孔フィルムと、前記バックシートと前記吸収体の間に配置され、前記吸収体の下部及び下側部を覆う第2開孔フィルムからなり、前記第1開孔フィルムは、開孔径の小さい側の開孔が前記吸収体側を向くように配置され、前記第2開孔フィルムは、開孔径の小さい側の開孔が前記吸収体側を向くように配置されていることを特徴とするものである。
(3)本発明の第3の態様は、(1)に記載の褥瘡予防用の使い捨て補助パッドであって、前記開孔フィルムは、厚み方向で一方の面の開孔径が小さく、他方の面の開孔径が大きい開孔が施され、前記開孔フィルムが、前記吸収体の上部、下部及び側部を覆う1枚の開孔フィルムであり、前記1枚の開孔フィルムは、開孔径の小さい側の開孔が前記吸収体を向くように前記吸収体の全体を覆うことを特徴とするものである。
(4)本発明の第4の態様は、(1)から(3)のいずれかに記載の褥瘡予防用の使い捨て補助パッドであって、前記開孔フィルムは、開孔径が1mm以下であり、開孔の数が50個/cm以上であることを特徴とするものである。
(5)本発明の第5の態様は、(1)から(4)のいずれかに記載の褥瘡予防用の使い捨て補助パッドであって、前記開孔フィルムは、前記開孔径が大きい一方の面の開孔径と、前記開孔径が小さい他方の面の開孔径との差が、0.03mm以上0.15mm以下であることを特徴とするものである。
(6)本発明の第6の態様は、(1)から(5)のいずれかに記載の褥瘡予防用の使い捨て補助パッドであって、前記高吸収性ポリマーの、前記トウからなる繊維集合体への担持率は、70%以上であることを特徴とするものである。
したがって、本発明によれば、おむつを常時使用する寝たきりの高齢者に対して、臀部等体圧がかかる部分に載置して、体圧による圧迫を緩和することによって、褥瘡を適切に予防することができ、かつ、液戻りの抑制や漏れ防止に優れた、褥瘡予防用の使い捨て補助パッドが得られる。
本発明の褥瘡予防用の使い捨て補助パッドの平面図である。 図1のX−X断面図である。 別態様における図1のX−X断面図である。 本発明の開孔フィルムの断面図である。 高吸収性ポリマーの、トウからなる繊維集合体への担持率を測定する方法を説明するための図である。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ符号を付する。
<褥瘡予防用の使い捨て補助パッド>
本発明の実施形態に係る褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1としては、紙おむつの上に載置して用いる、褥瘡予防用の使い捨て補助パッドが例示されるが、本発明の褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1はこれに限定されるものではなく、軽失禁パッド、尿取りパッド、その他の吸収性パッドであってもよい。
本発明の褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1は、図1に示すように、身体側表面に配置された液透過性のトップシート10と、トップシート10に対向し、衣類側表面に配置された液透過性のバックシート20と、トップシート10及びバックシート20の間に配置された吸収体30と、を備える。これにより、吸収体30は、トップシート10とバックシート20との間に挟まれた構造となっている。
本明細書の説明において、褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1の長手方向とは、褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1が着用されたときに着用者の前後に亘る方向であり、図中、符号Yで示す方向である。また、褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1の幅方向とは、長手方向に対して横又は直交する方向であり、図中、符号Xで示す方向である。さらに、本明細書の説明において、身体側表面とは、各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側に配される面を指し、衣類側表面とは、各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側とは反対側に向けられる面を指す。
褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1の形状は、製造上及び当て易さの観点から、矩形が好ましい。また、褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1の、長手方向の寸法は80mm以上200mm以下、幅方向の寸法は60mm以上160mm以下、であることが好ましい。褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1の寸法を上記の形状及び範囲に調整することにより、褥瘡の予防に適した褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1を得ることができる。
また、吸収体30が褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1から漏れ出るのを防ぐために、例えば、衣類側から、バックシート20、吸収体30、トップシート10の順に積層し、トップシート10とバックシート20とを一部又は全周に亘ってホットメルト接着剤やヒートエンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等を用いて固定し、封止部50とすることもできる。
(トップシート)
トップシート10は、吸収体30に向けて体液を速やかに通過させるものであり、吸収体30を挟んで、バックシート20に対向して配置される。トップシート10は、肌と当接するシートとなることから、柔らかな感触で、肌に刺激を与えないような性質を有する、親水性エアスルー不織布を代表とする親水性サーマルボンド不織布、親水性スパンボンド不織布等の親水性不織布、サーマルボンド/スパンボンドを積層した複合不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム又はこれらを積層した複合シートから形成され、これらの中でも、嵩高さを得やすく、柔軟性に優れた親水性サーマルボンド不織布又は親水性スパンボンド不織布を用いることが好ましい。
なお、トップシート10は、単層であっても、複数層積層していてもよく、ドライタッチ性を付与するために多数の透孔が形成されていてもよい。
トップシート10の坪量は、加工性及び強度の点から、13g/m以上40g/m以下であることが好ましい。トップシート10には、肌への刺激を低減させるために、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を塗布してもよい。
(バックシート)
本発明に用いるバックシート20としては、通常の吸収性物品では、液不透過性を有し、かつ、遮水性を有するシート材が用いられるが、本発明は褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1であり、紙おむつの上に載置して用いるため、バックシート20も液透過性である。バックシート20も液透過性であることにより、尿などの液体がトップシート10側から通過し、吸収体30が吸収した場合、たとえ吸収しきれない液体があったとしても、吸収しきれない液体がそのままバックシートを通過して、アウターの紙おむつに移行するため、ウエットバックに悪影響を及ぼすことが抑制される。
このような特性を有するバックシート20の材料としては、上記に挙げたような材料を挙げることができるが、上記のトップシート10同様に、親水性サーマルボンド不織布又は親水性スパンボンド不織布を用いることが好ましい。なお、バックシート20の坪量は、加工性及び強度の点から、13g/m以上40g/m以下であることが好ましい。
(吸収体)
本発明の褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1に用いる吸収体30は、図2に示すようにトップシート10と、バックシート20との間に位置する。
そして、吸収体30は、トウからなる繊維集合体と高吸収性ポリマーを含有している。吸収体30が高吸収性ポリマーを含むことにより、トップシート10側から流れてきた尿や液体をできるだけ吸収し、かつ、褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1の下側に配置された紙おむつが吸いきれなかった液体を、バックシート20側からも吸収することにより、紙おむつのウエットバックを良化しつつ、下の紙おむつへの液体の移行をできるだけ抑制し、結果として、液漏れを効果的に防止することができる。
このとき、トウからなる繊維集合体と、高吸収性ポリマーは、ほぼ均一に混合されていることが好ましい。トウからなる繊維集合体は柔軟性及び弾力性に優れるという利点があり、トウからなる繊維集合体と高吸収性ポリマーがほぼ均一に混合されていることにより、全体が柔軟性及び弾力性に優れる吸収体30及び褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1を得ることができる。
トウからなる繊維集合体の基材としては、綿等に由来する天然セルロース、レーヨン等の再生セルロース、セルロースアセテート、ポリエチレン、ポリプロピレン、PET等を用いることができ、これらの中でも、綿等に由来する天然セルロース、レーヨン等の再生セルロース、セルロースアセテートを用いることが好ましく、嵩高さを得やすく、吸収体30に柔軟性及び弾力性を付与できる、セルロースアセテートを用いることがより好ましい。
また、トウからなる繊維集合体に用いるセルロースアセテートのアセチル基の置換度は、2.0以上3.0以下が好ましい。アセチル基の置換度が2.0未満だと、吸収体30の親水性が強すぎてウエットバックに対して好ましくない。
また、トウからなる繊維集合体において、繊維間の絡みが弱いため、絡みを融着して固定させる目的で、バインダーを用いることが好ましい。バインダーとしては、トリアセチン等を用いることができる。
トウからなる繊維集合体の坪量は、20g/m以上100g/m以下である。トウからなる繊維集合体の坪量が上記の範囲であることにより、吸収性を担保できる程度に高吸収性ポリマーを担持でき、柔軟性及び弾力性に優れる吸収体30及び褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1を得ることができる。トウからなる繊維集合体の坪量が100g/mを超えると、吸収体30の厚みを薄くする際の圧縮の度合いが大きくなり、トウからなる繊維集合体の本来の柔軟性及び弾力性が損なわれるため好ましくない。
また、高吸収性ポリマーの坪量は、40g/m以上500g/m以下であり、高吸収性ポリマーの坪量は、トウからなる繊維集合体の坪量に対して、1.0倍を超え5.0倍以下である。これにより、必要な吸収量を確保できるとともに、トウからなる繊維集合体が高吸収性ポリマーを良好に担持することができ、柔軟性及び弾力性に優れる吸収体30及び褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1を得ることができる。トウからなる繊維集合体の坪量に対する、高吸収性ポリマーの坪量が、5.0倍を超えると、トウからなる繊維集合体が高吸収性ポリマーを良好に担持することができなくなる。
また、高吸収性ポリマーの坪量は、60g/m以上500g/m以下であることが好ましい。高吸収性ポリマーの坪量は、トウからなる繊維集合体の坪量に対して、2.0倍以上5.0倍以下であることが好ましく、3.0倍以上5.0倍以下であることがより好ましい。
<開孔フィルム>
本発明においては、図2及び3に示すように、トップシート10とバックシート20との間に、吸収体30の全体を覆う、複数の漏斗状の開孔を有する開孔フィルム40が配置されている。
開孔フィルム40は、液体が吸収体30へと移動するような液透過性、液拡散性を備えていることが好ましく、開孔フィルム40の形状としては特に制限はないが、強度、加工性の点から、開孔フィルム40の坪量は、15g/m以上45g/m以下であることが好ましく、20g/m以上30g/m以下がより好ましい。また、液透過性の点から、開孔の数は50個/cm以上が好ましい。さらに、液拡散性の点で、開孔径は1mm以下が好ましく、0.3mm以上1.0mm以下がより好ましい。開孔フィルム40の開孔の数、開孔径及び坪量を上記の範囲とすることにより、強度及び加工性の点で優れ、液透過性や液拡散性に優れた開孔フィルム40が得られる。なお、開孔フィルム40の材質は、例えば、ポリエチレンといった材料から形成される。
また、開孔フィルム40は、図4に示すように、開孔径が厚み方向で均一ではなく、厚み方向で一方の面の開孔径L1は小さく、他方の面の開孔径L2が大きいという開孔が施されている。これにより、肌側から吸収した液体が肌側に戻ること、すなわち液戻りが抑制されることになる。なお、液拡散性の点から、開孔径が大きい一方の面の開孔径L2と、開孔径が小さい他方の面の開孔径L1との差が、0.03mm以上0.15mm以下であることが好ましい。
従来の吸収性物品に用いられている開孔フィルムは、漏斗の開孔径の小さい方、すなわち開孔径L1の側の開孔が吸収体30側を向くようにトップシート10側にのみ配置されているが、本発明の開孔フィルム40は、図2に示すように、トップシート10と吸収体30の間に配置され、吸収体30の上部及び上側部を覆う第1開孔フィルム41と、バックシート20と吸収体30の間に配置され、吸収体30の下部及び下側部を覆う第2開孔フィルム42からなることが好ましい。
また、第1開孔フィルム41及び第2開孔フィルム42の配置に関して、第1開孔フィルム41は、開孔径L1の側の開孔が吸収体30側を向くように配置されており、かつ、第2開孔フィルム42も、開孔径L1の側の開孔が吸収体30側を向くように配置されていることが好ましい。開孔径L1の側の開孔が吸収体30に向くように、第1開孔フィルム41及び第2開孔フィルム42をトップシート10側及びバックシート20側にそれぞれ配置することにより、トップシート10側から流れてきた尿や液体を、第1開孔フィルム41を通して吸収し、吸収体30に留めることはもちろん、下の紙おむつが吸収しきれずに溢れてしまった尿や液体を、バックシート20側からも第2開孔フィルム42を通して吸収し、吸収体30に留めることができるため、ウエットバックへの悪影響を抑制できる。
なお、図2においては、開孔フィルム40を第1開孔フィルム41と第2開孔フィルム42の2枚構造としているが、図3に示すように吸収体30の上部、下部及び側部を覆う1枚の開孔フィルム40としてもよい。その場合も、2枚構造の場合と同様に、開孔径L1の側の開孔が吸収体30を向くように、開孔フィルム40が吸収体30の全体を覆うことが好ましい。1枚の開孔フィルム40が吸収体30の全体を覆うことにより、液戻りや漏れをより効果的に防ぐことができ、尿や液体をより多く吸収することができる。
上記のように、褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1の全体、すなわちトップシート10及びバックシート20のいずれもが液透過性であること、吸収体30の全体が開孔フィルム40(又は第1開孔フィルム41及び第2開孔フィルム42)で覆われていること、開孔フィルム40(又は第1開孔フィルム41及び第2開孔フィルム42)において開孔径L1の側の開孔が吸収体30側を向くことにより、トップシート10側からだけでなく、バックシート20側からも尿や液体が吸収されやすいこと、並びに褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1が紙おむつより小さく、体圧のかかる部分に置くという簡単な装着方法であることにより、トップシート10側及びバックシート20側の双方から尿や液体を限界まで吸収した褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1を、新しい褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1に取り換えるだけで褥瘡が予防でき、紙おむつを毎回取り換えるという必要がなくなるため、褥瘡を効果的に予防し、かつ、より優秀な尿取りパッドとしての役割も果たすことのできる製品になる。
(圧縮硬さLC、圧縮仕事量WC、圧縮率及び圧縮回復性RC)
褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1の、ハンディ圧縮試験機KES−G5(カトーテック株式会社製)による、圧縮硬さLCが4.0以上8.0以下であり、4.0以上6.0以下であることが好ましい。褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1の圧縮硬さLCを上記の範囲に調整することにより、良好な柔軟性を有し、体圧を緩和することが可能な褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1を得ることができる。なお、圧縮硬さLCは、値が1に近いほど圧縮されたときに硬くなることを示す。
褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1の、ハンディ圧縮試験機KES−G5による、圧縮仕事量WCが120gf・cm/cm以上200gf・cm/cm以下であり、130gf・cm/cm以上180gf・cm/cm以下であることが好ましい。褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1の圧縮仕事量WCを上記の範囲に調整することにより、良好な柔軟性を有し、体圧を緩和することが可能な褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1を得ることができる。なお、圧縮仕事量WCは、数値が高いほど圧縮され易いことを示す。
褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1の、ハンディ圧縮試験機KES−G5による、圧縮率が15%以上35%以下であり、20%以上30%以下であることが好ましい。褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1の圧縮率を上記の範囲に調整することにより、良好な柔軟性を有し、体圧を緩和することが可能な褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1を得ることができる。なお、圧縮率(%)は、元の大きさに対してどれほど縮むかを示すもので、数値が高いほど圧縮され易いことを意味する。
また、褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1の、ハンディ圧縮試験機KES−G5による、圧縮回復性RCが30%以上70%以下であり、40%以上60%以下であることが好ましい。褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1の圧縮回復性RCを上記の範囲に調整することにより、適度な弾力性を持ち、体圧を緩和させることが可能な褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1を得ることができる。なお、圧縮回復性RC(%)は、圧縮に対する弾性を示すもので、数値が高いほど圧縮に対する反発性を有することを意味する。
褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1の、ハンディ圧縮試験機KES−G5による、圧縮硬さLC、圧縮仕事量WC、圧縮率及び圧縮回復性RCの測定方法は、以下のとおりである。まず、試験台に褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1を置き、面積2cmの円形平面を持つ銅製の加圧子を試料上方から、速度1.0cm/秒、最大圧縮応力50gf/cmの条件で試料に押し込み圧縮する。測定データをもとに数値処理により圧縮硬さLC、圧縮仕事量WC、圧縮率及び圧縮回復性RCを算出した。
(担持率)
本発明において、高吸収性ポリマーの、トウからなる繊維集合体への担持率は、70%以上であることが好ましい。これにより、トウからなる繊維集合体が高吸収性ポリマーを良好に担持することができ、柔軟性及び弾力性に優れる吸収体30及び褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1を得ることができる。以下、高吸収性ポリマーの、トウからなる繊維集合体への担持率の測定方法について、図5を用いて説明する。
(1)まず、吸収体30を作製する前の、トウからなる繊維集合体に高吸収性ポリマーを担持したシート(縦370mm、横110mm)と試験後に脱落する高吸収性ポリマーを回収する容器を用意する。
(2)当該シートの縦方向の他方端部が下になるように、縦方向の一方端部の横方向両端部(図5における符号a)を把持する。このとき、当該シートの縦方向の他方端部が、上記容器の底面から約30cmの位置となるように調整する。
(3)その後、下方向(図5におけるbの矢印の方向)に約5cm変位させ、元の位置に戻す、という振るい操作を連続的に往復20回行う。
(4)容器に脱落した高吸収性ポリマーの重量を測定し、{(振るい前の上記シートに担持させた高吸収性ポリマーの重量−脱落した高吸収性ポリマーの重量)/振るい前の上記シートに担持させた高吸収性ポリマーの重量}×100の式で算出される数値を、高吸収性ポリマーの、トウからなる繊維集合体への担持率(%)とする。
<褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1の製造方法>
褥瘡予防用の使い捨て補助パッド1の製造方法としては、特に限定はなく、従来公知の方法を採用することができ、例えば、衣類側から、バックシート20、第2開孔フィルム42、吸収体30、第1開孔フィルム41、トップシート10の順、又は衣類側から、バックシート20、開孔フィルム40で覆った吸収体30、トップシート10の順に積層し、トップシート10とバックシート20とを一部又は全周に亘ってホットメルト接着剤やヒートエンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等を用いて固定し、封止部50とすることで製造することができる。
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態や実施例に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
1 褥瘡予防用の使い捨て補助パッド
10 トップシート
20 バックシート
30 吸収体
40、41、42 開孔フィルム
50 封止部

Claims (6)

  1. 液透過性のトップシートと、液透過性のバックシートと、前記トップシート及び前記バックシートの間に配置される吸収体とを有し、
    前記トップシートと前記バックシートの間に、前記吸収体の全体を覆う開孔フィルムが配置される、褥瘡予防用の使い捨て補助パッドであって、
    前記吸収体は、トウからなる繊維集合体と高吸収性ポリマーを含有し、
    前記トウからなる繊維集合体の坪量は、20g/m以上100g/m以下であり、
    前記高吸収性ポリマーの坪量は、40g/m以上500g/m以下であり、前記高吸収性ポリマーの坪量は、前記トウからなる繊維集合体の坪量に対して、1.0倍を超え5.0倍以下であり、
    前記褥瘡予防用の使い捨て補助パッドの、ハンディ圧縮試験機KES−G5(カトーテック株式会社製)による、圧縮硬さLCが4.0以上8.0以下であり、圧縮仕事量WCが120gf・cm/cm以上200gf・cm/cm以下であり、圧縮率が15%以上35%以下であり、かつ、圧縮回復性RCが30%以上70%以下であることを特徴とする、褥瘡予防用の使い捨て補助パッド。
  2. 前記開孔フィルムは、厚み方向で一方の面の開孔径が小さく、他方の面の開孔径が大きい開孔が施され、
    前記開孔フィルムは、前記トップシートと前記吸収体の間に配置され、前記吸収体の上部及び上側部を覆う第1開孔フィルムと、前記バックシートと前記吸収体の間に配置され、前記吸収体の下部及び下側部を覆う第2開孔フィルムからなり、
    前記第1開孔フィルムは、開孔径の小さい側の開孔が前記吸収体側を向くように配置され、前記第2開孔フィルムは、開孔径の小さい側の開孔が前記吸収体側を向くように配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の褥瘡予防用の使い捨て補助パッド。
  3. 前記開孔フィルムは、厚み方向で一方の面の開孔径が小さく、他方の面の開孔径が大きい開孔が施され、
    前記開孔フィルムが、前記吸収体の上部、下部及び側部を覆う1枚の開孔フィルムであり、
    前記1枚の開孔フィルムは、開孔径の小さい側の開孔が前記吸収体を向くように前記吸収体の全体を覆うことを特徴とする、請求項1に記載の褥瘡予防用の使い捨て補助パッド。
  4. 前記開孔フィルムは、開孔径が1mm以下であり、開孔の数が50個/cm以上であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の褥瘡予防用の使い捨て補助パッド。
  5. 前記開孔フィルムは、前記開孔径が大きい一方の面の開孔径と、前記開孔径が小さい他方の面との開孔径の差が、0.03mm以上0.15mm以下であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の褥瘡予防用の使い捨て補助パッド。
  6. 前記高吸収性ポリマーの、前記トウからなる繊維集合体への担持率は、70%以上であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の褥瘡予防用の使い捨て補助パッド。
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