JP7024156B2 - 吸収性物品及び吸収性物品の製造方法 - Google Patents
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図1は、本発明の吸収性物品1の平面図であり、図2は、本発明の吸収性物品の図1におけるX1-X1断面図である。本発明の吸収性物品1は、身体側に配置された液透過性のトップシート10と、トップシート10に対向し、衣類側に配置された液不透過性のバックシート30と、トップシート10及びバックシート30の間に配置された吸収体20と、を備える。さらに、トップシート10と吸収体20との間に、液拡散層シート40を有するため、尿等との体液は、トップシート10、液拡散層シート40を介して、吸収体20に吸収される。また、本発明において、吸収性物品1は、紙おむつやテープタイプの紙おむつに重ねて好適に使用することができる。
吸収体20は、基材としての吸収性繊維と、第一の高吸収性ポリマーと、を含有する。吸収性繊維は、一般に生理用ナプキンや紙おむつ、尿取りパッド等の吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ、コットン、レーヨン、アセテート、ティシュ、吸収紙、親水性不織布等を挙げることができる。これらの中でも、吸収性の観点から、フラッフパルプを使用することが好ましい。斯かるフラッフパルプとしては、木材パルプ(針葉樹、広葉樹)及び非木材パルプ等を綿状に解繊したものを挙げることができる。吸収体20の吸収性繊維は、吸収性能及び肌触りを損なわず、かつ、薄型にするために、100g/m2以上400g/m2以下の坪量とすることが好ましい。
本発明の吸収性物品1において、図1及び図2に示すように、トップシート10と吸収体20の間に、液拡散層シート40が設けられている。また、図2に示すように、液拡散層シート40は、衣類側表面が起毛した基体不織布43と、第二の高吸収性ポリマー44と、全体を包む親水性シート45と、を有し、基体不織布43の起毛した面に第二の高吸収性ポリマー44が接着剤により担持されている。
また、高吸収性シートは少なくとも2枚の不織布に高吸収性ポリマーを担持する構造であることが一般的であり、さらに、不織布からなる液拡散性シートを用いた場合には、少なくとも3枚の不織布を必要とするが、本発明では、液拡散層シート40において、基体不織布43を1枚のみの構成とし、高吸収性シートとしても機能しているため、コストを抑えることができる。
また、実際に尿等の体液を吸収する第二の高吸収性ポリマー44及び吸収体20が、湿り気の原因となりやすいが、本発明においては、基体不織布43が起毛していることにより空隙を有する層が形成され、第二の高吸収性ポリマー44とトップシートとの間、及び、吸収体20とトップシート10との間、に上記の空隙の層が存在することにより、肌がトップシート10に触れても、湿り気による不快感が生じにくく、着用感を向上させることができる。
第二の高吸収性ポリマー44としては、吸収体20と同様の素材を用いることができる。また、第二の高吸収性ポリマー44の坪量は、80g/m2以上200g/m2以下である。また、吸収性能及び着用感のバランスの観点から、第二の高吸収性ポリマー44の坪量は、100g/m2以上160g/m2以下とすることが好ましい。なお、液拡散層シート40に後述する高吸収性ポリマー担持領域41と高吸収性ポリマー非担持領域42を設ける場合には、第二の高吸収性ポリマー44の坪量は、高吸収性ポリマー担持領域41における坪量とする。第二の高吸収性ポリマー44の坪量を上記の範囲に調整することにより、液拡散層シート40で適度に尿等の体液を吸収しつつ、吸収体20へ尿等の体液を導くことができ、吸収性物品1の吸収性を向上させることができる。なお、第二の高吸収性ポリマー44の坪量が80g/m2未満の場合には、吸収性能の低下により湿り気による不快感が生じやすくなるとともに、200g/m2を超える場合には、吸収後の吸収性物品1が厚くなり、着用感が低下しやすくなる。
本発明において、第二の高吸収性ポリマー44のゲル状態における通液時間は130秒以下である。第二の高吸収性ポリマー44のゲル状態における通液時間を130秒以下にすることにより、尿等の体液を吸収体20へ導きやすくなり、繰り返し吸収した場合におけるゲルブロッキングを抑制でき、吸収性を向上させることができ、湿り気による不快感を抑制することができる。通液時間は特許5629529号に記載された方法を参考にして、以下の方法により測定することができる。まず、第二の高吸収性ポリマー44 0.32gを0.9%生理食塩水150mlの中で30分間浸漬して膨潤させる。次に、内径が25.4mm、高さが40cmである、底部に150メッシュの金網とコックを有する円筒管内に、膨潤した第二の高吸収性ポリマー44を生理食塩水とともに移した後、垂直に結合する軸を有し、円筒管と内径が同じ100メッシュの金網を、円筒菅内に入れ、さらに軸におもりを載せ21g/cm2の荷重がかかるようにする。次に、コックを開き、円筒管内の液面の目盛りが60mlから40mlになるのに要する時間を計測する。この時間と、高吸収性ポリマーを含ませず生理食塩水のみで同様な操作を別途行い計測した時間と、の差を通液時間(秒)とする。このような高吸収性ポリマーを用いることで、ゲルブロッキングにより下層への尿等の体液の拡散が遅くなることを防止することができる。また、通液時間の観点から球状よりも粉砕型の高吸収性ポリマーを用いることが好ましい。
液拡散層シート40は、図1に示すように、吸収性物品1の長手方向中央部から前側10cm以下の位置において、短手方向に第二の高吸収性ポリマー44を担持しない略帯状の高吸収性ポリマー非担持領域42を有していることが好ましく、当該領域の長手方向の寸法は7cm以下であることが好ましい。なお、液拡散層シート40の第二の高吸収性ポリマー44を担持している領域を高吸収性ポリマー担持領域41とする。なお、後述するように、液拡散層シート40の製造工程において、カットする刃を傷めないように、高吸収性ポリマー非担持領域42をカットすることが好ましく、この場合、吸収性物品1に液拡散層シート40が配置される際には、図1に示すように、液拡散層シート40の長手方向両端側は高吸収性ポリマー非担持領域42となる。
本発明において、図2に示すように、基体不織布43及び第二の高吸収性ポリマー44は、親水性シート45により包まれている。これにより、第二の高吸収性ポリマー44の漏れを防止することができ、着用時の肌触りも向上させることができる。親水性シート45としては、ティシュ、吸収紙、スパンボンド不織布やエアレイド不織布等の親水性不織布を挙げることができる。これらの中でもコスト性に優れ、高吸収性ポリマーの漏れを効果的に抑制できる、ティシュを用いることが好ましい。また、ティシュは伸長性があるため、第二の高吸収性ポリマー44の膨潤を阻害しない観点からも好ましい。親水性シート45の坪量は、7g/m2以上45g/m2以下とすることが好ましく、8g/m2以上18g/m2以下とすることがより好ましい。なお、液拡散層シート40及び第二の高吸収性ポリマー44を親水性シート45で包む際には、液拡散層シート40と親水性シート45とを、ホットメルト接着剤や熱エンボス加工により固定することが好ましい。
トップシート10は、吸収性物品1の内部に向けて体液を速やかに通過させるものであり、吸収体20及び液拡散層シート40を挟んで、バックシート30に対向して配置される。トップシート10は、肌と当接するシートとなることから、やわらかな感触で、肌に刺激を与えないような性質を有する、親水性不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム又はこれらを積層した複合シートから形成される。なお、トップシート10は、単層であっても、複数層積層していてもよく、ドライタッチ性を付与するために多数の透孔が形成されていてもよい。
本発明に用いるバックシート30としては、液不透過性であり、かつ、遮水性を有するシート材が用いられるが、ムレ防止のために透湿性を有していてもよい。このような特性を有するバックシート30の材料としては、例えば、ポリエチレンシートやポリエチレンラミネート不織布等の厚みの薄いプラスチックシートを挙げることができる。また、バックシート30の坪量は、加工性及び強度の点から、15g/m2以上60g/m2以下であることが好ましい。バックシート30の衣類側表面には、装着時のズレを防止するための固定部材を設けていてもよい。固定部材の基材としては、特に限定されないが、メカニカルフックテープ又は粘着剤であることが好ましい。また、固定部材を保護するための剥離シートを有していてもよい。
本発明の吸収性物品1は、短手方向の両端部に立体ギャザー60を備えることが好ましい。立体ギャザー60を短手方向の両端部に設けることにより、尿等の体液の短手方向からの漏れを効果的に防止することができる。立体ギャザー60としては、疎水性繊維にて形成された撥水性又は液不透過性のシート、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、ポリエチレンフィルムを用いることができる。これらの基材から適宜選択し、二重に接合したものを用いることもできる。また、立体ギャザー60の坪量は、加工性及び強度の点から、15g/m2以上100g/m2以下であることが好ましい。
また、立体ギャザー60は、自由端側及び基端側に少なくとも一本ずつの伸縮弾性部材を長手方向に沿って有することが好ましい。伸縮弾性部材を長手方向に沿って設けることで、立体ギャザー60が起立性を有し、着用者の体型に合わせて変形可能なものとなり、フィット性が向上することで、尿等の体液の漏れを効果的に防止することができるようになる。伸縮弾性部材としては、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、糸状又は帯状の天然ゴム等が使用される。
本発明の吸収性物品1は、例えば、液拡散層シート40を製造する第一の工程と、衣類側から順に、バックシート30と、吸収体20と、液拡散層シート40と、トップシート10と、を積層し、トップシート10とバックシート30の一部又は全周を固定する第二の工程と、を備える方法により製造することができる。なお、第二の工程においては、基体不織布43の起毛した面を衣類側に配置する。なお、本発明の吸収性物品1の製造方法の説明において、流れ方向とは、液拡散層シート40及び吸収性物品1の製造において、基体不織布43が進行する方向を指す。また、幅方向とは、流れ方向に対して横又は直交する方向である。
工程Aは、基体不織布43の片側表面を起毛させる工程である。工程Aは、図3に示すように、原不織布を巻き出すアンリール部(図示せず)より送り出されて、ライン速度V1で走行する基体不織布43に対し、基体不織布43の流れ方向に略平行になるように、幅方向に複数枚並んで設置される回転刃100が、ライン速度V1よりも遅い回転速度V2で流れ方向に回転しながら基体不織布43の表面に接することで、基体不織布43の片側表面を起毛させる工程である。ライン速度V1は、特に制限されないが、適度な生産性を確保するために、50m/分以上300m/分以下であることが好ましく、100m/分以上200m/分以下であることがより好ましい。
工程Bは、工程Aの後に、基体不織布43の起毛した面及び親水性シート45の片側表面に、それぞれ第一の接着剤塗布装置200A及び第二の接着剤塗布装置200Bによって接着剤を塗布する工程である。第一の接着剤塗布装置200A及び第二の接着剤塗布装置200Bによる塗布パターンとしては特に制限はないが、スパイラル、細かいファイバー状に全面塗布、幅をもった筋状、点状、Ω状などのパターンに塗布することができる。
工程Cは、工程Bの後に、基体不織布43及び親水性シート45の接着剤を塗布した面を貼り合わせながら、高吸収性ポリマー散布装置300により第二の高吸収性ポリマー44を、接着剤を塗布した面に向かい、オンラインで定量的に担持させる工程である。高吸収性ポリマー散布装置300としては、特に限定されず、スクリューフィーダー、ロータリーフィーダー、振動フィーダーなど粉体に使用できる公知のフィーダーを使用することができる。
工程Dは、工程Cの後に、親水性シート折り装置400により、親水性シート45で全体を包む工程である。まず、親水性シート折り装置400に入る前に、親水性シート45の幅方向片側端部に、第三の接着剤塗布装置200Cを用いて接着剤が長手方向に沿って塗布される。親水性シート45の幅方向の寸法は基体不織布43の幅方向の寸法の二倍以上であり、親水性シート折り装置400の中で基体不織布43の幅方向両端部を起点に、基体不織布43が重なっていない部分の親水性シート45を基体不織布43の流れ方向に沿いながら折り畳んでいき、親水性シート45が折り重なった部分をあらかじめ塗布された接着剤で固定する。
下記の液拡散層シートを用いた吸収性物品を作製し、モニター評価を行った。
基体不織布としてエアスルー不織布(幅方向の寸法14cm、坪量90g/m2)を用意し、上記に記載した方法により、基体不織布の片側表面を物理的に起毛させ、起毛した面及び親水性シート(スパンボンド不織布、幅方向の寸法30cm、坪量13g/m2)にホットメルト接着剤を塗布し、塗布した面を貼り合わせながら、高吸収性ポリマー散布装置により第二の高吸収性ポリマーを、接着剤を塗布した面に向かい、オンラインで定量的に担持させた。なお、第二の高吸収性ポリマーを担持する際には、間欠的に担持させることにより、高吸収性ポリマー担持領域及び高吸収性ポリマー非担持領域を設け、さらに、流れ方向から順に、高吸収性ポリマー非担持領域(流れ方向の寸法5cm)、高吸収性ポリマー担持領域(流れ方向の寸法13cm)、高吸収性ポリマー非担持領域(長手方向の寸法3cm)、高吸収性ポリマー担持領域(流れ方向の寸法23cm)、高吸収性ポリマー非担持領域(流れ方向の寸法5cm)のパターンを作製し、各パターンの両端部の流れ方向5cm幅の高吸収性ポリマー非担持領域の中央部でカットし、長手方向の前側から順に、高吸収性ポリマー非担持領域(長手方向の寸法2.5cm)、高吸収性ポリマー担持領域(流れ方向の寸法13cm)、高吸収性ポリマー非担持領域(長手方向の寸法3cm)、高吸収性ポリマー担持領域(流れ方向の寸法23cm)、高吸収性ポリマー非担持領域(流れ方向の寸法2.5cm)の、長手方向の合計寸法か44cm、短手方向の寸法が14cmの略長方形上の液拡散層シートを得た。
(吸収性物品)
次に、このようにして得た液拡散層シートについて、当該液拡散層シートの基体不織布の起毛した面を衣類側に向くようにして、あらかじめ用意したフラッフパルプ及び第一の高吸収性ポリマーを有する吸収体(長手方向の寸法45cm、短手方向の最大寸法が23cm、長手方向中央付近に位置する短手方向の最小寸法が14cm、長手方向中央部の短手方向側端部に括れを有する略瓢箪形状、面積0.082m2)の身体側に配置した。なお、第一の高吸収性ポリマーは、坪量が121g/m2、吸収体に対する含有量を40質量%となるように調整した。次に、ホットメルト接着剤を塗布したバックシート(通気性ポリエチレンフィルム、坪量32g/m2)の上に、上記の吸収体、液拡散層シートの順に配置し、更にトップシート(エアスルー不織布、坪量20g/m2)を積層した。このようにして、短手方向29cm、長手方向53cmの実施例1から4及び比較例1の吸収性物品(長手方向中央部の短手方向側端部に括れを有する略瓢箪形状)を得た。なお、液拡散層シートを吸収性物品に配置するにあたり、2つの高吸収性ポリマー担持領域の間に設けた高吸収性ポリマー非担持領域の前側端部が、吸収性物品の長手方向中央部から前側3.5cmとなるように配置した。
吸収性物品の中央に0.9%の生理食塩水150mlをメスシリンダーを用いて5分間間隔で3回注ぎ、3回目に注いだ後から5分後に手で触れて表面に湿り気があるかを、10名のパネラーにより、以下の基準により評価し、着用感の指標とした。なお、○及び△を合格とした。
○:「湿り気を感じない」が8人以上10人以下のとき
△:「湿り気を感じない」が5人以上7人以下のとき
×:「湿り気が感じない」がいないか、4人以下のとき
10 トップシート
20 吸収体
30 バックシート
40 液拡散層シート
41 高吸収性ポリマー担持領域
42 高吸収性ポリマー非担持領域
43 基体不織布
44 第二の高吸収性ポリマー
45 親水性シート
60 立体ギャザー
100 回転刃
200A 第一の接着剤塗布装置
200B 第二の接着剤塗布装置
200C 第三の接着剤塗布装置
300 高吸収性ポリマー散布装置
400 親水性シート折り装置
Claims (3)
- 液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、トップシート及びバックシートの間に配置された吸収体と、を有する吸収性物品であって、
前記吸収体は吸収性繊維と第一の高吸収性ポリマーを有し、
前記吸収性物品には、前記トップシートと前記吸収体の間に、液拡散層シートが設けられており、
前記液拡散層シートは、衣類側表面が起毛した基体不織布と、第二の高吸収性ポリマーと、全体を包む親水性シートと、を有し、
前記基体不織布の起毛した面に前記第二の高吸収性ポリマーが接着剤により担持されており、
前記基体不織布の坪量は40g/m2以上150g/m2以下であり、
前記第二の高吸収性ポリマーの坪量が80g/m2以上200g/m2以下であり、
前記第二の高吸収性ポリマーのゲル状態における通液時間が130秒以下である、吸収性物品。 - 前記液拡散層シートは、前記吸収性物品の長手方向中央部から前側10cm以下の位置において、短手方向に前記第二の高吸収性ポリマーを担持しない略帯状の高吸収性ポリマー非担持領域を有しており、当該領域の長手方向の寸法は7cm以下である、請求項1に記載の吸収性物品。
- 液拡散層シートを製造する第一の工程と、衣類側から順に、バックシートと、吸収体と、液拡散層シートと、トップシートと、を積層し、トップシートとバックシートの一部又は全周を固定する第二の工程と、を備え、
第一の工程において、基体不織布の片側表面を起毛処理し、その後、基体不織布の起毛した面に第二の高吸収性ポリマーがオンラインで間欠的に担持させることにより、高吸収性ポリマー担持領域及び高吸収性ポリマー非担持領域を設け、
第二の工程において、基体不織布の起毛した面を衣類側にして液拡散層シートを配置する、請求項1又は2に記載の吸収性物品の製造方法。
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