JP2020084227A - 高炉用羽口 - Google Patents

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Abstract

【課題】界面での剥離発生の可能性を低減して、長寿命化を実現できる高炉用羽口を提供する。【解決手段】高炉用羽口10であって、銅または銅合金を母材とする羽口本体部1と、羽口本体部1の外表面1aに設けられた第1保護層3と、を備える。第1保護層3の少なくとも一部または全部は、純ニッケルを羽口本体部1に拡散接合することによって得られ、第1保護層3の他の部分は、ニッケルまたはニッケル合金を羽口本体部1に肉盛溶接することによって得られる。かつ、羽口本体部1と第1保護層3との界面に形成された拡散層4の厚さは、50μm〜350μmである。【選択図】図1

Description

本発明は、高炉用羽口に関する。
高炉用羽口(以下、単に「羽口」ともいう。)は、高炉の炉内に突き出ており、この突き出た先端部は高温雰囲気に曝されているため、優れた耐熱性が求められる。また、羽口の先端には、炉内の鉱石やコークスが衝突することがあるので、優れた耐摩耗性も求められる。
羽口本体部には、内部に水路が設けられ、その水路に冷却水を流すことによって高炉内に突き出た先端付近の温度が低減される。羽口本体部の材質は、通常、熱伝導性に優れた銅または銅合金である。しかしながら、羽口の内部を水冷するだけでは先端の温度を十分には低減できないこと、および、銅は硬度が低く、耐摩耗性の点では劣ることから、羽口先端には耐熱性および耐摩耗性を高めるための保護層が設けられる。保護層を設けることによって羽口の寿命は延長されるものの、それでもなお、長期間使用すると先端が損傷し、羽口の交換が必要になる。羽口を交換するためには高炉を休風する必要があるため、羽口が損傷するとその交換費用のみならず、溶銑の生産量も低下してしまう。
羽口の保護層には、ニッケル系の材質が用いられることが多い。ニッケル合金は高温における強度、耐食性に優れ、また、マトリックス中に硬質の金属間化合部を析出させたり、炭化物、窒化物などを混合させることによって硬度を増したりできるのがその理由である。保護層に高硬度のニッケル合金を適用する場合には、例えば、特許文献1に記載されるように、羽口本体である銅との接合性が高いニッケル合金またはステンレス鋼を素材とする薄板材を拡散接合することで、強固な密着性を有する被膜層を形成させている。
特開昭59−153574号公報
しかしながら、単に銅にニッケル合金を拡散接合しただけでは、繰り返される温度変化による熱負荷が与えられる環境下では、銅とニッケル合金との界面が剥離することがある。本発明者らは、鋭意検討の結果、剥離の原因が、過度な熱負荷を受けた際、銅とニッケルとの強度または熱膨張率などの物性値が界面で急激に変化するため、歪が集中しやすいことにあることの知見を得た。
本発明は、界面での剥離発生の可能性を低減して、長寿命化を実現できる高炉用羽口を提供することにある。
本発明は、銅または銅合金を母材とする羽口本体部と、前記羽口本体部の表面に設けられた、第1保護層と、を備え、前記第1保護層の少なくとも一部または全部は純ニッケルを前記羽口本体部に拡散接合することによって得られ、前記第1保護層の他の部分は、ニッケルまたはニッケル合金を前記羽口本体部に肉盛溶接することによって得られ、かつ、前記羽口本体部と前記第1保護層との界面に形成された拡散層の厚さは、50μm〜350μmである。
本発明によれば、界面での剥離発生の可能性を低減して、長寿命化を実現できる高炉用羽口が得られる。
図1は、実施形態に係る高炉用羽口の一例を示した断面図である。 図2は、300℃の温度下で熱膨張率を示す図である。 図3は、常温での引張強度を示す図である。 図4は、800℃、900℃、950℃それぞれで拡散接合を行った場合を想定した計算による接合時間とニッケル拡散層厚さとの関係を示す図である。 図5は、800℃、900℃、950℃それぞれで拡散接合を行った場合を想定した計算による接合時間と銅拡散層厚さとの関係を示す図である。 図6は、800℃、900℃、950℃それぞれで拡散接合を行った場合を想定した計算による接合時間と拡散層厚さとの関係を示す図である。 図7は、第2保護層を備えた高炉用羽口の一例を示した断面図である。
図1は、本実施形態に係る高炉用羽口10の一例を示した断面図である。図1に示す丸印は、羽口本体部1と、第1保護層3との界面の一部を拡大した図である。
<1.1.羽口本体部について>
高炉用羽口10は羽口本体部1を備える。羽口本体部1は略円筒状である。羽口本体部1は、熱伝導性に優れた銅または銅合金からなる。羽口本体部1は、その先端部1bが高炉の内壁から内側に向かって突出した状態で高炉内に配置される。高炉の操業時には、羽口本体部1を介して高炉内へ高温(例えば1200℃程度)の熱風が供給される。
羽口本体部1の内部には、周方向に沿った水路2が設けられている。水路2に冷却水を流すことによって、羽口本体部1の先端部1b付近の温度を低減している。
<1.2.第1保護層について>
高炉用羽口10は、羽口本体部1の外表面1aの一部を覆う第1保護層3を備える。第1保護層3の一部は、純ニッケルを羽口本体部1の外表面1aに拡散接合することによって得られる。第1保護層3の他の部分は、ニッケルまたはニッケル合金を羽口本体部1の外表面1aに肉盛溶接することによって得られる。詳しくは、第1保護層3のうちの一部、例えば高温溶融物に曝される可能性が高い羽口本体部1の上部は、純ニッケルを使用している。そして、先端部1bの外表面1aには、その純ニッケルを拡散接合し、先端部1b以外の外表面1aには、ニッケルまたはニッケル合金を肉盛溶接している。拡散接合は、羽口本体部1の形状に沿った形状に加工した板材を羽口本体部1に載置し、その状態で加熱することで行われる。この拡散接合では、後に詳述するが、第1保護層3と羽口本体部1との界面に形成されるニッケル拡散層41と銅拡散層42とを合わせた拡散層4の厚さが50μm〜350μmとなるように行われる。
上述したニッケル拡散接合部以外の第1保護層3の材質は、羽口本体部1との密着性に優れるとともに、熱伝導率が高い材料を選択することができる。羽口本体部1との密着性の観点からは、羽口本体部1に用いられる銅または銅合金の熱膨張率に近い材料、具体的には、熱膨張率(線膨張率)が13〜16×10-6/℃の範囲である材料を選択することができる。また、熱伝導率が高い材料とは、例えば、熱伝導率が10W/(m・K)以上の範囲にある材料である。第1保護層3の材質としては、例えば、ニッケルまたはニッケル合金(例えばニッケルクロム合金)からなるものを選択できる。
より具体的には、質量%で、Cr:0〜40.0%、Mn:0〜4.0%、Ti:0〜3.0%、Al:0〜3.0%、Nb:0〜3.0%、Fe:0〜9.0%を含み、残部がNiおよび不純物からなる材料である。不純物とは、ニッケルまたはニッケル合金を工業的に製造する際に、鉱石、スクラップ等の原料その他の要因により混入し、本発明の効果を阻害しない範囲で許容される成分を意味する。
Cr(クロム)は、耐食性を向上させるので、第1保護層3の材料中に含まれていてもよい。その含有量が過剰な場合には、溶接時に割れが発生するので、その上限は40.0%とする。上記の効果を発揮させるためには、その含有量を5.0%以上とするのが好ましく、10.0%以上とするのがより好ましい。さらに好ましいのは、14.0%以上である。また、上限は、35.0%とするのが好ましく、30.0%とするのがより好ましく、25.0%とするのがさらに好ましい。
Mn(マンガン)は、溶接時の湯流れ性を高め溶接欠陥の発生を抑制するので、第1保護層3の材料中に含まれていてもよい。その含有量が過剰な場合には、延性およびじん性が低下して割れ易くなるので、その上限は4.0%とする。上記の効果を発揮させるためには、その含有量を0.5%以上とするのが好ましく、1.0%以上とするのがより好ましく、1.5%以上とするのがさらに好ましい。また、上限は、3.5%とするのが好ましく、3.0%とするのがより好ましく、2.5%とするのがさらに好ましい。
Ti(チタン)は、ニッケルと金属間化合物を形成して保護層の硬さを高め、耐摩耗性を向上させるので、第1保護層3の材料中に含まれていてもよい。その含有量が過剰な場合には、延性およびじん性が低下して割れ易くなるので、その上限は3.0%とする。上記の効果を発揮させるためには、その含有量を0.5%以上とするのが好ましく、1.0%以上とするのがより好ましく、1.5%以上とするのがさらに好ましい。また、上限は、2.5%とするのが好ましく、2.0%とするのがより好ましく、1.5%とするのがさらに好ましい。
Al(アルミニウム)は、ニッケルと金属間化合物を形成して第1保護層3の硬さを高め、耐摩耗性を向上させるので、第1保護層3の材料中に含まれていてもよい。その含有量が過剰な場合には、延性およびじん性が低下して割れ易くなるので、その上限は3.0%とする。上記の効果を発揮させるためには、その含有量を0.5%以上とするのが好ましく、1.0%以上とするのがより好ましく、1.5%以上とするのがさらに好ましい。また、上限は、2.5%とするのが好ましく、2.0%とするのがより好ましく、1.5%とするのがさらに好ましい。
Nb(ニオブ)は、ニッケルと金属間化合物を形成して保護層の硬さを高め、耐摩耗性を向上させるので、第1保護層3の材料中に含まれていてもよい。その含有量が過剰な場合には、延性およびじん性が低下して割れ易くなるので、その上限は3.0%とする。上記の効果を発揮させるためには、その含有量を0.5%以上とするのが好ましく、1.0%以上とするのがより好ましく、1.5%以上とするのがさらに好ましい。また、上限は、2.5%とするのが好ましく、2.0%とするのがより好ましく、1.5%とするのがさらに好ましい。
Fe(鉄)は、ニッケル合金中に固溶することで第1保護層3の強度を向上させ、耐摩耗性を向上させるので、第1保護層3の材料中に含まれていてもよい。また、Nbと複合添加した場合には、Nbと金属間化合物を形成して第1保護層3の硬さを高め、耐摩耗性を向上させる。その含有量が過剰な場合には、延性およびじん性が低下して割れ易くなるという問題があるので、その上限は9.0%とする。上記の効果を発揮させるためには、その含有量を0.5%以上とするのが好ましく、1.0%以上とするのがより好ましく、1.5%以上とするのがさらに好ましい。また、上限は、8.5%とするのが好ましく、8.0%とするのがより好ましく、7.5%とするのがさらに好ましい。
第1保護層3の厚さ(平均厚さ)は、2.0〜6.0mmとするのが好ましい。2.0mm未満では、十分な耐磨耗性を維持することが困難となる場合があり、6.0mmを超えると、羽口本体部1の先端部1bを十分に冷却することが困難となる場合があるからである。
<2.拡散層について>
羽口本体部1と第1保護層3の純ニッケルとを拡散接合して、羽口本体部1と第1保護層3との界面には拡散層4が形成される。羽口本体部1と第1保護層3の純ニッケルとを拡散接合すると、羽口本体部1と第1保護層3との界面には、羽口本体部1の銅中へ第1保護層3のニッケルが拡散したニッケル拡散層41と、第1保護層3のニッケル中へ羽口本体部1の銅が拡散した銅拡散層42とが形成される。拡散層4は、ニッケル拡散層41と、銅拡散層42とを合わせた層である。
拡散層4は、界面から十分離れた距離の第1保護層3のニッケル質量%の平均値よりニッケル質量%が1%減少した位置から、界面から十分離れた距離の羽口本体部1のニッケル質量%が1%増加した位置までの層である。この層の距離を、拡散層4の厚さ(以下、拡散層厚さと言う)と定義する。また、拡散層厚さは、例えば、切り出した表面を電子線マイクロアナライザ(EPMA:Electron Probe Micro Analyzer)などを用いて測定することができる。そして、拡散層厚さは測定された厚さの最小とする。
本発明者らは、拡散層厚さを50μm〜350μmとすることで、銅とニッケルとの強度および熱膨張率などの物性値が界面で急激に変化せず、ひずみ集中による剥離を抑制できることを見出した。
拡散接合において、銅中へのニッケル原子の拡散が多く、ニッケル中への銅原子の拡散は少ない。このため、銅とニッケルとを長時間密着させると、ニッケル部分に原子が不足してボイドが発生し、このボイドが剥離の原因となる。このため、本実施形態の拡散層厚さは350μm以下としてある。また、拡散層厚さを50μm以上確保することで、羽口本体部1と第1保護層3との界面でのひずみ集中を緩和でき、接合強度を高めることができる。
以下に、拡散層厚さを50μm以上確保することで、羽口本体部1と第1保護層3との界面でのひずみ集中を緩和でき、接合強度を高めることができることの効果を確認するため物性を調査した。拡散層4として銅とニッケルとの合金(モネルまたはキュプロニッケル)を用いて、合金中のニッケルの質量%を変化させたときの、合金の熱膨張率と引張強度とを調査した。
図2は、300℃の温度下で熱膨張率を示す図である。図2の横軸はニッケルの質量%、縦軸は合金の熱膨張率である。図2において、ニッケルの質量%が0%のときの熱膨張率は、銅の熱膨張率であり、ニッケルの質量%が100%のときの熱膨張率は、ニッケルの熱膨張率である。図2から読み取れるように、ニッケルの質量%の変化に対し、合金の熱膨張率の変化はなだらかである。
拡散層が薄い場合の拡散層内のニッケルの質量%の変化量は、拡散層が厚い場合と比べて大きい。この場合、銅とニッケルとの界面近傍では、厚さ方向におけるニッケルの質量%の変化量はより大きくなる。すなわち、銅およびニッケルのそれぞれの熱膨張率と、拡散層4の熱膨張率との差は大きくなる。熱膨張率が急激に変化すると、その変化部分にひずみが集中し、剥離懸念が生じる。
そこで、本実施形態では、拡散層厚さを50μm以上確保して、羽口本体部1の銅と拡散層4との界面近傍での厚さ方向におけるニッケルの質量%の変化をなだらかにしている。これにより、厚さ方向の熱膨張率の変化もなだらかとなり、急激な熱膨張率の変化による歪集中を防止でき、界面での剥離懸念を低減できる。
図3は、常温での引張強度を示す図である。図3の横軸はニッケルの質量%、縦軸は合金の引張強度である。図3において、ニッケルの質量%が0%のときは純銅の引張強度であり、ニッケルの質量%が100%は純ニッケルの引張強度である。図3から読み取れるように、純銅の引張強度は純ニッケルよりも小さいが、ニッケルを少量でも含むと強度が高くなる。また、ニッケルの質量%が小さい場合より、合金にニッケルがある程度(例えば、40〜60%)含有されている場合の方が、引張強度は高い。したがって、拡散層厚さを50μm以上確保して、拡散層4のニッケルの質量%を大きくすることで、拡散層4自体の強度は高くなり、かつ、銅とニッケルとの界面近傍での厚さ方向の強度差をなだらかになり、さらにひずみの集中を抑制できる。
このように、拡散層厚さを50μm〜350μmとすることで、羽口本体部1と第1保護層3との界面での剥離懸念を低下させ、強度を高めることができる。
<3.拡散層の形成方法について>
厚さ50μm〜350μmとなる拡散層4は、約800℃〜950℃の温度下で、羽口本体部1と第1保護層3とを密着させることで、形成することができる。以下に、図4〜図6を参照して、銅とニッケルとを約800℃〜950℃の温度下で拡散接合した場合の、羽口本体部1と第1保護層3との接合時間と拡散層厚さとの関係を説明する。
図4は、800℃、900℃、950℃でそれぞれ拡散接合を行った場合を想定した計算による接合時間とニッケル拡散層厚さとの関係を示す図である。図4のニッケル拡散層厚さは、銅とニッケルとの界面から銅側へ形成されたニッケル拡散層41の厚さであり、ニッケル質量%が1%となるまでの厚さである。図5は、800℃、900℃、950℃でそれぞれ拡散接合を行った場合を想定した計算による接合時間と銅拡散層42の厚さである。図5の銅拡散層厚さは、銅とニッケルとの界面から、ニッケル側へ形成された銅拡散層42の厚さであり、銅質量%が1%となるまでの厚さである。図6は、800℃、900℃、950℃で拡散接合を行った場合を想定した計算による接合時間と拡散層厚さとの関係を示す図である。図6の拡散層厚さは、ニッケル拡散層41と銅拡散層42とを合わせた拡散層4の厚さであり、ニッケル拡散層厚さと銅拡散層厚さとを合計した厚さである。
図6から読み取れるように、800℃の温度下で拡散接合した場合、約35時間で、厚さ50μmの拡散層4が形成される。また、900℃の温度下で拡散接合した場合、約3.5時間で、950℃の温度下で拡散接合した場合、約1.5時間で、厚さ50μmの拡散層4が形成される。
なお、図6から読み取れるように、350μm超の厚さの拡散層を得るためには、950℃の温度下であっても長時間(例えば、100時間以上)の接合時間が必要となり、生産性が低下する。また、銅の融点温度は約1085℃であるため、さらに高温で拡散接合することはできない。さらに、例えば、図4と図5とを対比から読み取れるように、長時間(例えば、100時間)銅とニッケルとを密着させると、銅中へのニッケル原子の拡散が多く、ニッケル中への銅原子の拡散は少ない。このため、ニッケル部分に原子が不足してボイドが発生し、このボイドが剥離の原因となる。これらの理由から、本実施形態の拡散層厚さは350μm以下としてある。
<4.第2保護層について>
なお、本実施形態に係る高炉用羽口10は、第1保護層3に設けられた第2保護層5をさらに備えていてもよい。図7は、第2保護層5を備えた高炉用羽口10の一例を示した断面図である。
第2保護層5は、第1保護層3の表面の少なくとも一部に肉盛溶接により設けられた肉盛溶接層である。第2保護層5の材質は、高炉の操業時に、炉内の鉱石またはコークスとの衝突に耐えうる耐摩耗性(具体的には、ビッカース硬さで180Hv以上)に優れるとともに、熱伝導率が高い材料(具体的には10W/mK以上)を選択することができる。例えば、第2保護層5の材質には、硬質の炭化物、窒化物、酸化物、ほう化物から選択される一種以上を含有させたニッケル合金を用いることができる。炭化物としては、TiC、WC、NbC、VCなどが例示されるが、中でもTiCが好ましい。これは、TiCが、硬さが大きく、耐摩耗性の向上に極めて有効な材料だからである。
第2保護層5の材料中の炭化物は、均一に分散している状態が好ましい。炭化物の粒径が大きすぎると、均一に分散させることが困難となるので、炭化物の粒径の最大値は、200μm以下とするのが好ましい。また、炭化物の平均粒径は40〜100μmの範囲するのが好ましい。また、炭化物の体積率が高すぎても均一に分散させることが困難となるので、第2保護層5の材料中の炭化物の体積率の最大値は30%以下とするのが好ましく、5〜25%とするのがさらに好ましい。
第2保護層5は、第1保護層3の表面の少なくとも一部、詳しくは、炉内の鉱石またはコークスが衝突しやすい個所に設けられておればよい。特に、高炉内に配置された高炉用羽口10において、上側半分を構成する部分の表面に第2保護層5が設けられていることが好ましい。このとき、第2保護層5が設けられていない部分の第1保護層3の厚さと、第2保護層5が設けられている部分の第1保護層3および第2保護層5の合計厚さとが実質的に同一であることが好ましい。なお、高炉の操業時に、炉内の鉱石またはコークスが衝突しにくい箇所である高炉用羽口10の下部にも第2保護層5を設けてもよい。
第2保護層5の厚さは、3.0〜6.0mmとするのが好ましい。3.0mm未満では、十分な耐磨耗性を維持することが困難となる場合があり、6.0mmを超えると、羽口本体部1の先端部1bを十分に冷却することが困難となる場合があるからである。
第1保護層3の厚さTaと第2保護層5の厚さTbとの和(Ta+Tb)は、6.0〜9.0mmとするのが好ましい。6.0mm未満では、十分な耐摩耗性を確保できないという問題が生じるおそれがあり、9.0mmを超えると、羽口本体部1の先端部1bを十分に冷却できないという問題が生じるおそれがあるからである。
肉盛溶接方法は、公知の方法を採用することができ、例えば、被覆アーク溶接法、MAG溶接法、炭酸ガスアーク溶接法、MIG溶接法、TIG溶接法、サブマージアーク溶接法などが挙げられる。中でも、三次元的に曲面形状である羽口先端へのニッケルまたはニッケル合金の溶接作業性を高めるためには、TIG溶接法を採用するのが好ましい。
本発明によれば、界面での剥離発生の可能性を低減して、長寿命化を実現できる高炉用羽口が得られる。
1 羽口本体部
1a 外表面
1b 先端部
2 水路
3 第1保護層
4 拡散層
5 第2保護層
10 高炉用羽口
41 ニッケル拡散層
42 銅拡散層

Claims (2)

  1. 銅または銅合金を母材とする羽口本体部と、
    前記羽口本体部の表面に設けられた、第1保護層と、
    を備え、
    前記第1保護層の少なくとも一部または全部は、純ニッケルを前記羽口本体部に拡散接合することによって得られ、前記第1保護層の他の部分は、ニッケルまたはニッケル合金を前記羽口本体部に肉盛溶接することによって得られ、かつ、
    前記羽口本体部と前記第1保護層との界面に形成された拡散層の厚さは、50μm〜350μmである、
    高炉用羽口。
  2. 前記第1保護層の表面の少なくとも一部を覆う肉盛溶接層からなる第2保護層、
    をさらに備え、
    前記第2保護層は、硬質の炭化物、窒化物、酸化物、ほう化物から選択される一種以上を含有させたニッケル合金からなる、
    請求項1に記載の高炉用羽口。

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