JP7087756B2 - 高炉用羽口およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高炉用羽口およびその製造方法に関する。
高炉用羽口(以下、単に「羽口」ともいう。)は、高炉の炉内に突き出ており、この突き出た先端部は高温雰囲気に曝されているため、優れた耐熱性が求められる。また、羽口の先端には、炉内の鉱石やコークスが衝突することがあるので、優れた耐摩耗性も求められる。
羽口本体部には、内部に水路が設けられ、その水路に冷却水を流すことによって高炉内に突き出た先端付近の温度が低減される。羽口本体部の材質は、通常、熱伝導性に優れた銅または銅合金である。しかしながら、羽口の内部を水冷するだけでは先端の温度を十分には低減できないこと、および、銅は硬度が低く、耐摩耗性の点では劣ることから、羽口先端には耐熱性および耐摩耗性を高めるための保護層が設けられる。保護層を設けることによって羽口の寿命は延長されるものの、それでもなお、長期間使用すると先端が損傷し、羽口の交換が必要になる。羽口を交換するためには高炉を休風する必要があるため、羽口が損傷するとその交換費用のみならず、溶銑の生産量も低下してしまう。
羽口の保護層には、ニッケル系の材質が用いられることが多い。ニッケル合金は高温における強度、耐食性に優れ、また、マトリックス中に硬質の金属間化合部を析出させたり、炭化物、窒化物などを混合させることによって硬度を増したりできるのがその理由である。保護層に高硬度のニッケル合金を適用する場合には、例えば、特許文献1および2に記載されるように、羽口本体である銅との接合性が高い金属の保護層を設けることで、高硬度の保護層の密着性を高めることができる。
特開昭59-15374号公報 特開平4-246113号公報
しかし、特許文献1では、ニッケルもしくはニッケル合金またはステンレス鋼の薄板材を熱間等方圧加圧処理によって、銅製羽口本体に拡散接合している。熱間等方圧加圧処理では、薄板材と羽口本体の接合部を気密真空的に密封した状態で接合する必要があるため、接合前に、真空中で電子ビーム溶接するなどして、接合部を密封する必要がある。
羽口は、内部に熱風を流すために円筒形状をしており、その先端を覆うように薄板材を設ける場合は、薄板材を羽口先端に沿うように、三次元的に曲面加工する必要がある。その加工精度が低く、羽口本体と合わせた際に隙間ができてしまうと、電子ビーム溶接で密封できなくなってしまう。このため、特許文献1に開示された技術では、薄板材の加工、真空中での電子ビーム溶接を要するので、製造コストを上昇させる。また、真空容器内での電子ビーム溶接は、容器内を真空にするのに時間がかかり、かつ、容器内に挿入できる羽口の数の制限があるため、生産性が低いという問題がある。
特許文献2では、Ni-Cr合金の肉盛層の上に、Ni-Mo合金の肉盛層を設けた保護層が記載されている。肉盛層を重ねることを前提とすれば、製造コストおよび生産性の悪化などの問題は小さい。しかし、このように、肉盛層上に肉盛層を設けると、肉盛層の界面に溶接欠陥(未溶着部)が増えて、界面熱抵抗が高くなり、羽口先端における冷却効果が不十分となり、使用時に保護層の硬さが低下して耐磨耗性が悪化するおそれがある。
本発明は、このような従来技術の問題を解決するためになされたものであり、耐熱性および耐磨耗性に優れる高炉用羽口およびその製造方法を提供することを目的とする。
羽口本体部の外表面に設ける保護層は、常温では硬い保護層であるが、高炉の稼働中に温度が上昇すると、硬さが低下し、耐摩耗性が劣化する。前述のように、羽口本体部には、内部に設けられた水路に冷却水を流すことによって高炉内に突き出た先端付近の温度を低減しており、これによって保護層の温度も低減できる。
よって、第一に、高炉稼動時の保護層の温度上昇を避けるためには、保護層を複層構造とし、内層に、羽口本体部との密着性に優れ、かつ熱伝導率が高い材料で構成した保護層を設ける、外層に、炉内の鉱石やコークスとの衝突に耐えうる耐摩耗性に優れる材料で構成した保護層を設けるのが有効である。このような材料については、従来、様々な検討がなされており、一定の効果が確認されている。
しかし、保護層の熱伝導率が高くても、保護層と羽口本体部との界面における熱抵抗が高い場合、また、保護層が複層構造の場合にはそれらの層間の熱抵抗が高い場合には、保護層の温度上昇を避けるのが難しくなる。このため、これらの界面熱抵抗を低減することが極めて重要である。しかし、熱間等方圧加圧処理を前提とするような製造方法では、製造コストの上昇および生産性の低下を避けられない。
本発明者らは、複高炉羽口の先端に設ける保護層として、単に肉盛層上に肉盛層を設けると、肉盛層の界面に溶接欠陥(未溶着部、空隙)が増える原因について検討した。そして、第一に、羽口本体部の少なくとも先端を含む外表面に肉盛溶接により設けた第一保護層の表面には、凹凸があり、そのような凹凸がある第一保護層の表面の少なくとも一部にさらに肉盛溶接により第二保護層を設けると、界面に空隙が残存する。第二に、第一保護層の表面に酸化膜が残存する。これらに起因して、第一保護層と第二保護層との界面に溶接欠陥(未溶着部)が増加する原因となる。
そこで、本発明者らは、第一保護層を形成した後に、その表面を切削または研削して、平坦化し、平坦化した第一保護層の表面の少なくとも一部に肉盛溶接により第二保護層を設けることを考えた。これにより、界面の空隙および酸化膜の残存量を低減することができ、界面熱抵抗を低減することに成功した。
本発明の要旨は、下記の通りである。
〔A〕下記の(1)~(3)の工程を備える、高炉用羽口の製造方法。
(1)羽口本体部の少なくとも先端を含む外表面に肉盛溶接により第一保護層を設ける工程、
(2)前記第一保護層の表面を切削または研削して、平坦化する工程、および、
(3)前記平坦化した第一保護層の表面の少なくとも一部に肉盛溶接により第二保護層を設ける工程。
〔B〕前記(1)の工程において、
前記第一保護層が、NiまたはNi-Cr合金からなる、
上記〔A〕の高炉用羽口の製造方法。
〔C〕前記(2)の工程において、
前記平坦化した第一保護層の表面において、谷底と、前記谷底に隣接する頂部との高さの最大値が0.20mm以下である、
上記〔A〕または〔B〕の高炉用羽口の製造方法。
〔D〕前記(3)の工程において、
前記第二保護層が、NiにTiCを分散させた材料からなる、
上記〔A〕~〔C〕のいずれかの高炉用羽口の製造方法。
〔E〕前記第一保護層と前記第二保護層との界面を観察したとき、未溶着部が存在している長さの全観察長さに対する割合が、10%以下である、
上記〔A〕~〔D〕のいずれかの高炉用羽口の製造方法。
〔F〕前記第一保護層および前記第二保護層の界面熱抵抗が、10-2Km/W以下である、
上記〔A〕~〔E〕のいずれかの高炉用羽口の製造方法。
〔G〕先端が高炉内に突出する羽口本体部と、
前記羽口本体部の少なくとも前記先端を含む外表面を覆う肉盛溶接層からなる第一保護層と、
前記第一保護層の表面の少なくとも一部を覆う肉盛溶接層からなる第二保護層とを備え、
前記第一保護層と前記第二保護層との界面を観察したとき、未溶着部が存在している長さの全観察長さに対する割合が、10%以下である、
高炉用羽口。
〔H〕前記第一保護層が、NiまたはNi-Cr合金からなる、
上記〔G〕の高炉用羽口。
〔I〕前記第二保護層が、NiにTiCを分散させた材料からなる、
上記〔G〕または〔H〕の高炉用羽口。
〔J〕前記第一保護層および前記第二保護層の界面熱抵抗が、10-2Km/W以下である、
上記〔G〕~〔I〕のいずれかの高炉用羽口。
本発明によれば、耐熱性および耐磨耗性に優れる高炉用羽口が得られる。
図1は、本発明に係る高炉用羽口の製造方法を説明する図である。 図2は、平坦化した第一保護層の状態を示す図である。 図3は、本実施形態に係る高炉用羽口を示す図である。 図4は、第一保護層と第二保護層との界面を示す図である。
1.高炉用羽口の製造方法について
本発明に係る高炉用羽口の製造方法は、第一保護層を設ける工程、前記第一保護層の表面を平坦化する工程、および、第二保護層を設ける工程を備える。以下、各工程について説明する。
(1)第一保護層の形成
図1(a)を参照して、この工程は、羽口本体部1の少なくとも先端(図示省略)を含む外表面に肉盛溶接により第一保護層3aを設ける工程である。第一保護層3aの材質は、羽口本体部1との密着性に優れるとともに、熱伝導率が高い材料を選択することができる。第一保護層3aの材質としては、例えば、NiまたはNi-Cr合金からなるものを選択できる。具体的な材質については後段で説明する。
肉盛溶接方法は、公知の方法を採用することができ、例えば、被覆アーク溶接法、MAG溶接法、炭酸ガスアーク溶接法、MIG溶接法、TIG溶接法、サブマージアーク溶接法などが挙げられる。中でも、三次元的に曲面形状である羽口先端へのNiまたはNi合金の溶接作業性を高めるためには、TIG溶接法を採用するのが好ましい。
(2)第一保護層の平坦化
図1(b)を参照して、この工程は、第一保護層3aの表面を切削または研削して、平坦化する工程である。平坦化は、例えば、旋盤、フライス盤、マシニングセンタなどを使用することができる。また、グラインダーで研削することにより平坦化してもよい。
平坦化した第一保護層3aの表面は、谷底と、前記谷底に隣接する頂部との高さの最大値(最大谷深さ)を0.20mm以下とすることが好ましい。ここで、図2を参照して、谷底と、前記谷底に隣接する頂部との高さとは、例えば、図中の符号h、hおよびhであり、この図に示す例では、最大谷深さは、hである。この最大谷深さが大きすぎると、その後に第二保護層3bを形成したときに、界面に空隙(未溶着部)が増加し、界面熱抵抗を増加させる。この最大谷深さは、0.15mm以下が好ましく、0.10mm以下がより好ましい。
なお、上記最大谷深さは、第一保護層3a厚さ方向を含む断面を観察して、測定することもできるし、第一保護層3aの平坦化後に、その表面から、表面粗さ計、三次元形状測定器などを用いて表面形状を測定することもできる。
(3)第二保護層の形成
図1(c)を参照して、この工程は、平坦化した第一保護層3aの表面の少なくとも一部に肉盛溶接により第二保護層3bを設ける工程である。第二保護層3bの材質は、保護層3の外層に位置し、高炉の操業時に、炉内の鉱石やコークスとの衝突に耐えうる耐摩耗性(具体的には、ビッカース硬さで180Hv以上)に優れるとともに、熱伝導率が高い材料(具体的には10W/mK以上)を選択することができる。例えば、Niに硬質のTiCなどの炭化物を分散させた材料を用いることができる。具体的な材質については後段で説明する。
第二保護層3bは、平坦化した第一保護層3aの表面の少なくとも一部に設けられておればよい。例えば、羽口の下部は、高炉の操業時に、炉内の鉱石やコークスが衝突しにくい箇所であるため、この部分には第二保護層3bを設けなくてもよい。よって、平坦化した第一保護層3aの表面の少なくとも一部とは、具体的には、高炉内に設置された羽口において、少なくとも最上部を含む部分の表面を意味する。特に、高炉内に設置された羽口において、上側半分を構成する部分の表面に第二保護層3bが設けられていることが好ましい。このとき、第二保護層3bが設けられていない部分の第一保護層3aの厚さと、第二保護層3bが設けられている部分の第一保護層3aおよび第二保護層3bの合計厚さとが実質的に同一であることが好ましい。
肉盛溶接方法は、公知の方法を採用することができ、例えば、被覆アーク溶接法、MAG溶接法、炭酸ガスアーク溶接法、MIG溶接法、TIG溶接法、サブマージアーク溶接法などが挙げられる。中でも、三次元的に曲面形状である羽口先端へのNiまたはNi合金の溶接作業性を高めるためには、TIG溶接法を採用するのが好ましい。
2.高炉用羽口について
本実施形態に係る高炉用羽口10は、羽口本体部1と、肉盛溶接層からなる第一保護層3aと、肉盛溶接層からなる第二保護層3bとを備える。
(1)羽口本体部
羽口本体部1は、先端1bが高炉の内壁から突出するよう、高炉内に配置され、先端1bは、高炉の操業時に高温に曝される。羽口本体部1の内部には、水路2が設けられており、水路2に冷却水を流すことによって、先端1b付近の温度を低減している。羽口本体部1は、円筒状であり、高炉の操業時には筒内に高温(例えば1200℃程度)の熱風が流される。羽口本体部の材質は、通常、熱伝導性に優れた銅または銅合金である。
(2)第一保護層
第一保護層3aは、羽口本体部1の少なくとも先端1bを含む外表面1aを覆う肉盛溶接層からなる層である。第一保護層3aの材質は、羽口本体部1との密着性に優れるとともに、熱伝導率が高い材料を選択することができる。羽口本体部1との密着性の観点からは、羽口本体部1に用いられる銅または銅合金の熱膨張率に近い材料、具体的には、熱膨張率(線膨張率)が13~16×10-6/℃の範囲である材料を選択することができる。また、熱伝導率が高い材料とは、例えば、熱伝導率が10W/(m・K)以上の範囲にある材料である。第一保護層3aの材質としては、例えば、NiまたはNi-Cr合金からなるものを選択できる。
より具体的には、質量%で、Cr:0~40.0%、Mn:0~4.0%、Ti:0~3.0%、Al:0~3.0%、Nb:0~3.0%、Fe:0~9.0%を含み、残部がNiおよび不純物からなる材料である。不純物とは、NiまたはNi合金を工業的に製造する際に、鉱石、スクラップ等の原料その他の要因により混入し、本発明の効果を阻害しない範囲で許容される成分を意味する。
Crは、耐食性を向上させるので、第一保護層3aの材料中に含まれていてもよい。その含有量が過剰な場合には、溶接時に割れが発生するので、その上限は40.0%とする。上記の効果を発揮させるためには、その含有量を5.0%以上とするのが好ましく、10.0%以上とするのがより好ましい。さらに好ましいのは、14.0%以上である。また、上限は、35.0%とするのが好ましく、30.0%とするのがより好ましく、25.0%とするのがさらに好ましい。
Mnは、溶接時の湯流れ性を高め溶接欠陥の発生を抑制するので、第一保護層3aの材料中に含まれていてもよい。その含有量が過剰な場合には、延性およびじん性が低下して割れ易くなるので、その上限は4.0%とする。上記の効果を発揮させるためには、その含有量を0.5%以上とするのが好ましく、1.0%以上とするのがより好ましく、1.5%以上とするのがさらに好ましい。また、上限は、3.5%とするのが好ましく、3.0%とするのがより好ましく、2.5%とするのがさらに好ましい。
Tiは、Niと金属間化合物を形成して保護層の硬さを高め、耐摩耗性を向上させるので、第一保護層3aの材料中に含まれていてもよい。その含有量が過剰な場合には、延性およびじん性が低下して割れ易くなるので、その上限は3.0%とする。上記の効果を発揮させるためには、その含有量を0.5%以上とするのが好ましく、1.0%以上とするのがより好ましく、1.5%以上とするのがさらに好ましい。また、上限は、2.5%とするのが好ましく、2.0%とするのがより好ましく、1.5%とするのがさらに好ましい。
Alは、Niと金属間化合物を形成して保護層の硬さを高め、耐摩耗性を向上させるので、第一保護層3aの材料中に含まれていてもよい。その含有量が過剰な場合には、延性およびじん性が低下して割れ易くなるので、その上限は3.0%とする。上記の効果を発揮させるためには、その含有量を0.5%以上とするのが好ましく、1.0%以上とするのがより好ましく、1.5%以上とするのがさらに好ましい。また、上限は、2.5%とするのが好ましく、2.0%とするのがより好ましく、1.5%とするのがさらに好ましい。
Nbは、Niと金属間化合物を形成して保護層の硬さを高め、耐摩耗性を向上させるので、第一保護層3aの材料中に含まれていてもよい。その含有量が過剰な場合には、延性およびじん性が低下して割れ易くなるので、その上限は3.0%とする。上記の効果を発揮させるためには、その含有量を0.5%以上とするのが好ましく、1.0%以上とするのがより好ましく、1.5%以上とするのがさらに好ましい。また、上限は、2.5%とするのが好ましく、2.0%とするのがより好ましく、1.5%とするのがさらに好ましい。
Feは、Ni合金中に固溶することで保護層の強度を向上させ、耐摩耗性を向上させるので、第一保護層3aの材料中に含まれていてもよい。また、Nbと複合添加した場合には、Nbと金属間化合物を形成して保護層の硬さを高め、耐摩耗性を向上させる。その含有量が過剰な場合には、延性およびじん性が低下して割れ易くなるという問題があるので、その上限は9.0%とする。上記の効果を発揮させるためには、その含有量を0.5%以上とするのが好ましく、1.0%以上とするのがより好ましく、1.5%以上とするのがさらに好ましい。また、上限は、8.5%とするのが好ましく、8.0%とするのがより好ましく、7.5%とするのがさらに好ましい。
第一保護層3aの厚さ(平均厚さ)は、2.0~6.0mmとするのが好ましい。2.0mm未満では、十分な耐磨耗性を維持することが困難となる場合があり、6.0mmを超えると、羽口先端を十分に冷却することが困難となる場合があるからである。
(3)第二保護層
第二保護層3bは、第一保護層3aの表面を覆う肉盛溶接層からなる層である。第二保護層3bの材質は、保護層3の外層に位置し、高炉の操業時に、炉内の鉱石やコークスとの衝突に耐えうる耐摩耗性(具体的には、ビッカース硬さで180Hv以上)に優れるとともに、熱伝導率が高い材料(具体的には10W/mK以上)を選択することができる。例えば、Niに硬質の炭化物を分散させた材料を用いることができる。炭化物としては、TiC、WC、NbC、VCなどが例示されるが、中でもTiCが好ましい。これは、TiCが、硬さが大きく、耐摩耗性の向上に極めて有効な材料だからである。
第二保護層3bの材料中の炭化物は、均一に分散している状態が好ましい。炭化物の粒径が大きすぎると、均一に分散させることが困難となるので、炭化物の粒径の最大値は、200μm以下とするのが好ましい。また、炭化物の平均粒径は40~100μmの範囲するのが好ましい。また,炭化物の体積率が高すぎても均一に分散させることが困難となるので、第二保護層3bの材料中の炭化物の体積率の最大値は30%以下とするのが好ましく、5~25%とするのがさらに好ましい。
第二保護層3bの厚さは、3.0~6.0mmとするのが好ましい。3.0mm未満では、十分な耐磨耗性を維持することが困難となる場合があり、6.0mmを超えると、羽口先端を十分に冷却することが困難となる場合があるからである。
第一保護層3aの厚さTと第二保護層3bの厚さTとの和(T+T)は、6.0~9.0mmとするのが好ましい。6.0mm未満では、十分な耐摩耗性を確保できないという問題が生じるおそれがあり、9.0mmを超えると、羽口先端を十分に冷却できないという問題が生じるおそれがあるからである。
(4)未溶着部割合
本発明の高炉用羽口10において、第一保護層3aと第二保護層3bとの界面を観察したとき、未溶着部が存在している長さの全観察長さに対する割合が、10%以下であることが最も重要である。すなわち、図4を参照して、第一保護層3aと第二保護層3bとの界面を観察したとき、未溶着部5が存在している場合には、その長さの合計(=d+d+d)の全観察長さLに対する割合〔=(d+d+d)/L×100〕が、大きすぎると、界面熱抵抗が高くなり、保護層3の表面の十分な冷却ができなくなる。よって、この割合は、10%以下とする。この割合は、低ければ低いほど好ましく、8%以下、さらには、6%以下であることが好ましい。下限は0%である。
なお、未溶着部割合は、第二保護層3bの溶接線の方向に対して垂直な面を切断して得た断面を、光学顕微鏡で50倍に拡大して観察し、全観察長さを100mmとして、その全観察長さ100mm内に確認された未溶着部の合計長さを測定し、その値を100で除して、未溶着部割合(%)を計算した。
(5)界面熱抵抗
本発明の高炉用羽口10において、第一保護層3aおよび第二保護層3bの界面熱抵抗は、10-2Km/W以下であることが好ましい。界面熱抵抗が高いと、保護層3の温度上昇を避けるのが難しくなり、高炉操業中に保護層3の耐磨耗性の低下を招く。このため、界面熱抵抗は10-2Km/W以下であることが好ましく、8×10-3Km/W以下であることがより好ましく、6×10-3Km/W以下であることがさらに好ましい。
なお、界面熱抵抗は、第一保護層3aおよび第二保護層3bの表面に垂直な方向を軸方向とする円柱試験片(直径50mm、厚さ4mm)を切り出し、温度傾斜法を用いて測定した。円柱試験片において、第一保護層3aおよび第二保護層3bの界面が厚さ方向の中心位置となるようした。温度傾斜法では、ヒータにより加熱した上部熱伝導棒(黄銅製の円柱)と下部熱伝導棒(ステンレス鋼製の円柱)の間に上記の試験片をはさみ、上部から下部へ熱流を与えた状態で計測した界面の温度差から界面熱抵抗を算出した。
本発明の効果を確認するべく、厚さ50mmの純銅板の上に、第一保護層(純NiまたはNi-20%Cr合金)を肉盛溶接により形成し、第一保護層の上に、さらに第二保護層(Niに体積率20%のTiCを分散させたもの)を肉盛溶接により形成して、試験材を得た。一部の試験材については、第二保護層の肉盛溶接前にフライス加工により切削して第一保護層表面の平坦化を行った。
未溶着部割合は、第二保護層の溶接線の方向に対して垂直な面を切断して得た断面を、光学顕微鏡で50倍に拡大して、第一保護層および第二保護層の界面を観察し、全観察長さを100mmとして、その全観察長さ100mm内に確認された未溶着部の合計長さを測定し、未溶着部割合(%)を計算した。
界面熱抵抗は、第一保護層および第二保護層の表面に垂直な方向を軸方向とする円柱試験片(直径50mm、厚さ4mm)を切り出し、温度傾斜法を用いて測定した。円柱試験片において、第一保護層および第二保護層の界面が厚さ方向の中心位置となるようにした。温度傾斜法では、ヒータにより加熱した上部熱伝導棒(黄銅製の円柱)と下部熱伝導棒(ステンレス鋼製の円柱)の間に上記の試験片をはさみ、上部から下部へ熱流を与えた状態で計測した界面の温度差から界面熱抵抗を算出した。
以上の結果を表1に示す。
Figure 0007087756000001
表1に示すように、本発明例3~6では、第一保護層の形成後、平坦化を行い、最大谷深さを小さくしたので、このような平坦化を行わなかった比較例1および2に比べて、未溶着部割合が低減されており、十分に小さい界面熱抵抗が得られた。特に、最大谷深さが0.20mm以下である本発明例3、4および6では、界面の未溶着部が確認されず、界面熱抵抗はさらに小さい値となった。
本発明によれば、耐熱性および耐磨耗性に優れる高炉用羽口が得られる。
10 高炉用羽口
1 羽口本体部
1a 外表面
1b 先端
2 水路
3 保護層
3a 第一保護層
3b 第二保護層
5 未溶着部

Claims (8)

  1. 1)羽口本体部の少なくとも先端を含む外表面に肉盛溶接により第一保護層を設ける工程、
    (2)前記第一保護層の表面を切削または研削して、平坦化する工程、および、
    (3)前記平坦化した第一保護層の表面の少なくとも一部に肉盛溶接により第二保護層を設ける工程を備え、
    前記第一保護層および前記第二保護層の界面熱抵抗が、10 -2 Km /W以下である、
    高炉用羽口の製造方法。
  2. 前記(1)の工程において、
    前記第一保護層が、NiまたはNi-Cr合金からなる、
    請求項1に記載の高炉用羽口の製造方法。
  3. 前記(2)の工程において、
    前記平坦化した第一保護層の表面において、谷底と、前記谷底に隣接する頂部との高さの最大値が0.20mm以下である、
    請求項1または2に記載の高炉用羽口の製造方法。
  4. 前記(3)の工程において、
    前記第二保護層が、NiにTiCを分散させた材料からなる、
    請求項1から3までのいずれかに記載の高炉用羽口の製造方法。
  5. 前記第一保護層と前記第二保護層との界面を観察したとき、未溶着部が存在している長さの全観察長さに対する割合が、10%以下である、
    請求項1から4までのいずれかに記載の高炉用羽口の製造方法。
  6. 先端が高炉内に突出する羽口本体部と、
    前記羽口本体部の少なくとも前記先端を含む外表面を覆う肉盛溶接層からなる第一保護層と、
    前記第一保護層の表面の少なくとも一部を覆う肉盛溶接層からなる第二保護層とを備え、
    前記第一保護層と前記第二保護層との界面を観察したとき、未溶着部が存在している長さの全観察長さに対する割合が、10%以下であり、
    前記第一保護層および前記第二保護層の界面熱抵抗が、10 -2 Km /W以下である、
    高炉用羽口。
  7. 前記第一保護層が、NiまたはNi-Cr合金からなる、
    請求項に記載の高炉用羽口。
  8. 前記第二保護層が、NiにTiCを分散させた材料からなる、
    請求項6または7に記載の高炉用羽口。
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