JP2020083983A - セルロース分散樹脂組成物、その製造方法、及びセルロース樹脂複合材 - Google Patents

セルロース分散樹脂組成物、その製造方法、及びセルロース樹脂複合材 Download PDF

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Abstract

【課題】疎水性媒体であるポリオレフィン等の熱可塑性樹脂中にセルロースを効果的に分散させたセルロース分散樹脂組成物を提供する。【解決手段】熱可塑性樹脂(a)、ポリマー(b)がセルロース(c)にグラフトしたグラフト化セルロース(d)、及び熱可塑性樹脂(a)中にグラフト化セルロース(d)を分散させる高分子分散剤(e)を含有し、熱可塑性樹脂(a)とポリマー(b)は、相互に相溶せず、高分子分散剤(e)は、熱可塑性樹脂(a)と親和するAブロックと、熱可塑性樹脂(a)と親和しないがポリマー(b)と親和するBブロックと、を含むABブロックコポリマーであるセルロース分散樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、セルロース分散樹脂組成物、その製造方法、及びセルロース樹脂複合材に関する。
セルロースはすべての植物の基本骨格物質であり、一兆トンを超える量のセルロースが地球上に蓄積されている。また、セルロースは植樹によって再生可能な資源であることから、有効活用が望まれている。近年、セルロースを解繊処理して得られるセルロースナノファイバー(CNF、ミクロフィブリル化植物繊維)が軽量かつ高強度な材料として注目されており、CNFを用いた材料が盛んに開発されている。
例えば、樹脂等のマトリックス中にCNFをフィラーとして分散状態で含有させることで、機械的強度を向上させたCNF補強材料の開発が報告されている。CNFは水酸基を豊富に有するので、親水性であるとともに極性が強い。このため、CNFには、疎水性で極性の弱い汎用性樹脂との相溶性に劣るといった側面がある。そこで、化学処理によるCNFの表面改質や官能基導入等によって、汎用性樹脂との相溶性を向上させることが検討されている。
例えば、バクテリアセルロースの水酸基をアセチル基やメタクリロイル基等の官能基で化学修飾した強化材にマトリックス材料を含浸させた繊維強化複合材料が提案されている(特許文献1)。しかし、バクテリアセルロースを利用する点、及びマトリックス材料を含浸させて複合材料を製造する点において、さほど工業化に適しているとはいえない。
また、セルロース繊維の表面にポリメタクリル酸メチルやポリスチレン等の樹脂をグラフトして疎水性を高めた強化繊維を、ポリメタクリル酸メチルやポリスチレン等のマトリックス樹脂に含有させた繊維強化複合材料が提案されている(特許文献2)。しかし、グラフトしたポリメタクリル酸メチル等の樹脂はポリオレフィン等の樹脂と装用しないため、ポリオレフィン等をマトリックス樹脂とした場合に十分な補強効果が得られるか否かについて定かではない。
ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂は、脂肪族炭化水素系の樹脂として広く利用されている。ポリオレフィンは、他の樹脂と比較して低密度であるとともに軽量であることから、ポリオレフィンにCNFを良好な分散状態で分散させることができれば、軽量かつ高強度な複合材料を得ることができる。しかし、CNFは多数の水酸基を有するために親水性が高く、脂肪族炭化水素系の樹脂等の疎水性媒体中に分散させることは困難である。また、CNFを化学変性処理して疎水化した場合であっても、ポリオレフィン等の疎水性媒体への分散性を十分に高めることは困難であった。
これに対して、化学変性処理することなく、高分子分散剤を用いてポリエチレン等の樹脂中への分散性を高めたセルロース組成物が提案されている(特許文献3)。
特開2007−51266号公報 特許第5188765号公報 特許第5825653号公報
しかし、CNFは強固に水素結合するため、一度乾燥してしまうと、高分子分散剤で処理した場合であっても著しく凝集しやすく、樹脂中に分散させるのに多大なエネルギーや時間を要する場合があった。また、混合及び混練時の熱によって、CNFに吸着した高分子分散剤が外れてしまうことがある。高分子分散剤が外れてしまうと、CNFは水素結合によって再度強く凝集するので、マトリックスとなる樹脂の全体に拡散した状態で分散させることは困難になり、十分に補強された複合材を得ることはできなかった。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、疎水性媒体であるポリオレフィン等の熱可塑性樹脂中にセルロースを効果的に分散させたセルロース分散樹脂組成物を提供することにある。また、本発明の課題とするところは、上記のセルロース分散樹脂組成物の製造方法、及び上記のセルロース分散樹脂組成物を用いたセルロース樹脂複合材を提供することにある。
すなわち、本発明によれば、以下に示すセルロース分散樹脂組成物が提供される。
[1]熱可塑性樹脂(a)、ポリマー(b)がセルロース(c)にグラフトしたグラフト化セルロース(d)、及び前記熱可塑性樹脂(a)中に前記グラフト化セルロース(d)を分散させる高分子分散剤(e)を含有し、前記熱可塑性樹脂(a)と前記ポリマー(b)は、相互に相溶せず、前記高分子分散剤(e)は、前記熱可塑性樹脂(a)と親和するAブロックと、前記熱可塑性樹脂(a)と親和しないが前記ポリマー(b)と親和するBブロックと、を含むABブロックコポリマーであるセルロース分散樹脂組成物。
[2]前記熱可塑性樹脂(a)が、ポリオレフィンであり、前記ポリマー(b)が、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、ポリ(n=2以上)アルキレン(炭素数2〜4)グリコールモノ(メタ)アクリレート、アルコキシ(炭素数1〜18)ポリアルキレン(炭素数2〜4)グリコール(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル及びその第4級塩、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル及びその第4級塩、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリルアミド、並びにN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドからなるモノマー群(f)より選択される少なくとも一種のモノマーに由来する構成単位を50質量%以上含み、前記Aブロックは、炭素数8以上のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、又はシクロアルケニル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系のモノマー(g)に由来する構成単位を含み、前記Bブロックは、下記(i)〜(iii)のいずれかである前記[1]に記載のセルロース分散樹脂組成物。
(i)前記ポリマー(b)と同一のモノマー組成である。
(ii)前記ポリマー(b)を構成するモノマーに由来する構成単位を含む。
(iii)前記モノマー群(f)より選択される少なくとも一種のモノマーに由来する構成単位を含み、かつ、前記モノマー(g)に由来する構成単位の含有量が10質量%未満である。
[3]前記グラフト化セルロース(d)中の前記セルロース(c)の含有量が、25〜50質量%である前記[1]又は[2]に記載のセルロース分散樹脂組成物。
[4]前記グラフト化セルロース(d)100質量部に対する、前記高分子分散剤(e)の含有量が、50〜200質量部である前記[1]〜[3]のいずれかに記載のセルロース分散樹脂組成物。
[5]前記セルロース(c)が、その平均繊維幅が4〜200nmのナノセルロースである前記[1]〜[4]のいずれかに記載のセルロース分散樹脂組成物。
また、本発明によれば、以下に示すセルロース分散樹脂組成物が提供される。
[6]前記[1]〜[5]のいずれかに記載のセルロース分散樹脂組成物の製造方法であって、パルプを解繊して含水セルロースを得る工程と、得られた前記含水セルロースを含む水系媒体中でグラフト重合してポリマー(b)を形成し、グラフト化セルロース(d)を得る工程と、を有するセルロース分散樹脂組成物の製造方法。
[7]前記含水セルロースを含む水系媒体中で、セリウム塩を用いてラジカル重合して前記ポリマー(b)を形成し、前記グラフト化セルロース(d)を得る前記[6]に記載のセルロース分散樹脂組成物の製造方法。
さらに、本発明によれば、以下に示すセルロース樹脂複合材が提供される。
[8]前記[1]〜[5]のいずれかに記載のセルロース分散樹脂組成物を用いて得られる、前記セルロース(c)の含有量が0.5〜10質量%であるセルロース樹脂複合材。
本発明によれば、疎水性媒体であるポリオレフィン等の熱可塑性樹脂中にセルロースを効果的に分散させたセルロース分散樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、上記のセルロース分散樹脂組成物の製造方法、及び上記のセルロース分散樹脂組成物を用いたセルロース樹脂複合材を提供することができる。本発明のセルロース分散樹脂組成物は、ナノサイズに繊維化されたナノセルロース等のセルロースが、ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂中に良好な分散状態で分散している。このため、本発明のセルロース樹脂分散組成物を用いて得られる成形物(セルロース樹脂複合材)は、フィラーとしてのセルロースの補強効果が有効に発揮されており、強度及び靭性等に優れている。
<セルロース分散樹脂組成物>
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。セルロースは、その構造中に多数の水酸基を有するために親水性が高く、しかも水素結合による強い凝集作用を示す。このため、疎水性の熱可塑性樹脂中にセルロースをナノサイズ・マイクロサイズのレベルで分散させることは容易ではない。特に、極性が顕著に低いポリオレフィン等の熱可塑性樹脂中にセルロースを微分散させるのは困難である。
水中でナノサイズに解繊した分散状態のセルロース(ナノセルロース)の表面にポリマーをグラフトすることで、乾燥によるナノセルロースの凝集を防止することができる。そして、グラフトしたポリマーが熱可塑性樹脂と相溶しうるポリマーであれば、このポリマーがセルロースにグラフトしたグラフト化セルロースを熱可塑性樹脂中に分散させることは可能ではある。
但し、水中でセルロースにグラフトさせたポリマーの極性は比較的高いため、低極性で疎水性の高い熱可塑性樹脂(例えば、ポリオレフィン等)とは相溶しない場合がある。そこで、本発明者らは、熱可塑性樹脂と親和するポリマーブロックと、セルロースにグラフトさせたポリマーと親和するポリマーブロックとを含むABブロックコポリマーを分散剤として用いることで、疎水性の高い熱可塑性樹脂中にもセルロースをナノ分散させうることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明のセルロース分散樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」とも記す)は、熱可塑性樹脂(a)、グラフト化セルロース(d)、及び高分子分散剤(e)を含有する。グラフト化セルロース(d)は、ポリマー(b)がセルロース(c)にグラフトしたものである。また、高分子分散剤(e)は、熱可塑性樹脂(a)中にグラフト化セルロース(d)を分散させる成分である。熱可塑性樹脂(a)とポリマー(b)は、相互に相溶しない。そして、高分子分散剤(e)はABブロックコポリマーであり、熱可塑性樹脂(a)と親和するAブロックと、熱可塑性樹脂(a)と親和しないがポリマー(b)と親和するBブロックと、を含む。各成分の相互の相溶性及び親和性を上記のような関係となるように組み合わせることで、熱可塑性樹脂中にセルロースを効果的に分散させた樹脂組成物とすることができる。
(熱可塑性樹脂(a))
熱可塑性樹脂(a)としては、ポリオレフィン等を用いることができる。一般的なポリオレフィンは不飽和炭化水素系モノマーの重合物であり、低極性の炭化水素系ポリマーである。ポリオレフィンの具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリヘキセン、ポリα−オレフィン、ポリシクロオレフィン等を挙げることができる。さらに、これらのポリオレフィンを構成するモノマーを共重合成分として含むポリマーであってもよく、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂、及びスチレン・ブタジエン共重合体等を挙げることができる。
(グラフト化セルロース(d))
グラフト化セルロース(d)は、ポリマー(b)がセルロース(c)にグラフトしたもの(セルロース繊維)である。
[ポリマー(b)]
ポリマー(b)は、熱可塑性樹脂(a)と相互に実質的に相溶しないポリマー鎖である。ポリマー(b)は、水系媒体中で解繊して得たセルロースに、水系媒体中でそのままグラフト重合しうるモノマーに由来する構成単位を含むポリマー鎖であることが好ましい。ポリマー(b)に含まれる構成単位を構成するモノマーとしては、極性が高いモノマーや、水に親和するモノマーが好ましい。
ポリマー(b)は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、ポリ(n=2以上)アルキレン(炭素数2〜4)グリコールモノ(メタ)アクリレート、アルコキシ(炭素数1〜18)ポリアルキレン(炭素数2〜4)グリコール(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル及びその第4級塩、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル及びその第4級塩、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリルアミド、並びにN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドからなるモノマー群(f)より選択される少なくとも一種のモノマーに由来する構成単位を含むことが好ましい。
上記のモノマー群(f)のなかでも、(i)重合率が高いもの;(ii)形成されるポリマー(b)がより高極性となるもの;又は(iii)反応性を有するもの;が好ましい。具体的には、上記のモノマー群(f)のうち、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、ポリ(n=2以上)アルキレン(炭素数2〜4)グリコールモノ(メタ)アクリレート、アルコキシ(炭素数1〜18)ポリアルキレン(炭素数2〜4)グリコール(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル及びその第4級塩、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル及びその第4級塩、並びに(メタ)アクリル酸グリシジルが好ましい。
ポリマー(b)は、上記のモノマー群(f)より選択される少なくとも一種のモノマーに由来する構成単位を50質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上含むことがさらに好ましく、90質量%以上含むことが特に好ましい。上記の構成単位の割合を所定の割合以上とすると、水系媒体中で重合しやすくなるとともに、熱可塑性樹脂(a)と実質的に相溶しないポリマー(b)を容易に形成することができる。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリマー(b)のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、1,000〜20,000であることが好ましい。ポリマー(b)の数平均分子量が1,000未満であると、分子量が小さすぎて高分子分散剤(e)が作用しにくくなり、分散性がやや低下することがある。一方、ポリマー(b)の数平均分子量が20,000超であると、高分子分散剤(e)と相互作用するが、熱可塑性樹脂(a)に対する影響が生じやすくなる場合があり、分散性がやや低下することがある。
[セルロース(c)]
セルロース(c)の原料となるパルプ(植物繊維)としては、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、綿、ビート、農産物残廃物、及び布等の天然植物原料から得られる天然セルロース;紙、レーヨン、セロファン等の再生セルロース繊維等を挙げることができる。木材としては、シトカスプルース、スギ、ヒノキ、ユーカリ、アカシア等を挙げることができる。紙としては、脱墨古紙、段ボール古紙、雑誌、コピー用紙等を挙げることができる。パルプの主成分であるリグノセルロースは、主としてセルロース、ヘミセルロース、及びリグニンから構成されるとともに、各々が結合して植物繊維を形成している。リグノセルロースを含む植物繊維を機械処理や化学処理してヘミセルロース及びリグニンを除去し、セルロースの純分を高めることでパルプを得ることができる。また、必要に応じて漂白処理したり、脱リグニン量を調整したりすることで、得られるパルプのリグニン量を制御することができる。
パルプとしては、植物繊維を機械処理又は化学処理して得られるケミカルパルプ(クラフトパルプ(KP)、亜硫酸パルプ(SP))、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグランドパルプ(CGP)、ケミメカニカルパルプ(CMP)、砕木パルプ(GP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)、サーモメカニカルパルプ(TWP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP);これらのパルプを主成分とする脱墨古紙パルプ、段ボール古紙パルプ、雑誌古紙パルプなどを挙げることができる。なかでも、繊維の強度が強い針葉樹由来の各種クラフトパルプ(針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹酸素晒し未漂白クラフトパルプ(NOKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP))が好ましい。パルプ中のリグニン含有量は、通常、0〜40質量%、好ましくは0〜10質量%である。パルプ中のリグニン含有量は、Klason法により測定することができる。
セルロース(c)としては、その平均繊維幅が4〜200nmのナノセルロースを用いることが好ましい。樹脂組成物中のセルロース(c)の量は任意に設定することができる。セルロース(c)をより高濃度に含有させることで、様々なセルロース濃度の複合材を提供可能な原料組成物とすることができる。樹脂組成物中のセルロース(c)の含有量は、0.5〜30質量%とすることが好ましく、1〜20質量%とすることがさらに好ましい。
[グラフト化セルロース(d)]
グラフト化セルロース(d)は、セルロース(c)の表面にのみポリマー(b)がグラフトしたものであればよく、セルロース(c)の分子鎖の全てにポリマー(b)がグラフトしていなくてもよい。セルロース(c)の分子鎖の全てにポリマー(b)がグラフトしていると、グラフト化セルロース(d)が分散媒体中に溶解しやすくなることがあり、複合材の強度がやや不足する場合がある。すなわち、セルロース(c)へのポリマー(b)の置換度は1未満である(すなわち、グルコース環1個当たり、ポリマー(b)1鎖未満がグラフトしている)ことが好ましく、0.1未満であることがさらに好ましい。
グラフト化セルロース(d)を構成するポリマー(b)の量は、セルロース(c)100質量部に対して100〜300質量部であることが好ましく、100〜200質量部であることがさらに好ましい。セルロース(c)100質量部に対するポリマー(b)の量が100質量部未満であると、セルロース(c)を覆うポリマー(b)の量がやや不足するため、セルロース(c)同士の接触による凝集が起こりやすくなることがあり、ブツなどの異物が生成しやすくなる場合がある。一方、セルロース(c)100質量部に対するポリマー(b)の量が300質量部超であると、得られる樹脂組成物の物性が低下しやすくなることがある。また、分散性を高めるためにより多くの高分子分散剤(e)を用いることがあるので、高分子分散剤(e)の性質が顕在化して、得られる樹脂組成物の強度等が低下しやすくなることがある。グラフト化セルロース(d)中のセルロース(c)の含有量は、25〜50質量%であることが好ましい。
(高分子分散剤(e))
高分子分散剤(e)は、熱可塑性樹脂(a)中にグラフト化セルロース(d)を分散させる成分であり、熱可塑性樹脂(a)と親和するAブロックと、熱可塑性樹脂(a)と親和しないがポリマー(b)と親和するBブロックと、を含むABブロックコポリマーである。Aブロックが熱可塑性樹脂(a)と親和し、Bブロックが、セルロースにグラフトしているポリマー(b)と親和する。すなわち、これらAブロック及びBブロックを含むABブロックコポリマーを高分子分散剤として用いることで、このABブロックコポリマーが熱可塑性樹脂(a)とポリマー(b)を仲立ちする。これにより、セルロースを熱可塑性樹脂中に好ましくはナノサイズで分散させて、高度な機械的物性を示す複合材とすることができる。
樹脂組成物中の高分子分散剤(e)の含有量は、グラフト化セルロース(d)100質量部に対して、50〜200質量部であることが好ましく、80〜150質量部であることがさらに好ましい。グラフト化セルロース(d)100質量部に対する高分子分散剤(e)の含有量が50質量部未満であると、高分子分散剤(e)の量がやや不足し、セルロースの分散性がやや低下することがある。一方、グラフト化セルロース(d)100質量部に対する高分子分散剤(e)の含有量が200質量部超であると、熱可塑性樹脂(a)の物性が低下しやすくなることがある。
[Aブロック]
Aブロックは、炭素数8以上のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、又はシクロアルケニル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系のモノマー(g)に由来する構成単位を含むポリマー鎖であることが好ましい。これらのモノマー(g)に由来する構成単位を含むAブロックは低極性のポリマー鎖であるため、熱可塑性樹脂と親和及び相溶しやすい。
モノマー(g)としては、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシロキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、ドデシロキシエチル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレートなどの直鎖若しくは分岐アルキル基又はアルケニル基を有する(メタ)アクリレート;トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート、トリシクロデシル(メタ)アクリレート、トリシクロデセニルエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデセニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、アダマンチルメチル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル基又はシクロアルケニル基を有する(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
Aブロック中モノマー(g)に由来する構成単位の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。Aブロック中モノマー(g)に由来する構成単位の含有量を多くすることで、Aブロックと、ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂との親和性をより高めることができる。Aブロックは、モノマー(g)に由来する構成単位以外の構成単位(その他の構成単位)を含んでいてもよい。その他の構成単位を構成するモノマー(その他のモノマー)としては、スチレン系モノマー、アルカン酸ビニル系モノマー、ハロゲン化ビニル系モノマー、(メタ)アクリル系モノマーなどを挙げることができる。
[Bブロック]
Bブロックは、下記(i)〜(iii)のいずれかのポリマー鎖であることが好ましい。下記(i)〜(iii)のいずれかのポリマー鎖であるBブロックは極性が高いため、セルロース(c)にグラフトしたポリマー(b)と親和及び相溶しやすい。
(i)ポリマー(b)と同一のモノマー組成である。
(ii)ポリマー(b)を構成するモノマーに由来する構成単位を含む。
(iii)モノマー群(f)より選択される少なくとも一種のモノマーに由来する構成単位を含み、かつ、モノマー(g)に由来する構成単位の含有量が10質量%未満である。
ポリマー(b)が、水酸基、カルボキシ基、エポキシ基、又はアミノ基等の反応性基を有するモノマーに由来する構成単位を含む場合、Bブロックは、これらの反応基と反応しうる基を有する構成単位を含むことが好ましい。例えば、ポリマー(b)がカルボキシ基を有する場合、エポキシ基を含むBブロックとポリマー(b)が開環エステル化反応すると考えられる。また、ポリマー(b)がアミノ基を有する場合、ポリマー(b)がBブロックとイオン結合することが考えられる。
Bブロックが、上記(iii)のポリマー鎖である場合、Bブロック中のモノマー(g)に由来する構成単位の含有量が多すぎると、Bブロックが熱可塑性樹脂(a)と相溶しやすくなる可能性もある。このため、Bブロック中のモノマー(g)に由来する構成単位の含有量は、5質量%未満であることが好ましい。
[ABブロックコポリマー]
ABブロックコポリマーを構成するポリマーブロックのそれぞれの分子量は、使用する熱可塑性樹脂(a)やポリマー(b)の種類及び分子量、並びにセルロースに対する相対量等に応じて適宜設計される。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される、Aブロック及びBブロックのポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、それぞれ、1,000〜20,000であることが好ましい。Aブロック及びBブロックの数平均分子量をそれぞれ上記の範囲内とすることで、ABブロックコポリマー(高分子分散剤(e))をポリマー(b)や熱可塑性樹脂(a)とより好適に相溶等させることができる。
ABブロックコポリマー中のAブロックとBブロックの質量比は、A:B=30〜70:70〜30であることが好ましく、40〜60:60〜40であることがさらに好ましい。ABブロックコポリマー中のAブロックとBブロックの質量比を上記の範囲内とすることで、ABブロックコポリマー(高分子分散剤(e))をポリマー(b)や熱可塑性樹脂(a)とより好適に相溶等させることができる。
高分子分散剤(e)(ABブロックコポリマー)はブロックコポリマーであるため、例えば、リビングアニオン重合、リビングカチオン重合、リビングラジカル重合によって製造することができる。なかでも、リビングラジカル重合は、新規設備や高純度の原料を必要とせず、特殊な重合条件も必要としないために好ましい。リビングラジカル重合としては、ニトロキサイド化合物を使用するニトロキサイド法;銅などの金属錯体の酸化還元を利用する原子移動ラジカル重合;ジチオエステルやジチオカーボネートを使用する可逆的付加開裂型連鎖移動重合;有機テルルを使用するTERP法;ヨウ素化合物を開始化合物とするヨウ素移動重合;有機触媒を使用する可逆的移動触媒重合(RTCP);可逆的触媒媒介重合(RCMP)などがある。なかでも、官能基を保護する必要がなく、汎用の市販材料を使用することができるとともに、従来公知の設備や重合条件でブロックコポリマーを製造しうる、RTCP法やRCMP法が好ましい。
Aブロック及びBブロックのいずれのポリマーブロックを先に形成してもよい。なかでも、Aブロックを先に形成することが、熱可塑性樹脂(a)との相溶性を高めやすいために好ましい。
<セルロース分散樹脂組成物の製造方法>
本発明のセルロース分散樹脂組成物の製造方法は、パルプを解繊して含水セルロースを得る工程(以下、「解繊工程」とも記す)と、得られた含水セルロースを含む水系媒体中でグラフト重合してポリマー(b)を形成し、グラフト化セルロース(d)を得る工程(以下、「グラフト工程」とも記す)とを有する。以下、その詳細について説明する。
解繊工程では、パルプを解繊して含水状態のセルロース(含水セルロース)を得る。
パルプを解繊する方法の具体例としては、セルロース含有材料の水懸濁液又はスラリーを、リファイナー、高圧ホモジナイザー、グラインダー、一軸混錬機、二軸混錬機、多軸混練機、ビーズミル等を使用して機械的に摩砕又は叩解する方法などがある。好ましくは、水系媒体中でパルプを解繊することでナノサイズのセルロースを含有する含水セルロースを得ることができる。
水系媒体中でパルプを解繊して得たセルロースの水酸基は水と水素結合し、ナノサイズのセルロースを安定化させている。但し、乾燥して水分を除去したり、有機溶媒を添加したりすると、セルロースの水酸基同士が水素結合することでセルロースが凝集しやすくなってしまい、ナノサイズを維持することが困難になる。このため、グラフト工程では、解繊工程で得た含水セルロースを乾燥して水分を除去したり、或いは含水セルロースに有機溶媒を添加したりせず、含水状態のまま水系媒体中でグラフト重合する。これにより、実質的に凝集することなく、ナノサイズ等に微分散したグラフト化セルロース(d)を得ることができる。
従来公知のグラフト重合方法により所定のモノマーを重合することで、セルロース(c)にポリマー(b)をグラフトさせてグラフト化セルロース(d)を得ることができる。グラフト重合方法としては、(i)セリウム等の無機塩、水溶性アゾラジカル開始剤、及び水溶性過酸化物を使用し、水中でモノマーを重合してグラフト重合する方法;(ii)セルロースの水酸基に重合性官能基(不飽和結合、アゾ基、過酸化物基、リビングラジカル重合の開始基等)を付与した後にモノマーをグラフト重合する方法;(iii)セルロースの水酸基と反応しうる基を側鎖や末端に有するポリマーと、セルロースとを反応させる方法;(iv)セルロースの水酸基を他の官能基(開始基)に変換した後、若しくはセルロースの水酸基にシランカップリング剤を反応させて官能基(開始基)とした後、これらの開始基からモノマーをグラフト重合する、又はこれらの開始基と反応しうる基を有するポリマーとを反応させる方法;などを挙げることができる。
含水セルロースを含む水系媒体中で、セリウム塩を用いてラジカル重合してポリマー(b)を形成することが好ましい。セリウム塩を用いてラジカル重合することで、モノマー同士が重合してホモポリマーが形成されるのを抑制し、ポリマー(b)がセルロース(c)にグラフトしたグラフト化セルロース(d)をより効率よく生成させることができる。セリウム塩としては、ラジカルを発生しうる4価のセリウム塩を用いることができる。セリウム塩の具体例としては、硝酸セリウムアンモニウム塩、硝酸セリウムリチウム塩、硝酸セリウムナトリウム塩、硝酸セリウムカリウム塩、硫酸セリウムアンモニウム塩などを挙げることができる。グラフト重合時に用いるセリウム塩の量は、モノマーに対して、0.1〜3質量%とすることが好ましい。
グラフト重合後は、例えば、ろ過及び洗浄してグラフト化セルロース(d)の水ペーストを得る。ろ液にはセリウム塩が含まれているので回収することが好ましい。得られた水ペーストは、そのまま用いることができる。また、ポリマー(b)がセルロース(c)にグラフトしているので、乾燥しても凝集しにくい。このため、水ペーストを従来公知の方法で乾燥して乾燥物としてもよい。水ペーストを用いる場合、熱可塑性樹脂(a)に練り込むと同時に乾燥させることができるので、エネルギー的に有利である。一方、乾燥物は水ペーストに比して軽量であるため、輸送等の際に有利である。
グラフト工程で得たグラフト化セルロース(d)、熱可塑性樹脂(a)、及び高分子分散剤(e)を従来公知の方法により分散処理等することで、目的とする樹脂組成物を得ることができる。分散処理に際しては、二本ロール、三本ロール、一軸押出機、二軸押出機、ニーダーなどの混合分散機を使用することができる。これらの混合分散機を使用し、ナノセルロースになるまで分散させることが好ましい。また、分散処理に先立ち、グラフト化セルロース(d)、熱可塑性樹脂(a)、及び高分子分散剤(e)を撹拌機、タンブラーミキサー、バンバリーミキサーなどの混合機を使用して予め混合しておいてもよい。
グラフト化セルロース(d)、熱可塑性樹脂(a)、及び高分子分散剤(e)以外の成分(添加剤)を配合してもよい。添加剤としては、染料、顔料、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、滑剤、顔料分散剤、界面活性剤、帯電防止剤、抗菌剤、防カビ剤、防曇剤、充填剤、無機フィラー、繊維、カーボンナノフィラー等を挙げることができる。
<セルロース樹脂複合材>
本発明のセルロース樹脂複合材(以下、単に「複合材」とも記す)は、前述のセルロース分散樹脂組成物を用いて得られる、ナノセルロース等のセルロース(c)(グラフト化セルロース(d))が微分散した複合材である。そして、この複合材中のセルロース(c)の含有量は0.5〜10質量%であり、好ましくは1〜8質量%である。
複合材中にはセルロース(c)が微分散しているため、ベース樹脂である熱可塑性樹脂(a)を補強して強度等の物性を向上させる補強効果を有する。セルロース(c)の含有量が0.5質量%未満であると、補強効果が不十分になる。一方、セルロース(c)の含有量が10質量%超であると、セルロース(c)が過剰となるので、繊維が表面から飛び出すなどして成形品が白化しやすく、外観を損ねることがある。
複合材は、例えば、前述のセルロース分散樹脂組成物を適当な成形方法によって所望とする形状に成形することによって製造することができる。また、セルロース(c)(グラフト化セルロース(d))を高濃度に含有する樹脂組成物(すなわち、マスターバッチ)を予め調製しておき、この樹脂組成物をベースとなる成形用樹脂に混ぜ込むとともに、適当な成形方法によって所望とする形状に成形することによっても、複合材を製造することができる。
上述の樹脂組成物及びそれを用いた複合材は、例えば、自動車、家電、電子部材、ディスプレー材料、建築物、容器、フィルム、電池、化粧品など様々な分野に用いられる部材等の構成材料として有用である。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
<CNFの製造>
(製造例1)
針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP、リファイナー処理済み、固形分:25%)900部に水47,100部を添加し、パルプスラリー濃度0.75%の水懸濁液(スラリー)を調製した後、ビーズミルを使用して機械的解繊処理を行った。次いで、フィルタープレスにより脱水して、ナノファイバー化されたセルロース(セルロースナノファイバー、CNF−1)2,350部を得た。得られたCNF−1は含水状態であり、固形分含有量は15.3%であった。
<グラフト化CNFの製造>
(製造例2:グラフト化CNF−1)
撹拌機、還流コンデンサー、温度計、及び窒素導入管を取り付けた3Lの反応装置に、含水状態のCNF−1 196.1部(CNF(固形分):30.0部)、メタクリル酸メチル(MMA)42.0部、及びイオン交換水2,438部を入れ、窒素導入しながら30℃で1時間撹拌した。硝酸二アンモニウムセリウム0.9部をイオン交換水300部に溶解させて、セリウム塩水溶液を調製した。調製したセリウム塩水溶液を30分かけて反応装置内に滴下した。3時間撹拌した後、反応液を吸引ろ過して脱水した。メタノールで洗浄した後、80℃で乾燥させて、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)がグラフトしたグラフト化CNF−1 63.9部を得た。質量増加分より算出したMMAのグラフト重合率は、80.7%であった。また、グラフト化CNF−1中のグラフト樹脂の質量比率は、53.1%であった。
(製造例3〜7:グラフト化CNF−2〜6)
表1に示す組成となるように、CNF−1の量、並びにモノマーの種類及び量を適宜変更したこと以外は、前述の製造例2と同様にしてグラフト化CNF−2〜6を製造した。表1中の略号の意味を以下に示す。
MMA:メタクリル酸メチル
HEMA:メタクリル酸2−エチルヘキシル
EMA:メタクリル酸エチル
BMA:メタクリル酸n−ブチル
PMMA:ポリメタクリル酸メチル
PHEMA:ポリメタクリル酸2−エチルヘキシル
PEMA:ポリメタクリル酸エチル
PBMA:ポリメタクリル酸n−ブチル
Figure 2020083983
<高分子分散剤の製造>
(製造例8:高分子分散剤−1)
撹拌機、還流コンデンサー、温度計、及び窒素導入管を取り付けた0.5Lの反応装置に、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG)178.0部、メタクリル酸ラウリル(LMA)158.0部、メタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)58.0部、ヨウ素1.6部、ジフェニルメタン(DPM)0.3部、及び2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(開始剤、商品名「V−70」、富士フイルム和光純薬社製)7.9部を入れた。窒素ガスを導入しながら撹拌し、45℃に加温しながら5時間重合してAブロックを形成した。反応系中の固形分濃度より算出した重合率は85.0%であった。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、溶媒:テトラヒドロフラン(THF))により測定したAブロックのポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は6,700であり、分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)、PDI)は1.29であった。
次いで、MMA52.0部を添加し、45℃で3時間重合してBブロックを形成し、ABブロックコポリマーを得た。反応系中の固形物濃度より算出したABブロックコポリマーの重合率は95.0%であった。また、ABブロックコポリマーのMnは8,400であり、PDIは1.35であった。以上の工程により、ABブロックコポリマーである高分子分散剤−1の溶液300部を得た。
高分子分散剤−1の溶液300部を、水/メタノール混合液600部(水/メタクノール=3/1質量比)にディスパーで撹拌しながら投入して、樹脂を析出させた。析出した樹脂をろ過し、水/メタノール混合溶液300部で2回洗浄して、淡黄色の樹脂を得た。得られた樹脂を80℃で24時間乾燥して、固形の高分子分散剤−1 136.9部を得た。
(製造例9〜14:高分子分散剤−2〜7)
表2に示す組成となるように、モノマーの種類及び量を適宜変更したこと以外は、前述の製造例8と同様にして高分子分散剤−2〜7を製造した。表2中の略号の意味を以下に示す。
LMA:メタクリル酸ラウリル
CHMA:メタクリル酸シクロヘキシル
MMA:メタクリル酸メチル
HEMA:メタクリル酸2−エチルヘキシル
SMA:メタクリル酸ステアリル
DCPOEMA:メタクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル
Figure 2020083983
<樹脂組成物の製造(1):PEベース>
(実施例1:樹脂組成物−1)
グラフト化CNF−1 20.5部、高分子分散剤−1 9.6部、及びポリエチレン(PE、商品名「フロービーズHE3040」、住友精化社製)102.4部を小型混合機に入れて混合し、混練前組成物を得た。二軸押出機を使用して得られた混練前組成物を160℃で混練するとともに、ストランド状に吐出して冷却し、ペレタイザーでカッティングして、ペレット状の樹脂組成物−1を得た。
(実施例2〜10、比較例1〜3:樹脂組成物−2〜10、13〜15)
表3に示す組成となるように、各成分の量を適宜変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして、ペレット状の樹脂組成物−2〜10、13〜15を製造した。
(参考例1)
ベース樹脂として用いたポリエチレン(商品名「フロービーズHE3040」、住友精化社製)を参考例1とした。
<評価(1):引張弾性率及び引張強度の測定>
樹脂組成物1〜10及び13〜15、並びにポリエチレンを160℃でそれぞれ射出成型し、ダンベル片(ダンベル厚:2mm)を作製した。そして、引張試験機(島津製作所社製の万能試験機)を使用し、引張速度10mm/minで作製したダンベル片の引張試験を実施し、引張弾性率及び引張強度を測定した。結果を表3に示す。
Figure 2020083983
樹脂組成物1〜10は、いずれも、熱可塑性樹脂(a)がPEであり、グラフト化CNFを構成するポリマー(b)がメタクリル酸エステル系のポリマーである。高分子分散剤(e)のAブロックは、ベース樹脂(熱可塑性樹脂(a))であるPEと親和するとともに、BブロックはPEと実質的に親和せず、ポリマー(b)と親和する。このため、PEとの親和性が低いグラフト化CNFが、高分子分散剤(e)によって効果的に分散したと考えられる。これに対して、樹脂組成物14及び15は、いずれも高分子分散剤を含有するにもかかわらず、引張弾性率及び引張強度が不十分であった。これは、樹脂組成物14及び15に用いた高分子分散剤(e)のAブロックがPEと親和せず、グラフト化CNFが効果的に分散しなかったためと考えられる。
<樹脂組成物の製造(2):PPベース>
(実施例11、12、比較例4、5:樹脂組成物−11、12、16、17)
ポリプロピレン(PP、商品名「ノバテックPP MA04A」、日本ポリプロ社製)をベース樹脂として用いるとともに、表4に示す組成となるように各成分の量を適宜変更し、かつ、混練前組成物を190℃で混練したこと以外は、前述の実施例1と同様にして、ペレット状の樹脂組成物−11、12、16、17を製造した。
(参考例2)
ベース樹脂として用いたポリプロピレン(商品名「ノバテックPP MA04A」、日本ポリプロ社製)を参考例2とした。
<評価(2):引張弾性率及び引張強度の測定>
樹脂組成物11、12、16、及び17、並びにポリプロピレンを190℃でそれぞれ射出成型し、ダンベル片(ダンベル厚:2mm)を作製した。そして、引張試験機(島津製作所社製の万能試験機)を使用し、引張速度10mm/minで作製したダンベル片の引張試験を実施し、引張弾性率及び引張強度を測定した。結果を表4に示す。
Figure 2020083983
樹脂組成物11及び12は、いずれも、熱可塑性樹脂(a)がPPであり、グラフト化CNFを構成するポリマー(b)がメタクリル酸エステル系のポリマーである。高分子分散剤(e)のAブロックは、PEと親和するとともに、BブロックはPEと実質的に親和せず、ポリマー(b)と親和する。このため、PEとの親和性が低いグラフト化CNFが、高分子分散剤(e)によって効果的に分散したと考えられる。これに対して、樹脂組成物17は、高分子分散剤を含有するにもかかわらず、引張弾性率及び引張強度が不十分であった。これは、樹脂組成物17に用いた高分子分散剤(e)のAブロックがPEと親和せず、グラフト化CNFが効果的に分散しなかったためと考えられる。
本発明のセルロース分散樹脂組成物は、PEやPP等の軽量な熱可塑性樹脂をベース樹脂として含有しうるものであることから、例えば、自動車、電化製品、及びスポーツ用品等の軽量で高強度であることが要求される分野に用いられる部材等の構成材料として有用である。

Claims (8)

  1. 熱可塑性樹脂(a)、ポリマー(b)がセルロース(c)にグラフトしたグラフト化セルロース(d)、及び前記熱可塑性樹脂(a)中に前記グラフト化セルロース(d)を分散させる高分子分散剤(e)を含有し、
    前記熱可塑性樹脂(a)と前記ポリマー(b)は、相互に相溶せず、
    前記高分子分散剤(e)は、前記熱可塑性樹脂(a)と親和するAブロックと、前記熱可塑性樹脂(a)と親和しないが前記ポリマー(b)と親和するBブロックと、を含むABブロックコポリマーであるセルロース分散樹脂組成物。
  2. 前記熱可塑性樹脂(a)が、ポリオレフィンであり、
    前記ポリマー(b)が、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、ポリ(n=2以上)アルキレン(炭素数2〜4)グリコールモノ(メタ)アクリレート、アルコキシ(炭素数1〜18)ポリアルキレン(炭素数2〜4)グリコール(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル及びその第4級塩、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル及びその第4級塩、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリルアミド、並びにN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドからなるモノマー群(f)より選択される少なくとも一種のモノマーに由来する構成単位を50質量%以上含み、
    前記Aブロックは、炭素数8以上のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、又はシクロアルケニル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系のモノマー(g)に由来する構成単位を含み、
    前記Bブロックは、下記(i)〜(iii)のいずれかである請求項1に記載のセルロース分散樹脂組成物。
    (i)前記ポリマー(b)と同一のモノマー組成である。
    (ii)前記ポリマー(b)を構成するモノマーに由来する構成単位を含む。
    (iii)前記モノマー群(f)より選択される少なくとも一種のモノマーに由来する構成単位を含み、かつ、前記モノマー(g)に由来する構成単位の含有量が10質量%未満である。
  3. 前記グラフト化セルロース(d)中の前記セルロース(c)の含有量が、25〜50質量%である請求項1又は2に記載のセルロース分散樹脂組成物。
  4. 前記グラフト化セルロース(d)100質量部に対する、前記高分子分散剤(e)の含有量が、50〜200質量部である請求項1〜3のいずれか一項に記載のセルロース分散樹脂組成物。
  5. 前記セルロース(c)が、その平均繊維幅が4〜200nmのナノセルロースである請求項1〜4のいずれか一項に記載のセルロース分散樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のセルロース分散樹脂組成物の製造方法であって、
    パルプを解繊して含水セルロースを得る工程と、
    得られた前記含水セルロースを含む水系媒体中でグラフト重合してポリマー(b)を形成し、グラフト化セルロース(d)を得る工程と、
    を有するセルロース分散樹脂組成物の製造方法。
  7. 前記含水セルロースを含む水系媒体中で、セリウム塩を用いてラジカル重合して前記ポリマー(b)を形成し、前記グラフト化セルロース(d)を得る請求項6に記載のセルロース分散樹脂組成物の製造方法。
  8. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のセルロース分散樹脂組成物を用いて得られる、前記セルロース(c)の含有量が0.5〜10質量%であるセルロース樹脂複合材。

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