JP2020083759A - 機能性ペプチド、それを用いた大腸炎用医薬およびデリバリー剤 - Google Patents

機能性ペプチド、それを用いた大腸炎用医薬およびデリバリー剤 Download PDF

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Abstract

【課題】 大腸炎の治療等に利用できる新たな有効成分を提供する。【解決手段】 本発明の機能性ペプチドは、N末端アミノ酸残基を含む領域Xと、C末端アミノ酸残基を含む領域Yとが連結されたペプチドからなり、前記領域Xが、下記(N1)のペプチドであり、前記領域Yが、下記(C1)のペプチドであることを特徴とする。本発明の機能性ペプチドは、例えば、大腸炎医薬、マクロファージの核内へのデリバリー剤として使用できる。(N1) S100A8タンパク質のN末端領域のアミノ酸配列からなるペプチド(C1) S100A9タンパク質のC末端領域のアミノ酸配列からなるペプチド【選択図】図1

Description

本発明は、新規の機能性ペプチド、それを用いた大腸炎用医薬およびデリバリー剤、ならびにその用途に関する。
大腸炎の中でも潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に潰瘍ができる炎症性疾患であり、下血や下痢を伴う腹痛が起きる。潰瘍性大腸炎は、免疫機構の異常等が考えられるものの、いまだ原因は明らかとなっていない。そして、この潰瘍性大腸炎患者の数は、年々増加している。
そこで、本発明は、例えば、大腸炎の治療等に利用できる新たな有効成分の提供を目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の機能性ペプチドは、N末端アミノ酸残基を含む領域Xと、C末端アミノ酸残基を含む領域Yとが連結されたペプチドからなり、
前記領域Xが、下記(N1)、(N2)または(N3)のペプチドであり、
前記領域Yが、下記(C1)、(C2)または(C3)のペプチドである
ことを特徴とする。
(N1) S100A8タンパク質のN末端領域のアミノ酸配列からなるペプチド
(N2) 前記(N1)のアミノ酸配列と80%以上の同一性のアミノ酸配列からなるペプチド
(N3) 前記(N1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなるペプチド
(C1) S100A9タンパク質のC末端領域のアミノ酸配列からなるペプチド
(C2) 前記(C1)のアミノ酸配列と80%以上の同一性のアミノ酸配列からなるペプチド
(C3) 前記(C1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなるペプチド
本発明の大腸炎用医薬は、前記本発明の機能性ペプチドを含むことを特徴とする。
本発明のデリバリー剤は、マクロファージの核へのデリバリー剤であり、前記本発明の機能性ペプチドを含むことを特徴とする。
本発明の大腸炎治療方法は、対象に、前記本発明の機能性ペプチドを投与する投与工程を含むことを特徴とする。
本発明のデリバリー方法は、マクロファージの核への対象成分のデリバリー方法であり、対象に、前記本発明の機能性ペプチドにデリバリー対象成分が結合した結合物を投与する投与工程を含むことを特徴とする。
本発明の新規の機能性ペプチドによれば、例えば、潰瘍性大腸炎等の大腸炎を予防または治癒することが可能である。また、本発明の機能性ペプチドは、例えば、免疫系にかかわるマクロファージの核内に導入できるため、前記マクロファージの核へのデリバリー剤としても使用できる。このため、本発明の機能性ペプチドは、例えば、医療の現場において、極めて有用なツールといえる。
図1は、実施例1において、6日間の投与が終了した時点における、ラットのケージに敷かれていた床敷きの写真である。 図2(A)は、実施例2において、各群における投与期間中の体重のグラフであり、図2(B)は、実施例2において、投与終了時における大腸の長さのグラフである。 図3は、実施例2において、ラットの直腸組織のヘマトキシリン−エオシン(HE)染色の結果である。 図4は、実施例3において、マクロファージにおける各種mRNA発現量を示すグラフである。 図5(A)は、実施例4において、マクロファージをフローサイトメトリー(FACS)で解析した結果を示すグラフ、図5(B)は、前記マクロファージの染色画像である。 図6は、実施例4において、マクロファージの細胞質と核とにおけるrMIKO−1の局在を確認したウェスタンブロッティングの結果である。 図7は、実施例4において、マクロファージの蛍光顕微鏡観察の結果を示す画像である。 図8は、実施例4において、マクロファージのZスタックモードによる蛍光顕微鏡観察の結果を示す画像である。 図9は、実施例5において、6日間の投与が終了した時点における、ラットのケージに敷かれていた床敷きの写真である。
本発明の機能性ペプチドは、例えば、前記領域Xと前記領域Yとが、直接連結されたペプチドである。
本発明の機能性ペプチドは、例えば、前記(N1)のペプチドが、前記S100A8タンパク質の全長領域または部分領域であり、前記部分領域は、前記S100A8タンパク質のN末端の1番目から連続する20アミノ酸残基以上のアミノ酸配列からなるペプチドである。
本発明の機能性ペプチドは、例えば、前記(C1)のペプチドが、前記S100A9タンパク質の全長領域または部分領域であり、
前記部分領域は、前記S100A8タンパク質のC末端の1番目から連続する20アミノ酸残基以上のアミノ酸配列からなるペプチドである。
本発明の機能性ペプチドは、例えば、前記S100A8タンパク質が、配列番号1または3のアミノ酸配列からなるペプチドであり、
前記S100A9タンパク質が、配列番号2または4のアミノ酸配列からなるペプチドである。
本発明の機能性ペプチドは、例えば、前記領域Xと前記領域Yとが連結されたペプチドが、配列番号11、12または13のアミノ酸配列からなるペプチドである。
本発明の大腸炎用医薬は、例えば、前記大腸炎が、潰瘍性大腸炎である。
本発明のデリバリー剤は、例えば、さらに、デリバリー対象成分を含み、前記デリバリー対象成分が、前記機能性ペプチドに連結している。
本発明の大腸炎治療方法は、例えば、前記対象が、非ヒト動物である。
本発明のデリバリー方法は、例えば、前記対象が、非ヒト動物である。
本発明のデリバリー方法は、例えば、前記結合物を、in vitroで投与する。
<機能性ペプチド>
本発明の機能性ペプチドは、N末端アミノ酸残基を含む領域Xと、C末端アミノ酸残基を含む領域Yとが連結されたペプチドからなり、
前記領域Xが、下記(N1)、(N2)または(N3)のペプチドであり、
前記領域Yが、下記(C1)、(C2)または(C3)のペプチドである
ことを特徴とする。
(N1) S100A8タンパク質のN末端領域のアミノ酸配列からなるペプチド
(N2) 前記(N1)のアミノ酸配列と80%以上の同一性のアミノ酸配列からなるペプチド
(N3) 前記(N1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなるペプチド
(C1) S100A9タンパク質のC末端領域のアミノ酸配列からなるペプチド
(C2) 前記(C1)のアミノ酸配列と80%以上の同一性のアミノ酸配列からなるペプチド
(C3) 前記(C1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなるペプチド
本発明者は、鋭意研究の結果、S100ファミリーに属するカルシウム結合タンパク質であるS100A8タンパク質およびS100A9タンパク質が、潰瘍性大腸炎の抑制に関与していること、さらに、S100A8タンパク質のN末端領域と、S100A9タンパク質のC末端領域とを連結したハイブリッドペプチドとすることによって、潰瘍性大腸炎を治療できることを見出した。また、本発明者は、さらに、前記ハイブリッドペプチドである本発明の機能性ペプチドが、マクロファージの核内に導入されるとの知見も得た。このため、本発明の機能性ペプチドによれば、例えば、それ自体が有効成分となって、潰瘍性大腸炎の治療に利用でき、また、目的の成分をマクロファージの核内に導入する際のデリバリー剤としても、利用することができる。このように、本発明の機能性ペプチドは、特に、医療の分野において、様々な用途に利用でき、極めて有用なツールになるといえる。
本発明の機能性ペプチドは、S100A8タンパク質およびS100A9タンパク質のアミノ酸配列に基づいて設計することができる。本発明において、S100A8タンパク質およびS100A9タンパク質の由来は、特に制限されず、ヒト、ヒト以外の非ヒト動物があげられる。前記非ヒト動物は、例えば、ラット、マウス、イヌ、サル、ウサギ、ヒツジ、ウマ、ウシ、ラクダ等があげられる。前記機能性ペプチドをヒトに投与する場合、前記由来は、例えば、ヒトに近い非ヒト動物が好ましく、より好ましくはヒトである。S100A8タンパク質およびS100A9タンパク質のアミノ酸配列および塩基配列は、例えば、既存のデータベースに登録されており、これらの情報を参照できる。ラット由来S100A8の情報は、例えば、NCBIアクセッション番号L18891(塩基配列)、AAA4163(アミノ酸配列)、ラット由来S100A9の情報は、例えば、NCBIアクセッション番号L18948(塩基配列)、AAA18214(アミノ酸配列)、ヒト由来S100A8の情報は、例えば、NCBIアクセッション番号BC005928(塩基配列)、AAH05928(アミノ酸配列)、ヒト由来S100A9の情報は、例えば、NCBIアクセッション番号BC047681(塩基配列)、AAH47681(アミノ酸配列)に登録されている。具体例として、ラット由来S100A8タンパク質およびS100A9タンパク質のアミノ酸配列、ならびに、ヒト由来S100A8タンパク質およびS100A9タンパク質のアミノ酸配列を、下記表1に示す。
本発明の機能性ペプチドにおいて、「領域X」は、N末端アミノ酸残基を含む領域であればよく、「領域Y」は、C末端アミノ酸残基を含む領域であればよく、例えば、前記機能性ペプチドの全域において、N末端アミノ酸残基を含む半分の長さの領域、C末端アミノ酸残基を含む半分の長さの領域を、それぞれ意味するものではない。前記機能性ペプチドは、例えば、前記領域Xと前記領域Yとが、直接的に連結されたペプチドでもよいし、前記領域Xと前記領域Yとが、リンカーを介して間接的に連結されたペプチドでもよいが、前者が好ましい。
本発明の機能性ペプチドにおいて、前記S100A8タンパク質に由来する前記(N1)〜(N3)のいずれかのペプチドである前記領域Xの長さは、特に制限されず、その下限は、例えば、20アミノ酸残基であり、その上限は、例えば、40アミノ酸残基、60アミノ酸残基である。
本発明の機能性ペプチドにおいて、前記S100A9タンパク質に由来する前記(C1)〜(C3)のいずれかのペプチドである前記領域Yの長さは、特に制限されず、その下限は、例えば、10アミノ酸残基、20アミノ酸残基であり、その上限は、例えば、35アミノ酸残基、25アミノ酸残基である。
前記(N1)ペプチドは、例えば、前記S100A8タンパク質の全長領域でもよいし、部分領域でもよい。前記部分領域の場合、例えば、前記S100A8タンパク質のN末端の1番目から連続する20アミノ酸残基からなる領域、または、前記連続する20アミノ酸残基を含む領域である。前記N末端の1番目から連続する20アミノ酸残基を含む領域の場合、その長さは、例えば、21〜60アミノ酸残基である。
前記(N1)のペプチドとして、具体例として、ラットS100A8タンパク質に由来する配列をあげる。以下、ラットS100A8タンパク質に由来する(N1)のペプチドを、(rN1)ペプチドともいう。前記(rN1)のペプチドは、例えば、前記表2に示すように、前記S100A8タンパク質の全長領域(配列番号1)でもよいし、部分領域でもよい。前記部分領域の場合、N末端の1番目から連続する20アミノ酸残基からなる領域(配列番号5)、またはこれを含む領域があげられる。前記(N1)ペプチドが、前記(rN1)ペプチドの場合、前記(N2)または(N3)ペプチドは、それぞれ、前記(rN1)ペプチドに基づいて設計できるペプチドであり、前記(rN2)または(rN3)ペプチドともいう。
前記(N1)のペプチドとして、具体例として、ヒトS100A8タンパク質に由来する配列をあげる。以下、ヒトS100A8タンパク質に由来する(N1)のペプチドを、(hN1)ペプチドともいう。前記(hN1)のペプチドは、例えば、前記表2に示すように、前記S100A8タンパク質の全長領域(配列番号3)でもよいし、部分領域でもよい。前記部分領域の場合、N末端の1番目から連続する20アミノ酸残基からなる領域(配列番号6)、またはこれを含む領域があげられる。前記(N1)ペプチドが、前記(hN1)ペプチドの場合、前記(N2)または(N3)ペプチドは、それぞれ、前記(hN1)ペプチドに基づいて設計できるペプチドであり、前記(hN2)または(hN3)ペプチドともいう。
前記(C1)ペプチドは、例えば、前記S100A9タンパク質の全長領域でもよいし、部分領域でもよい。前記部分領域の場合、例えば、前記S100A9タンパク質のC末端の1番目から連続する20アミノ酸残基からなる領域、または、前記連続する20アミノ酸残基を含む領域である。前記C末端の1番目から連続する20アミノ酸残基を含む領域の場合、その長さは、例えば、21〜24アミノ酸残基である。
前記(C1)のペプチドとして、具体例として、rS100A9タンパク質に由来する配列をあげる。以下、rS100A9タンパク質に由来する(C1)のペプチドを、(rC1)ペプチドともいう。前記(rC1)のペプチドは、例えば、前記表3に示すように、前記S100A9タンパク質の全長領域(配列番号2)でもよいし、部分領域でもよい。前記部分領域の場合、N末端の1番目から連続する20アミノ酸残基からなる領域、またはこれを含む領域があげられ、後者としては、例えば、24アミノ酸残基からなる領域(配列番号7)、93アミノ酸残基からなる領域(配列番号8)等があげられる。前記(C1)ペプチドが、前記(rC1)ペプチドの場合、前記(C2)または(C3)ペプチドは、それぞれ、前記(rC1)ペプチドに基づいて設計できるペプチドであり、前記(rC2)または(rC3)ペプチドともいう。
前記(C1)のペプチドとして、具体例として、hS100A9タンパク質に由来する配列をあげる。以下、hS100A9タンパク質に由来する(C1)のペプチドを、(hC1)ペプチドともいう。前記(hC1)のペプチドは、例えば、前記表3に示すように、前記S100A9タンパク質の全長領域(配列番号4)でもよいし、部分領域でもよい。前記部分領域の場合、N末端の1番目から連続する20アミノ酸残基からなる領域、またはこれを含む領域があげられ、後者としては、例えば、21アミノ酸残基からなる領域(配列番号9)、94アミノ酸残基からなる領域(配列番号10)等があげられる。前記(C1)ペプチドが、前記(hC1)ペプチドの場合、前記(C2)または(C3)ペプチドは、それぞれ、前記(hC1)ペプチドに基づいて設計できるペプチドであり、前記(hC2)または(hC3)ペプチドともいう。
前記(N2)または(C2)のペプチドにおいて、「同一性」は、例えば、比較する配列同士を適切にアライメントしたときの同一性の程度であり、前記配列間のアミノ酸の正確な一致の出現率(%)を意味する。前記同一性は、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。前記同一性は、例えば、BLAST、FASTA等の解析ソフトウェアを用いて、デフォルトのパラメータにより算出できる(以下、同様)。
前記(N3)または(C3)のペプチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、例えば、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1および2個、1個である。
前記アミノ酸の置換は、例えば、保存的置換であってもよい。前記保存的置換は、タンパク質の機能を実質的に改変しないように、アミノ酸を、他のアミノ酸またはアミノ酸誘導体に置換することを意味する。「置換するアミノ酸」と「置換されるアミノ酸またはアミノ酸誘導体」とは、例えば、性質および/または機能が類似していることが好ましい。具体的には、例えば、疎水性および親水性の指標(ハイドロパシー)、極性、電荷等の化学的性質、または、二次構造等の物理的性質等が類似していることが好ましい。前記性質および/または機能が類似するアミノ酸またはアミノ酸誘導体は、例えば、当該技術分野において公知である。具体例として、非極性アミノ酸(疎水性アミノ酸)は、例えば、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、プロリン、トリプトファン、フェニルアラニン、メチオニン等があげられ、極性アミノ酸(中性アミノ酸)は、グリシン、セリン、スレオニン、チロシン、グルタミン、アスパラギン、システイン等があげられ、陽電荷を有するアミノ酸(塩基性アミノ)酸は、アルギニン、ヒスチジン、リジン等があげられ、負電荷を有するアミノ酸(酸性アミノ酸)は、アスパラギン酸、グルタミン酸等があげられる。
本発明の機能ペプチドにおいて、前記領域(X)のペプチドと、前記領域(Y)のペプチドとの組み合わせは、特に制限されず、例えば、前記(N1)ペプチドと、前記(C1)、(C2)または(C3)ペプチドとの組み合わせ、前記(N2)ペプチドと、前記(C1)、(C2)または(C3)ペプチドとの組み合わせ、前記(N3)ペプチドと、前記(C1)、(C2)または(C3)ペプチドとの組み合わせがあげられる。これらの組合せにおいて、前記(N1)、(N2)および(N3)ペプチドは、前記(C1)、(C2)および(C3)ペプチドの由来にかかわらず、それぞれ、前記(rN1)、(rN2)および(rN3)でもよいし、前記(hN1)、(hN2)および(hN3)でもよい。また、これらの組合せにおいて、前記(C1)、(C2)および(C3)ペプチドは、前記(N1)、(N2)および(N3)ペプチドの由来にかかわらず、それぞれ、前記(rC1)、(rC2)および(rC3)でもよいし、前記(hC1)、(hC2)および(hC3)でもよい。
本発明の機能性ペプチドの具体例を、下記表4に示すが、本発明は、これらの例示には限定されない。下記表4において、囲んだ配列は、前記領域Xであり、その他が、前記領域Yである。
本発明の機能性ペプチドの製造方法は、特に制限されず、例えば、前述のアミノ酸配列情報に基づいて、遺伝子工学の手法または有機合成の手法により製造できる。
本発明の機能性ペプチドの用途は、特に制限されず、例えば、後述する大腸炎用医薬として、大腸炎の治療方法に使用でき、また、後述するデリバリー剤として、デリバリー方法に使用できる。
<遺伝子および発現ベクター>
本発明の遺伝子は、本発明の機能性ペプチドのアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドを含むことを特徴とする。前記塩基配列は、特に制限されず、前記アミノ酸配列に対応するコード配列であればよい。
また、本発明の発現ベクターは、前記本発明の遺伝子を含むことを特徴とする。本発明の発現ベクターは、例えば、骨格となるベクターに、前記本発明の遺伝子が、前記本発明の機能性ペプチドを発現するように、連結されていればよい。前記骨格となるベクターの種類は、特に制限されず、例えば、前記発現ベクターを導入する宿主の種類によって適宜選択できる。
<大腸炎用医薬および大腸炎の治療方法>
本発明の大腸炎用医薬は、前述のように、前記本発明の機能性ペプチドを含むことを特徴とする。本発明の大腸炎用医薬は、前記本発明の機能性ペプチドを含むことが特徴であって、その他の構成は、何ら制限されない。本発明の大腸炎用医薬は、例えば、潰瘍性大腸炎に適している。
本発明の大腸炎医薬の投与は、例えば、in vivoでもin vitroでもよい。本発明の大腸炎用医薬の投与対象は、特に制限されない。本発明の大腸炎用医薬をin vivoで使用する場合、前記投与対象は、例えば、ヒト、またはヒトを除く非ヒト動物があげられ、前記非ヒト動物としては、例えば、ラット、マウス、イヌ、サル、ウサギ、ヒツジ、ウマ、ウシ、ラクダ等があげられる。
本発明の大腸炎用医薬の投与条件は、特に制限されず、例えば、投与対象の種類等に応じて、投与形態、投与時期、投与量等を適宜設定できる。
本発明の大腸炎医薬は、例えば、大腸炎の予防、すでに罹患した大腸炎の治癒、再発の防止等に使用できる。本発明の大腸炎医薬の投与量は、特に制限されず、例えば、投与対象の種類、症状、年齢、投与方法等により適宜決定できる。具体例として、ヒト(体重を約60kgと仮定)に投与する場合、1日あたりの前記機能ペプチドの投与量は、その合計が、例えば、72〜100mgであり、1日あたりの投与回数は、例えば、1〜3回である。
本発明の大腸炎医薬の投与形態は、特に制限されず、例えば、経口投与でも、非経口投与でもよい。前記非経口投与は、例えば、静脈注射(静脈内投与)、筋肉注射(筋肉内投与)、経皮投与、皮下投与、皮内投与、経腸投与、直腸投与、経膣投与、経鼻投与、経肺投与、腹腔内投与、局所投与等があげられる。
本発明の大腸炎医薬の剤型は、特に制限されず、例えば、前記投与形態に応じて適宜決定できる。前記剤型は、例えば、液体状、固体状があげられる。具体例として、カプセル剤、経口液剤、顆粒剤、散剤、錠剤、丸剤、経口ゼリー剤等の経口投与用製剤、注射剤、凍結乾燥注射剤、粉末注射剤、充填済シリンジ剤、カートリッジ剤等の注射投与用製剤;腹膜透析用剤、血液透析用剤等の透析用製剤;吸入剤;坐剤、注腸剤等の直腸適用製剤;等があげられる。
本発明の大腸炎医薬は、例えば、必要に応じて添加剤を含んでもよく、前記添加剤は、例えば、薬学的に許容可能な添加剤が好ましい。前記添加剤は、特に制限されず、例えば、基剤原料、賦形剤、着色剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、安定化剤、保存剤、香料等の矯味矯臭剤等があげられる。本発明において、前記添加剤の配合量は、前記機能性ペプチドの機能を妨げるものでなければ、特に制限されない。
本発明の大腸炎の治療方法は、前述のように、対象に、前記本発明の機能性ペプチドを投与する投与工程を含むことを特徴とする。本発明の治療方法は、前記機能性ペプチドを投与することが特徴であって、その他の構成および条件は、何ら制限されない。本発明の治療方法は、前述した本発明の大腸炎用医薬の記載を援用できる。
本発明の機能性ペプチドは、大腸炎の治療に使用するための機能性ペプチドである。また、本発明の機能性ペプチドの使用は、大腸炎治療の医薬の製造のための機能性ペプチドの使用である。
本発明の大腸炎用医薬は、例えば、前記機能性ペプチドに代えて、前記本発明の遺伝子または前記本発明の発現ベクターを含んでもよい。また、本発明の大腸炎の治療方法において、前記投与方法は、前記機能性ペプチドに代えて、対象に、前記本発明の遺伝子または本発明の発現ベクターを投与する投与工程であってもよい。
<デリバリー剤およびデリバリー方法>
本発明のデリバリー剤は、前述のように、前記本発明の機能性ペプチドを含むことを特徴とする。本発明の大腸炎用医薬は、前記本発明の機能性ペプチドを含むことが特徴であって、その他の構成は、何ら制限されない。
前記本発明の機能性ペプチドは、前記マクロファージの核内に導入される。このため、前記本発明の機能性ペプチドに、例えば、デリバリー対象成分を連結させ、この結合物を対象に投与することによって、前記デリバリー対象成分を、前記マクロファージの核内に導入することができる。前記デリバリー対象成分は、何ら制限されず、前記マクロファージの核内への導入が望まれる成分があげられる。前記デリバリー対象成分は、例えば、タンパク質、ペプチド、核酸分子、低分子等があげられる。前記デリバリー対処成分と前記機能性ペプチドとの連結方法は、特に制限されず、前記デリバリー対象成分の種類に応じて、適宜設定できる。
前記結合物の投与方法等は、特に制限されず、前記本発明の大腸炎用医薬および治療方法における記載を援用できる。
前記結合物の投与は、例えば、in vivoでもin vitroでもよい。この場合、前記投与対象は、例えば、細胞、組織、器官等があげられ、前記細胞は、例えば、生体から採取した細胞、培養細胞等があげられる。
本発明のデリバリー剤は、例えば、前記機能性ペプチドに代えて、前記本発明の遺伝子または前記本発明の発現ベクターを含んでもよい。また、本発明のデリバリー方法において、前記投与方法は、前記機能性ペプチドに代えて、対象に、前記本発明の遺伝子または本発明の発現ベクターを投与する投与工程であってもよい。前記デリバ
リー対象成分が、例えば、ペプチド、タンパク質または核酸の場合、前記発現ベクターに、さらに、これらの対象成分のコード配列または対象成分そのものを連結し、前記機能性ペプチドと前記対象成分とを発現させてもよい。
次に、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は、下記実施例により制限されない。市販の試薬は、特に示さない限り、それらのプロトコルに基づいて使用した。
[実施例1]
(1)機能性ペプチドの作製
前記機能性ペプチドとして、ラットS100A8ペプチド(配列番号1の前記rS100A8)およびラットS100A9ペプチド(配列番号2の前記rS100A9)から設計した前記表4のrMIKO−1(配列番号11)を、遺伝子工学的手法により調製した。前記rMIKO−1は、N末端側の領域Xが、rS100A8ペプチド由来のrN1−1ペプチド(配列番号1)であり、C末端側の領域Yが、rS100A9ペプチド由来のrC1−2(配列番号7)のペプチドである。前記rMIKO−1は、その全長が、rS100A9ペプチド(配列番号2)と同じであり、その分子量も、rS100A9と同等である。また、参照用ペプチドとして、rS100A8ペプチド(配列番号1)およびrS100A9ペプチド(配列番号2)も調製した。なお、調製した各ペプチドサンプルのエンドトキシン濃度を、市販キット(ToxinSensorTM、Endotoxin Detection System、GenScript Inc.)を用いて測定した結果、いずれのペプチドサンプルも、エンドトキシン濃度は0.5〜0.7EU/mgタンパク質の範囲であり、後述するマクロファージの活性化に対して影響を及ぼす量のエンドトキシンは含まれていないことが確認できた。
(2)PEG化
前記各ペプチドサンプルについて、ラットの血液中、または、ラットの身体中における半減期を延長するために、ポリエチレングリコール(PEG)を用いてPEG化した。具体的には、PEG(粉末30mg、SUNRIGHT ME−050HS、NOF Co. Ltd.)を、5mgのペプチドサンプルを含む50mmol/Lリン酸緩衝液(pH8.0)5mLに加え、4℃の条件下、ローテーターを用いて、24時間、穏やかに混合した。前記混合後、その混合物を、4℃の条件下、50mmol/Lリン酸緩衝液(pH8.0)を用いて透析した。PEG化したペプチドサンプルは、2−メルカプトエタノールの存在下、SDS−PAGEにより、PEG化を確認した。
[実施例2]
本発明の機能性ペプチドである前記PEG化rMIKO−1が、潰瘍性大腸炎による出血および組織変化を抑制することを確認した。
(1)投与処理
潰瘍性大腸炎のモデルラットとして、10週齢、雄のJapanese Wistar rats(220〜250g/ラット)を使用した(以下、同様)。モデルラットは、潰瘍性大腸炎を誘導するD群(n=5)、潰瘍性大腸炎を誘導し、且つ、前記PEG化rMIKO−1を投与するM群、潰瘍性大腸炎を誘導しないN群(n=5)の3群に分けた。
そして、D群には、5%デキストラン硫酸ナトリウム(DSS、MW36000〜5000、和光純薬工業株式会社)を6日間連続で経口投与し、潰瘍性大腸炎を誘導し、且つ、同じ期間中、緩衝液A 1mLを、毎日1回、腹腔内に投与した。前記緩衝液Aは、0.9%NaClを含む10mmol/Lリン酸塩緩衝液(pH7.4)を使用した(以下、同様)。M群には、D群と同様にして潰瘍性大腸炎を誘導し、且つ、同じ期間中、前記PEG化rMIKO−1を、毎日1回、ラットに腹腔内投与した。前記PEG化rMIKO−1は、前記緩衝液Aで所定濃度(終濃度0.2、0.4、0.6mg/mL)に調製し、投与前に、フィルターユニット(0.4μm、Millipore Co. Ltd.)を用いて滅菌した上で、1mLを投与した (各濃度n=5)。以下、各濃度の前記PEG化MIKO−1を投与したM群を、それぞれ、M0.2群、M0.4群、M0.6群とする。N群は、潰瘍性大腸炎を誘導せずに、健康状態が正常なラットに、前記緩衝液A 1mLを、毎日1回、腹腔内に投与した。
(2)出血確認
前記D群、前記M群、および前記N群の各ラットについて、前記投与期間中、肛門(腸管)からの出血を、毎日、視覚的に観察した。これらの結果を図1に示す。図1は、前記6日間の投与が終了した時点における、ラットのケージに敷かれていた床敷きの写真である。図1において、上図は、前記D群の3匹のラットの床敷きの写真(D1〜D3)であり、下図は、前記M群の3匹のラットの床敷きの写真であり、M0.2、M0.4およびM0.6は、前記PEG化rMIKO−1の投与濃度を示す。図1の各写真において、明度が低い(黒に近い)領域は、血液の付着を意味する。前記D群では、投与開始5日後に全ラットにおいて軽度の出血が確認され、図1の上図に示すように、前記投与終了時には、大量出血が確認された。一方、図1の下図に示すように、潰瘍性大腸炎を誘導し且つ前記PEG化rMIKO−1を投与したM群では、前記投与終了時においても、全ラットについて、肛門からの出血は、ほとんど観察されなかった。なお、前記M0.2群は、投与4日目に肛門からの出血が若干確認されたが、投与終了時には、視覚的に出血は観察されなかった。また、前記M0.6群は、投与期間中、全てのラットについて、肛門から出血が観察されなかった。これらの結果から、本発明の機能性ペプチドが、結腸損傷の発症を抑制できることが確認できた。
(3)体重および大腸の長さ
前記各群について、前記投与期間中の体重を測定し、前記投与終了時において、大腸の長さを測定した。体重は、前記投与開始日を0日目とし、6日目まで毎日測定した。前記大腸の長さは、前記投与期間終了時、各ラットから、大腸を摘出し、長さを測定した。統計解析は、Student’s t−testを用い、P<0.05を有意とした。
これらの結果を図2に示す。図2(A)は、各群における投与期間中の体重のグラフであり、X軸は、投与日数を示し、Y軸は、各群の投与0日目の平均体重を100%とした、投与日数ごとの変化率である。図2(B)は、投与終了時における大腸の長さのグラフであり、X軸は、各群を示し、Y軸は、大腸の長さ(cm)を示す。
図2(A)に示すように、潰瘍性大腸炎を誘導していない前記N群(NC、○)の体重は、投与期間中において、体重はほとんど変化しなかった。潰瘍性大腸炎を誘導した前記D群(PC、■)は、投与期間中、経時的に体重が減少していき、4日目を過ぎると著しく体重が減少した。これに対して、潰瘍性大腸炎を誘導し且つ前記PEG化rMIKO−1を投与したM群(□、△、●)は、2日目〜3日目頃まで体重が減少したが、その後、体重の減少は抑制され、体重が維持できた。中でも、前記M0.6群(●)に関しては、3日目以降は、徐々に体重の増加が観察された。
図2(B)に示すように、潰瘍性大腸炎を誘導したD群(PC)は、潰瘍性大腸炎を誘導していないN群(NC)と比較して、著しく大腸の長さが短くなっていた。これに対して、前記M群は、前記PEG化rMIKO−1の投与により、大腸の縮小は、抑制された。
これらの結果から、本発明の機能性ペプチドによれば、潰瘍性大腸炎の誘導によって引き起こされる損傷を、抑制し、また、回復できることが確認できた。このことから、本発明の機能性ペプチドは、潰瘍性大腸炎の予防と治癒が可能であるといえる。また、本発明の機能性ペプチドは、前記潰瘍性大腸炎にたいして、濃度依存的に有効であることも確認できた。
(4)組織学的評価
前記各群のラットから大腸のうち直腸組織を摘出し、ヘマトキシリン−エオシン(HE)染色を行った。前記HE染色の結果を図3に示す。図3の上段の4つの画像のうち、左の2つの画像は、前記N群の画像であり、右の2つの画像は、前記D群の画像であり、図3の中段および下段の6つの画像は、左列の2つの画像が、前記M0.2群の結果、中列の2つの画像が、前記M0.4群の結果、右列の2つの画像が、前記M0.6群の結果である。図3に示すように、潰瘍性大腸炎を誘導した前記D群は、画像(N1、N2)において、直腸組織の細胞質が潰れていることが確認され、さらに、前記組織のはん痕化(繊維化)、つまり、障害組織の治癒過程によって生じた変性部分が確認された。一方、前記PEG化rMIKO−1を投与した前記M群(M1〜M6)は、潰瘍性大腸炎を誘導していない前記N群(P1、P2)と同様であり、前記直腸組織の細胞質は、潰れておらず、はん痕化も確認されなかった。このことから、本発明の機能性ペプチドは、潰瘍性大腸炎における組織変化を抑制することが確認された。
[実施例3]
本発明の機能性ペプチドである前記PEG化rMIKO−1が、マクロファージにおける各種mRNAの発現に与える影響を確認した。
潰瘍性大腸炎のモデルラットであるJapanese Wistar ratsから、公知の方法(Yoshino T, et al., (2010) Immunosuppressive Effects of Tacrolimus on Macrophages Ameliorate Experimental Colitis. Inflamm. Bowel Dis. 16, 2022-2033)によりマクロファージを単離した。10μg/mLの前記マクロファージを、10前記PEG化rS100A8、前記PEG化rS100A9、または前記PEG化rMIKO−1で1時間刺激した。そして、刺激後のマクロファージについて、rS100A8 mRNAおよびrS100A9 mRNAの発現量を測定した。mRNAの測定は、市販のStepOnePlus Real-Time PCR System (Applied Biosystems)を使用した。そして、内部コントロールであるβアクチンの発現量を100%として、それぞれの発現量の相対値を求めた。
これらの結果を、図4(A)に示す。図4(A)において、Y軸は、mRNA発現量の相対値であり、X軸は、刺激に使用したペプチドの種類を示す。図4(A)に示すように、前記PEG化MIKO−1で刺激した結果、rS100A8 mRNAの発現が著しく増加した。この結果から、rS100A8およびrS100A9は、ラットのマクロファージをオートクライン的に活性化し、それぞれが、rS100A8 mRNAおよびrS100A9 mRNAの発現を誘導すると考えられる。さらに、前記PEG化MIKO−1は、rS100A8刺激によるrS100A8 mRNAの発現および誘導を、さらに約8倍高めることができた。すなわち、前記PEG化MIKO−1は、rS100A8の自然免疫機能を著しく高める高次機能を有すると考えられる。
つぎに、LPS alone群として、前記マクロファージを、10μg/mLのLPSまたは10μg/mLの前記PEG化rMIKO−1で、所定時間(0.5、1、1.5、2時間)刺激した。また、M>LPS群として、前記マクロファージを、10μg/mLの前記PEG化rMIKO−1で1時間刺激した後、10μg/mLの前記LPSで所定時間(0.5、1、1.5、2時間)刺激した。そして、刺激後のマクロファージについて、炎症性サイトカイン(IL−6β、TNF−α、IL−6)のmRNAの発現量を測定した。そして、内部コントロールであるβアクチンの発現量を100%として、それぞれの発現量の相対値を求めた。
これらの結果を、図4(B)に示す。図4(B)において、X軸は、mRNA発現量の相対値であり、Y軸は、刺激の条件を示す。図4(B)に示すように、LPSのみで刺激した場合、炎症性サイトカインの発現量の著しい増加が確認された。それに対して、前記PEG化rMIKO−1で予め刺激すると、その後にLPSで刺激した場合、炎症性サイトカインの発現はほとんど誘導されず、十分に抑制された。なお、前記PEG化rMIKO−1単独で刺激しても、炎症性サイトカインmRNAの発現はほとんど誘導されなかった。すなわち、前記PEG化rMIKO−1は、炎症誘導性因子ではないことを意味している。この結果から、本発明の機能性ペプチドが、炎症性サイトカイニンを負に制御できることを確認できた。
つぎに、LPS alone群として、前記マクロファージを、10μg/mLの大腸菌由来のリポ多糖(LPS、Sigma-Aldrich Co)で、所定時間(0.5、1、1.5、2時間)刺激した。また、M>LPS群として、前記マクロファージを、10μg/mLの前記PEG化rMIKO−1で1時間刺激した後、10μg/mLの前記LPSで所定時間(0.5、1、1.5、2時間)刺激した。そして、刺激後のマクロファージについて、rS100A8 mRNAおよびrS100A9 mRNAの発現量を測定した。そして、内部コントロールであるβアクチンの発現量を100%として、それぞれの発現量の相対値を求めた。
これらの結果を、図4(C)に示す。図4(C)において、X軸は、mRNA発現量の相対値であり、Y軸は、刺激の条件を示す。図4(C)に示すように、LPSのみで刺激した場合、rS100A8 mRNAおよびrS100A9 mRNAの増加は、10倍以下であった。これに対して、前記PEG化rMIKO−1で予め刺激したマクロファージをLPSで刺激すると、rS100A8 mRNAの発現量が約250倍に著しく増加した。増加のメカニズムは明らかでないが、前記PEG化rMIKO−1が、rS100A8 mRNAの発現に対する活性化補助因子として機能すると推測できる。なお、この推測は、本発明を制限するものではない。
[実施例4]
本発明の機能性ペプチドである前記PEG化rMIKO−1が、マクロファージの核内に取り込まれることを確認した。
(1)蛍光染色によるrMIKO−1の局在の確認
前記rMIKO−1のマクロファージへの結合を蛍光免疫化学染色(FICS)により確認した。まず、前記実施例3と同様にして、マクロファージを既知の手法により、単離した。6ウェルプレートの各ウェルに、培地Aと前記マクロファージを入れ、滅菌した薄層カバーガラスを置いた。ウェルあたりのマクロファージの数は、約2×10とした。前記培地Aは、L−グルタミン酸およびフェノールレッドを含むRPMI−1640(和光純薬社)を使用した。そして、前記ウェルプレートを、5%COおよび37℃の条件下、2時間インキュベートし、前記カバーガラスに前記マクロファージを接着させた後、前記ウェルを培地Aで2回洗浄した。前記ウェルに、前記PEG化rMIKO−1と蛍光物質FITC(fluorescein 5−isothiocyanate)との結合体rMIKO−1−FITC(10μg/mL)を添加し、5%COおよび37℃の条件下、前記マクロファージとインキュベートした。また、細胞質の局在を確認するためのコントロールとして、前記ウェルに、ラットアルブミンと蛍光物質テキサスレッド(TR)との結合体アルブミン−TR(10μg/mL)を添加し、同条件下で、前記マクロファージとインキュベートした。インキュベート後のマクロファージを、前記緩衝液Aで3回洗浄した後、室温条件下、10%ホルマリンで20分間処理し、処理室温条件下にて、20分間、前記カバーガラスに前記マクロファージを固定した。前記カバーガラスを前記緩衝液Aで3回洗浄した後、前記カバーガラス上の前記マクロファージを、封入剤(VECTASHIELD)を用いて封入し、前記マクロファージの核をDAPI(Vector Inc.)で対比染色した。そして、前記マクロファージを蛍光顕微鏡(BIOREVO BZ−9000、KEYENCE株式会社、以下同様)を用いて顕微鏡観察した。
さらに、GM130−TRを用いて、ゴルジ体のみを染色した。GM130は、抗ゴルジ体モノクローナル抗体である。具体的には、前述と同様にして、マクロファージを10%ホルマリンで前記カバーガラスに固定した後、100%メタノールで20分間処理した。前記カバーガラス上のマクロファージを、前記緩衝液Aで3回洗浄した後、ヤギ血清でブロックした。前記カバーガラスに固定化した前記マクロファージを、湿潤室中、4℃で一晩、抗体GM130(5μg/mL、Cell Signaling Technology Inc.)とインキュベートした。そして、前記カバーガラスに固定化された前記マクロファージ中のゴルジ体と前記抗体との結合体を、さらに、室温で、抗マウスIgG(ウマ)IgG−TRと1時間インキュベートし、前記蛍光顕微鏡を用いて観察した。また、前記カバーガラスを前記緩衝液Aで3回洗浄した後、前記マクロファージを、VECTASHIELD封入剤を用いて封入し、前記マクロファージの核をDAPIで対比染色し、前記蛍光顕微鏡を用いて顕微鏡観察した。
これらの結果を、図5に示す。図5(A)において、左は、前記マクロファージをフローサイトメトリー(FACS)で解析した結果を示すグラフであり、Y軸は、セル数であり、X軸は、蛍光強度(rfu: relative fluorescence units,相対蛍光単位)である。図5(A)において、右は、マクロファージのrMIKO−1−FITC染色画像とアルブミン−TRの染色画像とを重ねた画像である。図5(B)は、マクロファージの染色画像であり、左は、rMIKO−1−FITC染色画像とGM130−TR染色画像を重ねた画像であり、真ん中は、GM130−TR染色画像であり、右は、アルブミン−TR染色画像である。
図5(A)において、左のグラフから、前記rMIKO−1がマクロファージに結合することが確認でき、右の画像において、DAPI染色された領域内に、rMIKO−1−FITC染色が確認できたことから、前記rMIKO−1がマクロファージに結合することが確認できた。また、前記rMIKO−1は、核内にも局在する可能性が示唆された。また、図5(B)の各画像の染色状態の比較から、前記マクロファージにおいて、rMIKO―1―FITC染色の局在と、GM130−TR染色の局在が一致すること、つまり、前記rMIKO−1の局在とゴルジ体の局在とが一致することがわかった。このことから、シグナル配列を有していないrMIKO−1は、ゴルジ体を介して、マクロファージの核内に移行できる可能性が推測された。なお、同様の検討をラットアルブミン−TRを用いて検討しところ、アルブミンはマクロファージに結合せず、さらにマクロファージによる取り込みも観察されなかった。
(2)ウェスタンブロッティングによるrMIKO−1の局在の確認
前記モデルラットの腹腔内に、4%チオグリコール(10mL/ラット)を投与し、2日後、腹腔マクロファージ回収した。前記腹腔マクロファージをリン酸緩衝液(50mmol/L、pH7.4)で洗浄し、続いて前記培地A(RPMI−1640)で洗浄した後、前記腹腔マクロファージをシャーレ(直径9cm)に撒き、COインキュベータ内で、5%COおよび37℃の条件下、2時間培養した。前記シャーレを前記リン酸緩衝液で洗浄し、前記シャーレに接着したマクロファージに対して、前記rMIKO−1を含む前記培地A 約10mLを添加し、さらに、1.5時間、前記COインキュベータ内で同条件で培養した。その後、前記シャーレ内のマクロファージを全て回収し、前記リン酸緩衝液(50mmol/L、pH7.4)で一回洗浄してから、前記rMIKO−1で処理したマクロファージを回収した。
前記回収したマクロファージから、市販の抽出キット(PO Box 1016、Mountain View、CA 94042)を用いて、細胞質および核タンパク質を抽出した。そして、抽出した細胞質画分と前記核タンパク質画分とについて、ウエスタンブロッティングによるタンパク質の確認を行った。前記ウエスタンブロッティングには、一次抗体(2μg/mL)として、抗rMIKO―1モノクローナル抗体(MoAbMIKO−1)、抗rS100A8抗体(mAb8A6)および抗rS100A9抗体(mAb1D11)を一次抗体、抗rS100A9抗体を使用し、二次抗体として、抗マウスIgG(ウマ)IgG−HRP結合体を使用した。各抗体は、従来の方法(Ikemoto M. et al., (2003) New ELISA System for Myeloid-Related Protein Complex (MRP8/14) and Its Clinical Significance as a Sensitive Marker for Inflammatory Responses Associated with Transplant Rejection. Clin Chem. 49, 594-600)に基づいて調製した。
これらの結果を図6に示す。図6において、レーンMは、分子量マーカー、レーンPは、タンパク質染色、レーンA8は、前記rS100A8、レーンA9は、前記rS100A9、MIは、前記rMIKO−1を示す。図6に示すように、前記細胞質画分において、前記rS100A8、前記rS100A9、前記rMIKO−1が検出されたが、前記核タンパク質画分においては、前記rS100A8、前記rMIKO−1が検出された。この結果から、本発明の機能性ペプチドであるrMIKO−1は、マクロファージの核に導入されていることが確認でき、核への導入に、前記rS100A8のN末端の配列が関与していることが示された。
(3)動的可動性
前記(1)と同様にして、前記rMIKO−1−FITC結合体と前記マクロファージとを、5%CO且つ37℃の条件下、インキュベートした。そして、前記条件でのインキュベート開始から、5分ごとに1時間、前記カバーガラスに固定化されたマクロファージを、前記蛍光顕微鏡観察した。この結果を、図7に示す。図7は、前記カバーガラスに固定化されたマクロファージにおける蛍光を示す経時的な画像である(倍率x1000)。各画像において、左上の数値は、インキュベート時間を示す。また、各画像において、明度が相対的高い(相対的に白に近い)程、蛍光が強いことを意味する。その結果、図7に示すように、インキュベート時間の経過に伴って、マクロファージでの蛍光が増加した。つまり、インキュベート時間に依存して、前記rMIKO−1−FITC結合体が前記マクロファージに導入されたことがわかった。
さらに、マクロファージの核内におけるrMIKO−1の局在を、前記蛍光顕微鏡のZスタックモードにより観察した。この際、前記(1)と同様にして、前記マクロファージの核を、前記DAPIで対比染色した。複数の角度からマクロファージを三次元的に観察した結果を図8に示す。図8は、4つの角度(Z1−Z4)から、前記マクロファージを観察した結果を示す画像である(倍率×3000)。図8において、大きな円(点線)で囲まれた領域は、マクロファージの細胞質領域であり、前記領域内において、rMIKO−1−FITC染色の複数のスポットが確認された。また、矢印は核であり、さらに、小さな円(実線)で囲まれた領域は、マクロファージの核領域であり、前記領域内において、rMIKO−1−FITC染色の複数のスポットが確認された。これらの結果から、マクロファージは、rMIKO−1を外部から細胞質内に取り込み、さらに、核内に取り込んでいることがわかった。
[実施例5]
本発明の機能性ペプチドとして、ヒトS100A8およびヒトS100A9に基づくヒトMIKO−1を調製し、潰瘍性大腸炎による出血の抑制および組織変化を抑制することを確認した。
前記機能性ペプチドとして、ヒトS100A8ペプチド(配列番号3の前記hS100A8)およびヒトS100A9ペプチド(配列番号4の前記hS100A9という)から設計した前記表4のヒトhMIKO−1(配列番号13の前記hMIKO−1)を、遺伝子工学的手法により調製した。前記hMIKO−1は、N末端側の領域Xが、hS100A8ペプチド由来のhN1−1ペプチド(配列番号3)であり、C末端側の領域Yが、hS100A9ペプチド由来のrC1−2(配列番号9)のペプチドである。前記hMIKO−1は、その全長が、hS100A9ペプチド(配列番号4)と同じであり、その分子量も、hS100A9と同等である。また、参照用ペプチドとして、hS100A8ペプチド(配列番号3)およびhS100A9ペプチド(配列番号6)も調製した。なお、調製した各ペプチドサンプルのエンドトキシン濃度を、市販キット(ToxinSensorTM、Endotoxin Detection System、GenScript Inc.)を用いて測定した結果、いずれのペプチドサンプルも、エンドトキシン濃度は0.5〜0.7EU/mgタンパク質の範囲であり、後述するマクロファージの活性化に対して影響を及ぼす量のエンドトキシンは含まれていないことが確認できた。これらのペプチドを、前記実施例1と同様にしてPEG化して、以下の実験に供した。
PEG化ペプチドとして、前記PEG化hMIKO−1、前記PEG化h−S100A8、前記PEG化h−S100A9を使用した以外は、前記実施例2と同様にして、潰瘍性大腸炎のモデルラットへの投与を行い、出血の確認および大腸の長さの測定を行った。
出血を確認した結果を図9に示す。図9は、6日間の投与が終了した時点における、ラットのケージに敷かれていた床敷きの写真である。図9において、上図は、D群の2匹のラットの床敷きの写真(PC-A、PC−B)であり、下図は、M群の2匹のラットの床敷きの写真であり、M0.2、M0.5は、前記PEG化hMIKO−1の投与濃度を示す。図9の各写真において、明度が低い(黒に近い)領域は、血液の付着を意味する。前記D群では、図9の上図に示すように、前記投与終了時には、大量出血が確認された。一方、図9の下図に示すように、潰瘍性大腸炎を誘導し且つ前記PEG化hMIKO−1を投与したM群では、前記投与終了時においても、全ラットについて、肛門からの出血は、ほとんど観察されなかった。これらの結果から、本発明の機能性ペプチドが、結腸損傷の発症を抑制できることが確認できた。
また、投与終了時の大腸の長さは、潰瘍性大腸炎を誘導した前記D群は、12.5cmであり、潰瘍性大腸炎を誘導し且つ前記PEG化hMIKO−1を投与した前記M群は、潰瘍性大腸炎を誘導していないN群と同様に17.2cmであった。このように、前記D群は、潰瘍性大腸炎によって大腸が縮小したのに対して、前記M群は、前記PEG化hMIKO−1の投与により、大腸の縮小が抑制された。
これらの結果から、本発明の機能性ペプチドによれば、潰瘍性大腸炎の誘導によって引き起こされる損傷を、抑制し、また、回復できることが確認できた。このことから、本発明の機能性ペプチドは、潰瘍性大腸炎の予防と治癒が可能であるといえる。
[実施例6]
本発明の機能性ペプチドである前記PEG化hMIKO−1を使用した以外は、前記実施例2と同様にして、潰瘍性大腸炎による組織変化を抑制することを確認した。
その結果、大腸の長さは、潰瘍性大腸炎を誘導していないN群(ネガティブコントロール;NC)が、20.5cm(n=2)であり、潰瘍性大腸炎を誘導したD群(ポジティブコントロール;PC)は、16.2cm(n=3)であった。これに対して、潰瘍性大腸炎を誘導し且つ前記PEG化hMIKO−1を投与したM群は、大腸の長さが18cm(n=3)であり、前記PEG化hMIKO−1の投与により、大腸の縮小が抑制された。
[実施例7]
本発明の機能性ペプチドである前記hMIKO−1を使用した以外は、前記実施例4と同様にして、マクロファージの核内に取り込まれることを確認した。
(1)蛍光観察によるhMIKO−1、hS100A8、hS100A9の局在の確認
FITCで標識化した前記hMIKO−1、前記hS100A8、前記hS100A9を使用した以外は、前記実施例4の(1)と同様にして、蛍光観察により局在の確認を行った。その結果、前記hMIKO−1、前記hS100A8、前記hS100A9は、それぞれ、マクロファージに結合することが確認できた。
(2)ウェスタンブロッティングによるhMIKO−1の局在の確認
PEG化した前記hMIKO−1、前記hS100A8、前記hS100A9を使用した以外は、前記実施例4の(2)と同様にして、ウエスタンブロッティングにより局在の確認を行った。その結果、前記hMIKO−1、前記hS100A8、および前記hS100A9は、それぞれ、細胞質内と核内とにおいて、存在が確認された。これらの結果は、前記実施例4と同様であり、これらのペプチドは、マクロファージにおいて、細胞質内を経由して、核内に移行すると推測される。
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
本発明の機能性ペプチドによれば、例えば、潰瘍性大腸炎等の大腸炎を予防または治癒することが可能である。また、本発明の機能性ペプチドは、例えば、免疫系にかかわるマクロファージの核内に導入できるため、前記マクロファージの核へのデリバリー剤としても使用できる。このため、本発明の機能性ペプチドは、例えば、医療の現場において、極めて有用なツールといえる。

Claims (15)

  1. N末端アミノ酸残基を含む領域Xと、C末端アミノ酸残基を含む領域Yとが連結されたペプチドからなり、
    前記領域Xが、下記(N1)、(N2)または(N3)のペプチドであり、
    前記領域Yが、下記(C1)、(C2)または(C3)のペプチドである
    ことを特徴とする機能性ペプチド。
    (N1) S100A8タンパク質のN末端領域のアミノ酸配列からなるペプチド
    (N2) 前記(N1)のアミノ酸配列と80%以上の同一性のアミノ酸配列からなるペプチド
    (N3) 前記(N1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなるペプチド
    (C1) S100A9タンパク質のC末端領域のアミノ酸配列からなるペプチド
    (C2) 前記(C1)のアミノ酸配列と80%以上の同一性のアミノ酸配列からなるペプチド
    (C3) 前記(C1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなるペプチド
  2. 前記領域Xと前記領域Yとが、直接連結されたペプチドである、請求項1に記載の機能性ペプチド。
  3. 前記(N1)のペプチドが、前記S100A8タンパク質の全長領域または部分領域であり、
    前記部分領域は、前記S100A8タンパク質のN末端の1番目から連続する20アミノ酸残基以上のアミノ酸配列からなるペプチドである、請求項1または2記載の機能性ペプチド。
  4. 前記(C1)のペプチドが、前記S100A9タンパク質の全長領域または部分領域であり、
    前記部分領域は、前記S100A8タンパク質のC末端の1番目から連続する20アミノ酸残基以上のアミノ酸配列からなるペプチドである、請求項1から3のいずれか一項に記載の機能性ペプチド。
  5. 前記S100A8タンパク質が、配列番号1または3のアミノ酸配列からなるペプチドであり、前記S100A9タンパク質が、配列番号2または4のアミノ酸配列からなるペプチドである、請求項1から4のいずれか一項に記載の機能性ペプチド。
    (配列番号1)rS100A8
    MATELEKALS NVIEVYHNYS GIKGNHHALY
    RDDFRKMVTT ECPQFVQNKN TESLFKELDV
    NSDNAINFEE FLVLVIRVGV AAHKDSHKE
    (配列番号2)rS100A9
    MAAKTGSQLE RSISTIINVF HQYSRKYGHP
    DTLNKAEFKE MVNKDLPNFL KRQKRNENLL
    RDIMEDLDTN QDNQLSFEEC MMLMGKLIFA
    CHEKLHENNP RGHDHSHGKG CGK
    (配列番号3)hS100A8
    MLTELEKALN SIIDVYHKYS LIKGNFHAVY
    RDDLKKLLET ECPQYIRKKG ADVWFKELDI
    NTDGAVNFQE FLILVIKMGV AAHKKSHEES
    HKE
    (配列番号4)hS100A9
    MTCKMSQLER NIETIINTFH QYSVKLGHPD
    TLNQGEFKEL VRKDLQNFLK KENKNEKVIE
    HIMEDLDTNA DKQLSFEEFI MLMARLTWAS
    HEKMHEGDEG PGHHHKPGLG EGTP
  6. 前記領域Xと前記領域Yとが連結されたペプチドが、配列番号11、12または13のアミノ酸配列からなるペプチドである、請求項1から5のいずれか一項に記載の機能性ペプチド。
    (配列番号11)rMIKO−1
    MATELEKALS NVIEVYHNYS GIKGNHHALY
    RDDFRKMVTT ECPQFVQNKN TESLFKELDV
    NSDNAINFEE FLVLVIRVGV AAHKDSHKEA
    CHEKLHENNP RGHDHSHGKG CGK
    (配列番号12)rMIKO−3
    MATELEKALS NVIEVYHNYS HQYSRKYGHP
    DTLNKAEFKE MVNKDLPNFL KRQKRNENLL
    RDIMEDLDTN QDNQLSFEEC MMLMGKLIFA
    CHEKLHENNP RGHDHSHGKG CGK
    (配列番号13)hMIKO−1
    MLTELEKALN SIIDVYHKYS LIKGNFHAVY
    RDDLKKLLET ECPQYIRKKG ADVWFKELDI
    NTDGAVNFQE FLILVIKMGV AAHKKSHEES
    HKEMHEGDEG PGHHHKPGLG EGTP
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の機能性ペプチドを含むことを特徴とする大腸炎用医薬。
  8. 前記大腸炎が、潰瘍性大腸炎である、請求項7記載の大腸炎用医薬。
  9. 請求項1から6のいずれか一項に記載の機能性ペプチドを含むことを特徴とするマクロファージの核へのデリバリー剤。
  10. さらに、デリバリー対象成分を含み、前記デリバリー対象成分が、前記機能性ペプチドに連結している、請求項9記載のデリバリー剤。
  11. 対象に、請求項1から6のいずれか一項に記載の機能性ペプチドを投与する投与工程を含むことを特徴とする大腸炎治療方法。
  12. 前記対象が、非ヒト動物である、請求項11記載の大腸炎治療方法。
  13. 対象に、請求項1から6のいずれか一項に記載の機能性ペプチドにデリバリー対象成分が結合した結合物を投与する投与工程を含むことを特徴とするマクロファージの核への対象成分のデリバリー方法。
  14. 前記対象が、非ヒト動物である、請求項13記載のデリバリー方法。
  15. 前記結合物を、in vitroで投与する、請求項13または14記載のデリバリー方法。
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