(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る警報装置について、添付図面を参照して説明する。図1に、第1実施形態に係る警報装置100についての斜視図を示す。
本実施形態の警報装置100は、円筒状の形状を有している。警報装置100のうち、長さ方向の一方の部位に、音声を発するスピーカー110を備えたスピーカーユニット120が設けられ、長さ方向の他方の部位に、光を発する発光部材130を備えた発光ユニット140が設けられている。
後述するように、本実施形態では、音声を発するスピーカーユニット120及び光を発する発光ユニット140が、迷惑行為が起こったことを周囲に報知する報知部として機能する。また、警報装置100の全体が円筒状の形状を有しているので、スピーカーユニット120及び発光ユニット140は、細長の形状を有している。発光部材130は、素子側カバー131によって覆われている。
また、円筒状の警報装置100における長さ方向の両方の端部101、102には、口金部103、104が設けられている。本実施形態では、警報装置100における一方の端部101に2つの口金部103が設けられ、他方の端部102に2つの口金部104が設けられている。従って、警報装置100には、計4つの口金部103、104が設けられている。
このように、第1実施形態の警報装置100は、円筒状に構成され、且つ、長さ方向の両端部に口金部103、104が形成された蛍光灯のような形状を有している。本実施形態では、警報装置100は、口金部103、104によって、鉄道車両内のソケットに挿入されて支持される。鉄道車両側には、元々蛍光灯を車両に取り付けるために、蛍光灯の口金部を挿入するためのソケットが設けられている。本実施形態の警報装置100は、そのソケットに口金部103、104を挿入することによって、警報装置100を鉄道車両に取り付けることができる。すなわち、口金部103、104が、鉄道車両内における直管形照明装置用のソケットに組み込み可能に構成されている。このように、本実施形態の警報装置100は、鉄道車両内に取り付けられた直管形照明装置(直管形LED照明装置)の一部として構成されている。
また、口金部103、104は、警報装置100が車両に支持される際の支持部として機能する。口金部103は、警報装置100の長さ方向についての一方の端部に設けられ、警報装置100を支持している。同様に、口金部104は、警報装置100の長さ方向についての一方の端部とは反対側の他方の端部に設けられ、警報装置100を支持している。
図2に、本実施形態の警報装置100の内部の構成について説明するために、警報装置100の外側の構成の一部が外された斜視図を示す。具体的には、図2では、スピーカーユニット120の内部の構成について示すためにスピーカーネット121の一部が破断され、発光ユニット140の内部の構成について示すために素子側カバー131が取り外された状態の斜視図が示されている。
図2に示されるように、スピーカーユニット120は、スピーカーユニット120の長さ方向の中央の周辺で径方向の外側を覆うスピーカーネット121と、警報装置100における一方の端部101に配置された円筒状の円筒部材122と、円筒部材122に設けられ、円錐状の形状を有するホーン部材123と、音声を発することが可能なスピーカー110とを備えている。また、スピーカーユニット120は、スピーカー110を覆うスピーカーカバー124、スピーカーネット121、及び円筒部材122を覆う円筒状カバー125によって構成されたスピーカーユニットカバー126を備えている。なお、スピーカーユニットカバー126はスピーカーネット121と同一の部材であって両機能を兼用されていても良い。
スピーカー110及びホーン部材123は、スピーカーユニット120及び発光ユニット140を備えた警報装置100における長さ方向の一部に配置されている。スピーカー110及びホーン部材123の位置する、その警報装置100の長さ方向の一部では、警報装置100における径方向の全体に亘ってスピーカー110及びホーン部材123が配置されている。
スピーカー110及びホーン部材123が警報装置100における径方向の全体に亘って配置されるので、比較的大きなスピーカー110及びホーン部材123を用いることができる。従って、スピーカー110及びホーン部材123から多様な音声を発することができる。
また、発光ユニット140は、光を発する発光部材130と、発光部材130を覆う素子側カバー131(図3)と、発光部材130を発光させるための電流を供給する回路部150と、回路部150を覆う回路側カバー133(図2)とを備えている。また、発光ユニット140は、素子側カバー131と回路側カバー133とによって構成された発光ユニットカバー141を備えている。また、発光ユニット140は、一方の側に発光部材130が取り付けられ、他方の側に回路部150が取り付けられた発光側隔壁部143を備えている。
発光部材130は、複数のLED基板132を有して構成されている。LED基板132は、円筒状の形状を有する警報装置100の長さ方向に複数並べられて配置されている。LED基板132は、照明部135に複数並べられて配置されている。
照明部135は、発光側隔壁部143における、LED基板132が並べられている部分のことである。発光部材130としてのLED基板132がそれぞれ光を出射することにより、照明部135から光が発せられる。
本実施形態では、スピーカーユニットカバー126と、発光ユニットカバー141とを、カバー170と言うものとする。従って、本実施形態では、警報装置100は、円筒状のカバー170を備えている。カバー170は、回路部150、報知部としてのスピーカーユニット120及び発光ユニット140、LED基板132を載置する照明部135を被覆し、一部が透光性を有している。カバー170は、照明部135を覆う部分で透光性を有している。照明部135からの光は、カバー170における透光性を有する部分を透過し、鉄道車両内部へ出射される。
図3に、発光ユニット140において、回路側カバー133が取り外された状態の警報装置100の上方から見た斜視図を示す。警報装置100の上部には、スピーカーユニット120及び発光ユニット140に電力を供給するための回路部150が配置されている。本実施形態では、回路部150は、発光側隔壁部143における、LED基板132が配置されている側とは逆側の面(天井側の面)に取り付けられている。
回路部150は、口金部104を通して鉄道車両側から得られる電力を、警報装置100の内部で使用可能な形式の電力に変換するための電力変換回路151と、発信部160(図4)から発信された情報を受け取る受信部152と、電力変換回路151で警報装置100の内部で使用可能な形式に変換された電力を音声ユニット154及びアンプ155に選択的に供給するスイッチ部153と、予め記憶されている音声データをアンプ155に送信する音声ユニット154と、音声ユニット154から送信された音声データによる音声信号を増幅させるアンプ155とを備えている。また、回路部150は、受信部152で受信した情報を受け、受信部152が受けた信号に基づき、制御信号を送出する制御部156を備えている。
例えば、発信部160は、スマートフォンであってもよい。ユーザーの所持しているスマートフォンに、本実施形態の警報装置100に対応したアプリをインストールさせておくことにより、ユーザーが迷惑行為を受けたときに、車両側に設置されている受信部152に向けて、発信部160としてのスマートフォンを介して信号を発することができる。また、受信部152は、例えばスマートフォンのアプリを介して発せられた信号を受信可能なブルートゥース(BLUETOOTH(登録商標))によって構成されていてもよい。
図3に示されるように、カバー170は、カバー170の長手方向に垂直な方向に延びる内部隔壁を備えている。本実施形態では、スピーカーカバー124の一部が、カバー170の長手方向に垂直な方向に延びる内部隔壁として機能する。具体的には、スピーカーカバー124における発光ユニット140に近接している側の一部が、内部隔壁として機能する。従って、カバー170内部の空間が、スピーカーカバー124の一部によって分割されている。警報装置100の内部の空間は、スピーカーカバー124によって長手方向に分割されている。本実施形態では、カバー170は、スピーカーカバー124によって分割されて形成される2つの収納部180、181を有している。2つの収納部180、181のうち、一方の収納部180には照明部135が配置され、他方の収納部181にはスピーカー110が配置されている。なお、本実施形態では、カバー170の内部の空間が内部隔壁によって2つに分割される形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。カバー170の内部の空間は、3つ以上に分割されてもよい。その結果、カバー170の内部に3つ以上の収納が形成されていてもよい。それらのうちのいずれか1つに照明部135が配置され、その他の収納部のうちいずれか1つにスピーカー110が配置されればよい。すなわち、警報装置100は、カバー170の内部に、少なくとも2つの収納部を有し、少なくとも2つの収納部のうち、1つの収納部に照明部135が配置され、1つの収納部にスピーカー110が配置されていればよい。
図4に、本実施形態の警報装置100についての回路図を示す。鉄道車両側で用いられている電力のうちの一部が、本実施形態の警報装置100に供給される。本実施形態では、鉄道車両からの電力が、端子部を通って電力変換回路151に供給される。
車両からの電力が電力変換回路151に供給される際には、図1、3における発光ユニット140が設けられている側の口金部104及び端子部を通して鉄道車両側から得られた電力を、電力変換回路151に供給している。つまり、本実施形態では、端子部は、口金部103、104の一方に接続され、車内照明装置用の電源より外部電力が警報装置100の電力変換回路151に供給されるように配線されている。このように、本実施形態では、発光ユニット140が設けられている側の口金部104を通して鉄道車両側から得られた電力が、電力変換回路151に供給されて警報装置100内部で用いられている。口金部104は、車両側から得られた電力を電力変換回路151に供給する機能と、警報装置100を支持する機能との両方を備えている。
本実施形態では、スピーカーユニット120が設けられた側の口金部103からは電力を得られないように、警報装置100が構成されている。すなわち、本実施形態では、口金部103は、電力の取得のためには用いられずに、警報装置100が車両に支持されるために用いられる。なお、スピーカーユニット120内部に配線用のスペースがある場合等は、スピーカーユニット120が設けられた側の口金部103から電力を得てもよい。
電力が電力変換回路151に供給されると、電力変換回路151は、電力変換回路151からのそれぞれの電力の供給先に合わせた形式の電力に変換し、それぞれの供給先ごとに適合された形式に変換された電力をそれぞれの供給先に供給する。本実施形態では、電力変換回路151は、車両から受け取った電力を適切な形式に変換し、LED基板132、受信部152、音声ユニット154及びアンプ155のそれぞれに電力を供給する。
図5に、警報装置100の制御構成についてのブロック図を示す。発信部160から鉄道車両内で迷惑行為があったとの信号が発信されると、警報装置100における受信部152が、発信部160からの信号を受信する。受信部152が信号を受信すると、受信部152から制御部156にその信号が送信される。信号が受信部152から制御部156に送信されると、制御部156は、受信部で受信した信号を受け、その信号に基づいて、制御信号を送出する。本実施形態では、制御部156は、スピーカーユニット120が音声を発するように、スピーカーユニット120へ制御信号を送出する。スピーカーユニット120は、制御部156から送出された制御信号に基づいて音声を発する。また、制御部156は、発光ユニット140が点滅発光するように、発光ユニット140へ制御信号を送出する。発光ユニット140は、制御部156から送出された制御信号に基づいて点滅発光する。
このように構成された警報装置100が搭載された鉄道車両内において、痴漢行為等の迷惑行為が発生した場合について説明する。
迷惑行為を受けたときに本実施形態の警報装置100を用いて周囲に警報を発したいと考えるユーザーは、警報装置100が搭載された鉄道車両に乗る際に、予め発信部160を所持しておく。発信部160としては、例えば、予め本実施形態の警報装置100に対応したアプリがインストールされた携帯端末(例えばスマートフォン)を用いることができる。
鉄道車両内でユーザーが迷惑行為を受けたときには、例えば、鉄道車両内にいるユーザーは、携帯端末にインストールされている本実施形態の警報装置100に対応したアプリをタップする。ユーザーがアプリをタップすると、迷惑行為を受けていることを示す情報が、発信部160から警報装置100に設けられた受信部152に向けて送信される。本実施形態では、受信部152は、警報装置100に設けられたブルートゥース(BLUETOOTH(登録商標))である。
受信部152が迷惑行為を受けていることを示す情報を受け取ると、ユーザーの周囲に向けて注意を喚起するために、制御部156からの信号に基づいて、LED基板132を点滅発光させる。LED基板132の点灯状態の変化によって、迷惑行為が起こったことが、周囲に報知される。同時に、受信部152が迷惑行為を受けていることを示す情報を受け取ると、制御部156からの信号に基づいて、スイッチ部153が、電力変換回路151とアンプ155との間の電流をオンにし、電力変換回路151からアンプ155に電流が流れるようにする。また、スイッチ部153が、電力変換回路151と音声ユニット154との間の電流をオンにし、電力変換回路151から音声ユニット154に電流が流れるようにする。
アンプ155及び音声ユニット154に電流が流れるので、音声ユニット154に予め記憶されていた音声データがアンプ155に送信される。アンプ155に送信された音声データは、アンプ155で増幅されてスピーカー110に送信される。スピーカー110は、音声データに応じた音声を発する。
このように、鉄道車両内で迷惑行為が発生したときに、迷惑行為による被害者の持つ発信部160から送信される情報に応じて、警報装置100は、LED基板132を点滅発光させると共に、スピーカー110から音声を発する。これによって、周囲に対し、迷惑行為が生じていることを報知することができる。このとき、被害者は、携帯端末をタップするだけで、周囲に迷惑行為を受けていることを報知することができる。従って、被害者は、迷惑行為を受けている本人であることを周囲に悟られずに、周囲に対し迷惑行為が発生していることを報知させることができる。従って、被害者は、目立たないまま迷惑行為が生じていることを周囲に報知させることができる。これにより、被害者は、心理的に負担を感じることなく、周囲に対し迷惑行為が生じていることを報知することができる。なお、発光ユニット140は、点滅ではなく明滅など発光状態が変わることで、周囲に対し迷惑行為が生じていることを報知してもよい。
また、本実施形態では、スピーカー110の音声を発する部分は、円錐状の形状を有するホーン部材123に対向する位置に配置されている。そのため、スピーカー110によって発せられた音声は、対向するホーン部材123に衝突し、そこで音声が警報装置100の径方向の外側に拡散される。
音声が警報装置100の径方向の外側に拡散されるので、該当する警報装置100の周囲でより広い範囲に亘って、注意を喚起することができる。このように、受信部152が迷惑行為を受けていることを示す情報を受け取ると、LED基板132が点滅すると共に、スピーカー110が音声を発する。そのため、該当する警報装置100の周囲にいる人に向けて注意を喚起することができる。
従って、スピーカーユニット120及び発光ユニット140は、受信部152が車両内で迷惑行為が起こったことを示す情報を受信したときに、迷惑行為が起こったことを周囲に報知する報知部として機能する。
本実施形態では、警報装置100は、警報装置100を取付けた車両と同一車両の車内照明装置の電源から、電力が供給されるように構成されている。警報装置100の口金部104においては、車内照明装置の電源から、制御部及びスピーカーユニット120及び発光ユニット140へ、電力が供給されるよう配線されている。なお、本実施形態では警報装置100は車内の照明装置の電源から電力が供給されるように構成されているが、電源は既存の車内設備であれば、いずれの電源を使用してもよい。車内設備とは、他に例えば、空調装置、放送装置などがある。
警報装置100が、元々鉄道車両で用いられている電源からの電力を用いるので、警報装置100の内部に新たに蓄電池などの電源を設ける必要がない。そのため、警報装置100の構成を簡易にすることができ、警報装置100の製造コストを少なく抑えることができる。また、電源を設けずに済むので、電源の構成の分、警報装置100を小型化するとともに、電池交換等の保全作業を簡略化できる。
また、本実施形態では、警報装置100は、鉄道車両内で迷惑行為が起こったことを示す情報を受信する受信部152と、迷惑行為が起こったことを周囲に報知する警報を発する警報部としてのスピーカーユニット120及び発光ユニット140と、鉄道車両内への取り付けに用いられる口金部103、104と、制御信号を送出する制御部156とを備えて構成されている。本実施形態では、警報装置100は、これらの構成を備えた、1つのユニットとして構成されている。従って、1つのユニットとしての警報装置100を鉄道車両に取り付けることにより、上記の構成を含む警報装置100を、まとめて取り付けることができる。また、鉄道車両からこれらの構成を取り外す際には、1つのユニットとしての警報装置100を取り外すだけで上記の構成を含む警報装置100を、まとめて車両から取り外すことができる。このように、本実施形態では、警報装置100ごとを鉄道車両に対し交換可能に構成されている。従って、警報装置100を車両に取り付けるための構成を簡易にすることができる。
仮に、受信部、スピーカーユニット、発光ユニット、口金部、制御部が別々に車両に設けられている場合には、これらのそれぞれを車両に取り付けるための取付部を、それぞれの部材に別々に設ける必要がある。従って、取付部の数が多くなるので、構成が複雑になり、警報装置の製造コストが増加してしまう可能性がある。
また、本実施形態では、鉄道車両側に、直管形照明装置を取り付けるための口金部を挿入するためのソケットが設けられ、警報装置100は、そのソケットに口金部103、104を挿入することによって、警報装置100を車両に取り付けている。このように、元々車両に直管形照明装置としての蛍光灯を取り付けるための構成が用いられて、警報装置100が鉄道車両に取り付けられている。
このように、鉄道車両内における既存の直管形照明装置の取り付けが行われる部分であるソケットに対し、警報装置100の取付部としての口金部103、104を挿入することにより警報装置100が車両に取り付けられるので、警報装置100の取り付けのためのスペースや取り付けのための構成を新たに鉄道車両側に設ける必要がない。従って、鉄道車両側の構成を簡易にすることができる。これにより、警報装置100を鉄道車両に取り付けるに当たって、鉄道車両側の構成に手を加える必要がなく、警報装置100の取り付けにかかるコストを少なく抑えることができる。このように、口金部103、104を、既存の蛍光灯に電力を供給するための部分に差し込むことができるので、警報装置100の鉄道車両への取り付けや、既存の蛍光灯との置き換えを容易に行うことができる。
また、本実施形態では、口金部103、104を用いて警報装置100が車両に支持されている。さらに口金部104が、鉄道車両から電力を受け取り、受け取った電力を受信部152及びスピーカーユニット120、発光ユニット140及び制御部156に供給する口金部としての機能を有している。つまり、口金部104を介して、受信部152に情報を受信するための電力が供給されると共に、スピーカーユニット120及び発光ユニット140に、警報を発するための電力が供給される。このように、口金部104が、警報装置100を支持する機能と、鉄道車両からの電力を受け取る機能とを有している。従って、口金部104が2つの機能を有しているので、その分警報装置100の構成を省略することができる。これにより、警報装置100の構成を簡易にすることができる。
また、本実施形態では、警報装置100が、光を発する発光部材130を備えた発光ユニット140を備えている。警報装置100が光を発する発光部材130を備えているので、視覚を通じて迷惑行為の加害者に向けて警報を発することができる。従って、迷惑行為の加害者に向けて確実に警報を発することができる。
また、本実施形態では、警報装置100において、発光部材130として複数のLED基板132が用いられている。LED基板132によって加害者へ視覚的な警報を発することができるので、警報を発する際の消費電力を少なく抑えることができる。
また、本実施形態では、警報装置100が、音声を発するスピーカー110を備えたスピーカーユニット120を備えている。警報装置100が音声を発するスピーカー110を備えているので、聴覚を通じて迷惑行為の加害者に向けて警報を発することができる。従って、加害者に向けて確実に警報を発することができる。
また、本実施形態では、スピーカー110及びホーン部材123が、警報装置100における径方向の全体に亘って配置されている。特に本実施形態では、スピーカー110が、警報装置100における径方向の全体に亘って配置されている。従って、比較的大きな径のスピーカー110を用いることができる。従って、スピーカー110から多様な音声を発することができる。
なお、本実施形態では、鉄道車両に取り付けられた警報装置100の内部に、鉄道車両側から得られる電力を使用可能な形式の電力に変換するための電力変換回路151や、音声データが予め記憶されている音声ユニット154が配置されているが、これらの構成は警報装置100の内部に設けられなくてもよい。警報装置100の外部に設けられた電力変換回路によって鉄道車両側から得られる電力が使用可能な形式に変換されて警報装置100に供給される形式であってもよいし、警報装置100の外部に設けられた音声ユニットから音声データが警報装置100に送信され、警報装置100が音声による警報を発する形式等の構成であってもよい。
また、本実施形態では、警報装置100が音声を発するスピーカー110を備えたスピーカーユニット120と、光を発する発光部材130を備えた発光ユニット140との両方を備えた構成について説明している。しかしながら、警報装置100は、必ずしもスピーカーユニット120と、発光ユニット140との両方を備えていなくてもよい。迷惑行為の加害者に向けて警報を発することができるのであれば、いずれか一方のみが警報装置100に設けられていてもよい。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る警報装置について説明する。なお、上記第1実施形態と同様に構成される部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
上記第1実施形態では、円筒状に形成された警報装置100におけるカバー170内部の空間が長さ方向に2つに分割され、一方の空間にスピーカーユニット120が配置され、他方の空間に発光ユニット140が配置される形態について説明した。これに対し、第2実施形態では、円筒状に形成された警報装置において、警報装置のカバー内部の空間が長さ方向に交差する方向に対し複数に分割され、複数に分割された警報装置のうち、一方の空間に発光部材が配置され、他方の空間にスピーカーが配置される形態について説明する。
図6(a)に、第2実施形態の警報装置200の斜視図を示し、図6(b)に、図6(a)の警報装置200におけるVIB−VIB線に沿う断面図を示す。
第2実施形態では、警報装置200の外面がカバー210によって覆われている。本実施形態では、円筒状に形成された警報装置200の径方向の外側を覆うように、カバー210が警報装置200に取り付けられている。また、警報装置200は、仕切部材220によって上下2つに分割されている。本実施形態では、カバー210は、カバー210の長手方向に沿って延びる仕切部材(内部隔壁)220と、仕切部材220によって分割されて形成される2つの空間(収納部)201、202を備えている。仕切部材220によって分割された2つの空間201、202のうち、客室側に配置された空間202(第1の収納部)には照明部が配置され、天井側に配置された空間201(第2の収納部)にはスピーカーが配置されている。本実施形態では、照明部には、発光部材として、LED基板230a、230bが配置される。LED基板230a、230bは、客室側を向くように、仕切部材220に直接取り付けられている。
本実施形態の仕切部材220は、水平方向の中央部が厚く、水平方向の外側に向かうにつれて薄くなるように形成されている。その結果、仕切部材220の下部に、斜め下の方向を向く斜面220a、220bが形成されている。本実施形態では、仕切部材220における一方の斜面220aにLED基板230aが配置され、他方の斜面220bにLED基板230bが配置されている。
このように、2つに分割された空間のうち、他方の空間202にLED基板230a、230bが配置されるので、警報装置200における長さ方向の全体に亘ってLED基板230a、230bを並べることができる。従って、LED基板230a、230bによって発光される領域を途切れさせることなく、長さ方向の全体に亘って発光させることができる。
また、天井側に配置された空間201に複数のスピーカー240が配置されている。空間201は、警報装置200における長さ方向の全体に亘って設けられているので、空間201内部に配置されるスピーカー240を、警報装置200の長さ方向の全体に亘って配置することができる。
第1実施形態の構成では、スピーカーユニット120が、円筒状の警報装置100における長さ方向の一部に、警報装置100の径方向の全体に亘って配置されている。従って、スピーカーユニット120の配置されているスペースには、発光ユニット140を配置することができない。そのため、警報装置100における長さ方向の一部に、発光ユニット140によって発光させることができない領域が生じる。また、スピーカーユニット120は、径方向の全体に亘って配置されるので、発光ユニット140の配置されている領域には、スピーカーユニット120を配置することができない。
第2実施形態の警報装置200では、警報装置200の長さ方向の全体に亘って発光ユニットのLED基板230a、230bを配置することができる。従って、光の途切れる部分のないように、長さ方向の全体に亘って配置された発光ユニットによって警報装置200の長さ方向の全体を発光させることができる。
また、警報装置200では、警報装置200の長さ方向の全体に亘って複数のスピーカー240を配置することができる。従って、音声を発する部分が途切れないように、長さ方向の全体に亘って配置された複数のスピーカー240によって構成されたスピーカーユニットによって警報装置200の長さ方向の全体に亘って音声を発することができる。
このように、迷惑行為が生じたことを周囲に報知する際に、警報装置200の長さ方向の全体に亘って発光させることができるので、発光ユニットによって警報装置200の長さ方向の全体が点灯することにより、より確実に迷惑行為が生じていることを周囲に報知させることができる。また、迷惑行為が生じたことを周囲に報知する際に、点灯していない部分が生じないので、警報装置200において、通常の天井灯として発光させたときの意匠性を向上させることができる。
また、迷惑行為が生じたことを周囲に報知する際に、警報装置200の長さ方向の全体に亘って配置されたスピーカーから音声を発することができるので、スピーカーから音声を発することによって、警報装置200の長さ方向の全体に亘って音声により迷惑行為が生じていることを周囲に報知させることができる。従って、より確実に迷惑行為が生じていることを周囲に報知させることができる。
本実施形態においても、警報装置200は、警報装置200を取付けた車両と同一車両の車内照明装置の電源から、電力が供給されるように構成されている。警報装置200が、元々鉄道車両で用いられている電源からの電力を用いるので、警報装置200の内部に新たに電源を設ける必要がない。そのため、警報装置200の構成を簡易にすることができ、警報装置200の製造コストを少なく抑えることができる。なお、本実施形態では警報装置200は車内の照明装置の電源から電力が供給されるように構成されているが、電源は既存の車内設備であれば、いずれの電源を使用してもよい。
また、本実施形態においても、鉄道車両側に、直管形照明装置を取り付けるための口金部250、260を挿入するためのソケットが設けられている。警報装置200は、そのソケットに口金部250、260を挿入することによって、警報装置200を車両に取り付けることが可能に構成されている。このように、元々車両に直管形照明装置としての蛍光灯を取り付けるための構成が用いられて、警報装置200が鉄道車両に取り付けられている。
このように、鉄道車両内における既存の直管形照明装置の取り付けが行われる部分であるソケットに対し、警報装置200の口金部250、260を挿入することにより警報装置200が車両に取り付けられるので、警報装置200の取り付けのためのスペースや取り付けのための構成を新たに鉄道車両側に設ける必要がない。従って、鉄道車両側の構成を簡易にすることができる。これにより、警報装置200を鉄道車両に取り付けるに当たって、鉄道車両側の構成に手を加える必要がなく、警報装置200の取り付けにかかるコストを少なく抑えることができる。このように、口金部を、既存の蛍光灯に電力を供給するための部分に差し込むことができるので、警報装置200の鉄道車両への取り付けや、既存の蛍光灯との置き換えを容易に行うことができる。
また、本実施形態においても、警報装置200は、車両内で迷惑行為が起こったことを示す情報を受信する受信部と、迷惑行為が起こったことを周囲に報知する警報を発する警報部としてのスピーカーユニット及び発光ユニットと、車両内への取り付けに用いられる取付部としての口金部250、260と、制御部とを備えて構成されている。
警報装置200は、受信部、スピーカーユニット、発光ユニット及び口金部250、260、制御部を、1つのユニットとして備えている。従って、1つのユニットとしての警報装置200を車両に取り付けることにより、車両に対し、受信部、スピーカーユニット、発光ユニット、口金部250、260、制御部を、まとめて取り付けることができる。また、車両からこれらの構成を取り外す際には、1つのユニットとしての警報装置200を取り外すだけで、受信部、スピーカーユニット、発光ユニット、口金部250、260、制御部を、まとめて車両から取り外すことができる。このように、本実施形態では、受信部、スピーカーユニット、発光ユニット、口金部250、260、制御部を備えた警報装置200ごとを車両に対し交換可能に構成されている。
なお、本実施形態では、警報装置200が、仕切部材220によって上下2つに分割される構成について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。警報装置200は上下に分割されなくてもよく、例えば、水平方向に分割されてもよい。また、本実施形態では、警報装置200が、仕切部材220によって2つに分割されている構成について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。警報装置200を長さ方向に交差する平面の断面で見たときに、警報装置200が3つ以上の複数に分割されてもよい。警報装置200が複数に分割されたときに、いずれかの空間に発光ユニットが配置され、別の空間にスピーカーユニットが配置されればよい。また、受信部及び制御部は、スピーカーユニットと同じ空間に配置されてもよいし、発光ユニットの配置された空間及びスピーカーユニットの配置された空間とはさらに別の空間に配置されてもよい。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る警報装置について説明する。なお、上記第1実施形態及び第2実施形態と同様に構成される部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
第1実施形態及び第2実施形態では、警報ユニットが円筒状に形成され、既存の直管形照明装置(蛍光灯)の配置位置に取り付けられる構成の警報装置について説明した。第3実施形態では、既存のスピーカーの配置位置に取り付けられる構成の警報装置300について説明する。
図7に第3実施形態に係る警報装置300についての斜視図を示す。図7には、警報装置300の裏側についての斜視図が示されている。
第3実施形態の警報装置300は、音声を発するスピーカー310と、車両内で迷惑行為が起こったことを示す情報を受信する受信部320と、受信部320に電力を供給する電池330とを備えている。また、これらのスピーカー310、受信部320及び電池330が、板部材340に取り付けられている。受信部320は、電池330からの電力が継続的に供給されることにより、車両内で迷惑行為が生じたときに迷惑行為が起こったことを示す情報を受信することができる。
本実施形態では、スピーカー310は、車両側で用いられている既存の形式のスピーカーがそのまま用いられる。そのため、車両側に接続された配線を介して車両側からの電力がスピーカー310に供給される。
このように構成された警報装置300が搭載された車両において、迷惑行為が発生した場合について説明する。
第1実施形態及び第2実施形態と同様に、迷惑行為が発生したときに本実施形態の警報装置300を用いて周囲に警報を発したいと考えるユーザーは、警報装置300が搭載された車両に乗る際に、予め発信部を所持しておく。ユーザーが例えばスマートフォンのアプリをタップし、迷惑行為が発生したことを示す情報を発信すると、警報装置300に設けられた受信部320に向けて情報が送信される。
受信部320が迷惑行為を受けていることを示す情報を受け取ると、受信部320から制御部(不図示)にその信号が送信される。制御部が、受信部320で受信した信号を受け取ると、その信号に基づいて、制御信号を送出する。本実施形態では、制御部は、スピーカーに向けて音声を発するように制御信号を送出する。スピーカー310は、周囲に向けて注意を喚起するために音声を発する。このように、車両内で迷惑行為が発生したときに、迷惑行為による被害者がスマートフォンから迷惑行為を受けていることを示す情報の送信を行ったことに応じて、スピーカー310から音声を発する。これによって、周囲に対し、迷惑行為が生じていることを報知することができる。
本実施形態では、警報装置300は、既存の放送装置の電源から電力を受け取ることができる。従って、警報装置300に、新たに電源を取り付ける必要が無く、警報装置300の構成を簡易にすることができる。
本実施形態では、受信部320に電力を供給する電池330が設けられているが、スピーカー310から音声を発する際に必要とされる電力は、鉄道車両から受け取っている。従って、スピーカー310から音声を発する際に必要とされる電力のための電源を新たに設ける必要が無く、その分警報装置300の構成を簡易にすることができる。従って、警報装置300の製造コストを少なく抑えることができる。また、新たに電源を設ける必要が無いので、その分警報装置300の構成を省略することができ、その分警報装置300を小型化させることができる。
また、本実施形態の警報装置300では、スピーカー310が、音声によって警報を発するためのスピーカーとしての機能と、車両内の既存の放送用のスピーカーとしての機能とを兼用する。そのため、警報装置300のために専用のスピーカーを新たに増設する必要が無く、その分警報装置300の構成を簡易にすることができる。従って、警報装置300の製造コストを少なく抑えることができる。また、新たにスピーカーを設ける必要が無いので、その分警報装置300の構成を省略することができ、その分警報装置300を小型化させることができる。
また、本実施形態では、警報装置300は、スピーカー310、受信部320、電池330、制御部が、板部材340に取り付けられて構成されている。従って、警報装置300は、スピーカー310、受信部320、電池330、制御部が、板部材340によって1つにまとめられている。つまり、警報装置300は、スピーカー310、受信部320、電池330制御部を、1つのユニットとして備えている。
従って、1つのユニットとしての警報装置300を車両に取り付けることにより、車両に対し、スピーカー310、受信部320、電池330、制御部を、まとめて取り付けることができる。また、車両からこれらの構成を取り外す際には、1つのユニットとしての警報装置300を取り外すだけで、スピーカー310、受信部320、電池330、制御部を、まとめて車両から取り外すことができる。このように、本実施形態では、スピーカー310、受信部320、電池330、制御部を備えた警報装置300ごとを車両に対し交換可能に構成されている。従って、スピーカー310、受信部320、電池330、制御部を備えた警報装置300を車両に取り付けるための構成を簡易にすることができる。
本実施形態では、電車の車両内における既存のスピーカーの取付位置に、警報装置300を取り付けることができる。こうすることにより、元々スピーカーが設置されていた位置に警報装置300を取り付けることになるので、警報装置300をそこに設置するための構成を新たに設ける必要がない。そのため、車両の構成に手を加える必要が無く、車両の構成が簡易なままで済む。従って、警報装置300の取り付けにかかるコストを少なく抑えることができる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係る警報装置について説明する。なお、上記第1実施形態ないし第3実施形態と同様に構成される部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
第1実施形態及び第2実施形態では、警報装置における発光ユニットから発せられる光は、人のいる客室に向けて直接的に照射されている。これに対し第4実施形態においては、発光ユニットから発せられる光は、一旦光を反射させる反射材に反射され、間接光が客室に向けて照射されている。
図8に第4実施形態に係る警報装置400についての断面図を示す。図8には、警報装置400の長さ方向に交差する方向についての断面図が示されている。警報装置400は、鉄道車両の天井470に取り付けられている。
警報装置400は、上部カバー460と、上部カバー460における室内側の面に取り付けられ光を反射させる反射材450とを備えている。本実施形態では、警報装置400の発光ユニットから発せられる光が、反射材450で反射している。反射材450は、発光ユニットの配置されているスペースの上方の位置に取り付けられている。
なお、反射材450は、上部カバー460に取り付けられて設けられているが、反射板450は、鉄道車両の天井470に直接取り付けられてもよい。本実施形態では、反射材450が、上部カバー460の下方に取り付けられている。
警報装置400は、上部カバー460における反射材450の取り付けられた位置から下方に向かって吊り下げるように、反射板450を挟んで上部カバー460に取り付けられている。警報装置400は、上部カバー460から下方に吊り下げられたカバー部材410と、断面が略三角形の枠形の形状を有する取付板420と、反射材450と取付板420との間を接続する接続部材430とを有している。本実施形態では、反射材450は、取付板420と上部カバー460との間に配置されている。
取付板420の一方の面には、発光ユニットにおける照明部が配置されている。本実施形態では、照明部に、LED基板440が配置されている。LED基板440が光を出射することにより、発光ユニットから光が発せられる。取付板420によって囲まれた領域には、複数のスピーカー480によって構成されたスピーカーユニットと回路部が配置されている。回路部には、迷惑行為が生じたことを示す情報を受信する受信部と、受信した信号に基づいて制御信号を送出する制御部も含まれる。
本実施形態の警報装置400は、上述のように構成された警報装置400を有しているので、発光ユニットの照明部から発せられた出射光は、図8に示されるように、上方に向けて出射され、一旦反射材450で反射する。客室内には、発光ユニットで発光され、反射材450で一旦反射した間接光が発せられる。このように、発光ユニットの照明部からの出射光を反射材450もしくは壁面460に向けて反射させ、間接光として室内に照明部からの出射光を照射する。こうすることにより、警報装置400は、間接光によって、迷惑行為が起こったことを周囲に報知する。
本実施形態では、警報装置400は、間接光によって迷惑行為が生じたことを周囲に報知するため、周囲の人に報知による強すぎる印象を与えることを抑えることができる。従って、迷惑行為の被害者が警報装置400を用いて迷惑行為が生じていることを周囲に報知させる際に、報知させるための心理的ハードルを下げることができる。また、照明部から発光された光を一旦反射材で反射させるので、客室にいる人は、照明部から発せられた光を直接見ずに済み、直接光によってまぶしさを感じることを抑えることができる。
本実施形態においても、警報装置400は、警報装置400を取付けた車両と同一車両の車内照明装置の電源から、電力が供給されるように構成されている。警報装置400が、元々鉄道車両で用いられている電源からの電力を用いるので、警報装置400の内部に新たに電源を設ける必要がない。そのため、警報装置400の構成を簡易にすることができ、警報装置400の製造コストを少なく抑えることができる。なお、本実施形態では警報装置400は車内の照明装置の電源から電力が供給されるように構成されているが、電源は既存の車内設備であれば、いずれの電源を使用してもよい。
また、本実施形態においても、警報装置400は、車両内で迷惑行為が起こったことを示す情報を受信する受信部と、迷惑行為が起こったことを周囲に報知する警報を発する警報部としてのスピーカーユニット及び発光ユニットと、制御部とを備えて構成されている。
警報装置400は、受信部、スピーカーユニット、発光ユニット、制御部を、1つのユニットとして備えている。従って、1つのユニットとしての警報装置400を車両に取り付けることにより、車両に対し、受信部、スピーカーユニット、発光ユニット、制御部を、まとめて取り付けることができる。また、車両からこれらの構成を取り外す際には、1つのユニットとしての警報装置400を取り外すだけで、受信部、スピーカーユニット、発光ユニット、制御部を、まとめて車両から取り外すことができる。このように、本実施形態では、受信部、スピーカーユニット、発光ユニット、制御部を備えた警報装置400ごとを鉄道車両に対し交換可能に構成されている。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態に係る警報装置について説明する。なお、上記第1実施形態ないし第4実施形態と同様に構成される部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
図9に第5実施形態に係る警報装置500についての断面図を示す。図9には、警報装置500の長さ方向に交差する方向についての断面図が示されている。警報装置500は、鉄道車両の天井570に取り付けられている。
警報装置500は光及び音声を反射させる反射材550を備えている。本実施形態では、警報装置500の発光ユニットから発せられる光と、スピーカーユニットから発せられる音声とを反射させる反射材550が、上部カバー560における客室の側に取り付けられている。本実施形態では、上部カバー560が鉄道車両の天井570に取り付けられることによって、警報装置500が鉄道車両の天井570に取り付けられている。なお、上部カバー560は、鉄道車両の天井570の一部によって構成されてもよい。天井570の一部が、上部カバー560の代わりに警報装置500を支持するように、警報装置500が構成されていてもよい。
警報装置500における反射材550は、スピーカー530の配置されているスペースの上方の位置に取り付けられている。つまり、本実施形態では、スピーカーユニットのスピーカー530は、反射材550に対向するように配置されている。
警報装置500は、水平方向の2箇所で車両の壁面560から下方に向かって吊り下げられるカバー部材510と、反射材550とカバー部材510との間に収納された円筒状のパイプ部材520とを備えている。カバー部材510は、壁面560に取り付けられ、そこから下方の水平方向の中央部で合流し、ループ状に形成されて、内部にパイプ部材520を収納可能な領域を形成する。パイプ部材520は、内部に、スピーカーユニットと、発光ユニットと、回路部と、カメラとを備えている。
図9には、スピーカーユニットのスピーカー530が配置された断面についての断面図が示されている。図9に示されるように、パイプ部材520の上部には、スピーカー530が配置されている。スピーカー530の配置された断面には、パイプ部材520の上部に2か所に複数のスピーカー530が並んで配置されている。また、パイプ部材520の下部には、カメラ540が取り付けられている。本実施形態では、パイプ部材520の内部には、発光ユニットとスピーカーユニットとカメラ540と回路部が配置されている。回路部には、迷惑行為が生じたことを示す情報を受信する受信部も含まれる。
カバー部材510が車両の天井の反射材550の取り付けられた位置から下方に向かって吊り下げるように、車両の天井に取つけられ、カバー部材510の内部にパイプ部材520が収納されている。従って、パイプ部材520は、カバー部材510によって保護されている。
本実施形態では、スピーカー530は、警報装置500におけるパイプ部材520の上側の位置に、上方に向けて音声を発することができるように、パイプ部材520に取り付けられている。パイプ部材520における長さ方向において、スピーカー530の取り付けられていない部分には発光ユニットが取り付けられている。
また、図9に示されるように、パイプ部材520の下部には、車両内における乗客が乗るスペースを撮影可能なカメラ540が取り付けられている。カメラ540は、パイプ部材520の下方の位置を撮影できるように、下方を向いて取り付けられている。
このように構成された警報装置500によって周囲の人に向けて迷惑行為が生じていることを報知する際には、発光ユニットから光が発せられると共にスピーカーユニットから音声が発せられる。パイプ部材520の上方には、反射材550が設けられている。従って、第4実施形態と同様に、発光ユニットから発せられる光は反射材550で反射する。発光ユニットからの光が一旦反射材で反射して客室の人に向けて発せられるので、客室の内部にいる人は発光ユニットからの光を直接見ることを抑えることができる。本実施形態においても、警報装置500は、間接光によって迷惑行為が生じたことを周囲に報知するため、周囲の人に、報知による強すぎる印象を与えることを抑えることができる。従って、迷惑行為の被害者が警報装置500を用いて迷惑行為が生じていることを周囲に報知させる際に、報知させるための心理的ハードルを下げることができる。また、客室にいる人がまぶしさを感じることを抑えることができる。
また、スピーカーユニットのスピーカー530から出力された音声は、反射材550で反射するように反射材550に向けて発せられる。スピーカー530から発せられる音声は上方へ向かい、一旦反射材550で反射して下方の客室の方へ向かう。客室内にいる人は、迷惑行為が生じていることを音声によっても報知される。スピーカー530から発せられた音声が反射材550で反射してから客室に向かうので、音声が反射材550で拡散されて客室に向けて発せられる。従って、スピーカー530から発せられる音声を、客室内の広い範囲に亘って届かせることができる。
これにより、迷惑行為が生じたときに、迷惑行為が生じていることを示す音声による警報を広い範囲に亘って伝えることができる。そのため、迷惑行為が生じたときに、迷惑行為が生じていることを、周囲の人に向けてより確実に伝えることができる。従って、迷惑行為の加害者に対し、より強い抑止力を与えることができる。
このように、本実施形態では、照明部からの出射光が反射材550で反射した間接光により、鉄道車両内の客室内部が照らされると共に、スピーカー530から発せられた音声が反射材550で反射して客室に向けられて発せられる。従って、光を反射させて間接光を生成すると共に音声を車内の広い範囲に拡散させる構成を簡易な構成で実現することができる。スピーカー530からの音声が車内に広く拡散されるので、迷惑行為が起きたことを、鉄道車両内にいる多くの人に周知させることができる。
また、本実施形態では、警報装置500は、カメラ540を備えている。従って、迷惑行為が生じたときには、警報装置500のカメラによって、迷惑行為が生じている位置を撮影することができる。従って、迷惑行為が発生したときに、そこをカメラ540によって撮影することにより、迷惑行為が生じているときの画像情報を得ることができる。従って、迷惑行為の加害者を追跡する際に、犯人特定のための情報を得ることができる。
また、警報装置500にカメラが取り付けられることにより、カメラが抑止力となる可能性がある。警報装置500にカメラが取り付けられていることが迷惑行為の加害者によって認識されることにより、迷惑行為の加害者が、迷惑行為に及ぶことを躊躇する可能性がある。従って、警報装置500にカメラが取り付けられることにより、迷惑行為の発生そのものを抑制することができる。
本実施形態においても、警報装置500は、車両内で迷惑行為が起こったことを示す情報を受信する受信部と、迷惑行為が起こったことを周囲に報知する警報を発する警報部としてのスピーカーユニット及び発光ユニットとを備えて構成されている。なお、本実施形態では警報装置500は車内の照明装置の電源から電力が供給されるように構成されているが、電源は既存の車内設備であれば、いずれの電源を使用してもよい。
また、本実施形態においても、警報装置500は、警報装置500を取付けた車両と同一車両の車内照明装置から、電力が供給されるように構成されている。警報装置500が、元々鉄道車両で用いられている電源からの電力を用いるので、警報装置500の内部に新たに電源を設ける必要がない。そのため、警報装置500の構成を簡易にすることができ、警報装置500の製造コストを少なく抑えることができる。
警報装置500は、受信部、スピーカーユニット、発光ユニット、制御部を、1つのユニットとして備えている。従って、1つのユニットとしての警報装置500を車両に取り付けることにより、車両に対し、受信部、スピーカーユニット、発光ユニット、制御部を、まとめて取り付けることができる。また、車両からこれらの構成を取り外す際には、1つのユニットとしての警報装置500を取り外すだけで、受信部、スピーカーユニット、発光ユニット、制御部を、まとめて車両から取り外すことができる。このように、本実施形態では、受信部、スピーカーユニット、発光ユニット、制御部を備えた警報装置500ごとを車両に対し交換可能に構成されている。
(別の実施形態)
なお、上記実施形態では、迷惑行為が起こったことを周囲に報知する警報を発する警報部として、音声を発するスピーカーユニット及び光を発する発光ユニットを用いる形態について説明したが、上記実施形態に限定されない。迷惑行為が起こったことを周囲に報知する警報を発する警報部の構成は、他の構成であってもよい。周囲の人に対し注意を喚起するために人の感覚に訴えるものであれば、他の構成が採用されてもよい。
また、本実施形態の警報装置は、鉄道車両に、1両当たりに複数台取り付けられ、例えば1両につき4台の警報装置が取り付けられる。なお、鉄道車両内に取り付けられる警報装置の数としては、4台に限定されず、他の数であってもよい。例えば、5台以上の数の警報装置が搭載されてもよいし、3台以下であってもよく、1台であってもよい。