JP2020083178A - 船外機のステアリング装置 - Google Patents
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Description
特許文献1に開示された船外機のパワーステアリング装置は、パワーユニットがトランサムの外側に位置する左右一対のクランプブラケットの前部に配設されている。パワーユニットのモータが回転することによりピンオン等を介してラックが軸方向に往復動し、リンク機構を介して船外機が操舵されることで操舵荷重が軽減される。
また、本発明は組付け性を向上させるための設計変更を、既存のブラケット装置の構成をベースにすることで改造部分を減らして設計変更に関するコストを削減させる。
以下、添付図面を参照して、本実施形態に係る実施例について説明する。
図1は、船外機1の構成の一例を示す左側面図である。なお、図1を含む以下の図面には、船外機1が船体2に取り付けられた状態を基準として、前側を矢印「前」で示し、その逆を後側とする。また、左側を矢印「左」で示し、その逆を右側とする。また、船外機1の上側を矢印「上」で示し、その逆を下側とする。なお、前側とは、船体2が進行する方向と同じ方向とする。
クランプブラケット30は、トランサム3に締結され、船外機本体10をチルトアップさせたりチルトダウンさせたりするときの固定側となる。なお、チルトアップさせたりチルトダウンさせたりすることをチルト回動というものとする。クランプブラケット30は、左右一対の締結部31R,31Lと、ハウジング51とを有し、締結部31R,31Lとハウジング51とが結合されて一体的に構成される。
締結部31Rと締結部31Lとは、略左右対称な形状であり、ハウジング51を挟んで互いに左右に離れて位置する。締結部31R,31Lは、それぞれ前壁部32と側壁部36とを有する。
また、側壁部36は、挿通孔38よりも後側かつ下側に後述するステアリング用油圧シリンダ104が収容される収容孔39を有する。側面視において、収容孔39は前壁部32の上端の後側に位置する。締結部31Rの収容孔39と締結部31Lの収容孔39とに亘ってステアリング用油圧シリンダ104が架け渡された状態で収容される。
また、側壁部36は、収容孔39よりも下側に、締結部31R,31Lをハウジング51に結合するための結合孔40を有する。本実施例では、複数(例えば6つ)の結合孔40がそれぞれ上下および前後に間隔を空けて形成される。
ハウジング51は、下側に位置する略ブロック状の基端部53と、基端部53の上端の左右からそれぞれ上側に向かって延びる左右一対の支持部54R,54Lとを有する。基端部53と、支持部54R,54Lとによって囲まれた空間には、後述するステアリング用電動モータ102およびステアリング用油圧ポンプ103が収容される。また、支持部54R,54Lは上側にステアリング用油圧シリンダ104が結合される。また、基端部53および支持部54R,54Lはそれぞれ、締結部31R,31Lの側壁部36と対面する側面に結合孔40と連通するボルト孔55を有する(後述する図5、図7を参照)。側壁部36の各結合孔40を通してボルトをボルト孔55に締結することでハウジング51の左右両側に締結部31R,31Lが結合される。このように、ハウジング51に締結部31R,31Lを結合して一体的に構成することで、クランプブラケット30の剛性を向上させることができる。
スイベルブラケット60は、締結部31Rの側壁部36と締結部31Lの側壁部36との間に位置する。スイベルブラケット60は上側部61と後側部63とを有し、上側および後側からハウジング51を覆う形状である。
後側部63は、上側部61の後端から略直交方向に湾曲して連続する左右方向および上下方向に広がる略板状の形状である。後側部63には、略上下方向に貫通する軸孔64が形成され、ステアリングシャフト65が軸線Lt回りに回動可能に挿通される。ステアリングシャフト65は、上端にステアリングブラケット66がスプライン嵌合あるいは溶接によって固定される。
ステアリングブラケット66がステアリングシャフト65の軸線Ltを中心に左右方向に回動すると、ステアリングブラケット66の上側結合部68およびステアリングシャフト65の下端の下側結合部を介して船外機本体10も軸線Ltを中心に回動する。
図5は、ブラケット装置20を後側かつ左側から見た斜視図であり、図2から締結部31Lを除いた図である。図6は、ステアリング用油圧シリンダ104を通過するようにブラケット装置20を水平方向に沿って切断し上側から見た平断面図である。
パワーチルトトリム装置70は、クランプブラケット30とスイベルブラケット60とにより囲まれる空間内に配置される。パワーチルトトリム装置70は、パワーチルトトリム用アクチュエータとして、パワーチルトトリム用電動モータ71、チルト用シリンダ72(図6を参照)、トリム用シリンダ73(図5を参照)を備える。
トリム用シリンダ73は、ピストンロッドが往復運動することで船外機本体10のトリム角度を調整できる。トリム用シリンダ73は、チルト用シリンダ72を挟んだ左右一対で構成される。トリム用シリンダ73はシリンダチューブがスイベルブラケット60側に取り付けられ、ピストンロッドがクランプブラケット30側に位置する。また、図5に示すように、左側のトリム用シリンダ73は、パワーチルトトリム用電動モータ71の下側に位置する。
ステアリング装置100は主に、ステアリング用アクチュエータ101と、ステアリング用アクチュエータ101の駆動力をステアリングブラケット66に伝達する伝達部120とを有する。本実施例では、ステアリング装置100の構成をコンパクトにするために、特にブラケット装置20にステアリング用アクチュエータ101を配置する位置に工夫を施している。
本実施例のステアリング用アクチュエータ101は、ステアリング用電動モータ102、ステアリング用油圧ポンプ103、ステアリング用油圧シリンダ104を備える。なお、ステアリング用電動モータ102およびステアリング用油圧ポンプ103は、ステアリングシャフト65に駆動力を与える駆動力提供部の一例として機能する。
具体的には、ステアリング用油圧ポンプ103は基端部53の上面に固定され、ステアリング用電動モータ102がステアリング用油圧ポンプ103の上面に固定される。すなわち、ステアリング用電動モータ102とステアリング用油圧ポンプ103とは上下に並んだ略上下方向いわゆる縦置きに配置される。図3および図7では、この配置の方向を軸線Lrで示している。この軸線Lrは、図3に示す締結部31R,31Lの締結孔34a,34bの軸線Lhに対して略直交する。したがって、側面視において、ステアリング用電動モータ102およびステアリング用油圧ポンプ103はクランプブラケット30を船体側に締結する方向と略直交する方向に配置される。更に、ステアリング用電動モータ102はモータ中心軸線も同様に略上下方向に沿った方向であり、軸線Lrに沿って配置される。
また、本実施例では、上述したパワーチルトトリム装置70のアクチュエータとしてのパワーチルトトリム用電動モータ71も左右一対の締結孔34aのピッチP1あるいは左右一対の締結孔34bのピッチP2に収まる。したがって、パワーチルトトリム用電動モータ71が締結孔34aに挿通するボルトと干渉するのを抑制することができる。
更に、本実施例では、図6に示すように、パワーチルトトリム用電動モータ71とステアリング用電動モータ102を互いのモータ中心軸線がスイベルシャフト37の軸線Ls方向にずらして配置している。比較的にサイズが大きい電動モータを軸線Ls方向にずらすことで、パワーチルトトリム用電動モータ71をより前側に近接して配置できるために、ブラケット装置20の前後方向のサイズをコンパクトに構成することができる。
ステアリング用油圧シリンダ104は、シリンダチューブ105と、シリンダチューブ105内を往復動するピストン106を有する。図6に示すように、シリンダチューブ105は、締結部31Rの側壁部36と締結部31Lの側壁部36との間に収まる。シリンダチューブ105内には第1室107aと第2室107bとが左右に分かれて形成される。また、シリンダチューブ105の左側面からピストンロッド108が延出する。図2および図6に示すように、ピストンロッド108はクランプブラケット30の締結部31Lの側壁部36の左側面から延出する。ステアリング用油圧シリンダ104は第1室107aに油圧が送られることでピストンロッド108が左側に向かって進出し、第2室107bに油圧が送られることでピストンロッド108が右側に向かって後退する。
第1油路113aおよび第2油路113bは、基端部53の上部から互いに左右に離れる方向に延びた後に、それぞれ支持部54Rおよび支持部54Lに沿って上側に向かって延びるメイン油路114を経由して、更に互いに左右に離れる方向に延びた後に第1室107aおよび第2室107bに繋がる。第1油路113aおよび第2油路113bのメイン油路114は、ステアリング用電動モータ102およびステアリング用油圧ポンプ103を挟み左右に位置し、スイベルシャフト37の軸線Lsに対して略直交する方向、より具体的には略上下方向に沿って延びる。油路112をハウジング51内に形成して外部に露出させないことでハウジング51周辺の構造を簡略化でき、外力や腐食に対する耐久性を向上させることができる。
このように、ステアリング用アクチュエータ101は、油路112を含めてハウジング51に対して一体的に構成されることで剛性を高めることができる。
本実施例の伝達部120は、固定リンク121、回動リンク123、リンクアーム125、スライドシャフト127を備える。
固定リンク121は、締結部31Lの側壁部36から左側に離れて位置し、一端部122aから他端部122bに向かうにしたがって後側かつ下側に傾斜して延出する。固定リンク121の他端部122bはステアリング用油圧シリンダ104の軸線Lcの延長線上に位置し、ピストンロッド108の左端(先端)と結合される。したがって、固定リンク121はピストンロッド108の進出および後退に連動して、左右方向に沿って移動する。一方、固定リンク121の一端部122aは、トランサム3の上端よりも上側に位置し、回動リンク123と連結される。また、固定リンク121は回動リンク123が回動するときのガイドとなるように、固定リンク121の一端部122aが回動リンク123の左右に位置する。
船外機本体10に配置されるECUは、操船者による操舵の指示を受け付けることにより、ステアリング用電動モータ102およびステアリング用油圧ポンプ103を介してステアリング用油圧シリンダ104に油圧を送るように制御する。具体的に、ステアリング用電動モータ102は、ECUによる制御の下、操船者による操舵の指示に応じて第1室107aまたは第2室107bに油圧を送るようにステアリング用油圧ポンプ103を駆動する。
ピストンロッド108の移動は、伝達部120を介してステアリングブラケット66に伝達される。具体的に、ピストンロッド108による左側または右側への移動に応じて、固定リンク121、回動リンク123およびリンクアーム125も連動して左側または右側に移動する。したがって、リンクアーム125に連結されたステアリングブラケット66はリンクアーム125の移動に連動して、平面視でステアリングシャフト65の軸線Ltを中心に左回りまたは右回りに水平方向に回動する。
クランプブラケット30に対してスイベルシャフト37の軸線Lsを中心にスイベルブラケット60がチルト回動する場合に、ステアリングシャフト65に固定されたステアリングブラケット66も同様にチルト回動する。ステアリングブラケット66のチルト回動に伴って、ステアリングブラケット66に連結されたリンクアーム125および回動リンク123も回動しようとする。ここで、上述したように、回動リンク123の一端部124aは固定リンク121の一端部122aと回動可能に連結され、両者の回動軸線はスイベルシャフト37の軸線Lsと一致する。したがって、回動リンク123は固定リンク121に対してスイベルシャフト37の軸線Lsを中心に回動することで、伝達部120によって妨げられずに、クランプブラケット30に対してスイベルブラケット60がチルト回動可能である。
上述した実施例では、船外機1がエンジン12を備える場合について説明したが、この場合に限られず、船外機1は船体2を推進させる装置を備えていればよい。
また、上述した実施例では、ステアリング装置100のステアリング用油圧シリンダ104のピストンロッド108がシリンダチューブ105の左側面から延出する場合について説明したが、シリンダチューブ105の右側面から延出してもよい。この場合には上述した構成に対して左右反転させて、固定リンク121、回動リンク123およびリンクアーム125も右側に配置する。
Claims (6)
- クランプブラケットに対してスイベルシャフトを介してチルト回動するスイベルブラケットにステアリングシャフトが配置され、前記ステアリングシャフトにアクチュエータの駆動力を伝達することで船外機を操舵する船外機のステアリング装置であって、
前記アクチュエータは、
前記ステアリングシャフトに駆動力を提供する駆動力提供部を有し、
前記駆動力提供部は、
前記クランプブラケットに配置されると共に、前記船外機の側面視において前記クランプブラケットの両側の締結部を船体側に締結する方向と略直交する方向に配置されることを特徴とする船外機のステアリング装置。 - 前記アクチュエータは、
前記クランプブラケットに配置され、前記スイベルシャフトの軸線と同方向に往復運動することで前記ステアリングシャフトを回動させる油圧シリンダを有し、
前記駆動力提供部は、
電動モータと前記電動モータにより駆動される油圧ポンプとを有し、前記油圧ポンプからの油圧を前記油圧シリンダに送ることを特徴とする請求項1に記載の船外機のステアリング装置。 - 前記クランプブラケット内に配置されて、前記油圧ポンプからの油圧を前記油圧シリンダに送るための油路を有し、
前記油路は、
前記スイベルシャフトの軸線の方向と略直交する方向に延びていることを特徴とする請求項2に記載の船外機のステアリング装置。 - 前記ステアリングシャフトに結合されるステアリングブラケットと前記油圧シリンダとの間を連結する、リンクアーム、回動リンクおよび固定リンクを有し、
前記回動リンクの一端と前記固定リンクの一端とは、前記スイベルシャフトの軸線上で回動可能に連結され、
前記回動リンクの一端と前記固定リンクの一端とが、前記クランプブラケットが締結されるトランサムよりも上側に位置することを特徴とする請求項2または3に記載の船外機のステアリング装置。 - 前記スイベルブラケットをチルト回動させるためのパワーチルトトリム用アクチュエータが配置され、
前記パワーチルトトリム用アクチュエータおよび前記駆動力提供部は、前記クランプブラケットの一対の締結孔のピッチ内に位置することを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の船外機のステアリング装置。 - ステアリングの操舵角を、前記油圧シリンダの端部に配置されたストロークセンサまたはステアリングブラケットに配置した回転角センサにより検出することを特徴とする請求項2ないし4の何れか1項に記載の船外機のステアリング装置。
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