JP2020082773A - インストルメントパネルリインフォースメント - Google Patents

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太一 板倉
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将章 吉村
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貴士 布目
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Abstract

【課題】インストルメントパネルリインフォースメントにおいて、輸送時における取り扱い性を向上できるとともに、車幅方向に延在する部分の一部を容易に交換できるようにする。【解決手段】インストルメントパネルリインフォースメント100は、第1支持部110と、第2支持部120とを備えている。第1支持部110は、ステアリング機構を支持する。第2支持部120は、車幅方向において第1支持部110と並んで配置され、第1支持部110に着脱可能に連結されている。【選択図】図1

Description

本発明は、インストルメントパネルリインフォースメントに関する。
インストルメントパネルリインフォースメントの構成を開示した先行文献として、特開2014−61776号公報(特許文献1)、特開2013−28337号公報(特許文献2)および特開2006−15880号公報(特許文献3)がある。
特許文献1に記載されたインストルメントパネルリインフォースメントは、軽合金または樹脂複合材料で成形されている。特許文献2に記載されたインストルメントパネルリインフォースメントは、クロスメンバおよびブラケットを有し、クロスメンバおよびブラケットの全てが、マグネシウム合金材料で構成されている。特許文献3に記載されたインストルメントパネルリインフォースメントは、軽合金で構成されている。
特開2014−61776号公報 特開2013−28337号公報 特開2006−15880号公報
従来のインストルメントパネルリインフォースメントにおいては、車幅方向に延在する部材が一体に構成されている。そのため、インストルメントパネルリインフォースメントの輸送時の取り扱い性が悪い。また、インストルメントパネルリインフォースメントにおいて車幅方向に延在する部分の一部を交換することが困難である。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、輸送時における取り扱い性を向上できるとともに、車幅方向に延在する部分の一部を容易に交換することができる、インストルメントパネルリインフォースメントを提供することを目的とする。
本発明に基づくインストルメントパネルリインフォースメントは、車幅方向に延在し、インストルメントパネルに対して車両前後方向の前方の位置にて、両端が車両の側面に固定される。インストルメントパネルリインフォースメントは、第1支持部と、第2支持部とを備えている。第1支持部は、ステアリング機構を支持する。第2支持部は、車幅方向において第1支持部と並んで配置され、第1支持部に着脱可能に連結されている。
本発明の一形態においては、第1支持部の少なくとも一部は、マグネシウムまたはアルミニウムを含む材料で構成されている。
本発明の一形態においては、第1支持部は、ベース部材と、補強部材とを含んでいる。ベース部材は、車幅方向に延在する。補強部材は、ベース部材の車両前後方向における前側に接合されている。ベース部材は、マグネシウムまたはアルミニウムを含む材料で構成されている。補強部材は、鉄で構成されている。
本発明の一形態においては、インストルメントパネルリインフォースメントは、脚部をさらに備えている。脚部は、第1支持部の下側に連結され、上下方向に延在している。脚部は、アルミニウムまたはマグネシウムを含む材料で構成されている。
本発明の一形態においては、第2支持部は、鉄で構成されている。
本発明の一形態においては、第1支持部の少なくとも一部は、多結晶マグネシウム合金で構成されている。多結晶マグネシウム合金は、18.5μm超の粒径の結晶を含まない。
輸送時における取り扱い性を向上できるとともに、車幅方向に延在する部分の一部を容易に交換することができる。
本発明の一実施形態に係るインストルメントパネルリインフォースメントを車両後方側から見た斜視図である。 本発明の一実施形態に係るインストルメントパネルリインフォースメントを車両前方側から見た斜視図である。 本発明の一実施形態に係るインストルメントパネルリインフォースメントを車両後方側から見た正面図である。 図3に示すインストルメントパネルリインフォースメントを、IV−IV線矢印方向から見た断面図である。 図3に示すインストルメントパネルリインフォースメントを、V−V線矢印方向から見た断面図である。 本発明の一実施形態に係るインストルメントパネルリインフォースメントについて、第1支持部と第2支持部との連結が解除された状態を示す斜視図である。 図3に示すインストルメントパネルリインフォースメント100を、VII−VII線矢印方向から見た断面図である。 図3に示すインストルメントパネルリインフォースメントを、VIII−VIII線矢印方向から見た断面図である。 本発明の一実施形態に係るインストルメントパネルリインフォースメントにおいて、ベース部材にて結晶粒径を測定した領域を示すSEM写真である。 本発明の一実施形態の変形例に係るインストルメントパネルリインフォースメントにおいて、ベース部材にて結晶粒径を測定した領域を示すSEM写真である。
以下、本発明の一実施形態に係るインストルメントパネルリインフォースメントについて図面を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
なお、図面においては、車両の内部から見て車両右方および車両左方をそれぞれ矢印X1および矢印X2で示し、車両前方および車両後方をそれぞれ矢印Y1および矢印Y2で示し、車両上方および車両下方をそれぞれ矢印Z1および矢印Z2で示している。車体に取り付けられる前の状態のインストルメントパネルリインフォースメントに対して、また、車体に取り付けられた後の状態のインストルメントパネルリインフォースメントに対して、これらの方向を適用することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るインストルメントパネルリインフォースメントを車両後方側から見た斜視図である。図2は、本発明の一実施形態に係るインストルメントパネルリインフォースメントを車両前方側から見た斜視図である。図3は、本発明の一実施形態に係るインストルメントパネルリインフォースメントを車両後方側から見た正面図である。図1から図3では、車両における、インストルメントパネルリインフォースメント以外の部材は、図示していない。
図1から図3に示すように、本発明の一実施形態に係るインストルメントパネルリインフォースメント100は、車幅方向に延在している。また、インストルメントパネルリインフォースメント100は、インストルメントパネルに対して車両前後方向の前方の位置にて、両端が車両の側面に固定される。
インストルメントパネルリインフォースメント100は、第1支持部110と、第2支持部120と、脚部130とを備えている。第2支持部120は、車幅方向において第1支持部110と並んで配置される。
インストルメントパネルリインフォースメント100は、第1支持部110が運転席側に位置し、かつ、第2支持部120が助手席側に位置するように、車両に固定される。本実施形態に係るインストルメントパネルリインフォースメント100は、車両後方Y2側から見たときに、第1支持部110が車両右方X1側に位置し、第2支持部120が車両左方X2側に位置するように、車両に固定される。
本発明の一実施形態においては、第1支持部110は、ベース部材111と、補強部材112とを含んでいる。
ベース部材111は、車幅方向に延在している。ベース部材111には、第2支持部120側とは反対側の端部において、孔部111dが形成されている。孔部111dにボルトなどの締結具が挿入され、当該締結具によって、ベース部材111が車両右方X1側の車体側面に締結固定される。
図4は、図3に示すインストルメントパネルリインフォースメントを、IV−IV線矢印方向から見た断面図である。図1および図4に示すように、ベース部材111は、後述する下側ステアリングサポート部114より第2支持部120側とは反対側に位置する部分において、板状の部材が車両後方Y2側に凸状に湾曲しつつ、車幅方向に延在するように形成されている。
図4に示すように、ベース部材111は、湾曲部の上端から延出する上方延出部111aと、湾曲部の下端から延出する下方延出部111bとを有している。上方延出部111aおよび下方延出部111bの各々には、車両前後方向に貫通する孔部111cが設けられている。
ベース部材111は、マグネシウムまたはアルミニウムを含む材料で構成される。本実施形態においては、ベース部材111は、マグネシウムを含む材料で構成される。具体的には、ベース部材111は、多結晶マグネシウム合金で構成されている。このように、第1支持部110の少なくとも一部は、マグネシウムまたはアルミニウムを含む材料で構成されている。本実施形態においては、第1支持部110の少なくとも一部は、多結晶マグネシウム合金で構成されている。
図1から図4に示すように、補強部材112は、ベース部材111の車両前後方向における前側に接合されている。具体的には、補強部材112は、ベース部材111において第2支持部120側とは反対側の端部において折れ曲がっており、当該端部の車両右方X1側の端面と、当該端部の車両前方Y1側とを覆うようにベース部材111に接合されている。
図2および図4に示すように、補強部材112の一部は、車両前方Y1側に凸状に湾曲するように形成されている。補強部材112は、湾曲部の上端から延出する上方延出部112aと、湾曲部の下端から延出する下方延出部112bとを有している。
補強部材112の上方延出部112aは、ベース部材111の上方延出部111aの延出方向に沿うように位置している。補強部材112の上方延出部112aは、ベース部材111の上方延出部111aに接合される。また、補強部材112の下方延出部112bは、ベース部材111の下方延出部111bの延出方向に沿うように位置している。補強部材112の下方延出部112bは、ベース部材111の下方延出部111bに接合される。
本実施形態においては、ベース部材111の上方延出部111aおよび下方延出部111bの各々に形成された孔部111cに、凸状部を有する図示しない凸状部材が嵌め合わされている。この凸状部材と、補強部材112とが、抵抗溶接で接合される。これにより、ベース部材111および補強部材112の各々の上方延出部が互いに接合される。また、ベース部材111および補強部材112の各々の下方延出部が、互いに接合される。
なお、ベース部材111および補強部材112を互いに接合する方法は、抵抗溶接に限定されない。ベース部材111および補強部材112の各々が同一の材料で構成されている場合には、補強部材112の孔部111cに対応する位置に孔部を設け、ベース部材111側から孔部111cおよび補強部材112の孔部に凸形状を有するリベットを挿通し、リベットをかしめることによりベース部材111と補強部材112とを互いに接合してもよい。
図2に示すように、補強部材112は、孔部112dを有している。また、図1および図2に示すように、補強部材112の孔部112dは、車両後方Y2側から見たときに、ベース部材111の孔部111dと略一致するように位置している。補強部材112は、孔部111dおよび孔部112dに挿入されたボルトなどの締結部材によって、ベース部材111とともに、車体に固定される。
補強部材112は、鉄、アルミニウム、またはマグネシウムを含む材料で構成される。本実施形態において、補強部材112は、鉄で構成されている。なお、補強部材112がベース部材111と同一の材料で構成される場合には、補強部材112は、ベース部材111と一体的に成形されてもよい。
図1から図3に示すように、ベース部材111は、第2支持部120側に位置する端部である第1連結部113において、第2支持部120および後述する脚部130の各々と、着脱可能に連結されている。第1連結部113は、車幅方向に直交する直交面を有している。
本実施形態においては、車幅方向に貫通するように第1連結部113の直交面に設けられた孔部に、連結部材113aが挿入されている。連結部材113aによって、ベース部材111と第2支持部120とが着脱可能に連結されている。本実施形態において、連結部材113aはボルトであるが、第1支持部110と第2支持部120とが着脱可能に連結されていれば、連結部材113aはボルトに限定されない。また、第1支持部110と第2支持部120とが着脱可能に連結されていればよく、当該連結方法は締結に限られない。
図5は、図3に示すインストルメントパネルリインフォースメントを、V−V線矢印方向から見た断面図である。図5に示すように、第1連結部113は、ベース部材111の延在方向に対して垂直な方向から見たときに、車両後方Y2側に開放したE字状の断面形状を有している。第1連結部113は、第1連結部113の上下方向の中央において車両後方Y2側に向けて延在するリブ113bを有する。
この構成により、第1連結部113は、リブ113bにより強度が維持されつつ、車両後方Y2側の開放した空間にて、連結部材113aの取り付けおよび取り外しが可能となる。このように、第2支持部120は、第1支持部110に着脱可能に連結される。
図1から図3に示すように、ベース部材111は、車幅方向において第1連結部113に隣接する位置に、下側ステアリングサポート部114を有している。下側ステアリングサポート部114には、取付ボルト114aが固定されている。取付ボルト114aは車両下方Z2側に向かって延在している。取付ボルト114aにより、下側ステアリングサポート部114にステアリング機構が取り付けられる。このようにして、第1支持部110は、ステアリング機構を支持する。
本実施形態においては、下側ステアリングサポート部114は、ベース部材111の一部として一体に形成されている。これにより、下側ステアリングサポート部114をベース部材111に取り付けるための締結部材が不要となる。これにより、インストルメントパネルリインフォースメント100の部品点数を削減するとともに、インストルメントパネルリインフォースメント100を軽量化することができる。
図1から図3に示すように、下側ステアリングサポート部114の車両前方Y1側に、前側ステアリングサポート部115が取り付けられている。下側ステアリングサポート部114および前側ステアリングサポート部115の各々の上面には、図示しない上側ステアリングサポート部が取り付けられる。また、前側ステアリングサポート部115の車両前方Y2側の端部は、車体に接合される。
本実施形態において、前側ステアリングサポート部115は、ベース部材111とは異なる部材で構成されている。前側ステアリングサポート部115は、鉄で構成されている。これにより、車両前方Y1側からインストルメントパネルリインフォースメント100に対してステアリング機構が取り付けられた位置に衝撃が加わった場合に、鉄で構成された前側ステアリングサポート部115が、衝撃によって延びて変形することにより、衝撃を吸収することができる。
なお、前側ステアリングサポート部115は、ベース部材111とともに同一の部材で構成されていてもよい。また、前側ステアリングサポート部115は、アルミニウムまたはマグネシウムを含む材料で構成されていてもよい。
図1および図2に示すように、ベース部材111の車幅方向の略中央部において、ベース部材111の車両前方Y1側には、中央補強部116が接合されている。中央補強部116は、中央補強部116の車両前方Y1側に位置する面において、車体に接合されている。
本実施形態において、中央補強部116は、ベース部材111とは異なる部材で構成されている。中央補強部116は、鉄で構成されている。これにより、車両前方Y1側からインストルメントパネルリインフォースメント100に対して、第1支持部110の車幅方向における略中央の位置に衝撃が加わった場合に、鉄で構成された中央補強部116が、衝撃によって延びて変形することにより、衝撃を吸収することができる。
なお、中央補強部116は、ベース部材とともに同一の部材で構成されていてもよい。また、中央補強部116は、アルミニウムまたはマグネシウムを含む材料で構成されていてもよい。
図1から図3に示すように、ベース部材111の車幅方向の略中央部において、ベース部材111の車両後方Y2側には、側方脚部117が取り付けられている。側方脚部117の上端部117aは、ベース部材111に接合されている。側方脚部117の上端部117aは、下側ステアリングサポート部114に対して第2支持部120側とは反対側に位置している。
側方脚部117は、第2支持部120側とは反対側の車両の側部に向かって、斜め下方に延在している。側方脚部117の下端部117bは、車両の側部に接合されている。
本実施形態において、側方脚部117は、鉄で構成されている。なお、側方脚部117は、ベース部材111とともに同一の部材で構成されていてもよい。また、側方脚部117は、アルミニウムまたはマグネシウムを含む材料で構成されていてもよい。
図1から図3に示すように、第2支持部120は、車幅方向に延在する。第2支持部120は、第1支持部110側とは反対側の端部に位置する取付部121において、車体の側部に固定されている。
第2支持部120は、第1支持部110側の端部に位置する第2連結部122において、第1支持部110の第1連結部113に、着脱可能に連結されている。
図6は、本発明の一実施形態に係るインストルメントパネルリインフォースメントについて、第1支持部と第2支持部との連結が解除された状態を示す斜視図である。図6に示すように、第2支持部120には、第2連結部122の第1支持部110側を向く面に複数の雌ねじ122aが形成されている。これらの雌ねじ122aの各々と、連結部材113aとを締結することにより、第1支持部110と第2支持部120とが互いに連結される。
図1、図2および図6に示すように、第2支持部120には、第2連結部122から車両前方Y1側に向かって延在する第1前方支持部122bが設けられている。第1前方支持部122bは、第1前方支持部122bの車両前方Y1側の端部において、車体と固定される。
第2支持部120には、第2支持部120の車幅方向における略中央部から車両前方Y1側に向かって延在する第2前方支持部123が設けられている。第2前方支持部123は、第2前方支持部123の車両前方Y1側の端部において、車体と固定される。
第2支持部120には、第2連結部122と第2前方支持部123との間において、複数の吊下部124が設けられている。吊下部124には、機能部品が吊り下げられる。機能部品は、たとえばエアコンである。
本実施形態においては、第2支持部120は、鉄で構成されている。すなわち、本実施形態においては、取付部121、第2連結部122、第1前方支持部122b、第2前方支持部123および吊下部124の各々が、鉄で構成されている。
図1から図3および図5に示すように、本実施形態においては、脚部130は、第1支持部110の下側に連結され、上下方向に延在している。図3に示すように、脚部130を車両後方Y2側からみたときに、脚部130の横幅は、上側端部から下側端部にかけて次第に狭くなっている。
脚部130は、上側脚部131と、上側脚部131の下側において上側脚部131と連続する下側脚部132とを有している。図5に示すように、上側脚部131の上端面と、第1支持部110におけるベース部材111の第1連結部113の下端面とが、連結部材133によって互いに固定されている。本実施形態において、連結部材133は、ボルトである。連結部材133は、ボルトに限定されない。また、第1支持部110と脚部130との連結方法は、締結に限られない。
図7は、図3に示すインストルメントパネルリインフォースメント100を、VII−VII線矢印方向から見た断面図である。図7には、上側脚部131の延在方向に対する垂直な断面が示されている。
図3、図5および図7に示すように、上側脚部131は、上側脚部131の延在方向に対して垂直な断面において略E字状の断面形状を有するように構成されている。上側脚部131は、車両の前後方向の中央に位置するリブ131aを有する。これにより、上側脚部131の軽量化を図りつつ、上側脚部131の強度を確保することができる。
図8は、図3に示すインストルメントパネルリインフォースメントを、VIII−VIII線矢印方向から見た断面図である。図8には、下側脚部132の延在方向に対する垂直な断面が示されている。
図8に示すように、下側脚部132は、孔部132aを有している。下側脚部132は、孔部132aに挿入されたボルトなどの締結部材によって、車体の下側部分に固定される。
本実施形態において、下側脚部132は、下側脚部132の延在方向に対して垂直な断面において略C字状の断面形状を有するように構成されている。下側脚部132の延在長さは、上側脚部131の延在長さより短い。
ステアリング機構から第1支持部110に下向きの荷重が作用したとき、下端において車体に接合されている脚部130が、下側から第1支持部110を支持することにより、インストルメントパネルリインフォースメント100が下向きに変形することを抑制することができる。
脚部130は、アルミニウムまたはマグネシウムを含む材料で構成されている。本実施形態においては、脚部130は、アルミニウム合金で構成されている。
ここで、本発明の実施形態に係るインストルメントパネルリインフォースメント100における、第1支持部110のベース部材111の製造方法について説明する。
マグネシウム合金で構成される本実施形態のベース部材111は、射出成形により形成され、具体的には、チクソモールディングにより形成される。チクソモールディングにおいては、まず、マグネシウム合金を切削することにより形成したマグネシウムチップなどの原料チップを、射出成形機のシリンダに投入する。次に、シリンダにおいて原料チップを圧縮しつつ加熱する。シリンダ先端部において加熱された原料チップが溶解し、溶融状態のマグネシウム合金となる。この溶融状態のマグネシウム合金が、シリンダ先端部から金型へ射出成形される。このようにして溶融状態のマグネシウム合金は、大気に触れることなく成形される。
本実施形態においては、チクソモールディングによってベース部材111を成形することにより、二酸化炭素の発生を抑制することができる。また、成形に必要な溶湯量を少なくできるため、原料費を低減して廉価にベース部材111を形成することができる。さらに、チクソモールディングによって寸法精度が良好な成形品が得られるため、射出成形によって孔部を設けることにより、射出成形後に機械加工にて孔部を設ける工程を不要とすることができる。
本実施形態においては、シリンダ先端部に位置している溶融状態のマグネシウム合金の温度は、600℃以上630℃以下の範囲に維持される。すなわち、本実施形態におけるベース部材111の成形温度は、600℃以上630℃以下である。これにより、比較的低い温度でベース部材111を成形するため、マグネシウム合金の結晶粒径を比較的小さくして、ベース部材111の強度を高めることができる。
次に、本実施形態において、マグネシウム合金で構成されるベース部材111の結晶粒径を測定した実験例について説明する。
ベース部材111を構成するマグネシウム合金の結晶粒径は、後方散乱電子回折法(EBSD:Electron BackScatter Diffraction)によって測定した。
図9は、本発明の一実施形態に係るインストルメントパネルリインフォースメントにおいて、ベース部材にて結晶粒径を測定した領域を示すSEM写真である。本実施形態においては、ベース部材111について、横の長さが250μmかつ縦の長さが200μmの矩形状の領域に存在する複数の結晶粒について、結晶粒径を測定した。なお、図9において、黒線で囲まれた各領域が、1つの結晶粒である。測定した結晶粒の個数は、428個であった。
上記測定方法により測定したベース部材111を構成する多結晶マグネシウム合金の結晶粒径は、10.5μm以上18.5μm以下の範囲内であった。
このように、本発明の一実施形態においては、ベース部材111を構成する多結晶マグネシウム合金は、10.5μm未満の粒径の結晶と、18.5μm超の粒径の結晶とを含まない。すなわち、第1支持部110の少なくとも一部は、18.5μm超の粒径の結晶を含まない多結晶マグネシウム合金で構成されている。
本発明の一実施形態に係るインストルメントパネルリインフォースメント100においては、第1支持部110は、ステアリング機構を支持する。第2支持部120は、車幅方向において第1支持部110と並んで配置され、第1支持部110に着脱可能に連結されている。
この構成により、インストルメントパネルリインフォースメント100の輸送時には、第1支持部110と第2支持部120とを脱離して輸送することにより取り扱い性を向上できるとともに、第1支持部110と第2支持部120とが着脱可能に構成されていることにより、車幅方向に延在する部分の一部を容易に交換することができる。
本発明の一実施形態に係るインストルメントパネルリインフォースメント100においては、第1支持部110の少なくとも一部は、マグネシウムまたはアルミニウムを含む材料で構成されている。
マグネシウムおよびアルミニウムの各々は、鉄と比較して比重が小さい。そのため、上記の構成により、第1支持部110の全てが鉄を含む材料で構成された場合と比較して、第1支持部110を軽量化することができる。また、マグネシウムおよびアルミニウムの各々は、鉄と比較して重量比強度が高い。そのため、上記の構成により、第1支持部110に支持されたステアリング機構において、ステアリングの操舵感を向上させることができる。
なお、第1支持部110は、マグネシウムまたはアルミニウムを含む材料以外の金属で構成されていてもよい。
本発明の一実施形態に係るインストルメントパネルリインフォースメント100においては、第1支持部110は、ベース部材111と、補強部材112とを含んでいる。ベース部材111は、車幅方向に延在する。補強部材112は、ベース部材111の車両前後方向における前側に接合されている。ベース部材111は、マグネシウムまたはアルミニウムを含む材料で構成されている。補強部材112は、鉄で構成されている。
鉄は、マグネシウムおよびアルミニウムの各々より、曲げ剛性が高く、延性に富む。このため、車両前方側からインストルメントパネルリインフォースメント100に対して衝撃が加わった場合には、上記の構成により、鉄で構成された補強部材112が、衝撃によって延びて変形することによって衝撃を吸収する。また、マグネシウムおよびアルミニウムの各々は、鉄より衝撃強度が大きい。このため、マグネシウムまたはアルミニウムを含む材料で構成されたベース部材111によって、第1支持部110が車両後方Y2側すなわち運転手側に向かって湾曲することを抑制することができる。このようにして、本実施形態に係るインストルメントパネルリインフォースメント100は、上記の構成により、車両の衝突安全性を向上させることができる。
なお、補強部材112は、鉄以外の金属で構成されていてもよい。また、補強部材112は、ベース部材111と同一の材料で構成されていてもよい。
本発明の一実施形態に係るインストルメントパネルリインフォースメント100においては、脚部130は、第1支持部110の下側に連結され、上下方向に延在している。脚部130は、アルミニウムまたはマグネシウムを含む材料で構成されている。
脚部130が、鉄より重量比強度の高いアルミニウムまたはマグネシウムを含む材料で構成されていることにより、脚部130の軽量化を図りつつ、ステアリング機構から第1支持部110に下向きの荷重が作用したときにインストルメントパネルリインフォースメント100が下向きに変形することを抑制することができる。なお、脚部130は、アルミニウムまたはマグネシウムを含む材料以外の金属で構成されていてもよい。
本発明の一実施形態に係るインストルメントパネルリインフォースメント100においては、第2支持部120は、鉄で構成されている。
この構成により、エアコンなどの機能部品が第2支持部120に吊り下げられるように取り付けられた場合に、鉄は曲げ剛性が高いため、第2支持部120が機能部品の重さによって下側に湾曲することを抑制することができる。なお、第2支持部120は、鉄以外の金属で構成されていてもよい。
本発明の一実施形態に係るインストルメントパネルリインフォースメント100においては、第1支持部110の少なくとも一部は、多結晶マグネシウム合金で構成されている。多結晶マグネシウム合金は、18.5μm超の粒径の結晶を含まない。すなわち、本実施形態においては、第1支持部110の少なくとも一部が、比較的小さい粒径の結晶のみを含む多結晶マグネシウム合金で構成される。
ここで、多結晶金属においては、以下の式(1)に示すホール・ペッチの式が経験的に成り立つことが知られている。
dは平均結晶粒径、σyは降伏応力、σfは0.2%耐力、kは金属の種類毎に定まる材料定数である。すなわち、結晶粒径が小さいほど強度が高くなる。したがって、本実施形態においては、比較的小さい粒径の結晶のみを含む多結晶マグネシウム合金でベース部材111が構成される上記の構成により、インストルメントパネルリインフォースメント100の強度を向上させることができる。
なお、第1支持部110の少なくとも一部は、マグネシウム合金より重量比強度の高いアルミニウム合金で構成されていてもよい。
なお、第1支持部110のベース部材111の製造方法は、チクソモールド法に限定されない。ベース部材は、チクソモールド法以外の方法、たとえばダイカスト法を用いて成形されてもよい。ベース部材をダイカスト法を用いて成形した場合、ベース部材を構成する多結晶マグネシウムの結晶粒径は、チクソモールド法で成形した場合とは異なる。以下、本発明の一実施形態の変形例に係るインストルメントパネルリインフォースメントの製造方法について説明する。
本発明の一実施形態の変形例に係るインストルメントパネルリインフォースメントにおいては、ベース部材がダイカスト法によって成形されたマグネシウム合金で構成されている。ダイカスト法とは、溶融した金属材料を金型に圧入する鋳造法である。
本変形例においては、溶融したマグネシウム合金を金型に圧入する際の温度が、660℃以上670℃以下の範囲に維持される。すなわち、本変形例に係るベース部材の成形温度は、660以上670℃以下である。当該成形温度は、本発明の一実施形態におけるチクソモールド法の成形温度より高い。
次に、本変形例に係るマグネシウム合金で構成されるベース部材の結晶粒径を測定した実験例について説明する。
変形例のベース部材を構成するマグネシウム合金の結晶粒径を、本発明の一実施形態のベース部材を構成するマグネシウム合金の結晶粒径と同様に、EBSD法で測定した。
図10は、本発明の一実施形態の変形例に係るインストルメントパネルリインフォースメントにおいて、ベース部材にて結晶粒径を測定した領域を示すSEM写真である。本変形例においては、ベース部材について、横の長さが250μmかつ縦の長さが200μmの矩形状の領域に存在する複数の結晶粒について、結晶粒径を測定した。なお、図10において、黒線で囲まれた各領域が、1つの結晶粒である。測定した結晶粒の個数は、487個であった。
図9および図10に示すように、本変形例に係るベース部材を構成する多結晶マグネシウム合金の結晶粒においては、比較的結晶粒径が大きいものが含まれていることがわかる。
本変形例に係るベース部材111を構成する多結晶マグネシウム合金の結晶粒径は、7.0μm以上35μm以下の範囲内であった。すなわち、本変形例に係るベース部材は、本発明の一実施形態に係るベース部材111とは異なり、18.5μm超の比較的大きな粒径の結晶を含んでいた。
このため、上記式(1)で示すホール・ペッチの式により、本発明の一実施形態においてチクソモールド法で成形されたベース部材111は、本変形例においてダイカスト法で成形されたベース部材より強度が高いものとなる。
また、本発明の一実施形態においてチクソモールド法で成形されたベース部材111は、本変形例においてダイカスト法で成形されたベース部材と比較して、多結晶マグネシウム合金の結晶粒径のばらつきが少ない。このため、本発明の一実施形態においてチクソモールド法で成形されたベース部材111は、強度のばらつきを少なくすることができ、インストルメントパネルリインフォースメントの特性をより安定させることができる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
100 インストルメントパネルリインフォースメント、110 第1支持部、111 ベース部材、111a,112a 上方延出部、111b,112b 下方延出部、111c,111d,112d,132a 孔部、112 補強部材、113 第1連結部、113a,133 連結部材、113b,131a リブ、114 下側ステアリングサポート部、114a 取付ボルト、115 前側ステアリングサポート部、116 中央補強部、117 側方脚部、117a 上端部、117b 下端部、120 第2支持部、121 取付部、122 第2連結部、122a 雌ねじ、122b 第1前方支持部、123 第2前方支持部、124 下部、130 脚部、131 上側脚部、132 下側脚部。

Claims (6)

  1. 車幅方向に延在し、インストルメントパネルに対して車両前後方向の前方の位置にて、両端が車両の側面に固定される、インストルメントパネルリインフォースメントであって、
    ステアリング機構を支持する第1支持部と、
    前記車幅方向において前記第1支持部と並んで配置され、前記第1支持部に着脱可能に連結された第2支持部とを備える、インストルメントパネルリインフォースメント。
  2. 前記第1支持部の少なくとも一部は、マグネシウムまたはアルミニウムを含む材料で構成されている、請求項1に記載のインストルメントパネルリインフォースメント。
  3. 前記第1支持部は、前記車幅方向に延在するベース部材と、該ベース部材の前記車両前後方向における前側に接合される補強部材とを含み、
    前記ベース部材は、前記マグネシウムまたはアルミニウムを含む材料で構成されており、
    前記補強部材は、鉄で構成されている、請求項2に記載のインストルメントパネルリインフォースメント。
  4. 前記第1支持部の下側に連結され、上下方向に延在する脚部をさらに備え、
    前記脚部は、アルミニウムまたはマグネシウムを含む材料で構成されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のインストルメントパネルリインフォースメント。
  5. 前記第2支持部は、鉄で構成されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のインストルメントパネルリインフォースメント。
  6. 前記第1支持部の少なくとも一部は、多結晶マグネシウム合金で構成されており、
    前記多結晶マグネシウム合金は、18.5μm超の粒径の結晶を含まない、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のインストルメントパネルリインフォースメント。
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