JP2020082191A - 鋼の連続鋳造用浸漬ノズル - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、アルミナ付着防止効果の高い鋼の連続鋳造用浸漬ノズルを提供することにある。【解決手段】本発明の鋼の連続鋳造用浸漬ノズルは、少なくとも溶鋼と接するノズル稼働面の一部または全部が、ジルコン酸カルシウム系原料55〜80質量%、マグネシア−アルミナ質スピネル原料5〜15質量%、アルミナ質原料5〜20質量%、カーボン質原料5〜35質量%からなる耐火材料から構成されることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、鋼の連続鋳造工程に使用される浸漬ノズルに関するものである。
鋼の連続鋳造において、溶鋼をタンディッシュからモールドへ導入するため、耐火物から構成される連続鋳造用浸漬ノズル(以下、「ノズル」と略称することもある)が用いられている。ノズルを構成する耐火物は、通常、アルミナ、シリカおよびジルコニアなどの酸化物と、カーボンからなる複合材料である。酸化物は、骨材の部分を構成し、カーボンは、ノズルの耐スポーリング性を確保する役割を果たす。しかしながら、このような耐火物で構成される浸漬ノズルをAlキルド鋼、特に、Ti、REM(希土類)やZrなどを含有するAlキルド鋼種の鋳造に使用する際、溶鋼と接するノズルの稼働面にはアルミナ付着物が形成され、ノズル内孔が閉塞する問題が生じる。これは、連続鋳造の生産性を低下させ、また、操業の安定性および鋼の品質を悪化させるため、アルミナ付着物の形成を防止することが非常に重要である。
ノズルへのアルミナ付着を防止するため、溶鋼ヘアルゴンなどの不活性ガスを吹き込む方法が広く採用されている。しかしながら、この方法は、鋼鋳片に気泡欠陥を発生させやすい問題がある。それゆえ、ノズルのアルミナ付着を防止するため、ノズルを構成する耐火物についての検討が従来からなされている。ここで、「ノズルを構成する耐火材料をアルミナ付着物と反応させて低融点の液相を生成させ、この液相が溶鋼の流れに流出していくと、アルミナ付着は生じなくなる」という考え方が従来から知られている。この考え方に対応する耐火材料の成分として、一般的にカルシアが考えられている。カルシアは連続鋳造の際に、溶鋼温度でアルミナ付着物と反応して、低融点の液相を生成させる。しかし、カルシア単体は,水和(または消化と称する)しやすいので、耐火原料としての適用が困難である。それゆえ、耐水和性の高いカルシア含有の化合物であるジルコン酸カルシウム(CaZrO)の適用が提案されている。
例えば、特許文献1には、鋼の連続鋳造用浸漬ノズルにおいて、内孔部壁面、吐出孔壁面および少なくともパウダーライン部に至るまでの本体下部側の外壁面を、10〜50wt%のC、15〜30wt%のCaO、35〜65wt%のZrOを含む組成の耐火物原料から得られる耐火物で構成したことを特徴とする連続鋳造用浸漬ノズルが開示されている。また、特許文献1には、前記耐火物の耐消化性を考慮すると、電融したZrO−CaO原料を使用するが望ましく、このようにするとCaO源がすべてCaZrOの形で供給されることも記載されている。
また,特許文献2には,少なくとも溶鋼と接触する内孔表層部が鉱物組成としてCaO・ZrOを主成分とするカルシウムジルコネイト40〜89重量%、黒鉛10〜35重量%、そして鉱物組成としてCaO・SiOを主成分とするカルシウムシリケート1〜25%からなることを特徴とする連続鋳造用ノズルが開示されている。
さらに、特許文献3には、溶鋼と接触する内孔面、吐出孔面および吐出孔端上部外側面を、ZrO−CaO−Cからなる耐火物層によって構成したことを特徴とする連続鋳造用浸漬ノズル(請求項1);前記ZrO−CaO−Cからなる耐火物層は、40から85wt%の範囲内のZrOクリンカーと、10から30wt%の範囲内の黒鉛と、1から15wt%の範囲内のSiOおよび/またはMgOとからなり,前記ZrOクリンカーは、平均粒径が44μm以下で、ZrO100wt%に対して3から35wt%の範囲内のCaOを含有しており、前記SiOおよびMgOの平均粒径は20μm以下である、前記連続鋳造用浸漬ノズル(請求項4)が開示されている。
また、特許文献4には、ノズル本体、スラグライン部、溶鋼通過部及び浸漬部から構成される連続鋳造用浸漬ノズルであって、少なくとも溶鋼通過部及び/または浸漬部が、MgO:0.5〜10質量%、ZrO:50〜99質量%、CaO、Y及びCeOの合計量:0〜10質量%及びC:0.5〜40質量%の化学組成を有するZrO−MgO−C質耐火材料からなる連続鋳造用浸漬ノズル(請求項1);前記連続鋳造用浸漬ノズルの製造方法において、少なくとも溶鋼通過部及び/または浸漬部の一部を構成するZrO−MgO−C質耐火材料が少なくともMgO含有原料、ZrO含有原料及びC含有原料から構成され、前記MgO含有原料及び/またはZrO含有原料の一部または全量として、MgO含有ZrO原料を使用することを特徴とする連続鋳造用浸漬ノズルの製造方法(請求項4);粒度が0.1mm以上のZrO含有原料を5〜80質量%使用し、且つ粒度が0.1mm以上のZrO含有原料中のMgO含有ZrO原料が20質量%以上である、前記連続鋳造用浸漬ノズルの製造方法(請求項6)が開示されている。また、特許文献4の[0035]段落には、ZrO−MgO−C質耐火材料を所定の形状に成形後、非酸化性雰囲気中500〜1300℃の温度範囲で焼成することも記載されている。
特開平3−138054号公報 特開平3−221249号公報 特開平5−57410号公報 特開2005−152928号公報
しかしながら、特許文献1〜4に開示されているようなジルコニア−カルシア−カーボン質またはジルコニア−マグネシア−カーボン質のノズルは、後述のように、アルミナ付着を十分に防止することができないものであった。
したがって、本発明の目的は、アルミナ付着防止効果の高いノズルを提供することにある。
本発明者らは、実機で使用されているノズル内孔体が、特許文献1〜3に開示されているようなジルコニア−カルシア−カーボン材質より構成されるノズルについて系統的に調査を行ったところ、いずれのノズルでも、内孔体の稼働面に多量のアルミナ付着物が生成していることがわかった。なお、鋳造した溶鋼の温度が高いほど(例えば、1520℃以上)、また鋳造速度が速いほど(例えば,1.0m/分以上)条件では、アルミナ付着物の量がさらに多くなることもわかった。すなわち、慣用のジルコニア−カルシア−カーボン質耐火材料は、アルミナ付着防止効果が高くないといえるものであった。
これらの使用後ノズルの内孔体の微組織を観察と分析したところ、ジルコニア−カルシア−カーボン質耐火材料の主組成であるジルコン酸カルシウム(CaZrO)原料の粒の周りには、この粒を覆う炭化ジルコニウム(ZrC)層が形成されていることが認められた。
次に、種々の組成を有するジルコニア−カルシア−カーボン質耐火材料と、溶融Al含有鋼との反応について基礎実験調査を行ったところ、ジルコニア−カルシア−カーボン質耐火材料に、マグネシア−アルミナ質スピネルおよびアルミナを同時に含有させると、耐火材料のアルミナ付着防止効果が大幅に向上することが判明した。
さらに、この原因を究明するための検討を行ったところ、次のことを推定できた:
ジルコン酸カルシウム(CaZrO)原料の粒の周りにZrC層が生成すると、粒内のCaO成分は粒の外側へ移動せず、アルミナ付着物と反応できなくなるため、ジルコニア−カルシア−カーボン質耐火材料のアルミナ付着防止効果は低下する。
ジルコニア−カルシア−カーボン質耐火材料におけるZrC層の生成は、CaZrO粒内のZrOと外側のカーボンおよびCOガスとの反応によるものである。すなわち、
ZrO(s)+3C(c)→ZrC(s)+2CO(g) (1)
ZrO(s)+4CO(g)→ZrC(s)+3CO(g) (2)
温度が高いほど、各反応相の拡散が速いため、ZrCの生成が速くなる。また、鋳造速度が速いほど、溶鋼の流れが速く、生成ガス(COなど)の溶鋼への溶解が加速するので、ZrCの生成が速くなる。これらによって、ジルコニア−カルシア−カーボン質耐火材料のアルミナ付着防止効果は低下する。
一方、ジルコン酸カルシウム(CaZrO)、マグネシア−アルミナ質スピネルおよびアルミナが共存すると、高温域でジルコン酸カルシウム粒の全周にCaO−Al−MgO−ZrO系溶融相が速やかに形成される。この溶融相中のZrOは、カーボンとの反応性が低いため、ZrCへ変化しない。なお、ジルコン酸カルシウム中のZrOも、CaO−Al−MgO−ZrO系溶融相の存在によってカーボンおよびCOガスと接触しなくなり、ZrCへ変化しない。溶融相中の他の成分(CaO、Al、MgO)も、カーボンとの反応性が低い。したがって、これら他の成分の溶融相は、高温で安定である。
溶鋼からのアルミナがノズルに付着すると、ノズル中の溶融相は、アルミナ付着物と反応する。また、ジルコン酸カルシウムも、ノズル中の溶融相を介してアルミナ付着物と反応する。これらによって、アルミナ付着物の表面に融点の低い液相(溶融相)が生成するため、アルミナ付着物が溶鋼流に流出し、その結果、アルミナ付着物が成長せず、ノズル閉塞も生じなくなる。
さらに、CaO−Al−MgO−ZrO系溶融相は、十分高い粘度を持つため、CaO−Al−MgO−ZrO系溶融相を含むノズルの稼働面の全体が溶鋼へ流失することはない。したがって、ジルコン酸カルシウム(CaZrO)、マグネシア−アルミナ質スピネルおよびアルミナが共存する耐火材料は、アルミナ付着防止効果が長時間維持できる。
また、特許文献4に開示されているノズルは、ノズルにアルミナ付着現象を生じない線材鋼のような鋼種の鋳造時に、ノズルのZrO−C質耐火材料から溶鋼へZrO介在物の発生を防止することを目的とするものであり、ZrO−C質耐火材料中のZrO原料の安定化剤としてCaOを配合できることが開示されているが、その配合量は最大でも10質量%である。また、ZrOとCとの反応によるZrCの生成を抑制するために、MgOを配合し、ZrOとCとの反応より先にMgOとCを反応させてノズル内部のCOガス分圧を上昇させてZrCの生成を抑制すると共に、ノズルの稼働面にMgO緻密層を生成させるものである。しかしながら、MgOを配合するのみでは、ZrOとCとの反応によるZrCの生成を十分に抑制することはできず、また、溶鋼からのAlと反応するZrO・CaO中のCaO量が少なく、アルミナ付着防止効果を充分に得ることができないものであり、また、ノズルの稼働面に生成されるMgO緻密層もアルミナ付着防止効果に影響を与えるものである。
本発明者らは、以上の知見に基づき本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の鋼の連続鋳造用浸漬ノズルは、少なくとも溶鋼と接するノズル稼働面の一部または全部が、ジルコン酸カルシウム系原料55〜80質量%、マグネシア−アルミナ質スピネル原料5〜15質量%、アルミナ質原料5〜20質量%、カーボン質原料5〜35質量%からなる耐火材料から構成されることを特徴とする。
また、本発明の鋼の連続鋳造用浸漬ノズルは、さらに、SiO、MgO、CrおよびZrOからなる他の酸化物;SiCおよびBCからなる炭化物;ZrBおよびCaBからなるホウ化物;BNおよびAlNからなる窒化物;CaFおよびNaFからなるフッ化物;および;Al、SiおよびCrからなる金属からなる群から選択される1種または2種以上を10質量%以下の量で含有することを特徴とする。
本発明のノズルによれば、鋼の連続鋳造工程において、ノズルのアルミナ付着およびノズル閉塞を効率的に防止することができるという効果を奏するものである。
本発明のノズルの配材パターンの一例を示す概略図である。 本発明のノズルの配材パターンの他の例を示す概略図である。 本発明のノズルの配材パターンの更に他の例を示す概略図である。 本発明のノズルの配材パターンの他の例を示す概略図である。
本発明のノズルは、少なくとも溶鋼と接するノズル稼働面の一部または全部を構成する耐火材料が、酸化物原料として、ジルコン酸カルシウム系原料の他に、マグネシア−アルミナ質スピネル原料およびアルミナ質原料を同時に含有するところに特徴がある。
ジルコン酸カルシウム系原料の他に、マグネシア−アルミナ質スピネル原料およびアルミナ質原料を同時に含有させると、ジルコン酸カルシウム系原料粒の全周にCaO−Al−MgO−ZrO系溶融相が速やかに形成され、ジルコン酸カルシウム系原料粒内のCaO成分とアルミナ付着物の接触と作用を阻害するZrC層の生成は抑制される。さらに、溶融相中のZrOは、カーボンとの反応性が低いため、ZrCへ変化しない。また、ジルコン酸カルシウム中のZrOも、CaO−Al−MgO−ZrO系溶融相の存在によってカーボンおよびCOガスと接触しなくなり、ZrCへ変化しない。CaO−Al−MgO−ZrO系溶融相は、連続鋳造の操業温度域である高温で安定である。
CaO−Al−MgO−ZrO系溶融相およびジルコン酸カルシウム系原料粒内のCaO成分とアルミナ付着物との反応によって、アルミナ付着物の表面に融点の低い液相(溶融相)が生じるため、アルミナ付着物が溶鋼流に流出し、アルミナ付着物が成長せず、ノズル閉塞を防止することができる。また、CaO−Al−MgO−ZrO系溶融相は、十分高い粘度を有するため、CaO−Al−MgO−ZrO系溶融相を含む稼働面の全体が溶鋼へ流失することはない。これによって、本発明のノズルに用いられる耐火材料は、アルミナ付着防止効果を長時間維持できる。
本発明ノズルに用いられるジルコン酸カルシウム系原料は、カルシアを20〜35質量%、より好ましくは25〜30質量%含有し、主な鉱物相がCaZrOから構成される。CaZrO以外の鉱物相は、カルシア含有のcubic−ZrOやCaSiOなどであるが、CaZrO以外の鉱物相は、合計量でCaZrOに対する質量比が0.1以下であることが好ましい。なお、ジルコン酸カルシウム系原料中のカルシア含有量が20質量%未満であると、マグネシア−アルミナ質スピネル原料およびアルミナ質原料の共存下でも、CaO−Al−MgO−ZrO系溶融相を生ずることがないため、耐火材料のアルミナ付着防止効果が低くなるために好ましくない。また、カルシア含有量が35質量%を超えると、フリーCaOが生じるので、ジルコン酸カルシウム系原料の耐水和性が低下するために好ましくない。
ジルコン酸カルシウム系原料の含有量は、55〜80質量%、好ましくは60〜75質量%の範囲内である。ジルコン酸カルシウム系原料の含有量が55質量%未満であると、耐火材料全体のカルシア含有量が少なすぎるため、アルミナ付着防止効果が低くなるために好ましくない。また、ジルコン酸カルシウム系原料の含有量が80質量%を超えると、マグネシア−アルミナ質スピネル原料およびアルミナ質原料の含有量が少なくなりすぎるため、CaO−Al−MgO−ZrO系溶融相を生成することができず、アルミナ付着防止効果を得難くなるために好ましくない。
次に、マグネシア−アルミナ質スピネル原料の含有量は、5〜15質量%、好ましくは7〜13質量%の範囲内である。マグネシア−アルミナ質スピネル原料の含有量が、5質量%未満であると、ジルコン酸カルシウム系原料粒の全周にCaO−Al−MgO−ZrO系溶融相を生成することができず、アルミナ付着防止効果を得難くなるために好ましくない。また、マグネシア−アルミナ質スピネル原料の含有量が、15質量%を超えると、耐火材料全体でのカルシア含有量が少なくなりすぎるため、アルミナ付着防止効果が得難くなるために好ましくない。なお、マグネシア−アルミナ質スピネル原料としては、理論組成(MgAl)、アルミナリッチおよびマグネシアリッチのスピネルのいずれも適用することができる。マグネシア−アルミナ質スピネル原料の代わりに、マグネシアとアルミナの単体を適用する方法もあるが、マグネシア−アルミナ質スピネル原料を適用した方が、組成の均一な溶融相が速く生成するので望ましい。
さらに、アルミナ質原料の含有量は、5〜20質量%、好ましくは8〜15質量%の範囲内である。アルミナ質原料の含有量が、5質量%未満であると、ジルコン酸カルシウム系原料粒の全周にCaO−Al−MgO−ZrO系溶融相を生成することができず、アルミナ付着防止効果を得難くなるために好ましくない。また、アルミナ質原料の含有量が、20質量%を超えると、耐火材料全体でのカルシア含有量が少なくなりすぎるため、アルミナ付着防止効果が得難くなるために好ましくない。
また、カーボン質原料の含有量は、5〜35質量%、好ましくは7〜30質量%の範囲内である。カーボン質原料の含有量が、5質量%未満であると、耐火材料の熱膨張率が高くなりすぎ、ノズルの耐スポーリング性が不足することがあるために好ましくない。また、カーボン質原料の含有量が、35質量%を超えると、カーボン質原料の溶鋼への溶解に起因して、ノズルの耐食性が不足するために好ましくない。なお、カーボン質原料としては、鱗状黒鉛、カーボンブラック、ピッチ、樹脂炭などの公知のカーボン質原料の1種または2種以上を使用することができる。
本発明のノズルに用いられる耐火材料は、耐酸化性や強度などの特性を向上させる目的で、SiO、MgO、Cr、ZrOなどの他の酸化物;SiC、BCなど炭化物;ZrB、CaBなどのホウ化物;BN、AlNなどの窒化物;CaF、NaFなどのフッ化物;Al、Si、Crなどの金属からなる群から選択される1種または2種以上を含有することができる。これらの成分を含有する場合、これらの成分の合計量は、10質量%以下、好ましくは8質量%以下である。これらの成分が合計で10質量%を超えると、ジルコン酸カルシウム系原料、マグネシア−アルミナ質スピネル原料とアルミナ質原料の共存によるアルミナ付着防止効果が得難くなるために好ましくない。
本発明のノズルに用いられる上記耐火材料は、ノズル内孔体の一部または全部に適用することができる。また、ノズル浸漬部の一部または全部にも適用することもできる。ここで、本発明のノズルの本体には、慣用のアルミナ−カーボン質耐火材料、ノズルのスラグラインには慣用のジルコニア−カーボン質耐火材料を使用することもできる。慣用のアルミナ−カーボン質耐火材料としては、例えば、アルミナ55質量%、シリカ20質量%およびカーボン25質量%の耐火材料などを例示することができる。また、慣用のジルコニア−カーボン質耐火材料としては、例えば、カルシアを3.5質量%含有するカルシア安定のジルコニア72質量%、バデライト15質量%およびカーボン13質量%の耐火材料などを例示することができる。
次に、本発明のノズルのいくつかの配材パターン例を、図1〜4に示す。図において、aは、ノズル本体部、bは浸漬部、cはスラグライン部をそれぞれ示す。
図1は、ノズル本体部(a)、浸漬部(c)およびスラグライン部(c)の内孔体に本発明のノズルに用いられる耐火材料(以下、「本発明の耐火材料」と略称する)(1)を、ノズル本体部(a)と浸漬部(b)の内孔体以外の部分に慣用のアルミナ−カーボン質耐火材料(2)を、スラグライン部(c)の内孔体以外の部分に慣用のジルコニア−カーボン質耐火材料(3)をそれぞれ配材したノズルの一例である;
図2は、スラグライン部(c)並びにノズル本体部(a)および浸漬部(c)のスラグラインスラグ部(c)と隣接する内孔体に本発明の耐火材料(1)を、ノズル本体部(a)と浸漬部(b)のその他の部分に慣用のアルミナ−カーボン質耐火材料(2)を、スラグライン部(c)のその他の部分に慣用のジルコニア−カーボン質耐火材料(3)をそれぞれ配材したノズルの一例である;
図3は、スラグライン部(c)並びにノズル本体部(a)のスラグラインスラグ部(c)と隣接する内孔体および浸漬部(b)のスラグラインスラグ部(c)と隣接する部分に本発明の耐火材料(1)を、ノズル本体部(a)および浸漬部(b)のその他の部分に慣用のアルミナ−カーボン質耐火材料(2)を、スラグライン部(c)のその他の部分に慣用のジルコニア−カーボン質耐火材料(3)をそれぞれ配材したノズルの一例である;
図4は、スラグライン部(c)並びにノズル本体部(a)のスラグラインスラグ部(c)と隣接する内孔体および浸漬部(b)に本発明の耐火材料(1)を、ノズル本体部(a)のその他の部分に慣用のアルミナ−カーボン質耐火材料(2)を、スラグライン部(c)のその他の部分に慣用のジルコニア−カーボン質耐火材料(3)をそれぞれ配材したノズルの一例である。
なお、本発明のノズルの配材パターンは、上記図1〜4に説明する配材パターンに限定されるものではなく、少なくとも溶鋼と接するノズル稼働面の一部または全部に本発明のノズルに使用される耐火材料を配材すれば良い。
本発明のノズルの製造方法は、特に限定されるものではなく、原料秤量、混練、成形、乾燥、焼成および加工などの慣用のノズル製造プロセスを用いることができる。なお、本発明のノズルを製造する際に、バインダーとして、フェノール樹脂、フラン樹脂、ピッチやタールなどの有機質バインダー、リン酸や水ガラスなどの無機質バインダーを使うことができる。また、成形工程には、冷間静水等方圧プレス(CIP成形)などの成形方法を利用することができる。さらに、焼成工程において、雰囲気は特に限定されるものではなく、例えば、大気雰囲気、還元雰囲気、不活性雰囲気などから材質に合わせて適宜選択することができる。また、焼成温度も特に限定されるものではないが、例えば、700〜1200℃、好ましく800〜1100℃とすることができる。
本発明のノズルは、ノズルのアルミナ付着を引き起こしやすい鋼種の鋳造に適したものである。例えば、通常のAlキルド鋼およびTi、REM(希土類)やZrなどを含有するAlキルド鋼を鋳造する際に好適に用いることができる。
以下、実施例により、本発明のノズルをさらに説明する。
以下の表に記載する配合割合に従って原料配合物を調製し、定法によって成形し、還元雰囲気中1000℃で8時間焼成することにより供試体を得た。なお、供試体の製造には、バインダーとしてフェノール樹脂を外掛けで15質量%使用した。得られた供試体をダイヤモンドカッターで切り出し、平面研磨することによって20×20×200mmの試験片を作製した。
なお、ジルコン酸カルシウム系原料は,カルシア含有量が28.0質量%であり、主な鉱物相としてCaZrOが90質量%以上占め、残りの鉱物相は、主としてcubic−ZrOより構成されるものであった;
また、マグネシア−アルミナ質スピネル原料は、MgO28.0質量%、Al72.0質量%のものであった。
得られた試験片を高周波炉にて20kgのAlキルド鋼(C:0.002質量%、Si:0.01質量%、Mn:0.3質量%、Al:0.05質量%、Ti:0.03質量%)をアルゴン雰囲気中で溶解し、1570℃に保持してから、試験片を100mmの深さで浸漬し、同時に80rpmの速度で回転させ、3時間後に試験片を引き上げた。
試験片を冷却した後、浸漬部の高さ方向の中間位置で横切断し、その切断面の寸法を測定して、この寸法を基準としてアルミナ付着物層の厚みを算出した。なお、アルミナ付着物層の厚みが小さいほど、耐火材料のアルミナ付着防止効果が高くなることを示す。
表1は、アルミナ付着防止効果に及ぼす耐火材料中のマグネシア−アルミナ質スピネル原料の含有量の影響について調査した結果を示すものである。また、表2は、耐火材料中のアルミナ質原料の含有量の影響を、表3は、ジルコン酸カルシウム系原料の含有量の影響を、表4は、その他の成分の種類及び含有量の影響について調査した結果をそれぞれ示すものである。
Figure 2020082191
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表4中、「カーボン酸化層の厚み(mm)」は、50×50×50mmの試験片を大気中において1000℃で1時間加熱した後、冷却して得られた試験片を切断し、切断面におけるカーボンが消失した層の厚みを測定することにより得られた値の最大値である。
表1〜4の結果から、比較例に比べて、実施例の耐火材料は、いずれもアルミナ付着層の厚みが顕著に小さく、高いアルミナ付着防止効果を示すことがわかる。また、耐酸化性や強度などの特性を向上させる目的でその他の成分を2.0〜10.0質量%含む実施例13〜17は、その他の成分を14.0〜16.0質量%含む比較例11〜13と同等のカーボン酸化層の厚みを有するものであることがわかる。
次に、上記実施例の耐火材料を溶鋼と接する稼働面および浸漬部に用いたノズルを使用して、実機にて連続鋳造を行なった一例を説明する。
使用したノズルは、図4に示す配材パターンを有するものであり、アルミナ−カーボン質耐火材料(2)としてAl53質量%、SiO22質量%およびC25質量%の組成を有する耐火材料を用い、ジルコニア−カーボン質耐火材料(3)としてCaO安定化ZrO87質量%、C13質量%の組成を有する耐火材料を用い、耐火材料(1)として実施例2の耐火材料を用いた。
また、比較用ノズルとして耐火材料(1)に比較例1の耐火材料を用いた以外は上記ノズルと同様の構成を有するノズルを用意した。
実機による鋳造は、鋼としてC:0.003質量%、Si:0.01質量%、Mn:0.3質量%、Al:0.04質量%、Ti:0.04質量%の組成を有するものを用い、連続鋳造時間が550分(10チャージ)であった。
実機使用の結果、本発明のノズルは、内孔部、浸漬部とも稼働面に付着物は、全く形成されず、溶損も認められなかった。これに対して、比較用ノズルは、内孔体および浸漬部の稼働面に、厚みが23mmまでと厚い付着物が形成されていた。これは、本発明のノズルの顕著な優位性を示すものである。
本発明のノズルは、鋼の連続鋳造工程において、ノズルのアルミナ付着を有効に抑制することができ、鉄鋼業界における利用可能性は極めて高いものである。
a:ノズル本体、b:浸漬部、c:スラグライン部、1:本発明の耐火材料、2:慣用のアルミナ−カーボン質耐火材料、3:慣用のジルコニア−カーボン質耐火材料

Claims (2)

  1. 鋼の連続鋳造用浸漬ノズルにおいて、少なくとも溶鋼と接するノズル稼働面の一部または全部が、ジルコン酸カルシウム系原料55〜80質量%、マグネシア−アルミナ質スピネル原料5〜15質量%、アルミナ質原料5〜20質量%、カーボン質原料5〜35質量%からなる耐火材料から構成されることを特徴とする鋼の連続鋳造用浸漬ノズル。
  2. さらに、SiO、MgO、CrおよびZrOからなる他の酸化物;SiCおよびBCからなる炭化物;ZrBおよびCaBからなるホウ化物;BNおよびAlNからなる窒化物;CaFおよびNaFからなるフッ化物;および;Al、SiおよびCrからなる金属からなる群から選択される1種または2種以上を10質量%以下の量で含有する、請求項1記載の鋼の連続鋳造用浸漬ノズル。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN115160002A (zh) * 2022-07-28 2022-10-11 中钢集团洛阳耐火材料研究院有限公司 一种碳化硅-锆酸钙复合耐火材料及其制备方法

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