JP2020080790A - 飲料及び飲料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】タンパク質と果汁等を含む飲料の耐熱性の向上。【解決手段】乳の限外ろ過膜透過物または前記限外ろ過膜透過物中の乳糖を低減した調整品の少なくとも一方である組成物(A)と、果汁及び野菜汁からなる群から選ばれる1種以上である果汁類(B)を混合して原料組成物を調製し、前記原料組成物を加熱殺菌する、飲料の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は飲料及び飲料の製造方法に関する。
例えば、生乳や脱脂粉乳等の乳成分と、果汁等の酸を含む成分とを含む飲料は、加熱殺菌時に酸によってタンパク質成分が変性して凝集を生じやすい。
このようなタンパク質と酸成分を含む飲料の耐熱性を向上させる方法として、従来は、加熱殺菌前に炭酸水素ナトリウム(重曹)等のpH調整剤を添加して中和する方法が一般的であった。
また、特許文献1には、加熱殺菌前に、リン酸塩と、クエン酸塩及び/又は特定の多糖類を添加して、乳タンパク質の凝集を抑える方法が記載されている。
特許文献2には、乳タンパク質成分含有飲料中に、炭酸塩又はクエン酸塩を添加して飲料のpHをアルカリ性側に変化させた後、酸性の添加剤を加えてpHを弱酸性域に変化させ、均質化処理した後に加熱殺菌する方法が記載されている。
特許文献3には、酸性乳飲料に、コンドロイチン硫酸又はその塩を添加した後に加熱殺菌する方法が記載されている。
特開2002−281895号公報 特開2006−333719号公報 特開2003−70424号公報
しかし、pH調整剤や特許文献1〜3に記載されている特定の成分を添加すると、風味が低下する場合がある。
本発明は、タンパク質と果汁等を含む飲料の耐熱性を向上できる、新規な飲料及びその製造方法を提供する。
[1] 乳の限外ろ過膜透過物または前記限外ろ過膜透過物中の乳糖を低減した調整品の少なくとも一方である組成物(A)と、果汁及び野菜汁からなる群から選ばれる1種以上である果汁類(B)を混合して原料組成物を調製し、前記原料組成物を加熱殺菌する、飲料の製造方法。
[2] 前記原料組成物に対して、前記組成物(A)由来の灰分の含有量が0.1質量%以上である、[1]の飲料の製造方法。
[3] 前記原料組成物の25℃におけるpHが6.0〜7.0である、[1]又は[2]の飲料の製造方法。
[4] 前記果汁類(B)の酸度が0.01〜12質量%である、[1]〜[3]のいずれかの飲料の製造方法。
[5] 前記原料組成物を調製する際に、さらにタンパク質含有原料(C)を混合する、[1]〜[4]のいずれかの飲料の製造方法。
[6] 前記原料組成物中における、タンパク質の含有量に対する、前記組成物(A)由来の灰分の含有量の質量比を表す、灰分/タンパク質が0.1〜0.5である、[5]の飲料の製造方法。
[7] 前記原料組成物に対して、タンパク質の含有量が0.5〜10質量%である、[1]〜[6]のいずれかの飲料の製造方法。
[8] 乳の限外ろ過膜透過物または前記限外ろ過膜透過物中の乳糖を低減した調整品の少なくとも一方である組成物(A)と、果汁及び野菜汁からなる群から選ばれる1種以上である果汁類(B)を含有する飲料。
[9] さらに、タンパク質含有原料(C)を含有する、[8]の飲料。
本発明によれば、タンパク質と果汁類を含む飲料の耐熱性を向上できる。
本発明において、以下の測定方法を用いる。
脂肪含量は、レーゼ・ゴットリーブ法により測定する。
タンパク質含量は、燃焼法により測定する。
灰分含量は、直接灰化法により測定する。
水分含量は、直接加熱乾燥法により測定する。
炭水化物含量は、全ての成分の合計から前記4成分(脂肪、タンパク質、灰分及び水分)の合計を減じて決定する(算出式:100%−(脂肪・タンパク質・灰分・水分の4成分の合計値))。
固形分含量は、水分含量以外の含量として、直接加熱乾燥法により測定された水分含量から算出する(算出式:100%−水分含量=固形分含量)。
灰分を構成する各ミネラルの含量は、誘導結合プラズマ(ICP)発光分析法により測定する。
本発明における酸度は、中和滴定法で求めた値である。
具体的には、試料を適度に希釈した試料溶液中にpH計の電極を挿入し、かき混ぜながら0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液で滴定する。終点は、pH8.1±0.2とし、その範囲内のpHが30秒以上持続することを確認する。空試験については、試料溶液の代わりに同量の水を用いて同様に滴定する。下記式により酸度(単位%)を求める。
酸度(%)=表示酸の係数×(T−B)×F×(1/W)×100
T:本試験における0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液の滴定量(単位:mL)。
B:空試験における0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液の滴定量(単位:mL)。
F:0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液のファクター。
W:試料重量(g)。
表示酸の係数:0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液1mLに相当する表示酸(クエン酸、リンゴ酸又は酒石酸)の重量(g)であり、下記の値を使用する。
クエン酸:0.0064
リンゴ酸:0.0067
酒石酸:0.0075
表示酸は、試料に含まれるクエン酸、リンゴ酸又は酒石酸のうち、最も含有量が多いものを選択する。
本実施形態の飲料は、組成物(A)および果汁類(B)を含む。必要に応じて水を含む。さらにタンパク質含有原料(C)を含んでもよい。
<組成物(A)>
組成物(A)として、乳の限外ろ過膜透過物または前記限外ろ過膜透過物中の乳糖を低減した調整品を用いる。両者を併用してもよい。
乳は、生乳、牛乳、生やぎ乳、生めん羊乳等の動物乳であれば特に制限されないが、これらの乳を遠心分離等により脂肪画分(クリーム)と脱脂画分(脱脂乳)とに分離して得られる脱脂乳を、膜分離処理に用いることが好ましい。本明細書における脱脂乳には、前記脱脂画分を水で希釈した液、濃縮した液、粉末化したものを水に溶解した還元液等も含まれる。脱脂乳は、ほぼ全ての脂肪分を脱脂した脱脂乳でもよく、一部の脂肪分を脱脂した部分脱脂乳でもよい。脱脂乳の脂肪含量は、好ましくは1.5質量%以下であり、よ
り好ましくは0.5%未満である。
「乳の限外ろ過膜透過物」とは、限外ろ過膜を使用して乳を膜分離処理して得られる透過液である。限外ろ過膜を用いた膜分離処理において、乳に含まれる水分や低分子量の成分(乳糖、灰分など)は限外ろ過膜を透過する。
乳の限外ろ過膜透過物は、膜分離処理により流出してくる透過液そのものでもよく、透過液から水分を減じる処理をした濃縮液でもよく、前記透過液または濃縮液を噴霧乾燥して得られる粉末でもよい。
また、乳の限外ろ過膜透過物に、結晶化等の処理を施して乳糖を部分的に除去した調整品も組成物(A)として使用できる。該調整品は限外ろ過膜透過物よりも灰分含量が高められている。乳糖の結晶化は、チーズホエイ等から乳糖を製造する場合と同様の手順で行うことができる(参考文献:山内邦男、横山健吉ら編、「ミルク総合事典」、朝倉書店、1992年、p.363)。すなわち、乳の限外ろ過膜透過物を減圧濃縮した後に冷却して乳糖を析出させ、析出した乳糖を分離することで、乳糖が部分的に除去された前記調整品を得ることができる。
乳の限外ろ過膜透過物として、乳(好ましくは脱脂乳)を限外ろ過膜で膜分離処理して乳タンパク質濃縮物(MPC)を製造する際の、副産物である透過液を用いることができる。
脱脂乳から乳タンパク質濃縮物(MPC)を製造する際の限外ろ過膜としては、中空糸膜、スパイラル膜又は平膜等の乳の膜濃縮に通常用いられるものを使用することができる。膜の分画分子量が1,000〜100,000Daのもの、又は膜の孔径が1〜100nmのものが用いることができる。
以下に、MPCを製造する際に得られる限外ろ過膜透過物の代表的な組成を、乾燥物(固形分)における含有量で示す。
脂肪含量:0〜0.3質量%。
タンパク質含量:2.8〜4.0質量%。
炭水化物含量:75.0〜90.0質量%。
灰分含量:5.5〜10.0質量%。
ナトリウム含量:450〜800mg/100g。
カリウム含量:2000〜3000mg/100g。
カルシウム含量:450〜650mg/100g。
マグネシウム含量:80〜120mg/100g。
リン含量:560〜840mg/100g。
塩素含量:1400〜2200mg/100g。
以下に、MPCを製造する際に得られる限外ろ過膜透過物から、乳糖を部分的に除去した調整品の代表的な組成を、乾燥物(固形分)における含有量で示す。
脂肪含量:0〜0.3質量%。
タンパク質含量:2.8〜16質量%。
炭水化物含量:40〜88質量%。
灰分含量:5.5〜40質量%。
ナトリウム含量:450〜3200mg/100g。
カリウム含量:2000〜13000mg/100g。
カルシウム含量:450〜2500mg/100g。
マグネシウム含量:80〜500mg/100g。
リン含量:560〜3500mg/100g。
塩素含量:1400〜9000mg/100g。
<果汁類(B)>
果汁類(B)は、果汁及び野菜汁からなる群から選ばれる1種または2種以上の混合物である。
果汁は、果実を粉砕して搾汁又は裏ごし等をし、皮、種子等を除去したものである。果実のピューレ、果汁を濃縮した濃縮果汁、濃縮果汁を水で戻した還元果汁でもよい。
野菜汁は、野菜を粉砕して搾汁又は裏ごし等をし、皮、種子等を除去したものである。野菜のピューレ、野菜汁を濃縮した濃縮野菜汁、濃縮野菜汁を水で戻した還元野菜汁でもよい。
果汁類(B)の酸度は0.01〜12質量%が好ましく、0.1〜6質量%がより好ましい。
果汁類(B)として2種以上を用いる場合は、それぞれの酸度が上記の範囲内であることが好ましい。
果汁類(B)の酸度が上記範囲内であると、本発明を適用することによる効果が充分に得られやすい。
果汁類(B)は食品に使用できる果実又は野菜に由来するものであれば特に限定されず、果実又は野菜の搾汁液等を使用することができる。搾汁液は、搾汁した液そのもの(ストレート搾汁液)であっても、濃縮した濃縮液であってもよい。
例えば、バナナ、りんご、パインアップル、ぶどう、オレンジ、うんしゅうみかん、グレープフルーツ、もも、なつみかん、はっさく、シイクワシャー、日本なし、西洋なし、パパイヤ、キウイフルーツ、マンゴー、グァバ、パッションフルーツ等に由来する果汁は、乳タンパク質を含む溶液と混合したときに、溶液のpHを下げやすい。
<タンパク質含有原料(C)>
タンパク質含有原料(C)は、飲料の風味向上に寄与する。乳由来のタンパク質(乳タンパク質)を含む原料(ただし組成物(A)は除く。)を用いることが好ましい。
乳タンパク質を含む原料としては、主として哺乳動物から搾乳して得られた乳、乳を原料として得られるバター、クリーム、脱脂乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、乳タンパク濃縮物、ホエイパウダー、ホエイタンパク質濃縮物等の乳製品、乳または乳製品を含む原料が例示できる。
タンパク質含有原料(C)のpHは、6.6以上であることが好ましく、6.8以上がより好ましい。上記下限値以上であると、飲料の良好な耐熱性が得られやすい。タンパク質含有原料(C)のpHの上限は特に限定されないが、風味の点では8.5以下が好ましく、8.0以下がより好ましい。
本明細書において、タンパク質含有原料(C)のpHは、固形分濃度5.0質量%水溶液の25℃におけるpHの値である。
<その他の原料>
本実施形態の飲料は、前記組成物(A)、果汁類(B)、またはタンパク質含有原料(C)のいずれにも該当しないその他の原料を含んでもよい。
その他の原料として、例えば、砂糖、ブドウ糖、果糖、乳糖、マルトース、パラチノース、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、ラフィノース等の糖類、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチュロース等の糖アルコール、グリチルリチン、ステビオサイド、レバウディオサイド、甜茶抽出物、甘茶抽出物等の天然甘味料、サッカリン、アスパルテーム等の人工甘味料、乳化剤、香料を例示できる。
<飲料の製造方法>
本実施形態の飲料の製造方法は、組成物(A)と、果汁類(B)とを混合して原料組成物を調製する原料組成物調製工程と、前記原料組成物を加熱殺菌する加熱殺菌工程を有する。
タンパク質含有原料(C)を用いる場合は、原料組成物調製工程において、組成物(A)と、果汁類(B)と、タンパク質含有原料(C)とを混合して原料組成物を調製する。
原料組成物は、必要に応じて、水、その他の原料を含んでもよい。
原料組成物に対して、組成物(A)由来の灰分の含有量は0.1質量%以上が好ましく、0.12質量%以上がより好ましく、0.15質量%以上がさらに好ましい。前記下限値以上であると、飲料の耐熱性向上効果が充分に得られやすい。前記組成物(A)由来の灰分の含有量の上限は、特に限定されないが、風味の点から4.5質量%以下が好ましく、4.0質量%以下がより好ましく、3.0質量%以下がさらに好ましい。
原料組成物に対する果汁類(B)の含有量は、原料組成物の25℃におけるpHが6.0〜7.0となる範囲内で添加されることが好ましく、該pHが6.35〜7.00となる範囲内で添加されることがより好ましく、該pHが6.54〜6.93となる範囲内で添加されることがさらに好ましい。該pHが上記範囲の下限値以上であると良好な耐熱性が得られやすく、上限値以下であると加熱殺菌による沈殿発生の問題が生じやすく、本発明を適用することの効果が大きい。
原料組成物に対して、果汁類(B)の含有量は、搾汁液換算で0.01〜100質量%が好ましく、0.05〜50質量%がより好ましく、1〜20質量%がさらに好ましい。
ここで、果汁類の搾汁液換算の含有量(質量%)は、「果汁類の配合量(g/100g)」×「濃縮倍率」により算出する。また、「濃縮倍率」は、果実や野菜を搾汁して得られるストレート搾汁液を100%としたときの相対的濃縮倍率である。濃縮倍率は、ストレート搾汁液と濃縮後の搾汁液の糖用屈折計示度(°Bx)に基づいて算出することができる。すなわち、10°Bxのストレート搾汁液を濃縮して50°Bxの濃縮液を得た場合、濃縮倍率は5倍となる。搾汁液が果汁の場合、ストレート果汁の糖用屈折計示度はJAS規格に記載の値を採用することができる。なお、濃縮倍率の算出に際して、果汁類に加えられた糖類、はちみつ等の糖用屈折計示度を除くものとする。
原料組成物に対して、タンパク質の含有量は0.5〜10質量%が好ましく、0.79〜4.5質量%がより好ましく、1.08〜3.0質量%がさらに好ましい。前記範囲の下限値以上であると、加熱殺菌による沈殿発生の問題が生じ易く、本発明を適用することによる効果が大きい。前記範囲の上限値以下であると飲料の風味バランスが良い。
なお、原料組成物中のタンパク質には、組成物(A)由来のタンパク質が含まれ、タンパク質含有原料(C)を用いる場合は、タンパク質含有原料(C)由来のタンパク質も含まれる。
タンパク質含有原料(C)を用いる場合、組成物(A)由来の灰分の含有量の質量比を表す、灰分/タンパク質が0.1〜0.5(1/10〜1/2)であることが好ましく、0.11〜0.35がより好ましく、0.13〜0.2がさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、飲料の耐熱性向上効果が充分に得られやすく、上限値以下であると風味バランスに優れる。
原料組成物の総固形分は、0.5〜20.0質量%が好ましく、1.2〜16.0質量%がより好ましい。
本実施形態の飲料は、pH調整剤の使用量を低減した場合又はpH調整剤を添加しない場合でも、加熱殺菌による沈殿の発生を防止できる。風味の点でpH調整剤を用いないか、または用いる場合は少量であることが好ましい。例えば、原料組成物に対して、pH調整剤の含有量が0.01質量%以下であることが好ましく、0.005質量%以下がより好ましく、0.001質量%以下がさらに好ましく、ゼロが最も好ましい。
pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの塩基や、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、リン酸水素二ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、L−アスコルビン酸ナトリウムなどの有機酸のナトリウム又はカリウム塩、および、その他食品衛生法上使用可能なpH調整剤が例示できる。pH調整剤は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、本実施形態の飲料は、増粘多糖類の使用量を低減した場合又は増粘多糖類を添加しない場合でも、加熱殺菌による沈殿の発生を防止できる。風味の点で増粘多糖類を用いないか、または用いる場合は少量であることが好ましい。例えば、原料組成物に対して、増粘多糖類の含有量が0.1質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以下がより好ましく、0.001質量%以下がさらに好ましく、ゼロが最も好ましい。
増粘多糖類としては、結晶セルロース、カラギーナン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、グァーガム等が例示できる。増粘多糖類は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
原料組成物調製工程では、飲料を構成する全成分を均一に混合して原料組成物を得る。必要に応じて加温してもよい。
加熱殺菌工程では、得られた原料組成物を加熱殺菌して飲料を得る。加熱殺菌の前後の組成は、加熱による変性を除いて同じである。
本発明における加熱殺菌とは、乳等省令で規定される牛乳の殺菌方法に準じて、「62〜65℃の間の温度で30分間加熱殺菌するか、又はこれと同等以上の殺菌効果を有する方法」で加熱することを意味する。殺菌条件は、原料組成物の特性、使用する殺菌機(殺菌方式)及び容器等に応じて適宜設定することができる。
例えばUHT殺菌の場合、120〜150℃で1〜120秒間程度、好ましくは130〜145℃で2〜30秒間程度の条件である。
殺菌方法は、バッチ式殺菌、プレート式殺菌等の間接加熱法でもよく、インジェクション式殺菌、インフュージョン式殺菌等の直接加熱法でもよい。
レトルト殺菌法の場合には、110〜130℃で10〜30分程度、好ましくは120〜125℃で10〜20分間程度の条件である。
加熱殺菌前の原料組成物を保存容器に充填し、レトルト殺菌法で加熱殺菌することにより容器入り飲料を製造できる。又は加熱殺菌後の飲料を、無菌的に保存容器に充填して容器入り飲料を製造できる。
保存容器としては、缶、PETボトル、ガラス瓶又は紙パック等が例示できる。
原料組成物を加熱殺菌した後、容器に充填するまでに、冷却、希釈、濃縮などの追加工程を設けてもよい。
<飲料>
本実施形態の飲料は、乳の限外ろ過膜透過物または前記限外ろ過膜透過物中の乳糖を低減した調整品の少なくとも一方である組成物(A)と、果汁類(B)を含有する飲料である。さらに、タンパク質含有原料(C)を含有してもよい。
本実施形態の飲料は、タンパク質および果汁類(B)を含み、加熱殺菌された飲料である。
原料組成物の加熱殺菌後に希釈または濃縮をしない場合、原料組成物の組成と飲料の組成は、加熱による変性を除いて同じである。
原料組成物の加熱殺菌後に希釈または濃縮をした場合、原料組成物の固形分の組成と飲料の固形分の組成は、加熱による変性を除いて同じである。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<原料>
表に示す原料は以下の通りである。
限外ろ過膜透過物(A−1):下記製造例1で得た限外ろ過膜透過物の調整品。
果汁(B−1):バナナピューレ、酸度0.35質量%(クエン酸換算)、ストレート搾汁液(糖用屈折計示度23°Bx)
果汁(B−2):高酸度冷凍濃縮りんご透明果汁、酸度2.10質量%(リンゴ酸換算)、濃縮倍率6.9倍(糖用屈折計示度69°Bx)。
果汁(B−3):パインアップル5倍濃縮透明果汁、酸度2.50質量%(クエン酸換算)、濃縮倍率5.0倍(糖用屈折計示度55°Bx)。
果汁(B−4):グレープ濃縮果汁、酸度2.65質量%(酒石酸換算)、濃縮倍率6.18倍(糖用屈折計示度68°Bx)。
MPC(C−1):乳タンパク質濃縮物、商品名「Promilk85」、Ingredia社製、乳タンパク質含量85質量%、pH6.9。
乳糖:Milei社製。
脱脂粉乳:森永乳業社製。
クエン酸:扶桑化学工業社製。
液糖:ブドウ糖加糖液糖、昭和産業社製。
水:イオン交換水。
[製造例1]
以下の手順により、脱脂乳からMPCを製造する際の透過液を用いて、限外ろ過膜透過物の調整品を調製した。
乳牛から搾乳した生乳を遠心分離して得た脱脂乳90kgを、限外ろ過膜(分画分子量10,000Da)に通液して、濃縮液13.5kgと、透過液76.5kgを得た。
該透過液を減圧濃縮法により濃縮し、乳糖を結晶化して除去した後に噴霧乾燥して、乳(脱脂乳)の限外ろ過膜透過物の調整品である限外ろ過膜透過物(A−1)を得た。
限外ろ過膜透過物(A−1)の成分組成を表1に示す。
<試験例1、2>
表1に示す配合で、限外ろ過膜透過物(A−1)と、MPCと、乳糖と、水とを混合して試験液(1)を調製した。試験液(1)の成分組成を表1に示す。
表2に示す配合で、試験液(1)にクエン酸を添加し、120℃にて10分間加熱殺菌した後に、下記の方法で沈殿の有無を調べた。試験例1ではクエン酸を添加しなかった。
試験液(1)のpH(25℃)は6.93であり、クエン酸添加後は6.39であった。結果を表2に示す。
(熱安定性の評価方法)
加熱殺菌後の組成物20mLを取り出し、3000rpmにて10分間遠心分離し、固形分を沈殿量として測定した。沈殿量が0.25mlを超えた場合に沈殿有りと判定し、0.25ml以下の場合には沈殿無しと判定した。
<試験例3、4>
本例では、限外ろ過膜透過物(A−1)と、MPCと、乳糖との混合物の代わりに、脱脂粉乳を水と混合して試験液(2)を調製した。試験液(2)の成分組成を表1に示す。
試験例1、2において、試験液(1)を試験液(2)に変更したほかは、試験例1と同様にして加熱殺菌後の沈殿の有無を調べた。試験例3ではクエン酸を添加しなかった。
試験液(2)のpH(25℃)は6.918であり、クエン酸添加後は6.47であった。結果を表2に示す。
Figure 2020080790
Figure 2020080790
表1、2に示されるように、試験液(1)と試験液(2)とは、成分組成及びpHがほぼ同等である。脱脂粉乳の水溶液である試験液(2)にクエン酸を添加して、加熱殺菌した試験例4では沈殿が生じた。一方、限外ろ過膜透過物(A−1)を含む試験液(1)にクエン酸を添加して、加熱殺菌した試験例2では沈殿が発生しなかった。
<例1〜32>
表3〜6に示す配合で、全原料を混合して原料組成物を調製した。原料組成物(殺菌前)のpH(25℃)を表に示す。
得られた原料組成物200mLを容器に充填した後、120℃にて10分間加熱殺菌(レトルト殺菌)して、容器入り飲料を得た。殺菌後の飲料のpH(25℃)を表に示す。
なお、原料組成物の加熱殺菌後に希釈または濃縮をしていないため、原料組成物の組成と飲料の組成は同じである。
各例のレトルト殺菌後の飲料について、沈殿の有無を評価した。
果汁類(B)が果肉を含まない果汁である場合は、前記試験例1と同様にして沈殿の有無を判定した。
果汁類(B)が果肉を含むピューレである場合、飲料が、固形分を含む下層と固形分を含まない上層(上澄み)とに分離した場合に沈殿有りと判定した。
結果を表に示す。いずれの実施例においても沈殿の発生は無かった。
Figure 2020080790
Figure 2020080790
Figure 2020080790
Figure 2020080790

Claims (9)

  1. 乳の限外ろ過膜透過物または前記限外ろ過膜透過物中の乳糖を低減した調整品の少なくとも一方である組成物(A)と、果汁及び野菜汁からなる群から選ばれる1種以上である果汁類(B)を混合して原料組成物を調製し、前記原料組成物を加熱殺菌する、飲料の製造方法。
  2. 前記原料組成物に対して、前記組成物(A)由来の灰分の含有量が0.1質量%以上である、請求項1に記載の飲料の製造方法。
  3. 前記原料組成物の25℃におけるpHが6.0〜7.0である、請求項1又は2に記載の飲料の製造方法。
  4. 前記果汁類(B)の酸度が0.01〜12質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の飲料の製造方法。
  5. 前記原料組成物を調製する際に、さらにタンパク質含有原料(C)を混合する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の飲料の製造方法。
  6. 前記原料組成物中における、タンパク質の含有量に対する、前記組成物(A)由来の灰分の含有量の質量比を表す、灰分/タンパク質が0.1〜0.5である、請求項5に記載の飲料の製造方法。
  7. 前記原料組成物に対して、タンパク質の含有量が0.5〜10質量%である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の飲料の製造方法。
  8. 乳の限外ろ過膜透過物または前記限外ろ過膜透過物中の乳糖を低減した調整品の少なくとも一方である組成物(A)と、果汁及び野菜汁からなる群から選ばれる1種以上である果汁類(B)を含有する飲料。
  9. さらに、タンパク質含有原料(C)を含有する、請求項8に記載の飲料。
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