JP2020079131A - シート搬送装置、原稿読取装置及び画像形成装置 - Google Patents

シート搬送装置、原稿読取装置及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 モータが脱調してジャムが生じた状態でシートの搬送が継続されると、前記搬送ローラの上流から当該搬送ローラまで搬送されたシートが、滞留しているシートに接触し、シートにダメージを与えてしまう可能性がある。【解決手段】 偏差Δθが閾値Δθth以上になると、モータM1が回転速度V1よりも遅い回転速度V2で回転するようにモータ制御装置261を制御する。即ち、CPU251aは、サンプリングした偏差Δθが所定値としての閾値Δθth以上になると、シートの搬送速度をより遅くする。この結果、モータの出力トルクをより大きくすることができ、仕様範囲外のシートが搬送されたとしてもモータが脱調してしまうことを抑制することができる。つまり、ジャムが生じることを抑制することができる。この結果、シートが滞留した状態でシートの搬送が継続されることに起因してシートにダメージを与えてしまうことを抑制することができる。【選択図】 図8

Description

本発明は、シート搬送装置、原稿読取装置及び画像形成装置におけるモータの制御に関する。
従来、シートを搬送するシート搬送装置においてジャムが生じた場合に、シートの搬送を停止する構成が知られている。特許文献1では、ジャムが検知されると、シートの搬送を停止した際に搬送路に残留したシートを装置外部へと搬送する構成が述べられている。
特開2002−46893号公報
例えば、シート搬送装置における仕様範囲外のシートが搬送されると、搬送ローラを駆動するモータにかかる負荷トルクが増大し、当該モータが脱調してしまう。モータが脱調すると当該モータの駆動対象である搬送ローラを駆動することができなくなり、当該搬送ローラの位置においてシートが滞留してしまう(ジャムが生じてしまう)。この状態でシートの搬送が継続されると、前記搬送ローラの上流から当該搬送ローラまで搬送されたシートが、滞留しているシートに接触し、シートにダメージを与えてしまう可能性がある。
上記課題に鑑み、本発明は、シートにダメージを与えてしまうことを抑制することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明にかかるシート搬送装置は、
シートを搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラを駆動するモータと、
前記モータの回転子の回転位相を決定する位相決定手段と、
前記位相決定手段によって決定された回転位相を基準とする回転座標系において表される電流成分であって、前記回転子にトルクを発生させる電流成分であるトルク電流成分の値と前記トルク電流成分の目標値との偏差が小さくなるように、前記モータの巻線に流れる駆動電流を制御する制御手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記位相決定手段によって決定された回転位相と前記回転子の目標位相を表す指令位相との偏差が小さくなるように、前記トルク電流成分の目標値を設定し、
前記制御手段は、前記回転子にかかる負荷トルクに対応するパラメータの値が所定値より小さい場合は前記モータを第1の回転速度で回転させ、前記負荷トルクに対応するパラメータの値が前記所定値より大きい場合は前記モータを前記第1の回転速度よりも遅い第2の回転速度で回転させることを特徴とする。
本発明によれば、シートにダメージを与えてしまうことを抑制することができる。
第1実施形態に係る画像形成装置を説明する断面図である。 原稿読取装置の制御構成の例を示すブロック図である。 画像印刷装置の制御構成の例を示すブロック図である。 A相及びB相から成る2相のモータと、d軸及びq軸によって表される回転座標系との関係を示す図である。 モータ制御装置の構成を示すブロック図である。 原稿給送装置の構成を説明する図である。 モータの回転速度とモータの出力トルクとの関係の一例を示す図である。 モータの制御方法を説明するフローチャートである。 速度フィードバック制御を行うモータ制御装置の構成を示すブロック図である。
以下に図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の形状及びそれらの相対配置などは、この発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲が以下の実施の形態に限定される趣旨のものではない。なお、以下の説明においては、モータ制御装置が画像形成装置に設けられる場合について説明するが、モータ制御装置が設けられるのは画像形成装置に限定されるわけではない。例えば、記録媒体や原稿等のシートを搬送するシート搬送装置等にも用いられる。
[画像形成装置]
図1は、本実施形態で用いられるシート搬送装置を有するモノクロの電子写真方式の複写機(以下、画像形成装置と称する)100の構成を示す断面図である。なお、画像形成装置は複写機に限定されず、例えば、ファクシミリ装置、印刷機、プリンタ等であっても良い。また、記録方式は、電子写真方式に限らず、例えば、インクジェット等であっても良い。更に、画像形成装置の形式はモノクロ及びカラーのいずれの形式であっても良い。
以下に、図1を用いて、画像形成装置100の構成および機能について説明する。図1に示すように、画像形成装置100は、原稿読取装置200及び画像印刷装置301を有する。
<原稿読取装置>
図2は、原稿読取装置200の制御構成の例を示すブロック図である。
まず、図1及び図2を用いて、原稿読取装置200の構成および機能について説明する。
原稿読取装置200には、原稿を読取位置に給送する原稿給送装置201が設けられている。原稿給送装置201の原稿積載部2に積載された原稿Pは、ピックアップローラ3によって1枚ずつ給送され、その後、給送ローラ4によって搬送される。給送ローラ4と対向する位置には、給送ローラ4に圧接する分離ローラ5が設けられている。分離ローラ5は、該分離ローラ5に所定のトルク以上の負荷トルクがかかると、回転する構成となっており、2枚重なった状態で給送された複数枚の原稿を分離する分離部材としての機能を有する。
ピックアップローラ3と給送ローラ4は揺動アーム12によって連結されている。揺動アーム12は、給送ローラ4の回転軸を中心にして回動できるように給送ローラ4の回転軸によって支持されている。
原稿Pは、給送ローラ4によって搬送された原稿Pの先端は、停止状態の搬送ローラ6のニップ部に当接する。そして、原稿Pの先端が停止状態の搬送ローラ6のニップ部に当接している状態で給送ローラ4が原稿Pを更に搬送することによって原稿Pが撓む。この結果、原稿Pに弾性力が働き、原稿Pの先端が搬送ローラ6のニップ部に沿って当接する。このようにして原稿Pの斜行補正が行われる。搬送ローラ6は、原稿Pの斜行補正が行われた後、所定のタイミングで原稿Pの搬送を開始する。
搬送ローラ6によって搬送される原稿Pは、搬送ローラ7によって搬送ローラ8へと搬送される。搬送ローラ8によって搬送された原稿Pの先端は、停止状態の搬送ローラ8のニップ部に当接する。そして、上述した方法で原稿Pの斜行補正が行われる。搬送ローラ8は、原稿Pの斜行補正が行われた後、所定のタイミングで原稿Pの搬送を開始する。
原稿Pの画像は、搬送ローラ8と搬送ローラ9との間における画像読取位置で読み取られる。その後、原稿Pは、排紙ローラ10によって排紙トレイ11へ排紙される。
なお、図1に示すように、原稿積載部2には、原稿積載部2に原稿が積載されているか否かを検知する原稿セットセンサSS1が設けられている。また、原稿が通過する搬送路には、原稿の先端を検知する(原稿の有無を検知する)シートセンサSS2、SS3が設けられている。
原稿読取装置200には、搬送される原稿の第1面の画像を読み取る原稿読取部16が設けられている。原稿読取部16に読み取られた画像情報は、画像印刷装置301へ出力される。
また、原稿読取装置200には、搬送される原稿の第2面の画像を読み取る原稿読取部17が設けられている。原稿読取部17に読み取られた画像情報は、原稿読取部16において説明した方法と同様にして画像印刷装置301へ出力される。
前述の如くして、原稿の読取が行われる。即ち、原稿給送装置201及び読取装置202は、原稿読取装置として機能する。
システムコントローラ251は、図2に示すように、CPU251a、ROM251b、RAM251cを備えている。また、システムコントローラ251は、原稿セットセンサSS1及びシートセンサSS2、SS3と接続されている。更に、システムコントローラ251は、搬送ローラ7を駆動するモータM1を制御するモータ制御装置261、揺動アーム12を回動するモータM2を制御するモータ制御装置262、原稿読取部16,17、画像印刷装置301等と接続されている。システムコントローラ251は、接続された各ユニットとの間でデータやコマンドの送受信をすることが可能である。なお、システムコントローラ251に接続されているユニットは図2に示すものに限らず、例えば、原稿読取装置200内部に設けられた負荷を駆動するモータを制御するモータ制御装置等のユニットも接続されている。
CPU251aは、ROM251bに格納された各種プログラムを読み出して実行することによって、予め定められた画像形成シーケンスに関連する各種シーケンスを実行する。
RAM251cは記憶デバイスである。RAM251cには、例えば、モータ制御装置に対する指令値及び原稿読取部16,17から受信される情報等の各種データが格納される。
システムコントローラ251は、各種装置から出力される信号に基づいて、原稿読取装置200を制御する。なお、本実施形態においては、モータ1個に対してモータ制御装置が1個設けられているが、これに限定されるものではない。例えば、モータ制御装置1個で複数個のモータを制御する構成であっても良い。また、図2においては、原稿読取装置200のモータとしてモータM1、M2のみが記載されているが、原稿読取装置200には3個以上のモータが設けられている。更に、図2においては、モータ制御装置が2個しか設けられていないが、3個以上のモータ制御装置が原稿読取装置200に設けられている。
前述の如くして、システムコントローラ251は、原稿読取装置200の動作シーケンスを制御する。
<画像印刷装置>
画像印刷装置301の内部には、シート収納トレイ302、304が設けられている。シート収納トレイ302、304には、それぞれ異なる種類の記録媒体を収納することができる。例えば、シート収納トレイ302にはA4サイズの普通紙が収納され、シート収納トレイ304にはA4サイズの厚紙が収納される。なお、記録媒体とは、画像形成装置によって画像が形成されるものであって、例えば、用紙、樹脂シート、布、OHPシート、ラベル等は記録媒体に含まれる。
シート収納トレイ302に収納された記録媒体は、ピックアップローラ303によって搬送方向へ送り出されて、搬送ローラ306によってレジストレーションローラ308へ送り出される。また、シート収納トレイ304に収納された記録媒体は、ピックアップローラ305によって給送されて、搬送ローラ307及び306によってレジストレーションローラ308へ送り出される。
読取装置202から出力された画像信号は、半導体レーザ及びポリゴンミラーを含む光走査装置311に入力される。また、感光ドラム309は、帯電器310によって外周面が帯電される。感光ドラム309の外周面が帯電された後、読取装置202から光走査装置311に入力された画像信号に応じたレーザ光が、光走査装置311からポリゴンミラー及びミラー312、313を経由し、感光ドラム309の外周面に照射される。この結果、感光ドラム309の外周面に静電潜像が形成される。
続いて、静電潜像が現像器314内のトナーによって現像され、感光ドラム309の外周面にトナー像が形成される。感光ドラム309に形成されたトナー像は、感光ドラム309と対向する位置(転写位置)に設けられた転写帯電器315によって記録媒体に転写される。この転写タイミングに合わせて、レジストレーションローラ308は記録媒体を転写位置へ送り込む。
前述の如くして、トナー像が転写された記録媒体は、搬送ベルト317によって定着器318へ送り込まれ、定着器318によって加熱加圧されて、トナー像が記録媒体に定着される。このようにして、画像形成装置100によって記録媒体に画像が形成される。
片面印刷モードで画像形成が行われる場合は、定着器318を通過した記録媒体は、排紙ローラ319、324によって、不図示の排紙トレイへ排紙される。また、両面印刷モードで画像形成が行われる場合は、定着器318によって記録媒体の第1面に定着処理が行われた後に、記録媒体は、排紙ローラ319、搬送ローラ320、及び反転ローラ321によって、反転パス325へと搬送される。その後、記録媒体は、搬送ローラ322、323によって再度レジストレーションローラ308へと搬送され、前述した方法で記録媒体の第2面に画像が形成される。その後、記録媒体は、排紙ローラ319、324によって不図示の排紙トレイへ排紙される。
また、第1面に画像形成された記録媒体がフェースダウンで画像形成装置100の外部へ排紙される場合は、定着器318を通過した記録媒体は、排紙ローラ319を通って搬送ローラ320へ向かう方向へ搬送される。その後、記録媒体の後端が搬送ローラ320のニップ部を通過する直前に搬送ローラ320の回転が反転することによって、記録媒体の第1面が下向きになった状態で、記録媒体が排紙ローラ324を経由して、画像形成装置100の外部へ排出される。
図1に示すように、画像印刷装置301には、シートを積載するシート積載部327が設けられている。シート積載部327に積載されたシートSは、搬送方向へ送り出されてピックアップローラ328によって搬送方向へ送り出され、その後、給送ローラ329によって搬送される。
ピックアップローラ328と給送ローラ329は揺動アーム330によって連結されている。揺動アーム330は、給送ローラ329の回転軸を中心にして回動できるように給紙ローラ329の回転軸によって支持されている。
給送ローラ329によって搬送ローラ306へ搬送されたシートには、上述の方法で画像が形成される。
以上が画像形成装置100の構成および機能についての説明である。なお、本実施形態における負荷とはモータによって駆動される対象物である。例えば、給送ローラ4、ピックアップローラ3、303、305、レジストレーションローラ308及び排紙ローラ319等の各種ローラ(搬送ローラ)は本実施形態における負荷に対応する。本実施形態のモータ制御装置は、これら負荷を駆動するモータに適用することができる。
図3は、画像印刷装置301の制御構成の例を示すブロック図である。システムコントローラ151は、図2に示すように、CPU151a、ROM151b、RAM151cを備えている。また、システムコントローラ151は、画像処理部112、操作部152、アナログ・デジタル(A/D)変換器153、高圧制御部155、モータ制御装置261、158、センサ類159、ACドライバ160と接続されている。システムコントローラ151は、接続された各ユニットとの間でデータやコマンドの送受信をすることが可能である。
CPU151aは、ROM151bに格納された各種プログラムを読み出して実行することによって、予め定められた画像形成シーケンスに関連する各種シーケンスを実行する。
RAM151cは記憶デバイスである。RAM151cには、例えば、高圧制御部155に対する設定値、モータ制御装置261に対する指令値及び操作部152から受信される情報等の各種データが記憶される。
システムコントローラ151は、画像処理部112における画像処理に必要となる、画像形成装置100の内部に設けられた各種装置の設定値データを画像処理部112に送信する。更に、システムコントローラ151は、センサ類159からの信号を受信して、受信した信号に基づいて高圧制御部155の設定値を設定する。
高圧制御部155は、システムコントローラ151によって設定された設定値に応じて、高圧ユニット156(帯電器310、現像器314、転写帯電器315等)に必要な電圧を供給する。
モータ制御装置261は、CPU151aから出力された指令に応じて、ピックアップローラ328及び給紙ローラ329を駆動するモータM3を制御する。また、モータ制御装置158は、CPU151aから出力された指令に応じて、搖動アーム330を駆動するモータM4を制御する。なお、図3においては、画像印刷装置のモータとしてモータM3、M4のみが記載されているが、画像形成装置には3個以上のモータが設けられている。また、1個のモータ制御装置が複数個のモータを制御する構成であっても良い。更に、図3においては、モータ制御装置が2個しか設けられていないが、3個以上のモータ制御装置が画像印刷装置に設けられている。
A/D変換器153は、定着ヒータ161の温度を検出するためのサーミスタ154が検出した検出信号を受信し、検出信号をアナログ信号からデジタル信号に変換してシステムコントローラ151に送信する。システムコントローラ151は、A/D変換器153から受信したデジタル信号に基づいてACドライバ160の制御を行う。ACドライバ160は、定着ヒータ161の温度が定着処理を行うために必要な温度となるように定着ヒータ161を制御する。なお、定着ヒータ161は、定着処理に用いられるヒータであり、定着器318に含まれる。
システムコントローラ151は、使用する記録媒体の種類(以下、紙種と称する)等の設定をユーザが行うための操作画面を、操作部152に設けられた表示部に表示するように、操作部152を制御する。システムコントローラ151は、ユーザが設定した情報を操作部152から受信し、ユーザが設定した情報に基づいて画像形成装置100の動作シーケンスを制御する。また、システムコントローラ151は、画像形成装置の状態を示す情報を操作部152に送信する。なお、画像形成装置の状態を示す情報とは、例えば、画像形成枚数、画像形成動作の進行状況、原稿読取装置201及び画像印刷装置301におけるシートのジャムや重送等に関する情報である。操作部152は、システムコントローラ151から受信した情報を表示部に表示する。
前述の如くして、システムコントローラ151は画像形成装置100の動作シーケンスを制御する。
[モータ制御装置]
次に、本実施形態におけるモータ制御装置261について説明する。本実施形態におけるモータ制御装置261は、ベクトル制御を用いてモータM1を制御する。なお、以下の説明においては、電気角としての回転位相θ、指令位相θ_ref及び電流の位相等に基づいて以下の制御が行われるが、例えば、電気角が機械角に変換され、当該機械角に基づいて以下の制御が行われてもよい。
<ベクトル制御>
まず、図4及び図5を用いて、本実施形態におけるモータ制御装置261がベクトル制御を行う方法について説明する。なお、以下の説明におけるモータには、モータの回転子の回転位相を検出するためのロータリエンコーダなどのセンサは設けられていないが、ロータリエンコーダなどのセンサが設けられていてもよい。
図4は、A相(第1相)とB相(第2相)との2相から成るステッピングモータ(以下、モータと称する)M1と、d軸及びq軸によって表される回転座標系との関係を示す図である。図4では、静止座標系において、A相の巻線に対応した軸であるα軸と、B相の巻線に対応した軸であるβ軸とが定義されている。また、図4では、回転子402に用いられている永久磁石の磁極によって作られる磁束の方向に沿ってd軸が定義され、d軸から反時計回りに90度進んだ方向(d軸に直交する方向)に沿ってq軸が定義されている。α軸とd軸との成す角度はθと定義され、回転子402の回転位相は角度θによって表される。ベクトル制御では、回転子402の回転位相θを基準とした回転座標系が用いられる。具体的には、ベクトル制御では、巻線に流れる駆動電流に対応する電流ベクトルの、回転座標系における電流成分であって、回転子にトルクを発生させるq軸成分(トルク電流成分)と巻線を貫く磁束の強度に影響するd軸成分(励磁電流成分)とが用いられる。
ベクトル制御とは、回転子の目標位相を表す指令位相と実際の回転位相との偏差が小さくなるようにトルク電流成分の値と励磁電流成分の値とを制御する位相フィードバック制御を行うことによってモータを制御する制御方法である。また、回転子の目標速度を表す指令速度と実際の回転速度との偏差が小さくなるようにトルク電流成分の値と励磁電流成分の値とを制御する速度フィードバック制御を行うことによってモータを制御する方法もある。
図5は、モータM1を制御するモータ制御装置261の構成の例を示すブロック図である。なお、モータ制御装置261は、少なくとも1つのASICで構成されており、以下に説明する各機能を実行する。
図5に示すように、モータ制御装置261は、ベクトル制御を行う回路として、位相制御器502、電流制御器503、座標逆変換器505、座標変換器511、モータの巻線に駆動電流を供給するPWMインバータ506等を有する。座標変換器511は、モータM1のA相及びB相の巻線に流れる駆動電流に対応する電流ベクトルを、α軸及びβ軸で表される静止座標系からq軸及びd軸で表される回転座標系に座標変換する。この結果、巻線に流れる駆動電流は、回転座標系における電流値であるq軸成分の電流値(q軸電流)とd軸成分の電流値(d軸電流)とによって表される。なお、q軸電流は、モータM1の回転子402にトルクを発生させるトルク電流に相当する。また、d軸電流は、モータM1の巻線を貫く磁束の強度に影響する励磁電流に相当する。モータ制御装置261は、q軸電流及びd軸電流をそれぞれ独立に制御することができる。この結果、モータ制御装置261は、回転子402にかかる負荷トルクに応じてq軸電流を制御することによって、回転子402が回転するために必要なトルクを効率的に発生させることができる。即ち、ベクトル制御においては、図4に示す電流ベクトルの大きさは、回転子402にかかる負荷トルクに応じて変化する。
モータ制御装置261は、モータM1の回転子402の回転位相θを後述する方法により決定し、その決定結果に基づいてベクトル制御を行う。CPU251aは、モータ509の回転子402の目標位相を表す指令位相θ_refを生成し、指令位相θ_refをモータ制御装置157へ出力する。なお、実際には、CPU251aはモータ制御装置157に対してパルス信号を出力しており、パルスの数が指令位相に対応し、パルスの周波数が目標速度に対応する。指令位相θ_refは、例えば、モータ509の目標速度に基づいて生成される。
減算器101は、モータM1の回転子402の回転位相θと指令位相θ_refとの偏差Δθを演算して出力する。
位相制御器502は、偏差Δθを周期T(例えば、200μs)で取得する。位相制御器502は、比例制御(P)、積分制御(I)、微分制御(D)に基づいて、減算器101から取得する偏差Δθが小さくなるように、q軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成して出力する。具体的には、位相制御器502は、P制御、I制御、D制御に基づいて減算器101から取得する偏差Δθが0になるように、q軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成して出力する。なお、P制御とは、制御する対象の値を指令値と推定値との偏差に比例する値に基づいて制御する制御方法である。また、I制御とは、制御する対象の値を指令値と推定値との偏差の時間積分に比例する値に基づいて制御する制御方法である。また、D制御とは、制御する対象の値を指令値と推定値との偏差の時間変化に比例する値に基づいて制御する制御方法である。本実施形態における位相制御器502は、PID制御に基づいてq軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成するが、これに限定されるものではない。例えば、位相制御器502は、PI制御に基づいてq軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成しても良い。なお、本実施形態においては、巻線を貫く磁束の強度に影響するd軸電流指令値id_refは0に設定されるが、これに限定されるものではない。
モータM1のA相の巻線に流れる駆動電流は、電流検出器507によって検出され、その後、A/D変換器510によってアナログ値からデジタル値へと変換される。また、モータM1のB相の巻線に流れる駆動電流は、電流検出器508によって検出され、その後、A/D変換器510によってアナログ値からデジタル値へと変換される。なお、電流検出器507、508が電流を検出する周期は、例えば、位相制御器502が偏差Δθを取得する周期T以下の周期(例えば、25μs)である。
A/D変換器510によってアナログ値からデジタル値へと変換された駆動電流の電流値は、静止座標系における電流値iα及びiβとして、図3に示す電流ベクトルの位相θeを用いて次式によって表される。なお、電流ベクトルの位相θeは、α軸と電流ベクトルとの成す角度と定義される。また、Iは電流ベクトルの大きさを示す。
iα=I*cosθe (1)
iβ=I*sinθe (2)
これらの電流値iα及びiβは、座標変換器511と誘起電圧決定器512とに入力される。
座標変換器511は、次式によって、静止座標系における電流値iα及びiβを回転座標系におけるq軸電流の電流値iq及びd軸電流の電流値idに変換する。
id= cosθ*iα+sinθ*iβ (3)
iq=−sinθ*iα+cosθ*iβ (4)
座標変換器511は、変換された電流値iqを減算器102に出力する。また、座標変換器511は、変換された電流値idを減算器103に出力する。
減算器102は、q軸電流指令値iq_refと電流値iqとの偏差を演算し、該偏差を電流制御器503に出力する。
また、減算器103は、d軸電流指令値id_refと電流値idとの偏差を演算し、該偏差を電流制御器503に出力する。
電流制御器503は、PID制御に基づいて、入力される偏差がそれぞれ小さくなるように駆動電圧Vq及びVdを生成する。具体的には、電流制御器503は、入力される偏差がそれぞれ0になるように駆動電圧Vq及びVdを生成して座標逆変換器505に出力する。なお、本実施形態における電流制御器503は、PID制御に基づいて駆動電圧Vq及びVdを生成しているが、これに限定されるものではない。例えば、電流制御器503は、PI制御に基づいて駆動電圧Vq及びVdを生成しても良い。
座標逆変換器505は、電流制御器503から出力された回転座標系における駆動電圧Vq及びVdを、次式によって、静止座標系における駆動電圧Vα及びVβに逆変換する。
Vα=cosθ*Vd−sinθ*Vq (5)
Vβ=sinθ*Vd+cosθ*Vq (6)
座標逆変換器505は、逆変換されたVα及びVβを誘起電圧決定器512及びPWMインバータ506に出力する。
PWMインバータ506は、フルブリッジ回路を有する。フルブリッジ回路は座標逆変換器505から入力された駆動電圧Vα及びVβに基づくPWM(パルス幅変調)信号によって駆動される。その結果、PWMインバータ506は、駆動電圧Vα及びVβに応じた駆動電流iα及びiβを生成し、駆動電流iα及びiβをモータM1の各相の巻線に供給することによって、モータM1を駆動させる。なお、本実施形態においては、PWMインバータはフルブリッジ回路を有しているが、PWMインバータはハーフブリッジ回路等であっても良い。
次に、回転位相θの決定方法について説明する。回転子402の回転位相θの決定には、回転子402の回転によってモータM1のA相及びB相の巻線に誘起される誘起電圧Eα及びEβの値が用いられる。誘起電圧の値は誘起電圧決定器512によって決定(算出)される。具体的には、誘起電圧Eα及びEβは、A/D変換器510から誘起電圧決定器512に入力された電流値iα及びiβと、座標逆変換器505から誘起電圧決定器512に入力された駆動電圧Vα及びVβとから、次式によって決定される。
Eα=Vα−R*iα−L*diα/dt (7)
Eβ=Vβ−R*iβ−L*diβ/dt (8)
ここで、Rは巻線レジスタンス、Lは巻線インダクタンスである。巻線レジスタンスR及び巻線インダクタンスLの値は使用されているモータM1に固有の値であり、ROM151bに予め格納されている。
誘起電圧決定器512によって決定された誘起電圧Eα及びEβは位相決定器513に出力される。
位相決定器513は、誘起電圧決定器512から出力された誘起電圧Eαと誘起電圧Eβとの比に基づいて、次式によってモータM1の回転子402の回転位相θを決定する。
θ=tan^−1(−Eβ/Eα) (9)
なお、本実施形態においては、位相決定器513は、式(9)に基づく演算を行うことによって回転位相θを決定したが、この限りではない。例えば、位相決定器513は、ROM151b等に記憶されている、誘起電圧Eα及び誘起電圧Eβと誘起電圧Eα及び誘起電圧Eβとに対応する回転位相θとの関係を示すテーブルを参照することによって回転位相θを決定してもよい。
前述の如くして得られた回転子402の回転位相θは、減算器101、座標逆変換器505、座標変換器511に入力される。
モータ制御装置261は、ベクトル制御を行う場合は、上述の制御を繰り返し行う。
以上のように、本実施形態におけるモータ制御装置261は、指令位相θ_refと回転位相θとの偏差が小さくなるように回転座標系における電流値を制御する位相フィードバック制御を用いたベクトル制御を行う。ベクトル制御を行うことによって、余剰トルクに起因してモータ音が増大することや消費電力が増大することを抑制することができる。
[搬送ローラの駆動構成]
画像形成装置100において搬送可能なシート(仕様範囲内のシート)ではない仕様範囲外のシートが搬送されると、搬送ローラを駆動するモータにかかる負荷トルクが増大し、モータが脱調してしまう。モータが脱調すると当該モータの駆動対象である搬送ローラを駆動することができなくなり、当該搬送ローラの位置においてシートが滞留してしまう。この状態でシートの搬送が継続されると、前記搬送ローラの上流から当該搬送ローラまで搬送されたシートが、滞留しているシートに接触し、シートにダメージを与えてしまう可能性がある。なお、本実施形態における仕様範囲内のシートには、例えば、坪量が予め定められた量よりも小さいシートが含まれる。
本実施形態では、以下の構成が適用されることにより、シートにダメージを与えてしまうことが抑制される。
図6は、原稿給送装置201の構成を説明する図である。図6に示すように、搬送ローラ7は、原稿Pが搬送される搬送方向における給送ローラ4のニップ部よりも下流側において、搬送ガイドが鉛直方向における下方に向けて屈曲する領域に設けられている。なお、搬送ガイドが鉛直方向における下方に向けて屈曲する領域は、図6における位置Aよりも下流側に設けられている。
図6に示すように、シートセンサSS2の検知結果はCPU251aに入力される。CPU251aは、シートセンサSS2がシートの先端を検知したことを示す信号が入力されてから所定時間が経過した後に、モータ制御装置261からの偏差Δθのサンプリングを第2所定時間行う。
なお、本実施形態では、所定時間は、搬送されるシートの先端がシートセンサSS2の検知位置から搬送ローラ7のニップ位置まで搬送されるのに要する時間よりも短い時間に設定される。本実施形態では、例えば、シートセンサSS2がシートの先端を検知してから所定時間が経過した後の当該シートの先端の位置が位置Bとなるように、所定時間が設定されている。即ち、CPU251aによる偏差Δθのサンプリングは、シートの先端がシートセンサSS2の検知位置を通過した後且つ搬送ローラ7のニップ位置に到達するよりも前に開始される。
また、本実施形態では、第2所定時間は、搬送されるシートの先端が位置Bから搬送ローラ7のニップ位置まで搬送されるのに要する時間よりも長い時間に設定される。本実施形態では、例えば、シートの先端が位置Bを通過してから第2所定時間が経過した後の当該シートの先端の位置が位置Cとなるように、第2所定時間が設定されている。即ち、CPU251aによる偏差Δθのサンプリングは、シートの先端が搬送ローラ7のニップ位置に到達した後に終了される。
このように、本実施形態では、シートの先端が搬送ローラ7のニップ位置よりも上流側の所定位置に到達したタイミングからシートの先端が搬送ローラ7のニップ位置よりも下流側の第2所定位置に到達するタイミングまで、CPU251aによる偏差Δθのサンプリングが行われる。
シートの先端が搬送ローラ7のニップ部に突入する際には、搬送ローラ7のニップ部へと搬送されるシートが搬送ローラ7にぶつかることに起因して搬送ローラ7にかかる負荷トルクは増大する。搬送ローラ7にかかる負荷トルクが増大すると、モータM1の回転子にかかる負荷トルクが増大することに起因して偏差Δθも増大する。
本実施形態においては、搬送ローラ7は搬送ガイドが鉛直方向における下方に向けて屈曲する領域に設けられているため、シートは搬送ガイドに沿って屈曲した状態で搬送ローラ7のニップ部に突入する。搬送されるシートの坪量が大きいほど、また、搬送されるシートのコシが強いほど、搬送ローラ7のニップ部へと搬送されるシートが搬送ローラ7にぶつかるときに搬送ローラ7に与えられる衝撃は大きくなる。即ち、搬送されるシートの坪量が大きいほど、また、搬送されるシートのコシが強いほど、シートの先端が搬送ローラ7のニップ部に突入するときの搬送ローラ7にかかる負荷トルクの増大量は大きい。搬送ローラ7にかかる負荷トルクの増大量が大きいほど、偏差Δθの増大量も大きくなる。
図7は、モータの回転速度とモータの出力トルクとの関係の一例を示す図である。図7に示すように、モータの回転速度が大きくなるほどモータの出力トルクは小さくなる。
本実施形態では、CPU251aは、ジョブが開始されると、モータM1が回転速度V1で回転するようにモータ制御装置261を制御する。そして、CPU251aは、サンプリングした偏差Δθが所定値としての閾値Δθth以上になると、モータM1が回転速度V1よりも遅い回転速度V2で回転するようにモータ制御装置261を制御する。即ち、CPU251aは、サンプリングした偏差Δθが所定値としての閾値Δθth以上になると、シートの搬送速度をより遅くする。この結果、モータの出力トルクをより大きくすることができるため、仕様範囲外のシートが搬送されたとしてもモータが脱調してしまうことを抑制することができる。
なお、閾値Δθthは、画像形成装置100の仕様範囲内のシートが搬送される場合に、当該シートの先端が搬送ローラ7のニップ部に突入するときに増大する偏差Δθが当該閾値Δθthを超えないような値(増大する偏差Δθのピーク値より大きい値)に設定される。また、閾値Δθthは、画像形成装置100の仕様範囲外のシートが搬送される場合に、当該シートの先端が搬送ローラ7のニップ部に突入するときに増大する偏差Δθが当該閾値Δθthを超えるような値(増大する偏差Δθのピーク値より小さい値)に設定される。即ち、偏差Δθが閾値Δθthを超えることは、仕様範囲外のシートが搬送されていることを意味する。
図8は、本実施形態におけるモータの制御方法を説明するフローチャートである。このフローチャートの処理は、CPU251aによって実行される。
S1001において、CPU251aは、モータM1が回転速度V1で回転するようにモータ制御装置261を制御する。
次にS1002において、シートセンサSS2がシートの先端を検知すると、処理はS1003へ進む。
S1003において、シートセンサSS2がシートの先端を検知してから所定時間が経過すると、S1004において、CPU251aは、偏差Δθのサンプリングを開始する。
S1005において、偏差Δθのサンプリングを開始してから第2所定時間が経過した場合は、S1006において、CPU251aは、偏差Δθのサンプリングを終了し、処理をS1007に進める。
S1007において、印刷ジョブが終了しない場合は、処理はS1002に戻る。
一方、S1007において、印刷ジョブが終了する場合は、S1008において、CPU251aは、モータM1の駆動を停止するようにモータ制御装置261を制御し、このフローチャートの処理を終了する。
また、S1005において、偏差Δθのサンプリングを開始してから第2所定時間が経過していない場合は、処理はS1009に進む。
S1009において、偏差Δθが閾値Δθth未満である場合は、処理はS1005に戻る。
一方、S1009において、偏差Δθが閾値Δθth以上である場合は、S1010において、CPU251aは、モータM1が回転速度V2で回転するようにモータ制御装置261を制御する。なお、CPU251aは、偏差Δθが閾値Δθth以上である場合は、仕様範囲外のシートが搬送されていると判定する。
その後、S1011において、CPU251aは、仕様範囲外のシートが搬送されていることを示す情報、及び、シートの搬送速度を減速したこと示す情報を操作部152に設けられた表示部に表示する指示をシステムコントローラ151に出力する。この結果、仕様範囲外のシートが搬送されていることがユーザに通知される。
以上のように、本実施形態では、シートの先端が搬送ローラ7のニップ部に突入する際に増大する偏差Δθに基づいて、シートの搬送が制御される。具体的には、偏差Δθが閾値Δθth以上になると、モータM1が回転速度V1よりも遅い回転速度V2で回転するようにモータ制御装置261を制御する。即ち、CPU251aは、サンプリングした偏差Δθが所定値としての閾値Δθth以上になると、シートの搬送速度をより遅くする。この結果、モータの出力トルクをより大きくすることができるため、仕様範囲外のシートが搬送されたとしてもモータが脱調してしまうことを抑制することができる。つまり、ジャムが生じることを抑制することができる。この結果、シートが滞留した状態でシートの搬送が継続されることに起因してシートにダメージを与えてしまうことを抑制することができる。
また、本実施形態では、搬送ローラ7は搬送ガイドが鉛直方向における下方に向けて屈曲する領域に設けられているため、シートは搬送ガイドに沿って屈曲した状態で搬送ローラ7のニップ部に突入する。この結果、搬送されるシートが搬送ローラ7にぶつかるときに搬送ローラ7に与えられる衝撃は大きくなり偏差Δθの増大量は大きくなる。その結果仕様範囲外のシートをより高精度に検出することができ、当該仕様範囲外のシートや搬送ローラにダメージを与えてしまうことを抑制することができる。
なお、本実施形態では、シートの先端が搬送ローラ7のニップ位置よりも上流側の所定位置に到達したタイミングからシートの先端が搬送ローラ7のニップ位置よりも下流側の第2所定位置に到達するタイミングまで、偏差Δθのサンプリングが行われたがこの限りではない。例えば、CPU251aは、モータM1の駆動が開始されてから停止されるまでの期間、サンプリングを行ってもよい
また、本実施形態におけるベクトル制御では、位相フィードバック制御を行うことによってモータを制御しているが、これに限定されるものではない。例えば、回転子402の回転速度ωをフィードバックしてモータを制御する構成であっても良い。具体的には、図9に示すように、モータ制御装置内部に速度決定器514を設け、速度決定器514が位相決定器513から出力された回転位相θの時間変化に基づいて回転速度ωを決定する。なお、速度の決定には、以下の式(10)が用いられるものとする。
ω=dθ/dt (10)
そして、CPU151aは回転子の目標速度を表す指令速度ω_refを出力する。更に、モータ制御装置内部に速度制御器600を設け、速度制御器600が回転速度ωと指令速度ω_refとの偏差が小さくなるように、q軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成して出力する構成とする。このような速度フィードバック制御を行うことによって、モータを制御する構成であっても良い。
また、本実施形態では、偏差Δθに基づいてシートの搬送が制御されたが、この限りではない。例えば、回転子の回転速度ωと指令速度ω_refとの偏差Δωに基づいてシートの搬送が制御されてもよい。
また、例えば、座標変換器511から出力される電流値iqと閾値iqthとの比較によりシートの搬送が制御されてもよい。なお、電流値iqが増大したことはモータの回転子にかかる負荷トルクが増大したことを意味し、電流値iqが減少したことはモータの回転子にかかる負荷トルクが減少したことを意味する。
また、指令位相θ_refと位相決定器513によって決定された回転位相θとの偏差に基づいて決定されたq軸電流指令値(目標値)iq_refと閾値iq_refthとの比較によりシートの搬送が制御されてもよい。なお、q軸電流指令値iq_refが増大したことはモータの回転子にかかる負荷トルクが増大したことに起因して回転子が回転するために必要なトルクが増大したことを意味し、q軸電流指令値iq_refが減少したことはモータの回転子にかかる負荷トルクが減少したことに起因して回転子が回転するために必要なトルクが減少したことを意味する。
なお、偏差Δθ、Δω、電流値iq、電流値iq_refは、モータの回転子にかかる負荷トルクに対応するパラメータの値に対応する。
本実施形態が適用されるのは、ベクトル制御によるモータ制御に限らない。例えば、回転位相や回転速度をフィードバックする構成を有するモータ制御装置であれば本実施形態は適用される。
なお、本実施形態においては、負荷を駆動するモータとしてステッピングモータが用いられているが、DCモータ等の他のモータであっても良い。また、モータは2相モータである場合に限らず、3相モータ等の他のモータであっても本実施形態を適用することができる。
また、本実施形態においては、回転子として永久磁石が用いられているが、これに限定されるものではない。
7 搬送ローラ
251a CPU
261 モータ制御装置
402 回転子
502 位相制御器
M1 ステッピングモータ

Claims (9)

  1. シートを搬送する搬送ローラと、
    前記搬送ローラを駆動するモータと、
    前記モータの回転子の回転位相を決定する位相決定手段と、
    前記位相決定手段によって決定された回転位相を基準とする回転座標系において表される電流成分であって、前記回転子にトルクを発生させる電流成分であるトルク電流成分の値と前記トルク電流成分の目標値との偏差が小さくなるように、前記モータの巻線に流れる駆動電流を制御する制御手段と、
    を有し、
    前記制御手段は、前記位相決定手段によって決定された回転位相と前記回転子の目標位相を表す指令位相との偏差が小さくなるように、前記トルク電流成分の目標値を設定し、
    前記制御手段は、前記回転子にかかる負荷トルクに対応するパラメータの値が所定値より小さい場合は前記モータを第1の回転速度で回転させ、前記負荷トルクに対応するパラメータの値が前記所定値より大きい場合は前記モータを前記第1の回転速度よりも遅い第2の回転速度で回転させることを特徴とするシート搬送装置。
  2. シートを搬送する搬送ローラと、
    前記搬送ローラを駆動するモータと、
    前記モータの回転子の回転位相を決定する位相決定手段と、
    前記回転子の回転速度を決定する速度決定手段と、
    前記位相決定手段によって決定された回転位相を基準とする回転座標系において表される電流成分であって、前記回転子にトルクを発生させる電流成分であるトルク電流成分の値と前記トルク電流成分の目標値との偏差が小さくなるように、前記モータの巻線に流れる駆動電流を制御する制御手段と、
    を有し、
    前記制御手段は、前記速度決定手段によって決定された回転速度と前記回転子の目標速度を表す指令速度との偏差が小さくなるように、前記トルク電流成分の目標値を設定し、
    前記制御手段は、前記回転子にかかる負荷トルクに対応するパラメータの値が所定値より小さい場合は前記モータを第1の回転速度で回転させ、前記負荷トルクに対応するパラメータの値が前記所定値より大きい場合は前記モータを前記第1の回転速度よりも遅い第2の回転速度で回転させることを特徴とするシート搬送装置。
  3. 前記シート搬送装置は、
    前記負荷トルクに対応するパラメータの値が前記所定値より大きい場合に、前記原稿給送装置における仕様範囲外の原稿が搬送されていると判定する判定手段と、
    前記判定手段によって前記仕様範囲外の原稿が搬送されていると判定された場合に、前記仕様範囲外の原稿が搬送されていることを示す情報を通知する通知手段と、
    を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のシート搬送装置。
  4. 前記仕様範囲外の原稿は、原稿の坪量が所定の坪量よりも大きい原稿であることを特徴とする請求項3に記載のシート搬送装置。
  5. 前記シート搬送装置は、
    前記シートを積載する積載部と、
    前記積載部に積載されたシートを給送するピックアップローラと、
    前記シートが搬送される搬送方向において前記ピックアップローラよりも下流側且つ前記搬送ローラよりも上流側に設けられた第2搬送ローラと、
    前記第2搬送ローラと対向する位置に設けられ、前記ピックアップローラによって重なった状態で搬送された複数枚の原稿を分離する分離部材と、
    を有し、
    前記搬送ローラは、前記搬送方向において前記第2搬送ローラと前記分離手段とのニップ位置よりも下流側且つ前記シートが搬送される搬送路が屈曲している領域に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシート搬送装置。
  6. 前記負荷トルクに対応するパラメータの値は、前記屈曲した搬送路により前記シートが屈曲している状態で当該シートの先端が前記第2搬送ローラのニップ部に突入することに起因して増大することを特徴とする請求項5に記載の原稿給送装置。
  7. 前記負荷トルクに対応するパラメータは、前記偏差であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のシート搬送装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載のシート搬送装置と、
    前記シート搬送装置によって搬送された前記原稿を読み取る読取手段と、
    を有することを特徴とする原稿読取装置。
  9. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載のシート搬送装置と、
    記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
    を有し、
    前記画像形成手段は、前記シート搬送装置によって搬送された前記記録媒体に画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
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