以下、図面を参照して、本開示に係るステープル取り外し装置100の一例について説明する。
[ステープル取り外し装置100の全体構成例]
図1は本実施の形態に係るステープル取り外し装置100を斜め前方から見た斜視図、図2は本実施の形態に係るステープル取り外し装置100を斜め後方から見た斜視図、図3は本実施の形態に係るステープル取り外し装置100の断面図である。
ステープル取り外し装置100は、ステープルにより綴じて作成した用紙束からステープルを自動で取り外すための装置である。ステープル取り外し装置100は、略直方体状の筐体102と、筐体102の上面部に設けられた用紙束を載置する載置台(載置部)104と、載置台104上に載置された用紙束を押さえる紙押さえ機構部170とを備える。載置台104と紙押さえ機構部170との間には、用紙束を挿入するための用紙束挿入口105が設けられている。
なお、本実施の形態において、紙押さえ機構部170(筐体102から露出している部分)が設けられる側をステープル取り外し装置100の後側とし、その反対側をステープル取り外し装置100の前側とする。また、後述するブレード調整ノブ106が設けられる側をステープル取り外し装置100の左側とし、その反対側をステープル取り外し装置100の右側とする。また、載置台104側が設けられる側をステープル取り外し装置100の上側とし、その反対側をステープル取り外し装置100の下側とする。
紙押さえ機構部170の上面部には、使用者が操作することでステープル取り外し装置100が動作を開始する起動スイッチ108が設けられている。また、紙押さえ機構部170の内部には、起動スイッチ108及び照射部材199を支持する基板197を備える。筐体102の左側面の前部には、楔板112の載置台104に対する突出量を調整するためのブレード調整ノブ106が設けられている。筐体102の後部には、用紙束から取り外したステープルを収容するダストボックス202が設けられている。ダストボックス202は、筐体102の後部から着脱可能に構成される。
起動スイッチ108は紙押さえ機構部170の上面の左右方向のほぼ中央に配置される。より具体的には、ステープル取り外し装置100の左右方向のほぼ中央、ステープル取り外しが行なわれる位置の後側に配置される。ステープル取り外し時に用紙束Pは動かないよう使用者により把持さる場合がある。この場合、使用者は綴じ位置により右手又は左手の把持しやすい方の手で把持し、反対側の手で起動スイッチ108を操作することになり左右どちらの手でも操作を行なう可能性がある。よって、起動スイッチ108を紙押さえ機構部170の上面の左右方向の略中央に配置することで、左右どちらの手でも同等に操作することができる。また、起動スイッチ108はステープル取り外しが行なわれる位置の後側に配置されることで、操作時に用紙束Pによって隠されることが無く、操作を行ないやすい。
図4Aは図3に示す紙押さえ機構部170の要部拡大図、図4Bは本実施の形態に係る用紙束Pの説明図、図4Cは紙押さえ機構部170の照明部196の照射範囲Rを示す図、図5はステープル取り外し装置100の内部構成を示す斜視図、図6はステープル抜き機構部110Aの斜視図、図7はステープル抜き機構部110Aの分解斜視図、図8はステープル押さえ機構160の要部斜視図である。なお、図4Aでは、便宜上用紙束Pを載置台104上に載置した状態を示す。
ステープル取り外し装置100は、用紙束PからステープルSを引き抜くステープル抜き機構部110Aと、載置台104上に載置された用紙束Pを押さえる紙押さえ機構部170と、ステープル抜き機構部110Aと紙押さえ機構部170とを駆動する駆動部205を備える。ステープル抜き機構部110Aは筐体102の内部に設けられ、紙押さえ機構部170は筐体102の内部から外部に跨って設けられる。
まず、図4A、図4B及び図4Cを参照してステープルSで綴じられた用紙束Pについて説明する。ステープルSは、クラウン部Saと、クラウン部Saの長手方向の両端部を折り曲げて形成される一対の脚部Sb,Sbを有する。用紙束Pは、ステープルSの一対の脚部Sb,Sbを積層された複数枚の用紙の最下層の用紙の第1用紙面Paから最上層の用紙の第2用紙面Pbに向けて貫通させ、貫通した脚部Sb,Sbを内側に折り曲げて綴じることで作成される。ステープルSの綴じ位置は、例えば用紙の角部や縁部である。本実施の形態では、このような用紙束PからステープルSを取り除く。
図3、図4A及び図4B等に戻り、駆動部205は、例えばDCモータで構成されるモータ206と、図示しない複数のギアを介して駆動軸144に接続されている。モータ206は、例えば起動スイッチ108のオンにより駆動し、駆動軸144を回転させることで、ステープル抜き機構部110A及び紙押さえ機構部170を駆動する。具体的には、駆動部205は、載置台104に用紙束Pが載置された状態において楔板112の先端部をクラウン部Saと第1用紙面Paとの間又はその近傍の高さに保持しつつ、移動部111を第1用紙面Paに沿うようにしてクラウン部Saに向けて移動させ、楔板112の先端部をクラウン部Saと第1用紙面Paとの間に挿入させる。なお、本実施の形態において、楔板112の筐体102内の前側から後側への移動を前進とし、筐体102内の後側から前側への移動を後退とする。また、楔板112の前進する方向を挿入方向Dとする。
ステープル抜き機構部110Aは、クラウン部Saと一対の脚部Sb,SbからなるステープルSにより綴じられ、クラウン部Saが露出する第1用紙面Paと脚部Sb,Sbが露出する第2用紙面Pbとを含む用紙束Pを載置可能な載置台104と、載置台104に用紙束Pが載置された状態において第1用紙面Paと対向する位置に配置され、第1用紙面Paに沿う方向に移動可能であって、先端に向けて楔状に傾斜する先端部を持つ楔板112を有する移動部111と、載置台104に用紙束Pが載置された状態において、第1用紙面Paと対向する位置に配置され、少なくとも楔板112の先端部がクラウン部Saと第1用紙面Paとの間に挿入された後、楔板112の先端部の挿入方向Dとは反対方向からクラウン部Saに当接するように配置される当接部162bを有するステープル押さえ機構160とを備える。
移動部111は、筐体102の前側から後側に移動可能であるとともに挿入方向Dと反対の方向に移動可能な楔板112と、楔板112を支持する楔板支持部114と、用紙束Pから引き抜かれたステープルSのクラウン部Saを支持するクラウンホルダ116とを有する。
楔板112は、図7等に示すように、第1用紙面Paと対向する第1面112aと、第1面112aと反対側に位置する第2面112bとを含み、その先端部が用紙束Pとクラウン部Saとの間に挿入されることで用紙束Pからクラウン部Saを引き抜く。楔板112は、細長の板状部材であって、用紙束とステープルSのクラウン部Saとの間に挿入し易いように先端側が先細り形状となっている。より具体的には、楔板112の先端側は、先端部に向かって板厚が徐々に薄くなるように構成されている。楔板112の基端部は、楔板支持部114に取り付けられている。
楔板支持部114は、平板を折り曲げ加工して形成される部材であって、その天面部114c(図7参照)の下面に楔板112が取り付けられる。楔板支持部114の下部には、軸孔を介して楔板軸118が取り付けられている。楔板軸118は、楔板112を用紙束面(載置台104)に沿って平行に移動させるための軸である。楔板支持部114の前部には、軸孔を介して楔板ドライブ軸126が取り付けられている。楔板ドライブ軸126は、楔板112を前進及び後退移動させる軸である。
クラウンホルダ116は、用紙束Pから引き抜かれたステープルSのクラウン部Saを支持するための部材であり、楔板112に対向するとともに楔板支持部114の内側に配置される。また、クラウンホルダ116は、図7に示すように、金属板を折り曲げ加工して形成される部材であって、支持板116aを有する。支持板116aの後端側には、支持板116aの後端部から略中央部に亘って凹状に切り欠かれた溝116bが形成されている。溝116bは、クラウンホルダ116が前進及び後退する際に、ステープル押さえ部162を衝突させずに通すための溝である。クラウンホルダ116の側壁の下部には、軸孔を介して楔板軸118が取り付けられている。クラウンホルダ116の側壁の前部には、軸孔を介して楔板ドライブ軸126が取り付けられている。このような構成により、クラウンホルダ116は、楔板112と一体で前進及び後退移動できるようになっている。
ステープル押さえ機構160は、図8に示すように、平面的視凸状の板材で形成されるステープル押さえ部162と、ステープル押さえ部162を支持する支持部材163とを備える。
ステープル押さえ部162は、本体162aと、本体162aに連続し、本体162aの上端中央部から上方に突出する当接部162bとを有する。当接部162bは、第1用紙面Pa(図4A参照)と離間する方向に移動可能であり、楔板112の先端部がクラウン部Saと第1用紙面Paとの間に挿入されて挿入方向Dに移動するのに伴い、クラウン部Saが先端部の傾斜面112bsにより第1用紙面Paと離間する方向に移動するとき、第2面112bの傾斜面112bsに当接しながらクラウン部Saの移動に追従して第1用紙面Paと離間する方向に移動する。
また、当接部162bは、その平面が楔板112及びクラウン部Saに対向して配置され、楔板112によって押されるクラウン部Saを当接可能に構成される。つまり、当接部162bの平面は、楔板112の挿入方向Dに対して略直交している。当接部162bの左右方向の幅は、例えば、楔板112の押し込み力でクラウン部Saを支持可能で、かつクラウンホルダ116の溝116bに挿入可能な長さに選定される。本実施の形態では、ステープルSのクラウン部Saの長手方向の長さよりも若干短い長さで構成される。
当接部162bは、図4Aに示すように、載置台104上に載置された用紙束PのステープルSのクラウン部Saに対して楔板112の挿入方向Dの下流側(後方)に配置される。また、当接部162bは、その上端部が載置台104の表面104aから一定の距離となるように配置される。ここで、一定の距離とは、用紙束Pとクラウン部Saとの間に挿入され、前進する楔板112の先端部が当接部162bに衝突することなく、かつ、楔板112の押し込みで移動するステープルSのクラウン部Saが必ず当接部162bに当接する、つまり空振りしない距離である。
支持部材163は、図4A、図6〜図8に示すように、ステープル押さえ部162の本体162aの両側面部から後方側に折り曲げられた一対の平板部材で構成される。支持部材163の後部には軸孔を介して軸158が取り付けられる。支持部材163の下端部には、外側に突出するリブ部163bが形成されている。リブ部163bには、後述するエジェクタレバー154の下端部が当接可能に設けられる。これにより、エジェクタレバー154が下方に移動すると、リブ部163bが下方に付勢され、支持部材163及びステープル押さえ部162が下方に移動できるようになっている。支持部材163の前側上端部には、上縁から上方に突出する凸部163cが形成されている。凸部163cは、載置台104の裏面に当接し、引張バネ164によって載置台104側に付勢される。これにより、支持部材163に取り付けられるステープル押さえ部162を一定の高さで保持できるようになっている。
図4A、図6及び図7に示すように、エジェクタ156は、エジェクタレバー154の前部に軸155を介して回動可能に取り付けられ、楔板112とクラウンホルダ116との間に挿入可能に構成される。エジェクタ156は、ステープルSを引き抜いて楔板112及びクラウンホルダ116が後退する際に、クラウンホルダ116によって保持されるクラウン部Saに当接してステープルSを下方のダストボックス202内に落下させる。
エジェクタレバー154は、一対の平板部材を含み、ステープル押さえ機構160の支持部材163の外側に重なるようにして配置されるとともに、支持部材163のリブ部163bに支持される。エジェクタレバー154の後部には軸孔を介して軸158が取り付けられており、エジェクタレバー154が軸158を支点として回動可能に構成されている。
エジェクタレバー154は、天面部154aを有する。天面部154aには引張バネ164の一端部が取り付けられ、引張バネ164(図6,図7参照)の他端部がステープル押さえ機構160の一方側の支持部材163に形成された取付片163dに取り付けられている。これにより、ステープル押さえ機構160は、エジェクタレバー154の動作に連動して一体的に動作する。
引き下げリンク140は、図3及び図7に示すように、例えば金属板を折り曲げ加工して形成される一対の平板部材を含み、クラウンホルダ116の下方かつ内側のそれぞれに配置される。引下げリンク140には、前後方向に沿って延びる長孔141が形成されている。長孔141の長径は、楔板112の前後方向における移動範囲に基づいて決定される。長孔141には、楔板軸118がスライド可能に挿通される。これにより、楔板軸118に取り付けられた楔板112及びクラウンホルダ116が、引き下げリンク140の長孔141の長径方向に沿って移動することで前進及び後退できるようになっている。また、引き下げリンク140の前端部には調整支点軸122が取り付けられ、引き下げリンク140が調整支点軸122を支点として回動可能に構成されている。
長孔141の下端縁には、上方に突出する突出部141aが形成されている。突出部141aの長径方向の長さ(区間)は、楔板112が用紙束Pの第1用紙面Paとクラウン部Saとの間に挿入されるまで、楔板112が持ち上げて第1用紙面Paに押し付けられた状態を維持できる長さで構成される。これは、楔板112が一度用紙束Pとクラウン部Saとの間に挿入されれば、その状態が保持されるため、それ以降は楔板112を持ち上げる必要がないからである。これにより、用紙束Pに楔板112を押し付ける力が常時作用することを防止できるので、用紙束Pへのダメージを防止することができる。
図9A及び図9Bは、ドライブレバー120、ドライブカム128及びドライブカムローラー130の側面図である。
ドライブレバー120は、逆三角形状からなる一対の平板部材を含み、引き下げリンク140の外側にそれぞれ配置される。ドライブレバー120の下端部には支点軸124が取り付けられ、ドライブレバー120が支点軸124を支点として回動可能となっている。ドライブレバー120の前部上端から突出する部位には、軸孔を介して楔板ドライブ軸126が取り付けられている。これにより、ドライブレバー120が回動すると、楔板ドライブ軸126に取り付けられた移動部111が前進及び後退可能となっている。ドライブレバー120の上部には、駆動軸144が挿通される長孔121が形成されている。
駆動軸144のドライブレバー120よりも外側には、ドライブカム128が取り付けられている。ドライブカム128は、少なくとも、カム軸心から第1距離の第1カム部128aと、第1距離よりも長い第2距離の第2カム部128bとを有する。ドライブレバー120の後側には、ドライブカムローラー130が取り付けられている。ドライブカムローラー130は、ドライブカム128に当接可能に設けられる。
図10A及び図10Bは、ドライブリターンカム132及びドライブリターンカムローラー134の側面図である。
駆動軸144のドライブレバー120よりも内側には、ドライブリターンカム132が取り付けられている。ドライブリターンカム132は、少なくともカム軸心から第1距離の第1カム部132aと、第1距離よりも長い第2距離の第2カム部132bとを有する。ドライブレバー120の前側には、ドライブリターンカムローラー134が取り付けられている。ドライブリターンカムローラー134は、ドライブリターンカム132に当接可能に設けられる。
図11A及び図11Bは、引下げリンクレバー142等の側面図である。
引下げリンクレバー142は、一対の平板部材で構成され、引き下げリンク140とドライブレバー120(図示省略)との間に配置される。引下げリンクレバー142の後端部には調整支点軸122が取り付けられ、引下げリンクレバー142が調整支点軸122を支点として回動可能に構成されている。引下げリンクレバー142の略中央部に形成される軸孔には、駆動軸144が挿通される。引下げリンクレバー142は、後部下端に取り付けられた引下げリンクレバー軸143を介して引下げリンク140に接続されている。
駆動軸144の引下げリンクレバー142よりも外側には、引下げカム146が取り付けられている。引下げカム146は、少なくともカム軸心から第1距離の第1カム部146aと、第1距離よりも長い第2距離の第2カム部146bとを有する。引下げリンクレバー142の中央下端部には、引下げカムローラー148が引下げカム146に当接可能に取り付けられている。
図12A及び図12Bは、引上げリターンカム150及び引下げリターンカムローラー152の側面図である。
引下げリンク140の略中央部に形成される軸孔(図示省略)には、駆動軸144が挿通される。駆動軸144の引下げリンク140よりも外側には、引上げリターンカム150が取り付けられている。引上げリターンカム150は、少なくともカム軸心から第1距離の第1カム部150aと、第1距離よりも長い第2距離の第2カム部150bとを有する。引下げリンク140の外側の中央上部側には、引下げリターンカムローラー152が引下げリターンカム150に当接可能に取り付けられている。
[紙押さえ機構部170の構成例]
図13A及び図13Bは、紙押さえ機構部170の側面図である。以下では、図4A及び図4Cも併せて参照し、紙押さえ機構部170について説明する。
紙押さえ機構部170は、図4A及び図4Cに示すように、紙押さえ板192と、紙押さえ機構部170のうち外部に露出する紙押さえ板192等を覆うカバー194と、載置台104上に設けられるステープル取り外し位置PEを照射する照明部196とを備える。
照明部196は、カバー194の内部に配置される基板197のステープル取り外し位置PEに対向した位置に配置される照射部材199と、照射部材199とステープル取り外し位置PEとの間に配置され、左右方向に延びる細長形状のスリット部198とで構成される。ステープル取り外し位置PEとは、載置台104上のステープル取り外しが行われる位置である。照射部材199から射出された照射光はスリット部198によりスリットを通る照射光以外が遮断され、ステープル取り外し位置PEが照射される。具体的には、載置台104上を脚部Sb、Sbの折り曲げられた形状と同様の細長い形状の照射光で照射されるよう構成されている。
使用者は、ステープル取り外し位置PEにステープルSの位置を合わせて用紙束Pを載置台104上に載置する際、ステープルSの一対の脚部Sb、Sbを照射光の照射範囲Rに合わせて用紙束Pを載置台104上に載置すれば良い。
従来、ステープル取り外し位置PEは、紙押さえ板192やカバー194等に囲まれた領域となるので暗くなりやすい場合があった。照明部196を設けることで、ステープル取り外し位置PEを見やすくでき、さらに照射部材199から射出された照射光をスリット部198で脚部Sb、Sbの折り曲げられた形状と同様の細長い形状としてステープル取り外し位置PEを照射することで、ステープル取り外し位置PEの範囲をより正確に指示することができ用紙束Pをステープル取り外し位置PEに位置合わせする際の作業効率の向上を図ることができる。
また、紙押さえ機構部170は、図13A及び図13Bに示すように、平板状の第1ペーパーホールドレバー172と、筐体102の前後方向に延びる長尺状の第2ペーパーホールドレバー180と、L字形状の第3ペーパーホールドレバー186とを備える。
第1ペーパーホールドレバー172は、支点軸124に回動可能に取り付けられている。第1ペーパーホールドレバー172に形成された軸孔(図示省略)には、駆動軸144が挿通される。駆動軸144の第1ペーパーホールドレバー172よりも外側には、ベースホールドカム176が取り付けられている。また、第1ペーパーホールドレバー172にはペーパーホールドカムローラー178が取り付けられ、ペーパーホールドカムローラー178がベースホールドカム176に当接可能に設けられる。
第2ペーパーホールドレバー180の前部には紙厚調整バネ182の一端部が取り付けられ、紙厚調整バネ182の他端部は第2ペーパーホールドレバー180の長孔180aを介して第1ペーパーホールドレバー172に取り付けられている。第2ペーパーホールドレバー180の略中央部には、リターンバネ184が設けられ、リターンバネ184の一端部が筐体102に取り付けられ、リターンバネ184の他端部が第2ペーパーホールドレバー180に取り付けられている。紙厚調整バネ182及びリターンバネ184には、例えば引張バネが用いられる。
第2ペーパーホールドレバー180の後端部には、軸190を介して第3ペーパーホールドレバー186の一端部が取り付けられている。第3ペーパーホールドレバー186の他端部には、紙押さえ板192が取り付けられている。第3ペーパーホールドレバー186の曲げ部にはホールドレバー軸188が取り付けられており、第3ペーパーホールドレバー186がホールドレバー軸188を支点として回動可能に構成されている。
[楔板112の挿入動作]
次に、ステープル抜き機構部110Aにおける楔板112の前進動作について説明する。図9A及び図9Bに示したように、モータ206の駆動により駆動軸144が反時計周りに回転すると、これに伴ってドライブカム128も反時計周りに回転する。ドライブカム128の回転により、ドライブカム128の第2カム部128bがドライブカムローラー130に当接し、ドライブカムローラー130を下方に付勢することで、ドライブレバー120が支点軸124を支点として後方側に回動する。これにより、ドライブレバー120に取り付けられる楔板ドライブ軸126が挿入方向Dに移動することで、楔板112及びクラウンホルダ116も前進する。
[楔板112の後退動作]
次に、ステープル抜き機構部110Aにおける楔板112の後退動作について説明する。図10A及び図10Bに示したように、モータ206の駆動により駆動軸144が反時計周りに回転すると、これに伴ってドライブリターンカム132も反時計周りに回転する。ドライブリターンカム132の回転により、ドライブリターンカム132の第2カム部132bが、ドライブリターンカムローラー134に当接し、ドライブリターンカムローラー134を前方に付勢することで、ドライブレバー120が支点軸124を支点として前方側(矢印方向)に回動する。これにより、ドライブレバー120に取り付けられる楔板ドライブ軸126が挿入方向Dとは反対方向に移動することで、楔板112及びクラウンホルダ116が後退する。
[楔板112の降下動作]
次に、ステープル抜き機構部110Aにおける楔板112の下降動作について説明する。図11A及び図11Bに示したように、モータ206の駆動により駆動軸144が反時計周りに回転すると、これに伴って引下げカム146も反時計周りに回転する。引下げカム146の回転により、引下げカム146の第2カム部146bが引下げカムローラー148に当接し、引下げカムローラー148を下方に付勢することで、引下げリンクレバー142が調整支点軸122を支点として下方に回動する。これにより、引下げリンクレバー142の動作に連動して引下げリンク140が下がり、楔板112及びクラウンホルダ116も下方に移動する。
また、本実施の形態では、楔板112及びクラウンホルダ116の下方への移動に伴い、エジェクタ156及びエジェクタレバー154も連動して下方に移動する。これにより、ステープル押さえ機構160のリブ部163bがエジェクタレバー154により下方に付勢されるので、ステープル押さえ部162が楔板112等の動作に追従して下方に移動する。
[楔板112の上昇動作]
次に、ステープル抜き機構部110Aにおける楔板112の上昇動作について説明する。図12A及び図12Bに示すように、モータ206の駆動により駆動軸144が反時計周りに回転し、これに伴って引下げリターンカム150も反時計周りに回転する。引下げリターンカム150の回転により、引下げリターンカム150の第2カム部150bが、引下げリターンカムローラー152に当接し、引下げリターンカムローラー152を上方に付勢することで、引下げリンク140が調整支点軸122を支点として上方に回動する。これにより、引下げリンク140が上方に移動し、これに伴い、楔板112及びクラウンホルダ116も上方の元の高さまで移動する。
また、本実施の形態では、楔板112の上方への移動に伴って、エジェクタ156及びエジェクタレバー154が上方に移動する。そのため、エジェクタレバー154と引張バネ164(図7参照)を介して接続されるステープル押さえ部162が楔板112等の動作に追従して上方に移動する。
[紙押さえ機構部170の押さえ付け動作]
次に、紙押さえ機構部170の押さえ付け動作について説明する。図13A及び図13Bに示したように、駆動軸144の回転により、ベースホールドカム176が回転し、第1ペーパーホールドレバー172が支点軸124を支点として後方側に回動する。また、紙厚調整バネ182の他端部が長孔に沿って前進し、紙厚調整バネ182の一端部が後方に引っ張られることで第2ペーパーホールドレバー180が前進する。これにより、第3ペーパーホールドレバー186がホールドレバー軸188を支点として前方側に回動することで、紙押さえ板192が載置台104(用紙束P)に近づく方向に移動し、用紙束Pを押さえる。ベースホールドカム176によって駆動される第1ペーパーホールドレバー172のストロークは用紙束Pが薄い場合でも十分に押えられる量を持つ。紙押さえ板192が第2用紙面Pbに当接すると第2ペーパーホールドレバー180、第3ペーパーホールドレバー186は停止するが、第1ペーパーホールドレバー172はベースホールドカム176で所定の位置まで駆動される。このとき、紙厚調整バネ182が伸ばされ、その際のバネ力が紙押さえ力となる。
一方、ステープルSの用紙束Pからの引き抜きが終了すると、ベースホールドカム176の回転により、第1ペーパーホールドレバー172が支点軸124を支点として前方に回動することで、リターンバネ184のバネ力で第2ペーパーホールドレバー180が後退し、ホームポジションに戻る。これにより、第3ペーパーホールドレバー186がホールドレバー軸188を支点として後方側に回動し、紙押さえ板192が載置台104から離間する方向に移動する。
[ステープル取り外し装置100の動作例]
図14A〜図14Fは、用紙束PからステープルSを引き抜く場合におけるステープル取り外し装置100の動作の一例を示している。図15A〜図15Gは、ステープル取り外し時における楔板112、クラウン部Sa及びステープル押さえ機構160の要部拡大図である。図16A〜図16Fは、用紙束Pから引き抜かれるステープルSの状態を示す図である。
図14Aに示すように、楔板112を含むステープル抜き機構部110Aは、用紙束Pが載置台104上に載置され、ユーザーにより起動スイッチ108が押されるまでホームポジションで待機する。
続けて、図14B及び図15Aに示すように、用紙束Pが載置第104上に載置され、使用者により起動スイッチ108が押されると、紙押さえ機構部170の駆動により、紙押さえ板192が下降していき、紙押さえ板192により用紙束Pが押さえられる(図13A及び図13B参照)。
このとき、用紙束Pを綴じているステープルSは、図16Aに示すように、用紙束Pの第1用紙面Paから第2用紙面PbにステープルSの脚部Sb,Sbが貫通し、貫通した脚部Sb,Sbのそれぞれが内側に折り曲げられた状態である。
続けて、図9A及び図9Bに示したように、駆動軸144の回転によりドライブカム128が回転し、ドライブレバー120が支点軸124を支点として後方側に回動する。これに伴い、楔板ドライブ軸126が挿入方向Dに移動し、楔板軸118が引下げリンク140の長孔141に沿って移動することで楔板112が前進する。また、楔板軸118の前進により、楔板軸118が長孔141に形成された突出部141aに乗り上がった状態となる。これにより、図15Bに示すように、楔板112が突出部141aの高さだけ上方に持ち上げられることで、楔板112の第1面112aが第1用紙面Paに押し付けられる。
このとき、ステープルSは、楔板112が用紙束Pとクラウン部Saとの間に挿入されていないので、図16Aと同様に、脚部Sb,Sbが内側に折れ曲がった状態である。
ドライブレバー120が後方に回動していくと、楔板軸118が長孔141の突出部141aに乗り上がった状態で前進する。楔板軸118の前進に伴い、図14C、図15C及び図15Dに示すように、楔板112が、用紙束Pに押し付けられた状態で用紙束Pとクラウン部Saとの間に挿入され、用紙束Pとクラウン部Saとの間を前進していく。
このとき、ステープルSは、図16Bに示すように、脚部Sb,Sbが用紙束Pの用紙面に食い込んだ状態から、用紙束Pの用紙面に略平行な状態となる。
また、楔板112がさらに前進すると、図15Eに示すように、用紙束Pとクラウン部Saとの間に挿入される楔板112の厚みも徐々に厚くなっていく。これにより、図16Cに示すように、クラウン部Saが楔板112の押し込み力によって下方側に付勢されることで、用紙束Pを綴じているステープルSの脚部Sb,Sbが若干起きた状態となる。
続けて、楔板軸118が引下げリンク140の長孔141の終端側に向かうにつれて、用紙束Pとクラウン部Saとの間に挿入される楔板112の厚みが増し、図15Fに示すように、楔板112の挿入方向Dへの押し込み力により紙押さえ板192の押さえ力に抗して用紙束P及び用紙束Pを綴じるステープルSが楔板112とともに若干前進する。これに対し、本実施の形態では、クラウン部Saの後方側にステープル押さえ機構160を配置しているので、ステープル押さえ機構160のステープル押さえ部162の当接部162bが楔板112の挿入方向Dとは反対方向からステープルSのクラウン部Saに当接してクラウン部Saの挿入方向Dへの移動を規制する。
このとき、ステープルSは、図16Dに示すように、クラウン部Saが楔板112の押し込み力によって下方側に付勢され、図16Cの状態よりも用紙束Pを綴じているステープルSの脚部Sb,Sbが起きた状態となる。
また、楔板112が前進していくことで、用紙束Pとクラウン部Saとの間に挿入される楔板112の厚みがさらに増し、クラウン部Saが楔板112の厚みだけ下方側に若干下がって変位するが、図15Gに示すように、楔板112の下面に当接するステープル押さえ部162もクラウン部Saの変位に追従して移動する。そのため、クラウン部Saが変位した場合でも、ステープル押さえ部162によりクラウン部Saを常時押さえることができる。
このとき、ステープルSは、図16Eに示すように、挿入される楔板112の厚みに応じて、ステープルSのクラウン部Saが用紙束Pの下面から離間していくとともに図16Dの状態よりも脚部Sb,Sbが起きた状態となる。
そして、図14Dに示すように、楔板軸118が引下げリンク140の長孔141の終端に移動すると、楔板112による用紙束Pとクラウン部Saとの間への押し込みが完了する。このとき、ステープルSは、図16Fに示すように、ステープルSのクラウン部Saが用紙束Pからさらに離間し、脚部Sb,Sbがほぼ起きた状態となる。つまり、ステープルSが用紙束Pから引き抜き可能な状態となる。
続けて、図11A、図11B及び図14Eに示すように、引下げカム146により引下げカムローラー148が下方側に付勢される。これに伴い、引下げリンクレバー142が調整支点軸122を支点として下方に回動し、引下げリンク140及び移動部111も下方に移動する。つまり、楔板112が第1用紙面Paから離間する方向に移動する。これにより、脚部Sb,Sbが起きた状態のステープルSが用紙束Pから引き抜かれる。なお、用紙束Pから引き抜かれたステープルSはクラウンホルダ116によって保持される。
また、本実施の形態では、楔板112及びクラウンホルダ116の下方への移動に追従してステープル押さえ機構160も下方に移動する。そのため、クラウン部Saが変位した場合でも、ステープル押さえ部162によりクラウン部Saを押さえた状態を維持できる。
続けて、図12A及び図12Bに示すように、移動部111が上方に移動する。さらに、図10A、図10B及び図14Fに示すように、ドライブリターンカム132の回転により、ドライブリターンカムローラー134が前方に付勢される。これに伴い、ドライブレバー120が支点軸124を支点として前方に回動することで、移動部111が後退する。
移動部111が後退すると、クラウン部Saが前方側のエジェクタ156の後端部に当接し、後退するクラウンホルダ116による支持がなくなった時点でステープルSがダストボックス202内に落下する。移動部111は、後退してホームポジションに戻る。
以上説明したように、本実施の形態によれば、楔板112の挿入方向Dへの押し込み力で挿入方向Dに移動する用紙束P及びステープルS対して、ステープルSのクラウン部Saの挿入方向Dの反対方向からステープル押さえ部162の当接部162bを当接させることで用紙束P及びステープルSの挿入方向Dへの移動を規制できる。これにより、ステープル取り外し時の用紙へのダメージや、ステープルSが用紙束Pから引き抜けない等の失敗を防止できる。
また、小枚数で構成される用紙束Pをステープル取り外しする場合や、用紙束Pの角部や縁部を綴じる場合でも、ステープル押さえ部162の当接部162bがクラウン部Saに当接して挿入方向Dへの移動を規制するので、ステープルS周辺の用紙に大きな負荷が掛かることを防止できる。これにより、用紙が破けてしまう問題を防止できる。
また、ステープル押さえ部162を設けることにより、用紙束Pを綴じるステープルSの脚部Sb,Sbが十分に起きる分だけ用紙束Pとクラウン部Saとの間に楔板112を確実に押し込んでから、引き抜き動作に移行することができるので、ステープル取り外し時の失敗や用紙へのダメージを抑制できる。
さらに、楔板112の押し込み時、引き抜き時において変位するクラウン部Saに追従してステープル押さえ部162を動作させるので、ステープル取り外し時にクラウン部Saを常時支持することができるので、用紙束P及びクラウン部Saが挿入方向Dに押し込まれて移動してしまうことを回避できる。これにより、ステープル取り外し時の失敗や用紙へのダメージを防止できる。
<第1変形例>
例えば、図16Cに示したように、用紙束Pの第1用紙面Paとクラウン部Saとの間に楔板112を挿入させた場合、用紙束Pの種類によっては、用紙束Pが楔板112の押し込み圧によって第2用紙面Pb側に撓んでしまう場合があった。用紙束Pのクラウン部Saによる撓みの原因としては、例えば、紙種、綴り枚数、ステープル種等であることが知られている。
このような場合、クラウン部Saの位置は、用紙束Pが撓んだ分だけ用紙束P側に潜り込み、通常の位置よりも上方に位置することになるため、ステープル押さえ部162の待機位置がクラウン部Saの位置よりも下側となってしまい、ステープル押さえ部162がクラウン部Saに当接しない、すなわち空振りしてしまう場合があった。
これに対し、用紙束Pが撓むことを考慮し、ステープル押さえ機構160のステープル押さえ部162を通常の待機位置よりも上方の待機位置にセットすることも考えられる。しかしながら、例えば、撓みの少ない用紙束Pを綴じる場合、クラウン部Saの位置は変位しないため、ステープル押さえ部162の位置が高くなりすぎることで楔板112の先端部がステープル押さえ機構160に衝突してしまう場合があった。
このように、用紙束Pの種類によって用紙束Pの撓み量も変化し、用紙束Pに対する楔板112の潜り込み量が変化することで、クラウン部Saの位置も変化する。そのため、理想的なステープル押さえ部162の待機位置は、用紙束PやステープルSの種類によって変化する。
そこで、第1変形例では、楔板112の先端部が用紙束Pとステープル押さえ部162の間(ステープル押さえ部162の上方)を通過したタイミングで、ステープル押さえ部162を楔板112側に移動させることによってクラウン部Saに当接させる機構を備えたステープル抜き機構部110Bを採用した。
[ステープル抜き機構部110Bの構成例]
図17Aは、第1変形例に係るステープル抜き機構部110Bにおけるステープルストッパ押さえ210を装着する前の状態である。図17Bは、第1変形例に係るステープル抜き機構部110Bにおけるステープルストッパ押さえ210を装着した後の状態である。
ステープル抜き機構部110Bは、第1用紙面Paと当接部162bとの間に位置し、楔板112の先端部の挿入方向Dへの移動に伴い挿入方向Dに移動するステープルストッパ押さえ(規制部)210を備える。ステープルストッパ押さえ210は、楔板112の先端部が第1位置Pp(図18参照)を通過するまでは、当接部162bが楔板112の第2面112bに当接するのを規制し、楔板112の先端部が第1位置Ppを通過した後、当接部162bが楔板112の第2面112bに当接するのを許容する。
ステープルストッパ押さえ210は、例えば平板を折り曲げ加工して形成される部材であって、天面部210aと左右の側面部210b,210bとを有する。天面部210aには、上下動する楔板112及びステープル押さえ機構160を露出させるための開口部214が形成されている。天面部210aの一部は、楔板112の先端部が第1位置Ppを通過するまでの間、当接部162bと第2面112bとの連通を遮断する。開口部214は、楔板112の先端部が第1位置Ppを通過した後、当接部162bと第2面112bとを連通させる。開口部214の挿入方向Dにおける開口径は、楔板112がステープル押さえ部162の上方を通過するまではステープル押さえ機構160の凸部163cが天面部210aの裏面に当接し、楔板112がステープル押さえ部162の上方を通過したときに凸部163cが天面部210aの裏面に非当接となるように構成される。
側面部210b,210bの前側下端部には軸受け部216,216が形成されており、軸受け部216,216がドライブレバー120の外側から楔板ドライブ軸126に嵌合される。これにより、ステープルストッパ押さえ216は、楔板112の前進及び後退に連動して動作する。つまり、ステープルストッパ押さえ216は、楔板112等と一体的に動作する。
ここで、ステープル押さえ機構160の凸部163cは、楔板112がステープル押さえ部162を通過するまでは、ステープルストッパ押さえ210の天面部210aの裏面に当接し、引張バネ164(図7参照)の弾性力に抗して若干下がった位置で待機する。この待機位置は、前進する楔板112の先端部がステープル押さえ部162の上部(当接部162b)に衝突しない位置である。
[ステープル抜き機構部110Bの動作例]
図18A〜図18Dは、ステープル抜き機構部110Bの動作を示す要部拡大図である。なお、以下では、楔板112が通過するまでステープル押さえ部162が待機する位置を第2位置Poとする。
図18Aに示すように、用紙束Pが載置台104上に載置され、使用者が起動スイッチ108(図1参照)を押すと、楔板112及びステープルストッパ押さえ210が前進する。このとき、支持部材163の凸部163cは、ステープルストッパ押さえ210の天面部210aの裏面に当接しているので、ステープル押さえ機構160のステープル押さえ部162は第2位置Poで待機する。
図18Bに示すように、楔板112の前進により、楔板112が第1用紙面Paに押し当てられ、用紙束PとステープルSのクラウン部Saとの間に楔板112が挿入される。このとき、ステープルストッパ押さえ210も前進するが、ステープル押さえ機構160のステープル押さえ部162は、図18Aと同様にステープルストッパ押さえ210の天面部210aの裏面に当接しているので、第2位置Poで待機する。
図18Cに示すように、用紙束PとステープルSのクラウン部Saとの間に挿入された楔板112が、ステープル押さえ部162の上方に到達する。楔板112の前進とともにステープルストッパ押さえ210も前進する。このとき、ステープル抜き機構部110Bの凸部163cの一部のみが、ステープルストッパ押さえ210の天面部210aに当接した状態となる。
図18Dに示すように、楔板112がステープル押さえ部162の上方を通過し第1位置Ppに到達すると、支持部材163の凸部163cが天面部210aの裏面から完全に外れる。これにより、支持部材163の凸部163cが開口部214内に露出した状態となり、天面部210aの裏面による支持がなくなるので、引張バネ164の弾性力により支持部材163の凸部163cが元の位置に復帰し、これに伴い、ステープル押さえ部162の当接部162bが楔板112の第2面112bに当接する。
このように、第1変形例によれば、楔板112が用紙束Pとステープル押さえ部162との間を通過し第1位置Ppに到達するとステープル押さえ部162の当接部162bをクラウン部Sa及び楔板112の第2面112bに当接させるので、用紙束Pの種類に関係なく、楔板112がステープル押さえ部162に衝突することを防止できるととともに、ステープル押さえ部162の当接部162bをクラウン部Saに確実に当接させることができる。
<第2変形例>
第2変形例に係るステープル抜き機構部110Cでは、ステープル押さえ部162を所定のタイミングで楔板112側に移動させる手段として、第1変形例のステープルストッパ押さえ210に代えてステープルストッパリンクカム230等を採用した。
[ステープル抜き機構部110Cの構成例]
図19Aは、第2変形例に係るステープル抜き機構部110Cにおけるステープルストッパリンクカム230等を装着する前の状態である。図19Bは、第2変形例に係るステープル抜き機構部110Cにおけるステープルストッパリンクカム230等を装着した後の状態である。
ステープル抜き機構部110Cは、ステープルストッパリンク220と、ステープルストッパリンクカム230と、ステープルストッパリンクカムフォロア232とを備える。
ステープルストッパリンク220は、側面形状が略L字状からなる一対の平板部材から構成され、引き下げリンク140及びエジェクタレバー154の外側にそれぞれ配置される。ステープルストッパリンク220の後端部には軸158が取り付けられ、ステープルストッパリンク220が軸158を支点として回動可能に構成されている。また、ステープルストッパリンク220の下端縁220aは、ステープル押さえ機構160の支持部材163の下端部から外側に突出するリブ部163bに当接可能に設けられる。
ステープルストッパリンクカム230は、駆動軸144のステープルストッパリンク220よりも外側に取り付けられている。ステープルストッパリンクカム230は、図19Bに示すように、カム軸心からの距離が第1距離の第1カム部230aと、軸心からの距離が第1距離よりも長い第2距離の第2カム部230bとを含む。ステープルストッパリンクカムフォロア232は、ステープルストッパリンク220の前端部の外面に取り付けられ、ステープルストッパリンクカム230に当接可能に設けられる。
[ステープル抜き機構部110Cの動作例]
図20A及び図21Aは第2変形例に係るステープル抜き機構部110Cの動作の一例であり、図20B及び図21Bは第2変形例に係るステープル取り外し時における楔板112、クラウン部Sa及びステープル押さえ部162の要部拡大図である。
図20Aに示すように、楔板112が前進すると、駆動軸144の回転によりステープルストッパリンクカム230も反時計周りに回転する。ステープルストッパリンクカム230の第2カム部230bは、楔板112がステープル押さえ機構160のステープル押さえ部162を通過するまで、ステープルストッパリンクカムフォロア232に当接している。そのため、ステープルストッパリンクカム230によりステープルストッパリンクカムフォロア232及びステープルストッパリンク220が下方に付勢され、ステープルストッパリンク220により支持部材163のリブ部163bも下方に付勢される。これにより、図20Bに示すように、ステープル押さえ部162の位置も下がり、ステープル押さえ部162が楔板112に衝突しない第2位置Poで待機する。
続けて、図21A及び図21Bに示すように、用紙束Pの第1用紙面Paとクラウン部Saとの間に楔板112が挿入され、楔板112がステープル押さえ部162の上方を通過し第1位置Ppに到達すると、ステープルストッパリンクカム230の回転によりステープルストッパリンクカム230の第1カム部230aがステープルストッパリンクカムフォロア232に当接する。これに伴い、ステープルストッパリンク220が上方に持ち上がり、ステープルストッパリンク220によるリブ部163bの保持が解除される。そのため、図21Bに示すように、ステープル押さえ部162が引張バネ164の弾性力により元の位置に復帰する(上方に移動する)ことで、ステープル押さえ部162の当接部162bが楔板112の第2面112b及びクラウン部Saに当接する。
このように、第2変形例によれば、楔板112が用紙束Pとステープル押さえ部162との間を通過したタイミングでステープル押さえ部162をクラウン部Sa及び楔板112の第2面112bに当接させるので、用紙束Pの種類に関係なく、楔板112がステープル押さえ部162に衝突することを防止できるととともに、ステープル押さえ部162をクラウン部Saに確実に当接させることができる。
<第3変形例>
従来では、例えば、楔板112の挿入により変位するステープルSのクラウン部Saを確実に保持するために、ステープル押さえ部162を通常の位置よりも高い位置に設置する場合があった。しかしながら、ステープル取り外しを行う用紙束Pの種類によっては、楔板112の先端部がステープル押さえ部162に衝突してしまう場合があった。そこで、ステープル押さえ機構260では、前進する楔板112の先端部がステープル押さえ部162に衝突することを回避する機構を採用した。なお、紙押さえ機構160と共通する部分についての説明は省略又は簡略化する。
[紙押さえ機構260の構成例]
図22は、ステープル押さえ機構260の斜視図である。ステープル押さえ機構260を構成するステープル押さえ部262は、本体262aと、本体262aに連続し、本体262aの上端中央部から上方に突出する当接部262bとを備える。当接部262bの上端部には、その上面部から下方に向かって切り欠かれた凹部262cが形成されている。凹部262cは、前進する楔板112との衝突を避けるための逃げ部として機能する。なお、凹部262cの形状は、楔板112が衝突しない形状であればよく、例えば楔板112の外縁に沿うような凹部形状に形成することが好ましい。このように、ステープル押さえ機構260によれば、楔板112を凹部262cによりステープル押さえ部262に衝突させることなく前進させることができる。
<第4変形例>
従来では、ステープル取り外し時に、ステープル押さえ部162に一旦当接したステープルSのクラウン部Saが滑ることで、ステープルSがステープル押さえ部162から外れてしまう場合があった。そこで、ステープル押さえ機構360では、ステープル押さえ部162からクラウン部Saが外れることを防止する機構を採用した。なお、ステープル押さえ機構160と共通する部分についての説明は省略又は簡略化する。
[紙押さえ機構360の構成例]
図23は、ステープル押さえ機構360の斜視図である。ステープル押さえ機構360を構成するステープル押さえ部362は、本体362aと、本体362aに連続し、本体362aの上端中央部から上方に突出する当接部362bを備える。当接部362bの上端部であって、楔板112に対向する面(前面)には、左右方向に延びる溝部362cが形成されている。溝部362cの形状は、クラウン部Saが入り込んで保持できる形状であればよい。このように、ステープル押さえ機構360によれば、ステープル取り外し時に、溝部362cによりクラウン部Saを保持できるので、ステープル押さえ部362からステープルSが逃げて外れてしまうことを防止できる。
<第5変形例>
従来では、例えば、ステープル取り外し時に、楔板112の押し込み力でステープルSのクラウン部Saが挿入方向D側に反るように変形してしまう場合があった。この場合、クラウン部Saの変形によりステープル押さえ部162の平面でクラウン部Saを確実に保持できない場合があった。そこで、ステープル押さえ機構460では、変形したクラウン部Saを確実に保持する機構を採用した。なお、紙押さえ機構160と共通する部分についての説明は省略又は簡略化する。
[紙押さえ機構460の構成例]
図24は、ステープル押さえ機構460の斜視図である。ステープル押さえ機構460を構成するステープル押さえ部462は、本体462aと、本体462aに連続し、本体462aの上端中央部から上方に突出する当接部462bとを備える。当接部462bは先端部に向けて幅が広くなるように構成されている。このように、ステープル押さえ機構460によれば、変形したクラウン部Saを当接部462bの傾斜する側面部に引っ掛けて抱え込むように保持することができ、ステープルSが逃げてステープル押さえ部462から外れてしまうことを防止できる。
<第6変形例>
従来では、例えば、ステープル取り外し時における楔板112の押し込み力の偏りや用紙束Pの種類等に起因して、ステープルSが横滑りすることでステープルSの脚部Sb,Sbの一方が用紙束Pから抜けない場合があった。そこで、ステープル押さえ機構560では、ステープルSの脚部Sb,Sbを用紙束Pから確実に引き抜くことが可能な機構を採用した。なお、紙押さえ機構160と共通する部分についての説明は省略又は簡略化する。
[紙押さえ機構560の構成例]
図25は、ステープル押さえ機構560の斜視図である。ステープル押さえ機構560を構成するステープル押さえ部562は、本体562aと、本体562aに連続し、本体562aの上端中央部から上方に突出する当接部562bとを備える。当接部562bの前面側の左右方向の両縁部には、楔板112側に向かって鋭角に突出する凸部562c,562cが形成されている。凸部562c,562cは、用紙束Pの第1用紙面Paから離接する方向に向けて線状に形成される。なお、凸部562c,562cは、当接部562bの両縁部に沿って形成することに限定されることはなく、凸部562cを例えば円錐状、角柱状で構成し、当接部562bの両縁部のそれぞれに1個又は複数個配置するようにしてもよい。このように、ステープル押さえ機構560によれば、ステープル取り外し時において、ステープルSのクラウン部Saが凸部562c,562cに当接するので、クラウン部Saの横滑りを防止することができ、脚部Sb,Sbの両方を用紙束Pから確実に引き抜くことができる。
<第7変形例>
図26は、第7変形例に係るステープル取り外し装置100におけるステープル取り外し時の第1動作を示すフローチャートである。図26に示すアルゴリズムは、ステープル取り外し装置100内に設けられたCPU(Central Processing Unit)を含む制御部がメモリを含む記憶部に格納されたプログラムを実行することで実現される。
ステップS100において、移動部111がホームポジションにあってホームセンサがオンである場合、ステップS110に進む。ホームセンサは、例えば移動部111がホームポジションで待機しているか否かを検出する。
ステップS110において、使用者により起動スイッチ108がオンされると、ステップS120に進む。
ステップS120において、スイッチオンタイマーが100ms経過したか否かを判断する。スイッチがオンされた状態が100ms経過していない場合、ステップS100に戻り、タイマーのカウントを継続する。一方、スイッチがオンされた状態が100ms経過した場合、ステップS130に進む。
ステップS130において、起動スイッチ108が一定時間オンされると、モータ206を正回転駆動し、ステップS140に進む。
ステップS140において、ホームセンサがオフであるか否かを判断する。ホームセンサがオンである場合、ステップS160に進む。ステップS160において、モータ206の故障等により移動部111が動作していない可能性があるため、モータ停止エラー処理を行う。一方、ホームセンサがオフである場合、ステップS150に進む。
ステップS150において、モータ206の駆動開始後500ms経過したか否かを判断する。例えば、ホームセンサがオフの状態で、モータ206の駆動開始後500ms経過した場合、ステップS160に進み、モータ停止エラー処理を行う。一方、500ms経過しいてない場合、ステップS170に進む。
ステップS170において、ホームセンサがオンになったか否かを判断する。ホームセンサがオフである場合、ステップS150に戻る。一方、ホームセンサがオンである場合、ステップS180に進む。
ステップS180において、モータ206を停止させることで、ステープル取り外し動作を停止させる。本実施の形態に係るステープル取り外し装置100では、上述した動作を繰り返し実行する。
このような制御により、起動スイッチ108のオンが一定時間継続しなければ、ステープル取り外し装置100を動作させないので、使用者が誤って起動スイッチ108に触れてしまったり、物が誤って起動スイッチ108に当たってしまった場合でもステープル取り外し装置100が意図せずに起動することを防止できる。また、起動スイッチ108にチャタリングが入った場合でも、ステープル取り外し装置100が起動することを防止できる。
<第8変形例>
図27は、第8変形例に係るステープル取り外し装置100におけるステープル取り外し時の第2動作を示すフローチャートである。図27に示すアルゴリズムは、ステープル取り外し装置100内に設けられたCPUを含む制御部がメモリを含む記憶部に格納されたプログラムを実行することで実現される。なお、ステップS200〜S270の処理は、図26のステップS100〜S180と略共通するため、詳細な説明は省略する。
ステップS200において、楔板112等がホームポジションにあってホームセンサがオンである場合、ステップS210に進む。
ステップS210において、使用者により起動スイッチ108がオンされると、ステップS220に進む。
ステップS220において、モータ206を正回転駆動し、ステップS230に進む。
ステップS230において、ホームセンサがオフであるか否かを判断する。ホームセンサがオンである場合、ステップS240に進み、モータ停止エラー処理を行う。一方、ホームセンサがオフである場合、ステップS250に進む。
ステップS250において、モータ206の駆動開始後500ms経過したか否かを判断する。モータ206の駆動開始後500ms経過していない場合、ステップS260に進む。
ステップS260において、ホームセンサがオンになったか否かを判断する。ホームセンサがオフである場合、ステップS250に戻る。一方、ホームセンサがオンである場合、ステップS270に進む。
ステップS270において、モータ206を停止させることで、ステープル取り外し動作を停止させる。
これに対し、ステップS250において、ホームセンサがオフの状態で、モータ206の駆動開始後500ms経過した場合、リトライ制御を行うステップS280に進む。例えば、楔板112が前進した位置で停止等している場合である。
ステップS280において、モータ206を逆回転駆動させる。
ステップS290において、モータ206の逆回転開始後、500ms経過したか否かを判断する。例えば、ホームセンサがオフの状態で、モータ206の逆回転開始後500ms経過した場合、ステップS300に進み、モータ停止エラー処理を行う。一方、モータ206の逆回転開始後500ms経過していない場合、ステップS310に進む。
ステップS310において、ホームセンサがオンであるか否かを判断する。ホームセンサがオフである場合、ステップS280に戻る。一方、ホームセンサがオンである場合、ステップS320に進む。
ステップS320において、リトライ制御により移動部111がホームポジションに戻ったと判断し、モータ206の駆動を停止させてステップS330に進む。
ステップS330において、モータ206の逆転駆動を3回実施したか否かを判断し、3回実施した場合、ステップS300に進み、モータ停止エラー処理を行う。一方、モータ206の逆転駆動を3回実施していない場合、ステップS220に戻り、モータ206を正回転させることでステープル取り外し動作を再度実行する。なお、リトライ制御の実施回数の上限は使用者が任意に設定可能である。
本実施の形態に係るステープル取り外し装置100では、上述した動作を繰り返し実行する。このような制御により、移動部111に何らかの問題が発生した際に複数回のリトライ制御を実施し、ステープル取り外し動作を再開させるので、例えば用紙束Pが硬いステープルSにより綴じられている場合でも、用紙束PからステープルSを確実に取り外すことができる。
<第9変形例>
図28は、第9変形例に係るステープル取り外し装置100及びステープル取り外し装置100に着脱可能なダストボックス202の斜視図である。
ダストボックス202内の底面には、ダストボックス202内に落下したステープル屑の飛散を防止するための磁石204が貼り付けられている。磁石204は、例えばダストボックス202の底面の略全体をカバーする大きさであり、貼り替え可能に構成される。
これにより、ステープル取り外し装置100の運搬時や設置時にダストボックス202が傾いてしまった場合でも、磁石204の磁力によりステープルSを吸着できるので、ステープル屑が周囲に散らばることを防止できる。
<第10変形例>
図29は、第10変形例に係るステープル取り外し装置100が自動原稿送り装置(ADF:Auto Document Feeder)320に搭載された画像形成装置300の斜視図である。
画像形成装置300は、電子写真方式であり、トレイにセットされた用紙を一枚ずつ読取部に送るための自動原稿送り装置320を備える。自動原稿送り装置320は、画像形成装置300の上部に取り付けられている。本実施の形態では、自動原稿送り装置320にステープル取り外し装置100が搭載されている。また、画像形成装置300は、本体前面に操作パネル310を備える。操作パネル310は、複数の操作ボタンと、メニュー画面等を表示するディスプレイとを有する。
このように、図29に示す画像形成装置300では、自動原稿送り装置320にステープル取り外し装置100を搭載するので、例えば、ステープルSで綴じた用紙束PからステープルSを引き抜いて各用紙をコピーやスキャンする場合でも、一連の流れでステープル取り外し、コピー、スキャン等の作業を行うことができる。
<第11変形例>
図30は、第11変形例に係るステープル取り外し装置100が後処理装置500に搭載された画像形成システム600の構成図である。
画像形成システム600は、複数の給紙トレイを有する大容量給紙装置400と、大容量給紙装置400の下流側に配置され、用紙に画像を形成する画像形成装置300と、画像形成装置300の下流側に配置され、綴じ処理等の後処理を行う後処理装置500とを備える。本実施の形態では、後処理装置500の上面部であって画像形成装置300の自動原稿送り装置320に隣接する位置にステープル取り外し装置100が搭載されている。なお、ステープル取り外し装置100は、後処理装置500に内蔵させてもよい。
このように、図30に示す画像形成システム600では、後処理装置500にステープル取り外し装置100を搭載するので、例えば、ステープルSで綴じた用紙束PからステープルSを引き抜いて各用紙をコピーやスキャンする場合でも、一連の流れでステープル取り外し、コピー、スキャン等の作業を行うことができる。
<第12変形例>
図31は、第12変形例に係る着脱式のステープル取り外し装置100が搭載された画像形成装置300の斜視図である。
画像形成装置300には、ステープル取り外し装置100を装着する装着台330が設けられている。装着台330は、例えば、装置本体の側面上部から外側に張り出す板状部材で構成され、自動原稿送り装置320の近傍に設けられる。ステープル取り外し装置100は、装着台330に着脱可能に構成される。ステープル取り外し装置100は、装着台330から取り外して、例えば机上に載置して使用することができる。ステープル取り外し装置100は、バッテリー駆動でもよいし、AC電源駆動でもよい。
<第13変形例>
図32は、第13変形例に係る用紙束Pを検知する機能を有するステープル取り外し装置100が搭載された画像形成装置300の斜視図である。
ステープル取り外し装置100は、載置台104に接近又は載置される用紙束Pを検知するセンサ109を備える。ステープル取り外し装置100は、用紙束Pがセンサ109により検知されるまで、つまり待機時は省電力モードとし、用紙束Pがセンサ109により検知されたときステープル取り外し装置100又は画像形成装置300を起動(ウェイクアップ)させる。
図32等に示したステープル取り外し装置100において、LED等の発光部を設けることもできる。発光部は、例えば、使用者が見易いように、紙押さえ機構部170の上面部に設けることが好ましい。発光部を点灯又は点滅させることで、画像形成装置300にステープル取り外し装置100が搭載されていることをユーザーに報知することができる。なお、報知手段は、音声であってもよい。
また、図33に示すように、ステープル取り外し装置100の載置台104上に、ステープル取り外し位置を示すラベルLBを貼り付けてもよい。
また、図30等の画像形成システム600や図32等の画像形成装置300において、ダストボックス202内にステープル屑が満タンとなった場合、操作パネル310の表示部312の画面に、「ステープル屑満杯 中のステープル屑を捨てて下さい」、「ダストボックス 取り出して確認して下さい」等のメッセージを表示してもよい。ステープル屑の満タン検知は、以下の方法を採用できる。例えば、ダストボックス202内にセンサを設置し、センサの検知結果に基づいてステープル屑が満タンか否かを判断するようにしてもよい。また、制御部によりステープル取り外し動作の回数のカウントし、カウント値が閾値を超えたか否かに基づいてステープル屑が満タンか否かを判断してもよい。
また、ステープル取り外し装置100で故障(ロック)が発生した場合、操作パネル310の表示部312の画面に、「リムーバ エラー***発生」、「リムーバを確認して下さい」等のメッセージを表示してもよい。
さらに、図32に示した画像形成装置300等の操作パネル310に、ステープル取り外し装置100をオン/オフするための操作ボタンを設けることもできる。なお、操作ボタンは、実際のボタンではなく、表示部312の画面上に表示されるタッチ式のボタンでもよい。これにより、ステープル取り外し装置100側及び画像形成装置300側のどちら側からでも、ステープル取り外し装置100を起動させることができる。
ここで、従来のステープル取り外し装置において、ステープル押さえ部における楔板の押し込み荷重を受ける点を荷重作用点としたとき、ステープル押さえ部を支持する支持部材の軸の軸心が荷重作用点を含む水平線(挿入方向に延びる仮想線)よりも上側に配置されると、楔板の押し込み荷重の分力が楔板から離れる方向に発生する。この場合、ステープルからステープル押さえ部が滑って外れてしまい、ステープル押さえ部にてステープルを常時支持することができないという問題があった。
これに対し、本実施の形態によれば、図4Aに示したように、ステープル押さえ部162を支持する支持部材163の軸158の軸心O1が、荷重作用点O2を含む水平線Lよりも下側に配置される。これにより、楔板112の押し込み荷重の分力を、楔板112へ押し付ける方向に発生させることができるので、ステープルSをステープル押さえ部162により安定して支持することができる。
なお、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施の形態に記載の範囲には限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能である。