JP2020077740A - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】分子量が小さく、水酸基の多い第1水溶性化合物を積極的に用いたことで、酸化皮膜との接触を良好にするとともに、固体電解質層内の第1水溶性化合物による酸化皮膜修復性能をさらに向上させて、漏れ電流の低減効果を高めた構成の固体電解コンデンサを提供することを目的とする。【解決手段】固体電解コンデンサ1は、酸化皮膜2bが形成された陽極箔2aと、陰極箔2cと、セパレータ2dとを有するコンデンサ素子2と、コンデンサ素子2に形成された固体電解質層20と、固体電解質層20を取り囲むように導入された水溶性高分子溶液30とを備え、固体電解質層20は、微粒子状の導電性高分子化合物2eと第1水溶性化合物2f1とを含んだ構成である。【選択図】図1

Description

本発明は、固体電解コンデンサ及びその製造方法に関する。
微粒子状の導電性高分子化合物を用いた固体電解コンデンサは、温度安定性に優れており、等価直列抵抗(Equivalent Series Resistance:略称はESR)が小さい等の特長がある。微粒子状の導電性高分子化合物は分散液に分散した状態でコンデンサ素子に導入され、乾燥されることで、微粒子状の導電性高分子化合物が含まれた固体電解質層が形成される。固体電解質層が形成された状態のコンデンサ素子は、一例として、ポリエチレングリコールなど液体状の水溶性高分子化合物が含まれた水溶性高分子溶液が固体電解質層を取り囲むように導入され、これによって、水溶性高分子溶液が保持している水分を陽極酸化皮膜の修復に使用することが可能となる。
従来、導電性高分子化合物を含む導電性微粒子及び親水性高分子化合物を含む固体電解質が充填(導入)されてなる固体電解コンデンサが知られている(特許文献1:特許第5688192号公報)。
特許文献1記載の固体電解コンデンサは、陽極箔と陰極箔との間の空隙に、親水性高分子化合物を含む固体電解質が導入されているので、固体電解コンデンサの製造工程で酸化皮膜の欠損が生じた場合や、固体電解コンデンサの長時間使用によって酸化皮膜の欠損が生じた場合に、親水性高分子化合物の保持する水分によって酸化皮膜の欠損が修復される。つまり、親水性高分子化合物を含む固体電解質が導入されていることで、漏れ電流の低減効果を有している。
特許第5688192号公報
コンデンサの技術分野においては、従来よりも漏れ電流が低減されたコンデンサが常に求められており、固体電解コンデンサの技術分野においても例外ではない。しかし、特許文献1に記載の親水性高分子化合物は分子量が大きく、水酸基が少ないため、酸化皮膜との接触が弱く、固体電解質層内の親水性高分子化合物による皮膜修復性能が十分ではない。そのため、所望の漏れ電流低減効果が得られないという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、分子量が小さく、水酸基の多い水溶性化合物(第1水溶性化合物)を積極的に用いたことで、酸化皮膜との接触を良好にするとともに、固体電解質層内の第1水溶性化合物による酸化皮膜修復性能をさらに向上させて、漏れ電流の低減効果を高めた構成の固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供することを目的とする。
一実施形態として、以下に開示するような解決手段により、前記課題を解決する。
本発明の固体電解コンデンサは、酸化皮膜が形成された陽極箔と、陰極箔と、前記陽極箔と前記陰極箔との間に配設されたセパレータとを有するコンデンサ素子と、前記コンデンサ素子に形成された固体電解質層と、前記固体電解質層を取り囲むように導入された水溶性高分子溶液とを備え、前記固体電解質層は、微粒子状の導電性高分子化合物と第1水溶性化合物とを含んでいることを特徴とする。
この構成によれば、分子量が小さくて水酸基が多い第1水溶性化合物が固体電解質層に含まれているので、固体電解コンデンサの製造工程で酸化皮膜の欠損が生じた場合や、固体電解コンデンサの長時間使用によって酸化皮膜の欠損が生じた場合に、酸化皮膜の欠損が修復できる。尚且つ、分子量が小さく、水酸基の多い第1水溶性化合物を積極的に用いたことで、電極箔の酸化皮膜との良好な接触が得られる。よって、酸化皮膜修復能力が十分に発揮できる構造となり、尚且つ、漏れ電流の低減効果を高めた構成となる。
一例として、前記第1水溶性化合物は単量体または二量体である。単量体や二量体は高分子に比べ分子量が小さい特徴がある。
前記第1水溶性化合物は、分子量が100以上200未満であり、且つ、水酸基を4つ以上有していることが好ましい。これにより、漏れ電流の低減効果を確実に高めることができる。そして、製造上必要な範囲内で粘度管理された微粒子状の導電性高分子化合物と第1水溶性化合物とを含んだ分散液由来の均質な固体電解質層が陽極酸化皮膜に形成された構造となる。
一例として、前記第1水溶性化合物は、ジグリセリンである。ジグリセリンは4つの水酸基を有しており、分子量が166.17であって、漏れ電流の低減効果をより確実に高めることができる。
前記固体電解質層における前記第1水溶性化合物の割合は、50[wt%]以上97[wt%]以下であることが好ましい。これにより、均質な固体電解質層が陽極酸化皮膜に形成された構造となる。
前記水溶性高分子溶液は、液体状の水溶性高分子化合物と水とを含んでおり、且つ、前記水溶性高分子溶液は、第2水溶性化合物を含んでいることが好ましい。これにより、固体電解質層内の第1水溶性化合物と水溶性高分子溶液との相溶性がさらに向上した構造となる。
水溶性高分子溶液における第2水溶性化合物の含有量が少なすぎると、固体電解質層内の第1水溶性化合物と水溶性高分子溶液との十分な相溶性が得られなくなってしまう場合がある。このような観点によれば、水溶性高分子溶液における第2水溶性化合物の含有量は、1[wt%]以上が好ましく、5[wt%]以上がより好ましく、10[wt%]以上がより一層好ましい。一方、水溶性高分子溶液における第2水溶性化合物の含有量が多すぎると、特に低温で第2水溶性化合物の析出等の不具合のおそれがある。このような観点によれば、水溶性高分子溶液における第2水溶性化合物の含有量は、90[wt%]以下が好ましく、70[wt%]以下がより好ましく、50[wt%]以下がより一層好ましい。
第2水溶性化合物の分子量が大きすぎると、第2水溶性化合物を水溶性高分子溶液中に均一に含ませるのが困難になる場合がある。このような観点によれば、第2水溶性化合物は、分子量が2000以下であることが好ましく、800以下であることがより好ましく、350以下であることがより一層好ましい。一方、第2水溶性化合物の分子量が小さすぎると、特に高温で蒸散しやすくなり固体電解コンデンサの高温耐久性の低下等をきたすおそれがある。このような観点によれば、第2水溶性化合物は、分子量が100以上であることが好ましい。
第2水溶性化合物は、水酸基を4つ以上有していることが好ましい。これにより、液体状の水溶性高分子化合物に対する第2水溶性化合物の溶解性を高めることができる。
第2水溶性化合物は、分子量が100以上200未満であり、且つ、水酸基を4つ以上有していることがより一層好ましい。これにより、固体電解質層内の第1水溶性化合物と水溶性高分子溶液との相溶性を一層高めることができる。
一例として、前記第2水溶性化合物は、前記第1水溶性化合物と同じ物質である。これにより、固体電解質層内の第1水溶性化合物と水溶性高分子溶液との良好な相溶性が得られて、水溶性高分子溶液の陽極酸化皮膜修復能力が十分に発揮できる構造となる。
前記水溶性高分子化合物は平均分子量が100以上1000未満であることが好ましい。この構成によれば、平均分子量が100以上の水溶性高分子化合物を用いたことで、外部への飛散が防止できる。尚且つ、平均分子量が1000未満の水溶性高分子化合物を用いたことで、低温での等価直列抵抗(ESR)が小さくなる。一例として、前記水溶性高分子化合物はポリエチレングリコールである。ポリエチレングリコールは2つの水酸基を有している。
前記水溶性高分子溶液における水の含有量は、0.2[wt%]以上4[wt%]以下であることが好ましい。この構成によれば、水の含有量を4[wt%]以下としたことで、固体電解コンデンサが高温環境下であるとき(例えばリフロー時)や固体電解コンデンサが長時間使用されたときに、固体電解コンデンサが膨れにくくなる。尚且つ、水の含有量を0.2[wt%]以上としたことで、酸化皮膜の欠損修復効率を十分に高くできる。
前記水溶性高分子溶液における水の含有量は0.5[wt%]以上であることが好ましく、0.7[wt%]以上であることがより一層好ましい。また水溶性高分子溶液の水の含有量は3[wt%]以下であることがより好ましく、2[wt%]以下であることがより一層好ましい。
本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、酸化皮膜が形成された陽極箔と、陰極箔と、前記陽極箔と前記陰極箔との間に配設されたセパレータとを有するコンデンサ素子と、前記コンデンサ素子に形成された固体電解質層と、前記固体電解質層を取り囲むように導入された水溶性高分子溶液とを備えた固体電解コンデンサの製造方法であって、微粒子状の導電性高分子化合物と第1水溶性化合物とを含んだ分散液を前記コンデンサ素子に導入する第1導入ステップを有することを特徴とする。
この構成によれば、分子量が小さくて水酸基が多い第1水溶性化合物を添加剤として用いることで、微粒子状の導電性高分子化合物と第1水溶性化合物とを含んだ分散液由来の均質な固体電解質層を陽極酸化皮膜に形成できる。つまり、電極箔の酸化皮膜との良好な接触を得ることで、陽極酸化皮膜の欠損を防止できる構造になる。そして、固体電解コンデンサの製造工程で酸化皮膜の欠損が生じた場合や、固体電解コンデンサの長時間使用によって酸化皮膜の欠損が生じた場合に、酸化皮膜の欠損が修復できる構造になる。よって、酸化皮膜修復能力が十分に発揮できる構造になり、尚且つ、漏れ電流の低減効果を高めた構成になる。
前記第1導入ステップによって前記コンデンサ素子に形成された前記固体電解質層を取り囲むように、液体状の水溶性高分子化合物を含んだ前記水溶性高分子溶液を導入する第2導入ステップを有することが好ましい。この構成によれば、固体電解質層内の第1水溶性化合物と水溶性高分子溶液との相溶性がさらに向上し、陽極酸化皮膜修復能力が十分に発揮できる。
本発明の固体電解コンデンサ及びその製造方法によれば、分子量が小さくて水酸基が多い第1水溶性化合物が固体電解質層に含まれているので、酸化皮膜との良好な接触が得られる。よって、固体電解質層内の第1水溶性化合物による酸化皮膜修復性能がさらに向上し、漏れ電流の低減効果を高めた構成となる。さらに、固体電解質層内の第1水溶性化合物と水溶性高分子溶液との良好な相溶性によって、水溶性高分子溶液の陽極酸化皮膜修復能力が十分に発揮できる構造となり、尚且つ、漏れ電流の低減効果を高めた構成となる。さらに、固体電解質層内の第1水溶性化合物による酸化皮膜修復性能が損なわれたときでも、水溶性高分子溶液内の水溶性高分子化合物が同様の酸化皮膜修復作用を補うことによって、長期間に亘り、酸化皮膜修復能力を維持することができる。したがって、陽極酸化皮膜修復能力に優れ、漏れ電流を低減した構造の固体電解コンデンサが実現できる。
図1は本発明の実施形態におけるコンデンサ素子の要部を模式的に示す図である。 図2Aは本実施形態の固体電解コンデンサの構造を示す概略の部分断面図であり、図2Bは本実施形態の固体電解コンデンサをケース開口側から見た概略の図である。 図3はリード端子が接合された陽極箔とリード端子が接合された陰極箔とセパレータとをそれぞれ重ね合わせて巻回している状態の図である。 図4Aは本実施形態の化成処理における準備段階の図であり、図4Bは化成処理の準備段階に続く浸漬段階の図であり、図4Cは化成処理の浸漬段階に続く引き上げ段階の図である。 図5Aは本実施形態の分散液充填処理における準備段階の図であり、図5Bは分散液充填処理の準備段階に続く浸漬段階の図であり、図5Cは分散液充填処理の浸漬段階に続く引き上げ段階の図である。 図6Aは本実施形態の水溶性高分子化合物導入処理における準備段階の図であり、図6Bは水溶性高分子化合物導入処理の準備段階に続く浸漬段階の図であり、図6Cは水溶性高分子化合物導入処理の浸漬段階に続く引き上げ段階の図である。 図7Aは本実施形態の嵌合処理における準備段階の図であり、図7Bは嵌合処理の準備段階に続く挿通段階の図であり、図7Cは嵌合処理の挿通段階に続く嵌合段階の図である。 図8は本実施形態の固体電解コンデンサの製造手順を示すフローチャート図である。
(実施形態)
先ず、本発明の実施形態に係るコンデンサ素子2の構造等について説明する。
図1は本実施形態の固体電解コンデンサ1におけるコンデンサ素子2の要部を模式的に示す図である。陽極箔2aと陰極箔2cとはアルミニウム、タンタル、ニオブ等の弁金属から形成されている。陽極箔2aの表面は、エッチング処理により粗面化された後、化成処理によって酸化皮膜2bが形成されている。また、陰極箔2cの表面は、陽極箔2aと同様にエッチング処理により粗面化された後、自然酸化皮膜2hが形成されている。一例として、陽極箔2aおよび陰極箔2cは、アルミニウムからなる。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
陽極箔2aと陰極箔2cとの間にはセパレータ2dが配設されている。セパレータ2dは、導電性の高分子や水溶性の高分子と化学的に馴染み易いセルロース繊維、または、耐熱性に優れたナイロン、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の合成樹脂で形成されたものが適用される。セパレータ2dは、一例として、耐熱性セルロース紙である。
本実施形態は、図1に示すように、陽極箔2aと陰極箔2cとの間の空隙に、固体電解質層20と水溶性高分子溶液30とが、水溶性高分子溶液30が固体電解質層20を取り囲むように導入されている。陽極側では、陽極箔2aの酸化皮膜2bを覆うように固体電解質層20が形成されている。固体電解質層20は、サイズがナノメートルオーダーの微粒子状の導電性高分子化合物2eと第1水溶性化合物2f1とを含んでいる。そして、固体電解質層20を取り囲むように水溶性高分子溶液30が導入されている。水溶性高分子溶液30は、液体状の水溶性高分子化合物と水と第2水溶性化合物2f2とを含んでいる。水溶性高分子溶液30は、水を含んでいるので、陽極箔2aの酸化皮膜2bを修復する優れた酸化膜修復性能を有する。
導電性高分子化合物2eは、一例として、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリ(4−スチレンスルホン酸)をドープしたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT/PSS)、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、ポリピロール(PPy)、ポリアニリン(PANI)、ポリチオフェン(PT)、又はその他既知の導電性高分子化合物を含む。これによれば、高耐電圧化が可能となり、一例として、耐電圧を100[V]まで高めることができる。また、導電性高分子化合物2eは、ポリスチレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸のいずれか1種以上をドーパントとした導電性高分子化合物を含むことが好ましい。これによれば、導電性が安定する。
一例として、導電性高分子化合物2eの平均粒子径は、1[nm]以上かつ300[nm]以下である。導電性高分子化合物2eの平均粒子径が1[nm]未満である場合には、微粒子状の導電性高分子化合物を作製するのが困難となる場合がある。一方、導電性高分子化合物2eの平均粒子径が300[nm]よりも大きい場合には、陽極箔2a表面のエッチングピット(凹部)に導電性高分子化合物2eを導入するのが困難となる場合がある。このような観点から言えば、導電性高分子化合物2eの平均粒子径は、2[nm]以上であることがより好ましく、3[nm]以上であることがより一層好ましい。また、導電性高分子化合物2eの平均粒子径は、200[nm]以下であることがより好ましく、100[nm]以下であることがより一層好ましい。
一例として、本実施形態の固体電解コンデンサ1の構造を示す概略の部分断面図を図2Aに示す。固体電解コンデンサ1は、微粒子状の導電性高分子化合物2eと第1水溶性化合物2f1とを含んだ固体電解質層20が形成されたコンデンサ素子2と、リード端子5及びリード端子6と、貫通穴が二箇所に形成された封口体3と、コンデンサ素子2を収納する有底形状のケース4と、固体電解質層20を取り囲むように導入された水溶性高分子溶液30とを備えており、ケース4の開口側が封口体3によって封止されている構成である。ここで、固体電解コンデンサ1の各部の位置関係を説明し易くするため、図中にX,Y,Zの矢印で向きを示している。固体電解コンデンサ1を実際に使用する際には、これらの向きに限定されず、どのような向きで使用しても支障ない。
図2Aと図2Bの例では、ケース4の開口側の側面に横絞り部が形成され、且つ、開口端部が曲げられている。ケース4の開口側は、コンデンサ素子2が配設されておらず、封口体3の第1面の一部や、リード端子5(6)の引出端子が露出している。封口体3は、ケース4の横絞り部と開口端部とによって支持固定されている。リード端子5(6)は、丸棒部が封口体3の貫通穴に嵌合しており、封口体3によって支持固定されている。
ケース4は有底筒状であり、アルミニウム等の金属からなる。封口体3は、水分の浸入や酸化皮膜修復物質の飛散を防止するために高気密性を有し、ケース4の内側形状に合わせた略円柱形状となっている。封口体3は、絶縁性ゴム組成物からなる。一例として、封口体3は、イソブチレン・イソプレンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴム、又はその他既知のエラストマーからなる。
リード端子5(6)における引出端子は、一例として、錫めっきされた銅被覆鋼線(CP線)からなる。これにより、外部の基板等への半田付けが容易となる。なお、引出端子は、丸ピンとする場合や角ピンとする場合がある。ここで、リード端子5は陽極箔2aに接合される陽極リード端子であり、リード端子6は陰極箔2cに接合される陰極リード端子である。陽極リード端子5の引出端子5fの長さは、陰極リード端子6の引出端子6fの長さよりも長くなっているので、極性を容易に視認できる。引出端子の長さの違いを除いて、陽極リード端子5と陰極リード端子6とは、同一形状かつ同一構造となっている。陽極リード端子5における扁平部と第1段差部と丸棒部とは、一例として、アルミニウムからなり、プレス加工によって成形される。
続いて、本実施形態に係る固体電解コンデンサ1の製造方法について、以下に説明する。
図8は、固体電解コンデンサ1の製造手順を示すフローチャート図である。固体電解コンデンサ1は、一例として、接合ステップS1、素子形成ステップS2、第1導入ステップS3、第2導入ステップS4、嵌合ステップS5、封口ステップS6、エージングステップS7の順に製造される。なお、上記の製造手順は一例であり、上記以外に、第2導入ステップS4と嵌合ステップS5との順序を入れ替えることが可能である。そして、エージングステップS7の後に、封口ステップS6を設けることが可能である。また、エージングステップS7の後に、嵌合ステップS5および封口ステップS6を設けることが可能である。
接合ステップS1は、一例として、リード端子5の扁平部と陽極箔2aとを重ね合わせて、針等で所定箇所を突き通して複数の接合箇所を所定間隔で形成し、出来たバリ部分をプレス加工して陽極箔2aと接合して電気接続可能とする。陰極箔2cについても同様である。接合箇所は複数個所形成されていれば電気接続状態が安定するので、接続箇所が二箇所の場合、三箇所の場合、四箇所以上の場合がある。
素子形成ステップS2は、一例として、図3に示すように、陽極箔2aと陰極箔2cとの間にセパレータ2dを挟んで両電極箔を隔離した状態とし、陽極箔2aと陰極箔2cとをセパレータ2dを介して巻回して円筒形状とする。そして、テープまたはフィルム等を円筒形状の外周部に貼り付けて巻回状態を保持する(不図示)。次に、素子形成ステップS2における化成処理は、一例として、図4Aに示すように、化成液11を入れた化成液槽51を準備する。次に、図4Bに示すように、化成処理前段階のコンデンサ素子2iを化成液槽51内の化成液11に浸漬するとともに、引出端子5fと化成液11との間に所定電圧を所定時間印加する。一例として、100[V]の電圧を、5[分]印加して、陽極箔2aの端部に存在する酸化皮膜欠損部及び表面に存在することがある酸化皮膜欠損部を修復する(不図示)。そして、図4Cに示すように、化成液槽51から引き上げて、乾燥し、化成処理された状態のコンデンサ素子2jにする。化成液11は、例えば、アジピン酸アンモニウム、ホウ酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、グルタル酸アンモニウム、アゼライン酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム、セバシン酸アンモニウム、ピメリン酸アンモニウム、スベリン酸アンモニウム等の水溶液が挙げられる。
第1導入ステップS3は、微粒子状の導電性高分子化合物2eと第1水溶性化合物2f1とを含んだ分散液を、化成処理された状態のコンデンサ素子2jに導入して、乾燥し、固体電解質層20を形成する。分散液の媒質は、水または水溶性液体のいずれかないしは両方である。
第1導入ステップS3は、一例として、図5Aに示すように、分散液12を入れた分散液槽52を準備する。次に、図5Bに示すように、化成処理された状態のコンデンサ素子2jを分散液槽52内の分散液12に浸漬する。そして、図5Cに示すように、分散液槽52から引き上げて、乾燥し、第1導入処理された状態のコンデンサ素子2kにする。乾燥回数は1回以上であり、乾燥を複数回繰り返す場合がある。
本実施形態は、高分子分散液12における導電性高分子化合物2eの濃度は、一例として、0.1[vol%]以上かつ10[vol%]以下である。導電性高分子化合物2eの濃度が0.1[vol%]よりも低い場合には、導電性高分子化合物2eの量が少なく、所望のコンデンサ特性を発揮できない可能性がある。一方、導電性高分子化合物2eの濃度が10[vol%]よりも高い場合には、分散液12に導電性高分子化合物2eが均質に分散しない可能性がある。このような観点から言えば、導電性高分子化合物2eの濃度は、1[vol%]以上であることが好ましく、また、導電性高分子化合物2eの濃度は、2[vol%]以上であることがより好ましい。そして、導電性高分子化合物2eの濃度は、7[vol%]以下であることが好ましく、また、導電性高分子化合物2eの濃度は、3[vol%]以下であることがより好ましい。
第2導入ステップS4は、陽極箔2aの酸化皮膜2bを修復可能な水溶性高分子化合物を含んだ水溶性高分子溶液30を導入する。一例として、図6Aに示すように、陽極箔2aの酸化皮膜2bを修復可能な水溶性高分子化合物を含んだ水溶性高分子溶液30を入れた溶液槽53を準備する。次に、図6Bに示すように、固体電解質層20が形成された状態のコンデンサ素子2kを溶液槽53内の水溶性高分子溶液30に浸漬する。そして、図6Cに示すように、溶液槽53から引き上げて、水溶性高分子溶液30が導入処理された状態のコンデンサ素子2にする。
嵌合ステップS5は、一例として、図7Aに示すように、ケース4と封口体3とを準備する。次に、図7Bに示すように、水溶性高分子溶液30が導入処理された状態のコンデンサ素子2をケース4に収納するとともに、陽極リード端子5の丸棒部と、陰極リード端子6の丸棒部を封口体3の2箇所の貫通穴にそれぞれ嵌合する。これにより、図7Cに示すように、ケース4と封口体3とが嵌合状態となる。
封口ステップS6は、一例として、ケース4の開口側にカシメ加工を施して、ケース4の開口側の側面に横絞り部を形成し、尚且つ、開口端部を曲げる。このカシメ加工によって、図2に示すように、ケース4の横絞り部と開口端部とによって封口体3を支持固定する。つまり、封口体3とコンデンサ素子2とは、有底形状のケース4に収納されており、封口体3は、ケース4の開口側の成形加工によって支持固定されている。
エージングステップS7は、ケース4の開口側が封口体3とリード端子5(6)とによって封口された後に、外装スリーブをケース4に取り付ける等して、当該外装スリーブを熱加工するとともに、エージング処理を行う。エージング処理は、高温条件下で所定時間、電圧印加を行い、水溶性高分子溶液30の酸化皮膜修復作用を用いて、陽極箔2aの接合箇所や断面等の金属地金部分と酸化皮膜2bの弱い部分を再化成する。これにより、漏れ電流を抑制した状態で安定させる。また、エージング処理には、予期しない初期不良の除去といったデバッキング効果もある。
上述した本実施形態の固体電解コンデンサ1は、微粒子状の導電性高分子化合物2eと、水溶性高分子化合物よりも分子量が小さくて水酸基が多い第1水溶性化合物2f1とが固体電解質層20に含まれているので、酸化皮膜2bとの良好な接触が得られる。よって、固体電解質層20内の第1水溶性化合物2f1による酸化皮膜修復性能がさらに向上し、漏れ電流の低減効果を高めた構成となる。さらに、固体電解質層20内の水溶性化合物2f1と水溶性高分子溶液30との良好な相溶性によって、水溶性高分子溶液30の陽極酸化皮膜修復能力が十分に発揮できる構造となり、尚且つ、漏れ電流の低減効果を高めた構成となる。さらに、固体電解質層20内の第1水溶性化合物2f1による酸化皮膜修復性能が損なわれたときでも、水溶性高分子溶液30内の水溶性高分子化合物が同様の酸化皮膜修復作用を補うことによって、長期間に亘り、酸化皮膜修復能力を維持することができる。したがって、陽極酸化皮膜修復能力に優れ、漏れ電流を低減した構造の固体電解コンデンサ1となる。
続いて、固体電解コンデンサ1の実施例1〜3について、以下に説明する。
[実施例1]
実施例1は、ポリ(4−スチレンスルホン酸)をドープしたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT/PSS)を微粒子状の導電性高分子化合物2eとして水に分散させて、さらに、ジグリセリンを第1水溶性化合物2f1として添加した分散液を用いた。また、平均分子量が約300のポリエチレングリコール(PEG300)を液体状の水溶性高分子化合物として、PEG300と水との混合体を水溶性高分子溶液30として用いた。実施例1では、水溶性高分子溶液30におけるPEG300の割合を99[wt%]として、水の割合を1[wt%]とした。
実施例1の製造方法は上述の実施形態のとおりであり、リード端子5が接合された陽極箔2aと、リード端子6が接合された陰極箔2cとの間にセパレータ2dを介在させて巻回することにより、巻回形のコンデンサ素子2を形成した。次に、コンデンサ素子2を化成液層中のアジピン酸アンモニウム水溶液に浸漬するとともに、陽極箔2a側のリード端子5と化成液の間に100[V]の電圧を5[分]印加して、陽極箔2aの端部に存在する酸化皮膜欠損部及び陽極箔2a表面の酸化皮膜欠損部を修復し、その後、105[℃]の温度で5[分]乾燥した。
次に、コンデンサ素子2における陽極箔2aの酸化皮膜2bに、微粒子状の導電性高分子化合物2eと第1水溶性化合物2f1とを含んだ固体電解質層20を形成した。そして、陽極箔2aと陰極箔2cとの間の空隙に、液体状の水溶性高分子化合物と水とを含んだ水溶性高分子溶液30を、固体電解質層20を取り囲むように導入した。
そして、イソブチレン・イソプレンゴムからなる封口体3を用いて、コンデンサ素子2のリード端子5(6)における丸棒部を、封口体3の貫通穴に嵌合するとともに、コンデンサ素子2を金属ケース4に挿入し、その後、金属ケース4の開口端近傍にカシメ加工を施し、封口体3を支持固定した。
そして、約85[℃]の温度で、所定電圧を60[分]印加することでエージング処理を行って、固体電解コンデンサ1を作製した。
[実施例2]
実施例2は、実施例1と同様、ポリ(4−スチレンスルホン酸)をドープしたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT/PSS)を微粒子状の導電性高分子化合物2eとして水に分散させて、さらに、ジグリセリンを第1水溶性化合物2f1として添加した分散液を用いた。また、平均分子量が約300のポリエチレングリコール(PEG300)を液体状の水溶性高分子化合物として、PEG300と水とポリグリセリンとの混合体を水溶性高分子溶液30として用いた。実施例2では、水溶性高分子溶液30におけるPEG300の割合を89[wt%]とし、水の割合を1[wt%]として、ポリグリセリンの割合を10[wt%]とした。
実施例2の製造方法は、PEG300と水とポリグリセリンとの混合体を水溶性高分子溶液30として用いた点以外は、上述の実施例1と同じである。
[実施例3]
実施例3は、実施例1と同様、ポリ(4−スチレンスルホン酸)をドープしたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT/PSS)を微粒子状の導電性高分子化合物2eとして水に分散させて、さらに、ジグリセリンを第1水溶性化合物2f1として添加した分散液を用いた。また、平均分子量が約300のポリエチレングリコール(PEG300)を液体状の水溶性高分子化合物として、PEG300と水とジグリセリンとの混合体を水溶性高分子溶液30として用いた。実施例3では、水溶性高分子溶液30におけるPEG300の割合を89[wt%]とし、水の割合を1[wt%]として、ジグリセリンの割合を10[wt%]とした。
実施例3の製造方法は、PEG300と水とジグリセリンとの混合体を水溶性高分子溶液30として用いた点以外は、上述の実施例1および実施例2と同じである。
ここで、実施例1〜3の定格電圧は25[WV]、静電容量は330[μF]である。
続いて、上述した実施例1〜3の試作と並行して試作した比較例1〜2の固体電解コンデンサについて、以下に説明する。
[比較例1]
比較例1は、ポリ(4−スチレンスルホン酸)をドープしたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT/PSS)を微粒子状の導電性高分子化合物として水に分散させて、さらに、平均分子量が約300のポリエチレングリコール(PEG300)を添加した分散液を用いた。また、平均分子量が約300のポリエチレングリコール(PEG300)と水との混合体を水溶性高分子溶液として用いた。比較例1では、水溶性高分子溶液におけるPEG300の割合を99[wt%]として、水の割合を1[wt%]とした。
比較例1の製造方法は、微粒子状の導電性高分子化合物とPEG300とを含んだ固体電解質層を陽極箔2aの酸化皮膜2bに形成した点以外は、上述の実施例1と同じである。
[比較例2]
比較例2は、ポリ(4−スチレンスルホン酸)をドープしたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT/PSS)を微粒子状の導電性高分子化合物2eとして水に分散させて、さらに、ポリグリセリンを添加した分散液を用いた。また、平均分子量が約300のポリエチレングリコール(PEG300)と水との混合体を水溶性高分子溶液として用いた。比較例2では、水溶性高分子溶液におけるPEG300の割合を99[wt%]として、水の割合を1[wt%]とした。
比較例2の製造方法は、微粒子状の導電性高分子化合物とポリグリセリンとを含んだ固体電解質層を陽極箔2aの酸化皮膜2bに形成した点以外は、上述の実施例1と同じである。
ここで、比較例1〜2の定格電圧は25[WV]、静電容量は330[μF]である。
上述の実施例1〜3と比較例1〜2の各電解コンデンサにおける、水溶性高分子溶液の組成を表1に示す。
上述の実施例1〜3と比較例1〜2の各電解コンデンサについて、エージング時の漏れ電流値を測定した。電圧印加後1分経過した時点の漏れ電流値を5分値と表記する。また、電圧印加後60分経過した時点の漏れ電流値を60分値と表記する。エージング時の漏れ電流値の測定結果を表2に示す。
表2に示すように、実施例1〜3は、比較例1〜2に比べて電圧印加後の漏れ電流値が大幅に抑制された結果となった。実施例1は、5分値が比較例1の約0.11倍であり、60分値は比較例1の約0.25倍であった。実施例2は実施例1よりも電圧印加後の漏れ電流値がさらに抑制された結果となった。実施例2は、5分値が比較例1の約0.07倍であり、60分値が比較例1の約0.2倍であった。実施例3は実施例1よりも電圧印加後の漏れ電流値がさらに抑制された結果となった。実施例3は、5分値が比較例1の約0.01倍であり、60分値が比較例1の約0.07倍であった。なお、比較例1は、5分値が比較例2の約0.73倍であり、60分値が比較例2の約0.24倍であった。
表2の結果から、実施例1〜3のように、ポリエチレングリコールやポリグリセリンよりも分子量が小さくて水酸基が多いジグリセリンを第1水溶性化合物2f1として固体電解質層20に含ませたことで、酸化皮膜2bとの良好な接触が得られ、固体電解質層20内の第1水溶性化合物2f1による酸化皮膜修復性能がさらに向上し、漏れ電流を大幅に抑制できたものと考えられる。また、実施例2〜3のように、ジグリセリンやポリグリセリンを第2水溶性化合物2f2として水溶性高分子溶液30に含ませたことで、固体電解質層20内の第1水溶性化合物2f1と水溶性高分子溶液30との良好な相溶性が得られ、陽極酸化皮膜修復能力が従来よりも発揮できるようになったものと考えられる。さらに、実施例3のように、第1水溶性化合物2f1と第2水溶性化合物2f2とをいずれもジグリセリンとして、ジグリセリンを水溶性高分子溶液30に含ませたことで、固体電解質層20内の第1水溶性化合物2f1と水溶性高分子溶液30との相溶性が実施例2よりもさらに向上した構造となり、陽極酸化皮膜修復能力が十分に発揮できるようになったものと考えられる。
本発明は、上述の実施例に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更が可能である。
1 固体電解コンデンサ
2 コンデンサ素子
2a 陽極箔
2b 酸化皮膜
2c 陰極箔
2d セパレータ
2e 導電性高分子化合物
2f1 水溶性化合物(第1水溶性化合物)
2f2 水溶性化合物(第2水溶性化合物)
3 封口体
4 ケース
5 リード端子(陽極リード端子)
6 リード端子(陰極リード端子)
20 固体電解質層
30 水溶性高分子溶液
本発明は、固体電解コンデンサ製造方法に関する。
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、分子量が小さく、水酸基の多い水溶性化合物(第1水溶性化合物)を積極的に用いたことで、酸化皮膜との接触を良好にするとともに、固体電解質層内の第1水溶性化合物による酸化皮膜修復性能をさらに向上させて、漏れ電流の低減効果を高めた構成の固体電解コンデンサ製造方法を提供することを目的とする。
固体電解コンデンサは、酸化皮膜が形成された陽極箔と、陰極箔と、前記陽極箔と前記陰極箔との間に配設されたセパレータとを有するコンデンサ素子と、前記コンデンサ素子に形成された固体電解質層と、前記固体電解質層を取り囲むように導入された水溶性高分子溶液とを備え、前記固体電解質層は、微粒子状の導電性高分子化合物と第1水溶性化合物とを含んでい
本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、酸化皮膜が形成された陽極箔と、陰極箔と、前記陽極箔と前記陰極箔との間に配設されたセパレータとを有するコンデンサ素子と、前記コンデンサ素子に形成された固体電解質層とを備え、前記固体電解質層は導電性高分子化合物と第1水溶性化合物とを含んでおり、前記第1水溶性化合物は、分子量が100以上200未満であり、且つ、水酸基を4つ以上有している構成、または、前記第1水溶性化合物はジグリセリンである構成のいずれかないしは両方の構成となっており、前記固体電解質層における前記第1水溶性化合物の割合は50wt%以上97wt%以下となっている固体電解コンデンサの製造方法であって、微粒子状の前記導電性高分子化合物と前記第1水溶性化合物とを含んだ分散液を前記コンデンサ素子に導入する第1導入ステップと、前記第1導入ステップによって前記コンデンサ素子に形成された前記固体電解質層を取り囲むように、液体状のポリエチレングリコールと水と第2水溶性化合物とを含んだ水溶性高分子溶液を導入する第2導入ステップを有し、前記第2導入ステップは、微粒子状の前記導電性高分子化合物を含まない前記水溶性高分子溶液を用いるとともに、前記第2水溶性化合物として前記第1水溶性化合物と同じ物質を用いることを特徴とする。
また、この構成によれば、固体電解質層内の第1水溶性化合物と水溶性高分子溶液との相溶性がさらに向上し、陽極酸化皮膜修復能力が十分に発揮できる。
本発明の固体電解コンデンサ製造方法によれば、分子量が小さくて水酸基が多い第1水溶性化合物が固体電解質層に含まれているので、酸化皮膜との良好な接触が得られる。よって、固体電解質層内の第1水溶性化合物による酸化皮膜修復性能がさらに向上し、漏れ電流の低減効果を高めた構成となる。さらに、固体電解質層内の第1水溶性化合物と水溶性高分子溶液との良好な相溶性によって、水溶性高分子溶液の陽極酸化皮膜修復能力が十分に発揮できる構造となり、尚且つ、漏れ電流の低減効果を高めた構成となる。さらに、固体電解質層内の第1水溶性化合物による酸化皮膜修復性能が損なわれたときでも、水溶性高分子溶液内の水溶性高分子化合物が同様の酸化皮膜修復作用を補うことによって、長期間に亘り、酸化皮膜修復能力を維持することができる。したがって、陽極酸化皮膜修復能力に優れ、漏れ電流を低減した構造の固体電解コンデンサが実現できる。
上述の実施例1〜3と比較例1〜2の各電解コンデンサについて、エージング時の漏れ電流値を測定した。電圧印加後分経過した時点の漏れ電流値を5分値と表記する。また、電圧印加後60分経過した時点の漏れ電流値を60分値と表記する。エージング時の漏れ電流値の測定結果を表2に示す。

Claims (11)

  1. 酸化皮膜が形成された陽極箔と、陰極箔と、前記陽極箔と前記陰極箔との間に配設されたセパレータとを有するコンデンサ素子と、前記コンデンサ素子に形成された固体電解質層と、前記固体電解質層を取り囲むように導入された水溶性高分子溶液とを備え、
    前記固体電解質層は、微粒子状の導電性高分子化合物と第1水溶性化合物とを含んでいること
    を特徴とする固体電解コンデンサ。
  2. 前記第1水溶性化合物は、分子量が100以上200未満であり、且つ、水酸基を4つ以上有していること
    を特徴とする請求項1記載の固体電解コンデンサ。
  3. 前記第1水溶性化合物は、ジグリセリンであること
    を特徴とする請求項1または2記載の固体電解コンデンサ。
  4. 前記固体電解質層における前記第1水溶性化合物の割合は、50wt%以上97wt%以下であること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の固体電解コンデンサ。
  5. 前記水溶性高分子溶液は、液体状の水溶性高分子化合物と水とを含んでおり、且つ、前記水溶性高分子溶液は、第2水溶性化合物を含んでいること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の固体電解コンデンサ。
  6. 前記第2水溶性化合物は、前記第1水溶性化合物と同じ物質であること
    を特徴とする請求項5記載の固体電解コンデンサ。
  7. 前記水溶性高分子化合物は、分子量が100以上1000未満であること
    を特徴とする請求項5または6記載の固体電解コンデンサ。
  8. 前記水溶性高分子化合物は、ポリエチレングリコールであること
    を特徴とする請求項5〜7のいずれか一項記載の固体電解コンデンサ。
  9. 前記水溶性高分子溶液における水の含有量は、0.2wt%以上4wt%以下であること
    を特徴とする請求項5〜8のいずれか一項記載の固体電解コンデンサ。
  10. 酸化皮膜が形成された陽極箔と、陰極箔と、前記陽極箔と前記陰極箔との間に配設されたセパレータとを有するコンデンサ素子と、前記コンデンサ素子に形成された固体電解質層と、前記固体電解質層を取り囲むように導入された水溶性高分子溶液とを備えた固体電解コンデンサの製造方法であって、
    微粒子状の導電性高分子化合物と第1水溶性化合物とを含んだ分散液を前記コンデンサ素子に導入する第1導入ステップを有すること
    を特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  11. 前記第1導入ステップによって前記コンデンサ素子に形成された前記固体電解質層を取り囲むように、液体状の水溶性高分子化合物を含んだ前記水溶性高分子溶液を導入する第2導入ステップを有すること
    を特徴とする請求項10記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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