JP2020076042A - ポリプロピレンカーボネート含有溶液及びポリプロピレンカーボネート含有層 - Google Patents

ポリプロピレンカーボネート含有溶液及びポリプロピレンカーボネート含有層 Download PDF

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Abstract

【課題】紫外線が照射されたときにも高い撥液性を保持し得るポリプロピレンカーボネート含有層を提供する。【解決手段】本発明の1つのポリプロピレンカーボネート含有層は、二酸化炭素とエポキシドとの共重合体であり、主鎖が下記一般式(I)で表される反復単位を有し、かつ該主鎖の構造が99%以上の構造規則性を有するポリプロピレンカーボネートを含有する層であって、該層の少なくとも表面に紫外線を10分間連続して照射した後の前記表面の接触角が、該紫外線を照射する前の該表面の接触角を1としたときに、0.88以上である。【選択図】図3

Description

本発明は、ポリプロピレンカーボネート含有溶液及びポリプロピレンカーボネート含
有層に関する。
様々な形態の情報端末や情報家電が産業界及び消費者に求められる中、微細化された電子デバイスに代表される、種々の分野の各種デバイスのための配線等の形成方法は、日進月歩で進化を続けている。
各種の電子デバイスのための配線等の形成方法として、長年に亘り、真空プロセスやフォトリソグラフィー法を用いたプロセス等、比較的長時間、及び/又は高価な設備を要する製造方法が採用されてきた。
これまでに、本願出願人は、酸化されたときに酸化物半導体となる金属の化合物を脂肪族ポリカーボネートからなるバインダーを含む溶液中に分散させた酸化物半導体の前駆体を利用して、クラックの生成が低減され、電気的特性及び安定性に優れる酸化物半導体層、及びその酸化物半導体層を備えた半導体素子並びに電子デバイスを提供する技術を開示している(特許文献1)。
また、本願出願人は、基材上に配置された、複数の島状の脂肪族ポリカーボネート含有層の少なくとも表面が、180nm以上370nm以下の波長を含む紫外光に15分間曝露されたときに、純水とその表面との接触角度が50°以上であり、各々の該前駆体層に挟まれた領域の少なくとも一部に、前述の基材上の金属インクを備える複合部材を開示している(特許文献2)。
国際公開第WO2015/019771号公報 国際公開第WO2017/047227号公報
上述のとおり、真空プロセスやフォトリソグラフィー法を用いたプロセスに代表される製造方法は、各種のデバイスを製造するために多くの処理と長時間を要するため、原材料や製造エネルギーの使用効率の低下又は悪化につながる。従って、そのような製造方法を採用することは、工業性又は量産性の観点から好ましくないだけでなく、大面積化を比較的困難にすることになる。
一方、印刷法に代表される低エネルギー製造プロセスは、電子デバイスのフレキシブル化、及び上述の工業性又は量産性の観点から、産業界において特に注目を集めている。印刷法又は塗布法を用いれば、直接、基板上に所望の層をパターニングすることができるため、パターニングのための真空プロセスを省くことができるという利点が得られる。そのため、脂肪族ポリカーボネートを含有する層(特に、ポリプロピレンカーボネートを含有する層(以下、「ポリプロピレンカーボネート含有層」ともいう))を用いて微細なパターニングを実現することは、特許文献1に開示されている該層の稀有な特徴を利用することにより、各種デバイスにとって大変魅力的な技術の提供につながる可能性がある。
そこで、ポリプロピレンカーボネート含有層のパターンを利用して、例えば金属インクを出発材として形成される金属配線パターンを形成する場合、該金属インクの選択的な配置を実現するために、該ポリプロピレンカーボネート含有層の表面の該金属インクに対する高い撥液性が求められる。従って、液状物質に対して非常に高い撥液性を発揮することは、液状物質の配置に対する自在性を高めることに大きく貢献し得る。
一方、特許文献2において開示されるように、ポリプロピレンカーボネート含有層の表面に対して紫外線を5分間照射することによって、撥液性(代表的な指標として、純水の接触角)がある程度低下することが確認されている。
上述のとおり、ポリプロピレンカーボネート含有層のパターンを利用して、金属インクを出発材として形成される金属配線パターンを基材上に形成する場合、該金属インクの選択的な配置を容易にするために、紫外線を利用する場合がある。これは、該基材上においてポリプロピレンカーボネート含有層が配置されている箇所と、該層が存在していない箇所との、該基材の各表面における金属インクに対する撥液性を大きく異ならせるために、該層が存在していない該基材の表面上の有機物等を、紫外線を用いて除去することによって該表面を親液化させることが好ましいためである。しかしながら、前述の処理は、同時にポリプロピレンカーボネート含有層の表面に対して紫外線を照射することにもなるため、該層の表面の撥液性をある程度犠牲にせざるを得ないというジレンマが生じることになる。
従って、微細化された電子デバイスに代表される様々な分野の各種デバイスに用いられる可能性のあるポリプロピレンカーボネート含有層が、仮に、紫外線が照射された後であっても、高い撥液性を維持し得ることは極めて有用性に富むが、その実現に向けた研究及び開発は、未だ道半ばである。
本発明は、紫外線が照射された場合であっても高い撥液性を維持し得るポリプロピレンカーボネート含有層、またその原料であるポリプロピレンカーボネート含有溶液の実現に大きく貢献し得る。
本発明者らは、紫外線に曝露された場合であっても、ポリプロピレンカーボネート含有層の表面の撥液性を低下させない、又はその低下を抑制するために、鋭意研究と分析を重ねた。その結果、ポリプロピレンカーボネート自身の高分子鎖を工夫することにより、紫外線への耐性を非常に高めたポリプロピレンカーボネート含有層を実現し得ることを見出した。本発明は上述の工夫によって創出された。
本発明の1つのポリプロピレンカーボネート含有溶液は、二酸化炭素とエポキシドとの共重合体であり、主鎖が下記一般式(I)で表される反復単位を有し、かつ該主鎖の構造が99%以上の構造規則性を有しているポリプロピレンカーボネートを含有し、加熱によって該ポリプロピレンカーボネートを含有する層を形成したときに、該層の少なくとも表面に紫外線を10分間連続して照射した後の該表面の接触角が、該紫外線を照射する前の該表面の接触角を1としたときに、0.88以上である。
Figure 2020076042
このポリプロピレンカーボネート含有溶液を用いて、ポリプロピレンカーボネート含有層を形成することにより、例えば、連続的に紫外線を照射された場合であっても、該紫外線が照射される前と比較したときに、該ポリプロピレンカーボネート含有層の表面における接触角の低下を確度高く抑えることができる。従って、このポリプロピレンカーボネート含有溶液を用いて形成されたポリプロピレンカーボネート含有層は、その表面の撥液性についての紫外線への耐性が非常に高められる。
また、本発明の1つのポリプロピレンカーボネート含有層は、二酸化炭素とエポキシドとの共重合体であり、主鎖が下記一般式(I)で表される反復単位を有し、かつ該主鎖の構造が99%以上の構造規則性を有するポリプロピレンカーボネートを含有する層であって、該層の少なくとも表面に紫外線を10分間連続して照射した後の前記表面の接触角が、該紫外線を照射する前の該表面の接触角を1としたときに、0.88以上である。
Figure 2020076042
このポリプロピレンカーボネート含有層を採用することにより、例えば、連続的に紫外線を照射された場合であっても、該紫外線が照射される前と比較したときに、該ポリプロピレンカーボネート含有層の表面における接触角の低下を確度高く抑えることができる。従って、このポリプロピレンカーボネート含有層は、その表面の撥液性についての紫外線への耐性が非常に高められる。
ところで、本願においては、「ゲル状態」とは、代表的な例で言えば、液体の状態から熱処理によって溶媒がある程度(代表的には、溶媒全体に対する質量比において80%以上であるがこの数値に限定されない。)除去された状態ではあるが、ポリプロピレンカーボネートは実質的に分解又は除去されていない状況をいう。
また、本願における「層」は、層のみならず膜をも含む概念である。逆に、本願における「膜」は、膜のみならず層をも含む概念である。また、本願における「接触角」は、ポリプロピレンカーボネート含有層の表面における純水の接触角を意味する。また、構造規則性が損なわれている状態とは、例えば、高分子鎖の中においてCOが欠損している等の状態が形成されていることをいう。
また、本出願における「基材」とは、板状体の基礎に限らず、その他の形態(例えば、曲面状)の基礎ないし母材を含む。加えて、本願の後述する各実施形態においては、「塗布」とは、低エネルギー製造プロセス、代表的には印刷法、スピンコート法、バーコート法、スリットコート法、又はナノ・インプリント法によってある基材上に層を形成することをいう。
本発明の1つのポリプロピレンカーボネート含有溶液によれば、該溶液を用いて、ポリプロピレンカーボネート含有層を形成することにより、例えば、連続的に紫外線を照射された場合であっても、該紫外線が照射される前と比較したときに、該ポリプロピレンカーボネート含有層の表面における接触角の低下を確度高く抑えることができる。
また、本発明の1つのポリプロピレンカーボネート含有層によれば、例えば、連続的に紫外線を照射された場合であっても、該紫外線が照射される前と比較したときに、該ポリプロピレンカーボネート含有層の表面における接触角の低下を確度高く抑えることができる。
一般的なポリプロピレンカーボネート含有溶液のTG−DTA特性の一例を示すグラフである。 第1の実施形態における複合部材の製造方法の一過程を示す断面模式図である。 第1の実施形態における複合部材の製造方法の一過程を示す断面模式図である。 第1の実施形態における複合部材の製造方法の一過程を示す断面模式図である。 第2の実施形態の変形例における複合部材の製造方法の一過程を示す断面模式図である。 第2の実施形態の変形例における複合部材の製造方法の一過程を示す断面模式図である。 第2の実施形態の変形例における複合部材の製造方法の一過程を示す断面模式図である。 第2の実施形態の変形例における複合部材の製造方法の一過程を示す断面模式図である。 第2の実施形態の変形例における複合部材の製造方法の一過程を示す断面模式図である。 第2の実施形態の変形例における複合部材の製造方法の一過程を示す断面模式図である。 第2の実施形態の変形例における複合部材の製造方法の一過程を示す断面模式図である。
本発明の実施形態である複合部材、ポリプロピレンカーボネート含有層、及び該複合部材の製造方法を、添付する図面に基づいて詳細に述べる。なお、この説明に際し、全図にわたり、特に言及がない限り、共通する部分には共通する参照符号が付されている。また、図中、各実施形態の要素は必ずしも互いの縮尺を保って記載されるものではない。さらに、各図面を見やすくするために、一部の符号が省略され得る。
<第1の実施形態>
[ポリプロピレンカーボネート含有溶液及びポリプロピレンカーボネート含有層、並びにそれらの製造方法]
本実施形態のポリプロピレンカーボネート含有溶液(不可避不純物を含み得る。以下、同じ)は、本実施形態のポリプロピレンカーボネート含有層(不可避不純物を含み得る。以下、同じ)を製造するための原料である。
本実施形態においては、本実施形態のポリプロピレンカーボネート含有溶液から形成されたポリプロピレンカーボネート含有層を採用することにより、仮に紫外線を照射された場合であっても、該紫外線が照射される前と比較したときに、該ポリプロピレンカーボネート含有層の表面における接触角の低下を確度高く抑えることができる。以下に、本実施形態のポリプロピレンカーボネート含有溶液及び本実施形態のポリプロピレンカーボネート含有層について説明する。
(ポリプロピレンカーボネート含有溶液及びポリプロピレンカーボネート含有層について)
本実施形態においては、数平均分子量が1×10以上2×10以下のポリプロピレンカーボネートを、ある溶媒(代表的には、有機溶媒)中に溶解させた状態が、本実施形態の「ポリプロピレンカーボネート含有溶液」を構成する。
また、そのポリプロピレンカーボネート含有溶液を加熱することによって、ナノ・インプリント法又は各種の印刷法(例えば、スクリーン印刷法)に用いることができる程度に溶媒が除去された状態(代表的には、「ゲル状態」)の層は、本実施形態の「ポリプロピレンカーボネート含有層」である。
本実施形態のポリプロピレンカーボネート含有溶液は、主としてポリプロピレンカーボネートを含むが、ポリプロピレンカーボネート以外の化合物、組成物、又は材料を含み得る。なお、該ポリプロピレンカーボネート含有溶液中のポリプロピレンカーボネート含有量の下限値は特に限定されないが、代表的には、該ポリプロピレンカーボネートの、溶質の総量に対する質量比が80%以上である。また、該ポリプロピレンカーボネート含有溶液中のポリプロピレンカーボネート含有量の上限値は特に限定されないが、代表的には、該ポリプロピレンカーボネートの、溶質の総量に対する質量比が100%以下である。
加えて、該ポリプロピレンカーボネート含有層は、例えば、後述する型押し工程によって、凹凸が形成された該ポリプロピレンカーボネート含有層になる。
(ポリプロピレンカーボネート含有溶液及びポリプロピレンカーボネート含有層の例)
本実施形態においては、熱分解性の良いポリプロピレンカーボネートが用いられる。このようなポリプロピレンカーボネートは、酸素含有量が高く、比較的低温で低分子化合物に分解することが可能である。
また、本実施形態において、ポリプロピレンカーボネートを含む溶液である「ポリプロピレンカーボネート含有溶液」に採用され得る有機溶媒は、ポリプロピレンカーボネートを溶解可能な有機溶媒であれば特に限定されない。有機溶媒の具体例は、国際公開第WO2016/098423号公報において開示されている、有機溶媒が好適に用いられる。
また、ポリプロピレンカーボネートを含む溶液であるポリプロピレンカーボネート含有溶液には、所望により、国際公開第WO2016/098423号公報において開示されている、分散剤及び/又は可塑剤等をさらに添加することができる。
また、本実施形態のポリプロピレンカーボネート含有層を形成する方法は、特に限定されない。低エネルギー製造プロセスによる層の形成は、好適な一態様である。基材上に凹凸が形成されたポリプロピレンカーボネート含有層を形成する場合には、例えば、簡便な方法であるナノ・インプリント法等が採用され得る。
<TG−DTA(熱重量測定及び示差熱)特性>
ここで、比較的低温で低分子化合物に分解することが可能となるポリプロピレンカーボネートについて、本発明者らは、より具体的にその分解及び消失の過程を調査した。
図1は、一般的なポリプロピレンカーボネートを溶質とする溶液のTG−DTA特性の一例を示すグラフである。なお、図1は、本実施形態の高い構造規則性を有するポリプロピレンカーボネートのTG−DTA特性ではないが、加熱によって分解又は除去され得るポリプロピレンカーボネート含有層の特徴を説明するために便宜的に示している。また、このグラフは、ポリプロピレンカーボネートを6.25質量%含むDEGMEA溶液の常圧下における結果が示されている。また、図1に示すように、図中の実線は、熱重量(TG)測定結果であり、図中の点線は示差熱(DTA)測定結果である。
図1に示す熱重量測定によれば、140℃付近から190℃付近にかけて、ポリプロピレンカーボネート含有溶液の溶媒の消失とともに、ポリプロピレンカーボネート自身の一部の分解ないし消失による重量の顕著な減少が見られる。なお、この分解により、ポリプロピレンカーボネートは、二酸化炭素と水に変化していると考えられる。また、図1に示す結果から、190℃付近において、該ポリプロピレンカーボネートが90wt%以上分解され、除去されていることが確認される。さらに詳しく見ると、250℃付近において、該ポリプロピレンカーボネートが95wt%以上分解され、260℃付近において、該ポリプロピレンカーボネートがほぼ全て(99wt%以上)分解される。従って、この一般例においては、250℃以上(より好ましくは260℃以上)の加熱処理を行うことによって、実質的に又はほぼ消失又は除去されるポリプロピレンカーボネート含有溶液を採用することにより、ポリプロピレンカーボネート含有溶液の層を加熱することによって形成されるポリプロピレンカーボネート含有層は、分解又は除去され得る。
全体の傾向として、上述の一般例の特徴と同様な特徴を有する本実施形態のポリプロピレンカーボネートを採用することにより、例えば、凹凸が形成された本実施形態のポリプロピレンカーボネート含有層から形成されるポリプロピレンカーボネート含有層のパターンを利用して形成される金属層の形成のための犠牲層としての役割を果たし得る。換言すれば、該ポリプロピレンカーボネート含有層のパターンは、実質的に自身の残渣を残すことなく分解又は除去されることが可能となる。ポリプロピレンカーボネート含有層は、酸素含有量が高く、比較的低温で低分子化合物に分解する観点から、いわゆる犠牲層として非常に好適な材料である。
なお、上述の一般例の結果は、比較的短時間の加熱処理による該ポリプロピレンカーボネートの分解についての結果であるが、より長時間加熱処理する場合は、より低温(例えば、180℃)であっても十分に一般例のポリプロピレンカーボネートが分解することが確認されている。換言すれば、加熱による一般例のポリプロピレンカーボネートの分解又は除去される温度の下限値が、代表的には180℃であるといえる。但し、この下限値の温度は、一般例のポリプロピレンカーボネートの中の1つ又は数個の結合だけが切れる温度という意味ではなく、一般例のポリプロピレンカーボネートの分解によって該ポリプロピレンカーボネートが実質的に又はほぼ分解によって質量の減少が確認される温度である。加えて、前述の一般例についての説明は、本実施形態のポリプロピレンカーボネート含有層にも当て嵌まる。
従って、180℃以上で加熱したときに、実質的に又はほぼ分解又は除去されるポリプロピレンカーボネート含有層を採用することにより、上述と同様に、例えば、該ポリプロピレンカーボネート含有層のパターンを利用して形成される金属層の形成のための犠牲層としての役割を果たし得る。換言すれば、該ポリプロピレンカーボネート含有層のパターンは、実質的に自身の残渣を残すことなく分解又は除去されることが可能となる。
なお、該ポリプロピレンカーボネート含有層のパターンの代表的な例は、ナノ・インプリント分野、あるいは半導体分野又は電子デバイス分野において採用され得るライン・アンド・スペース又はドットに代表されるパターンであるが、本実施形態のパターンの形状は、それらに限定されない。各種の公知のパターン形状を有するポリプロピレンカーボネート含有層も、本実施形態の「ポリプロピレンカーボネート含有層のパターン」に含まれ得る。
(ポリプロピレンカーボネートについて)
本実施形態においては、エポキシドと二酸化炭素とを重合反応させたポリプロピレンカーボネートが、好適な一態様として採用される。
また、上述のエポキシドは、二酸化炭素と重合反応して主鎖に脂肪族を含む構造を有するポリプロピレンカーボネートとなるエポキシドであれば特に限定されない。例えば、プロピレンオキシドは、本実施形態において採用し得る例である。なお、プロピレンオキシドは、二酸化炭素との高い重合反応性を有する観点から好適に用いられる。
(ポリプロピレンカーボネートの製造方法について)
本実施形態のポリプロピレンカーボネートの製造方法の一例として、エポキシドと二酸化炭素とを金属触媒の存在下で重合反応させる方法等が採用され得る。
ここで、ポリプロピレンカーボネートの製造例は、次のとおりである。
攪拌機、ガス導入管、温度計を備えた、容積が1L(リットル)のオートクレーブに、触媒としてのコバルト錯体を仕込み、系内をあらかじめ窒素雰囲気に置換した後、プロピレンオキシドを仕込んだ。次に、攪拌しながら二酸化炭素を加えることによって反応系内を二酸化炭素雰囲気に置換し、反応系内が約1.5MPaとなるまで二酸化炭素を充填した。その後、そのオートクレーブを40℃に昇温し、反応により消費される二酸化炭素を補給しながら数時間重合反応を行った。反応終了後、オートクレーブを冷却して脱圧し、反応生成物をメタノールで洗浄した。その後、減圧乾燥することによりポリプロピレンカーボネートを得た。
なお、上述の金属触媒の具体例の一つは、国際公開第WO2012/114939号公報において開示されているコバルト錯体である。該触媒として採用することにより、二酸化炭素とエポキシドとの共重合体であり、かつ主鎖が下記の一般式(I)で表される反復単位を有し、かつ該主鎖の構造が99%以上の構造規則性を有するポリプロピレンカーボネートを生成することが可能であることを確認することができた。
Figure 2020076042
また、上述の重合反応において必要に応じて用いられる反応溶媒は、特に限定されるものではない。具体的には、国際公開第WO2016/098423号公報において開示されている例を採用し得る。
なお、上述の反応溶媒の使用量は、国際公開第WO2016/098423号公報において開示されている量が好ましい。
また、上述の重合反応において、エポキシドと二酸化炭素とを金属触媒の存在下で反応させる方法としては、特に限定されるものではない。例えば、国際公開第WO2016/098423号公報において開示されている方法が採用され得る。
加えて、上述の重合反応において用いられる二酸化炭素の使用圧力は、特に限定されない。代表的には、国際公開第WO2016/098423号公報において開示されている圧力が採用され得る。
さらに、上述の重合反応における重合反応温度は、特に限定されない。代表的には、30℃以上100℃以下であることが好ましく、40℃以上80℃以下であることがより好ましい。重合反応温度が30℃未満の場合、重合反応に長時間を要するおそれがある。また、重合反応温度が100℃を超える場合、副反応が起こり、収率が低下するおそれがある。重合反応時間は、重合反応温度により異なるために一概には言えないが、代表的には、2時間〜40時間であることが好ましい。
重合反応終了後、得られたポリプロピレンカーボネートに対して、下記の工程を行うことにより、本実施形態のポリプロピレンカーボネート含有溶液が製造される。
(ポリプロピレンカーボネート含有溶液の製造方法について)
本実施形態においては、上述のポリプロピレンカーボネートを既に説明した、ポリプロピレンカーボネートを溶解可能な有機溶媒(例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)に溶解させる。その結果、上述の一般式(I)で表される主鎖の構造が99%以上の構造規則性を有するポリプロピレンカーボネートを含有する、本実施形態のポリプロピレンカーボネート含有溶液が製造される。
<第2の実施形態>
次に、本発明者らは、第1の実施形態のポリプロピレンカーボネート含有溶液を用いて、基材10及びポリプロピレンカーボネート含有層を備えた複合部材100を製造した。
(複合部材の製造方法)
本実施形態の複合部材100の製造方法を、図2乃至図4に示しつつ説明する。
[ポリプロピレンカーボネート含有層の製造工程]
本実施形態においては、図2に示すように、基材10であるガラス又はポリイミド上に、ポリプロピレンカーボネート含有層22を公知のスピンコート法又はバーコート法を用いて形成する。この工程が、ポリプロピレンカーボネート含有層形成工程の例である。なお、本実施形態のポリプロピレンカーボネート含有層22の厚みは特に限定されないが、その代表的な厚みは、300nm以上4000nm以下である。
次に、ポリプロピレンカーボネート含有層22を予備的に加熱することにより、ポリプロピレンカーボネート含有層22中に含まれる溶媒成分を除去する工程(予備焼成工程又は乾燥工程、以下、総称して「予備焼成工程」という)が行われる。本実施形態においては、予備焼成工程として、100℃〜150℃の加熱処理が行われた。
(紫外線照射工程)
本実施形態においては、図2に示すように、公知の紫外線照射源(紫外線照射装置)80(マルチプライ株式会社製、型式,MHU−110WB)を用いて、予備焼成工程を経たポリプロピレンカーボネート含有層22の全面に対して、波長180nm以上370nm以下を含む紫外線を連続的に照射する紫外線照射工程が行われる。なお、本実施形態における、波長180nm以上370nm以下を含む紫外線を照射する紫外線照射源の他の例は、市販の365nmを主波長とする紫外線ランプ(アズワン株式会社製、型式,SLW−8)である。
なお、本実施形態においては、紫外線照射源80とポリプロピレンカーボネート含有層22の表面との間の距離は10mmである。また、本実施形態における紫外線強度(又は紫外線照度)は、0.275mW/cmである。
本実施形態においては、ポリプロピレンカーボネート含有層22の少なくとも表面を上述の紫外線照射工程を行うことにより、図3に示すように、紫外線が照射された(換言すれば、紫外線に曝露された)ポリプロピレンカーボネート含有層24を備える本実施形態の複合部材100を製造することができる。
本発明者は、本実施形態の複合部材100におけるポリプロピレンカーボネート含有層24の表面の撥液性を変化の有無を調査した。
表1は、2種類の試料(試料1,試料2)に対する紫外線照射工程を行ったときの紫外線照射時間と接触角(純水の接触角)との関係を示している。
なお、試料1は、質量平均分子量が約35万のポリプロピレンカーボネートであって、下記一般式(I)で表される主鎖の構造が約99%の構造規則性を有するポリプロピレンカーボネートを採用した、本実施形態の1つのポリプロピレンカーボネート含有層である。また、試料2は、質量平均分子量が約11.3万のポリプロピレンカーボネートであって、主鎖が下記一般式(I)で表される反復単位を有し、かつ該主鎖の構造が99%以上の構造規則性を有するポリプロピレンカーボネートを採用した、本実施形態の1つのポリプロピレンカーボネート含有層である。
Figure 2020076042
なお、比較例は、上述の紫外線照射工程と同条件の下で照射した、質量平均分子量が約30万のポリプロピレンカーボネート含有層であって、上記一般式(I)で表される主鎖の構造が約94%の構造規則性を有するポリプロピレンカーボネートを採用した、ポリプロピレンカーボネート含有層である。なお、該比較例のポリプロピレンカーボネートは、本実施形態のポリプロピレンカーボネートの製造の際に用いられた触媒とは異なり、国際公開第WO2016/098423号公報において開示されている有機亜鉛触媒が用いられている。
また、表1に示すように、各欄における上段には接触角(deg.)が表示され、下段には、紫外線が照射される前のポリプロピレンカーボネート含有層22の表面の接触角を100(%)としたときの、紫外線照射工程後の該表面の接触角の比率(%)が表示されている。例えば、試料1における「10分」後の保持率の計算式は、(63.6÷71.3)×100であり、小数第2位を四捨五入している。また、表1の例においては、紫外線の照射時間が0秒以上600秒以下の範囲で変化したときの接触角の例が示されている。
Figure 2020076042
その結果、表1に示すように、紫外線が照射されてから10分後の本実施形態の2種類のポリプロピレンカーボネート含有層の表面における接触角の保持率(%)が88%以上であったのに対して、比較例の接触角の保持率(%)は86.4%というより小さい値であった。従って、本発明者らは、試料1及び2の保持率と比較例の保持率との間には有意差が存在することを知得した。
上述のとおり、本実施形態のポリプロピレンカーボネート含有層24を採用することにより、連続的に紫外線を10分間照射した後のポリプロピレンカーボネート含有層24の表面の接触角が、該紫外線を照射する前の該表面の接触角を1としたときに、0.88以上という、高い撥液性を実現し得ることは特筆に値する。換言すると、上記一般式(I)で表される主鎖の構造が99%未満(具体的には、約94%)の構造規則性を有するポリプロピレンカーボネートを採用した、比較例のポリプロピレンカーボネート含有層は、3分間の紫外線照射に対しては高い撥液性を発揮したが、10分間の紫外線照射への撥液性保持に対する耐性が低下することが明らかとなった。
<第2の実施形態の変形例>
本実施形態においては、第2の実施形態の高い撥液性を備えるポリプロピレンカーボネート含有層24の特徴を活かして、パターンが形成されたポリプロピレンカーボネート含有層24及び金属インク72を備える複合部材200、並びに、金属層74を備えた複合部材300を製造した。
以下に、複合部材200及び複合部材300の製造方法を、図5乃至図11に示しつつ説明する。
[ポリプロピレンカーボネート含有層形成工程]
本実施形態においては、第2の実施形態の図2に示すように、基材10上に、ポリプロピレンカーボネート含有層22の一例であるポリプロピレンカーボネート含有層を公知のスピンコート法又はバーコート法を用いて形成する。この工程が、ポリプロピレンカーボネート含有層形成工程の例である。
[凹部形成工程/型押し工程]
次に、その後のナノ・インプリント法による型押し構造を形成できる程度までポリプロピレンカーボネート含有層22を加熱することにより、ポリプロピレンカーボネート含有層22中に含まれる溶媒成分を除去する工程(予備焼成工程又は乾燥工程、以下、総称して「予備焼成工程」という)が行われる。本実施形態においては、予備焼成工程として、100℃〜150℃の加熱処理が行われた。
続いて、図5に示すように、ポリプロピレンカーボネート含有層22に対して、型M1を、0.1MPa以上20MPa以下の圧力を加えて押圧することにより、ポリプロピレンカーボネート含有層22の型押し構造を形成する型押し工程が行われる。型押し加工が施されることにより、図6に示すように、型M1の凸部によって押圧された領域22aの厚みがその他の領域に比べて薄くなることにより、凹部が形成される。従って、本実施形態においては、前述の型押し加工が施される工程が、凹部形成工程/型押し工程である。なお、該凹部の形成は、見方を変えれば凸部を形成する工程である、と言うこともできる。
ところで、本実施形態のナノ・インプリント法においては、複数の島状のポリプロピレンカーボネート含有層22が、40℃以上150℃以下で加熱された状態で型押し加工が施される。なお、型押し加工を施している間、換言すれば、加圧状況下においては、ポリプロピレンカーボネート含有層22は完全に分解されずに残留し得る。また、型押し加工を施している間、例えば、国際公開公報第WO2013/069686号公報において開示される技術思想と同様に、基材10を公知のヒーターによって加熱するとともに、型M1自身も公知のヒーターによって加熱している。型押し加工を施している間の基材10及び型M1の各温度は適宜調整されるが、代表的な基材10の加熱温度は40℃以上150℃以下であり、また、その間の代表的な型M1の加熱温度は40℃以上150℃以下である。
なお、上述の圧力の数値範囲に対する技術思想は、国際公開第2017/047227号公報において開示される技術思想と同様である。
また、第1及び第2の実施形態、並びに本変形例のポリプロピレンカーボネート含有層及びポリプロピレンカーボネート含有溶液が適用され得る技術分野は広範に及ぶため、それらの用途は制限されないことを付言する。例えば、高い寸法精度の凹凸を備えるポリプロピレンカーボネート含有層を採用することの1つの利点は、後述するように、公知のアッシング装置を用いて凹部のポリプロピレンカーボネートを分解又は除去することによって得られる、ポリプロピレンカーボネート含有層のパターンを実現し得る点である。該ポリプロピレンカーボネート含有層のパターンが採用されれば、公知のレジストが採用されたときのようにプラズマ又は剥離液を用いることなく、比較的低温の加熱処理のみによって極めて簡便に、かつ確度高く該ポリプロピレンカーボネート含有層を分解又は除去し得る。よって、ポリプロピレンカーボネート含有層のパターンを形成することにより、仮に高熱(例えば、300℃以上)の環境への耐性が低い材質が基材として採用された場合であっても、該基材上を変質させない、汎用性の非常に高い技術が提供されることになる点は、特筆に値する。
その後、本実施形態においては、ナノ・インプリント法によって形成された型押し構造を有するポリプロピレンカーボネート含有層22の全面を、大気圧雰囲気において発生させたプラズマに曝露することによってエッチングするエッチング処理が施される。なお、本実施形態のプラズマを形成するために処理室内へ導入された具体的なガスは、酸素、アルゴン、及びヘリウムである。また、印加した高周波電力は約500Wである。本実施形態においては、ヤマト科学株式会社製(型式,YAP510S)の大気圧プラズマ装置が用いられた。その結果、図7に示すように、複数の島状の、ポリプロピレンカーボネート含有層22,22,22が形成される。
なお、大気圧雰囲気において発生させたプラズマに加えて、補助的に減圧下における酸素プラズマによるエッチング処理を併用し得ること、国際公開第2017/047227号公報において開示される技術思想と同様である。
ここで、複数の島状の、ポリプロピレンカーボネート含有層22,22,22における、各々のポリプロピレンカーボネート含有層22,22,22の間の最短距離(換言すれば、各々のポリプロピレンカーボネート含有層22,22,22の最も短い間隔)は、少なくともインプリント法に代表されるパターン形成方法を用いたときは、500nm以上20μm以下を実現し得る。
また、本実施形態においては、大気圧下のプラズマを用いて、型押し構造を有するポリプロピレンカーボネート含有層22の全面をエッチングする処理を施すことにより、複数の島状のポリプロピレンカーボネート含有層22,22,22が形成されている。しかしながら、複数の島状のポリプロピレンカーボネート含有層22,22,22の形成方法は、前述の方法に限定されない。例えば、スクリーン印刷法を用いれば、基材10上にポリプロピレンカーボネート含有層22を塗布したときに、既に、複数の島状のポリプロピレンカーボネート含有層22,22,22を形成することができる。
次に、本実施形態においては、図8に示すように、公知の紫外線照射源(紫外線照射装置)80(マルチプライ株式会社製、型式,MHU−110WB)を用いて、複数の島状のポリプロピレンカーボネート含有層22,22,22(24,24,24)、及びポリプロピレンカーボネート含有層22(24)が配置されていない基材10の表面10aのいずれにも対して、波長180nm以上370nm以下を含む紫外線を照射する紫外線照射工程が行われる。なお、本実施形態における、波長180nm以上370nm以下を含む紫外線を照射する紫外線照射装置の他の例は、市販の365nmを主波長とする紫外線ランプ(アズワン株式会社製、型式,SLW−8)である。
その結果、紫外線への曝露により、それまでの本実施形態の各工程を経ることによる表面10aの有機物等の汚染物質又は経時的な外気への曝露によって付着した有機物等の汚染物質などを、分解及び/又は除去することができる。加えて、基材10の表面10aは、親水性を確度高く得ることが可能となるため、その後の金属インクの配置が行われる際に、該金属インクと基材10との高い親和性、換言すれば高い濡れ性(以下、総称して、「高い濡れ性」という)を実現することができる。
なお、本実施形態の基材10は、基材10上に、予め、導電体層、半導体層、又は絶縁体層のパターンが形成されているものを含み得る。ここで、例えば、母材がシリコン基板であって、母材の表面とポリプロピレンカーボネート含有層22との間に別の層(例えば、酸化シリコン層)が介在している場合は、金属インクとその「別の層」の表面との高い濡れ性を実現する必要が生じる。その場合の紫外線照射工程においては、直接的には、その「別の層」の表面に対して上述の紫外線が照射される。従って、その場合の基材10は、母材であるシリコン基板と該シリコン基板の表面上に設けられた「別の層」とを一体物として捉えたものである。
一方、紫外線照射工程によって紫外線が照射されたポリプロピレンカーボネート含有層24は、既に述べた一般式(I)で表される主鎖の構造が99%以上の構造規則性を有しているポリプロピレンカーボネートを含有するため、その後の金属インクの配置が行われる際に、該金属インクに対する高い撥液性を維持し得る。
本実施形態においては、複数の島状の(代表的にはパターンが形成された)、紫外線が照射されたポリプロピレンカーボネート含有層24,24,24が形成された後、図9に示すように、公知の金属インクの塗布装置(例えば、インクジェット法による塗布装置)90を用いて基材10上に金属インク72を配置する配置工程が行われる。なお、本実施形態の金属インク72は、公知の金属触媒ナノ粒子を採用することができる。また、本実施形態においては、各々の該ポリプロピレンカーボネート含有層24,24,24に挟まれた領域内のうち、一部にのみ金属インク72が配置されているが、全ての該領域内に金属インク72が配置されることも採用し得る他の一態様である。
上述の金属インク72の配置工程を経ることにより、図10に示す複合部材200が製造される。この金属インク72は、後述するように、金属配線用中間材としての役割を担うことができる。
本実施形態においては、さらに、上述の配置工程の後、ポリプロピレンカーボネート含有層24,24,24及び金属インク72を、ポリプロピレンカーボネート含有層24,24,24が分解又は除去される温度以上であり、かつ金属インク72から金属層74が形成される温度以上に加熱する、加熱工程が行われる。
その結果、図11に示すように、基材10上に金属層74が配置された複合部材300を製造することができる。ここで、この加熱工程によって、犠牲層としてのポリプロピレンカーボネート含有層24,24,24は、確度高く、換言すれば、実質的に分解又は除去されることになる。その結果、実質的に残渣が残らない状態の基材10上に配置された金属層74を備えるため、複合部材300は信頼性ないし安定性の高い複合部材となる。
なお、金属インク72が、金属配線用中間材としての役割を担う場合は、金属インク72の加熱処理によって形成される金属層74は、金属配線となる。但し、金属インク72を出発材として形成される金属層74は、配線としての役割以外の役割(例えば、電極など)を果たすこともできる。
本実施形態の加熱工程についてより具体的に説明する。本実施形態では、基材10上に配置されているポリプロピレンカーボネート含有層24,24,24及び金属インク72に対して、公知のヒーターを用いて、例えば、約150℃で、あるいは180℃以上(好ましくは250℃以上、更に好ましくは260℃以上)で約十数分間〜約30分間加熱する加熱処理を施した。その結果、微細な幅を有する金属層74を備えた複合部材200を製造することができる。なお、本実施形態の公知のヒーターは、アズワン株式会社製のホットプレート(型式,TH−900)であるが、加熱手段はそのようなヒーターに限定されない。例えば、その他の公知のホットプレート等のヒーターは、採用し得る他の一態様である。
以上述べたとおり、上述の各実施形態の開示は、それらの実施形態の説明のために記載したものであって、本発明を限定するために記載したものではない。加えて、各実施形態の他の組み合わせを含む本発明の範囲内に存在する変形例もまた、特許請求の範囲に含まれるものである。
本発明は、各種の半導体素子を含む携帯端末、情報家電、センサー、その他の公知の電化製品、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)又はNEMS(Nano Electro Mechanical Systems)、及び医療機器等を含む電子デバイス分野等に広く適用され得る。
10 基材
10a 基材の表面
22 ポリプロピレンカーボネート含有層
22a 型M1の凸部によって押圧された領域
24 紫外線が照射されたポリプロピレンカーボネート含有層
72 金属インク
74 金属層
80 紫外線照射源
90 塗布装置
100,200,300 複合部材

Claims (4)

  1. 二酸化炭素とエポキシドとの共重合体であり、主鎖が下記一般式(I)で表される反復単位を有し、かつ該主鎖の構造が99%以上の構造規則性を有しているポリプロピレンカーボネートを含有し、
    加熱によって該ポリプロピレンカーボネートを含有する層を形成したときに、該層の少なくとも表面に紫外線を10分間連続して照射した後の前記表面の接触角が、該紫外線を照射する前の該表面の接触角を1としたときに、0.88以上である、
    ポリプロピレンカーボネート含有溶液。
    Figure 2020076042
  2. 前記ポリプロピレンカーボネートの数平均分子量が1×10以上2×10以下である、
    請求項1に記載のポリプロピレンカーボネート含有溶液。
  3. 二酸化炭素とエポキシドとの共重合体であり、主鎖が下記一般式(I)で表される反復単位を有し、かつ該主鎖の構造が99%以上の構造規則性を有するポリプロピレンカーボネートを含有する層であって、
    該層の少なくとも表面に紫外線を10分間連続して照射した後の前記表面の接触角が、該紫外線を照射する前の該表面の接触角を1としたときに、0.88以上である、
    ポリプロピレンカーボネート含有層。
    Figure 2020076042
  4. 前記ポリプロピレンカーボネートの数平均分子量が1×10以上2×10以下である、
    請求項3に記載のポリプロピレンカーボネート含有層。
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