JP2020075651A - 船舶、船舶の航行方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1には、並列に備えた主機と非常用主機(非常航走用電動機)とで、1本のプロペラ駆動軸を選択的に回転駆動させる構成が開示されている。この構成では、通常時は、非常用主機をプロペラ駆動軸から切り離し、主機によりプロペラ駆動軸を回転させる。非常時には、主機をプロペラ駆動軸から切り離し、非常用主機によりプロペラ駆動軸を回転させる。このように、主機に不具合が生じた場合に非常用主機でプロペラ駆動軸を回転駆動することで、冗長性が高まる。
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、複雑化することなしに冗長性を高めることができる船舶、船舶の航行方法を提供することを目的とする。
この発明の第一態様によれば、船舶は、船体と、主機と、出力軸と、プロペラと、プロペラ駆動軸と、電動機と、軸連結断続部と、を備える。前記主機は、前記船体内に設けられる。前記出力軸は、前記主機により回転駆動される。前記プロペラは、前記船体の外部に設けられる。前記プロペラ駆動軸は、前記プロペラを回転させる。前記電動機は、前記プロペラ駆動軸を回転駆動させる。前記軸連結断続部は、前記出力軸と前記プロペラ駆動軸とを断続する。
また、電動機でプロペラ駆動軸を回転駆動する場合、軸連結断続部で、出力軸とプロペラ駆動軸とを切り離すことができる。この状態で、電動機でプロペラ駆動軸を回転駆動すると、プロペラが回転する。これにより、船舶を推進できる。つまり、主機が停止しても、電動機でプロペラ駆動軸を回転させて、船舶を航行させることができる。
したがって、1本のプロペラ駆動軸に1台の主機を設けた構成において、冗長性を高めることが可能となる。
第二態様では、出力軸とプロペラ駆動軸との間に連結部材を装着すれば、出力軸とプロペラ駆動軸とが連結される。また、出力軸と前記プロペラ駆動軸との間から連結部材を取り外せば、出力軸とプロペラ駆動軸とが切り離される。したがって、連結部材の着脱によって、出力軸とプロペラ駆動軸との連結を容易に断続することができる。
第三態様では、軸力伝達断続部で、第二スラスト軸受を介したプロペラ駆動軸の軸方向の力の船体への伝達を遮断できる。そのため、プロペラ駆動軸の軸方向の力を、第一スラスト軸受のみを介して船体に伝達することができる。
また、第三態様では、軸連結断続部で出力軸とプロペラ駆動軸との連結を解除した状態で、軸力伝達断続部で、第二スラスト軸受を介したプロペラ駆動軸の軸方向の力を船体に伝達することができる。そのため、プロペラ駆動軸の軸方向の力を、第二スラスト軸受のみを介して船体に伝達することができる。
このように構成することで、第一航行モードでは、主機で出力軸を回転させると、出力軸の回転がプロペラ駆動軸に伝達され、プロペラが回転する。プロペラの回転によって発生する推力は、プロペラ駆動軸、出力軸から第一スラスト軸受を介して船舶に伝達される。
また、第二航行モードでは、電動機でプロペラ駆動軸を回転させると、プロペラが回転する。プロペラの回転によって発生する推力は、プロペラ駆動軸から第二スラスト軸受を介して船舶に伝達される。したがって、第一航行モードでの航行中に主機が停止しても、第二航行モードに切り替えて電動機でプロペラ駆動軸を回転させることで、船舶の航行を継続することができる。
このように構成することで、ディスクがパッドに摺接または接近した状態となれば、プロペラ駆動軸の軸方向の力が、ディスク、及びパッドを介して船体側に伝達される。また、ディスクがパッドから離間した状態となれば、第二スラスト軸受を介したプロペラ駆動軸の軸方向の力の船体側への伝達を遮断することができる。
このように構成することで、軸連結断続部で連結部材を出力軸とプロペラ駆動軸との間に装着した状態では、主機で出力軸を回転駆動する。このとき、第二スラスト軸受では、ディスクとパッドとの間に隙間が形成されるので、プロペラ駆動軸の軸方向の力は、第一スラスト軸受のみを介して船体に伝達される。
また、軸連結断続部で連結部材を出力軸とプロペラ駆動軸との間から取り外すと、軸連結断続部で出力軸とプロペラ駆動軸との連結が解除される。この状態で、電動機によりプロペラ駆動軸を回転駆動させることで、プロペラが回転する。プロペラの回転によって得られる推力により、プロペラ駆動軸は、軸方向の力(推力)によって、軸方向(推進方向)に変位する。これにより、ディスクとパッドとが突き当たり、プロペラ駆動軸の軸方向の力を、第二スラスト軸受を介して船体に伝達することができる。そのため、プロペラ駆動軸の軸方向の力を、第二スラスト軸受のみを介して船体に伝達することができる。
このように構成することで、ディスクとパッドとの少なくとも一方を取り外しすれば、第二スラスト軸受を介したプロペラ駆動軸の軸方向の力が船体側へ伝達されることを遮断できる。また、ディスクとパッドとの両方を装着した状態とすれば、第二スラスト軸受を介してプロペラ駆動軸の軸方向の力を船体側へ伝達させることができる。
このように構成することで、主機で出力軸を介してプロペラ駆動軸を回転駆動する場合と、電動機でプロペラ駆動軸を回転駆動する場合とで、スラスト軸受によって、プロペラ駆動軸の軸方向の力を常に船体に伝達することができる。
このように構成することで、主機航行モードでは、主機で出力軸を回転させると、出力軸の回転がプロペラ駆動軸に伝達され、プロペラが回転する。プロペラの回転によって発生する推力は、プロペラ駆動軸からスラスト軸受を介して船舶に伝達される。これにより、船舶が推進される。
また、電動機航行モードでは、電動機でプロペラ駆動軸を回転させると、プロペラが回転する。プロペラの回転によって発生する推力は、プロペラ駆動軸からスラスト軸受を介して船舶に伝達される。これにより、船舶が推進される。この状態で、出力軸とプロペラ駆動軸とが切り離されているので、主機が停止しても、電動機でプロペラ駆動軸を回転させることで、船舶を航行させることができる。
このように構成することで、電動機をプロペラ駆動軸に設けることで、電動機でプロペラ駆動軸をダイレクトに駆動することができる。
このように構成することで、プロペラ駆動軸とは別に設けた電動機により、プロペラ駆動軸を回転駆動させることができる。
このように構成することで、主機で出力軸を回転駆動する場合には、出力軸と伝達機との間に伝達機連結部材を装着し、出力軸と伝達機とを連結する。この状態で、主機で出力軸を回転駆動することで、出力軸の回転が伝達機を介してプロペラ駆動軸に伝達され、プロペラが回転する。これにより、船舶が推進される。
また、電動機でプロペラ駆動軸を回転駆動する場合、伝達機連結部材を取り外し、出力軸と伝達機とを切り離す。これにより、出力軸とプロペラ駆動軸とが切り離されることになる。この状態で、電動機でプロペラ駆動軸を回転駆動すると、プロペラが回転する。これにより、船舶が推進される。この状態で、出力軸と、伝達機及びプロペラ駆動軸とが切り離されているので、主機が停止しても、電動機でプロペラ駆動軸を回転させることで、船舶を航行させることができる。
このように構成することで、軸連結断続部で伝達機連結部材を出力軸とプロペラ駆動軸との間に装着した状態では、主機で出力軸を回転駆動する。このとき、プロペラ駆動軸側スラスト軸受では、軸受ディスクと軸受パッドとの間に隙間が形成されるので、プロペラ駆動軸の軸方向の力は、主機側スラスト軸受のみを介して船体に伝達される。
また、軸連結断続部で伝達機連結部材を出力軸とプロペラ駆動軸との間から取り外すと、軸連結断続部で出力軸とプロペラ駆動軸との連結が解除される。この状態で、電動機によりプロペラ駆動軸を回転駆動させることで、プロペラが回転する。プロペラの回転によって得られる推力により、プロペラ駆動軸は、軸方向の力(推力)によって、軸方向(推進方向)に変位する。これにより、軸受ディスクと軸受パッドとが突き当たり、プロペラ駆動軸の軸方向の力を、プロペラ駆動軸側スラスト軸受を介して船体に伝達することができる。そのため、プロペラ駆動軸の軸方向の力を、プロペラ駆動軸側スラスト軸受のみを介して船体に伝達することができる。
このように構成することで、軸受ディスクが軸受パッドに摺接または接近した状態となれば、プロペラ駆動軸の軸方向の力が、軸受ディスク、及び軸受パッドを介して船体側に伝達される。また、軸受ディスクが軸受パッドから離間した状態となれば、プロペラ駆動軸側スラスト軸受を介したプロペラ駆動軸の軸方向の力の船体側への伝達を遮断することができる。
このように構成することで、軸受ディスクと軸受パッドとの少なくとも一方を取り外しすれば、プロペラ駆動軸側スラスト軸受を介したプロペラ駆動軸の軸方向の力が船体側へ伝達されることを遮断できる。また、軸受ディスクと軸受パッドとの両方を装着した状態とすれば、プロペラ駆動軸側軸受を介してプロペラ駆動軸の軸方向の力を船体側へ伝達させることができる。
このように構成することで、プロペラ駆動軸とは別に設けた電動機により、駆動力伝達機構を介して、プロペラ駆動軸を回転駆動させることができる。
このように構成することで、プロペラ駆動軸とは別に設けた電動機により、伝達機を介して、プロペラ駆動軸を回転駆動させることができる。
また、主機に不具合等が生じた場合、軸連結断続部で出力軸とプロペラ駆動軸とを切り離す。この状態で、電動機でプロペラ駆動軸を回転駆動すると、プロペラが回転する。これにより、船舶を推進できる。
(第一実施形態)
図1は、この実施形態における船舶の船尾部の概略構成を示す模式図であり、主機によりプロペラ駆動軸を回転駆動させる状態を示す図である。
図1に示すように、この実施形態の船舶1Aは、船体2と、主機3と、第一スラスト軸受35と、プロペラ駆動軸4と、電動機5と、第二スラスト軸受6と、軸連結断続部7と、軸力伝達断続部8と、を主に備える。
主機3は、エンジンハウジング31と、クランク軸32と、ピストン33と、出力軸34と、を備える。
ピストン33の往復動方向は、船首尾方向Daに延びるクランク軸32の軸方向と交差している。このため、主機3の作動時、クランク軸32には、ピストン33、及びコンロッド36を介して、船首尾方向Daに直交する方向の力が作用する。
また、電動機5は、主機3の出力軸34の回転が伝達されることでプロペラ駆動軸4が回転駆動されるときに、船体2内から供給された電力によって回転磁界を発生させてローター52に回転エネルギーを付与することで、プロペラ駆動軸4の回転をアシストすることもできる。
第二スラスト軸受6は、船体2内に設けられている。第二スラスト軸受6は、プロペラ駆動軸4上に設けられている。この実施形態では、第二スラスト軸受6は、例えば、プロペラ駆動軸4上で、電動機5と主機3との間に設けられている。なお、第二スラスト軸受6は、プロペラ駆動軸4上であれば、電動機5よりも船首尾方向Daの船尾側に設けてもよい。
図2に示すように、第二スラスト軸受6は、回転軸61と、ディスク62と、パッド63と、を備えている。
図3に示すように、複数のパッド63は、ディスク62に対して摺接または当接した状態で、回転軸61と一体に回転するディスク62を、回転軸61の軸方向両側から挟み込むようにして回転自在に支持する。これにより、第二スラスト軸受6は、プロペラ駆動軸4(回転軸61)に作用するスラスト力を支持する。プロペラ駆動軸4に、プロペラ42の回転によって発生した推力がスラスト力として作用した場合、第二スラスト軸受6は、推力を、軸受ハウジング64を介して船体2に伝達する。
図4は、この発明の第一から第四実施形態における船舶の航行方法の流れを示すフローチャートである。
図4に示すように、第一実施形態における船舶1Aの航行方法では、主機航行工程S1と、不具合発生判定工程S2と、切替工程S3と、電動機航行工程S4と、を含む。
主機3に不具合等が発生していなければ、主機航行工程S1を継続する。
主機3に不具合等が発生していた場合、切替工程S3に移行する。
このようにして、出力軸34とプロペラ駆動軸4とを切り離すことで、主機3が停止しても、電動機5で船舶1Aを航行させることができる。このようにして、1本のプロペラ駆動軸4に、1台の主機3を設けた船舶1Aにおいて、構成を複雑化することなしに冗長性を高めることが可能となる。
さらに、電動機5をプロペラ駆動軸4に設けずに、後述する第四実施形態の電動機5Dのように、プロペラ駆動軸4とは別に設けるようにしてもよい。この場合、後述する第四実施形態のように、駆動力伝達機構90を介して、電動機5Dの回転駆動力をプロペラ駆動軸4に伝達するようにすればよい。駆動力伝達機構90を設けた場合、第二スラスト軸受6は、駆動力伝達機構90の内部に設けてもよい。
次に、この発明の第二実施形態について説明する。以下に説明する第二実施形態においては、第一実施形態と一部の構成のみが異なるので、第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
図5に示すように、この実施形態における船舶1Bは、船体2と、主機3Bと、プロペラ駆動軸4と、電動機5と、スラスト軸受9と、軸連結断続部7と、を主に備える。
なお、主機3Bに、上記第一実施形態における主機3のように第一スラスト軸受35が設けられている場合、第一スラスト軸受35を取り外すか、第一スラスト軸受35のパッドやディスクを取り外し、スラスト軸受機能を発揮しない状態とする。または、スラスト軸受9を備えたプロペラ駆動軸4と第一スラスト軸受35を備えた出力軸34Bの間に変速機(伝達機)を設けて、プロペラ駆動軸4のスラスト力が出力軸34Bに伝達しないようにする。
スラスト軸受9は、回転軸61Bと、ディスク62と、パッド63Bと、を備えている。
図4に示すように、この第二実施形態における船舶1Bの航行方法では、主機航行工程S11と、不具合発生判定工程S12と、切替工程S13と、電動機航行工程S14と、を含む。
主機3Bに不具合等が発生していなければ、主機航行工程S11を継続する。
主機3Bに不具合等が発生していた場合、切替工程S13に移行する。
また、電動機5でプロペラ駆動軸4を回転駆動する場合、軸連結断続部7で、出力軸34Bとプロペラ駆動軸4とを切り離す。この状態で、電動機5でプロペラ駆動軸4を回転駆動すると、プロペラ42が回転する。これにより、船舶1Bが推進される。
このようにして、出力軸34Bとプロペラ駆動軸4とを切り離すことで、主機3Bが停止しても、電動機5で船舶1Bを航行させることができる。このようにして、1本のプロペラ駆動軸4に、1台の主機3Bを設けた船舶1Bにおいて、構成を複雑化することなしに冗長性を高めることが可能となる。
なお、第二実施形態では、第一実施形態と同様に、電動機5をプロペラ駆動軸4に設けずに、後述する第四実施形態の電動機5Dのように、プロペラ駆動軸4とは別に設けるようにしてもよい。この場合、後述する第四実施形態のように、駆動力伝達機構90を介して、電動機5Dの回転駆動力をプロペラ駆動軸4に伝達するようにすればよい。駆動力伝達機構90を設けた場合、スラスト軸受9は、駆動力伝達機構90の内部に設けてもよい。
次に、この発明の第三実施形態について説明する。以下に説明する第三実施形態においては、第二実施形態と変速機10を備える構成のみが異なるので、第一、第二実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
図7に示すように、この実施形態の船舶1Cは、船体2と、主機3Bと、プロペラ駆動軸4Cと、電動機5Cと、スラスト軸受9Cと、軸連結断続部7Cと、変速機(伝達機)10と、を主に備える。
出力軸34Cは、上記第一実施形態と同様、第一スラスト軸受35を介してクランク軸32に連結されている。
プロペラ駆動軸4Cの後端には、プロペラ42が一体に固定されている。プロペラ42は、プロペラ駆動軸4Cがその中心軸周りに回転駆動されることで所定方向に回転し、船体2を推進する推力を発揮する。
変速機10は、入力軸11に接続された出力軸34Cの回転を、図示しない歯車等を介してプロペラ駆動軸4Cに伝達する。変速機10は、入力軸11から入力される出力軸34Cの回転を、増速又は減速してプロペラ駆動軸4Cに伝達する。
なお、変速機10は、入力軸11から入力される出力軸34Cの回転を、増速又は減速せず、等速のままプロペラ駆動軸4Cに伝達するようにしてもよい。
このような電動機5Cは、例えば、船体2内から供給された電力によって回転磁界を発生させる。この回転磁界により電動機軸51が回転する。この電動機軸51の回転は変速機10を介してプロペラ駆動軸4Cに伝達される。この場合、電動機5Cは、非常用の推進電動機として機能する。
電動機5Cは、主機3の出力軸34の回転が伝達されることでプロペラ駆動軸4Cが回転駆動されるときに、船体2内から供給された電力によって回転磁界を発生させて電動機軸51に回転エネルギーを付与することで、変速機10を介してプロペラ駆動軸4Cの回転をアシストすることもできる。ここで、変速機10は、電動機軸51の回転を減速させてからプロペラ駆動軸4Cへ伝達している。このようにすることで、電動機5Cをより高回転域で運用することができるため、より小型の電動機5Cを用いることができる。
図4に示すように、この第三実施形態における船舶1Cの航行方法は、主機航行工程S21と、不具合発生判定工程S22と、切替工程S23と、電動機航行工程S24と、を備える。
主機3Bに不具合等が発生していなければ、主機航行工程S21を継続する。
主機3Bに不具合等が発生していた場合、切替工程S23に移行する。
また、電動機5Cでプロペラ駆動軸4Cを回転駆動する場合、軸連結断続部7Cで、出力軸34Cと入力軸11とを切り離すことができる。この状態で、電動機5Cでプロペラ駆動軸4Cを駆動することでプロペラ42が回転され、船舶1Cを推進できる。
このようにして、出力軸34Cと入力軸11とを切り離すことで、主機3Bが停止しても、電動機5Cで船舶1Cを航行させることができる。その結果、1本のプロペラ駆動軸4Cに1台の主機3Bを設けた構成において、船舶1Cの冗長性を高めることが可能となる。
このように構成することで、主機3Bが停止しても、電動機5Cでプロペラ駆動軸4Cを回転させることで、船舶1Cを航行させることができる。
次に、この発明の第四実施形態について説明する。以下に説明する第四実施形態においては、第一、第二実施形態に対して、電動機5Dを、プロペラ駆動軸4Dとは別に並列に設ける構成が主に異なるので、第一、第二実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
図9に示すように、この実施形態の船舶1Dは、船体2と、主機3と、主機側スラスト軸受35Dと、プロペラ駆動軸4Dと、電動機5Dと、軸連結断続部7と、駆動力伝達機構90と、プロペラ駆動軸側スラスト軸受96と、を主に備える。
このような軸連結断続部7では、連結部材71を、フランジ78とフライホイール37との間に装着すると、出力軸34Dとプロペラ駆動軸4Dとが連結される。図10に示すように、軸連結断続部7では、連結部材71を、フランジ78とフライホイール37との間から取り外せば、出力軸34Dとプロペラ駆動軸4Dとが切り離される。このように、軸連結断続部7は、連結部材71の着脱によって、出力軸34Dとプロペラ駆動軸4Dとを断続する。
伝達ギヤ92は、電動機軸51Dに設けられている。伝達ギヤ93は、回転軸91に設けられ、伝達ギヤ92と噛み合っている。これにより、電動機5Dによって電動機軸51Dが回転駆動されると、その回転が、伝達ギヤ92、93を介して回転軸91に伝達される。なお、伝達ギヤ92、93の歯数を調整することで、電動機軸51Dの回転を、増速、減速して回転軸91に伝達することもできる。伝達ギヤ92、93の歯数を等しくすれば、電動機軸51Dの回転は回転軸91に等速で伝達される。
また、電動機5Dは、主機3の出力軸34Dの回転が伝達されることでプロペラ駆動軸4Dが回転駆動されるときに、船体2内から供給された電力によって回転磁界を発生させてローター52Dに回転エネルギーを付与することで、プロペラ駆動軸4Dの回転をアシストすることもできる。
複数の軸受パッド98は、軸受ディスク97に対して突き当たった状態で、回転軸91と一体に回転する軸受ディスク97を回転自在に支持する。これにより、プロペラ駆動軸側スラスト軸受96は、プロペラ駆動軸4D(回転軸91)に作用するスラスト力を支持する。プロペラ駆動軸4Dに、プロペラ42の回転によって発生した推力がスラスト力として作用した場合、プロペラ駆動軸側スラスト軸受96は、推力を、ハウジング94を介して船体2に伝達する。
図4に示すように、第四実施形態における船舶1Dの航行方法では、主機航行工程S31と、不具合発生判定工程S32と、切替工程S33と、電動機航行工程S34と、を含む。
主機3に不具合等が発生していなければ、主機航行工程S31を継続する。
主機3に不具合等が発生していた場合、切替工程S33に移行する。
このようにして、出力軸34Dとプロペラ駆動軸4Dとを切り離すことで、主機3が停止しても、電動機5Dで船舶1Dを航行させることができる。このようにして、1本のプロペラ駆動軸4Dに、1台の主機3を設けた船舶1Dにおいて、構成を複雑化することなしに冗長性を高めることが可能となる。
このように構成することで、プロペラ駆動軸4Dとは別に設けた電動機5Dにより、プロペラ駆動軸4Dを回転駆動させることができる。このような構成において、電動機5Dの回転は、駆動力伝達機構90で減速して、電動機5Dをより高速で回転させるようにすれば、電動機5Dの効率を向上できるため、電動機5Dの小型化を図ることができる。
また、電動機5Dによりプロペラ駆動軸4Dを回転駆動させるときには、プロペラ42の回転によって得られる推力により、プロペラ駆動軸4Dが船首尾方向Daに変位し、軸受ディスク97と軸受パッド98とが突き当たる。これによって、プロペラ駆動軸4Dの軸方向の力を、プロペラ駆動軸側スラスト軸受96を介して船体2に伝達することができる。そのため、プロペラ駆動軸4Dの軸方向の力を、プロペラ駆動軸側スラスト軸受96のみを介して船体2に伝達することができる。
このように、プロペラ駆動軸側スラスト軸受96では、軸受ディスク97と軸受パッド98との間に隙間100を形成するという簡易な構成により、船体2へのスラスト力の伝達を、主機側スラスト軸受35Dと、プロペラ駆動軸側スラスト軸受96との間で切り替えることができる。
この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な形状や構成等は一例にすぎず、適宜変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、軸連結断続部7、7Cは、連結部材71、変速機連結部材71Cを着脱するようにしたが、これに限らない。例えば、連結部材71、変速機連結部材71Cを設ける部位は、フランジ78、78Cとフライホイール37との間に限らず、他の部位に設けてもよい。
2 船体
2b 船尾
3、3B 主機
4、4C、4D プロペラ駆動軸
5、5D 電動機
6 第二スラスト軸受
7、7C 軸連結断続部
8 軸力伝達断続部
9、9C スラスト軸受
10 変速機(伝達機)
10a 入力ギヤ
10b 出力ギヤ
10c 中間ギヤ
10o 出力側
11 入力軸
21 船尾船体
22 船底
23 傾斜面
31 エンジンハウジング
32 クランク軸
33 ピストン
34、34B、34C、34D 出力軸
35 第一スラスト軸受
35D 主機側スラスト軸受
36 コンロッド
37 フライホイール
41 プロペラ軸
42 プロペラ
51、51D 電動機軸
52、52D ローター
53、53D ステーター
54、54D 電動機ハウジング
61、61B、61C 回転軸
62 ディスク
63、63B パッド
64 軸受ハウジング
65 支持部材
68 油室
71 連結部材
71C 変速機連結部材(伝達機連結部材)
78、78C フランジ
81 油圧駆動部
82 戻しバネ
90 駆動力伝達機構
91 回転軸
92、93 伝達ギヤ
94 ハウジング
96 プロペラ駆動軸側スラスト軸受
97 軸受ディスク
98 軸受パッド
100 隙間
Da 船首尾方向
S1、S11、S21、S31 主機航行工程
S2、S12、S22、S32 不具合発生判定工程
S3、S13、S23、S33 切替工程
S4、S14、S24、S34 電動機航行工程
Claims (18)
- 船体と、
前記船体内に設けられた主機と、
前記主機により回転駆動される出力軸と、
前記船体の外部に設けられたプロペラと、
前記プロペラを回転させるプロペラ駆動軸と、
前記プロペラ駆動軸を回転駆動させる電動機と、
前記出力軸と前記プロペラ駆動軸とを断続する軸連結断続部と、
を備える船舶。 - 前記軸連結断続部は、前記出力軸と前記プロペラ駆動軸との間に設けた連結部材を着脱することで、前記出力軸と前記プロペラ駆動軸とを断続する
請求項1に記載の船舶。 - 前記出力軸の軸方向の力を前記船体に伝達する第一スラスト軸受と、
前記プロペラ駆動軸の軸方向の力を前記船体に伝達する第二スラスト軸受と、
前記第二スラスト軸受を介した前記プロペラ駆動軸の軸方向の力の前記船体への伝達を断続する軸力伝達断続部をさらに備える
請求項2に記載の船舶。 - 前記軸連結断続部で前記出力軸と前記プロペラ駆動軸とを連結し、前記軸力伝達断続部で前記第二スラスト軸受を介した前記プロペラ駆動軸の軸方向の力の前記船体への伝達を遮断した状態で、前記主機により前記出力軸を回転駆動する第一航行モードと、
前記軸連結断続部で前記出力軸と前記プロペラ駆動軸とを切り離し、前記軸力伝達断続部で前記第二スラスト軸受を介して前記プロペラ駆動軸の軸方向の力を前記船体に伝達する状態で、前記電動機により前記プロペラ駆動軸を回転駆動する第二航行モードと、
を切り替え可能とした
請求項3に記載の船舶。 - 前記第二スラスト軸受は、
前記プロペラ駆動軸に設けられたディスクと、
前記船体側に支持されたパッドと、を備え、
前記軸力伝達断続部は、前記ディスクに対し前記パッドを接近及び離間させる
請求項3又は4に記載の船舶。 - 前記第二スラスト軸受は、
前記プロペラ駆動軸に設けられたディスクと、
前記船体側に支持されたパッドと、を備え、
前記軸力伝達断続部で前記連結部材を前記出力軸と前記プロペラ駆動軸との間に装着した状態では、前記ディスクと前記パッドとの間に隙間が形成され、
前記軸連結断続部で前記連結部材を前記出力軸と前記プロペラ駆動軸との間から取り外し、前記出力軸と前記プロペラ駆動軸とを切り離したときに、前記プロペラ駆動軸の軸方向の力によって前記プロペラ駆動軸が軸方向に変位して、前記ディスクと前記パッドとが突き当たる請求項3又は4に記載の船舶。 - 前記第二スラスト軸受は、
前記プロペラ駆動軸に設けられたディスクと、
前記船体側に支持されたパッドと、を備え、
前記ディスクと前記パッドとの少なくとも一方は着脱可能とされている請求項3又は4に記載の船舶。 - 前記プロペラ駆動軸の軸方向の力を常に前記船体に伝達するスラスト軸受をさらに備える
請求項2に記載の船舶。 - 前記軸連結断続部で前記出力軸と前記プロペラ駆動軸とを連結し、前記主機により前記出力軸を回転駆動する主機航行モードと、
前記軸連結断続部で前記出力軸と前記プロペラ駆動軸とを切り離し、前記電動機により前記プロペラ駆動軸を回転駆動する電動機航行モードと、
を切り替え可能とした
請求項8に記載の船舶。 - 前記電動機は、前記プロペラ駆動軸に設けられている
請求項1から9の何れか一項に記載の船舶。 - 前記電動機は、前記プロペラ駆動軸とは別に設けられ、
前記電動機の回転駆動力を前記プロペラ駆動軸に伝達する駆動力伝達機構を備える
請求項1から9の何れか一項に記載の船舶。 - 前記出力軸と前記プロペラ駆動軸との間に設けられ、前記出力軸の回転を前記プロペラ駆動軸に伝達する伝達機と、
前記出力軸の軸方向の力を前記船体に伝達する主機側スラスト軸受と、
前記プロペラ駆動軸の軸方向の力を前記船体に伝達するプロペラ駆動軸側スラスト軸受と、
をさらに備え、
前記軸連結断続部は、前記出力軸と前記伝達機との間に設けられた伝達機連結部材を着脱することで、前記出力軸と前記プロペラ駆動軸とを断続する
請求項1に記載の船舶。 - 前記プロペラ駆動軸側スラスト軸受は、
前記プロペラ駆動軸に設けられた軸受ディスクと、
前記船体側に支持され、前記軸受ディスクに対して前記プロペラ駆動軸の軸方向に隙間をあけて設けられた軸受パッドと、を備え、
前記軸連結断続部で前記伝達機連結部材を前記出力軸と前記プロペラ駆動軸との間に装着した状態では、前記軸受ディスクと前記軸受パッドとの間に隙間が形成され、
前記軸連結断続部で前記伝達機連結部材を前記出力軸と前記プロペラ駆動軸との間から取り外し、前記出力軸と前記プロペラ駆動軸とを切り離したときに、前記プロペラ駆動軸の軸方向の力によって前記プロペラ駆動軸が軸方向に変位して、前記軸受ディスクと前記軸受パッドとが突き当たる請求項12に記載の船舶。 - 前記プロペラ駆動軸側スラスト軸受は、
前記プロペラ駆動軸側スラスト軸受を介した前記プロペラ駆動軸の軸方向の力の前記船体への伝達を断続する軸力伝達断続部をさらに備え、
前記プロペラ駆動軸に設けられたディスクと、
前記船体側に支持されたパッドと、を備え、
前記軸力伝達断続部は、前記ディスクに対し前記パッドを接近及び離間させる
請求項12に記載の船舶。 - 前記プロペラ駆動軸側スラスト軸受は、
前記プロペラ駆動軸に設けられた軸受ディスクと、
前記船体側に支持された軸受パッドと、を備え、
前記軸受ディスクと前記軸受パッドとの少なくとも一方は着脱可能とされている請求項12に記載の船舶。 - 前記電動機は、前記プロペラ駆動軸とは別に設けられ、
前記電動機の回転駆動力を前記プロペラ駆動軸に伝達する駆動力伝達機構を備える
請求項12から15の何れか一項に記載の船舶。 - 前記電動機は、前記プロペラ駆動軸とは別に設けられ、
前記伝達機は、前記電動機の回転駆動力を前記プロペラ駆動軸に伝達可能とされている
請求項12から15の何れか一項に記載の船舶。 - 請求項1から17の何れか一項に記載の船舶の航行方法であって、
前記軸連結断続部で前記出力軸と前記プロペラ駆動軸とを連結し、前記主機により前記出力軸を回転駆動する工程と、
前記軸連結断続部で前記出力軸と前記プロペラ駆動軸とを切り離す工程と、
前記電動機により前記プロペラ駆動軸を回転駆動する工程と、
を含む船舶の航行方法。
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JP2018210826A JP7074646B2 (ja) | 2018-11-08 | 2018-11-08 | 船舶、船舶の航行方法 |
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Citations (6)
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-
2018
- 2018-11-08 JP JP2018210826A patent/JP7074646B2/ja active Active
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