JP2020074740A - ペットフード用フード粒 - Google Patents

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Abstract

【課題】原料組成によらずに硬さを制御することができ、且つ噛み応えを維持しつつ、噛み砕きやすくすることにより、嗜好性を向上させた、ドライタイプのペットフード用フード粒を提供する。【解決手段】長径及び短径がいずれも3〜30mmであり、厚みが3.5〜6mmであるドライタイプのペットフード用フード粒であって、前記フード粒の厚み方向に貫通する貫通孔を6〜8個有し、前記フード粒の硬さが15〜50Nである、ペットフード用フード粒。【選択図】図1

Description

本発明はペットフード用フード粒に関し、特にドライタイプのペットフード用フード粒に関する。
市販のペットフードは、水分含量が通常50質量%以上のモイストタイプ、水分含量が通常約20〜40質量%程度であるセミモイストタイプ、及び水分含量が通常約10質量%以下のドライタイプに大別される。これらのうち、ドライタイプのペットフードは、取り扱い易さ、保存性の良さなどの点から、近年その需要がますます増加している。
ドライタイプのペットフードは一般的に固く、他タイプのペットフードより固いのはもちろん、人間が食べている食品のほとんどのものよりも固い。イヌ・ネコは元来肉食であり、その歯は主に獲物をくわえるため、あるいは肉を切り取るために進化したものであって、固いものを臼歯で砕くのには適していない。そのイヌ・ネコにとって従来の固いドライタイプのペットフードは食べやすいフードとは言えない。噛み砕きやすい粒は食べやすい粒となり、食べやすいということは嗜好性が高いということにつながる。
そのため、ドライタイプのペットフードの嗜好性を向上させることが従来から試みられている。例えば、特許文献1には、糊化温度が高いデンプンを含有する原材料をデンプン源として用い、デンプンの糊化が生じる程度を抑えることで、ペットフードの硬さの度合いを調整したドライタイプのペットフードが記載されている。
特開2015−126715号公報
しかしながら、ペットフードの硬さを低下させると、通常、噛み応えが低下する。また、原料組成により硬さを調節する場合、特定の原料組成に限定されることになる。
そこで、本発明は、原料組成によらずに硬さを制御することができ、且つ噛み応えを維持しつつ、噛み砕きやすくすることにより、嗜好性を向上させた、ドライタイプのペットフード用フード粒を提供することを課題とする。
本発明は以下の態様を包含する。
(1)長径及び短径がいずれも3〜30mmであり、厚みが3.5〜6mmであるドライタイプのペットフード用フード粒であって、前記フード粒の厚み方向に貫通する貫通孔を6〜8個有し、前記フード粒の硬さが15〜50Nである、ペットフード用フード粒。
(2)前記フード粒の硬さが35N以下である、(1)に記載のペットフード用フード粒。
(3)前記貫通孔の数に対する前記フード粒の厚み(mm)の比の値(厚み(mm)
/貫通孔の数)が、0.85以下である、(1)又は(2)に記載のペットフード用フード粒。
(4)前記貫通孔の数に対する前記フード粒の厚み(mm)の比の値(厚み(mm)/貫通孔の数)が、0.5〜0.70である、(3)に記載のペットフード用フード粒。
(5)前記貫通孔が、第1の列と第2の列とからなる2列に配置されている、(1)〜(4)のいずれか一項に記載のペットフード用フード粒。
(6)前記貫通孔が、前記フード粒の略中央に配置される1個の中心孔と、前記中心孔の外周に配置される外周孔とからなる、(1)〜(4)のいずれか一項に記載のペットフード用フード粒。
(7)隣接する前記貫通孔間の最短距離の平均値が、3.0mm以下である、(5)又は(6)に記載のペットフード用フード粒。
(8)前記貫通孔間の最短距離の平均値が、1.5〜2.8mmである、(7)に記載のペットフード用フード粒。
(9)前記フード粒の前記貫通孔の数に対する前記貫通孔間の最短距離(mm)の平均値の比の値(最短距離(mm)の平均値/貫通孔の数)が、0.47未満である、(1)〜(8)のいずれか一項に記載のペットフード用フード粒。
(10)前記フード粒の前記貫通孔の数に対する前記貫通孔間の最短距離(mm)の平均値の比の値(最短距離(mm)の平均値/貫通孔の数)が、0.25〜0.46である、(9)に記載のペットフード用フード粒。
(11)前記フード粒の表面積が、125mm以下である、(1)〜(10)のいずれか一項に記載のペットフード用フード粒。
(12)前記フード粒の表面積に対する前記貫通孔の表面積の合計の比の値(貫通孔の表面積の合計/フード粒の表面積)が、0.2〜5.0である、(1)〜(11)のいずれか一項に記載のペットフード用フード粒。
(13)前記貫通孔の表面積の合計と、前記フード粒の厚みとの比が、1:1〜6:1である、(1)〜(12)のいずれか一項に記載のペットフード用フード粒。
(14)前記貫通孔の長径が、0.01〜0.25mmである、(1)〜(13)のいずれか一項に記載のペットフード用フード粒。
本発明によれば、原料組成によらずに硬さを制御することができ、且つ噛み応えを維持しつつ、噛み砕きやすくすることにより、嗜好性を向上させた、ドライタイプのペットフード用フード粒が提供される。
本発明の1態様に係るペットフード用フード粒の一例を示す。(A)は、6個の貫通孔が形成された、四角形状のフード粒である。(B)は、7個の貫通孔が形成された、丸型形状のフード粒である。 図1(A)のフード粒を模式化したフード粒の平面図(A)及びIIB−IIB切断線における断面図(B)を示す。 図1(B)のフード粒を模式化したフード粒の平面図(A)及びIIIB−IIIB切断線における断面図(B)を示す。
本明細書において、「ペット」とは人に飼育されている動物をいう。より狭義の意味では、ペットは飼い主に愛玩される動物である。また、「ペットフード」とは、ペット用の飼料をいう。本発明にかかるペットフードを「動物用飼料」又は「動物の餌」として販売することが可能である。
本明細書において、「ドライタイプのフード粒」とは、水分含量が約6質量%程度のフード粒を意味する。ドライタイプのフード粒の水分含量は、通常3〜12質量%程度であり、約10質量%以下であることが好ましい。
[水分含有量の測定方法]
本明細書において、水分含有量の値は常圧加熱乾燥法で得られる値である。
具体的には、被測定物を粉砕機にかけて1mmの篩を通過するように粉砕し、これを試料とする。分析試料2〜5gを正確に量ってアルミニウム製秤量皿(あらかじめ乾燥して重さを正確に量っておいたもの)に入れ、135±2℃で2時間乾燥し、デシケーター中で放冷後、重さを正確に量って、乾燥前後の重量差から水分含有量を求める。
具体的には、被測定物を粉砕機にかけて1mmの篩を通過するように粉砕し、これを試料とする。アルミ秤量缶の質量(W1グラム)を恒量値として予め測定する。このアルミ秤量缶に試料を入れて質量(W2グラム)を秤量する。つぎに強制循環式の温風乾燥器を使用して、135℃、2時間の条件で試料を乾燥させる。乾燥雰囲気中(シリカゲルデシケーター中)で放冷した後、質量(W3グラム)を秤量する。得られた各質量から下記式を用いて水分含有量を求める。
水分含有量(単位:質量%)=(W2−W3)÷(W2−W1)×100
[硬さの測定方法]
本明細書において、フード粒の硬さは以下の測定方法で得られる値である。
圧縮試験機(テクスチャーアナライザー、型番:EZ−SX、島津製作所製)を用い、フード粒を一定の圧縮速度で圧縮したときの破断力を下記の条件で測定する。
プランジャー:直径15mm、厚さ5mmの円柱状のプランジャー、プラットフォーム:アスタリスク状に深掘りされた受け皿(内径約33mm×深さ約4mm)、圧縮速度:60mm/分、プランジャーの最下点:4mm(圧縮距離)、測定温度:25℃。
具体的には、受け皿の上に、測定対象のフード粒を1つ置き、真上から垂直にプランジャーを一定速度で押し付けながら試験力を測定する。試験力のピーク値(最大値)を破断力の値として読み取る。10個について測定を繰り返して平均値を求める。測定の途中でフード粒が割れた場合には、その時点で当該フード粒の測定を終了する。
上記圧縮試験機で測定される破断力(単位:kgw)の数値に9.8を掛け算する(乗じる)ことによって、単位をニュートン(N)に変換する。
[フード粒の表面積の測定方法]
本明細書において、フード粒の表面積は以下の測定方法で得られる値である。
光学顕微鏡(VHX−900F(KEYENCE製))により、フード粒を観察・撮影し、フード粒の表面積を測定する。
具体的には、フード粒を光学顕微鏡で観察し、フード粒の画像を取得する。前記画像に基づき、フード粒の表面積を色相から画像解析し、フード粒全体の表面積を計測する。本明細書において、「フード粒の表面積」とは、フード粒を水平台に置き、該フード粒の上方から取得した画像に基づき計測される、フード粒の面積を意味する。
[貫通孔の表面積の測定方法]
本明細書において、貫通孔の表面積は以下の測定方法で得られる値である。
光学顕微鏡(VHX−900F(KEYENCE製))により、フード粒を観察・撮影し、フード粒が有する貫通孔の面積を測定する。
具体的には、フード粒を光学顕微鏡で観察し、フード粒の画像を取得する。前記画像に基づき、透過光で色相の異なる部分を貫通孔として画像解析し、貫通孔の面積を計測する。本明細書において、「貫通孔の表面積」とは、フード粒を水平台に置き、該フード粒の上方から取得した画像に基づき計測される、貫通孔の面積を意味する。
[色彩測定]
本明細書において、ペットフードの基体及び被覆部の色彩は以下の測定方法で得られる値である。
測色色差系ZE6000(日本電色工業株式会社製)を用い、基体及び被覆部の色彩を測定する。
基体は、岩谷産業株式会社製ミルサーを用いて均一に粉砕して、測定用検体とする。
被覆部は、被覆部用組成物を70℃で加温して溶解後、測定容器に流し込み、常温で1時間静置して固化させて、測定用検体とする。
10mL量の測定用容器に約80%の分量で測定用検体を入れ、機器付属のマニュアルに従って、3箇所について、CIELAB色空間における各座標値の測定を行う。各データは、以下の式により求められる。
ΔL:被覆部(L)−基体(L
Δa:被覆部(a)−基体(a
Δb:被覆部(b)−基体(b
ΔE:{(ΔL+(Δa+(Δb1/2
={(a+(b1/2
ΔC:被覆部(C)−基体(C
[被覆部の面積率の測定]
本明細書において、ペットフードの被覆部の面積率は以下の測定方法(1)又は(2)で得られる値である。
≪測定方法(1)≫
ビジュアルアナライザーを用いた画像分析により、被覆部の面積率を測定する。
具体的には、ペットフード(粒状ペットフードの場合は、所定数量(例えば約50g)のペットフード粒)を平面上の測定領域に置き(粒状ペットフードの場合は、裏表ランダムにばらまく)、表面部の色構成分析データを取得する。全体に対する各色の構成を分析したデータから、被覆部の中心色彩に対する色差(ΔE)が13.0以下である色彩を被覆部の色彩として解析し、ペットフード全体に対する被覆部の面積率を100分率で求める。
≪測定方法(2)≫
光学顕微鏡(VHX−900F(KEYENCE製))により、ペットフードを観察・撮影し、被覆部の面積率を測定する。
具体的には、ペットフード(粒状ペットフードの場合は、1個のペットフード粒)を光学顕微鏡で観察し、被覆部を有する面の画像を取得する。前記画像に基づき、ペットフード全体の表面積と被覆部の面積とを計測し、ペットフード全体に対する被覆部の面積率を100分率で求める。
[フード粒の長径、短径、厚みの測定方法]
本明細書において、フード粒の長径、短径および厚みは以下の測定方法で得られる値である。
水平台に置いたフード粒を上方から見た場合の長径及び短径をノギスで測定し、それらの平均値を平均長径及び平均短径とする。
フード粒の厚みは、水平台に置いたフード粒の下面(下端)から上面(上端)までの厚みを測定する。
[フード粒の貫通孔間の最短距離の測定方法]
フード粒の貫通孔間の最短距離は、以下の測定方法で得られる値である。
水平台に置いたフード粒を上方から見た場合の貫通孔間の最短距離をノギスで測定し、それらの平均値を平均最短距離とする。
[貫通孔の長径及び短径の測定方法]
フード粒の貫通孔の長径及び短径は、以下の測定方法で得られる値である。
水平台に置いたフード粒を上方から見た場合の貫通孔の長径及び短径をノギスで測定し、それらの平均値を貫通孔の平均長径及び平均短径とする。
<ペットフード用フード粒>
一態様において、本発明は、長径及び短径がいずれも3〜30mmであり、厚みが3.5〜6mmであるドライタイプのペットフード用フード粒であって、前記フード粒の厚み方向に貫通する貫通孔を6〜8個有し、前記フード粒の硬さが15〜50Nである、ペットフード用フード粒を提供する。
図1(A)及び図1(B)は、本態様に係るフード粒の一例を示す図である。図1(A)に示すペットフード用フード粒1では、四角形状の基体10に、貫通孔20a〜20fが形成されている。図2(A)は、フード粒1を模式化した平面図であり、図2(B)は図2(A)の平面図のIIB−IIB切断線における断面図である。
図1(B)に示すペットフード用フード粒1’では、丸形状の基体10’に、貫通孔20a’〜20g’が形成されている。図3(A)は、フード粒1’を模式化した平面図であり、図3(B)は図3(A)の平面図のIIIB−IIIB切断線における断面図である。
(貫通孔の数)
本実施形態のペットフード用フード粒は、6〜8個の貫通孔を有する。前記貫通孔は、フード粒を厚み方向に貫通している。貫通孔の数は、6個であってもよく、7個であってもよく、8個であってもよい。貫通孔の数を6個以上とすることにより、ペットが噛んだときにフード粒が割れる起点が増え、噛み砕きやすくなる。貫通孔の数を8個以下とすることにより、運搬等によりフード粒が崩れることを抑制し、適度な噛み応えを与えることができる。
例えば、図1(A)及び図2に示すペットフード用フード粒1は、貫通孔20a〜20fの6個の貫通孔を有しており、図1(B)及び図3に示すペットフード用フード粒1’は、貫通孔20a’〜20g’の7個の貫通孔を有している。
(貫通孔の形状)
フード粒における6〜8個の貫通孔の形状は、特に限定されず、任意の形状とすることができる。貫通孔は、互いに、略同じ形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。貫通孔の形状としては、例えば、円形状、楕円形状、多角形状(例えば三角形、四角形、五角形、六角形、菱形、台形等)等が挙げられる。
例えば、図1(A)及び図2に示すペットフード用フード粒1では、貫通孔20a〜20fは、略同じ形状の楕円形状となっている。図1(B)及び図3に示すペットフード用フード粒1’は、貫通孔20a’〜20f’は略同じ形状の三角形状をしており、貫通孔20gは丸形状をしている。
(貫通孔の大きさ)
6〜8個の貫通孔は、互いに、略同じ大きさであってもよいし、異なる大きさであってもよい。貫通孔の大きさは特に限定されないが、長径が0.01〜0.25mmの範囲内であることが好ましく、0.03〜0.22mmであることがより好ましく、0.05〜0.2mmであることがさらに好ましい。貫通孔の長径を前記範囲内とすることにより、ペットが噛んだ時に噛み砕きやすく、且つ適度な噛み応えを与えることができる。また、運搬時等のフード粒の崩れを抑制することができる。なお、「貫通孔の長径」とは、フード粒の表面において、貫通孔の径が最長となる部分の径(最長径)を意味する。例えば、貫通孔20aの長径は、図2(A)において長径ll(20a)で表される長さであり、貫通孔20a’の長径は、図3(A)において長径ll(20a’)で表される長さである。
貫通孔の短径は、特に限定されず、例えば、0.01〜0.20mmが挙げられ、0.03〜0.15mmであることが好ましく、0.03〜0.1mmであることがより好ましい。貫通孔の長径を前記範囲内とすることにより、ペットが噛んだ時に噛み砕きやすく、且つ適度な噛み応えを与えることができる。また、運搬時等のフード粒の崩れを抑制することができる。なお、「貫通孔の短径」とは、フード粒の表面において、貫通孔の径が最短となる部分の径(最短径)を意味する。例えば、貫通孔20aの短径は、図2(A)において短径sl(20a)で表される長さであり、貫通孔20a’の短径は、図3(A)において短径sl(20a’)で表される長さである。
例えば、図1(A)及び図2に示すペットフード用フード粒1では、貫通孔20a〜20fは、略同じ大きさの長径及び短径を有している。貫通孔20a〜20fの長径ll(20a)〜ll(20f)は、例えば、0.01〜0.25mmの範囲内である。貫通孔20a〜20fの短径sl(20a)〜sl(20f)は、例えば、0.01〜0.25mmの範囲内である。
例えば、図1(B)及び図3に示すペットフード用フード粒1’では、貫通孔20a’〜20f’は、略同じ大きさの長径を呼び短径を有している。貫通孔20a’〜20f’の長径ll(20a’)〜ll(20f’)は、例えば、0.01〜0.25mmの範囲内である。貫通孔20a’〜20f’の短径sl(20a’)〜sl(20f’)は、例えば、0.01〜0.25mmの範囲内である。貫通孔20g’は丸形状をしており、長径ll(20g’)と短径sl(20g’)は略同じ大きさであり、例えば、0.01〜0.25mmの範囲内である。
貫通孔は、厚み方向の孔径が略均一であってもよいが、均一である必要はなく、凹凸があってもよく、テーパー状であってもよい。
(貫通孔の配置)
6〜8個の貫通孔の配置は、特に限定されず、任意の配置とすることができる。例えば、2列又は3列の列状に配置されていてもよく、一部の貫通孔の周りを他の貫通孔が取り囲むような配置としてもよく、格子状に配置してもよく、円形状、楕円形状若しくは多角形状(例えば三角形、四角形、五角形、六角形、菱形、台形等)に配置してもよい。
例えば、図1(A)及び図2に示すペットフード用フード粒1では、貫通孔20a〜20fは、2列に配置されており、貫通孔20a〜20cが第1列に配置され、貫通孔20d〜20fが第2列に配置されている。貫通孔20a〜20cからなる第1例と、貫通孔20d〜20fからなる第2列とは、互いに略平行に配置されている。
例えば、図1(B)及び図3に示すペットフード用フード粒1’では、貫通孔20g’は、基体10’の略中央に配置されており(以下、貫通孔20g’を「中心孔20g’」ともいう。)、貫通孔20a’〜20f’は、中心孔20g’の外周に沿って略等間隔に配置されている(以下、貫通孔20a’〜20f’を「外周孔20a’〜20f’」ともいう。)。
(貫通孔間の距離)
貫通孔間の距離は、特に限定されないが、例えば、隣接する貫通孔間の最短距離の平均値を3.0mm以下とすることができる。隣接する貫通孔間の最短距離の平均値は、1.5〜2.8mm以下であることが好ましい。「隣接する貫通孔間の最短距離」とは、隣接する貫通孔の外周間の距離が最も短くなる距離を意味する。「隣接する貫通孔間の最短距離の平均値」とは、ペットフード用フード粒に存在する全ての貫通孔について隣接する貫通孔間の最短距離を測定した値の平均値を意味する。
例えば、図1(A)及び図2に示すペットフード用フード粒1のように、貫通孔が第1の列と第2の列とからなる2列に配置されている場合、同じ列に配置される、隣接する貫通孔間の最短距離の平均値(A1)を、3.0mm以下とすることができる。前記最短距離の平均値(A1)は、1.8〜2.5mmであることが好ましい。貫通孔間の最短距離の平均値(A1)を前記範囲内とすることにより、ペットが噛んだ時に噛み砕きやすく、且つ適度な噛み応えを与えることができる。また、運搬時等のフード粒の崩れを抑制することができる。図2(A)において、第1列に配置される、隣接する貫通孔20a,20b間の最短距離は、d(20ab)で表される距離である。前記最短距離の平均値(A1)は、貫通孔20a,20b間の最短距離d(20ab)、貫通孔20b,20c間の最短距離d(20bc)、貫通孔20d,20e間の最短距離d(20de)及び貫通孔20e,20f間の最短距離d(20ef)の平均値として算出される。前記平均値(A1)の算出には、第1列と第2列にそれぞれ配置される貫通孔間の距離(例えば、図2(A)におけるd(20ad)で表される距離など)は考慮されない。
例えば、図1(B)及び図3に示すペットフード用フード粒1’のように、貫通孔が、基体10’の略中央に配置される1個の中心孔20g’と、中心孔20’の外周に配置される外周孔20a’〜20f’とからなる場合、中心孔20g’と各外周孔20a’〜20f’との間の最短距離の平均値(A2)を、3.0mm以下とすることができる。前記最短距離の平均値(A2)は、1.5〜2.8mmであることが好ましい。貫通孔間の最短距離の平均値(A2)を前記範囲内とすることにより、ペットが噛んだ時に噛み砕きやすく、且つ適度な噛み応えを与えることができる。また、運搬時等のフード粒の崩れを抑制することができる。図3(A)において、中心孔20g’と外周孔20a’との間の最短距離は、d(20a’g’)で表される距離である。前記最短距離の平均値(A2)は、貫通孔20a’,20g’間の最短距離d(20a’g’)、貫通孔20b’,20g’間の最短距離d(20b’g’)、貫通孔20c’,20g’間の最短距離d(20c’g’)、貫通孔20d’,20g’間の最短距離d(20d’g’)、貫通孔20e’,20g’間の最短距離d(20e’g’)及び貫通孔20f’,20g’間の最短距離d(20f’g’)の平均値として算出される。前記最短距離の平均値(A2)の算出には、外周孔間の距離(例えば、図3(A)におけるd(20a’f’)で表される距離など)は考慮されない。
(フード粒の形状・大きさ)
ペットフード用フード粒の形状は、粒状であれば特に限定されず、任意の形状を採用することができる。フード粒の形状としては、例えば、円形、楕円形、多角形(例えば三角形、四角形、五角形、六角形、菱形、台形等)、星状、ハート状、クローバ状、十字状等が挙げられるが、これらに限定されない。
ペットフード用フード粒の長径及び短径は、いずれも3〜30mmの範囲内である。フード粒の長径及び短径は、いずれも6〜16.5mmであることがより好ましく、いずれも8〜13mmであることがさらに好ましい。ペットフード用フード粒の長径及び短径を前記好ましい範囲内とすることにより、ネコや小型犬等の小型のペットにとっても食べやすくなる。また、飼い主が指でつまみやすい大きさとすることができる。
例えば、ペットフード用フード粒1の長径及び短径は、図2(A)において、それぞれll(10)及びsl(10)で表される長さである。例えば、ペットフード用フード粒1’の長径及び短径は、図3(A)において、それぞれll(10’)及びsl(10’)で表される長さである。
ペットフード用フード粒の厚みは、3.5〜6mmである。ペットフード用フード粒の厚みは、3.5〜5.5mmであることがより好ましく、3.5〜5mmであることがさらに好ましい。ペットフード用フード粒の厚みを前記好ましい範囲内とすることにより、ネコや小型犬等の小型のペットにとっても食べやすくなると同時に、噛み砕きやすくなり、嗜好性を向上させることができる。また、飼い主が指でつまみやすい厚みとすることができる。
例えば、ペットフード用フード粒1の厚みは、図2(B)において、それぞれt(10)で表される長さである。例えば、フード粒1’の厚みは、図3(B)において、それぞれt(10’)で表される長さである。
(フード粒の厚みと貫通孔との関係)
貫通孔の数に対するフード粒の厚み(mm)の比(厚み/貫通孔の数)は、0.85以下であることが好ましく、0.70以下であることがより好ましい。貫通孔の数に対するフード粒の厚みの比を前記好ましい範囲内とすることにより、噛み応えを維持しつつ、噛み砕きやすくなるとともに、運搬時の崩れを抑制することができる。
例えば、図1(A)及び図2に示すペットフード用フード粒1では、貫通孔の数に対するフード粒の厚み(mm)の比(厚み/貫通孔の数)は、「フード粒の厚みt(10)mm/貫通孔数(6個)」により算出される。
例えば、図1(B)及び図3に示すペットフード用フード粒1’では、貫通孔の数に対するフード粒の厚み(mm)の比(厚み/貫通孔の数)は、「フード粒の厚みt(10’)mm/貫通孔数(7個)」により算出される。
例えば、図1(A)及び図2に示すペットフード用フード粒1のように、貫通孔が、第1の列と第2の列とからなる2列に配置されている場合、貫通孔の数に対する同じ列に配置される貫通孔間の最短距離(mm)の平均値(A1)の比の値(最短距離(mm)の平均値(A1)/厚みの平均値貫通孔の数)は、0.47未満であることが好ましく、0.25〜0.46であることがより好ましい。貫通孔の数に対するフード粒の厚みの比を前記好ましい範囲内とすることにより、噛み応えを維持しつつ、噛み砕きやすくなるとともに、運搬時の崩れを抑制することができる。
例えば、図1(B)及び図3に示すペットフード用フード粒1’のように、貫通孔が、基体10’の略中央に配置される1個の中心孔20g’と、中心孔20’の外周に配置される外周孔20a’〜20f’とからなる場合、貫通孔の数に対する中心孔20g’と各外周孔20a’〜20f’との間の最短距離(mm)の平均値(A2)の比の値(最短距離の平均値(A2)/貫通孔の数)は、0.47未満であることが好ましく、0.25〜0.46であることがより好ましい。貫通孔の数に対するフード粒の厚みの比を前記好ましい範囲内とすることにより、噛み応えを維持しつつ、噛み砕きやすくなるとともに、運搬時の崩れを抑制することができる。
(フード粒の表面積・貫通孔の表面積)
ペットフード用フード粒の表面積は、125mm以下であることが好ましく、120mm以下であることがより好ましく、115mm以下であることがさらに好ましい。フード粒の表面積を前記上限値以下とすることにより、ネコのような小型のペットであっても噛み砕きやすくなる。
また、貫通孔の表面積の合計は、0.5〜4mmであることが好ましく、0.8〜3mmであることがより好ましい。貫通孔の表面積の合計を前記範囲内とすることにより、崩れにくく、かつ噛み砕きやすいフード粒とすることができる。「貫通孔の表面積の合計」とは、フード粒に存在する貫通孔の全てについて表面積を測定し、それらの表面積の値を合計した値を意味する。すなわち、図1(A)及び図2に示すペットフード用フード粒1では、貫通孔の表面積の合計は、貫通孔20a〜貫通孔20fの表面積を合計した値である。また、図1(B)及び図3に示すペットフード用フード粒1’では、貫通孔の表面積の合計は、貫通孔20a’〜貫通孔20g’の表面積を合計した値である。
また、フード粒の表面積に対する貫通孔の表面積の合計の割合(貫通孔の表面積の合計/フード粒の表面積×100)は、0.2〜5.0%が好ましく、1.0〜2.0がより好ましい。(貫通孔の表面積の合計/フード粒の表面積)を前記範囲内とすることにより、崩れにくく、かつ噛み砕きやすいフード粒とすることができる。
また、貫通孔の表面積の合計(mm)とフード粒の厚み(mm)との比は、貫通孔の表面積の合計(mm):フード粒の厚み(mm)=1:1〜6:1であることが好ましく、1.5:1〜3:1であることがより好ましい。貫通孔の表面積の合計とフード粒の表面積との比を前記範囲内とすることにより、崩れにくく、かつ噛み砕きやすいフード粒とすることができる。
(フード粒の原料)
フード粒は、ペットフードにおいて公知の原料を適宜用いることができる。フード粒は、例えば、粉体原料と液体原料を混合した原料混合物を加熱および成形して得られる。フード粒は、膨化粒であってもよく、非膨化粒であってもよいが、食感の観点から膨化粒が好ましい。「膨化粒」は、原料混合物を粒状に成形した粒であって、原料混合物の内部で起泡させる膨化工程を経て得られる粒である。「膨化工程」とは、加熱、発酵、化学反応または減圧などの手法により、原料混合物の内部で気体を発生させる工程をいう。膨化工程では、気体が発生することにより原料混合物の体積が増加し多孔質の性状となる。原料混合物の体積が増加することにより嵩密度が低下する。膨化工程の前、膨化工程の後、または膨化工程と同時に原料混合物を粒状に成形することにより「膨化粒」が得られる。「非膨化粒」は膨化工程を経ずに製造された粒である。
粉体原料の例としては、主原料として、穀類(トウモロコシ、小麦、米、コーングルテンミール、小麦ふすま、パン粉、大麦、燕麦、ライ麦等)、いも類(さつまいも、馬鈴薯等)、豆類(丸大豆、脱脂大豆等)、デンプン類(小麦デンプン、トウモロコシデンプン、米デンプン、馬鈴薯デンプン、タピオカデンプン、甘藷デンプン、サゴデンプン、加工デンプン等)、肉類(鶏肉、牛肉、豚肉、鹿肉などの畜肉。その部位を表すレバー、牛筋、豚耳、ささみ等。その加工物のチキンミール、豚ミール、牛ミール、これらの混合ミール、肉エキスなど)、魚介類(まぐろ、かつお、あじ等の魚類。えび、かに等の甲殻類、たこ、いか等の軟体動物、ほたて、さざえ等の貝類。その加工物のフィッシュミール、フィッシュエキス、鰹節等。その形態を表す小魚、しらす、その肉質を表す白身魚等、その部位を表すマグロ血合い肉など。)、野菜類、種実類、きのこ類、果実類、藻類、卵類、糖類、乳類、その他(ハーブ、酵母、セルロースなど)、添加物としては、ビタミン類、無機塩類、アミノ酸類、酸味料、調味料、フレーバー原料、着色料、保存料、乳化剤、酸化防止剤等が挙げられる。
液体原料の例としては、水、油脂類、糖類(液糖など)、保湿剤、保存料、乳化剤等が挙げられる。保湿剤、乳化剤は水溶液の状態で添加してもよい。
油脂は植物性油脂でもよく、動物性油脂でもよい。高い嗜好性が得られ易い点で動物性油脂を用いることが好ましい。好ましい動物物性油脂としては、鶏油、豚脂(ラード)、牛脂(ヘット)、または乳性脂肪等が挙げられる。
膨化粒の乾燥後に、油脂類、調味料、嗜好剤、香料等を含む液体原料(コーティング剤)をコーティングしてもよい。コーティング剤は動物性油脂を含むことが好ましく、特に牛脂を含むことが好ましい。
フード粒の配合例として、穀類の合計20〜70質量%、肉類の合計10〜50質量%、魚介類の合計0〜30質量%、ビタミン、ミネラル類、アミノ酸類の合計0〜10質量%、セルロースパウダー0〜15質量%、動物性油脂1〜20質量%等が挙げられる。
フード粒の配合は、例えば栄養バランス等を考慮し設定されることが好ましく、総合栄養食の基準を満たすことが好ましい。例えば、フード粒がキャットフードである場合、ネコの栄養食基準を満たす総合栄養食であることが好ましい。
本実施形態のペットフード用フード粒は、ドライタイプのフード粒であり、水分含量が約6質量%程度である。
本実施形態のペットフード用フード粒は、6〜8個の貫通孔を有することにより、ドライタイプのフード粒であっても、硬さが15〜50Nの範囲内であり、噛み砕きやすい硬さとなっている。本実施形態のペットフード用フード粒の硬さは、35N以下であることがより好ましい。
本実施形態のペットフード用フード粒では、フード粒の成分組成に関わらず、6〜8個の貫通孔を設けることで、フード粒の硬さ15〜50Nの範囲内としている。これにより、フード粒の噛み応えを維持しつつ、噛み砕きやすいフード粒を実現している。さらに、貫通孔の大きさ、貫通孔間の距離等を制御することにより、運搬時等でも崩れにくく、且つ噛み応えがあり噛み砕きやすいフード粒とすることができる。
本実施形態のペットフード用フード粒では、フード粒の硬さが所定の範囲内であるため、猫や小型犬等の小型のペット、老齢のペットや病気のペットなどの噛む力が衰弱したペットであっても、噛み砕きやすく、食べやすい。一方、フード粒の成分組成は、任意とすることができるため、所望の栄養成分を含む、噛み砕きやすいペットフード用フード粒を提供することができる。
≪他の構成≫
本実施形態のペットフード用フード粒は、他の構成を備えていてもよい。他の構成としては、例えば、フード粒(基体)の一部を被覆する被覆部が挙げられる。
(被覆部)
被覆部は、フード粒の一部を被覆する。被覆部の成分組成は、フード粒の成分組成とは相違することが好ましい。
被覆部は、フード粒の全てを被覆することはなく、フード粒の一部は露出している。フード粒の成分組成とは相違する成分組成の被覆部を有することにより、視覚的変化、食感の変化、及び味の変化がペットフードに付与される。
フード粒全体の表面積に対する被覆部の面積率は、特に限定されないが、例えば、5〜50%が例示され、5〜30%が好ましく、5〜25%がより好ましい。より具体的には、上記「[被覆部の面積率の測定]≪測定方法1≫」に記載の方法を用いた場合、ペットフード全体の表面積に対する被覆部の面積率としては、5〜50%が例示され、5〜30%が好ましく、5〜25%がより好ましく、7〜15%がさらに好ましい。また、上記「[被覆部の面積率の測定](測定方法2)」に記載の方法を用いた場合、ペットフード全体の表面積に対する被覆部の面積率としては、5〜50%が例示され、5〜40%が好ましく、8〜30%がより好ましく、10〜25%がさらに好ましい。粒状のペットフードである場合、上記「[被覆部の面積率の測定]≪測定方法2≫」に記載の方法を用いて、複数個(例えば、2〜10個程度)のフード粒について被覆部の面積率を算出し、その平均値を被覆部の面積率としてもよい。
また、ペットフード用フード粒は、被覆部を有する面と、基体が露出する露出部のみで形成される面とを有していてもよい。この場合、被覆部を有する面と露出部のみで形成される面とが、ペットの歯と歯の間に挟持された時に、被覆部を有する面では被覆部から歯が入り、その後フード粒に歯が入って行くので、噛み深さによって異なる食感を付与することができる。すなわち、噛みの深さ方向(噛み始め〜噛み終り)の領域によって、異なる食感のペットフード用フード粒の提供が可能となる。
被覆部の高さは、特に限定されないが、例えば、フード粒の表面から被覆部の最頂部までの高さとしては、0.1〜2mmが例示され、0.5〜2mmが好ましい。被覆部の高さを前記範囲の下限値以上とすることにより、噛み始めに被覆部の食感を付与することができる。また、被覆部の高さを前記範囲の上限値以下とすることにより、被覆部の剥離が抑制される。
被覆部の形状は、特に限定されないが、製造効率の点から、ライン形状であることが好ましい。例えば、フード粒を横断又は縦断するようにライン形状の被覆部を形成してもよい。ライン形状の被覆部におけるラインの幅は、特に限定されないが、例えば、0.1〜5mmが例示され、0.5〜3mmが好ましい。ラインの幅は一定である必要はなく、不均一なライン幅であってよい。ライン形状の被覆部は、フード粒上に、1本のみ形成されていてもよく、数本(例えば、2本又は3本)形成されていてもよい。被覆部の形状は、ライン形状に限定されず、点状、円形状、多角形状等であってもよい。
被覆部の色は、基体の色と相違していることが好ましい。これにより、ペットフード用フード粒に外観上の変化が付与され、ペットの興味を喚起することができる。被覆部と基体の色の相違は、ペットが視認できる程度の差であることが好ましい。例えば、CILAB色空間において、下記(a)〜(d)からなる群より選択される少なくとも1個の条件を満たすことが好ましい。
(a)ΔL(被覆部のL−基体のL)が5.0以上
(b)ΔE(被覆部と基体との色差)が5.0以上
(c)ΔC(被覆部のC−基体のC)が−7.5〜−1.0
(d)ΔC(被覆部のC−基体のC)が1.0〜7.5
被覆部と基体の色とは、上記(a)、(b)及び(c)若しくは(d)のいずれか2個以上を満たすことがより好ましく、(a)〜(c)の3個、又は(a)、(b)及び(d)の3個を満たすことがさらに好ましい。前記ΔLは、7以上が好ましく、8以上がより好ましく、9以上がさらに好ましい。前記ΔLの範囲としては、例えば、5〜15、好ましくは7〜13、より好ましくは8〜12、さらに好ましくは9〜11が例示される。前記ΔEは、7以上が好ましく、8以上がより好ましく、9以上がさらに好ましい。前記ΔEの範囲としては、例えば、5〜18、好ましくは7〜15、より好ましくは8〜13、さらに好ましくは9〜12が例示される。前記ΔCは、例えば、−7.0〜−1.5が好ましく、−6.0〜−2.0がより好ましく、−5.0〜−3.0がさらに好ましい。あるいは、前記ΔCは、例えば、1.5〜7.0が好ましく、2.0〜6.0がより好ましく、3.0〜5.0がさらに好ましい。ΔCが−7.5〜−1.0の範囲であると、被覆部は、基体よりも薄い(pale)色と視認される。ΔCが1.0〜7.5の範囲であると、被覆部は、基体よりも明るい(light)色と視認される。
被覆部の破断力(硬さ)は、基体の破断力と相違していることが好ましい。これにより、ペットフード用フード粒の食感に変化が付与される。被覆部の破断力は、基体の破断力よりも低いことが好ましい。これにより、ペットフード用フード粒の被覆部を噛んだ場合には、歯が入り易く柔らかい食感を与え、基体露出部を噛んだ場合には硬い食感が付与される。すなわち、噛む平面方向の領域によって、食感の異なるペットフード用フード粒の提供が可能となる。また、噛む深さが浅い時(噛み始めなど)には柔らかく歯が粒に入り易く、深く噛むと硬い食感を感じさせることができる。すなわち、噛む深さ方向(噛み始め〜噛み終り)の領域によって、異なる食感のペットフード用フード粒の提供が可能となる。
被覆部の味は、基体の味と相違していることが好ましい。これにより、ペットフード用フード粒の味に変化が付与される。すなわち、噛む平面方向の領域によって、味の異なるペットフード用フード粒の提供が可能となる。噛む深さ方向(噛み始め〜噛み終り)の領域によって、異なる味のペットフード用フード粒の提供が可能となる。
被覆部は、基体と相違する成分組成であればよく、ペットフードにおいて公知の原料を適宜用いることができる。被覆部は、例えば、油脂及び粉体原料を含有するものであってもよい。被覆部形成用の組成物としては、例えば、クリーム状組成物が例示される。例えば、油脂、粉体原料、及び適宜賦形剤等の任意の原料を混合し、40〜60℃程度で撹拌してクリーム状組成物とし、これを被覆部形成用組成物として用いてもよい。被覆部は、例えば、前記クリーム状組成物で基体の一部を被覆し、冷却して固化させることにより形成することができる。
油脂は、植物性油脂でもよく、動物性油脂でもよい。また、硬化油脂であってもよい。油脂としては、例えば、融点の高いもの(45〜65℃程度、好ましくは56.5〜60.5℃程度)と融点の低いもの(20〜45℃程度、好ましくは30〜40℃程度)とを併用することが好ましい。融点の高いもののみを用いた場合、摂取されたときに体内で溶けにくく分解しにくい。一方、融点の低いもののみを用いた場合、加工性が悪く、気温が高いと溶けてしまう恐れがある。融点の高いものと低いものとを併用することにより、加工性がよく、かつ食したときに溶けやすい組成物を得ることができる。そのような組み合わせとしては、植物性油脂と硬化油脂との組み合わせが例示される。あるいは、植物性油脂に代えて、又は植物性油脂とともに、精製牛脂、精製豚脂、鶏脂、羊脂、馬脂、パーム分画油、パーム核油、植物油脂、魚油、脂肪酸(リノール酸、リノレン酸など)、及びバター等を用いてもよい。植物性油脂としては、パーム油が好適に例示される。硬化油脂は、植物性であってもよく、動物性であってもよい。硬化油脂は、極度硬化油脂(融点56.5〜60.5℃)が好ましい。
粉体原料は、クリーム状組成物の流動性を低くして、盛り上がった被覆部を形成するために配合される。粉体原料の例としては、ペットフードに使用可能なすべての粉体原料を特に制限なく用いることができる。例えば、前記「(フード粒の原料)」で例示したもの等が挙げられる。具体的には、穀類、肉類、デンプン類、糟糠類、糖類、豆類、魚介類、卵類、乳類、植物タンパクエキス、果実類、きのこ類、藻類、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類、セルロース、酵母、フレーバー類、調味料等が例示される。
粉体原料の好適な例としては、大豆粉末が挙げられる。中でも、濃縮大豆タンパク質が好ましく、消化に配慮して加熱処理されたものがより好ましい。また、大豆粉末に代えて、又は大豆粉末とともに、α化小麦粉、分離大豆タンパク質、蛋白加水分解物、ビール酵母粉体、チーズパウダー、乳類粉体、魚介類粉体、アミノ酸粉体、肉類系、豆類、米粉、麦芽粉末、核酸等を用いてもよい。粉体原料は、油脂との相性がよいものを用いることが好ましい。粉体原料の粉砕粒度は、特に限定されないが、最大の粉砕粒度が400μm以下であることが好ましく、平均の粉砕粒度が100μm以下であることがより好ましい。
被覆部形成用組成物の原料としては、上記のほか、外観や嗜好性向上の観点から、フリーズドライ原料を用いてもよい。フリーズドライ原料は、例えば、クリーム状組成物でフード粒を被覆した後、固化させる前に、該クリーム状組成物に振りかけてもよい。
被覆部形成用組成物の配合例として、融点の低い油脂(植物性油脂など)の合計5〜70質量%、融点の高い油脂(極度硬化油脂など)の合計3〜40質量%、粉体原料の合計5〜70質量%、賦形剤(デキストリン、デンプン類、単糖類、オリゴ糖類など)の合計2.5〜35質量%等が挙げられる。
ペットフード用フード粒全体の総質量に対する被覆部の質量の割合は、特に限定されないが、例えば、1〜20質量%が挙げられ、3〜15質量%が好ましく、5〜12質量%がより好ましい。
本実施形態のペットフード用フード粒は、6〜8個の貫通孔を有するため、被覆部を設けた場合に、貫通孔に被覆部の一部が入り込み、被覆部が剥離しにくくなる。そのため、本実施形態のペットフード用フード粒の好適な例として、フード粒(基体)の一部を被覆する被覆部を有するものが例示される。
<ペットフード用フード粒の製造方法>
上記ペットフード用フード粒は、以下のようにして製造することができる。
[造粒工程]
造粒工程では、原料混合物を造粒してフード粒を得る。原料を混合して原料混合物とする方法、および該原料混合物を粒状に成形(造粒)する方法は、公知の方法を用いることができる。
例えばエクストルーダーを用いて膨化粒を製造する方法を好適に用いることができる。
エクストルーダーを用いて膨化粒を製造する方法は、例えば「小動物の臨床栄養学 第5版」(Michael S. Hand、Craig D. Thatcher, Rebecca L. Remillard, Philip Roudebusg、Bruce J. Novotny 編集、Mark Morris Associates 発行;2014年;p.209〜p.215)に記載されている方法等が適用できる。
エクストルーダーを用いて膨化粒を製造する方法の例を説明する。まず、膨化粒の原料のうち外添剤以外の原料を、必要に応じて粉砕した後、混合する。グラインダー等を用いて粉砕しつつ混合してもよい。また必要に応じて水(原料組成には含まれない。)を加えて原料混合物を得る。
得られた原料混合物をエクストルーダーに投入し、加熱、加圧した後、出口から押し出す。出口には所定の形状の穴が形成されたプレートと、該プレートから押し出された原料混合物を所定の長さ(厚さ)に切断するカッターが設けられている。原料混合物は該プレートの穴から押し出され、カッターで切断されることにより所定の形状に成形されると同時に、加圧状態から常圧に開放されることによって原料混合物中の水蒸気が膨張し、これによって原料混合物が膨化して多孔質の粒が得られる。エクストルーダーの先端に6〜8個の貫通孔を形成可能な所定形状のアタッチメントを装着することにより、6〜8個の貫通孔を有する所望の形状のフード粒を得ることができる。
[乾燥工程]
こうして得られる粒を、所定の水分含量となるまで必要に応じて乾燥して膨化粒(フード粒)を得る。ドライタイプのフード粒を製造する場合、乾燥工程は必須である。
例えば、エクストルーダーから排出される粒の水分含量は10〜20質量%である。この程度の水分を含んでいると良好な成形性が得られやすい。
エクストルーダーから排出される粒の温度は、エクストルーダー内での加熱温度に依存する。例えば90〜150℃である。
エクストルーダーから排出された粒を乾燥する方法は公知の方法を適宜用いることができる。例えば、粒に熱風を吹き付けて乾燥させる熱風乾燥法、減圧乾燥法、油中でフライする方法等が挙げられる。例えばコンベア式の熱風乾燥機を用いた熱風乾燥法が好ましい。
乾燥条件(温度、時間)は、粒の成分の熱変性を生じさせずに、粒の温度を100℃以上に昇温させて粒中の水分を蒸発させ、所望の水分含量に調整できる条件であればよい。
例えば、熱風乾燥機で乾燥させる場合、粒に接触させる熱風の温度は100〜140℃が好ましく、100〜110℃がより好ましい。乾燥時間は特に限定されず、例えば5〜20分間程度で行われる。
乾燥後に、さらに粗牛脂、調味料又は香料等を含むコーティング剤で、ペットフードをコーティングしてもよい。
コーティング方法は特に制限されず、例えば真空コート法により行うことができる。
前記真空コート法は、加温したフード粒と前記コート剤を接触又は付着させた状態で、減圧し、その後ゆっくりと大気開放する方法である。前記コート剤は、液状であっても粉末状であってもよい。前記コーティングによりペットの嗜好性(食いつき)を向上させることができる。
≪被覆部の形成≫
上記実施形態のペットフード用フード粒は、フード粒(基体)の一部を被覆する被覆部を有していてもよい。被覆部の形成は、例えば、以下のように行うことができる。
[被覆部形成用組成物の調製]
まず、油脂成分を寸胴鍋等に投入して混合し、50〜70℃(好ましくは65℃程度)に温める(油脂成分混合物)。また、油脂成分以外の原料を混合する(粉体原料混合物)。次に、前記油脂成分混合物に、前記粉体原料混合物を投入しながら、ホモディスパーやホモジナイザーで10〜15分程度撹拌する。撹拌の際には、温度を55℃以上(好ましくは60℃程度)に維持することが好ましい。このようにして、クリーム状の被覆部形成用組成物を得ることができる。被覆部形成用組成物は、前記撹拌後に、篩(例えば、目開き650〜800μm)を用いて濾してもよい。被覆部形成用組成物は、40〜70℃に保温された保温タンクにて保管することができる。
[被覆工程]
被覆工程は、フード粒の一部を、被覆部形成用組成物で被覆する工程である。被覆工程は、例えば、デコレーターを用いて行うことができる。例えば、コンベアで搬送されるフード粒に対して、上方からデコレーターで被覆部形成用組成物を吐出することにより、フード粒の一部を被覆部形成用組成物で被覆することができる。デコレーターのノズル径は、フード粒のサイズに合わせて適宜調整すればよく、例えば、φ0.5〜2mm程度(例えば、φ0.75mm程度)が例示される。デコレーターのノズルの動きは、特に限定されないが、被覆効率の観点から、例えば、コンベアの進行方向に対して楕円方向に動かしてもよい。被覆部形成用組成物を吐出中、デコレーターの排出部位付近は40〜70℃に維持することが好ましい。
フード粒に対して上方から被覆部形成用組成物を吐出することにより、フード粒の上表面のみに被覆部が形成される。フード粒の上表面にフード粒を形成後、フード粒を反転させて、フード粒の裏面に対して被覆部形成用組成物を吐出することにより、フード粒の裏面にも被覆部を形成することができる。
[固化工程]
固化工程は、被覆部形成用組成物を固化させる工程である。被覆部形成用組成物の固化は、例えば、冷却により行うことができる。冷却は、被覆部形成用組成物の固化温度まで温度を低下させればよく、例えば、30〜40℃以下が例示される。被覆部形成用組成物の固化は、室温でも可能であるが、固化するまでの時間を短縮するために、スポットクーラー等により冷却を行ってもよい。
[コネクト崩し工程]
コネクト崩し工程は、被覆部形成用組成物により結合したペットフードの塊を崩す工程である。コネクト崩しは、フード粒に衝撃を与えることにより、行うことができる。衝撃を合付与する方法は、特に限定されないが、例えば、ラダーシューター等を用いてコネクトをほぐす方法、振動を与える方法等が挙げられる。コネクト崩し工程は、被覆工程後、固化工程前に行ってもよく、固化工程の後に行ってもよく、固化工程の前及び後の両方で行ってもよい。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[ペットフード用フード粒の製造例]
表1に示す配合でフード粒の原料を混合した。得られた原料混合物をエクストルーダーに投入し、混練しながら約115℃で約2分間の加熱処理を施してデンプン成分をアルファ化し、エクストルーダーの出口で粒状に押出造粒すると同時に膨化させた。エクストルーダーの出口では、所定形状の先端アタッチメントを装着して、混練物を柱状に押し出し、該柱状物を厚さが4mmとなるようにカッターで切断して造粒物とした。
得られた造粒物を乾燥機を用いて、約100℃で5〜20分間の乾燥処理を行った後、外添剤をコーティング(1.5%油コーティング)してドライタイプの膨化粒であるフード粒を得た。
Figure 2020074740
(実施例1)
上記製造例に従い、四角6孔形状の先端アタッチメントを用いてフード粒を製造し、四角6孔形状(図1A参照)のフード粒を得た。これを実施例1のフード粒とした。以下、実施例1のフード粒の各貫通孔は、図2(A)に示す符号に準じて表す。
(実施例2)
上記製造例に従い、丸7孔形状の先端アタッチメントを用いてフード粒を製造し、丸7孔形状(図1B参照)のフード粒を得た。これを実施例2のフード粒とした。以下、実施例2のフード粒の各貫通孔は、図2(B)に示す符号に準じて表す。
(比較例1)
上記製造例に従い、ハート孔なし形状の先端アタッチメントを用いてフード粒を製造し、ハート孔なし形状のフード粒を得た。これを比較例1のフード粒とした。
(比較例2)
市販のドライタイプの粒状ペットフード(ゴンタのデンタフード;サンライズ社製)を購入し、比較例2のフード粒とした。比較例2のフード粒は、丸形状のフード粒に、1個の中心孔(以下、「孔0」という。)および5個の外周孔(以下、「孔1」、「孔2」、「孔3」、「孔4」および「孔5」という。)が設けられている。
[硬さの評価]
上記「[硬さの測定方法]」に記載の方法に従い、各例のフード粒の硬さを測定した。その結果を表2及び3に示す。
Figure 2020074740
Figure 2020074740
実施例1および実施例2では、いずれのフード粒も、厚みが3.5〜6mmの範囲内であり、硬さが15〜50Nの範囲内であった。フード粒の厚み(mm)/貫通孔数の値は、いずれのフード粒でも0.85以下であった。
比較例1のフード粒では、厚みは3.5〜6mmの範囲内であったが、ほとんどのフード粒の硬さが50Nを超えていた。
比較例2のフード粒では、厚みが6mmを超えており、多くのフード粒の硬さが50Nを超えていた。フード粒の厚み(mm)/貫通孔数の値は、いずれのフード粒も1を超えていた。
以上の結果から、フード粒の厚み、およびフード粒の厚み(mm)/貫通孔数の値を所定範囲内とすることにより、硬さが15〜50Nの範囲内であるフード粒を精度よく製造できることが明らかになった。
[貫通孔間の最短距離]
上記「[フード粒の貫通孔間の最短距離の測定方法]」に記載の方法に従い、各例のフード粒の硬さを測定した。その結果を表4〜8に示す。
Figure 2020074740
Figure 2020074740
Figure 2020074740
Figure 2020074740
Figure 2020074740
実施例1では、同一の列に配置された貫通孔間の最短距離の平均値(A1)は、いずれのフード粒でも3mm以下であった。また、貫通孔間の最短距離の平均値(A1)/貫通孔数(n)の値は、いずれのフード粒でも0.47未満であった。また、第1列の貫通孔20aと第2列の貫通孔20dとの最短距離d(20ad)、及び前記平均値(A1)とd(20ad)との平均値(A2)も、いずれのフード粒でも3mm以下であった。さらに、前記平均値(A2)/貫通孔数(n)の値も、いずれのフード粒でも0.47未満であった。
実施例2では、中心孔および外周孔の間の最短距離の平均値(A1)は、いずれのフード粒でも3mm以下であった。また、貫通孔間の最短距離の平均値(A1)/貫通孔数(n)の値は、いずれのフード粒でも0.47未満であった。また、外周孔a’と外周孔20f’との最短距離d(20a’f’)、及び前記平均値(A1)とd(20a’f’)との平均値(A2)も、いずれのフード粒でも3mm以下であった。さらに、前記平均値(A2)/貫通孔数(n)の値も、いずれのフード粒でも0.47未満であった。
一方、比較例2では、中心孔および外周孔の間の最短距離の平均値は、ほとんどのフード粒で3mmを超えていた。また、貫通孔間の最短距離の平均値(A)/貫通孔数(n)の値は、いずれのフード粒でも0.47以上であった。
以上の結果から、フード粒の貫通孔間の最短距離、および貫通孔間の最短距離の平均値/貫通孔数の値を所定範囲内とすることにより、硬さが15〜50Nの範囲内であるフード粒を精度よく製造できることが明らかになった。
[フード粒の長径及び短径]
上記「[フード粒の長径、短径、厚みの測定方法]」に記載の方法に従い、各例のフード粒の長径及び短径を測定した。その結果を表3に示す。
Figure 2020074740
[貫通孔の長径及び短径]
上記「[貫通孔の長径及び短径の測定方法]」に記載の方法に従い、各例のフード粒の貫通孔の長径及び短径を測定した。その結果を表3に示す。
Figure 2020074740
実施例1および実施例2では、貫通孔の長径の平均値は、0.01〜0.25mmの範囲内であった。
[フード粒及び貫通孔の表面積]
上記「[フード粒の表面積の測定方法]」及び「[貫通孔の表面積の測定方法]」に記載の方法に従い、各例の粒No.1〜10についてフード粒の表面積及び孔表面積を測定した。その結果を表11に示す。表11には、10個のフード粒における平均値を示す。
Figure 2020074740
表11に示すように、実施例1及び実施例2では、フード粒表面積は、125mm以下であった。一方、比較例2では、フード粒表面積は200mmを超えていた。
また、実施例1及び実施例2では、フード粒表面積(S1)に対する貫通孔表面積の合計(S2)の割合(S2/S1×100)は、0.2〜5.0%の範囲内であった。一方、比較例2では、(S2/S1)は、7%を超えていた。
また、実施例1及び実施例2では、貫通孔表面積の合計(S2)に対するフード粒の平均厚みの比の値(平均厚み/S2)は、1〜6の範囲内であった。一方、比較例2では、(平均厚み/S2)は、1未満であった。
以上の結果から、フード粒表面積、フード粒表面積(S1)に対する貫通孔表面積の合計(S2)の比の値、および貫通孔表面積の合計(S2)に対するフード粒の平均厚みの比の値を所定範囲内とすることにより、硬さが15〜50Nの範囲内であるフード粒を精度よく製造できることが明らかになった。
(参考例1、2)
上記実施例1および実施例2のフード粒に対して、以下のように製造したクリームを用いてデコレーションを行った。
表12に示す配合でクリームの原料を混合した。植物性油脂と硬化油脂を寸動鍋に投入し、65℃に温めた(混合物1)。大豆タンパクとデキストリンを混合した(混合物2)。混合物1に混合物2を投入しながら、ホモディスパー(プライミクス株式会社製オートミクサー20型)で10〜15分間撹拌した。得られた混合物を篩(目開き710μm)に通し、クリームを得た。クリームは、40〜70℃に保温した保管用タンクで保管した。
前記のように製造したクリームをデコレーターに投入し、デコレーターを楕円方向に往復させて、実施例1および実施例2のフード粒に、上方からクリームを振りかけた。全フード粒の総質量と、デコレーションに用いたクリームの総質量との比(フード粒の総質量/クリームの総質量)が、93/7となるようにデコレーションを行った。デコレーション後、冷却してクリームを固化させた。これにより、クリームによるライン形状の被覆部を有するフード粒(参考例1、参考例2)を得た。
Figure 2020074740
参考例1および参考例2のフード粒では、貫通孔にクリームが入り込むことにより、クリームの剥離が抑制された。また、参考例1および参考例2のフード粒を成猫に給餌したところ、良好な食いつき(嗜好性)を示した。
また、参考例1及び参考例2のフード粒と、被覆部を有さないフード粒とで、ネコ(N=19)に対する嗜好性を、2日間の摂食量で評価したところ、被覆部有:被覆部無=56:44で被覆部有のフード粒の方が好まれた。
また、ネコ用ペットフードのユーザーを対象として、参考例1及び参考例2のフード粒とを評価してもらったところ、86&のユーザーに好まれた。さらに、参考例1及び参考例2のフード粒と、市販のペットフード用フード粒(Sheba(登録商標)Duo(登録商標))とを、飼いネコに与えて比較してもらったところ、参考例1及び参考例2:市販品=58:42の割合で、参考例1及び参考例2の方が、食べ具合が良好であると評価された。
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はこれら実施例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付のクレームの範囲によってのみ限定される。
1,1’…ペットフード用フード粒、10,10’…基体、20a〜20f,20a’〜20g’…貫通孔

Claims (14)

  1. 長径及び短径がいずれも3〜30mmであり、厚みが3.5〜6mmであるドライタイプのペットフード用フード粒であって、
    前記フード粒の厚み方向に貫通する貫通孔を6〜8個有し、
    前記フード粒の硬さが15〜50Nである、
    ペットフード用フード粒。
  2. 前記フード粒の硬さが35N以下である、請求項1に記載のペットフード用フード粒。
  3. 前記貫通孔の数に対する前記フード粒の厚み(mm)の比の値(厚み(mm)
    /貫通孔の数)が、0.85以下である、請求項1又は2に記載のペットフード用フード粒。
  4. 前記貫通孔の数に対する前記フード粒の厚み(mm)の比の値(厚み(mm)/貫通孔の数)が、0.5〜0.70である、請求項3に記載のペットフード用フード粒。
  5. 前記貫通孔が、第1の列と第2の列とからなる2列に配置されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のペットフード用フード粒。
  6. 前記貫通孔が、前記フード粒の略中央に配置される1個の中心孔と、前記中心孔の外周に配置される外周孔とからなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のペットフード用フード粒。
  7. 隣接する前記貫通孔間の最短距離の平均値が、3.0mm以下である、請求項5又は6に記載のペットフード用フード粒。
  8. 前記貫通孔間の最短距離の平均値が、1.5〜2.8mmである、請求項7に記載のペットフード用フード粒。
  9. 前記フード粒の前記貫通孔の数に対する前記貫通孔間の最短距離(mm)の平均値の比の値(最短距離(mm)の平均値/貫通孔の数)が、0.47未満である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のペットフード用フード粒。
  10. 前記フード粒の前記貫通孔の数に対する前記貫通孔間の最短距離(mm)の平均値の比の値(最短距離(mm)の平均値/貫通孔の数)が、0.25〜0.46である、請求項9に記載のペットフード用フード粒。
  11. 前記フード粒の表面積が、125mm以下である、請求項1〜10のいずれか一項に記載のペットフード用フード粒。
  12. 前記フード粒の表面積に対する前記貫通孔の表面積の合計の割合(貫通孔の表面積の合計/フード粒の表面積×100)が、0.2〜5.0%である、請求項1〜11のいずれか一項に記載のペットフード用フード粒。
  13. 前記貫通孔の表面積の合計と、前記フード粒の厚みとの比が、1:1〜6:1である、請求項1〜12のいずれか一項に記載のペットフード用フード粒。
  14. 前記貫通孔の長径が、0.01〜0.25mmである、請求項1〜13のいずれか一項に記載のペットフード用フード粒。
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