(実施形態1)
(1)概要
本実施形態に係るアンテナシステム10は、図1に示すように、読取システム100に用いられるシステムである。読取システム100は、アンテナシステム10と、読取装置4と、を備えている。読取装置4は、少なくとも1つの物品91に付された電子タグ92から物品情報を読み取る装置である。
読取装置4は、電子タグ92と電波を媒体とする無線通信を行うことにより、物品情報の読取りを実行する。つまり、読取装置4は、物品91から直接的に物品情報を読み取るのではなく、物品91に付された電子タグ92から非接触で物品情報を読み取ることになる。
本開示でいう「物品情報」は、物品91を識別するための情報であって、例えば、日本国で用いられているJAN(Japanese Article Number)コード等の商品識別コードである。この種の商品識別コードには、JANコードの他、EPC(Electronic Product Code)、欧州等で用いられているEAN(European Article Number)コード、及び米国等で用いられているUPC(Universal Product Code)等がある。また、物品情報は、物品91の品種(種類)を識別する情報に限らず、同一品種の物品91を個別に識別するシリアル情報等の情報を含んでいてもよい。これにより、同一品種の物品91が複数ある場合にも、これら同一品種の複数の物品91の各々を物品情報にて特定可能である。
ここで、読取システム100による物品情報の読取対象となる物品91は、収容庫5に収容されている物品91である。すなわち、読取装置4は、収容庫5に収容されている少なくとも1つの物品91に付された電子タグ92から、物品情報を読み取る。そのため、収容庫5内と収容庫5外との両方に物品91が存在する場合、読取システム100は、基本的には、収容庫5内にある物品91を読取対象として、物品情報の読取りを行う。本開示でいう「収容庫」は、1つ以上の物品91を収容可能な容器であって、一例として、内部空間Sp1(図3参照)を外部から遮蔽可能な、冷蔵庫、冷凍庫、保温庫又は温蔵庫等の温度調節の機能を有する設備である。ただし、収容庫5は、物品91を収容する機能を有していればよく、内部空間Sp1が外部に開放されている開放型の収容庫であってもよいし、温度調節の機能を有さなくてもよい。
読取システム100は、収容庫5と共に収容庫システム50を構成する。つまり、本実施形態に係る収容庫システム50は、読取システム100と、収容庫5と、を備えている。さらに言い換えれば、収容庫システム50は、アンテナシステム10と、読取装置4と、収容庫5と、を備えている。
本実施形態に係るアンテナシステム10は、少なくとも1つのアンテナモジュール2と、位置調整部3(図5参照)と、を備える。アンテナモジュール2は、読取装置4に用いられる。アンテナモジュール2は、電波(読取装置4と電子タグ92との無線通信に媒体として用いられる電波)を受信するアンテナ21(図7参照)を含んでいる。位置調整部3は、収容庫5に対するアンテナモジュール2の取付位置を変更可能な状態で、収容庫5にアンテナモジュール2を取り付ける。読取装置4は、上述したように、収容庫5に収容されている少なくとも1つの物品91に付された電子タグ92と電波を媒体とする無線通信を行うことにより、物品情報を読み取る装置である。
すなわち、本実施形態に係るアンテナシステム10においては、少なくとも1つのアンテナモジュール2は、物品情報の読取対象となる物品91が収容された収容庫5に対して、その取付位置を変更可能な状態で、位置調整部3により取り付けられる。したがって、アンテナシステム10によれば、例えば、収容庫5内における、物品91の個数、及び物品91の並び方等の、物品91の陳列状態に合わせて、アンテナモジュール2の取付位置を調整することができる。結果的に、本実施形態に係るアンテナシステム10においては、より多様な物品91の陳列状態に対応可能となる。
(2)詳細
以下、本実施形態に係るアンテナシステム10、読取システム100、収容庫システム50及びアンテナ設置方法について、詳しく説明する。上述したように、収容庫システム50は、読取システム100と、収容庫5と、を備えている。また、読取システム100は、アンテナシステム10と、読取装置4と、を備えている。
収容庫システム50は、例えば、オフィス(シェアオフィスを含む)、工場、駅、学校、コンビニエンスストア及びスーパーマーケット等の小売店の店舗、福祉施設、病院又は体育館等の施設に導入され、顧客90(図6A参照)への物品91の販売を支援する。本開示でいう「販売」とは、売主から買主(顧客90)に物品91の所有権を移転し、これに対する対価(代金)を買主が売主に支払う行為(売買)における売主側の行為を意味する。
本実施形態では、一例として、収容庫システム50、収容庫システム50に含まれる読取システム100、及び読取システム100に含まれるアンテナシステム10が、オフィスに導入され、販売支援に用いられる場合を想定する。販売支援の用途においては、収容庫システム50の収容庫5に収容される物品91は、顧客90に販売される「商品」であって、読取システム100は、商品である物品91に付された電子タグ92から物品情報の読取りを行う。つまり、物品91(商品)に関する物品情報は「商品情報」である。
さらに、本実施形態では、収容庫5が、温度調節の機能を有する設備、特に、冷蔵の機能を有する冷蔵庫(冷蔵ショーケースを含む)である場合を例に説明する。そのため、収容庫5に収容される物品91は、収容庫5内で冷蔵されることになる。以下では、収容庫5に収容されている物品91の一例として、ペットボトル飲料及び缶入り飲料等の飲食品を想定する。
(2.1)収容庫システムの構成
まず、本実施形態に係る収容庫システム50の全体構成について、図1〜図5を参照して説明する。
収容庫システム50は、上述したように、読取システム100と、収容庫5と、を備えている。
収容庫5は、上述したように、冷蔵の機能を有し、ペットボトル飲料等の物品91を複数収容可能な冷蔵庫(冷蔵ショーケースを含む)である。収容庫5は、図2及び図3に示すように、全体として、幅及び奥行に比べて高さが大きい形状、つまり鉛直方向に長い直方体状に形成されている。本実施形態では、収容庫5は、1つ以上の載置台51と、筐体52と、扉体53と、を備えている。
筐体52は、図2及び図3に示すように、ベース部521、屋根部522及び壁部523a,523b,523cを有している。筐体52は、全体としては、前面を開口面とする箱状に形成されており、収容庫5の内部空間Sp1には、筐体52の前面からアクセスが可能である。
ベース部521及び屋根部522は、それぞれ平面視が矩形状であって、幅及び奥行に比べて高さが小さい形状、つまり鉛直方向に短い直方体状に形成されている。ベース部521は、筐体52の下端部を構成し、収容庫5の内部空間Sp1の下方に位置する。屋根部522は、筐体52の上端部を構成し、収容庫5の内部空間Sp1の上方に位置する。
壁部523a,523b,523cは、ベース部521と屋根部522との間において、収容庫5の内部空間Sp1を三方から囲むように配置されている。具体的には、壁部523a及び壁部523bは、左右方向において互いに対向するように配置されている。収容庫5を正面から見て内部空間Sp1の左側に壁部523aが位置し、内部空間Sp1の右側に壁部523bが位置する。壁部523cは、壁部523a,523bの後端部同士を連結するように構成されている。壁部523cは、収容庫5を正面から見て内部空間Sp1の奥に位置する。
ここで、収容庫5は、図3に示すように、内側(内部空間Sp1側)に向けられた内面520を有している。本実施形態では、少なくとも壁部523a,523b,523cのうち、収容庫5の内部空間Sp1に臨む面、つまり収容庫5の内側に向けられた面が、内面520(図3参照)となる。
扉体53は、筐体52の開口面となる筐体52の前面を塞ぐ部材である。扉体53は開閉可能に構成されている。ここで、扉体53は光透過性を有している。さらに、扉体53は電波遮蔽性を有している。つまり、扉体53は、筐体52の前面を常に塞ぐのではなく、筐体52の前面を塞ぐ「閉位置」と、筐体52の前面を開放する「開位置」との間で移動可能(開閉可能)である。本実施形態では、扉体53は、図3に示すように、右開き、つまり右側に開く、開き戸(スイングドア)である。つまり、扉体53は、筐体52の前面の右端部を回転軸として、筐体52に対し回転することによって開閉する。
一例として、扉体53は、フレームと、フレームに嵌め込まれたガラス板と、を有している。扉体53は、ガラス板の表面(収容庫5の外側を向いた面)と裏面(収容庫5の内側を向いた面)との少なくとも一方に、電波遮蔽性を有する遮蔽シートが貼り付けられた構成を採用している。ガラス板及び遮蔽シートはいずれも光透過性を有している。そのため、扉体53が閉じた状態であっても、顧客90においては、扉体53におけるガラス板及び遮蔽シートの両方を通して、収容庫5内を視認可能となる。よって、例えば、顧客90においては、扉体53が閉じた状態で、収容庫5内に収容されている物品91、つまり物品91の在庫状況を確認できる。さらに、収容庫5内に収容されている物品91に値札が付されていれば、扉体53が閉じた状態で、物品91の価格等の情報を顧客90に提示できる。
ここで、収容庫5は、冷蔵の機能を有するので、内部空間Sp1を囲んでいる筐体52及び扉体53に関しては、断熱性を有している。収容庫5において、発熱源ともなるコンプレッサ等の電気装置は、ベース部521又は屋根部522に収容されている。
1つ以上の載置台51は、図4及び図5に示すように、内部空間Sp1において、物品91を載せるための台として機能する。すなわち、収容庫5は、物品91を載せるための載置台51を含んでいる。載置台51は、矩形板状に形成されており、収容庫5の内部空間Sp1を、鉛直方向において複数の領域に区分けするための棚板を構成する。載置台51は、筐体52に取り付けられている。載置台51は、一例として金属製であるが、この例に限らず、例えば樹脂製等であってもよい。載置台51は、板状の部材に限らず、例えば、格子状、はしご状又は網状(金網を含む)の部材であってもよい。図4及び図5では、筐体52及び扉体53の一部(壁部523a,523b,523c等)の図示を省略し、収容庫5の外形を想像線(二点鎖線)で示している。
特に、本実施形態では、収容庫5の内部空間Sp1は、幅及び奥行に比べて高さが大きい形状、つまり鉛直方向に長い直方体状に形成されている。そして、このような内部空間Sp1に物品91を効率的に収容できるよう、収容庫5は、棚板としての載置台51を複数有し、これら載置台51にて、物品91の置き場を、鉛直方向において複数段形成している。本実施形態では、収容庫5は5つの載置台51を備えている。そのため、内部空間Sp1には、鉛直方向に5段に分けて、複数の物品91を収容可能である。以下では、5つの載置台51の各々を区別する場合には、上から順に、1段目、2段目、3段目、4段目、5段目の載置台51、と呼ぶことがある。
このように、本実施形態では、載置台51は、収容庫5の内部空間Sp1を複数の領域に区分けするための仕切部として機能する。本開示でいう「仕切部」は、複数の領域を仕切る構成であればよく、複数の領域を完全に分離(隔絶)する構成に限らず、例えば、複数の領域の境界に配置される、紐、ポール、ロープ、チェーン又は線等であってもよい。
ここにおいて、本実施形態に係る収容庫5においては、内部空間Sp1を複数の領域に区分けするための仕切部(載置台51)の位置が可変である。本実施形態では、仕切部(載置台51)は、鉛直方向において収容庫5の内部空間Sp1を複数の領域に区分けするのであって、仕切部(載置台51)の位置についても、鉛直方向に、可変である。
具体的には、収容庫5は、自在棚又は可動棚と呼ばれる収納棚と同様の方式を採用しており、仕切部(載置台51)の位置を鉛直方向において段階的に変更可能である。すなわち、収容庫5は、その内面520に設置された複数の棚柱54を有しており、仕切部(載置台51)は、これらの棚柱54を用いて筐体52に取り付けられている。棚柱54は、鉛直方向に延びる棒状の部材であって、筐体52に対して固定されている。本実施形態では、収容庫5は4本の棚柱54を有している。2本の棚柱54は、壁部523aの内面520に固定されている。また、別の2本の棚柱54は、壁部523bの内面520に固定されている。壁部523a(又は壁部523b)に固定された2本の棚柱54は、前後方向(奥行方向)に所定の間隔を空けて配置されている。棚柱54は、一例として金属製であるが、この例に限らず、例えば樹脂製等であってもよい。
図5に示すように、各棚柱54は、鉛直方向に直交する断面が、壁部523a(又は壁部523b)に向けて開放された略C字状に形成されている。また、各棚柱54には、複数の取付対象部55が形成されている。各取付対象部55は、本実施形態では、棚柱54を厚み方向に貫通する貫通孔である。これら複数の取付対象部55は、鉛直方向に等間隔で並ぶように配置されている。載置台51は、棚柱54における複数の取付対象部55のいずれかを用いることにより、筐体52に取り付けられる。ここでは、鉛直方向において4本の棚柱54における同じ位置(高さ)に取り付けられる4つのフック511にて、載置台51が支持される。各フック511は、互いに隣接する一対の取付対象部55を用いて、これら一対の取付対象部55に引っ掛けられるように固定される。そして、4つのフック511は、載置台51の四隅に引っ掛かることにより、載置台51を支持する。
この構成では、複数の取付対象部55のうちのいずれの取付対象部55を用いて載置台51(フック511)を取り付けるかによって、筐体52に対する載置台51の位置を変更可能である。例えば、フック511が取り付けられる取付対象部55を、取付対象部55の間隔分だけ下方にずらすことで、載置台51は、取付対象部55の間隔分だけ下方に移動する。同様に、フック511が取り付けられる取付対象部55を、取付対象部55の間隔分だけ上方にずらすことで、載置台51は、取付対象部55の間隔分だけ上方に移動する。
このように、仕切部としての載置台51の位置が、鉛直方向において可変であることにより、例えば、物品91の高さ等に合わせて、載置台51の位置を変更することが可能である。すなわち、載置台51上に載せられる物品91の背が高くなれば、その分、載置台51を下方に移動させればよく、反対に、載置台51上に載せられる物品91の背が低くなれば、その分、載置台51を上方に移動させることができる。
さらには、本実施形態のように、複数の取付対象部55のうちのいずれの取付対象部55を用いて載置台51を取り付けるかによって、載置台51の位置が変更される方式であれば、そもそも筐体52に取り付けられる載置台51の数も変更可能である。すなわち、図4の例では、載置台51は5つであるが、載置台51を追加して6つ以上の載置台51とすることもできるし、載置台51を取り外して4つ以下の載置台51とすることもできる。
次に、上述した構成の収容庫5と共に収容庫システム50を構成する、読取システム100の構成について説明する。
読取システム100は、上述したように、アンテナシステム10と、読取装置4と、を備えている。また、本実施形態に係る読取システム100は、図1に示すように、アンテナシステム10及び読取装置4に加えて、メインコンピュータ101、検知装置102、認証装置103及びユーザインタフェース104を、更に備えている。
アンテナシステム10は、少なくとも1つのアンテナモジュール2と、位置調整部3と、を備えている。アンテナモジュール2は、位置調整部3により、収容庫5に対するアンテナモジュール2の取付位置を変更可能な状態で、収容庫5に取り付けられる。アンテナモジュール2は、電波(読取装置4と電子タグ92との無線通信に媒体として用いられる電波)を受信するアンテナ21(図7参照)を含んでいる。本実施形態では、アンテナ21は、電波の受信だけでなく、電波の送信にも用いられる。
本実施形態では、図4に示すように、アンテナモジュール2は、収容庫5の内部空間Sp1に配置されている。ここで、アンテナモジュール2は、1つの載置台51につき3つずつ設けられている。例えば、1段目の載置台51の上方には、3つのアンテナモジュール2が取り付けられる。1段目の載置台51と2段目の載置台51との間にも、3つのアンテナモジュール2が取り付けられる。
以下では、鉛直方向に並ぶ複数のアンテナモジュール2の各々を区別する場合には、上から順に、1段目、2段目、3段目、4段目、5段目のアンテナモジュール2、と呼ぶことがある。つまり、1段目のアンテナモジュール2は、1段目の載置台51の上方に配置され、2段目のアンテナモジュール2は、1段目の載置台51と2段目の載置台51との間に配置される。1段目のアンテナモジュール2は、主として1段目の載置台51上に載せられた物品91の物品情報を読み取るためのアンテナモジュール2である。2段目のアンテナモジュール2は、主として2段目の載置台51上に載せられた物品91の物品情報を読み取るためのアンテナモジュール2である。
以下では、1つの載置台51に対応する、つまり水平方向に並ぶ3つのアンテナモジュール2を区別する場合には、アンテナモジュール2a,2b,2cと呼ぶことがある。これら3つのアンテナモジュール2a,2b,2cは、載置台51上の物品91を、三方から囲むように配置されている。具体的には、アンテナモジュール2a及びアンテナモジュール2bは、左右方向において互いに対向するように配置されている。収容庫5を正面から見て内部空間Sp1の左側にアンテナモジュール2aが位置し、内部空間Sp1の右側にアンテナモジュール2bが位置する。アンテナモジュール2cは、収容庫5を正面から見て内部空間Sp1の奥に位置する。
位置調整部3を含むアンテナシステム10について詳しくは「(2.3)アンテナモジュールの構成」又は「(2.4)アンテナシステムの構成」の欄で説明する。
読取装置4は、収容庫5に収容されている少なくとも1つの物品91に付された電子タグ92と電波を媒体とする無線通信を行うことにより、物品情報を読み取る装置である。読取装置4は、アンテナモジュール2に含まれているアンテナ21(図7参照)を用いて、電子タグ92と無線通信を行う。
本実施形態では、読取装置4は、RFID(Radio Frequency Identification)システムを構成するリーダである。すなわち、読取装置4は、RFIDシステムにおける電子タグ92との間で、無線通信を行うことにより、電子タグ92に記憶されている物品情報を取得する。
電子タグ92は、例えば、パッシブ型のRF(Radio Frequency)タグであって、少なくとも物品情報を記憶するメモリを有している。ここにおいて、複数の物品91には複数の電子タグ92が一対一で対応付けられている。電子タグ92には、対応する物品91についての物品情報が記憶されており、電子タグ92は、対応する物品91に付されている。
電子タグ92は、物品91と一体に取り扱い可能な状態で物品91に付されていればよく、電子タグ92が物品91に付される具体的な態様としては、様々な態様がある。本実施形態では一例として、電子タグ92はシール状であって物品91に貼り付けられている。その他、電子タグ92は、例えば、紐等で物品91につながっていてもよいし、物品91の梱包材に一体化されていてもよいし、物品91に埋め込まれていてもよいし、物品91に組み込まれていてもよい。さらに、例えば、塗布型半導体等の技術を用いることにより、電子タグ92は、物品91自体、又は物品91の梱包材等の表面に、印刷にて直接的に形成されていてもよい。
読取装置4は、アンテナモジュール2のアンテナ21から電子タグ92に電波を送信し、この電波によって起動された電子タグ92と、電波を通信媒体とする無線通信を行う。本実施形態では、読取装置4は電子タグ92から物品情報を取得するので、読取装置4は、電子タグ92との無線通信の成立時に、少なくとも物品情報を含む情報を電子タグ92から受信する。
メインコンピュータ101は、ハードウェアとしての1以上のプロセッサ及びメモリを主構成とするコンピュータシステムである。このメインコンピュータ101では、メモリに記録されたプログラムを1以上のプロセッサで実行することによって、種々の機能が実現される。プログラムは、メインコンピュータ101のメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能な光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
メインコンピュータ101には、読取装置4、検知装置102、認証装置103及びユーザインタフェース104が接続されている。さらに、メインコンピュータ101は、精算システム6と通信可能に構成されている。精算システム6は、顧客90が購入する物品91についての精算を行うシステムである。本開示でいう「精算」は、売主から買主(顧客90)に物品91の所有権を移転し、これに対する対価(代金)を買主が売主に支払う行為(売買)に必要な、買主側の決済処理を意味する。
本開示において「通信可能」とは、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、情報を授受できることを意味する。すなわち、読取システム100のメインコンピュータ101と精算システム6とは、互いに情報を授受することができる。本実施形態では、精算システム6は、読取システム100及び収容庫システム50の構成要素に含まないこととするが、精算システム6は、読取システム100及び収容庫システム50の構成要素に含まれていてもよい。
これにより、メインコンピュータ101は、読取装置4にて読み取った物品情報に基づいて、精算システム6での精算処理に必要な情報を精算システム6に送信する送信処理等、所定の処理を実行する。さらに、メインコンピュータ101は、検知装置102にて発生する検知信号に基づいて読取装置4を制御したり、認証装置103を制御することで認証処理を実行したりすることが可能である。
検知装置102は、扉体53の開閉状態を検知する。つまり、検知装置102は、扉体53が開いたこと(「開位置」にあること)、及び扉体53が閉じたこと(「閉位置」にあること)を検知可能である。検知装置102は、例えば、リードスイッチ若しくは光学式センサ等の非接触式のセンサ、又はリミットスイッチ等の接触式のセンサ等で実現される。
認証装置103は、顧客90の認証処理を行う装置である。認証装置103は、一例として、指紋認証により顧客90の認証を行う。認証装置103は、指紋認証に代えて、又は指紋認証に加えて、例えば、静脈認証、虹彩認証又は声紋認証等の生体認証を行ってもよい。また、認証装置103は、生体認証に限らず、例えば、顧客90が所持する携帯情報端末(スマートフォン等)、又はクレジットカード等の読み込み等により、認証処理を行ってもよい。
ここで、収容庫5は、認証装置103での認証が正常に完了するまでは、扉体53を閉じた状態でロックするロック機構を更に有している。ロック機構は、検知装置102と一体化されていてもよい。
ユーザインタフェース104は、一例として、顧客90の操作を受け付けることで情報の入力を行い、顧客90に向けて各種の表示を行うことで情報の出力を行う。本実施形態では、ユーザインタフェース104は、タッチパネルディスプレイを有し、タッチパネルディスプレイにて、顧客90による操作の受け付けと、顧客90への情報の表示と、を行う。
本実施形態では、ユーザインタフェース104は、認証装置103と共に、収容庫5の扉体53に固定されている。具体的には、扉体53が閉じた状態で、顧客90により認証装置103での認証及びユーザインタフェース104の操作が可能となるように、ユーザインタフェース104及び認証装置103は、図2に示すように、扉体53の前面に固定されている。
また、ユーザインタフェース104は、例えば、人(顧客90)の接近を検知する人感センサ(一例として、焦電型センサ又は電波センサ等)、及びイメージセンサ(カメラ)等を含んでいてもよい。一例として、ユーザインタフェース104は、イメージセンサで顧客90の顔を撮像することで、顧客90の年齢、性別及び表情等の推定が可能になる。
ところで、本実施形態では、収容庫5は、物品91が収容される空間(内部空間Sp1)を外気から遮蔽している。読取装置4は、収容庫5の外部に配置される。つまり、収容庫5は、気密性を有しており、収容庫5の内部空間Sp1は、収容庫5の外部の空気(外気)から遮蔽されている。ただし、収容庫5は、内部空間Sp1を全方位から覆う構造体を有していればよく、収容庫5の内部空間Sp1が収容庫5の外部から完全に遮蔽されていることは必須ではない。例えば、内部空間Sp1の空気の一部が収容庫5の外部に漏れるような構造の収容庫5であってもよい。
そして、読取装置4は、内部空間Sp1に配置されるのではなく、内部空間Sp1から遮蔽された収容庫5の外部に配置されている。これにより、読取装置4の電子部品等に、収容庫5の内部空間Sp1の環境(温度又はガス等)によるストレスが作用することを抑制しやすくなる。特に、本実施形態では、収容庫5は、冷蔵の機能を有するので、読取装置4の電子部品等に、霜及び露等が付着することを抑制しやすくなる。
具体的には、本実施形態では、読取装置4は、筐体52の上面(屋根部522の上面)上に、メインコンピュータ101と共に配置されている。ここで、収容庫5において、発熱源ともなるコンプレッサ等の電気装置が、ベース部521又は屋根部522に収容されているので、読取装置4及びメインコンピュータ101は、発熱源からの熱の影響を受けにくい配置又は構造であることが好ましい。また、筐体52の上面(屋根部522の上面)上には、例えば、電源装置及び通信機器等の、読取装置4及びメインコンピュータ101以外の装置も適宜配置可能である。
本実施形態では、アンテナモジュール2は、収容庫5の内部空間Sp1に配置されているので、アンテナモジュール2につながるケーブル24(図7参照)は、読取装置4が設置されている筐体52の上面上から、収容庫5の内部空間Sp1に引き込まれる。
(2.2)収容庫システムの使用例
次に、本実施形態に係る収容庫システム50の使用例について、図6A〜図6Cを参照して説明する。
ここでは、ペットボトル飲料等の物品91が複数収容されている収容庫5から、顧客90が、所望の物品91を1つ以上取り出して購入する場合を想定する。すなわち、顧客90は、収容庫5に予め収容されている複数の物品91の中から、いずれか1つ以上の物品91を選択して、購入することになる。また、ここでは、クレジットカード、電子マネー又はプリペイドカード等に固有の決済情報を含む顧客90の情報が、予め精算システム6に登録されている場合を想定する。
まず、収容庫システム50は、図6Aに示すように、認証装置103にて顧客90の認証処理を行う。この状態では、ロック機構により扉体53は閉じた状態でロックされている。顧客90が登録済みであって顧客90の認証処理が正常に完了した場合(つまり認証に成功した場合)、収容庫システム50は、ロック機構による扉体53のロックを解除する。このように扉体53が閉じている状態では、収容庫システム50は、読取装置4による物品情報の読取りを、例えば定期的に実行する。扉体53の開閉状態は、検知装置102にて検知されるので、扉体53が「閉位置」にあることを示す検知信号が検知装置102から出力されている場合には、メインコンピュータ101は、例えば定期的に、読取装置4に物品情報の読取りを行わせる。
その後、図6Bに示すように、顧客90は扉体53を開けて、収容庫5の内部空間Sp1から所望の物品91を取り出す。このとき、顧客90は物品91を1つのみ取り出してもよいし、2つ以上取り出してもよい。さらに、目当ての物品91が無い場合等においては、顧客90は、物品91を取り出さなくてもよい。このように扉体53が開いている状態では、収容庫システム50は、読取装置4による物品情報の読取りを停止させる。つまり、扉体53が「開位置」にあることを示す検知信号が検知装置102から出力されている場合には、メインコンピュータ101は、読取装置4に物品情報の読取りを停止させる。
その後、図6Cに示すように、顧客90は取り出した物品91を手に持ったまま、扉体53を閉じる。扉体53が「開位置」から「閉位置」に移動したことを示す検知信号が検知装置102から出力されると、メインコンピュータ101は、読取装置4に物品情報の読取りを行わせる。このとき、収容庫システム50は、メインコンピュータ101にて、顧客90が収容庫5から取り出した物品91の物品情報を特定する。具体的には、メインコンピュータ101は、顧客90が扉体53を開けて収容庫5の内部空間Sp1にアクセスした前後の時点における、収容庫5内に存在する物品91の差分をとる。
すなわち、メインコンピュータ101は、顧客90が扉体53を開ける前の時点(図6Aの時点)において、読取装置4にて読み取られた物品情報のリストを、第1リストとして読取装置4から取得する。さらに、メインコンピュータ101は、顧客90が扉体53を閉じた後の時点(図6Cの時点)において、読取装置4にて読み取られた物品情報のリストを、第2リストとして読取装置4から取得する。メインコンピュータ101は、このように取得した第1リストと第2リストの差分、つまり第1リストに含まれており第2リストに含まれていない物品情報を求めることで、顧客90が取り出した物品91を特定する。言い換えれば、メインコンピュータ101では、第1リストに物品情報が含まれているが第2リストには物品情報が含まれていない物品91を、顧客90が収容庫5から取り出した購入対象の物品91であると特定する。
購入対象の物品91が特定されると、収容庫システム50は、ユーザインタフェース104に、購入対象の物品91についての情報の一覧である購入リストを含む確認画面を表示する。顧客90は、購入リストを確認し、問題なければ、確認画面の「購入ボタン」を操作する。収容庫システム50は、ユーザインタフェース104にて「購入ボタン」が操作されると、購入対象の物品91の物品情報を、精算システム6に送信する。認証処理において顧客90の特定は完了しているので、精算システム6は、この顧客90の決済情報を使用して、購入対象の物品91の精算処理を実行する。
ここにおいて、読取装置4にて物品情報の読取りを実行する際には、アンテナシステム10に含まれる複数のアンテナモジュール2は同時に使用されるのではなく、アンテナモジュール2が1つずつ順に使用されることが好ましい。一例として、読取装置4は、1段目、2段目、3段目、4段目、5段目のアンテナモジュール2の順で使用して、電子タグ92との無線通信を行う。さらに、読取装置4は、例えば、同一段となる3つのアンテナモジュール2a,2b,2cについては、アンテナモジュール2a、アンテナモジュール2c、アンテナモジュール2bの順で使用して、電子タグ92との無線通信を行う。結果的に、1段目のアンテナモジュール2a、アンテナモジュール2c、アンテナモジュール2b、2段目のアンテナモジュール2a、アンテナモジュール2c、アンテナモジュール2bの順で、無線通信に使用されることになる。
ところで、本実施形態では、収容庫5内における複数の物品91の陳列方法として、複数の物品91において電子タグ92が付された面が上方を向くように、複数の物品91が陳列されている(図3等参照)。言い換えれば、電子タグ92は、物品91の上面に付されている。本実施形態のように、物品91がペットボトル飲料である場合には、ペットボトルのキャップの上面に電子タグ92が貼り付けられる。ただし、収容庫5に収容されている全ての物品91について、電子タグ92が上面に付されていることは、収容庫システム50において必須ではない。つまり、収容庫5に収容されている一部の物品91にあっては、電子タグ92が上面以外の面、例えば、側面又は下面(底面)等に付されていてもよい。
このように電子タグ92が物品91の上面に付される態様は、本実施形態に係る収容庫システム50に限らず、様々な、収容庫システムに採用し得る。すなわち、本実施形態のように、アンテナシステム10が位置調整部3を備える構成に限らず、例えば、アンテナモジュール2が収容庫5の定位置に固定されているような構成であっても、電子タグ92が物品91の上面に付される態様は採用し得る。
(2.3)アンテナモジュールの構成
次に、アンテナモジュール2の構成について、図7を参照して説明する。
アンテナモジュール2は、アンテナ21と、パッケージ22と、を有している。パッケージ22は、アンテナ21を覆っている。
アンテナ21は、電子タグ92との間で、通信媒体となる電波を送受信し、無線通信を行う。すなわち、本実施形態では、アンテナ21は、電子タグ92が付された物品91が収容される、収容庫5の内部空間Sp1に対して電波を送受信する。アンテナ21は、円偏波及び直線偏波のいずれであってもよいが、本実施形態では一例として、円偏波のアンテナにて構成される。アンテナ21は、一例として、プリント配線基板上に導電路が形成されたマイクロストリップアンテナ(パッチアンテナ)である。
パッケージ22は、本実施形態では、背板221と、枠体222と、前板223と、を有している。パッケージ22は、全体としては、背板221及び前板223が対向する方向を厚み方向とする、板状に形成されている。ここでは一例として、背板221は金属製であって、枠体222及び前板223は樹脂製である。枠体222は、略矩形枠状に形成されている。背板221及び前板223は、両者の間に枠体222を挟み込むようにして、枠体222と結合される。これにより、背板221と前板223との対向面間であって、かつ枠体222で囲まれた部位に空間が生じることになる。パッケージ22は、この空間内にアンテナ21を収容することで、アンテナ21を覆っている。つまり、本実施形態におけるパッケージ22は、アンテナ21を収容する薄箱状のケースである。
ここで、アンテナ21は、パッケージ22に対して取り外し可能に取り付けられている。つまり、アンテナ21は、パッケージ22と別体であるので、パッケージ22からアンテナ21を取り外すことが可能である。これにより、例えば、アンテナ21の故障、又はアンテナ21の仕様変更等により、アンテナ21を交換する必要が生じた場合に、パッケージ22は使いまわしつつ、アンテナ21のみを交換することが可能になる。
また、アンテナ21は、ケーブル24により読取装置4に接続されている。パッケージ22は、アンテナ21におけるケーブル24との接続部23を覆う。すなわち、アンテナモジュール2は、パッケージ22から引き出されるケーブル24により読取装置4に接続される。本実施形態では一例として、接続部23は、アンテナ21に固定されたコネクタであって、パッケージ22にアンテナ21と共に収容されている。そして、ケーブル24は、アンテナ21に対して、コネクタ(接続部23)にて取外し可能に接続される。そのため、アンテナモジュール2においては、パッケージ22内に引き込まれたケーブル24を残しつつ、アンテナ21のみを交換することが可能である。
ここで、アンテナ21とパッケージ22との少なくとも一対の対向面間には隙間が設けられる。本実施形態では、パッケージ22のうちの背板221におけるアンテナ21との対向面と、アンテナ21における背板221との対向面と、の間に隙間が設けられる。言い換えれば、アンテナ21は、背板221とは所定の間隔を空けるように、パッケージ22に収容されている。アンテナ21と背板221との間隔は、一例として、3mm以上であることが好ましい。隙間は、空間でなくてもよく、例えば、電気的な絶縁性を有するポッティング樹脂等が、隙間に充填されていてもよい。
また、アンテナモジュール2は、回避部25を有している。回避部25は、アンテナモジュール2が収容庫5に取り付けられた状態で収容庫5内でのアンテナモジュール2と障害物との干渉を回避するための構造である。本開示でいう「障害物」は、例えば、載置台51、フック511及び棚柱54等の、収容庫5の内部空間Sp1に張り出した構造物である。一例として、図5の例では、2段目のアンテナモジュール2aにあっては、1段目の載置台51を支持するためのフック511との干渉を、回避部25にて回避している。これにより、アンテナモジュール2を、極力、上方に取り付けることが可能となる。つまり、例えば、2段目のアンテナモジュール2aにあっては、極力、1段目の載置台51に寄せて取り付けることが可能である。
本実施形態では、アンテナモジュール2を前板223側から見て、左上方及び右上方となる隅部において、その外周面に設けた窪みからなる回避部25が形成されている。言い換えれば、アンテナモジュール2は、回避部25により、左上方及び右上方の両角部を欠いた形状に形成されている。回避部25は、パッケージ22の全体、つまり背板221と枠体222と前板223とにわたって形成されている。ただし、回避部25は、水平方向に並ぶ3つのアンテナモジュール2a,2b,2cのうち、アンテナモジュール2a,2bにのみ設けられており、アンテナモジュール2cには回避部25は無い。
(2.4)アンテナシステムの構成
次に、アンテナシステム10の構成について、図8A〜図11を参照して説明する。
本実施形態では、水平方向に並ぶ3つのアンテナモジュール2a,2b,2cのうち、収容庫5に直接的に取り付けられるのはアンテナモジュール2a,2bのみである。アンテナモジュール2cは、連結部材26(図11参照)にて、アンテナモジュール2a,2bに連結されることによって、収容庫5に間接的に取り付けられる。そこで、以下ではまず、収容庫5に直接的に取り付けられるアンテナモジュール2a,2bについて、図8A〜図9Cを参照して説明し、その後に、アンテナモジュール2cについて図10及び図11を参照して説明する。
ここで、収容庫5への取り付けに関しては、アンテナモジュール2a,2bは共通の構成を採用している。そのため、図8A及び図8Bでは、アンテナモジュール2bのみを図示しているものの、アンテナモジュール2aについても同様の構成が採用されている。また、図9A〜図9Cでは、アンテナモジュール2aのみを図示しているものの、アンテナモジュール2bについても同様の構成が採用されている。
図8A及び図8Bに示すように、アンテナモジュール2は、収容庫5の棚柱54を利用して、収容庫5に取り付けられる。すなわち、本実施形態に係るアンテナシステム10は、収容庫5の仕切部(載置台51)と同様の方式により、収容庫5に対するアンテナモジュール2の取付位置を変更可能に構成されている。そのため、アンテナモジュール2は、壁部523b(又は壁部523a)の内面520に固定されている2本の棚柱54に対して取り付けられる。これにより、収容庫5に対するアンテナモジュール2の取付位置は、鉛直方向において段階的に変更可能となる。要するに、アンテナモジュール2は、冷蔵庫(冷蔵ショーケースを含む)からなる収容庫5に既存のフック形状等を利用して、収容庫5に対する取付位置が調整可能な状態で、収容庫5に取り付けられる。
つまり、アンテナモジュール2は、棚柱54における複数の取付対象部55のいずれかを用いることにより、筐体52に取り付けられる。ここでは、アンテナモジュール2は、鉛直方向において1つの取付対象部55の両側に位置する一対の取付対象部55を用いて、これら一対の取付対象部55に引っ掛けられるように固定される。そのため、これら複数の取付対象部55のうちのいずれの取付対象部55を用いてアンテナモジュール2が取り付けられるかによって、収容庫5に対するアンテナモジュール2の取付位置が変更される。例えば、図8A及び図8Bに示すように、1段目、2段目及び3段目の3つのアンテナモジュール2を収容庫5に取り付ける場合、これらのアンテナモジュール2は、適当な間隔をあけて収容庫5に取り付け可能である。
より詳細には、図9A〜図9Cに示すように、位置調整部3は、収容庫5に対するアンテナモジュール2の取付位置を変更可能な状態で、収容庫5にアンテナモジュール2を取り付ける。本実施形態では、位置調整部3は、アンテナモジュール2に設けられた取付部31を有している。位置調整部3は、収容庫5の内面520に設けられた取付対象部55に対する取付部31の取付位置を変更することにより、収容庫5に対するアンテナモジュール2の取付位置を変更する。図9Bは、図9Aの領域Z1の一部を破断した拡大図である。図9Cは、図9Aの領域Z2の一部を破断した拡大図である。
ここでは、図9Aに示すように、1つのアンテナモジュール2につき、4つの取付部31が設けられている。本実施形態では、これら4つの取付部31は、アンテナモジュール2のパッケージ22と一体化されている。具体的には、各取付部31は、金属板からなる背板221の一部が切り起こされることにより実現されている。これらの取付部31は、載置台51を支持するためのフック511(図5参照)における取付対象部55への取付構造と、基本的には同様の構造を採用している。
以下、鉛直方向に並ぶ2つの取付部31を、上側取付部311、下側取付部312として区別することがある。上側取付部311は、下側取付部312の上方に位置しており、図9Bに示すように、アンテナモジュール2の背板221から突出し、その先端が上方に向けて延びた形状に構成されている。一方、下側取付部312は、上側取付部311の下方に位置しており、図9Cに示すように、アンテナモジュール2の背板221から突出し、その先端が下方に向けて延びた形状に構成されている。つまり、アンテナモジュール2には、水平方向に並ぶ一対の上側取付部311と、水平方向に並ぶ一対の下側取付部312と、が設けられている。
ここで、アンテナモジュール2は、図9A〜図9Cに示すように、取付部31を取付対象部55に引っ掛けることにより収容庫5に取り付けられる。そして、上述したように、収容庫5の内面520には、取付対象部55が複数設けられている。位置調整部3は、複数の取付対象部55のうちのいずれの取付対象部55に取付部31を引っ掛けるかによって、収容庫5に対するアンテナモジュール2の取付位置を変更する。
具体的には、上側取付部311にあっては、取付対象部55に挿入された状態で、棚柱54における取付対象部55の上端縁に引っ掛かることにより、取付対象部55から抜ける向きへの移動が規制される。下側取付部312にあっては、取付対象部55に挿入された状態で、棚柱54における取付対象部55の下端縁に引っ掛かることにより、取付対象部55から抜ける向きへの移動が規制される。そして、アンテナモジュール2に設けられている4つの取付部31が全て収容庫5の取付対象部55に引っ掛かることにより、アンテナモジュール2は収容庫5に取り付けられる。
このように、アンテナモジュール2は、取付部31がいずれかの取付対象部55に引っ掛けられることにより、収容庫5に取り付けられているので、取付部31を引っ掛ける取付対象部55を変更することで、取付位置を変更することができる。つまり、この構成では、複数の取付対象部55のうちのいずれの取付対象部55に取付部31を引っ掛けるかによって、収容庫5に対するアンテナモジュール2の取付位置を変更可能である。例えば、取付部31が取り付けられる取付対象部55を、取付対象部55の間隔分だけ下方にずらすことで、アンテナモジュール2は、取付対象部55の間隔分だけ下方に移動する。同様に、取付部31が取り付けられる取付対象部55を、取付対象部55の間隔分だけ上方にずらすことで、アンテナモジュール2は、取付対象部55の間隔分だけ上方に移動する。
ところで、本実施形態では、上述したように、収容庫5の内部空間Sp1を複数の領域に区分けするための仕切部(載置台51)の位置が可変である。そして、位置調整部3は、仕切部(載置台51)の移動する方向において、アンテナモジュール2の取付位置を変更可能である。すなわち、アンテナモジュール2は、仕切部である載置台51と同様に、収容庫5の棚柱54を利用して収容庫5に取り付けられるので、仕切部の移動する方向において、アンテナモジュール2の取付位置を変更可能である。要するに、アンテナモジュール2の取付位置は、載置台51の移動する方向である鉛直方向において、変更可能である。
そのため、例えば、物品91の高さ等に合わせて、載置台51の位置が変更される場合には、載置台51の移動に合わせて、アンテナモジュール2の取付位置も変更可能である。一例として、1段目の載置台51上に載せられる物品91の背が低くなれば、その分、1段目の載置台51を上方に移動させればよく、その場合に、1段目のアンテナモジュール2についても上方に移動させればよい。
次に、アンテナモジュール2cについて、図10及び図11を参照して説明する。図11では、筐体52及び扉体53の一部(壁部523a,523b,523c等)の図示を省略し、内面520の外形を想像線(二点鎖線)で示している。
上述したように、アンテナモジュール2(アンテナモジュール2c)は、連結部材26にて、アンテナモジュール2a,2bに連結されることによって、収容庫5に間接的に取り付けられる。すなわち、本実施形態では、アンテナモジュール2は複数ある。アンテナシステム10は、複数のアンテナモジュール2同士を連結する連結部材26を更に備えている。取付部31は、連結部材26にて連結された複数のアンテナモジュール2のうちの少なくとも1つのアンテナモジュール2に設けられている。
具体的には、本実施形態では、アンテナモジュール2(アンテナモジュール2c)からは、収容庫5を正面から見て左右方向の両側に向かって、一対の連結部材26が突出している。連結部材26は、アンテナモジュール2(アンテナモジュール2c)の背板221と一体化されており、それ自体が剛性を有している。各連結部材26の先端部には、第1連結片261が設けられている。第1連結片261は、アンテナモジュール2a,2bに設けられている第2連結片262(図7参照)と、例えば、ねじにより結合される。第2連結片262は、アンテナモジュール2a,2bの背板221と一体化されている。アンテナモジュール2(アンテナモジュール2c)から左方に突出する連結部材26の先端部(第1連結片261)には、アンテナモジュール2aが結合される。アンテナモジュール2(アンテナモジュール2c)から右方に突出する連結部材26の先端部(第1連結片261)には、アンテナモジュール2bが結合される。これにより、水平方向に並ぶ3つのアンテナモジュール2a,2b,2cは、全て連結部材26にて連結されることになる。
さらに、連結部材26は、図10に示すように、クランク部263を有している。クランク部263は、収容庫5内において、収容庫5を正面から見て右奥に位置する、ケーブル24及び制御線等を通すダクトとの干渉を避ける形状に形成されている。さらに、収容庫5を正面から見て左側となる連結部材26についても、浅いクランク形状が採用されており、これにより、収容庫5を正面から見て右奥に位置する、冷媒等を通すダクトと連結部材26との干渉を回避する。
また、連結部材26には、ケーブル24を通すためのケーブルダクト27が固定されている。つまり、クランク部263から収容庫5の内部空間Sp1に引き込んだケーブルについても、ケーブルダクト27を通すことで、収容庫5の内部空間Sp1に露出させることなく、アンテナモジュール2a,2cまで引き回すことができる。
ここにおいて、図11に示すように、取付部31は、連結部材26にて連結された複数のアンテナモジュール2a,2b,2cのうちの一部のアンテナモジュール2a,2bのみに設けられている。すなわち、本実施形態では、上述した通り、水平方向に並ぶ3つのアンテナモジュール2a,2b,2cのうち、収容庫5に直接的に取り付けられるのはアンテナモジュール2a,2bのみである。連結部材26にてアンテナモジュール2a,2bと連結されるアンテナモジュール2cは、アンテナモジュール2a,2bを介して、収容庫5に間接的に取り付けられる。要するに、取付部31は、回避部25と同様に、3つのアンテナモジュール2a,2b,2cのうち、アンテナモジュール2a,2bにのみ設けられており、アンテナモジュール2cには取付部31は無い。
(2.5)アンテナ設置方法
次に、上述したアンテナモジュール2の設置方法(アンテナ設置方法)について、図12のフローチャートを参照して説明する。ここでは、作業者が、アンテナモジュール2を設置する作業を行う場合の一例を示す。作業者は、収容庫システム50を供給する者であってもよいし、収容庫システム50の利用者であってもよい。
作業者は、まずは収容庫5内の適当な位置に、アンテナモジュール2を取り付ける(S1)。このとき、基本的には、収容庫5内の載置台51の位置に合わせて、アンテナモジュール2の取付位置が決定される。作業者は、水平方向に並ぶ3つのアンテナモジュール2a,2b,2cについては、予め連結部材26にて連結した状態で、アンテナモジュール2の取り付けを行うことが好ましい。
その後、載置台51を移動させることがなければ(S2:No)、アンテナモジュール2の取付位置の変更等は行わない。一方、例えば、収容庫5に収容する物品91(商品)の入替え等により、載置台51を移動させることがあると(S2:Yes)、作業者は、アンテナモジュール2の取付位置の変更を行う。すなわち、作業者は、まずアンテナモジュール2を収容庫5から取り外す(S3)。そして、載置台51の移動方向が上方か否かに応じて(S4)、アンテナモジュール2の取付位置を決定する。
例えば、載置台51の移動方向が上方であれば(S4:Yes)、作業者は、載置台51を上方に移動させつつ、アンテナモジュール2を元の位置(取り外す前の位置)よりも上方に取り付ける(S5)。つまり、作業者は、アンテナモジュール2を、載置台51と共に上方に移動させる。一方、載置台51の移動方向が下方であれば(S4:No)、作業者は、載置台51を下方に移動させつつ、アンテナモジュール2を元の位置(取り外す前の位置)よりも下方に取り付ける(S6)。つまり、作業者は、アンテナモジュール2を、載置台51と共に下方に移動させる。
作業者は、上記一連の処理S1〜S6を繰り返し行う。要するに、本実施形態に係るアンテナ設置方法は、読取装置4に用いられ、電波を受信するアンテナ21を含む少なくとも1つのアンテナモジュール2の設置方法である。読取装置4は、収容庫5に収容されている少なくとも1つの物品91に付された電子タグ92と電波を媒体とする無線通信を行うことにより物品情報を読み取る。このアンテナ設置方法は、収容庫5に対するアンテナモジュール2の取付位置を変更可能な状態で、収容庫5にアンテナモジュール2を取り付ける工程(S1,S5,S6)を含む。
ここで、アンテナモジュール2を収容庫5に取り付ける際(S1,S5,S6)には、まず上側取付部311を取付対象部55に引っ掛けて、その後に下側取付部312を取付対象部55に引っ掛けるように、アンテナモジュール2を操作すればよい。つまり、作業者は、上側取付部311を取付対象部55に引っ掛けた後、アンテナモジュール2を下方にスライドさせながら、下側取付部312を取付対象部55に引っ掛けるようにアンテナモジュール2を操作する。
アンテナモジュール2を収容庫5から取り外す際(S3)には、まず取付対象部55に対する下側取付部312の引っ掛かりを解除し、その後に取付対象部55に対する上側取付部311の引っ掛かりを解除するように、アンテナモジュール2を操作すればよい。つまり、作業者は、アンテナモジュール2を上方にスライドさせながら、取付対象部55に対する下側取付部312の引っ掛かりを解除した後、取付対象部55に対する上側取付部311の引っ掛かりを解除するようにアンテナモジュール2を操作する。
上述したようなアンテナ設置方法によれば、収容庫5に対するアンテナモジュール2の取付位置を、特殊な技能を必要とすることもなく、比較的容易に変更可能である。さらに、上述したようなアンテナ設置方法によれば、例えば、既存の冷蔵庫を収容庫5として、読取システム100を導入すること等も可能である。すなわち、既存の収容庫5に対して、アンテナモジュール2を後付けすることにより、アンテナシステム10を容易に導入することができる。
勿論、アンテナモジュール2は後付けに限らず、例えば、工場出荷時から既にアンテナモジュール2が取り付けられている、アンテナモジュール2付きの収容庫5に、本実施形態に係るアンテナシステム10が適用されてもよい。
(3)変形例
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
本開示における読取システム100及び収容庫システム50は、例えば、メインコンピュータ101等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における読取システム100及び収容庫システム50としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
また、読取システム100又は収容庫システム50における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは読取システム100又は収容庫システム50に必須の構成ではない。読取システム100又は収容庫システム50の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、読取システム100又は収容庫システム50の少なくとも一部の機能は、例えば、サーバ装置及びクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。反対に、実施形態1において、複数の装置に分散されている読取システム100又は収容庫システム50の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。
ところで、位置調整部3の構成についても、実施形態1で示した構成は一例に過ぎず、適宜変更可能である。例えば、実施形態1では、取付対象部55が貫通孔であって、取付部31が取付対象部55に挿入される形状であったが、両者の関係が逆であってもよい。すなわち、取付部31が貫通孔であって、取付対象部55が取付部31に挿入されることにより、取付部31が取付対象部55に引っ掛かってもよい。
このような取付部31を取付対象部55に引っ掛ける態様以外にも、アンテナモジュール2の取付態様としては、例えば、磁力、静電気力又は粘着力を用いた態様、ねじ及びナット等の締結具を用いた態様、及び吸盤等の空気圧を用いた態様等がある。例えば、磁力を用いた態様であれば、アンテナモジュール2の背板221に永久磁石を付加することにより実現可能である。この場合、収容庫5の壁部523a,523b,523cを鉄板等の磁性材料で構成することで、アンテナモジュール2は、永久磁石の磁力で収容庫5の内面520の任意の位置に取り付け可能となる。その他にも、収容庫5の内面520にスライドレールを設け、取付部31がスライドレール上をスライド移動するような構成であってもよい。
位置調整部3によってアンテナモジュール2の取付位置が変更される方向についても、鉛直方向に限らず、例えば、水平方向であってもよい。一例として、収容庫5が、上面が開口面となる開放型の冷蔵庫等であれば、収容庫5における側壁の上端に、フックにて引っ掛けるような構成により、アンテナモジュール2を収容庫5に取り付ければよい。この場合、収容庫5における側壁に対して、フックを引っ掛ける位置を水平方向に移動させることで、アンテナモジュール2の取付位置が水平方向に変更可能である。
また、読取システム100及び収容庫システム50は、オフィスに限らず、例えば、工場、駅、学校、コンビニエンスストア及びスーパーマーケット等の小売店の店舗、福祉施設、病院又は体育館等の施設に導入されてもよい。さらに、読取システム100及び収容庫システム50は、屋内に限らず、屋外に設置されてもよい。
また、収容庫5に収容される物品91は、ペットボトル飲料及び缶入り飲料に限らず、例えば、紙パック入り飲料、ペットボトル入り調味料、箱入り菓子及び袋入り菓子等の飲食品であってもよい。さらに、物品91は、飲食品に限らず、プリンタ用インクカートリッジ等の日用品、その他の物品であってもよい。
また、扉体53は、開き戸(スイングドア)に限らず、例えば、引き戸(スライドドア)であってもよい。さらに、扉体53は、ガラス製に限らず、例えば、樹脂製等であってもよい。扉体53が光透過性を有することも、アンテナシステム10に必須の構成ではなく、扉体53は、光透過性を有さなくてもよい。
また、回避部25は、アンテナモジュール2が収容庫5に取り付けられた状態で収容庫5内でのアンテナモジュール2と障害物との干渉を回避するための構造であればよく、実施形態1で例示した形状に限らない。例えば、回避部25は、アンテナモジュール2を厚み方向に貫通する貫通孔であってもよいし、アンテナモジュール2の4辺のうちのいずれかの辺の中央部に設けられた窪み等であってもよい。
また、ユーザインタフェース104は、タッチパネルディスプレイに限らず、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、メカニカルなスイッチ、又はジェスチャセンサ等の入力装置を有していてもよい。さらに、ユーザインタフェース104は、例えば、プロジェクションマッピング技術により映像を投影するプロジェクタ等の表示装置を含んでいてもよい。また、ユーザインタフェース104は、タッチパネルディスプレイに代えて、又はタッチパネルディスプレイと共に、音声入出力部を有していてもよい。この場合、ユーザインタフェース104は、スピーカから出力される音声により、顧客90に向けて各種の情報を提示することが可能である。さらに、ユーザインタフェース104は、マイクロホンから出力された音声信号に対して音声認識及び意味解析の処理を施すことで、顧客90においては音声による操作(音声入力)も可能になる。
また、読取装置4は、収容庫5の外部に配置されていればよく、筐体52の上面(屋根部522の上面)上に限らず、例えば、筐体52のベース部521に収容されていてもよい。さらに、読取装置4は、収容庫5の内部(内部空間Sp1)に配置されていてもよい。
また、アンテナモジュール2のパッケージ22は、アンテナ21を覆う構成であればよく、薄箱状のケースに限らない。例えば、パッケージ22は、パウチ、袋又は封止樹脂等で実現されてもよい。
また、アンテナ21は、マイクロストリップアンテナに限らず、例えば、モノポールアンテナ、逆F形アンテナ又はスロットアンテナ等であってもよい。アンテナ21は、円偏波に限らず、例えば、楕円偏波又は直線偏波等のアンテナであってもよい。
また、取付対象部55は、棚柱54に設けられる構成に限らず、収容庫5の内面520に直接的に設けられていてもよい。例えば、取付対象部55が貫通孔である場合には、取付対象部55としての貫通孔は、棚柱54ではなく、収容庫5の内面520に直接的に形成されるこの場合、取付部31は、内面520に形成された貫通孔(取付対象部55)に引っ掛かることになる。取付部31を取付対象部55に引っ掛ける態様以外であっても同様に、取付対象部55は、収容庫5の内面520に直接的に設けられていてもよい。
また、連結部材26は、水平方向に並ぶ複数のアンテナモジュール2同士を連結する構成に代えて、又は加えて、鉛直方向に並ぶ複数のアンテナモジュール2同士を連結する構成を採用してもよい。例えば、1段目のアンテナモジュール2と2段目のアンテナモジュール2とが連結部材26で連結される場合、1段目のアンテナモジュール2が収容庫5に取り付けられるだけで、2段目のアンテナモジュール2も収容庫5に間接的に取り付けられる。
また、電子タグ92は、パッシブ型のRFタグに限らず、アクティブ型のRFタグであってもよい。読取装置4は、画像認識等の手段と電子タグ92から読み取った情報とを組み合わせて、物品情報の読み取りを行ってもよい。
また、メインコンピュータ101が精算システム6と通信可能であることは、読取システム100及び収容庫システム50に必須の構成ではなく、メインコンピュータ101が精算システム6と通信可能でなくてもよい。例えば、メインコンピュータ101自体に、物品情報に基づいて物品91についての精算処理を行う機能があってもよい。
また、読取システム100及び収容庫システム50は、物品91に付された電子タグ92に対して書込情報の書き込みを行う書込装置を更に備えていてもよい。具体的には、電子タグ92を対象にしてデータ(情報)の読み取り及び書き込みが可能なリーダライタからなる読取装置4が、書込装置に兼用されてもよい。書込装置は、一例として、電子タグ92が付された物品91についての期限管理等の情報を電子タグ92に書き込む。
また、収容庫5におけるコンプレッサ等の電気装置は、ベース部521又は屋根部522に収容される構成に限らず、筐体52とは別の筐体に収容されていてもよい。
また、接続部23は、コネクタに限らず、例えば、アンテナ21におけるプリント配線板にケーブル24が直接的に接続される場合には、プリント配線板におけるケーブル24との接続点が接続部23となる。この場合でも、パッケージ22は、アンテナ21におけるケーブル24との接続部23を覆うことが好ましい。また、接続部23は、例えば、ケーブル24が接続される端子台等であってもよい。
(実施形態2)
本実施形態に係る読取システム100A及び収容庫システム50Aは、図13に示すように、メインコンピュータ101が在庫管理システム6Aと通信可能に構成されている点で、実施形態1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施形態では、読取システム100A及び収容庫システム50Aは、販売支援ではなく、例えば、物品91の棚卸管理及び検品等に使用される。ここで、収容庫システム50Aは、冷蔵ショーケースではなく、在庫保管用の冷蔵庫からなる収容庫5Aを備えている。このような在庫保管用の収容庫5A(冷蔵庫)においても、収容している物品91の個数等を管理することは必要である。本実施形態に係る読取システム100Aでは、認証装置103(図1参照)及びユーザインタフェース104(図1参照)が省略されている。アンテナシステム10Aは、収容庫5Aに取り付けられる複数のアンテナモジュール2を備えている。
本実施形態においても、メインコンピュータ101は、扉体53が開閉された前後の時点における、収容庫5内に存在する物品91の差分をとる。すなわち、メインコンピュータ101は、扉体53が開く前の時点において、読取装置4にて読み取られた物品情報のリストを、第1リストとして読取装置4から取得する。さらに、メインコンピュータ101は、扉体53が閉じた後の時点において、読取装置4にて読み取られた物品情報のリストを、第2リストとして読取装置4から取得する。メインコンピュータ101は、このように取得した第1リストと第2リストの差分を求めることで、収容庫5から取り出された物品91を特定する。さらに、メインコンピュータ101は、同様の処理で、収容庫5に追加された物品91の特定も可能である。例えば、販売支援の用途であっても、作業者が、商品としての物品91を補充した場合に、補充した物品91の特定が可能である。
実施形態2で説明した種々の構成は、実施形態1で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
(4)まとめ
以上説明したように、第1の態様に係るアンテナシステム(10,10A)は、少なくとも1つのアンテナモジュール(2)と、位置調整部(3)と、を備える。アンテナモジュール(2)は、読取装置(4)に用いられ、電波を受信するアンテナ(21)を含む。読取装置(4)は、収容庫(5,5A)に収容されている少なくとも1つの物品(91)に付された電子タグ(92)と電波を媒体とする無線通信を行うことにより、物品情報を読み取る。位置調整部(3)は、収容庫(5,5A)に対するアンテナモジュール(2)の取付位置を変更可能な状態で、収容庫(5,5A)にアンテナモジュール(2)を取り付ける。
この態様によれば、少なくとも1つのアンテナモジュール(2)は、物品情報の読取対象となる物品(91)が収容された収容庫(5,5A)に対して、その取付位置を変更可能な状態で、位置調整部(3)により取り付けられる。したがって、アンテナシステム(10,10A)によれば、例えば、収容庫(5,5A)内における、物品(91)の個数、及び物品(91)の並び方等の、物品(91)の陳列状態に合わせて、アンテナモジュール(2)の取付位置を調整することができる。結果的に、アンテナシステム(10,10A)においては、より多様な物品(91)の陳列状態に対応可能となる。
第2の態様に係るアンテナシステム(10,10A)では、第1の態様において、収容庫(5,5A)の内部空間(Sp1)を複数の領域に区分けするための仕切部(載置台51)の位置が可変である。位置調整部(3)は、仕切部の移動する方向において、アンテナモジュール(2)の取付位置を変更可能である。
この態様によれば、仕切部の位置に合わせて、アンテナモジュール(2)の取付位置を変更することができる。したがって、仕切部で区分けされる複数の領域に収容された複数の物品(91)に対しても、アンテナモジュール(2)の取付位置を適切に変更できる。
第3の態様に係るアンテナシステム(10,10A)では、第1又は2の態様において、アンテナモジュール(2)は、アンテナ(21)と、アンテナ(21)を覆うパッケージ(22)と、を有する。
この態様によれば、アンテナ(21)がパッケージ(22)に保護されるので、アンテナ(21)の損傷等を抑制できる。
第4の態様に係るアンテナシステム(10,10A)では、第3の態様において、アンテナ(21)は、パッケージ(22)に対して取り外し可能に取り付けられている。
この態様によれば、例えば、アンテナ(21)の故障、又はアンテナ(21)の仕様変更等により、アンテナ(21)を交換する必要が生じた場合に、パッケージ(22)は使いまわしつつ、アンテナ(21)のみを交換することが可能になる。
第5の態様に係るアンテナシステム(10,10A)では、第3又は4の態様において、アンテナ(21)は、ケーブル(24)により読取装置(4)に接続されている。パッケージ(22)は、アンテナ(21)におけるケーブル(24)との接続部(23)を覆う。
この態様によれば、アンテナ(21)におけるケーブル(24)との接続部(23)についても、パッケージ(22)にて保護されるので、接続部(23)の損傷等を抑制できる。
第6の態様に係るアンテナシステム(10,10A)では、第3〜5のいずれかの態様において、アンテナ(21)とパッケージ(22)との少なくとも一対の対向面間には隙間が設けられる。
この態様によれば、アンテナ(21)とパッケージ(22)との間における電波の干渉を抑制できる。
第7の態様に係るアンテナシステム(10,10A)では、第1〜6のいずれかの態様において、位置調整部(3)は、アンテナモジュール(2)に設けられた取付部(31)を有する。位置調整部(3)は、収容庫(5,5A)の内面(520)に設けられた取付対象部(55)に対する取付部(31)の取付位置を変更することにより、収容庫(5,5A)に対するアンテナモジュール(2)の取付位置を変更する。
この態様によれば、アンテナモジュール(2)に設けられた取付部(31)を、収容庫(5,5A)の内面(520)に設けられた取付対象部(55)に取り付けるだけで、アンテナモジュール(2)の取付位置を調整できる。
第8の態様に係るアンテナシステム(10,10A)では、第7の態様において、アンテナモジュール(2)は、取付部(31)を取付対象部(55)に引っ掛けることにより収容庫(5,5A)に取り付けられる。収容庫(5,5A)の内面(520)には、取付対象部(55)が複数設けられている。位置調整部(3)は、複数の取付対象部(55)のうちのいずれの取付対象部(55)に取付部(31)を引っ掛けるかによって、収容庫(5,5A)に対するアンテナモジュール(2)の取付位置を変更する。
この態様によれば、アンテナモジュール(2)に設けられた取付部(31)を、収容庫(5,5A)の内面(520)に設けられた複数の取付対象部(55)のいずれに引っ掛けるかにより、アンテナモジュール(2)の取付位置を調整できる。したがって、アンテナモジュール(2)の取付位置の変更が比較的容易になる。
第9の態様に係るアンテナシステム(10,10A)では、第7又は8の態様において、アンテナモジュール(2)は複数ある。アンテナシステム(10,10A)は、複数のアンテナモジュール(2)同士を連結する連結部材(26)を更に備える。取付部(31)は、連結部材(26)にて連結された複数のアンテナモジュール(2)のうちの少なくとも1つのアンテナモジュール(2)に設けられている。
この態様によれば、複数のアンテナモジュール(2)同士が連結部材(26)にて連結されるので、複数のアンテナモジュール(2)間の位置決めが比較的容易になる。
第10の態様に係るアンテナシステム(10,10A)では、第9の態様において、取付部(31)は、連結部材(26)にて連結された複数のアンテナモジュール(2)のうちの一部のアンテナモジュール(2)のみに設けられている。
この態様によれば、連結部材(26)にて連結された複数のアンテナモジュール(2)のうちの一部のアンテナモジュール(2)を除いて、取付部(31)が不要であるので、収容庫(5,5A)への複数のアンテナモジュール(2)の取付構造が簡単になる。
第11の態様に係るアンテナシステム(10,10A)では、第1〜10のいずれかの態様において、アンテナモジュール(2)は、収容庫(5,5A)に取り付けられた状態で収容庫(5,5A)内での障害物との干渉を回避するための回避部(25)を有する。
この態様によれば、アンテナモジュール(2)が収容庫(5,5A)に取り付けられた状態で、収容庫(5,5A)内でのアンテナモジュール(2)と障害物との干渉を回避しやすくなる。
第12の態様に係るアンテナシステム(10,10A)では、第1〜11のいずれかの態様において、収容庫(5,5A)は、物品(91)が収容される空間を外気から遮蔽している。読取装置(4)は、収容庫(5,5A)の外部に配置される。
この態様によれば、読取装置(4)の電子部品等に、収容庫(5,5A)の内部空間(Sp1)の環境によるストレスが作用することを抑制しやすくなる。
第13の態様に係るアンテナシステム(10,10A)では、第1〜12のいずれかの態様において、電子タグ(92)は、物品(91)の上面に付されている。
この態様によれば、収容庫(5,5A)に複数の物品(91)が並べて収容される場合でも、電子タグ(92)とアンテナモジュール(2)との間に、他の物品(91)が介在しにくくなる。そのため、電子タグ(92)が物品(91)の影となることによる、電波の受信レベルの低下を抑制しやすくなる。
第14の態様に係るアンテナシステム(10,10A)では、第1〜13のいずれかの態様において、収容庫(5,5A)は、物品(91)を載せるための載置台(51)を含む。
この態様によれば、収容庫(5,5A)内に物品(91)を効率的に配置できる。
第15の態様に係るアンテナシステム(10,10A)では、第1〜14のいずれかの態様において、収容庫(5,5A)は、光透過性を有し、かつ開閉可能な扉体(53)を備えている。扉体(53)は、電波遮蔽性を有している。
この態様によれば、扉体(53)を通して収容庫(5,5A)の内部を視認可能としながらも、収容庫(5,5A)からの電波の漏洩を抑制することができる。
第16の態様に係る読取システム(100,100A)は、第1〜15のいずれかの態様に係るアンテナシステム(10,10A)と、読取装置(4)と、を備える。
この態様によれば、少なくとも1つのアンテナモジュール(2)は、物品情報の読取対象となる物品(91)が収容された収容庫(5,5A)に対して、その取付位置を変更可能な状態で、位置調整部(3)により取り付けられる。したがって、読取システム(100,100A)によれば、例えば、収容庫(5,5A)内における、物品(91)の個数、及び物品(91)の並び方等の、物品(91)の陳列状態に合わせて、アンテナモジュール(2)の取付位置を調整することができる。結果的に、読取システム(100,100A)においては、より多様な物品(91)の陳列状態に対応可能となる。
第17の態様に係る収容庫システム(50,50A)は、第16の態様に係る読取システム(100,100A)と、収容庫(5,5A)と、を備える。
この態様によれば、少なくとも1つのアンテナモジュール(2)は、物品情報の読取対象となる物品(91)が収容された収容庫(5,5A)に対して、その取付位置を変更可能な状態で、位置調整部(3)により取り付けられる。したがって、収容庫システム(50,50A)によれば、例えば、収容庫(5,5A)内における、物品(91)の個数、及び物品(91)の並び方等の、物品(91)の陳列状態に合わせて、アンテナモジュール(2)の取付位置を調整することができる。結果的に、収容庫システム(50,50A)においては、より多様な物品(91)の陳列状態に対応可能となる。
第18の態様に係るアンテナ設置方法は、少なくとも1つのアンテナモジュール(2)の設置方法である。アンテナモジュール(2)は、読取装置(4)に用いられ、電波を受信するアンテナ(21)を含む。読取装置(4)は、収容庫(5,5A)に収容されている少なくとも1つの物品(91)に付された電子タグ(92)と電波を媒体とする無線通信を行うことにより、物品情報を読み取る。アンテナ設置方法は、収容庫(5,5A)に対するアンテナモジュール(2)の取付位置を変更可能な状態で、収容庫(5,5A)にアンテナモジュール(2)を取り付ける工程を含む。
この態様によれば、少なくとも1つのアンテナモジュール(2)は、物品情報の読取対象となる物品(91)が収容された収容庫(5,5A)に対して、その取付位置を変更可能な状態で取り付けられる。したがって、アンテナ設置方法によれば、例えば、収容庫(5,5A)内における、物品(91)の個数、及び物品(91)の並び方等の、物品(91)の陳列状態に合わせて、アンテナモジュール(2)の取付位置を調整することができる。結果的に、アンテナ設置方法においては、より多様な物品(91)の陳列状態に対応可能となる。
上記態様に限らず、実施形態1及び実施形態2に係るアンテナシステム(10,10A)の種々の態様(変形例を含む)は、アンテナ設置方法にて具現化可能である。
第2〜15の態様に係る構成については、アンテナシステム(10,10A)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
ところで、第13の態様に係るアンテナシステム(10,10A)の構成は、第1の態様の構成を必須とすることなく、それ単独でも適用可能である。
すなわち、第19の態様に係る物品(91)の陳列方法は、電子タグ(92)が、物品(91)の上面に付された状態で、物品(91)を陳列する方法である。
この態様によれば、収容庫(5,5A)等に複数の物品(91)が並べて収容される場合でも、電子タグ(92)とアンテナモジュール(2)との間に、他の物品(91)が介在しにくくなる。そのため、電子タグ(92)が物品(91)の影となることによる、電波の受信レベルの低下を抑制しやすくなる。
また、第2〜12,14,15の態様に係る構成については、第19の態様に係る陳列方法と組み合わせて適用可能である。