JP2020071338A - 加熱定着装置および画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】レーザー光源を用いた加熱装置において、紙しわを抑制すること。【解決手段】透明フィルムの弾性層の厚みが長手中央部より端部の方が厚い。【選択図】図2

Description

本発明は、複合機、複写機、プリンタ、ファックス等の記録材上に画像形成可能な電子写真方式の加熱定着装置、および画像形成装置に関する。
複写機、プリンタ等の画像形成装置において、トナー像にレーザー光を照射すると同時に加圧を行い、記録媒体上にトナー像を定着させる方式が知られている。
特許文献1で提案されている定着装置では、光源から発射されたレーザー光が回転可能な透明部材と対向部材との接触域に集光され、記録媒体上のトナー像を集光したレーザー光と圧力によって定着される構成が示されている。
特開2016−48303号公報
特許文献1で提案されている定着装置では、透明な定着フィルムと金属の対向ローラでニップを形成する構成となっている。
このような構成の場合、対向ローラは弾性変形しないので、定着フィルムの変形によりニップが形成される。したがって、定着フィルムの弾性層が長手方向に対してほぼ同じ厚みである場合、ニップ幅は長手方向にほぼフラットになる。
用紙搬送を安定させるには、中央より端部のニップが幅広であることが望ましく、中央より端部の紙搬送を速くすることで紙しわを抑制することができる。
しかし、長手方向にフラットなニップ幅分布では紙しわが発生しやすいという課題がある。
上記の課題を解決するために、本発明に係る定着装置は、
少なくとも一部の波長領域の赤外線を透過性する定着フィルムと、
前記定着フィルムの外周面に接触して周方向に回転することにより前記定着フィルムとの間に記録媒体を挟んで搬送する対向ローラと、
定着フィルムと対向ローラとの間の接触域内に向けてレーザー光を照射するレーザー光照射装置と、
レーザー光照射装置から照射され定着フィルムを透過したレーザー光を集光するレンズ部材と、
前記レンズ部材を支持する支持部材と、
を有する定着装置において、
前記対向ローラは弾性層を有さないハードローラであり、前記定着フィルムの長手中央部に対応する位置における厚みをAmm、長手端部に対応する位置における厚みをBmmとしたときに、B−Aが0.05mm以上で有ることを特徴とする。
本発明に係る定着装置によれば、定着フィルムの弾性層を中央より端部を厚くし、ニップ幅が中央より端部が幅広となることにより、用紙の搬送速度が中央より端部が速くなり、安定した紙搬送を実現し、紙しわを抑制することができる。
本実施例における画像形成装置の模式図 本実施例における定着装置の断面図 本実施例におけるレーザー光照射装置の断面図 本実施例における定着フィルムユニットの断面図 本実施例における定着フィルムの断面図 本実施例における対向ローラの断面図 本実施例における圧と弾性層厚とニップ幅の関係図 本実施例における定着フィルムの長手概略図
図面を参照しながら、発明を実施するための形態を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[画像形成装置]
図1は、本実施形態の画像形成装置の模式図である。一例であるカラー電子写真プリンタの断面図であり、シートの搬送方向に沿った断面図である。本実施形態では、カラー電子写真プリンタを単に「プリンタ」という。
図1に示すプリンタは、Y(イエロ)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)の各色の画像形成部10を備えている。感光ドラム11は、帯電器12によってあらかじめ帯電される。その後、感光ドラム11は、レーザスキャナ13によって、潜像を形成されている。潜像は、現像器14によってトナー像になる。感光ドラム11のトナー像は、一次転写ブレード17によって、像担持体である例えば中間転写ベルト31に順次転写される。転写後、感光ドラム11に残ったトナーは、クリーナ15によって除去される。この結果、感光ドラム11の表面は、清浄になり、次の画像形成に備える。
一方、シートPは、給紙カセット20、又はマルチ給紙トレイ25から、1枚ずつ送り出されてレジストローラ対23に送り込まれる。レジストローラ対23は、シートPを一旦受け止めて、シートが斜行している場合、真っ直ぐに直す。そして、レジストローラ対23は、中間転写ベルト31上のトナー像と同期を取って、シートを中間転写ベルト31と二次転写ローラ35との間に送り込む。中間転写ベルト上のカラーのトナー像は、転写体である例えば二次転写ローラ35によってシートPに転写される。その後、シートのトナー像は、シートが定着装置40によって、加熱加圧されることでシートに定着される。
[定着装置]
図2は定着装置40の概略図である。定着装置40は、レーザー照射部50と定着フィルムユニット60と、対向ローラ70とから成る。
<レーザー光照射部>
図3はレーザー光照射部50の概略図である。
レーザー光源51から照射されたレーザー光はコリメートレンズ52を透過し、平行なレーザー光53として定着フィルムユニット60に入射する。
レーザー光源51は波長が600nm以上1000nm以下の赤外線レーザー光を発する光源で、半導体レーザーや固体レーザー等の光源である。
赤外線レーザー光の照射強度としては、例えば、定着ニップ部において50mW/cm以上100mW/cm以下となる強度が挙げられる。また未定着トナー像Tへの赤外線照射量としては、例えば、200mJ/cm以上5000mJ/cm以下が挙げられる。
<定着フィルムユニット>
図4に示すように、定着フィルムユニット60は定着フィルム61、レンズ部材66、支持部材65から構成される。レンズ部材66は、支持部材65によって、定着フィルム61内で支持されている。
図5は定着フィルム61の断面を示した図である。
定着フィルム61は基材62と弾性層63と表層64とから成る3層構造になっている。
定着フィルム61は、レーザー光の波長域において、透過率が高いことが望ましく、90%以上が望ましい。
基材61はPIやPEEK等の強度の強い樹脂材料である。定着フィルムの強度の観点から60〜100um程度の厚みが望ましい。また、レーザー光の波長域において95%以上の透過率が望ましい。
弾性層62はシリコーンゴムから形成されている。シリコーンゴムの種類として、LSR、HTVシリコーンゴム、RTVシリコーンゴムなどを弾性層として用いることができる。
弾性層62の厚みは、画質の観点からはなるべく厚い方が良くなる一方、透過率の観点からはなるべく薄い方が良い。具体的には、弾性層の厚さは300〜600um程度が好ましい。
弾性層62の塗膜方法としてはリングコートやスプレーコートを用いることができる。たとえばリングコートの場合、リングの移動スピードを変えることにより、任意の厚みで弾性層を形成することができる。また、1本の定着フィルムに対する塗布工程内において、リングの移動スピードを変えることにより、長手方向の弾性層厚を変えることも可能である。
弾性層の弾性率は、耐久性を満足する範囲内でなるべく柔らかい方がよく、0.3〜0.8MPa程度が好ましい。レーザー加熱定着の場合、弾性層に熱伝導フィラーを入れて熱伝導率を上げる必要がないため、熱圧定着方式に比べて耐久性を損なうことなく柔らかいゴムを使用することができる。
弾性層の透過率は、照射されるレーザー光の波長域において、95%以上であることが望ましい。
表層63はPFAやPTFE等のフッ素樹脂により形成されている。表層の摩耗による耐久性を満足する範囲の厚さが20〜80um程度の厚みが望ましい。また、レーザー光の波長域において95%以上の透過率が望ましい。
レンズ部材66は、PMMAなどの耐熱性能ある光学用の透明な樹脂を用いることができる。また、レンズ部材66は、レーザー光を透過させると共に、透過方向に向かって集光するようになっている。
支持部材65はステンレス鋼等の金属材料を用いて成型されている。
<対向ローラ>
図6は対向ローラ70の構造を示したものである。対向ローラ70は、中空の芯金72と、その外面を覆う表層71とから成る。
芯金72はSUSや炭素鋼等の材料から構成される。表層71はPFAやPTFEのコーティングまたはチューブから構成される。
対向ローラは不図示の加圧機構から所定の荷重で定着フィルムに対して押圧し、定着フィルム61と定着ニップを形成する。
<定着装置の動作>
定着装置40の動作について図2および図4を用いて説明する。
図2に示す定着装置40では、プリント動作を開始すると、対向ローラ70に駆動力が与えられ、定着フィルム61が従動回転する。
トナーが載ったメディアが定着装置40に運ばれてくると、定着ニップに突入する手前でレーザー照射装置50からレーザーが照射される。レーザー光は定着フィルムユニット60に入射し、レンズ部材66を透過後、定着ニップ部に集光される。
本定着装置は余熱の必要がないため、レーザー照射を開始するタイミングは定着ニップ突入の直前で良いが、レーザー照射装置の応答性などを考慮し、適宜マージンを設けると良い。
定着ニップに突入したメディア上のトナーはレーザー光により加熱されると共に、定着ニップNにおいて加圧されてメディア上に定着される。
<ニップ幅>
次に、本発明の特徴である定着フィルムの弾性層厚とニップ幅の関係について述べる。
本加熱装置では、対向ローラが金属のハードローラであるため、ニップを形成するのは定着フィルムの弾性層の変形によるものである。そこで、圧および定着フィルム弾性層の厚みを変えて、ニップ幅の変化を実験した。
定着フィルムは、表層が厚さ30μm、ヤング率100MPaのPFAチューブ、弾性層がヤング率を0.3MPaのシリコーンゴムとし、厚みは400μmと500μmの2つの定着フィルムについて実験を行った。
また、対向ローラは長手長さを340mmとし、荷重を240N〜510Nの範囲で変えてニップ幅の変化を見た。
図7は線圧とニップ幅の関係を示した図である。例えば定着フィルム弾性層厚みが400μmで、線圧1.0N/mmの場合のニップ幅は2.9mmであった。
レーザー加熱方式の場合、トナーの加熱は数msで完了するため、加熱のためのニップ幅はそれほど必要としない。トナーを十分に加圧変形させるために必要な時間からニップ幅を決めれば良い。
図7を見て分かることとして、ニップ幅への圧の感度がやや小さいことが挙げられる。例えばニップ幅を2.9mmから3.2mmに広げようとした場合(約1割増)、圧を上げることにより実現しようとすると1.5倍の圧をかけなければならず、耐久性や画像への影響が大きい。
このことから、本発明ではニップ幅の長手分布を所定の値に設定するために、圧を変えるのではなく弾性層の厚みを変えることを特徴としている。
<紙しわ実験>
本発明の効果を示すために、定着装置に通紙実験を行い、紙しわの発生有無について評価を行った。また、
実験の条件は、500mm/secのプロセス速度で、坪量64g/mのA3サイズ普通紙を通紙した場合について示している。トナー載り量1.0[mg/cm]の全面ブルー画像を5枚連続通紙して、紙しわの発生の有無を評価した。なお、実験条件によっては、紙しわではなく、後端がはねることによる画像不良も見られたため(以降後端はねと呼ぶ)、紙しわと同時に後端はねの評価結果についても言及する。
評価は○、△、×の3段評価で行い、5枚すべてで紙しわ(または後端はね)が発生しなかった場合は「○」、5枚中1枚紙しわ(または後端はね)が発生した場合は「△」、それ以外の場合を「×」とした。
紙しわの評価は室温30℃、湿度80%の環境下で行った。
この環境下で評価を行った理由は、紙の吸湿度が高いほど紙のこしが弱くなるため紙しわが発生しやすくなるからである。
このような条件下のもと、定着フィルムの弾性層厚みを変えて、紙しわの評価を行った。厚みは長手均一に変えるのではなく、本発明の特徴である長手中央と端部について独立に変えて実験を行った。
図8は定着フィルムの長手方向を示した図である。中央部をA、端部をBとし、それぞれの位置における弾性層の厚みをAmmおよびBmmとする。
表1に評価を行った定着フィルムに対して紙しわの評価結果をまとめたものである。
本実験は、長手長さ340mm、総荷重340Nで行った(線圧1.0N/mm)。その他の条件はニップ幅測定実験と同じで、定着フィルムの弾性層厚みを変えて紙しわの評価を行っている。
比較例1は、定着フィルムの弾性層の厚みが400μmで長手方向に均一な厚みの場合である。定着フィルムの弾性層の厚みが長手方向に対して均一であるため、ニップ幅は中央2.9mmに対して端部2.9mmとなり、ほぼ長手にフラットなニップ幅であった。
この時、紙しわの評価結果は、5枚中5枚とも発生し、「×」の評価となった。
比較例2は、定着フィルムの弾性層の厚みが中央400μmに対し、端部を440μmとした場合である。
この場合のニップ幅は、中央2.9mmに対して端部は3.0mmとなり、やや端部が幅広のニップ幅分布となった。
この時、紙しわの評価結果は、5枚中1枚に紙しわが発生し、「△」の評価となった。端部のニップ幅を広くしたことで紙しわの抑制効果が出たが、不十分であった。
次に、本発明を実施した場合の実施例1について述べる。
定着フィルムの弾性層の厚みが中央400μmに対し、端部の厚みを480μmとした定着フィルムを用いて紙しわの評価を行った。この時ニップ幅は、中央2.9mmに対して端部が3.2mmとなった。
紙しわの評価結果は、5枚中5枚とも紙しわが発生せず、「○」の評価となった。このように、定着フィルムの弾性層を中央より端部を2割ほど厚くし、ニップ幅を中央に対し端部のニップ幅を1割ほど広く設定することで、安定した紙搬送が実現し、紙しわが抑制された。端部のニップ幅を中央より広くすることにより、紙がニップ通過中に紙幅方向に引っ張る力が働き、紙しわを抑制できる。
ここで、端部の弾性層を厚くしすぎた場合について述べる。
比較例3は、定着フィルムの弾性層の厚みが中央400μmに対し、端部を600μmとした場合である。この場合、ニップ幅は中央が2.9mmに対し、端部が3.6mmであった。この時、紙しわは発生しなかったが、後端はねによる画像不良が発生した。
端部のニップ幅を中央より広くすることにより、紙がニップ通過中に紙幅方向に引っ張られることにより、ニップ上流側において、紙に負荷がかかり、紙幅方向の両端が持ち上げられたことによる。
このように、後端はねが発生しない範囲で、定着フィルムの弾性層厚を、中央に対して端部を厚くすることで、紙しわの発生を抑えた良好な紙搬送性を実現することができる。
<その他の解決手段について>
本レーザー装置では、対向ローラに弾性層がないため、ニップ幅を長手で変えるためには定着フィルムの弾性層で実現する他には、長手で線圧の分布を変えることが挙げられる。
しかし、実施例1のように端部のニップ幅を1割幅広にするためには、図7に示したように、中央に対して端部の線圧を1.5倍にする必要がある。
表2は比較例4として弾性層厚ではなく、端部の線圧を上げることにより端部のニップ幅を広くした場合についての紙しわ評価結果を示したものである。
比較例4では、紙しわは発生せず「○」の結果だったが、中央に対して端部の光沢が高くなるという不良画像が見られた。
このように端部の圧を極端上げる紙しわ対策は、画像性と紙しわ抑制の両立の観点からは不適当な手段である。
<画像性について>
本発明で提案した定着フィルムは、長手方向において弾性層の厚みが異なるため、伝熱性や柔軟性が長手方向で異なる。
熱圧定着の場合、弾性層の厚みに分布があると、厚い部分は熱が伝わりにくく、薄い部分は熱が伝わりにくい、という伝熱量のむらが生じる。したがって、伝熱量のむらによって定着不良が生じたり、濃度むら、光沢むらが生じたりするおそれがある。
しかし、レーザー加熱方式の場合、レーザー光のほとんどは弾性層を透過するので、伝熱量のむらはほとんど生じない。
定着フィルムの柔軟性については、一番弾性層の薄い中央部について、必要な柔軟性を満足するように弾性層の弾性率および厚みを設定すれば良い。
このように、本発明の定着フィルムは、熱圧定着方式においては伝熱性における弊害が起こり得るが、レーザー加熱方式においてはほとんど弊害のないものである。
このように、本レーザー加熱方式の定着装置において、定着フィルムの弾性層厚を中央より端部を厚くすることにより、紙しわの発生を効果的に抑制することができる。
10 画像形成部、11 感光ドラム、12 帯電器、13 レーザスキャナ、
14 現像器、15 クリーナ、17 一次転写ブレード、20 給紙カセット、
25 マルチ給紙トレイ、23 レジストローラ対、31 中間転写ベルト、
35 二次転写ローラ、40 定着装置、50 レーザー光照射装置、
60 定着フィルムユニット、61 定着フィルム、65 支持部材、
66 レンズ部材、70 対向ローラ

Claims (1)

  1. 少なくとも一部の波長領域の赤外線を透過性する定着フィルムと、
    前記定着フィルムの外周面に接触して周方向に回転することにより前記定着フィルムとの間に記録媒体を挟んで搬送する対向ローラと、
    定着フィルムと対向ローラとの間の接触域内に向けてレーザー光を照射する複数のレーザー光照射装置と、
    レーザー光照射装置から照射され、定着フィルムを透過したレーザー光を集光するレンズ部材と、
    前記レンズ部材を支持する支持部材と、
    を有する定着装置において、
    前記対向ローラは弾性層を有さないハードローラであり、前記定着フィルムの長手中央部に対応する位置における厚みをAμm、長手端部に対応する位置における厚みをBμmとしたときに、B−Aが50μm以上かつ、B/Aが1.2以上1.5以下であることを特徴とする定着装置。
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