JP2020070226A - コンクリート用粗骨材 - Google Patents
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Abstract
【課題】コンクリートの圧縮強度だけでなく引張強度を向上させることができ、かつ生産性よく安価に得られる粗骨材を提供する。【解決手段】コンクリート用粗骨材は、金属製で、所定長の柱状体の両端部が潰れ、該両端部のそれぞれから中央部に向かって厚みが大きくなっている形状を有し、例えば略四面体形状の粗骨材10A、略四面体同士が1つの辺13で結合している形状の粗骨材10D、平面視において外郭線から中央部に向かって凹んだ2以上の凹部と該凹部に対する凸部、又は中央部14から外郭線L1に向かって突出した2以上の凸部16を有し、これら凸部16の先端部が同一平面にあり、中央部14の厚さが凹部15の端部又は凸部16の端部の厚さに比して厚い形状を有する粗骨材10Eとする。【選択図】図1
Description
本発明は、コンクリート用粗骨材、その製造方法及びそれを用いたコンクリートに関する。
コンクリートは、通常、セメントに、水と粗骨材(砕石や砂利)と細骨材(砂)とを混合して得た混合物(いわゆる生コンクリート)を、水とセメントとの水和反応に基づいて全体を固化させたものであり、建築資材として非常に高い圧縮強度を示すという利点を有するが、引張強度が圧縮強度の1/10〜1/13であり、圧縮強度よりも非常に低いという欠点を有している。
この様な欠点を補うため、コンクリート中に縦横マトリックス状に組んだ鉄筋を配設することが一般的であるが、近年では、生コンクリート中にプロピレン繊維(特許文献1)や、有機繊維や異形鋼繊維等の強化繊維を含有させること(特許文献2)、イガ栗型に製造した粗骨材を使用すること(特許文献3)、3次元的に放射状に脚部を突出させた粗骨材を使用すること(特許文献4)等が提案されている。
しかしながら、生コンクリートに強化繊維を混入させた場合、強化繊維が全体に均一に分散されずに凝集することがあり、コンクリート構造物の各種強度が場所により相違するため、相対的に強度の弱い箇所に応力が集中し、コンクリートにクラックが発生しやすくなるという問題があった。また、強化繊維は従来のコンクリートの一般的な必須構成要素ではないため、その使用により、コンクリートの必須構成成分の配合の調整や、コンクリート特性の調整が難しくなることが懸念される。
そこで、コンクリートの必須構成要素以外の繊維で強化するのではなく、コンクリートの必須構成要素の1つである粗骨材として、コンクリートの圧縮強度だけでなく引張強度も向上させることのできるものが求められている。
一方、粗骨材は、コンクリートの配合成分の35〜45vol%程度を占めるので、建築資材として生産性よく安価に得られることが必要となるが、特許文献3、4等に記載されているイガ栗型や3次元的に放射状に脚部を突出させた形状の粗骨材は製造に手間がかかって生産性に劣り、安価に得ることができない。
本発明は、以上の従来の技術の問題点に対し、コンクリートの圧縮強度だけでなく引張強度も向上させることができる粗骨材を生産性よく安価に提供することを課題とする。
本発明者は、従来の粗骨材と同様の大きさの金属製の粗骨材であって、その両端部又は中央部にアンカー部として機能する特定形状を設けることにより上述の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、金属製のコンクリート用粗骨材であって、所定長の柱状体の両端部が潰れ、該両端部のそれぞれから中央部に向かって厚みが大きくなっている形状を有するコンクリート用粗骨材を提供し、特に、この粗骨材が、
筒体の両端部が互い違いに閉じた形状を有する態様、
略四面体形状を有する態様、
略四面体同士が1つの辺で結合している形状を有する態様、
平面視において外郭線から中央部に向かって凹んだ2以上の凹部と該凹部に対する凸部、又は中央部から外郭線に向かって突出した2以上の凸部を有し、これら凸部の先端部が同一平面にあり、中央部の厚さが凹部の端部又は凸部の端部の厚さに比して厚い形状を有する態様、
これらの粗骨材からワイヤーが突出している態様を提供する。
筒体の両端部が互い違いに閉じた形状を有する態様、
略四面体形状を有する態様、
略四面体同士が1つの辺で結合している形状を有する態様、
平面視において外郭線から中央部に向かって凹んだ2以上の凹部と該凹部に対する凸部、又は中央部から外郭線に向かって突出した2以上の凸部を有し、これら凸部の先端部が同一平面にあり、中央部の厚さが凹部の端部又は凸部の端部の厚さに比して厚い形状を有する態様、
これらの粗骨材からワイヤーが突出している態様を提供する。
また、金属製のコンクリート用粗骨材の製造方法であって、長尺の柱状体にプレス加工で塑性変形又は押し切りを行い、所定長の柱状体の両端部が潰れ、該両端部のそれぞれから中央部に向かって厚みが大きくなっている形状を形成するコンクリート用粗骨材の製造方法を提供する。
また、本発明は、少なくともセメント、細骨材、及び上述のコンクリート用粗骨材を含有するコンクリートを提供する。
更に、本発明は、コンクリート用粗骨材が上述の形状を有する磁性体である場合に、該粗骨材をを含有するプレキャストコンクリート製品の搬送方法であって、電磁石を作動させてプレキャストコンクリート製品を引きつけ、そのまま所定の場所に搬送し、電磁石を解除してプレキャストコンクリート製品を所定の場所に設置する搬送方法を提供する。
本発明の金属製のコンクリート用粗骨材は、その両端部又は中央部にアンカー部として機能する特定の形状を有しているので、コンクリートに負荷された引張力に対し、粗骨材が移動し難くなり、粗骨材とモルタルとの界面でマイクロクラックが発生することを抑制することが可能となる。このため、従前の砕石、砂利等の粗骨材に比してコンクリートの圧縮強度を同等以上に向上させることができ、かつ引張強度を格段と向上させることができる。
また、両端部又は中央部にアンカー部として機能する形状を有する上述のコンクリート用粗骨材は、イガ栗型や3次元的に放射状に脚部が突出している従来の粗骨材に比して形状が単純であり、金属のプレス加工等により生産性よく安価に製造することができる。
加えて、本発明の金属製のコンクリート用粗骨材が強磁性体であると、該粗骨材を含有するプレキャストコンクリート製品を電磁石を用いて容易に搬送することが可能となり、建造物等における設置が容易となる。
本発明のコンクリート用粗骨材は、従来の粗骨材と同程度の大きさに形成できるので、生コンクリートにミキシングされた場合に、コンクリートミキサーから打設場所へポンプ圧送も可能となる。
以下、本発明のコンクリート用粗骨材を図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要素を表す。
(粗骨材の概要)
本発明のコンクリート用粗骨材は、両端部又は中央部にアンカー部として機能する特定の形状を有している。そのためコンクリートの圧縮強度を従前の砕石、砂利等の粗骨材と同等以上に高め、引張強度については従前の粗骨材よりも顕著に向上させることを可能とする。即ち、土木、建築工事に使用される通常の配合設計のコンクリートの圧縮強度(JIS A 1108)は20〜30N/mm2であり、割裂引張強度(JIS A 1113)は圧縮強度の1/10〜1/13程度と低く、高強度コンクリートの場合はその比がさらに小さくなるが、本発明のコンクリート粗骨材によれば、割裂引張強度を圧縮強度の1/10よりも大きくすることができ、通常の配合設計にした場合には引張強度を3N/mm2よりも大きく、好ましくは4N/mm2より大きくすることが可能となる。
本発明のコンクリート用粗骨材は、両端部又は中央部にアンカー部として機能する特定の形状を有している。そのためコンクリートの圧縮強度を従前の砕石、砂利等の粗骨材と同等以上に高め、引張強度については従前の粗骨材よりも顕著に向上させることを可能とする。即ち、土木、建築工事に使用される通常の配合設計のコンクリートの圧縮強度(JIS A 1108)は20〜30N/mm2であり、割裂引張強度(JIS A 1113)は圧縮強度の1/10〜1/13程度と低く、高強度コンクリートの場合はその比がさらに小さくなるが、本発明のコンクリート粗骨材によれば、割裂引張強度を圧縮強度の1/10よりも大きくすることができ、通常の配合設計にした場合には引張強度を3N/mm2よりも大きく、好ましくは4N/mm2より大きくすることが可能となる。
(粗骨材の大きさ)
粗骨材の大きさは、それが配合された生コンクリートのポンプ圧送を可能とするために、従来の粗骨材である砂利や砕石と同程度の大きさにすることができる。具体的には、JIS A 5308に規定される粒度と粒形の範囲とすることが好ましく、通常、粒子径5mm〜25mmの範囲とし長手方向の長さは20〜50mm程度の大きさとすることが好ましい。
粗骨材の大きさは、それが配合された生コンクリートのポンプ圧送を可能とするために、従来の粗骨材である砂利や砕石と同程度の大きさにすることができる。具体的には、JIS A 5308に規定される粒度と粒形の範囲とすることが好ましく、通常、粒子径5mm〜25mmの範囲とし長手方向の長さは20〜50mm程度の大きさとすることが好ましい。
(粗骨材の形状)
本発明の粗骨材は、所定長の柱状体の両端部が潰れ、該両端部のそれぞれから中央部に向かって厚みが大きくなっている。この形状により粗骨材の両端部又は中央部をアンカー部として機能させることができる。ここで、柱状体は中空でも中実でもよく、柱状体の外形は角柱でも円柱でもよい。
本発明の粗骨材は、所定長の柱状体の両端部が潰れ、該両端部のそれぞれから中央部に向かって厚みが大きくなっている。この形状により粗骨材の両端部又は中央部をアンカー部として機能させることができる。ここで、柱状体は中空でも中実でもよく、柱状体の外形は角柱でも円柱でもよい。
このような形状を有する粗骨材の例としては、例えば、図1に示すコンクリート用粗骨材10Aをあげることができる。このコンクリート用粗骨材10Aは筒体の両方の端部11a、11bが互い違いに閉じ、その端部11a、11bから粗骨材の中央部に向かって粗骨材の厚さが徐々に大きくなっている形状を有し、粗骨材全体が略四面体形状となっている。この粗骨材10Aでは、端部11a、11bがアンカー部A1、A2として機能する。即ち、このような形状であると、図2に示すように、点線矢印方向B1に引張力が負荷されると、アンカー部A1が、上面視では他端に比べて幅広になっているため、コンクリート用粗骨材10Aが点線矢印方向B1にズレ難くなり、コンクリートにクラックが生ずることを抑制すること(アンカー効果)が可能となる。また、図3に示すように、点線矢印方向B2に引張力が生ずると、アンカー部A2が、側面視では他端に比べて幅広になっているため、コンクリート用粗骨材10Aが点線矢印方向B2にズレ難くなり、コンクリートにクラックが生ずることを抑制することが可能となる。
なお、図1〜3では、本発明のコンクリート用粗骨材10Aの長手方向に引張力が負荷される場合を説明したが、長手方向のみならず長手方向に対して交わる方向へ引張力が負荷される場合にも同様のアンカー効果が生じる。
また、図1では、コンクリート用粗骨材10Aの略四面体形状のアンカー部A1とA2とを結んでいる辺13aが折り目のように表されているが、図4に示すコンクリート用粗骨材10Bのように側面18が連続した曲面で構成されてもよい。
このようなコンクリート用粗骨材10A、10Bは中実で長尺の金属製柱状体又は中空で長尺のパイプ状の金属製柱状体に、プレス加工で塑性変形及び押し切りを行い、所定長にすることで生産性よく安価に製造することができる。
本発明のコンクリート用粗骨材は、中空部を有していることが好ましい。中空部が存在すると、コンクリート用粗骨材の比重を軽くすることができるため、コンクリートの軽量化が可能となる。また、コンクリート用粗骨材の中空部の容積割合を調整することにより比重調整が可能となり、生コンクリートにおけるコンクリート用粗骨材の分散性を向上させることが可能となる。したがって、比重調整の点では、図4に示した外形のコンクリート用粗骨材10Bを、中実の棒状の金属製柱状体から形成した中実の粗骨材とするよりも、パイプ状の金属製柱状体から形成した中空部を有する粗骨材とすることが好ましい。また、コンクリート用粗骨材10Bをパイプ状の金属製柱状体から形成する場合に、その両端部11a、11bの潰れた部分において粗骨材の内側が外側と完全に遮断されていてもよく、粗骨材の内側と外側が連通していてもよい。中空の粗骨材の内側と外側が連通した態様として、図5に示すように、中空の粗骨材10Cの側面に孔12を設けても良い。この孔12は、粗骨材10Cの外側から中空部へ僅かにモルタルが侵入するような程度の大きさが好ましい。中空部に侵入したモルタルもアンカー効果を発揮する。
一方、粗骨材を中実にすることにより、圧縮強度を向上させることができ、高強度、超高強度コンクリート用の粗骨材として好ましいものとなる。
本発明のコンクリート用粗骨材の外形としては、図6に示す粗骨材10Dのように、略四面体同士が1つの辺13bで結合している形状としてもよい。この粗骨材10Dでは、長手方向の中央部にアンカー部A3が形成されることになり、コンクリート用粗骨材10Dのアンカー効果がより強化することが期待される。なお、アンカー部A3の両側の四面体をそれぞれ中空とした場合に、これらの中空部同士はアンカー部A3で連通してもよく、遮断されていてもよい。
図7A及び図7Bに示す粗骨材10Eのように、平面視において外郭線L1から中央部14に向かって凹んだ2以上の凹部15と該凹部15に対する凸部16、又は中央部14から外郭線に向かって突出した2以上の凸部16を有し、これら凸部16の先端部が同一平面にあり、中央部14の厚さが凹部15の端部又は凸部16の端部の厚さに比して厚い形状としてもよい。より具体的には、このコンクリート用粗骨材10Eは、図7Bに示す平面視において、放射状に配置された合計4つの凸部16と、隣り合う凸部16の間に形成された合計4つの凹部15を有する。ここで、外郭線L1とは、凸部16又は凸角の頂点を順次結んで形成される輪郭線をいう。
また、図7Cに示すA矢視図、即ち、凹部3側から見た側面図に示すように、この粗骨材10Eは、中央部14の厚さT1が凹部15の両側の端部15a又は凸部16の端部16aの厚さT2よりも厚くなっている。より具体的には、中央部14から凹部15の両方の端部15aにかけて(即ち、凸部16の端部16aにかけて)厚さが漸次薄くなっている。したがって、コンクリート内で粗骨材10Eを厚さの薄い端部15a、16aの方向(図7Cの上向き又は下向きの矢印方向)に移動させる力がかかっても、厚さの厚い中央部14がアンカー部として機能し、粗骨材10Eの移動を妨げる。よって、コンクリートのモルタル部分と粗骨材との付着力が高くなり、コンクリートにクラックが入りにくくなり、引張強度や曲げ強度が向上する。
図7Aに示した態様においても、上述と同様にコンクリート用粗骨材は中空でも中実でもよい。
図7Aに示したコンクリート用粗骨材10Eの製造方法は、その形成材料に応じて選択することができ、例えば、鋼材等の金属材料から形成する場合、板状、棒状、パイプ状等の金属材料を押し切り、成形するプレス加工をあげることがきる。
図8に示したコンクリート用粗骨材10Fは、図7Aに示したコンクリート用粗骨材10Eと同様に、放射状に配置された合計4つの凸部16と、隣り合う凸部16の間に形成された合計4つの凹部15を有し、中央部14の厚さが凹部15の両側の端部15a又は凸部16の端部16aの厚さよりも厚く、アンカー部として機能する。この中央部14の厚さの程度は図7Aに示したコンクリート用粗骨材10Eより厚く、中央部14は中空に形成されている。また、中央部14から凸部の先端部16aにかけて、放射状にリブ17が形成されている。リブ17の形成により、粗骨材10Fの圧縮や変形に対する強度を高めることができる。
図8に示したコンクリート用粗骨材10Fは、2枚の金属板をそれぞれプレス成形し、接合することにより製造することができる。したがって、この粗骨材10Eはこれらのプレス成形物の繋ぎ目L2を有している。
図9A〜図9Dに示したコンクリート用粗骨材10Gも、上述の粗骨材10E、10Fと同様に、放射状に配置された合計4つの凸部16と、隣り合う凸部16の間に形成された合計4つの凹部15を有し、中央部14の厚さが凹部15の両側の端部15a又は凸部16の端部16aの厚さよりも厚くなっている。また、粗骨材10Gは中空に形成されている。
このコンクリート用粗骨材10Gは、図10に示すように、金属パイプ1をプレス加工により所定間隔で押し切ることにより、金属パイプ1の両端の開口部2が閉じた矩形状の小片3とし、それを4つの側辺側から押し込み、凹部15を形成することにより製造することができる。
平面視において複数の凸部16の先端部が同一平面にあり、中央部14の厚さが凹部15の端部又は凸部16の先端部の厚さに比して厚い態様の本発明のコンクリート用粗骨材はさらに種々の形状をとることができ、複数の凸部又は凹部を有する限り、それらの数に特に制限はない。例えば、図11に示すコンクリート用粗骨材10Hのように、凹部15と凸部16をそれぞれ5つずつ有していてもよく、さらに凸部16又は凹部15の数を増やしてもよい。
一方、図12A及び図12Bに示すコンクリート用粗骨材10Iのように平面視で2つの凹部15と4つの凸部16を有する形状としてもよく、図13A及び図13Bに示すコンクリート用粗骨材10Jのように平面視で2つの凸部16を有する形状としてもよい。このように凹部15又は凸部16の数を減らすと個々のコンクリート用粗骨材がコンクリート内で移動しにくい方向は限定的になるが、多数のコンクリート用粗骨材がコンクリート内でランダムに分散していると、いずれの方向にも引張強度等の強度が向上する。
図7A〜図13Bに示した粗骨材10E〜10Jにおいても、その内部を中空にしても中実にしてもよく、中空にした場合には、粗骨材とモルタルとの密着性を向上させるために、例えば、図14A及び図14Bに示すコンクリート用粗骨材10Kのように、その表面と中空の内部とを連通させる孔12を設けてもよい。このような孔12を複数有する粗骨材は、例えばパンチングメッシュを用いて容易に製造することができる。
(粗骨材の形成素材)
本発明のコンクリート用粗骨材は、様々な金属材料から形成することができ、例えば、鉄、アルミニウム、チタン、銅、ステンレススチール等から形成することができる。また、金属製の粗骨材の耐腐食性を向上させるために、表面や必要に応じて中空部内面に各種プラスチックのコーティング被膜を形成してもよく、その金属材料の酸化物皮膜を形成してもよい。これらは公知の手法で形成することができる
本発明のコンクリート用粗骨材は、様々な金属材料から形成することができ、例えば、鉄、アルミニウム、チタン、銅、ステンレススチール等から形成することができる。また、金属製の粗骨材の耐腐食性を向上させるために、表面や必要に応じて中空部内面に各種プラスチックのコーティング被膜を形成してもよく、その金属材料の酸化物皮膜を形成してもよい。これらは公知の手法で形成することができる
特に、本発明のコンクリート用粗骨材は、鉄などの磁性体から形成することが好ましい。これにより、コンクリート用粗骨材自体や、コンクリート用粗骨材を含む各種コンクリート製品を、電磁石を利用して搬送することができる。また、各種コンクリート製品の製造時に、電磁石を利用して、コンクリート内におけるコンクリート用粗骨材の存在位置をコントロールすることができる。例えば、弱い曲げ強度を示す領域にコンクリート用粗骨材の存在量を他の領域よりも多くすることができる。
(粗骨材の表面の粗化)
本発明のコンクリート用粗骨材は、上述したいずれの形状においても、粗骨材とモルタルとの密着性を向上させるため、その表面の一部又は全部を粗に形成してもよい。表面を粗に形成する手法としては、柱状体からプレス加工により粗骨材を製造する際に、さらにプレス加工を行い粗骨材の表面に押し跡をつけてもよく、コンクリート粗骨材の材質等に応じて、例えば、研磨用砂を吹き付けて表面を荒らすサンドブラスト法、研磨回転体を接触させて表面を荒らすグラインダー粗研磨法、薬品で表面を荒らす化学粗研磨法、電気分解により表面を荒らす電解粗研磨法等を適用することができる。また、細骨材を含有するモルタルを表面に付着させるモルタル付着法(この場合、表面を微細なラスで予め被覆しておくことが好ましい)、無機粒子や有機粒子を樹脂製の接着材料と共に付着させて表面を荒らす粒子付着法、各種溶接のスパッタ現象により生じる溶融金属滴を粗骨材を構成する金属の表面に付着させ、該表面を金属粒で荒らすスパッタ法等を採用することができる。
本発明のコンクリート用粗骨材は、上述したいずれの形状においても、粗骨材とモルタルとの密着性を向上させるため、その表面の一部又は全部を粗に形成してもよい。表面を粗に形成する手法としては、柱状体からプレス加工により粗骨材を製造する際に、さらにプレス加工を行い粗骨材の表面に押し跡をつけてもよく、コンクリート粗骨材の材質等に応じて、例えば、研磨用砂を吹き付けて表面を荒らすサンドブラスト法、研磨回転体を接触させて表面を荒らすグラインダー粗研磨法、薬品で表面を荒らす化学粗研磨法、電気分解により表面を荒らす電解粗研磨法等を適用することができる。また、細骨材を含有するモルタルを表面に付着させるモルタル付着法(この場合、表面を微細なラスで予め被覆しておくことが好ましい)、無機粒子や有機粒子を樹脂製の接着材料と共に付着させて表面を荒らす粒子付着法、各種溶接のスパッタ現象により生じる溶融金属滴を粗骨材を構成する金属の表面に付着させ、該表面を金属粒で荒らすスパッタ法等を採用することができる。
中でも、粗骨材を構成する金属の表面に、電極を用いてアーク放電を行うことにより該電極から生じる溶融金属滴を付着させるスパッタ法を行うことが好ましい。これにより、粗骨材には、例えば図15に示すように、溶融金属滴の付着により表面全体に多数の金属粒Qが溶着する。そして、このように表面全体に金属粒Qが溶着した粗骨材を使用したコンクリートは、引張強度が飛躍的に向上する。また、アーク放電によりこのような金属粒Qを粗骨材の表面に溶着させることは高い生産性で安価に行うことができる。
なお、溶融金属滴の付着による金属粒Qを粗骨材の表面全体に形成するにあたり、粗骨材の形状としては、長手方向の両端部又は中央部にアンカー部を有していることが好ましいが、そのようなアンカー部がなくても、表面全体に金属粒Qを有する粗骨材は実用的にはコンクリート中でズレにくくなり、従前の砕石、砂利等の粗骨材に比してコンクリートにクラックが生ずることを抑制することが可能となる。
アーク放電を行うスパッタ法で粗骨材の表面に溶融金属滴を付着させる場合の具体的な方法としては、アーク放電を行う前に、粗骨材を構成する金属を予め所定形状に製造し、その後アーク放電を行う方法とすることができる。この場合の所定形状としては、例えば、上述の中空の四面体形状、又は四面体同士が1つの辺で結合した形状等をあげることができ、粗骨材を構成する金属を予め所定形状に製造する工程としては、金属パイプに所定間隔(例えば、20〜50mm)をあけて互いにずれた方向からプレス加工で塑性変形又は押し切りを行うことにより略四面体又は略四面体同士が1つの辺で結合した形状を製造する工程をあげることができる。ここで、所定間隔をあけたプレス加工部分の向きは、45度から90度ずらすことが好ましい。
この場合のアーク放電は、例えば、図28に示すように、断面U字型の炉31の壁面にマイナス電極を接続し、上部の電極板32にもマイナス電極を接続し、内部にプラスの電極棒33を設置し、炉31に粗骨材を構成する金属30を入れ、炉31を矢印のように揺動させながら、電極棒33と電極板32でスパークさせ、電極棒33が溶融金属滴34を、粗骨材を構成する金属30に付着させることにより行う。このとき炉31を加熱することが好ましい。また、断面U字型の炉31に代えて筒型の回転炉を使用し、回転炉を回転させながら、同様に炉内で電極棒とマイナス電極をスパークさせ、炉内の粗骨材を構成する金属に溶融金属滴を付着させてもよい。
また、アーク放電を行うスパッタ法で粗骨材の表面に溶融金属滴を付着させる場合の具体的な方法として、複数本の金属製柱状体を平面状に並置し、互いに接触させながら金属製柱状体を回転させ、それらの表面全体に、アーク放電により電極から生じる溶融金属滴を付着させ、それにより表面に金属粒が付着した金属製柱状体を形成し、その金属製柱状体に所定間隔をあけてプレス加工を行い、粗骨材を所定形状としてもよい。この場合、粗骨材を所定形状に製造する工程は上述と同様にすることができ、例えば、溶融金属滴による金属粒が付着した金属パイプに、所定間隔をあけて互いにずれた方向からプレス加工で塑性変形又は押し切りを行うことにより、略四面体又は略四面体同士が1つの辺で結合した形状に粗骨材を製造する工程をあげることができる。
なお、アーク放電を行う溶接スパッタ法で粗骨材の表面に溶融金属滴を付着させる場合、必要に応じ、コンクリート用粗骨材の表面に弱く付着した金属粒を除去してもよく、また、溶融金属滴を付着させた表面を、付着量を損なわない範囲でならしてもよい。
一方、粗骨材とモルタルとの密着性を向上させるため、上述したいずれの形状の粗骨材においても、粗骨材の表面に微細なラスを配置し、モルタルでコートしてもよい。
(ワイヤー)
また、上述のいずれの形状の粗骨材においても、粗骨材からワイヤーを突出させてもよい。例えば、図16A及び図16Bに示す粗骨材10Lのように、図9Aに示した粗骨材10Gを粗骨材本体20とし、粗骨材本体20からワイヤー21を突出させる。ワイヤーは、その形成材料や線径により曲がりやすさが異なるものの、可撓性を有する。したがって、コンクリート用粗骨材をセメントや細骨材と混合する前に湾曲させることができ、また、ワイヤーの形成材料や線径によってはセメントや細骨材と混合して生コンクリートを調製する間にも湾曲する。そして、コンクリートが固化した後は、湾曲したワイヤーが粗骨材本体とモルタルとを結びつけるアンカーとして作用し、コンクリートの圧縮強度、引張強度、曲げ強度を格段に高めることができる。
また、上述のいずれの形状の粗骨材においても、粗骨材からワイヤーを突出させてもよい。例えば、図16A及び図16Bに示す粗骨材10Lのように、図9Aに示した粗骨材10Gを粗骨材本体20とし、粗骨材本体20からワイヤー21を突出させる。ワイヤーは、その形成材料や線径により曲がりやすさが異なるものの、可撓性を有する。したがって、コンクリート用粗骨材をセメントや細骨材と混合する前に湾曲させることができ、また、ワイヤーの形成材料や線径によってはセメントや細骨材と混合して生コンクリートを調製する間にも湾曲する。そして、コンクリートが固化した後は、湾曲したワイヤーが粗骨材本体とモルタルとを結びつけるアンカーとして作用し、コンクリートの圧縮強度、引張強度、曲げ強度を格段に高めることができる。
ワイヤー21としては、鉄系、ステンレス系、銅系など、種々の形成材料からなる各種線径のものを使用することができ、本実施例のコンクリート用粗骨材10Lでは、16番手以上21番手以下の番線を使用している。番線は鉄線で強磁性体であるから、コンクリート用粗骨材1Aのワイヤー21が番線であることによっても、このコンクリート用粗骨材10Lやこれを用いたコンクリート製品を電磁石で搬送等することが可能となる。また、ワイヤー21を16番手以上21番手以下の番線とすることにより、ワイヤー21を粗骨材本体20に取り付けるときにも、取り付けた後にも、このコンクリート用粗骨材10Lを含む生コンクリートの調製時の撹拌時にも、ワイヤー21に力がかかることによりワイヤー21は容易に湾曲する。
このように容易に湾曲するワイヤーを使用する場合、粗骨材本体20から突出しているワイヤー21の長さは、ワイヤー21を突出させることによるコンクリート強度の向上効果を十分に得る点から、粗骨材本体の長径の好ましくは1倍以上、より好ましくは1.5倍以上とし、取り扱い性の点から粗骨材本体20の長径の好ましくは4倍以下、より好ましくは3倍以下とする。
粗骨材本体20から突出させるワイヤー21の本数は複数本とすることが好ましく、ワイヤー21の硬さ、線径等に応じて定める。即ち、ワイヤー21が16番手以上21番手以下の番線で容易に湾曲する場合、好ましくは3〜8本、より好ましくは4〜6本とすることができ、本実施例では4本のワイヤーを突出させている。
金属製の粗骨材本体20からワイヤー21が突出するように該粗骨材本体20にワイヤー21を取り付ける方法としては、粗骨材本体の形成材料でワイヤーを挟み込む圧着、粗骨材本体に設けた穴にワイヤーを挿入する挿着、粗骨材本体20の表面へのワイヤーの溶接等を挙げることができる。このうち、圧着や挿着では、ワイヤー21が粗骨材本体20から外れなければよく、ワイヤー21と粗骨材本体20との接触部分を厳密に固定する必要はない。例えば、ワイヤー21が粗骨材本体20に緩挿されているだけでも、ワイヤー21を湾曲させることによりワイヤー21が粗骨材本体20から外れることを防止することができる。本実施例のコンクリート用粗骨材10Lでは、圧着によりワイヤー21が粗骨材本体20に取り付けられている。
なお、圧着、挿着、溶接等の取り付け方法は、粗骨材本体20とワイヤー21が金属製であることにより可能となるものである。これに対し、粗骨材本体を例えば砕石とすると、ワイヤーを接着剤で固定しなくてはならず、ワイヤーの取り付けに要する時間がかかり、コストも高くつき、建築資材として実際的でない。
実施例のコンクリート用粗骨材10Lは、図17に示すように簡便に製造することができる。即ち、鉄製パイプ1を所定の長さにカットして筒状の小片3とし、この小片3の開口部2にワイヤー21を通す。次に、筒状の小片3の両端の開口部2をプレスして両端部を平らに押し潰すと共に、その押し潰した開口部2’にワイヤー21を圧着する。このプレスにより小片3は、図17に示すように平面視で略矩形となるので、その4辺の中央部を凹ますように矢印の方向に小片3をプレスする。こうして、図16Aに示したコンクリート用粗骨材10Lを得ることができる。
本発明のコンクリート用粗骨材のうち、粗骨材からワイヤーを突出させた態様についても、本発明は種々の態様をとることができる。例えば、図18に示したコンクリート用粗骨材10Mは、図16Aに示したコンクリート用粗骨材10Lと同様の粗骨材本体20にワイヤー21を、装着位置を変えて挿着したものである。このコンクリート用粗骨材10Mは、図19Aに示すように、鉄製パイプ1を所定の長さにカットして筒状の小片3とする前又は後で、レーザーカッター等によりワイヤー21を通す穴22を開け、その穴22にワイヤー21を通し、小片3の両端の開口部2をプレスし、押し潰して平面視の外形を略矩形とし、図19Bに示すように、その略矩形をなす4辺の中央部を凹ますように小片3をプレスする。こうして図18に示したコンクリート用粗骨材10Mを得ることができる。
図20に示すコンクリート用粗骨材10Nは、粗骨材本体20の外形が図16Aに示したコンクリート用粗骨材10Lと同様に、凸部16と凹部15を有するが、粗骨材本体20がパイプから成形されたものではなく、丸棒から成形したものであるため、粗骨材本体20は中空ではなく中実である。また、粗骨材本体20から突出する4本のワイヤー21は、溶接により粗骨材本体20に取り付けられている。
図21に示すコンクリート用粗骨材10Oは、粗骨材本体20は図16Aと同様に鉄製のパイプ1から製造され、凹部15と凸部16を有するものとなっているが、粗骨材本体20から突出するワイヤー21が8番手以上14番手以下であり、図16Aに示したコンクリート用粗骨材10Lよりもワイヤー21が太く曲がりにくいものとなっている。このように線径の太いワイヤーを使用する場合には、コンクリート用粗骨材を生コンクリートに配合する前にそのコンクリート用粗骨材10Oのワイヤー21を湾曲させておくことが好ましく、図21に示したコンクリー用粗骨材10Oでは、粗骨材本体20から突出している4本のワイヤー21をそれぞれU字型に曲げている。
このコンクリート用粗骨材10Oのワイヤー21の湾曲形状は、生コンクリートの混合時やポンプ圧送時に維持されやすいので、ポンプ圧送に支障を来さないように、ワイヤー21も含めたコンクリート用粗骨材10O全体の大きさを従来の粗骨材と同程度とすることが好ましく、例えば長径を5cm以内とすることが好ましい。
なお、このように太く、曲がりにくいワイヤー21を粗骨材本体20から突出させる場合も、ワイヤー21の粗骨材本体20への取り付け方法としては、前述のように、圧着、挿着、溶接等とすることができる。
図22Aに示すコンクリート用粗骨材10Pは、粗骨材本体20は図17と同様に鉄製のパイプ1から製造され、凹部15と凸部16を有するものとなっているが、粗骨材本体20から突出するワイヤー21には20番手以上の細い番線が使用されている。粗骨材本体20から突出するワイヤー21の本数も多く、突出しているワイヤー21の長さも、例えば10cm程度と長くすることができる。
このコンクリート用粗骨材10Pは、該粗骨材10Pの製造後の保管、搬送過程や、生コンクリート内での撹拌過程でワイヤー21が容易に曲がり、図22Bに示すように、ワイヤー21が粗骨材本体20を覆うように粗骨材本体20に巻き付く。したがって、生コンクリート内では、粗骨材本体20に巻き付いているワイヤー21にモルタルが捕捉され、捕捉されたモルタルと粗骨材10Pとが一体に移動する。これにより、粗骨材10Pの実質的な比重がモルタルに近づくので、このコンクリート用粗骨材10Pは生コンクリート内で沈降しにくく、分散性が良好となる。
図23に示すコンクリート用粗骨材10Qは、図21に示したコンクリート用粗骨材10Oにおいて、粗骨材本体20を略四面体形状としたものである。このような粗骨材本体20は、パイプを所定の長さにプレスしてカットするときのプレス方向を、交互に交差する方向とすることにより得ることができる。
図24に示すコンクリート用粗骨材10Rは、図23に示したコンクリート用粗骨材10Qにおいて、粗骨材本体20を、2つの四面体が一つの辺を共有するように連続した形状としたものである。この形状の粗骨材本体20は、パイプを所定間隔で交互に交差する方向にプレスしていくにあたり、同一方向のプレス方向でパイプをカットすることにより得られる。
このように、上述した種々の粗骨材本体20の態様とワイヤー21の態様は適宜組み合わせることができる。
本発明のコンクリート用粗骨材は、従来のコンクリートの配合組成における粗骨材の一部又は全部に代替することができる。本発明のコンクリート用粗骨材は鉄筋コンクリートにも適用することができる。以下、本発明のコンクリート用粗骨材を使用したコンクリートについて説明する。
本発明のコンクリートは、少なくともセメント、細骨材、前述した本発明のコンクリート用粗骨材を含有する。セメントとしては、JIS R5210「ポルトランドセメント」、JIS R5211「高炉セメント」、JIS R5212「シリカセメント」、JIS R5213「フライアッシュセメント」、JIS R5214「エコセメント」などを適宜適用することができる。
細骨材は、JIS A 1102に準拠して分類されたものであり、具体的には、10mm網ふるいを全部通り、5mm網ふるいを質量で85%以上通る骨材であり、通常2mm以下の粒径を有する骨材である。
コンクリート配合における主要材料の質量割合は、セメント:細骨材:粗骨材=1:2〜3:4〜6が一般的であるが、コンクリートの用途等に応じて変動する。更に、水や一般的なコンクリートやモルタルの製造時に使用される増粘剤、減水剤、凝結促進剤等を適宜含有することができる。
本発明のコンクリート用粗骨材の好ましい適用例としては、コンクリートプレキャスト製品、例えば、圧縮や曲げに対して弱い従来の発泡型又は軽量骨材型の軽量鉄筋コンクリート板に代わり、圧縮や曲げに対して強い軽量鉄筋コンクリート板が挙げられる。また、鉄筋を使用しないコンクリート構造物(例えば、ダム壁、地面に直に敷設される道路、建造物のベタ基礎、舗装広場等)にも好ましく適用できる。特殊な適用例としては、地面から離れた位置に設置される高速道路の鉄筋コンクリート床版等に好ましく適用できる。
本発明のコンクリート用粗骨材を適用した軽量鉄筋コンクリート板や鉄筋コンクリート床版等のプレキャストコンクリート製品は、所定のサイズのパネルとなっており、パネル単位で搬送・設置される。また、壁や道路の補修のためにパネル単位で撤去される。このため、本発明のコンクリート用粗骨材を磁性材料から構成した場合には、パネルを電磁石に引きつけて搬送、設置、撤去することが可能となり、作業性が向上する。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
比較例1
次の配合でコンクリートを調製し、ミキサーで混練(5.5L)し、φ10×20cmの型枠及び10×10×40cmの型枠を用いてそれぞれ成形し、材齢1日で脱型後材齢28日まで水中で養生することにより供試体を作製し、JIS A 1108(コンクリートの圧縮強度試験方法)及びJIS A 1113(コンクリートの割裂引張強度試験方法)に準じて圧縮強度及び割裂引張強度を算出した。その結果、圧縮強度は28.33N/mm2、引張強度は2.23N/mm2、引張強度と圧縮強度の比は0.08であった。
比較例1
次の配合でコンクリートを調製し、ミキサーで混練(5.5L)し、φ10×20cmの型枠及び10×10×40cmの型枠を用いてそれぞれ成形し、材齢1日で脱型後材齢28日まで水中で養生することにより供試体を作製し、JIS A 1108(コンクリートの圧縮強度試験方法)及びJIS A 1113(コンクリートの割裂引張強度試験方法)に準じて圧縮強度及び割裂引張強度を算出した。その結果、圧縮強度は28.33N/mm2、引張強度は2.23N/mm2、引張強度と圧縮強度の比は0.08であった。
[配合]
セメント:111L/m3(350kg/m3)
水:175L/m3(175kg/m3)
細骨材:287L/m3(746kg/m3)
粗骨材(砕石):407L/m3(1079kg/m3)
セメント:111L/m3(350kg/m3)
水:175L/m3(175kg/m3)
細骨材:287L/m3(746kg/m3)
粗骨材(砕石):407L/m3(1079kg/m3)
実施例1
粗骨材として鉄製パイプ(直径15mm)をプレス加工で長さ30mmずつに互い違いの方向から押し切り、四面体形状の中空の鉄製粗骨材を製造した。粗骨材としてこの鉄製粗骨材を使用する以外は比較例1と同様にして次の配合でコンクリートを調製し、供試体を作製し、圧縮強度試験及び割裂引張強度試験を行った。その結果、圧縮強度は比較例1と同等であったが、引張強度と圧縮強度の比は0.16となり、圧縮強度に対する引張強度の比が大きく向上していた。
粗骨材として鉄製パイプ(直径15mm)をプレス加工で長さ30mmずつに互い違いの方向から押し切り、四面体形状の中空の鉄製粗骨材を製造した。粗骨材としてこの鉄製粗骨材を使用する以外は比較例1と同様にして次の配合でコンクリートを調製し、供試体を作製し、圧縮強度試験及び割裂引張強度試験を行った。その結果、圧縮強度は比較例1と同等であったが、引張強度と圧縮強度の比は0.16となり、圧縮強度に対する引張強度の比が大きく向上していた。
[配合]
セメント:111L/m3(350kg/m3)
水:175L/m3(175kg/m3)
細骨材:296L/m3(770kg/m3)
粗骨材(実施例1の粗骨材):398L/m3(1898kg/m3)
セメント:111L/m3(350kg/m3)
水:175L/m3(175kg/m3)
細骨材:296L/m3(770kg/m3)
粗骨材(実施例1の粗骨材):398L/m3(1898kg/m3)
実施例2
実施例1の四面体形状の鉄製粗骨材に対し、鉄製電極を用いてアーク放電を行い、鉄製粗骨材の表面全体に溶融金属滴を付着させ、金属粒を溶着させた。この写真を図25に示す。この金属粒を溶着させたものを粗骨材として使用する以外は比較例1と同様にして次の配合でコンクリートを調製し、供試体を作製し、圧縮強度試験及び割裂引張強度試験を行った。その結果、圧縮強度は実施例1と同程度であったが、引張強度が2.63N/mm2と向上していた。
実施例1の四面体形状の鉄製粗骨材に対し、鉄製電極を用いてアーク放電を行い、鉄製粗骨材の表面全体に溶融金属滴を付着させ、金属粒を溶着させた。この写真を図25に示す。この金属粒を溶着させたものを粗骨材として使用する以外は比較例1と同様にして次の配合でコンクリートを調製し、供試体を作製し、圧縮強度試験及び割裂引張強度試験を行った。その結果、圧縮強度は実施例1と同程度であったが、引張強度が2.63N/mm2と向上していた。
[配合]
セメント:111L/m3(350kg/m3)
水:175L/m3(175kg/m3)
細骨材:353L/m3(918kg/m3)
粗骨材(実施例2の粗骨材):341L/m3(1545kg/m3)
セメント:111L/m3(350kg/m3)
水:175L/m3(175kg/m3)
細骨材:353L/m3(918kg/m3)
粗骨材(実施例2の粗骨材):341L/m3(1545kg/m3)
実施例3
実施例2の金属粒を溶着させた粗骨材よりも、その形成材料とする鉄製パイプを太径とし、粗骨材の長さも大きくする以外は実施例2と同様にして金属粒が溶着した粗骨材を作製した。この写真を図26に示す。なお、実施例で示す各写真は同様の撮影条件で撮ったものである。
実施例2の金属粒を溶着させた粗骨材よりも、その形成材料とする鉄製パイプを太径とし、粗骨材の長さも大きくする以外は実施例2と同様にして金属粒が溶着した粗骨材を作製した。この写真を図26に示す。なお、実施例で示す各写真は同様の撮影条件で撮ったものである。
粗骨材としてこれを用い、混練り量を3.5Lとする以外は比較例1と同様にして次の配合でコンクリートを調製し、供試体を作製し、圧縮強度試験及び割裂引張強度試験を行った。その結果、引張強度が3.08N/mm2と向上していた。
[配合]
セメント:111L/m3(350kg/m3)
水:175L/m3(175kg/m3)
細骨材:167L/m3(453kg/m3)
粗骨材(実施例3の粗骨材):360L/m3(1550kg/m3)
セメント:111L/m3(350kg/m3)
水:175L/m3(175kg/m3)
細骨材:167L/m3(453kg/m3)
粗骨材(実施例3の粗骨材):360L/m3(1550kg/m3)
実施例4
実施例3の金属粒を溶着させた粗骨材に対して、同様の径の鉄製パイプを使用し、粗骨材の長さをさらに長くし、表面にプレス加工により押し跡をつけ、その後にアーク放電を行うことにより金属粒が溶着した粗骨材を作製した。この写真を図27に示す。
実施例3の金属粒を溶着させた粗骨材に対して、同様の径の鉄製パイプを使用し、粗骨材の長さをさらに長くし、表面にプレス加工により押し跡をつけ、その後にアーク放電を行うことにより金属粒が溶着した粗骨材を作製した。この写真を図27に示す。
粗骨材としてこれを用いる以外は実施例3と同様にして次の配合でコンクリートを調製し、供試体を作製し、圧縮強度試験及び割裂引張強度試験を行った。その結果、圧縮強度が31.91N/mm2、引張強度が3.93N/mm2と大きく向上していた。
本発明のコンクリート用粗骨材は、従前の砕石、砂利等の粗骨材に対し、コンクリートの引張強度を顕著に高めることができ、圧縮強度も同等以上にすることができ、さらに、この粗骨材は生産性高く安価に得ることができるので、建築資材として有用となる。
1 金属パイプ又は鉄製パイプ
2 開口部
2’ 押し潰した開口部
3 小片
10A、10B、10C、10D、10E、10F、10G、10H、10I、10J、10K、10L、10M、10N、10O、10P、10Q、10R コンクリート用粗骨材
11a、11b 端部
12 孔
13a、13b 辺
14 中央部
15 凹部
16 凸部
17 リブ
18 側面
20 粗骨材本体
21 ワイヤー
22 穴
30 粗骨材を構成する金属
31 炉
32 電極板
33 電極棒
34 溶融金属滴
L1 外郭線
L2 繋ぎ目
A1、A2、A3 アンカー部
B1、B2 引張方向
P 突起
Q 金属粒
R 凹み
T1 中央部の厚さ
T2 端部の厚さ
2 開口部
2’ 押し潰した開口部
3 小片
10A、10B、10C、10D、10E、10F、10G、10H、10I、10J、10K、10L、10M、10N、10O、10P、10Q、10R コンクリート用粗骨材
11a、11b 端部
12 孔
13a、13b 辺
14 中央部
15 凹部
16 凸部
17 リブ
18 側面
20 粗骨材本体
21 ワイヤー
22 穴
30 粗骨材を構成する金属
31 炉
32 電極板
33 電極棒
34 溶融金属滴
L1 外郭線
L2 繋ぎ目
A1、A2、A3 アンカー部
B1、B2 引張方向
P 突起
Q 金属粒
R 凹み
T1 中央部の厚さ
T2 端部の厚さ
Claims (15)
- 金属製のコンクリート用粗骨材であって、所定長の柱状体の両端部が潰れ、該両端部のそれぞれから中央部に向かって厚みが大きくなっている形状を有するコンクリート用粗骨材。
- 筒体の両端部が互い違いに閉じた形状を有する請求項1記載のコンクリート用粗骨材。
- 略四面体形状を有する請求項2記載のコンクリート用粗骨材。
- 略四面体同士が1つの辺で結合している形状を有する請求項2記載のコンクリート用粗骨材。
- 平面視において外郭線から中央部に向かって凹んだ2以上の凹部と該凹部に対する凸部、又は中央部から外郭線に向かって突出した2以上の凸部を有し、これら凸部の先端部が同一平面にあり、中央部の厚さが凹部の端部又は凸部の端部の厚さに比して厚い形状を有する請求項1記載のコンクリート用粗骨材。
- 中央部から凸部の端部にかけて厚さが漸次薄くなっている請求項5記載のコンクリート用粗骨材。
- 金属が磁性体である請求項1〜6のいずれかに記載のコンクリート用粗骨材。
- 磁性体が鉄である請求項7記載のコンクリート用粗骨材。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の形状の粗骨材からワイヤーが突出しているコンクリート用粗骨材。
- ワイヤーの太さが16番手以上21番手以下である請求項9記載のコンクリート用粗骨材。
- ワイヤーの太さが8番手以上14番手以下である請求項9記載のコンクリート用粗骨材。
- 金属製のコンクリート用粗骨材の製造方法であって、長尺の柱状体にプレス加工で塑性変形又は押し切りを行い、所定長の柱状体の両端部が潰れ、該両端部のそれぞれから中央部に向かって厚みが大きくなっている形状を形成するコンクリート用粗骨材の製造方法。
- 長尺の柱状体が鉄パイプであり、鉄パイプに所定間隔をあけて互いにずれた方向から塑性変形又は押し切りを行うことにより鉄パイプの両端部が閉じた形状とする請求項12記載のコンクリート用粗骨材の製造方法。
- 少なくともセメント、細骨材、及び請求項1〜11のいずれかに記載のコンクリート用粗骨材を含有するコンクリート。
- 請求項7又8記載のコンクリート用粗骨材を含有するプレキャストコンクリート製品の搬送方法であって、電磁石を作動させてプレキャストコンクリート製品を引きつけ、そのまま所定の場所に搬送し、電磁石を解除してプレキャストコンクリート製品を所定の場所に設置する搬送方法。
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JP2018178129 | 2018-09-21 | ||
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JP2018201938 | 2018-10-26 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
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