JP2020070218A - ガラスの製造方法及びガラス用混合原料 - Google Patents

ガラスの製造方法及びガラス用混合原料 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、生産コストを上げることなくガラスの溶融性を良好にでき、生産性を向上できるガラスの製造方法を提案することを目的とする。【解決手段】本発明のガラスの製造方法は、粒子径が45μm超の石英を0.1〜10質量%含み、更に、該石英含有量の含有量の0.1%以上のSO3を含むガラス用混合原料を溶融した後、ガラスに成形することを特徴とする。【選択図】図13

Description

本発明は、ガラスの製造方法及びガラス用混合原料に関する。
ガラス製品は、ガラス用混合原料をガラス溶融炉で溶融し、得られた溶融ガラスを板状、管状、繊維状等、様々な形状に成形することで得られる。ガラス溶融炉の内部に供給されたガラス用混合原料は、バーナーの燃焼によって上方から加熱され、溶融される。また、溶融炉底部に設けられた電極によってガラスに通電して加熱されることもある。
ところで、ガラス用原料としては、珪砂、長石、石灰石等の鉱産物が主原料として用いられ、それらの多くは、原料混合時の均質性や溶融性への配慮から、細粒化されている。
例えば、特許文献1には、平均粒径を15μm程度に粉砕した含水珪酸塩を用いてガラス用混合原料中の石英粒子を一定割合以下に制限することで溶融時に融液表面に生じる異質層を抑制し、安定した溶融環境を維持し、ひいては経済的にガラス製品を得ることができる技術が開示されている。
そして、特許文献2には、更なる生産安定性やガラス品位を向上させる手段として、SiO原料と清澄剤の含有量に着目し、SiO原料と、SOを15ppm以上含有する原料を使用することで、泡品位の良いガラスを得る方法が開示されている。
特公昭60−2260号公報 特開2012−36075号公報
このように、従来、ガラス製造における溶融性を良好にする観点から、ガラス原料の平均粒度を一定以下に規制する試みが行われてきた。しかし、上記した方法だけでは、ガラスの溶融性や生産性の向上には不十分であった。
更なる溶融性や生産性向上のために、ガラス原料の篩分けや粉砕加工をより厳密にすることが考えられるが、これには生産コストの上昇を伴う。また、ガラス原料を過度に粉砕した場合、ガラス用原料中に微粉末が一定量以上含まれてしまうため、溶融炉に投じた際に発塵したり、煙道に堆積して溶融設備の寿命を縮めたりする。その結果、生産コストを相対的に押し上げる原因となってしまう。
本発明は、生産コストを上げることなくガラスの溶融性を良好にでき、生産性を向上できるガラスの製造方法を提案することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究の結果、ガラス用混合原料中に含まれる粒子径が45μm超の石英粒子がガラスの溶融性に大きく関わっていること、更に、一般的には清澄剤として用いられるSOが、粗粒石英粒子の溶融性と密接に関わっていることを見出した。具体的には、ガラス用混合原料中のSOは、溶融過程において粗粒石英粒子の溶融を促進する。このため、SOの含有量を適正化することでガラス融液が均質化しやすくなり、ガラスの生産性を顕著に向上させることが可能であることを見出した。
すなわち、本発明のガラスの製造方法は、粒子径が45μm超の石英粒子を0.1〜10質量%含み、更に、該石英粒子の含有量の0.1%以上のSOを含むガラス用混合原料を溶融した後、ガラスに成形することを特徴とする。
このようにすることで、ガラスの溶融性を良好にでき、高い生産性を保つことができる。なお、本発明において、粒子径とは、動的画像解析法を用いて測定した粒子径のことを指し、SOの含有量とは、様々な形態でガラス用混合原料中に含有されているS成分をSOに換算したときの含有量を示す。
また、本発明のガラスの製造方法は、粒子径が45μm超の石英粒子を0.1〜10質量%含み、更に、該石英粒子の含有量の1〜20%のSOを含むガラス用混合原料を溶融した後、ガラスに成形することが好ましい。
また、本発明のガラスの製造方法は、粒子径が20μm超の石英粒子を3〜25質量%含み、更に、75μm超の石英粒子を2質量%未満含むガラス用混合原料を使用することが好ましい。
このようにすることで、粗粒石英粒子の含有量を更に一定範囲内に収めることが容易になるため、ガラスの溶融が更に安定化し、生産性を向上させることができる。
本発明のガラスの製造方法は、ガラス用混合原料が、クレー原料とシリカ原料を含むことが好ましい。
また、本発明のガラスの製造方法は、得られるガラスを繊維状に成形することが好ましい。
本発明のガラスの製造方法は、得られるガラスが、ガラス組成として、酸化物基準の質量%で、SiO 42〜67%、Al 8〜26%、RO(ただし、Rは、Li、Na及びKのうち少なくとも一種)0〜2%、SO 0.01〜1%を含有することが好ましい。
本発明のガラスの製造方法は、得られるガラスが、ガラス組成として、酸化物基準の質量%で、SiO 52〜62%、Al 10〜16%、B 0〜8%、MgO 0〜5%、CaO 16〜25%及びRO(但し、Rは、Li,Na及びKのうちの少なくとも一種) 0〜2%、SO 0.01〜1%を含有することが好ましい。
本発明のガラスの製造方法は、得られるガラスが、Eガラスであることが好ましい。
また、本発明のガラスの製造方法は、粒子径が45μm超の石英粒子を0.1〜10質量%含むガラス用混合原料を溶融した後、ガラスに成形するガラスの製造方法であって、該石英粒子の含有量に応じてガラス用混合原料中のSOの含有量を調整する工程を含むことを特徴とする。
また、本発明のガラス用混合原料は、粒子径が45μm超の石英粒子を0.1〜10質量%含み、更に、該石英粒子の含有量の0.1%以上のSOを含むことを特徴とする。
また、本発明のガラス用混合原料は、粒子径が45μm超の石英粒子を0.1〜10質量%含み、更に、該石英粒子の含有量の1〜20%のSOを含むことが好ましい。
本発明のガラス用混合原料は、粒子径が20μm超の石英粒子を3〜25質量%含み、更に、75μm超の石英粒子を2質量%未満含むことが好ましい。
本発明のガラス用混合原料は、クレー原料とシリカ原料を含むことが好ましい。
No.1のガラス用混合原料中の石英粒子の頻度分布を示す図である。 No.2のガラス用混合原料中の石英粒子の頻度分布を示す図である。 No.3のガラス用混合原料中の石英粒子の頻度分布を示す図である。 No.4のガラス用混合原料中の石英粒子の頻度分布を示す図である。 No.5のガラス用混合原料中の石英粒子の頻度分布を示す図である。 No.6のガラス用混合原料中の石英粒子の頻度分布を示す図である。 No.7のガラス用混合原料中の石英粒子の頻度分布を示す図である。 No.8のガラス用混合原料中の石英粒子の頻度分布を示す図である。 No.9のガラス用混合原料中の石英粒子の頻度分布を示す図である。 No.10のガラス用混合原料中の石英粒子の頻度分布を示す図である。 ガラス用混合原料中の45μm超の石英粒子の含有量と未溶解層の面積割合の関係を示す図である。 ガラス用混合原料中のSOの含有量/45μm超の石英粒子の含有量と未溶解層の面積割合の関係を示す図である。 カオリナイトとシリカフラワーのみを用いたガラス用混合原料のSOの含有有量/45μm超の石英粒子の含有量と、未溶解層の面積割合との関係を示す。
本発明のガラスの製造方法は、石英粒子の粒子径とSOの含有量を厳密に規制したガラス用混合原料を用いる。以下、このガラス用混合原料について説明する。
本発明のガラス用混合原料は、粒子径45μm超の石英粒子の含有量が0.1〜10質量%であり、好ましくは0.15〜8質量%、0.2〜4質量%、0.25〜2質量%、特に0.3〜1質量%である。このようにすると、ガラスの溶融性を向上させやすくなる。一方、ガラス用混合原料中の粒子径が45μm超の石英粒子の含有量が多すぎると、ガラスの溶融性が悪化しやすくなり、少なすぎると、生産コストが上昇する。なお、ガラス用混合原料中の粒子径が45μm超の石英粒子の含有量は、ガラス用混合原料を構成する原料のうち石英粒子を含む原料について篩により分級した後、原料成分含有量及びXRDを用いてガラス用混合原料中のそれぞれの粒径区分における石英含有量を求めた。
更に、本発明のガラス用混合原料は、SOの含有量が、粒子径45μm超の石英粒子の含有量に対して、0.1%以上であり、好ましくは1〜20%、1.7超〜16%、2〜12%、3〜10%、特に4〜9%である。なお、ガラス用混合原料中のSOの含有量は蛍光X線分析装置で測定できる。また、以降の説明において、45μm超の石英粒子の含有量に対するSOの含有量を、「SO/石英」と表す。
SOは、ガラス用混合原料中の粗粒石英粒子の溶融を促進する効果がある。そのため、ガラス用混合原料中のSOは、ガラス用混合原料中に含まれる粗粒石英粒子の含有量に応じた量であることが好ましい。このようにすると、たとえガラス用混合原料中の粗粒石英粒子の含有量が変動した場合でも、安定した生産を維持することができる。しかし、SOの含有量が多すぎると、ガラスの溶融中に融液表面に泡層が発達してバーナー等の熱が伝わりにくくなり、溶解効率が低下する虞がある。
また、本発明のガラス用混合原料は、SOの含有量が、好ましくは、下記式(1)によって算出されるSOの含有量の±20%以内、±18%以内、±15%以内、特に±10%以内であることが好ましい。
ガラス用混合原料中のSO(ppm)=(5×ガラス用混合原料中の45μm超の石英粒子の含有量(wt%))/0.006・・・・・・[式1]
ガラス用混合原料中のSOの含有量を上記範囲に規制することで、ガラスの溶融性を顕著に良好にできる。このようにすると、安定した生産を長期的に維持することが容易になる。
また、本発明のガラス用混合原料は、粒子径75μm超の石英粒子の含有量が、好ましくは2質量%未満であり、1質量%以下、1質量%未満、0.5質量%以下、特に0.4質量%以下である。75μm超の石英粒子の含有量が多すぎると、ガラスの溶融性が著しく悪化する。
また、本発明のガラス用混合原料は、粒子径20μm超の石英粒子の含有量が、好ましくは3〜25質量%、3〜20質量%、3〜15質量%、特に3〜10質量%である。20μm超の石英粒子の含有量が多すぎると、ガラスの溶融性が悪化しやすくなる。一方、少なすぎると、生産コストが上昇する。
次に、本発明のガラス用混合原料を構成するそれぞれの原料について説明する。
本発明のガラス用混合原料は、シリカ原料を含むことが好ましい。シリカ原料とは、90%以上のSiOを含有する粉末状のガラス原料を指し、例えば、珪砂、珪石や、それらを加工したシリカフラワーがある。また、シリカフラワーの主成分は石英粒子である。
また、本発明のガラス用混合原料は、クレー原料を含むことが好ましい。クレー原料は、例えば、蝋石、カオリン堆積岩、風化堆積鉱床から採掘される鉱石の加工品であり、これらは一般に、カオリナイト、パイロフィライト、石英粒子、ベーマイト等を含んでいる。
また本発明のガラス用混合原料は、S成分を含む。S成分は、ガラス混合原料を構成する他の原料の不純物や化合物として含まれていてもよいし、例えば、硫酸バリウム、硫酸ストロンチウム、石膏、ボウ硝、ミョウバン、硫酸バンド等、これらを単独、あるいは組み合わせて含まれていてよい。
本発明のガラス用混合原料に用いるシリカ原料及びクレー原料の最大粒子径は、好ましくは300μm未満であり、150μm未満、特に106μm未満である。このようにすると、ガラス用混合原料中に含まれる粒子径が45μm超の石英の含有量を0.1〜10質量%の範囲にしやすく、本発明のガラスの製造方法の効果(ガラスの溶融性や生産性が良好である)を享受しやすくなる。なお、最大粒子径とは、動的画像解析法を用いて測定した値である。
本発明のガラス混合原料に用いるシリカ原料及びクレー原料の平均粒径D50は、好ましくは6〜40μmであり、8〜30μm、特に10〜20μmである。このようにするとガラスの溶融性を向上させやすくなる。一方、シリカ原料及びクレー原料の平均粒径D50が大きすぎると、ガラスの溶融性が悪化しやすくなり、小さすぎると生産コストが上昇する。なお、平均粒子径D50とは、動的画像解析法を用いて測定した値である。
本発明のガラス用混合原料は、シリカ原料とクレー原料の合量が、ガラス用混合原料全体の50%以上であることが好ましく、60%以上、特に70%以上であることが好ましい。このようにすると、特にシリカ原料とクレー原料に着目して原料の粒子径を管理することができるため、ガラス用混合原料の粒子径が管理しやすくなる。
本発明のガラス用混合原料は、シリカ原料及びクレー原料以外にも様々なガラス原料で構成されてもよい。例えば、クレー原料以外のガラス原料として、珪灰石、長石、ソーダ灰、石灰等が挙げられる。
本発明のガラス用混合原料は、SiO及びAlを含有するガラスを製造するためのガラス用混合原料として使用可能であるが、特に、ガラス用混合原料の中でシリカ原料やクレー原料の占める割合が大きいガラス繊維用混合原料として、特に好適である。
また、本発明のガラス用混合原料は、ガラス組成として、例えば、後述するガラス組成や、Eガラス組成等に適用できる。
次に、本発明のガラスの製造方法について、説明する。
まず、ガラス用混合原料を用意する。
本発明のガラス用混合原料は、粒子径が45μm超の石英粒子の含有量に応じて、ガラス用混合原料中のSOの含有量が規制されている。
特に、本発明のガラス用混合原料は、粒子径が45μm超の石英粒子の含有量が0.1〜10質量%となり、更に、SOが該石英粒子の含有量の0.1%以上になるように調整されていることが好ましい。
石英粒子の粒子径を調整する手段としては、例えば、原料の粉砕加工や、篩分けが挙げられる。
また、SOの含有量は、例えば、以下のようにして調整すればよい。まず、ガラス用混合原料中のSOの含有量を特定し、その値が該石英粒子の含有量の0.1%以上になっている場合は、調整工程を不要とする。測定したSOの含有量が前記範囲でない場合は、ガラス用混合原料にS成分を有する原料を添加し、SOの含有量を調整する。
このようにして、ガラス用混合原料を用意する。
次に、上記したガラス用混合原料を溶融した後、所定形状のガラスに成形する。ガラスの成形方法としては、ベロー法、ダンナー法、オーバーフローダウンドロー法、ロールアウト法、ブロー法、プレス法、紡糸法等があり、得られるガラスや、要求される特性に応じて選択することができる。
本発明のガラスの製造方法は、ガラス繊維の製造方法に用いることが好ましい。シリカ原料やクレー原料は、ガラス繊維の製造に用いる混合原料の中で大きな割合を占める。そのため、本発明のガラス用混合原料をガラス繊維の製造に用いた場合、本発明の効果を一層享受し易くなる。
ここで、ガラス繊維の製造方法を例に挙げて、本発明の製造方法を詳述する。
まず、目標組成となるようにシリカ原料、クレー原料及びその他のガラス原料を調合して、ガラス用混合原料を得る。
目標組成としては酸化物基準の質量%で、SiO 42〜67%、Al 8〜26%、及びRO(但し、Rは、Li,Na及びKのうちの少なくともひとつ) 0〜2%を含有するガラス組成、特にSiO 52〜62%、Al 10〜16%、B 0〜8%、MgO 0〜5%、CaO 16〜25%及びRO(但し、Rは、Li,Na及びKのうちの少なくともひとつ) 0〜2%、SO 0.01〜1%を含有する、いわゆるEガラス組成となるように調合することが好ましい。
各成分を上記の範囲に限定した理由を述べる。
SiOは、ガラスのネットワークフォーマーである。その含有量は42〜67%であり、好ましくは52〜62%、より好ましくは53〜60%、特に好ましくは55〜60%である。SiOの含有量が低すぎると、ガラス繊維の機械的強度が低くなりすぎる場合がある。SiOの含有量が高すぎると、ガラス融液の粘度が高くなりすぎるため、溶融及び成形が困難となる場合がある。
Alは、ガラス繊維の耐候性や機械的強度を向上させる成分である。その含有量は8〜26%であり、好ましくは10〜18%、より好ましくは13〜16%である。Alの含有量が低すぎると、ガラス融液が失透しやすくなる場合がある。Alの含有量が高すぎると、ガラス融液の粘度が高くなりすぎるため、溶融及び成形が困難となる場合がある。
は、ガラス融液の粘度を低下させると共に、ガラスの溶融温度や紡糸温度を低下させる成分である。その含有量は好ましくは0〜25%であり、1〜10%、特に5〜9%である。Bの含有量が高すぎると、ガラス繊維の化学的耐久性が低くなりすぎる場合がある。また、ガラス融液からの揮発量が多くなるため、安定した組成でガラス繊維を製造することが困難となる。
MgO、CaOは、ガラスの溶融性を改善する成分である。MgOの含有量は好ましくは0〜15%であり、0〜10%、特に0.1〜4%である。またCaOの含有量は好ましくは9〜35%であり、16〜25%、特に18〜25%である。CaOの含有量が低すぎると、ガラス融液の粘度が高くなりすぎ、溶融や紡糸が困難となる場合がある。CaOの含有量が高すぎると、ウォラストナイト(CaO・SiO)の結晶が析出しやすくなる場合がある。MgOの含有量が高くなりすぎると、ディオプサイド(CaO・MgO・2SiO)の結晶が析出しやすくなる場合がある。
O(但し、Rは、Li,Na及びKのうちの少なくともひとつ)は、ガラスの溶融性や紡糸性を向上させる成分である。ROの含有量は合量で0〜2%、好ましくは0.3〜2%である。ROの含有量が高すぎると、ガラス繊維の機械的強度が低くなりすぎる場合がある。また、ガラス繊維の電気抵抗値が下がり、電気絶縁用途として使用することが困難になる。
また、前述したとおり、SOは、清澄効果の他に、ガラス用混合原料中の粗粒石英粒子の溶融を促進する効果がある。SOの含有量は好ましくは0.01〜1%であり、0.05〜0.9%、特に0.1〜0.8%である。SOの含有量が少なすぎると、清澄効果が得られないばかりか、生産性が低下する虞がある。一方、SOの含有量が多すぎると、ガラスの溶融中に融液表面に泡層が発達してバーナー等の熱が伝わりにくくなり、溶解効率が低下する虞がある。
また上記以外にも、種々の成分を含有することができる。例えばSrO、BaO、ZrO、SnO、ZnO、Sb、Cl、HO、He、Ni等をそれぞれ2%まで含有してもよい。
ガラス用混合原料に使用するガラス原料を例示する。なお、クレー、シリカ原料については既述の通りであり、ここでは説明を割愛する。またガラス用混合原料はこれらの原料のみで構成してもよいが、ガラスカレットを併用してもよい。
ホウ素源として、コレマナイト(別名:灰ホウ石、2CaO・3B・5HO)、ホウ酸(B・3HO)、5水硼砂(NaO・2B・5HO)等が使用できるが、無水硼酸(酸化硼素)の使用はコスト面から望ましくない。
アルカリ土類金属源として、炭酸カルシウム(CaCO)やドロマイト(MgO・CaO・2CO)等が使用できる。
アルカリ金属源として、炭酸ナトリウム(NaCO)等のアルカリ金属の炭酸塩等が使用できる。
硫酸塩源として、硫酸ナトリウム(NaSO)、硫酸カルシウム(CaSO)等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の硫酸塩等が挙げられる。
次いで、調合したガラス用混合原料をガラス溶融炉に投入してガラス化し、溶融、均質化する。溶融温度は1500〜1600℃程度が好適である。
続いて溶融ガラスを紡糸してガラス繊維に成形する。詳述すると、主に白金を主要成分とした貴金属で構成されるブッシングに溶融ガラスを供給する。ブッシングに供給した溶融ガラスを、その底面に設けられた多数のブッシングノズルからフィラメント状に連続的に引き出す。このようにして引き出されたモノフィラメントに各種処理剤を塗布し、所定本数毎に集束することによってガラスストランドを得る。なお、本発明のガラス繊維は、上記したガラスストランドだけでなく、遠心法等で成形するグラスウール等の短繊維や、ガラスストランドを集束する前のモノフィラメントも含む。
このようにして作製されたガラスストランドは、チョップドストランド、ヤーン、ロービング等に加工され、種々の用途に供される。なおチョップドストランドとは、ガラスストランドを所定長の長さに切断したものである。ヤーンとは、ストランドに撚りをかけたものである。ロービングとは、ストランドを複数本合糸し、円筒状に巻き取ったものである。
以下、本発明の実施例を説明する。
ガラス用混合原料として、シリカ原料とクレー原料を準備した。そのうち、シリカ原料は、シリカフラワーの一種類のみを使用した。クレー原料としては、様々な産地から採取したカオリナイト原料、カオリナイト又はパイロフィライトを主成分とする原料、それらの混合原料等、合計10種類を準備した。
次に、前記原料を、表1に示す割合で調合し、表2に示す10種類のガラス用混合原料(No.1〜10)を作製した。なお、表1に記載の原料のうち、シリカ原料及びクレー原料以外の原料は各試料において同じ原料を使用した。また、シリカ原料とクレー原料の割合及びクレー原料の種類を変更することで、ガラス用混合原料中の45μm超の石英粒子の含有量及びSOの含有量を調整した。なお、本実施例のガラス用混合原料に含有されるSOは天然鉱石中に不純物として含まれていたものであり、SO原料を別途添加したものではない。
図1〜10は、No.1〜10のガラス用混合原料に含まれる石英粒子の頻度分布であり、横軸が粒子径、縦軸が頻度分布を示す。なお石英粒子の頻度分布は動的画像解析法を用いて測定した。
次に、作製したガラス用混合原料を、白金製の坩堝に入れ、1400℃に保持した電気炉で20分溶融し、ガラスを得た。なお、一連の工程で撹拌操作を行っていないため、得られたガラスの表面には未溶解層が残っていた。得られたガラスを白金製の坩堝から取り出し、徐冷し、ガラス上層面全体の面積に対する未溶解層の面積の割合を画像解析により、求めた。この未溶解層の面積の割合は、ガラス用混合原料の溶融性の指標にできる。
表2に、No.1〜10のガラス用混合原料中の45μm超の石英粒子の含有量、SOの含有量及び未溶解層の面積割合をまとめたものを示す。
図11は、未溶解層の面積割合とガラス用混合原料中の45μm超の石英粒子の含有量との関係を示した図である。また、図12は、未溶解層の面積割合とSO/石英の値との関係を示した図である。これらの図から分かるように、ガラス用混合原料中に含有される45μm超の石英粒子の含有量が多いほど、未溶解層の面積割合は大きくなる傾向がある。また、SO/石英の値が大きくなるほど、未溶解層の面積割合が小さくなることが分かる。
次に、実施例1で用いた原料の成分の粒度偏析の影響を避けるため、同一シリカ原料を粉砕分級加工して作成された粒度の異なるシリカフラワー三種(平均粒度D50=39μm、17μm、12μm)を用意し、シリカフラワー:カオリナイト=37:36となるように同一カオリナイトと混合した試料A(シリカフラワーD50=39μm)、試料B(シリカフラワーD50=17μm)、試料C(シリカフラワーD50=12μm)を作製し、実施例1と同様に評価を行った。その結果を表3に示す。
また、表3の結果のうち、SO/石英の値と、未溶解層の面積割合との関係を図13に示す。図のプロットは、試料Aが■、試料Bが●、試料Cが▲である。
表3及び図13から分かるように、試料Aを用いた試料(No.11、14、17、20、23、26)は45μm超の石英含有量がいずれも10質量%を超えているため、SO/石英の値に関わらず、未溶解層の面積割合が60%を超えていた。一方、45μm超の石英含有量が0.1〜10質量%の範囲内にある試料B、Cを用いた試料(No.12、13、15、16、18、19、21、22、24、25、27、28)は、SO/石英が大きいほど、未溶解層の面積割合が小さい傾向があった。しかし、SO/石英の値が大きすぎると、ガラス融液表面に泡層が増加する傾向があるため、生産の際に、溶解効率が低下する虞がある。
更に、本発明者は、実施例2より、ガラス用混合原料中の45μm超の石英粒子の含有量、SOの含有量及び未溶解層の面積割合についての関係式である[式2]を導き出した。本発明では、ガラスの製造方法において、この関係式を用いて適切な未溶解層の面積割合や45μm超の石英粒子の含有量及びSOの含有量を設計することで、様々なガラスの安定生産の指標を得ることができる。
未溶解層の面積割合の目標値(%)=30+5×ガラス用混合原料中の45μm超の石英粒子の含有量(wt%)−0.006×ガラス用混合原料中のSOの含有量(ppm)・・・・[式2]
例えば、ガラス繊維であるEガラスの製造方法の場合、発明者の更なる検討によると、未溶解層の面積割合の目標値30%以下としたときに、特に安定した生産が可能になることが分かった。そのため、式2に基づいて、ガラス用混合原料中の45μm超の石英粒子の含有量から、SOの含有量の目標値を予め得ることが可能である。そして、製造を行う際には、前記の45μm超の石英粒子の含有量やSOの含有量の目標値を考慮して製造条件を検討し、製造することが好ましい。このようにすると、溶融性や生産性を良好にしやすい。未溶解層の面積割合≦30(%)となる45μm超の石英粒子の含有量及びSOの含有量の一例を表4に示す。
なお、ガラス用混合原料中の45μm超の石英粒子の含有量に対するSOの含有量は、式2を用いて算出されたSOの含有量に対して、好ましくは±20%以内、±18%以内、±15%以内、特に±10%以内の範囲で操業することが好ましい。SOの含有量が多すぎると融液表面に形成される泡層が溶解効率を低下させる虞がある。また、SOの含有量が少なすぎると、融液表面に未溶解層が過剰に発達してガラス融液の均質化が阻害され、安定した生産ができない虞がある。
このように、本発明のガラスの製造方法では、45μm超の石英粒子の含有量に応じてSOの含有量を調整することで、45μm超の石英粒子の含有量が変動した場合でも、溶融性への影響を低減でき、生産を安定させることができる。また、ガラス用混合原料中の45μm超の石英粒子やSOの含有量の目標値を考慮して製造条件を検討し、製造することで溶融性や生産性を良好にしやすい。
また、本発明のガラスの製造方法及びガラス用混合原料は、Eガラスだけでなく、液晶、電子部品用ガラス等、様々なガラスに応用することも可能である。
このように、本発明は、様々なガラスの製造方法において、生産コストを上げることなくガラスの溶融性を良好にでき、生産性を向上させることが可能である。

Claims (13)

  1. 粒子径が45μm超の石英粒子を0.1〜10質量%含み、更に、該石英粒子の含有量の0.1%以上のSOを含むガラス用混合原料を溶融した後、ガラスに成形することを特徴とするガラスの製造方法。
  2. 粒子径が45μm超の石英粒子を0.1〜10質量%含み、更に、該石英粒子の含有量の1〜20%のSOを含むガラス用混合原料を溶融した後、ガラスに成形することを特徴とする請求項1に記載のガラスの製造方法。
  3. 粒子径が20μm超の石英粒子を3〜25質量%含み、更に、75μm超の石英粒子を2質量%未満含むガラス用混合原料を使用することを特徴とする請求項1又は2に記載のガラスの製造方法。
  4. ガラス用混合原料が、クレー原料とシリカ原料を含むことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のガラスの製造方法。
  5. 得られるガラスを繊維状に成形することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のガラスの製造方法。
  6. 得られるガラスが、ガラス組成として、酸化物基準の質量%で、SiO 42〜67%、Al 8〜26%、RO(ただし、Rは、Li、Na及びKのうち少なくとも一種)0〜2%、SO 0.01〜1%を含有することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のガラスの製造方法。
  7. 得られるガラスが、ガラス組成として、酸化物基準の質量%で、SiO 52〜62%、Al 10〜16%、B 0〜8%、MgO 0〜5%、CaO 16〜25%及びRO(但し、Rは、Li,Na及びKのうちの少なくとも一種) 0〜2%、SO 0.01〜1%を含有することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のガラスの製造方法。
  8. 得られるガラスが、Eガラスであることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のガラスの製造方法。
  9. 粒子径が45μm超の石英粒子を0.1〜10質量%含むガラス用混合原料を溶融した後、ガラスに成形するガラスの製造方法であって、
    該石英粒子の含有量に応じてガラス用混合原料中のSOの含有量を調整する工程を含むことを特徴とするガラスの製造方法。
  10. 粒子径が45μm超の石英粒子を0.1〜10質量%含み、更に、該石英粒子の含有量の0.1%以上のSOを含むガラス用混合原料。
  11. 粒子径が45μm超の石英粒子を0.1〜10質量%含み、更に、該石英粒子の含有量の1〜20%のSOを含む請求項10に記載のガラス用混合原料。
  12. 粒子径が20μm超の石英粒子を3〜25質量%含み、更に、75μm超の石英粒子を2質量%未満含むことを特徴とする請求項10又は11に記載のガラス製造用混合原料。
  13. クレー原料とシリカ原料を含むことを特徴とする請求項10〜12の何れかに記載のガラス用混合原料。
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