以下、本発明の好ましい実施形態が、適宜図面が参照されつつ説明される。なお、本実施形態は、本発明の一態様にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様が変更されてもよいことは、言うまでもない。
図1は、本実施形態に係るクレーン車10を示す。クレーン車10は、下部走行体11と、下部走行体11に搭載されたクレーン装置12及びキャビン13と、を主に備える。クレーン車10は、本発明の「作業車」の一例である。ただし、作業車は、クレーン車10に限られない。作業車は、下部走行体11と、下部走行体11に搭載されたクレーン装置12などの上部作業体と、を備えた車両であればよい。クレーン装置12は、本発明の「上部作業体」の一例である。
下部走行体11は、車体20と、車軸及び車輪21と、エンジンと、バッテリ23(図2)と、油圧装置と、を備える。
車軸は、車体20に回転自在に支持されている。車輪21は、車軸の両端に保持されており、タイヤ22が装着されている。エンジンは、車軸を回転駆動し、車軸を介して車輪21及びタイヤ22を回転させる。また、エンジンは、バッテリ23(図2)を充電する。さらにまた、エンジンは、油圧装置が備える油圧ポンプを駆動させる。油圧ポンプは、所定圧力の作動油を吐出し、後述の旋回モータ等を駆動する。
なお、以下では、クレーン車10の進行方向を前向きとして前後方向8を定義し、前方を向いた場合のクレーン車10の左右を左右方向9として説明がされる。左右方向9は、クレーン車10の車幅方向である。
車体20は、不図示のメインフレームと、当該メインフレームに直接或いは間接的に固定された上部固定部材27及び下部固定部材28と、を有する。
上部固定部材27は、オペレータが歩行するキャットウォーク通路を形成する。オペレータは、上部固定部材27の上面によって形成されたキャットウォーク通路を歩行して、キャビン13と後述のブーム32との間を、地面に降りることなく移動することができる。この上部固定部材27を用いて、後述の第1支持装置71の一部が固定される。
上部固定部材27は、上下方向7を厚みとし、前後方向8に長い矩形板状である。上部固定部材27は、左右方向9における下部走行体11の側部に配置されている。詳しくは、上部固定部材27は、後述のキャビン13の扉16が設けられた方の下部走行体11の側部に配置されている。図示例では、上部固定部材27は、下部走行体11の右部に設けられている。
上部固定部材27は、タイヤ22の上端よりも高い位置であって、かつキャビン13及び旋回台31の下端よりも低い位置に配置されている。すなわち、上部固定部材27は、回転するタイヤ22と接触することがなく、かつ、旋回するキャビン13及び旋回台31とも接触することがない。
下部固定部材28は、キャビン13の直下に位置するタイヤ22の周辺に配置されている。下部固定部材28の一部は、タイヤ22を囲むタイヤハウジングを構成する。また、下部固定部材28は、後述の梯子50の下部をスライド自在に支持する後述の第2支持装置72の一部を固定する。
クレーン装置12は、下部走行体11に旋回可能に支持された旋回台31と、旋回台31に支持されたブーム32と、を備える。ブーム32は、基端ブーム33、単一又は複数の中間ブーム34、及び先端ブーム35を有する。基端ブーム33、中間ブーム34、及び先端ブーム35は、入れ子状に配置されており、ブーム32は、伸縮可能である。基端ブーム33は、旋回台31に起伏可能に支持されている。すなわち、ブーム32は、起伏可能、かつ、伸縮可能である。
クレーン装置12は、旋回モータと、ブーム32を起伏させる起伏シリンダと、ブーム32を伸縮させる伸縮シリンダと、をさらに備える。
旋回モータは、下部走行体11に設けられている。旋回モータは、上述の油圧装置から作動油を供給されて回転し、既知のギアを介して旋回台31を旋回させる。
起伏シリンダは、旋回台31に設けられている。伸縮シリンダは、ブーム32に設けられている。起伏シリンダ及び伸縮シリンダは、油圧装置から作動油を供給され、伸縮する。伸縮する起伏シリンダは、ブーム32を起伏させる。伸縮する伸縮シリンダは、ブーム32を伸縮させる。
キャビン13は、旋回台31に搭載されている。キャビン13は、図示例では、前後方向8における下部走行体11の中央部の上であって、左右方向9における下部走行体11の右部に位置している。
キャビン13は、扉16を有する。扉16は、図示例では、左右方向9におけるキャビン13の右側面に設けられている。オペレータは、扉16を通じてキャビン13に出入りする。
キャビン13は、図2が示すように、クレーン車10の運転を行う運転装置17と、クレーン装置12の操縦を行う操縦装置18と、を有する。すなわち、クレーン車10は、いわゆるラフテレーンクレーンであって、クレーン車10の運転及びクレーン装置12の操縦が1つのキャビン13で行われる作業車である。但し、クレーン車10は、運転装置17を有するキャビンと、操縦装置18を有するキャビンとの2つのキャビンを備えたオールテレーンクレーンであってもよい。
操縦装置18は、クレーン装置12の操縦を行うためのスイッチやレバー等に加え、後述の梯子50(図4)を移動させる操作スイッチ14及び選択スイッチ15(図2)を有する。操作スイッチ14及び選択スイッチ15は、コントローラ40と、ケーブル等によって接続されている。操作スイッチ14及び選択スイッチ15が操作されると、操作信号がコントローラ40に入力される。
選択スイッチ15は、「梯子の張出」と、「梯子の格納」とのいずれかを選択するスイッチである。操作スイッチ14は、後述の第1駆動装置100を駆動させて梯子50をスライドさせるスイッチである。すなわち、選択スイッチ15が「梯子の張出」を選択している状態で操作スイッチ14が操作されると、第1駆動装置100により、梯子50が張り出される。選択スイッチ15が「梯子の格納」を選択している状態で操作スイッチ14が操作されると、第1駆動装置100により、梯子50が格納される。選択スイッチ15は、例えば、トグルスイッチである。操作スイッチ14は、例えば、操作されている間だけ操作信号を出力するモーメンタリ型のスイッチである。すなわち、オペレータが操作スイッチ14を操作(例えば、押し操作)している間だけ、梯子50がスライドする。詳しくは後述される。
また、キャビン13は、不図示の制御ボックスを有する。制御ボックスは、制御基板を収容する。制御基板は、マイクロコンピュータや抵抗やコンデンサやダイオードや種々のICを実装されており、コントローラ40及び電源回路134を構成している。また、音声を出力するスピーカ46が制御基板に実装されている。スピーカ46は、コントローラ40から入力された音声信号に応じた音声を出力する。コントローラ40や電源回路134については、後述される。
クレーン車10は、図1が示すように、オペレータがキャビン13まで上り、或いはオペレータがキャビン13から下りるために使用される乗降装置19をさらに備える。乗降装置19は、図4に示すように、梯子50と、梯子50をスライド自在に支持する支持機構70と、梯子50を移動させる第1駆動装置100(図2)と、梯子50を固定するロック装置110(図9)と、を有する。
梯子50は、図4が示すように、第1ステップ板51、第2ステップ板52、第3ステップ板53、第4ステップ板54、第5ステップ板55、側板56、連結部材57、58、及び手摺59を備える。
各ステップ板51、52、53、54、55は、上下方向7における位置(高さ)がそれぞれ相違する。第1ステップ板51は、最も上に位置する最上位のステップ板である。第1ステップ板51は、上部固定部材27の上に位置し、後述の第1支持装置71(図6)によって、左右方向9に沿ってスライド自在に支持されている。第1ステップ板51は、例えば、アルミニウムや鉄やステンレスなどからなる金属の板材をプレス加工や溶接などによって加工して製造される。
第1ステップ板51は、図6が示すように、下面が開放された箱状のステップ本体60と、ステップ本体60の側面から側方に向かって突出する突出片61と、を備えている。図示例では、突出片61は、上下方向7を厚みとする板状であって、ステップ本体60の後面の右端部から後方に向かって突出している。突出片61は、例えば、溶接によってステップ本体60に固定され、或いは、ステップ本体60と一体に形成されている。
突出片61は、突出片61を上下方向7に貫通する係合孔62を有する。係合孔62は、後述の連結部材57(図4)の上端部を挿通可能な形状とされている。図示例では、連結部材57の上端部は円柱状であり、係合孔62は、丸孔である。第1ステップ板51は、係合孔62に挿通された連結部材57により、他のステップ板52、53、54、55と連動して移動される。詳しくは後述される。
第2ステップ板52は、図4に示すように、第1ステップ板51よりも低い位置に位置するステップ板である。第3ステップ板53は、第2ステップ板52よりも低い位置に位置するステップ板である。第4ステップ板54は、第3ステップ板53よりも低い位置に位置するステップ板である。第5ステップ板55は、第4ステップ板54よりも低い位置に位置し、最も下に位置する最下位のステップ板である。
ステップ板53、54、55は、側板56によって連結されている。詳しく説明すると、側板56は、左右方向9を厚みとする板状である、側板56は、溶接などによって、左右方向9におけるステップ板53、54、55の端部と一体に結合されている。図示例では、側板56は、ステップ板53、54、55の右端部と固定されている。
また、ステップ板52、53、54、55は、左右一対の連結部材57、58によって連結されている。左の連結部材58は、棒状である。左の連結部材58は、溶接などによって、ステップ板52、53、54、55の左端部と結合されている。右の連結部材57は、溶接などによって、第2ステップ板52の右端及び側板56と結合されている。
ステップ板52、53、54、55は、側板56及び左右一対の連結部材57、58によって、一体とされている。ステップ板52、53、54、55、側板56、及び連結部材57、58は、梯子50の下部を構成する。第1ステップ板51は、梯子50の上部を構成する。
ステップ板52、53、54、55と、第1ステップ板51とは、右の連結部材57によって連結されている。詳しく説明すると、右の連結部材57は、第1ステップ板51の係合孔62に挿通可能な長さまで、左の連結部材58よりも長くされている。右の連結部材57の延出された先端部は、第1ステップ板51の係合孔62に挿通されている。ステップ板52、53、54、55及び右の連結部材57が一体となって左右方向9に沿ってスライドすると、右の連結部材57の先端部が第1ステップ板51の係合孔62の周壁に当接して当該周壁を押す。第1ステップ板51は、右の連結部材57の先端部に押されることにより、ステップ板52、53、54、55と連動して移動する。
手摺59は、折れ曲がった棒状の部材である。手摺59の両端は、溶接などによって、右の連結部材57に固定されている。
梯子50は、支持機構70によって、図3に示される格納位置と、図4に示される張出位置との間において、左右方向9に沿ってスライド自在に支持されている。具体的には、支持機構70は、第1ステップ板51をスライド自在に支持する第1支持装置71(図5)と、第2ステップ板52から第5ステップ板55までをスライド自在に支持する第2支持装置72(図7)と、を備える。すなわち、第1支持装置71は、梯子50の上部をスライド自在に支持し、第2支持装置72は、梯子50の下部をスライド自在に支持する。
第1支持装置71は、図5、図6が示すように、前後一対のローラ87、88と、前後一対のガイドレール64、65と、回転ユニット73と、を有する。
前後一対のローラ87、88は、ステップ本体60の下面側に配置されており、ステップ本体60に回転自在に保持されている。詳しく説明すると、ステップ本体60は、前後方向8に沿って延びる丸棒状の不図示の軸の前後両端部を固定している。当該軸は、前後方向8におけるステップ本体60の前部及び後部にそれぞれ設けられている。当該軸は、ローラ87、88をそれぞれ回転自在に保持している。ローラ87、88は、第1ステップ板51が図3に示される格納位置と図4に示される張出位置との間でスライドされると、上部固定部材27の上面に当接して回転する。回転するローラ87、88は、第1ステップ板51と上部固定部材27との間に生じる摺動抵抗を低減する。すなわち、ローラ87、88は、第1ステップ板51をスムースにスライドさせる。
ガイドレール64、65は、図6に示すように、左右方向9に沿って延びており、第1ステップ板51のステップ本体60の下面に、ボルト締めや溶接などによって固定されている。ガイドレール64と、ガイドレール65とは、前後方向8において互いに離間している。
ガイドレール65よりも前方に位置するガイドレール64は、前後方向8を厚み方向とする板状の板状本体66と、板状本体66の下端から後方に向かって突出し、上下方向7を厚み方向とする板状の支持片67とを有する。一方、ガイドレール64よりも後方に位置するガイドレール65は、前後方向8を厚み方向とする板状の板状本体68と、板状本体68の下端から前方に向かって突出し、上下方向7を厚み方向とする板状の支持片69とを有する。
ガイドレール64の板状本体66と、ガイドレール65の板状本体68とは、後述の回転ユニット73のローラ79、80、81、82の左右両外側に位置する。第1ステップ板51は、ローラ79、80、81、82(図5)が前後方向8において板状本体66、68に当接することにより、前後方向8への移動を規制される。
ガイドレール64の支持片67及びガイドレール65の支持片69と、第1ステップ板51のステップ本体60とは、回転ユニット73のローラ79、80、81、82の上下両側に位置する。第1ステップ板51は、ローラ79、80、81、82が上下方向7において支持片67、69及びステップ本体60に当接することにより、上下方向7への移動を規制される。そして、第1ステップ板51は、ローラ79、80、81、82が支持片67、69或いはステップ本体60の下面に当接して転がることにより、左右方向9に沿ってスライドする。
回転ユニット73は、図5、6に示す通り、支持プレート74と、前後一対の側板75、76と、左右一対の軸77、78と、前後一対のローラ79、80及び前後一対のローラ81、82とを有する。支持プレート74は、ボルト86によって上部固定部材27(図4)に固定されている。前後一対の側板75、76は、溶接などにより、支持プレート74の上面に固定されている。側板75、76は、前後方向8において互いに離間している。
側板75、76は、軸77、78を固定している。詳しく説明すると、軸77、78は、前後方向8に延びる丸棒状である。側板75は、前後方向8における軸77、78の前端部が挿通される左右一対の不図示の貫通孔を有している。同様に、側板76は、前後方向8における軸77、78の後端部が挿通される左右一対の不図示の貫通孔を有している。軸77、78は、側板75、76の貫通孔に前後両端部がそれぞれ挿通されることにより、側板75、76に固定されている。
ローラ79は、前後方向8における軸77の前端部に回転自在に保持されている。ローラ80は、前後方向8における軸77の後端部に回転自在に保持されている。ローラ81は、前後方向8における軸78の前端部に回転自在に保持されている。ローラ82は、前後方向8における軸78の後端部に回転自在に保持されている。
前後方向8においてローラ80、82の前方に位置するローラ79、81は、上下方向7において、ガイドレール64の支持片67とステップ本体60との間に位置している。一方、前後方向8においてローラ79、81の後方に位置するローラ80、82は、上下方向7において、ガイドレール65の支持片69とステップ本体60との間に位置している。そして、ローラ79、80、81、82は、前後方向8において、ガイドレール64の板状本体66とガイドレール65の板状本体68との間に位置している。回転ユニット73は、図3に示す通り、第1ステップ板51が上部固定部材27の上に位置する格納位置と、図4に示す通り、第1ステップ板51が上部固定部材27の右方に張り出した張出位置との間で、第1ステップ板51を左右方向9に沿ってスライド自在に支持している。
なお、回転ユニット73が左右方向9において第1ステップ板51の側壁等と当接することにより、第1ステップ板51が張出位置を超えて右方に移動することが規制され、かつ、第1ステップ板51が格納位置を超えて左方に移動することが規制されている。
上述のように、第1支持装置71は、第1ステップ板51を、格納位置と張出位置との間において、上下方向7及び前後方向8への移動を規制しつつ、左右方向9に沿ってスライド自在に支持している。
第2支持装置72は、図7が示すように、梯子50の側板56に固定された係合部材91(図4)及び被係合部材93を備える。
係合部材91は、図4に示す通り、左右方向9における側板56の左面の下部から左方に向かって突出している。係合部材91は、図7に示す通り、左右方向9に沿って延びる棒状である。また、係合部材91は、上面が開放された箱状である。係合部材91は、例えば、金属板をプレス加工などによって折り曲げて形成される。係合部材91の左右方向9における右端部は、ボルト締めや溶接などによって側板56に固定されている。なお、係合部材91は、プレート状や円柱状や円筒状など、他の形状であってもよい。
ローラ95が、係合部材91の突出の先端部、すなわち、左右方向9における係合部材91の左端部に設けられている。詳しく説明すると、前後方向8における係合部材91の前壁及び後壁は、前後方向8に延びる丸棒状の不図示の軸の前後両端部をそれぞれ固定している。ローラ95は、当該軸に回転自在に支持されている。
被係合部材93は、左右方向9に沿って延びる棒状である。また、被係合部材93は、下面が開放された箱状である。被係合部材93は、係合部材91が内側に嵌入可能な大きさに形成されている。被係合部材93は、金属板をプレス加工などによって折り曲げて形成される。被係合部材93は、ボルト86(図8)や溶接などによって、下部走行体11の下部固定部材28(図4)に固定されている。なお、被係合部材93は、係合部材91をスライド自在に保持できる形状であればよい。例えば、係合部材91が円柱状や円筒状であれば、被係合部材93は、円筒状や円柱状に形成される。係合部材91がプレート状であれば、被係合部材93は、ガイドレール状に形成される。
前後方向8における係合部材91の外側面が、前後方向8における被係合部材93の内側面に当接することにより、係合部材91は、前後方向8における移動を規制される。すなわち、ステップ板52、53、54、55(以下、梯子50の下部とも記載する)は、被係合部材93により、前後方向8における移動が規制される。
被係合部材93の上壁の下面は、係合部材91の突出の先端部に設けられた上述のローラ95と当接する。ローラ95は、梯子50の下部が格納位置と張出位置との間をスライドされると、被係合部材93の上壁の下面に当接して回転する。回転するローラ95は、梯子50の下部が移動される際の梯子50の下部と下部走行体11の下部固定部材28との間に生じる摺動抵抗を低減する。すなわち、ローラ95は、梯子50の下部をスムースに移動させる。
図8が示すように、ローラ96が、被係合部材93に設けられている。図8は、被係合部材93を水平面に沿って切断した断面図である。ローラ96は、前後方向8に沿って延びる丸棒状の回転軸97に固定されており、回転軸97と一体に回転自在である。前後方向8における回転軸97の両端部は、前後一対の保持プレート98に回転自在に保持されている。保持プレート98は、ボルト86を用いて、被係合部材93に固定されている。
前後方向8における回転軸97の一端部(図示例では後端部)は、後述の第1駆動装置100(図2)のモータ101のシャフト102と連結されている。すなわち、回転軸97及びローラ96は、モータ101によって回転駆動される。
ローラ96は、係合部材91の下壁の下面と当接している。モータ101によって回転駆動されたローラ96は、係合部材91の下壁の下面と当接し、梯子50の下部を格納位置と張出位置との間でスライドさせる。詳しく説明すると、梯子50の自重により、係合部材91の下壁の下面は、ローラ96に押圧される。そして、ローラ96を支点とし、梯子50と繋がる係合部材91の基端を力点とした場合の作用点である係合部材91の先端は、当該先端に設けられたローラ95が被係合部材93の上壁の下面に当接することによって受けられる。すなわち、梯子50の下部は、ローラ95及びローラ96によって支持されている。
第1駆動装置100は、図2が示すように、モータ101を有する。モータ101は、モータ101の回転速度を低減して回転トルクを高めて回転軸97に伝達する減速ギア機構103を組み込まれている。減速ギア機構103は、例えば、ギア比の相違する複数のギアによって構成される。或いは、減速ギア機構103として、周知の遊星ギア機構が用いられる。
モータ101は、図8が示すように、ボルト86を用いてケース99に固定されている。ケース99は、不図示のボルトによって下部走行体11の下部固定部材28に固定されている。モータ101は、直流モータや、ステッピングモータなどの交流モータである。以下では、モータ101が直流モータである例が説明される。モータ101は、後述の電源回路134(図2)から直流電圧を供給されて駆動される。モータ101が回転駆動されると、モータ101の回転駆動力が減速ギア機構103を介して回転軸97に伝達され、ローラ96が回転駆動される。
ロック装置110(図9)は、張出位置及び格納位置において梯子50を固定する装置である。ロック装置110は、ピン111と、ピン111を保持する保持装置112と、付勢部材113と、第2駆動装置130(図2)と、を備える。
ピン111は、図9に示す通り、上下方向7に沿って延びる棒状である。図示例では、ピン111は円柱状である。但し、ピン111は、角柱状や板状であってもよい。ピン111は、本発明の「ロック部材」の一例である。
保持装置112は、ピン111を上下方向7に沿ってスライド自在に保持する装置である。保持装置112は、一対の保持板114(図10)と、下保持部材115及び上保持部材116と、を有する。
一対の保持板114は、前後方向8を厚みとする板状であり、前後方向8において互いに対向している。一対の保持板114は、ボルトや溶接によって、下部走行体11の下部固定部材28に固定されている。保持板114は、本発明の「保持部材」の一例である。
図9に示す下保持部材115と上保持部材116とは、ボルト締めや溶接によって互いに固定されている。また、下保持部材115と上保持部材116とは、ボルトによって保持板114に固定されている。
下保持部材115は、直方体状であり、ピン111が挿通された不図示の挿通孔を有している。当該挿通孔は、下保持部材115を上下方向7において貫通している。下保持部材115は、挿通孔に挿通されたピン111を上下方向7にスライド自在に保持する。
上保持部材116は、ボルトによって保持板114に固定される保持本体117と、保持本体117の上端部から水平方向に突出する保持片118とを有する。保持片118は、第2駆動装置130(図2)のエアシリンダ132(図2)のシャフトが挿通された挿通孔119を有する。挿通孔119は、上下方向7において保持片118を貫通する。エアシリンダ132のシャフトの先端は、ピン111の上端と結合されている。すなわち、ピン111は、エアシリンダ132によって上下方向7に沿ってスライドされる。なお、保持装置112を明瞭に図示するため、図9では、エアシリンダ132を破線で表示している。
ピン111は、エアシリンダ132によって、最下点のロック位置(図9)と、最上点の非ロック位置(図10)との間でスライドされる。
梯子50と一体にスライドする上述の係合部材91(図7)は、非ロック位置からロック位置に移動したピン111が挿入される2つの係合孔120(図9)を有する。一方の係合孔120は、梯子50が格納位置にある場合において、ピン111を挿通される。他方の係合孔120は、梯子50が張出位置にある場合において、ピン111を挿通される。係合孔120に挿通されたピン111は、係合部材91を通じて梯子50を格納位置及び張出位置に固定する。なお、係合孔120に代えて、ピン111が嵌る切欠や凹みや、或いは、左右方向9においてピン111と当接する突起が係合部材91に設けられていてもよい。係合孔120や、上記切欠や、上記凹みや、上記突起は、本発明の「係合部」の一例である。
付勢部材113は、例えば、コイルスプリングや板バネなどの弾性部材である。付勢部材113の一端は、保持板114に支持されており、他端は、エアシリンダ132のシャフト又はピン111に支持されている。付勢部材113は、エアシリンダ132のシャフトを通じて、或いは直接、ピン111を下向きに付勢する。すなわち、付勢部材113は、ピン111をロック位置に向かって付勢する。
第2駆動装置130は、図2が示すように、エアポンプ131と、エアシリンダ132と、アキュムレータ133と、を備える。エアポンプ131は、例えば、エアコンプレッサである。エアポンプ131は、不図示のモータ或いはクレーン車10のエンジンによって駆動される。エアポンプ131は、エアシリンダ132にエアを供給し、エアシリンダ132を駆動させる。また、エアポンプ131は、アキュムレータ133にエアを供給する。アキュムレータ133は、例えば、エンジンが停止されている場合に、エアシリンダ132にエアを供給し、エアシリンダ132を駆動させる。
エアシリンダ132のシャフトの下端は、図12に示す通り、ピン111の上端と結合されている。エアポンプ131またはアキュムレータ133からエアシリンダ132にエアが送出されると、エアシリンダ132のシャフト及び当該シャフトと結合されたピン111が、付勢部材113の付勢力に抗して上方に移動する。すなわち、ロック位置にあるピン111が、非ロック位置に移動される。エアポンプ131へのエアの供給が停止され、エアシリンダ132からエアが抜かれると、ピン111は、付勢部材113の付勢力によって、非ロック位置からロック位置に移動される。
なお、エアポンプ131とエアシリンダ132との間のエアの経路には、電磁弁が設けられている。電磁弁は、例えば常閉であり、後述のコントローラ40から駆動信号が入力されることによって開放する。すなわち、コントローラ40は、電磁弁に駆動信号を出力することにより、エアシリンダ132の駆動を制御することができる。
ロック装置110は、図9が示すように、レバー部材121をさらに備える。レバー部材121は、エアポンプ131やエアシリンダ132や上記電磁弁など、第2駆動装置130が故障してピン111を自動で移動させることができない場合に使用される部材である。レバー部材121は、本発明の「固定部材」の一例である。
レバー部材121は、上下方向7に沿って延びる棒状の第1片122と、水平方向に沿って延びる棒状の第2片123と、を有する。レバー部材121は、例えば、丸棒状の部材を折り曲げて形成される。
レバー部材121は、第1位置と第2位置との間で上下方向7に沿ってスライド自在に保持板114に保持されており、かつ、回動自在に保持板114に保持されている。
詳しく説明すると、保持板114は、レバー保持部124を有している。レバー保持部124は、例えば、金属板をプレス加工して製造した部材を保持板114に溶着することによって形成される。レバー保持部124は、保持板114の側面から水平方向に突出する上下一対の保持片125、126を有する。保持片125、126は、レバー部材121の第1片122が嵌る切欠127、128をそれぞれ有している。保持片125、126は、上下方向7に沿ってスライド自在に、かつ、第1片122の中心軸周りに回動自在にレバー部材121を保持している。
また、保持板114は、レバー部材121の第2片123と係合する係合部として、係合開口140を有する。係合突起141が、係合開口140を区画する周面から水平方向に突出している。レバー部材121の第2片123は、第1位置において係合開口140を区画する周面の内の下面である係合面142と当接し、第2位置において、係合突起141の上面と当接する。
詳しく説明すると、レバー部材121が図9に示す第1位置にある状態において、オペレータは、レバー部材121の第2片123を指で引っ掛けてレバー部材121を回動させ、次いで、レバー部材121の第2片123を第2位置まで持ち上げる。第2位置は、レバー部材121の第2片123が係合突起141よりも上となる位置である。その後、オペレータは、レバー部材121を回動させ、レバー部材121の第2片123を係合突起141の上に乗せて、図10が示す状態とする。
なお、上下方向7における係合面142と係合突起141の下端との間の距離は、レバー部材121の第2片123の直径とほぼ同じにされている。第1位置において、レバー部材121の第2片123は、係合面142と係合突起141との間に挟まれる。レバー部材121の第2片123が係合面142と係合突起141との間に挟まれることにより、レバー部材121は、上下方向7における移動を規制される。
レバー部材121は、図10に示す通り、鎖143によってピン111と連結されている。具体的には、鎖143の一端は、ピン111の上端に繋がれており、鎖143の他端は、レバー部材121の第1片122に繋がれている。図10が示すように、鎖143の他端を繋ぐ接続片148がピン111の第1片122の側面に溶接されている。鎖143は、本発明の「連結体」の一例である。鎖143と繋がれたレバー部材121の第1片122は、本発明の「本体」の一例であり、第2片123は、本発明の「把持片」の一例である。
ピン111に繋がれた鎖143の上記一端の位置は、レバー部材121の第1片122に繋がれた上記他端の位置よりも下方にある。したがって、ピン111がロック位置(図9)と、ロック位置よりも上方の位置である非ロック位置との間で移動しても、鎖143を通じてレバー部材121に負荷が加わらない。一方、第1位置にあるレバー部材121がオペレータによって第2位置まで持上げられると、レバー部材121に繋がれた鎖143によって、ピン111がロック位置から非ロック位置まで、付勢部材113の付勢力に抗して持上げられる。その後、レバー部材121が第2位置から回動され、レバー部材121の第2片123が係合突起141に引っ掛けられると、レバー部材121は、第2位置に保持される。そして、レバー部材121と鎖143によって繋がれたピン111は、非ロック位置で保持される。
レバー部材121が図10に示す第2位置にある状態から、オペレータがレバー部材121を回動させてレバー部材121と係合突起141との係合を解除すると、付勢部材113の付勢力によってピン111が非ロック位置からロック位置に移動される。ピン111が移動すると、ピン111に繋がれた鎖143によって、レバー部材121が第2位置から第1位置に移動される。ロック位置に移動したピン111により、梯子50が固定される。
上述のように、ピン111を移動させる第2駆動装置130(図2)に故障があった場合であっても、オペレータは、手動でピン111をロック位置から非ロック位置に移動させ、かつ、ピン111を非ロック位置で固定することができる。また、第1駆動装置100(図2)によって梯子50が格納位置から張出位置へ、或いは張出位置から格納位置へ移動された後、オペレータは、レバー部材121を操作してピン111を非ロック位置からロック位置へ移動させて梯子50を張出位置及び格納位置で固定することができる。
上述の第1駆動装置100のモータ101は、図2が示す電源回路134から供給される直流電圧によって駆動される。電源回路134は、モータ101やコントローラ40に供給する直流電圧を生成する回路である。電源回路134は、例えば、スイッチングレギュレータなどのDC−DCコンバータである。電源回路134は、下部走行体11に搭載されたバッテリ23から供給された直流電圧を、安定した所定の電圧値の直流電圧に変換して出力する。電源回路134は、例えば、バッテリ23から供給された12Vや24V等の直流電圧を、3.3Vや5Vや12V等の安定した直流電圧に変換して出力する。
コントローラ40は、例えば、電源回路134の出力端とモータ101との間に設けられたスイッチ135をオンオフさせる信号を出力することにより、モータ101の駆動を制御する。具体的には、スイッチ135は、c接点を有するスイッチである。コントローラ40は、スイッチ135の接点を切り替えることにより、モータ101に供給される直流電圧の極性(正負)を制御して、モータ101の回転の向きを制御する。また、コントローラ40は、電源回路134が有するスイッチング素子に入力する駆動信号のデューティー比を制御することにより、モータ101に供給される直流電圧の大きさを制御し、モータ101の回転数を制御する。なお、コントローラ40におけるモータ101の回転数及び回転の向きの制御は一例であって、他の制御方法が用いられてもよい。
コントローラ40は、中央演算処理装置であるCPU41と、ROM42と、RAM43と、メモリ44と、を備える。
ROM42は、オペレーションシステムであるOS47と、制御プログラム48とを記憶する。OS47及び制御プログラム48は、アドレスに記述された命令をCPU41が実行することにより、実行される。制御プログラム48は、電源回路134に入力する駆動信号や、スイッチ135に入力する制御信号や、スピーカ46に入力する音声信号等を生成して出力する。
RAM43は、制御プログラム48の実行に用いられる。メモリ44は、制御プログラム48の実行に必要なデータを記憶する。
制御プログラム48は、操縦装置18の操作スイッチ14が操作されたことに応じて、梯子50をスライドさせて梯子50を張り出し或いは格納する張出/格納処理を実行する。図11は、張出/格納処理のフローチャートを示す。以下、制御プログラム48が実行する張出/格納処理と、張出/格納処理における梯子50やロック装置110の動作について説明がされる。なお、梯子50が張り出される場合と、格納される場合とでは、モータ101の回転の向きが反対向きであること以外は、同じ処理が実行される。したがって、以下では、梯子50が張り出される場合の処理について説明がされる。また、以下では、制御プログラム48が実行する処理は、コントローラ40が実行する処理として記載される。
[張出/格納処理]
オペレータは、梯子50を張り出す場合、選択スイッチ15が「梯子の張出」を選択した状態にした後で、操作スイッチ14を押し操作する。押し操作された操作スイッチ14は、操作信号をコントローラ40に入力する。コントローラ40は、操作スイッチ14から操作信号が入力されたか否かを判断する(S11)。コントローラ40は、操作スイッチ14から操作信号が入力されるまで待機する(S11:No)。
コントローラ40は、操作スイッチ14から操作信号が入力されたと判断すると(S11:Yes)、エアポンプ131を駆動させる駆動信号、及び、エアポンプ131からエアシリンダ132に通じる通路に設けられた電磁弁を駆動させる駆動信号を出力する。駆動信号により、エアポンプ131からエアシリンダ132にエアが送出され、エアシリンダ132が駆動する(S12)。なお、コントローラ40は、エンジンが停止しているか否かを判断し、エンジンが停止していると判断すると、アキュムレータ133からエアシリンダ132に通じる通路に設けられた電磁弁を駆動させる駆動信号を出力する。すなわち、コントローラ40は、アキュムレータ133からエアシリンダ132にエアを供給させ、エアシリンダ132を駆動させる。
駆動したエアシリンダ132は、付勢部材113の付勢力によってロック位置にあるピン111を、付勢部材113の付勢力に抗して上方に向かってスライドさせる。スライドされたピン111は、ロック位置から非ロック位置に移動する。すなわち、梯子50のロックが解除される。なお、コントローラ40は、ピン111が非ロック位置に確実に移動したか否かをセンサによって確認してもよい。例えば、非ロック位置に移動したピン111によって押し操作されるスイッチがロック装置110に設けられていてもよい。コントローラ40は、エアシリンダ132を駆動してもピン111が非ロック位置に移動していないと判断すると、スピーカ46に音声信号を出力し、スピーカ46に警告音を報知させる。
コントローラ40は、エアシリンダ132を駆動させた後、電源回路134を通じてモータ101に電力を供給し、かつスイッチ135に制御信号を入力し、モータ101を第1回転向きに回転駆動させる(S13)。第1回転向きは、梯子50を格納位置から張出位置に向かってスライドさせる回転の向きである。回転駆動されたモータ101は、第2支持装置72のローラ96を回転させる。回転されたローラ96は、梯子50の下部を張出位置に向かって移動させる。
梯子50の下部が張出位置に向かって移動すると、梯子50の連結部材57の先端部は、第1ステップ板51の係合孔62の周壁に当接し、第1ステップ板51を張出位置に向かって押す。連結部材57の先端部によって押された第1ステップ板51は、張出位置に向かって移動する。すなわち、第1ステップ板51は、梯子50の下部に連動して張出位置に向かって移動する。張出位置に向かって移動した梯子50は、張出位置に到達する。梯子50が張出位置に到達すると、係合部材91の一部が被係合部材93に当接し、かつ、第1支持装置71のローラ81、82(図6)がステップ本体60の側壁に当接し、張出位置において梯子50の移動が停止する。
次に、コントローラ40は、操作スイッチ14が継続して操作されているか否かを判断する(S14)。コントローラ40は、操作スイッチ14が継続して操作されていると判断すると(S14:Yes)、モータ101の駆動を継続する(S13)。コントローラ40は、操作スイッチ14の操作が停止されたと判断すると(S14:No)、モータ101の駆動を停止させる(S15)。すなわち、オペレータが操作スイッチ14を操作している間、梯子50がスライドする。
コントローラ40は、モータ101の駆動を停止した後、エアポンプ131からエアシリンダ132に通じる通路に設けられた電磁弁への駆動信号の入力を停止する。また、コントローラ40は、エアシリンダ132のエアを開放する。すなわち、コントローラ40は、エアシリンダ132の駆動を停止するとともに、エアシリンダ132のエアを開放する(S16)。
なお、コントローラ40は、梯子50が張出位置に確実に移動したか否かをセンサによって確認してもよい。例えば、ロック位置に移動した梯子50によって押し操作されるスイッチが第2支持装置72に設けられていてもよい。コントローラ40は、梯子50が張出位置に移動していないと判断すると、エアシリンダ132の駆動を継続し、操作スイッチ14の操作の再開を受け付ける。すなわち、コントローラ40は、操作スイッチ14の操作の再開を受け付ける待機状態となる。
エアシリンダ132の駆動が停止され、かつエアシリンダ132のエアが開放されると、ピン111は、付勢部材113の付勢力により、下方に向かって移動される。下方に向かって移動されたピン111は、係合部材91の係合孔120に挿通される。係合孔120に挿通されたピン111は、梯子50を固定する。すなわち、梯子50が下部走行体11に固定される。なお、コントローラ40は、ピン111がロック位置に確実に移動したか否かをセンサによって確認してもよい。例えば、ロック位置に移動したピン111によって押し操作されるスイッチがロック装置110に設けられていてもよい。コントローラ40は、ピン111がロック位置にないと判断すると、スピーカ46に音声信号を出力し、スピーカ46に警告音を報知させる。
コントローラ40は、ステップS16の処理の実行後、格納/張出処理を終了する。なお、梯子50が格納される場合、コントローラ40は、ステップS13において、第1回転向きの反対向きである第2回転向きにモータ101を回転させる。
[実施形態の作用効果]
本実施形態では、オペレータは、ピン111を移動させる第2駆動装置130が故障した場合であっても、梯子50の固定を手動で解除でき、かつ、梯子50を格納位置及び張出位置で再び固定することができる。その結果、本発明に係る作業車は、第2駆動装置130に故障が生じた場合であっても、梯子50の固定をオペレータに容易に解除させ、かつ梯子50を格納位置及び張出位置で再び固定させることができる。
また、本実施形態では、ピン111とレバー部材121とは、鎖143で接続されている。したがって、ロック位置と非ロック位置との間でのピン111の移動に連動してレバー部材121が上下に移動することが防止されている。したがって、レバー部材121の耐久性が向上する。また、連結体として鎖143を使用することにより、連結体として紐を使用する場合よりも、連結体としての耐久性が向上する。
[変形例1]
上述の実施形態では、オペレータが、レバー部材121を用いてピン111を移動させ、非ロック位置でピン111を固定する例が説明された。本変形例では、オペレータが、棒状の固定部材144(図12)を用いてピン111を非ロック位置で固定する例が説明される。
固定部材144は、一対の保持板114の水平方向における離間距離よりも長い棒状の部材である。一対の保持板114は、互いに対向する係合開口145をそれぞれ有している。図12では、固定装置110を明瞭に図示するため、一方の保持板114の図示が省略されている。
係合開口145は、2点鎖線で示された固定部材144を挿通される。係合開口145を区画する周面の内の下面は、固定部材144の両端部をそれぞれ支持する。すなわち、固定部材144は、両端部を一対の保持板114に支持される。一対の保持板114は、本発明の「保持部材」の一例である。
一方、ピン111は、側面から水平方向に突出する突出部147を有している。ピン111は、本発明の「ロック本体」の一例である。
オペレータは、突出部147に指を引っ掛けて、ロック位置にあるピン111を、付勢部材113の付勢力に抗して非ロック位置まで持ち上げる。次いで、オペレータは、ピン111の突出部147の下を通るようにして、係合開口145及び係合開口145に対向する係合開口(図示せず)に、固定部材144を挿通する。ピン111の突出部147は、付勢部材113の付勢力により、固定部材144を上から押圧する。押圧された固定部材144は、係合開口145、146を区画する周面の内の下面に押し付けられる。その結果、固定部材144は、一対の保持板114に保持され、ピン111は、固定部材144によって、非ロック位置で保持される。
[変形例1の作用効果]
本変形例では、棒状の固定部材144及び一対の保持板114に設けられた係合開口145及び係合開口145に対向する係合開口(図示せず)によってピン111を非ロック位置で保持することができるので、上述の実施形態よりも、保持板114などの構成を簡単にすることができる。その結果、乗降装置19の製造コストを低減することができる。
[変形例2]
上述の実施形態では、操作スイッチ14が操作されている間だけ、梯子50が移動する例が説明された。しかしながら、梯子50は、オペレータによる1回の操作スイッチ14の操作で格納位置から張出位置まで、また、張出位置から格納位置まで移動されてもよい。
コントローラ40は、図11が示す張出/格納処理のステップS14において、操作スイッチ14が継続して操作されているか否かを判断する処理に代えて、モータ101の駆動を開始してからの経過時間が所定時間を超えたか否かを判断する。なお、コントローラ40は、当該所定時間からカウントダウンを行うカウントダウンタイマを有しており、ステップS13においてモータ101を駆動させたことに応じて、カウントダウンタイマを起動させる。或いは、コントローラ40は、カウントアップカウンタを有しており、ステップS13においてモータ101を駆動させたことに応じてカウントアップカウンタを起動させ、カウントアップカウンタのカウント値がメモリ44に予め記憶された所定時間を超えたか否かを判断する。所定時間は、梯子50が格納位置から張出位置まで、或いは張出位置から格納位置まで移動するのに要する時間よりも長い時間である。
コントローラ40は、モータ101の駆動を開始してからの経過時間が所定時間を超えていないと判断すると、モータ101の駆動を継続する(S13)。コントローラ40は、モータ101の駆動を開始してからの経過時間が所定時間を超えたと判断すると、モータ101の駆動を停止させる(S15)。すなわち、梯子50が格納位置から張出位置に到達するまで、或いは張出位置から格納位置に到達するまで、モータ101が駆動される。
なお、コントローラ40は、梯子50が張出位置や格納位置に到達したか否かを、センサによって確認してもよい。例えば、張出位置や格納位置に到達した梯子50によって押し操作されるスイッチが、第2支持装置72に設けられる。コントローラ40は、梯子50が張出位置や格納位置に到達していないと判断すると、スピーカ46に音声信号を出力し、スピーカ46に警告音を報知させる。
[変形例2の作用効果]
本変形例では、モータ101は、梯子50が格納位置から張出位置に到達するまで、或いは張出位置から格納位置に到達するまで駆動される。したがって、梯子50が格納位置と張出位置との間にあって梯子50がピン111に固定されていない状態となることが防止される。すなわち、梯子50が固定されていない状態でクレーン車10が走行したり、梯子50が固定されていない状態でオペレータが梯子50を上り下りしたりすることが防止される。
[その他の変形例]
上述の実施形態では、梯子50が直流のモータ101によって移動される例が説明された。しかしながら、梯子50は、モータ101以外の駆動源によってスライドされてもよい。例えば、梯子50は、交流モータや、油圧モータや、油圧シリンダや、エアシリンダや、電動シリンダなど、他の駆動源によって移動されてもよい。
また、上述の実施形態では、エアシリンダ132によってピン111がロック位置と非ロック位置との間で移動される例が説明された。しかしながら、ピン111は、直流モータや交流モータや油圧モータや油圧シリンダや電動シリンダなど、他の駆動源によって移動されてもよい。
また、上述の実施形態では、1つの駆動源(モータ101)によって梯子50が移動される例が説明された。しかしながら、第1の駆動源によって第1ステップ板51が移動され、第2の駆動源によって梯子50の下部が移動されてもよい。すなわち、第1ステップ板51である梯子50の上部と、梯子50の下部とが、各々独立して移動されてもよい。なお、その場合、第1ステップ板51と、ステップ板52、53、54、55とは、連結されなくてもよい。
また、上述の実施形態では、レバー部材121とピン111とが鎖143によって連結された例が説明された。しかしながら、レバー部材121とピン111とは、鎖143に代えて、紐によって連結されていてもよい。また、ピン111の移動に連動してレバー部材121が移動することを許容すれば、鎖143に代えて、金属プレートや金属棒などが用いられてもよい。
また、上述の実施形態では、操作スイッチ14及び選択スイッチ15がキャビン13に設けられた例が説明された。しかしながら、操作スイッチ14及び選択スイッチ15は、リモートコントロール装置に設けられていてもよい。オペレータは、リモートコントロール装置に設けられた操作スイッチ14及び選択スイッチ15を押し操作することにより、キャビン13以外の場所において、梯子50を張り出し、或いは格納することができる。
また、上述の実施形態では、操作スイッチ14の操作に連動してエアシリンダ132が駆動されてピン111がスライドされる例が説明された。しかしながら、エアシリンダ132を駆動させる操作スイッチが操縦装置18に設けられていてもよい。