以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
図1に示すように、本実施形態の回転検出装置1は、例えば、車両に搭載される車輪速センサであって、車輪とともに回転する回転体80に対向するように配置されており、回転体80の回転状態を検出する。回転体80の回転状態は、例えば、回転体80の回転数、回転速度または回転角度等である。
(一実施形態)
回転検出装置1は、回転検出部10、アウターリード20、複数のターミナル30、ターミナル樹脂部40、ハウジング50、ステー樹脂部60、カラー部材70およびシール部材75を備える。なお、図1において、構成を明確にするため、ターミナル30を通る回転検出装置1の断面図が記載されている。
回転検出部10は、回転体80に対向する位置に配置されており、ICチップ11およびパッケージ部12を有する。なお、断面図において、構成を明確にするため、ICチップ11は、破線で示されている。また、パッケージ部12は、斜線ハッチングではなく白色で示されている。
ICチップ11は、図示はしないが、センサ素子および信号処理回路を含み、回転体80の回転状態を検出可能である。センサ素子は、磁気抵抗素子であって、磁界の変化に伴った出力を発生させ、回転体80の回転状態に対応する検出信号を出力する。例えば、回転体80の外周面は、N極およびS極に着磁されている。または、回転体80の外周面には凹凸が形成されている。回転体80が回転するとき、回転体80およびセンサ素子の間の磁界が変化し、センサ素子は、検出信号を出力する。信号処理回路は、センサ素子からの信号を処理する。
パッケージ部12は、ICチップ11を樹脂で覆うように、形成されている。また、パッケージ部12は、アウターリード20を露出させつつ、アウターリード20の一部を覆っている。さらに、パッケージ部12は、パッケージ検出面121およびパッケージ非検出面122を含む。パッケージ検出面121は、回転体80側のパッケージ部12の端面である。パッケージ非検出面122は、回転体80とは反対側のパッケージ部12の端面である。
アウターリード20は、金属等の導電性部材で形成されており、板状とされている。本実施形態では、アウターリード20は、2つで一対になって、ターミナル30と接続されている。アウターリード20は、ICチップ11から引き出されるように、延びている。アウターリード20の一端部201は、パッケージ部12に覆われており、ICチップ11に接続されている。アウターリード20の他端部202は、パッケージ部12から露出しており、ターミナル30に接続されている。そして、アウターリード20は、ICチップ11からの信号をターミナル30に伝達する。
ターミナル30は、黄銅等の導電性部材で形成されており、板状とされている。ターミナル30は、アウターリード20の数に対応して形成されており、本実施形態では、2つで一対になっている。ターミナル30は、アウターリード20を経由したICチップ11からの信号を伝達する。そして、ターミナル30は、リード接続部31、ターミナル延長部32およびターミナル端子部33を有する。
リード接続部31は、アウターリード20に接続されるターミナル30の部位である。本実施形態では、リード接続部31は、溶接等により、アウターリード20の他端部202と接合されている。そして、リード接続部31は、リード接続面311およびリード非接続面312を含む。リード接続面311は、アウターリード20に接続されているリード接続部31の端面である。リード非接続面312は、リード接続面311とは反対側のリード接続部31の端面である。
ターミナル延長部32は、回転検出部10とは反対側に向かって、リード接続部31から延びているターミナル30の部位である。リード接続部31側に位置するターミナル延長部32の一端部321は、ターミナル樹脂部40から露出している。リード接続部31とは反対側に位置するターミナル延長部32の他端部322は、ターミナル樹脂部40に覆われている。
ターミナル端子部33は、ターミナル延長部32が延びている方向に対して交差する方向に延びている。ターミナル延長部32側のターミナル端子部33の一端部331は、ターミナル樹脂部40に覆われている。ターミナル端子部33の一端部331およびターミナル延長部32の他端部322の間の境界部333は、ターミナル端子部33が延びる方向とターミナル延長部32が延びる方向とが交差するように、湾曲している。ターミナル延長部32とは反対側のターミナル端子部33の他端部332は、ターミナル樹脂部40から露出している。また、ターミナル端子部33の他端部332は、例えば、図示はしないが、電子制御装置(ECU)等に接続される。そして、アウターリード20を経由したICチップ11からの信号は、リード接続部31、ターミナル延長部32およびターミナル端子部33を経由して、電子制御装置等に伝達される。
ターミナル樹脂部40は、ターミナル延長部32の他端部322およびターミナル端子部33の一端部331を樹脂で覆うように、形成されている。回転検出部10、リード接続部31、ターミナル延長部32の一端部321およびターミナル端子部33の他端部332は、ターミナル樹脂部40から露出している。そして、ターミナル樹脂部40は、端子保持部41、大径部42、中径部43および先端部44を有する。
端子保持部41は、ターミナル端子部33側のターミナル樹脂部40の部位である。端子保持部41は、ターミナル端子部33の一端部331を覆っている。ターミナル端子部33の他端部332は、端子保持部41から露出している。
大径部42は、端子保持部41よりもパッケージ部12側であって、端子保持部41および中径部43の間に位置するターミナル樹脂部40の部位である。大径部42は、円形形状の断面を含む。大径部42は、径が比較的大きくなるように、形成されている。
中径部43は、大径部42よりもパッケージ部12側であって、大径部42および先端部44の間に位置するターミナル樹脂部40の部位である。中径部43は、円形形状の断面を含む。中径部43は、径が大径部42の径よりも小さくなるように、形成されている。また、中径部43は、径が中径部43の径方向における先端部44の長さよりも大きくなるように、形成されている。
先端部44は、中径部43よりもパッケージ部12側に位置するターミナル樹脂部40の部位である。先端部44は、ターミナル30が延びている方向と同一方向に延びる板状の断面を含む。そして、先端部44は、パッケージ非検出面122およびリード非接続面312と接触するように、形成されている。
ハウジング50は、樹脂で形成されている。ハウジング50は、有底筒状とされており、回転検出部10、アウターリード20、リード接続部31および先端部44を収容している。また、ハウジング50は、中径部43の一部を収容するように、先端部44に嵌め込まれている。
そして、ハウジング50は、開口している側では円筒形状とされ、閉塞している側では中空の四角柱形状とされるように、形成されている。ハウジング50は、開口部51、内側段差部52、傾斜部56、ハウジング筒部53、ハウジング底部54および外側段差部55を有する。開口部51の径方向をハウジング50の径方向とする。また、開口部51の軸方向をハウジング50の軸方向とする。
開口部51は、開口している側のハウジング50の部位である。開口部51は、ハウジング50の径方向における断面が円環形状となるように、形成されている。また、開口部51は、中径部43と篏合または係合している。
内側段差部52は、開口部51の内側において、開口部51の内径が小さくなるように、段形状に形成されているハウジング50の部位である。内側段差部52は、ターミナル樹脂部40の中径部43および先端部44との間に隙間を有している。
傾斜部56は、開口部51およびハウジング筒部53の間に位置するハウジング50の部位である。傾斜部56の外面は、開口部51からハウジング底部54に向かって、ハウジング50の外径が小さくなるように、傾斜している。また、傾斜部56の内面は、ハウジング筒部53の内面と同一平面上となるように、形成されている。なお、「同一」は、製造誤差範囲を含むものとする。
ハウジング筒部53は、傾斜部56よりもパッケージ部12側であって、開口部51およびハウジング底部54との間に位置し、中空の四角柱形状とされるハウジング50の部位である。また、ハウジング筒部53は、回転体80に対向するハウジング対向部531を含む。ハウジング対向部531は、パッケージ検出面121と接触している。このため、回転検出部10およびハウジング対向部531の間の空隙から発生し得る漏れ磁束が抑制される。さらに、ハウジング対向部531とは反対側の部位において、ハウジング筒部53は、ターミナル樹脂部40の先端部44との間に隙間を有する。ハウジング筒部53の内側面およびターミナル樹脂部40の先端部44の間に空間が形成されることで、ターミナル樹脂部40をハウジング50に圧入する必要がなくなり、ターミナル樹脂部40をハウジング50により挿入しやすくなる。
ハウジング底部54は、開口部51とは反対側に位置であって、ハウジング底面541をハウジング50の内側に含むハウジング50の部位である。ハウジング底部54は、回転検出部10および先端部44に対向している。
外側段差部55は、ハウジング対向部531とは反対側に形成されている。外側段差部55は、ハウジング筒部53からハウジング50の径方向内側に向かい、ハウジング底部54からハウジング50の軸方向に向かって凹むように、形成されている。外側段差部55によって、ハウジング50の向きを確認でき、回転検出部10に対するハウジング50の位置決めがしやすくなる。
ステー樹脂部60は、ターミナル端子部33の他端部332を露出させつつ、端子保持部41、大径部42および中径部43を覆う。また、ステー樹脂部60は、開口部51の一部を覆う。そして、ステー樹脂部60は、端子カバー部61、ステー大径部62、ステー小径部63およびハウジング補強部64を有する。
端子カバー部61は、有底筒状とされており、ターミナル端子部33の他端部332を収容しつつ、端子保持部41を覆っているステー樹脂部60の部位である。
ステー大径部62は、大径部42を覆っているステー樹脂部60の部位である。また、ステー大径部62からステー延長部621が延びている。ステー延長部621は、大径部42を覆うステー大径部62の部位から大径部42の径方向外側に向かって延びている。また、ステー延長部621には、一体成形によりカラー部材70が取り付けられている。
ステー小径部63は、ステー大径部62およびハウジング補強部64の間であって、円筒形状とされており、中径部43を覆っているステー樹脂部60の部位である。また、ステー小径部63には、ステー凹部631が形成されている。ステー凹部631は、シール部材75が取り付け可能なように、ステー小径部63の径方向内側に凹んでいる。
ハウジング補強部64は、中径部43および開口部51の一部を覆っているステー樹脂部60の部位である。ハウジング補強部64は、開口部51に篏合または係合しており、中径部43および開口部51の固定を補強している。
カラー部材70は、円筒形状とされており、金属等で形成されている。カラー部材70の内側には、孔が形成されている。カラー部材70は、ステー延長部621に対して回転しないように、かつ、ステー延長部621から外れないように、形成されている。カラー部材70を介して、回転検出装置1は、車両に取り付けられる。
シール部材75は、ゴム等の弾性部材であって、環状に形成されたOリングで構成されており、ステー凹部631に嵌め込まれている。回転検出装置1が車両に取り付けられたとき、シール部材75は、回転検出装置1と車両とのシール性を確保する。
また、図2に示すように、回転検出装置1のターミナル30は、ターミナル屈曲部34をさらに有する。ターミナル屈曲部34は、パッケージ部12側のリード接続部31からパッケージ部12と離れる方向に延びている。また、ターミナル屈曲部34は、リード接続部31が延びている方向と、ターミナル屈曲部34が延びている方向とが交差するように、形成されている。
リード接続部31の位置を半直線の始点Oとする。始点Oは、リード接続部31内において、任意に設定される。パッケージ部12側でリード接続部31が延びている方向と同一方向の半直線を接続部直線Lcとする。始点Oからターミナル屈曲部34が延びている方向と同一方向の半直線を屈曲部直線Lbとする。接続部直線Lcと屈曲部直線Lbとがなす角度を屈曲角度θ[度]とする。ターミナル30は、屈曲角度θが鋭角となっており、次の関係式(1)を満たすように、形成されている。
0°<θ<90° ・・・(1)
また、ターミナル屈曲部34は、リード接続部31よりもパッケージ部12側のターミナル30の部位から折れ曲がっている。なお、ターミナル30は、リード接続部31よりもパッケージ部12側の部位とターミナル屈曲部34の一端部341とを接合して、形成されてもよい。
そして、ターミナル樹脂部40の先端部44は、リード接続部31側のターミナル屈曲部34の一端部341を露出させつつ、リード接続部31とは反対側のターミナル屈曲部34の他端部342を覆う。
また、ターミナル屈曲部34の他端部342の端343は、ターミナル樹脂部40の先端部44から露出している。ターミナル屈曲部34の他端部342の端343が露出することによって、ターミナル樹脂部40を成形するときの位置決めがしやすくなる。
さらに、パッケージ部12、アウターリード20、ターミナル屈曲部34の一端部341およびターミナル樹脂部40の先端部44で区画形成される隙間45が形成されている。また、ターミナル樹脂部40の先端部44のうち、隙間45を区画形成している部分には、樹脂段差部46が形成されている。樹脂段差部46は、パッケージ部12およびアウターリード20と離れる方向に凹んでいる。
また、パッケージ部12は、パッケージ対向面123をさらに含む。パッケージ対向面123は、ハウジング底面541と対向する面である。ハウジング底面541からパッケージ対向面123までの距離をパッケージ距離Dpとする。ターミナル樹脂部40の先端部44は、樹脂対向面441をさらに含む。樹脂対向面441は、ハウジング底面541と対向する面である。ハウジング底面541から樹脂対向面441までの距離を樹脂距離Drとする。なお、本実施形態では、樹脂対向面441は、ハウジング底面541と離れており、樹脂距離Drは、ゼロより大きくなっている。また、ターミナル樹脂部40の先端部44は、樹脂対向面441およびハウジング底面541の間に隙間を含む。
パッケージ部12およびターミナル樹脂部40の先端部44は、パッケージ距離Dpが樹脂距離Dr以上となっており、次の関係式(2)を満たすように、形成されている。
Dr≦Dp ・・・(2)
また、ターミナル樹脂部40の先端部44は、樹脂角部442をさらに含む。樹脂角部442は、パッケージ部12とは反対側であって、ハウジング底面541に対向するターミナル樹脂部40の先端部44の角である。樹脂角部442は、ハウジング50の軸方向に対して傾斜する傾斜面を含む。樹脂角部442に形成される傾斜面は、開口部51からハウジング底部54に向かって、ターミナル樹脂部40の先端部44の大きさが小さくなるように、傾斜している。また、ターミナル樹脂部40の先端部44は、樹脂角部442に形成される傾斜面、ハウジング筒部53およびハウジング底部54で区画形成される隙を含む。
そして、図3に示すように、ターミナル樹脂部40の先端部44は、位置決め穴443およびターミナル接触抑制部446をさらに含む。
位置決め穴443は、アウターリード20とは反対側のターミナル樹脂部40の先端部44の部位であって、2つのターミナル屈曲部34の間に形成されている。また、位置決め穴443は、図3の紙面上下方向を法線方向とする断面が円形形状となるように、形成されている。さらに、位置決め穴443は、径がターミナル屈曲部34同士の間の距離以下となるように、形成されている。
位置決め穴443の開口面444から位置決め穴443の底面445までの距離を穴深さDhとする。アウターリード20とは反対側のターミナル屈曲部34の端面を樹脂側面344とする。位置決め穴443の開口面444から樹脂側面344までの距離をターミナル距離Dtとする。位置決め穴443は、穴深さDhがターミナル距離Dt以上となっており、関係式(3)となるように、形成されている。
Dt≦Dh ・・・(3)
ターミナル接触抑制部446は、複数のターミナル30同士が接触しないように、複数のターミナル30同士の間に形成されている。また、ターミナル接触抑制部446は、ターミナル30が延びている方向と同一方向に延びている。さらに、位置決め穴443の底面445の反対側のターミナル接触抑制部446の端面は、パッケージ検出面121と同一平面上になっている。
また、図4に示すように、内側段差部52は、段差角部521を含む。段差角部521は、ターミナル樹脂部40の中径部43および先端部44に対向している。そして、段差角部521は、ハウジング50の軸方向に対して傾斜する傾斜面を含む。段差角部521に形成される傾斜面は、開口部51からハウジング底部54に向かって、ハウジング50の内径が小さくなるように、傾斜している。
以上のように、本実施形態の回転検出装置1は、構成されている。続いて、比較例の回転検出装置を参照して、本実施形態の回転検出装置1について説明する。
従来では、回転検出装置内でのターミナルの固定は、例えば、ターミナルにテーパ穴を形成して、樹脂部の成形をするときに、テーパ穴に樹脂を埋め込むことにより行われる。この方法では、ターミナルにテーパ穴を形成する必要があり、ターミナルが比較的小さい場合、ターミナルにテーパ穴を形成することが困難である。
そして、図13に示すように、比較例の回転検出装置90が比較的小型である場合、ターミナル91にテーパ穴を形成できず、ターミナル91の固定力が小さくなる。ターミナル91の固定力が小さいと、樹脂部92から露出しているターミナル91の部位が反って、ターミナル91が樹脂部92に対して浮き上がることがある。ターミナル91が反った状態では、ICチップを含む検出部93のリード94とターミナル91との溶接等の接合がしにくくなる。また、ターミナル91、樹脂部92、検出部93およびリード94を収容するため、ハウジングに挿入するとき、検出部93とハウジングとが干渉して、ハウジングに挿入できないことがあり、回転検出装置90の製造がしにくくなる。そこで、本実施形態では、回転検出装置1が小型であっても、製造がしやすくなる回転検出装置1としている。
具体的には、本実施形態の回転検出装置1では、ターミナル屈曲部34が備えられており、ターミナル屈曲部34は、パッケージ部12側のリード接続部31からパッケージ部12と離れる方向に延びている。そして、ターミナル樹脂部40の先端部44は、リード接続部31側のターミナル屈曲部34の一端部341を露出させつつ、リード接続部31とは反対側のターミナル屈曲部34の他端部342を覆うように、形成されている。
これにより、ターミナル屈曲部34がターミナル樹脂部40により支持されるので、ターミナル樹脂部40に対してターミナル30が反って、浮き上がることが抑制される。ターミナル30の反りが抑制されるため、アウターリード20とリード接続部31との接合がしやすくなる。
また、アウターリード20とリード接続部31との接合後、回転検出部10の浮き上がりが抑制される。このため、ターミナル樹脂部40をハウジング50に挿入することがしやすくなる。したがって、ターミナル30にテーパ穴が形成されなくてもよく、回転検出装置1が小型であっても、回転検出装置1の製造がしやすくなる。
さらに、本実施形態の回転検出装置1では、以下[1]−[5]で説明するような効果も奏する。
[1]回転検出部10、アウターリード20、ターミナル屈曲部34の一端部341およびターミナル樹脂部40の先端部44で区画形成される隙間45が形成されている。ターミナル樹脂部40の先端部44のうち、隙間45を区画形成している部分には、パッケージ部12およびアウターリード20と離れる方向に凹む樹脂段差部46が形成されている。これにより、パッケージ部12またはアウターリード20をターミナル樹脂部40の先端部44が押し上げて、回転検出部10、アウターリード20およびターミナル30が反って、浮き上がることがより抑制される。このため、ターミナル樹脂部40をハウジング50に挿入しやすくなる。したがって、ターミナル30にテーパ穴が形成されなくてもよく、回転検出装置1が小型であっても、回転検出装置1の製造がしやすくなる。
[2]特開2018−128322号公報に記載されているように、回転検出装置であって、端子部材とアウターリードとの接合部よりも先端側で、アウターリードから離れるように直角に折り曲げられた端子部材が知られている。
端子部材が直角に折り曲げられて、アウターリードと接続する端子部材の部位を露出させつつ、端子部材の折り曲げ部を樹脂部で覆った場合、端子部材が延びている方向に対して垂直方向の力を端子部材は受ける。これにより、端子部材は、端子部材が樹脂部から離れる方向に作用する曲げモーメントを受ける。このため、端子部材が直角に折り曲げられているとき、端子部材は、樹脂部から外れて、樹脂部に対して反る恐れがある。
そこで、ターミナル30は、屈曲角度θが鋭角となるように、形成されている。これにより、リード接続面311側のターミナル屈曲部34の端面は、ターミナル樹脂部40に押し付けられる方向に作用する力をターミナル樹脂部40の先端部44から受ける。このため、ターミナル屈曲部34は、ターミナル30がターミナル樹脂部40の先端部44から離れる方向とは反対方向に作用する曲げモーメントを受ける。
ターミナル30がターミナル樹脂部40の先端部44から離れる方向に作用する曲げモーメントが小さくなるため、ターミナル樹脂部40からターミナル屈曲部34が外れることが抑制される。ターミナル屈曲部34がターミナル樹脂部40から外れにくくなるので、ターミナル屈曲部34が、ターミナル30の反りおよび浮き上がりがより抑制される。このため、ターミナル樹脂部40をハウジング50に挿入しやすくなる。したがって、ターミナル30にテーパ穴が形成されなくてもよく、回転検出装置1が小型であっても、回転検出装置1の製造がしやすくなる。
[3]パッケージ部12およびターミナル樹脂部40の先端部44は、パッケージ距離Dpが樹脂距離Dr以上となるように、形成されている。これにより、ターミナル樹脂部40の先端部44をハウジング50に挿入するとき、回転検出部10とハウジング50とが非接触となり、回転検出部10の破損が抑制される。
[4]段差角部521および樹脂角部442は、ハウジング50の軸方向に対して傾斜する傾斜面を含む。これにより、ターミナル樹脂部40の外面とハウジング50の内面とが干渉しにくくなり、ターミナル樹脂部40をハウジング50に挿入しやすくなる。このため、回転検出装置1の製造がしやすくなる。
[5]ターミナル樹脂部40は、複数のターミナル30の間に形成されている位置決め穴443を有する。ターミナル樹脂部40が成形されるとき、位置決め穴443に相当する箇所に後述の位置決めピン39等を配置することで、複数のターミナル30同士が接触することが抑制される。また、ターミナル30がターミナル屈曲部34により、位置決め穴443を形成する位置が設定されやすくなっている。
(製造方法)
本実施形態の回転検出装置1の製造方法について、図5のフローチャートを参照して、説明する。フローチャートにおいて、「S」は、ステップを意味する。
本実施形態の回転検出装置1の製造方法は、回転検出部準備工程S101、ターミナル形成工程S102、ターミナル樹脂成形工程S103、リード接続工程S104、ハウジング挿入工程S105およびステー成形工程S106を含む。
回転検出部準備工程S101では、回転検出部10およびアウターリード20を準備する。このとき、アウターリード20の長さが調整される。
図6に示すように、ターミナル形成工程S102では、導電性部材をプレス等により、ターミナル30が複数成形される。このとき、各ターミナル30には、アウターリード20と接続可能なリード接続部31、ターミナル延長部32、ターミナル端子部33およびターミナル屈曲部34が形成される。
また、ターミナル屈曲部34は、リード接続部31が延びる方向に対して交差する方向に延びるように、形成される。さらに、ターミナル屈曲部34は、屈曲角度θが鋭角となるように、折り曲げられる。後工程のリード接続工程S104において、溶接により、アウターリード20およびターミナル30を接合する場合、リード接続部31にプロジェクション35が形成される。
図7に示すように、ターミナル樹脂成形工程S103では、ターミナル30同士の間に位置決めピン39が配置される。位置決めピン39は、円柱形状とされており、本実施形態では、2つのターミナル屈曲部34の間に配置される。位置決めピン39の一端面をピン端面391とする。さらに、位置決めピン39は、ピン端面391が2つのターミナル屈曲部34の間で挟まれるように、配置される。本実施形態の回転検出装置1を製造する方法では、ターミナル屈曲部34が形成されているため、位置決めピン39の位置決めがしやすくなっている。
そして、樹脂角部442がハウジング50の軸方向に対して傾斜する傾斜面を含むように、樹脂成形が行われる。また、リード接続部31側のターミナル屈曲部34の一端部341が露出して、リード接続部31とは反対側のターミナル屈曲部34の他端部342が樹脂で覆われるように、樹脂成形が行われる。
樹脂成形が行われた後、位置決めピン39がターミナル樹脂部40から外れたとき、位置決め穴443が形成される。また、パッケージ部12、アウターリード20、ターミナル屈曲部34の一端部341およびターミナル樹脂部40の先端部44で区画形成される隙間45が形成される。さらに、このとき、樹脂段差部46が形成される。
ターミナル樹脂成形工程S103が完了したとき、ターミナル屈曲部34の他端部342は、ターミナル樹脂部40の先端部44で覆われている。これにより、ターミナル屈曲部34がターミナル樹脂部40の先端部44により支持される。このため、ターミナル樹脂部40に対してターミナル30が反って浮き上がることが抑制される。
リード接続工程S104では、アウターリード20およびリード接続部31を溶接等により接合する。ターミナル樹脂成形工程S103により、ターミナル樹脂部40に対してターミナル30が反って浮き上がることが抑制されているので、リード接続工程S104では、リード接続部31とアウターリード20との接合がしやすくなっている。また、ターミナル30の反りが抑制されているため、回転検出部10の浮き上がりが抑制される。
ハウジング挿入工程S105では、段差角部521がハウジング50の軸方向に対して傾斜する傾斜面を含むハウジング50を準備する。そして、ターミナル樹脂部40をハウジング50に挿入する。このとき、ターミナル30および回転検出部10の浮き上がりが抑制されているため、ターミナル樹脂部40をハウジング50に挿入しやすくなっている。また、段差角部521がハウジング50の軸方向に対して傾斜する傾斜面を含んでおり、ターミナル樹脂部40をハウジング50により挿入しやすくなっている。
ステー成形工程S106では、ターミナル樹脂部40およびハウジング50の固定が補強されるように、ステー樹脂部60の樹脂成形が行われる。このとき、カラー部材70がステー樹脂部60と一体成形される。また、シール部材75が取り付け可能なように、ステー凹部631が形成される。ステー樹脂部60が成形された後、ステー凹部631にシール部材75を嵌め込む。
このように、本実施形態の回転検出装置1の製造方法では、上記と同様の効果を奏し、ターミナル30にテーパ穴が形成されなくてもよく、回転検出装置1が小型であっても、回転検出装置1の製造がしやすい。
(他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態に対して、適宜変更が可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
(1)本実施形態の回転検出装置1は、車輪速センサに限定されず、エンジン回転センサ、クランク角センサ、カム角センサ等の回転体の回転状態検出に適用されてもよい。
(2)ICチップ11は、センサ素子として、磁気抵抗素子を含む構成としたが、ホール素子を含む構成であってもよい。
(3)アウターリード20およびターミナル30の数は、2つに限定されず、アウターリード20およびターミナル30は、3つ以上形成されてもよい。
(4)図8に示すように、ターミナル30は、屈曲角度θが鈍角となっており、関係式(4)を満たすように、形成されてもよい。屈曲角度θが鈍角であっても、上記[2]と同様の効果を奏する。
90°<θ<180° ・・・(4)
(5)図9に示すように、ターミナル屈曲部34は、湾曲するように形成されてもよい。ターミナル30が延びている方向の断面において、ターミナル屈曲部34の一端部341の外縁を通る接線を第1接線La1とする。ターミナル30が延びている方向の断面において、ターミナル30の断面におけるターミナル屈曲部34の他端部342の外縁を通る接線を第2接線La2とする。
ターミナル屈曲部34が湾曲するような場合において、第1接線La1が延びている方向または第2接線La2が延びている方向をターミナル屈曲部34が延びている方向とする。そして、このとき、接続部直線Lcと第1接線La1とがなす角度、または、接続部直線Lcと第2接線La2とがなす角度を屈曲角度θとする。この場合においても、屈曲角度θは、鋭角または鈍角であってもよい。
(6)一実施形態では、ターミナル屈曲部34の他端部342の端343は、ターミナル樹脂部40の先端部44から露出している。ターミナル樹脂部40の先端部44は、ターミナル屈曲部34の他端部342の全体を覆ってもよい。
(7)一実施形態では、パッケージ部12およびターミナル樹脂部40の先端部44は、パッケージ距離Dpが樹脂距離Drよりも大きくなるように、形成されている。
図10に示すように、パッケージ距離Dpは、樹脂距離Drと等しくなってもよい。なお、「等しく」は、製造誤差範囲を含むものとする。パッケージ距離Dpが樹脂距離Drと等しいとき、パッケージ対向面123は、樹脂対向面441と同一平面上となっている。この場合において、ターミナル樹脂部40の先端部44がパッケージ部12に挿入されたときに、パッケージ部12とハウジング50が接触しても、ターミナル樹脂部40の先端部44によりパッケージ部12が受ける力が分散される。このため、回転検出部10の破損が抑制される。
(8)図11に示すように、樹脂角部442は、R形状の曲面を含んでもよい。樹脂角部442は、樹脂側曲率中心Osを含む曲面を有する。樹脂側曲率中心Osは、樹脂角部442に対してハウジング底面541とは反対側であって、樹脂角部442よりもハウジング50の径方向内側に位置している。樹脂角部442が曲面を含んでも、上記[4]と同様の効果を奏する。
(9)図12に示すように、段差角部521は、R形状の曲面を含んでもよい。段差角部521は、ハウジング側曲率中心Ohを含む曲面を有する。ハウジング側曲率中心Ohは、段差角部521に対して開口部51とは反対側であって、段差角部521よりもハウジング50の径方向外側に位置している。段差角部521が曲面を含んでも、上記[4]と同様の効果を奏する。
(10)位置決め穴443は、円形形状の断面を含むことに限定されず、楕円形形状または多角形形状の断面を含んでもよい。同様に、位置決めピン39は、円柱形状とされていることに限定されず、楕円柱形状または多角柱形状の断面を含んでもよい。
(11)一実施形態では、位置決め穴443は、穴深さDhがターミナル距離Dtよりも大きくなるように、形成されている。位置決め穴443は、穴深さDhがターミナル距離Dtと等しくなっており、底面445が樹脂側面344と同一平面上となるように、形成されてもよい。
(12)一実施形態では、内側段差部52、ターミナル樹脂部40の中径部43および先端部44に区画形成される隙間が形成されている。開口部51が中径部43と篏合または係合している場合、内側段差部52は、中径部43および先端部44とが接触するように、形成されてもよい。
(13)一実施形態では、ハウジング対向部531とは反対側の部位において、ハウジング筒部53は、ターミナル樹脂部40の先端部44との間に隙間を有する。ハウジング対向部531とは反対側の部位において、ハウジング筒部53は、ターミナル樹脂部40の先端部44と接触してもよい。
(14)一実施形態では、樹脂距離Drは、ゼロより大きくなっており、樹脂対向面441およびハウジング底面541の間に隙間が形成されている。樹脂距離Drは、ゼロであってもよく、樹脂対向面441は、ハウジング底面541と接触してもよい。
(15)一実施形態では、ターミナル樹脂部40の先端部44は、樹脂角部442に形成される傾斜面、ハウジング筒部53およびハウジング底部54で区画形成される隙間を含む。樹脂角部442に形成される傾斜面は、ハウジング筒部53およびハウジング底部54と接触してもよい。