JP2020067021A - 内燃機関及びその制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料噴射弁から噴射された燃料が吸気バルブに付着することを抑制し、ひいては排気エミッションの低下を抑制することができる内燃機関を提供する。【解決手段】エンジン10は、気筒11内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁23と、点火プラグ25と、吸気バルブ19及び排気バルブ21と、気筒11内にタンブル流を発生させる気流発生機構とを備える。燃料噴射弁23は、気筒11の吸気側上部の周縁側に配置され、気筒11の内壁面に向かう方向に燃料を噴射するサイド噴射式である。吸気バルブ19が最大リフト位置に変位している状態において、気筒11の上方から燃料噴射弁23の軸線方向に見て、噴孔24から燃料が噴射される噴射方向と、吸気バルブ19の外周縁部のうち噴孔24に最も近接する位置と噴孔24とを結ぶ線とのなす角度が5度以上になるように燃料噴射弁23が配置されている。【選択図】図1
Description
本発明は、内燃機関及びその制御装置に関し、詳しくは、気筒内にタンブル流を発生させる内燃機関及びその制御装置に関する。
内燃機関では、燃料噴射弁から噴射された燃料と空気とを十分に混合することにより燃焼の促進を図るべく、気筒内にタンブル流を発生させることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、気筒内に発生するタンブル流の高速部が燃料噴射弁に向かって移動してくる時期を噴射タイミングとし、その噴射タイミングでタンブル流の高速部に向けて燃料を噴射することが開示されている。この特許文献1に記載のものでは、タンブル流の高速部を利用して燃料の貫徹力を抑制することで、点火プラグ近傍に高濃度の混合気層を安定に導き、良好な成層を実現するようにしている。
近年、熱効率の更なる向上や耐ノック性の向上を図るべく、従来よりも更に強いタンブル流(例えば、タンブル比2.5以上の旋回流)を気筒内に生成可能な吸気ポートやタンブル制御弁を備えた内燃機関が提案されている。こうした強タンブル流を気筒内に生成可能な内燃機関では、燃料噴射弁から噴射された霧状の燃料が、気筒内において下降から上昇に転じた後に燃料噴射弁に向かうタンブル流によって流され、上方に偏向するおそれがある。この場合、その偏向した燃料が吸気バルブに付着することにより、排気エミッションの低下を招くことが懸念される。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、燃料噴射弁から噴射された燃料が吸気バルブに付着することを抑制し、ひいては排気エミッションの低下を抑制することができる内燃機関を提供することを主たる目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
第1の構成は、気筒(11)内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁(23)と、前記気筒の上部中央に設けられた点火プラグ(25)と、前記気筒の上部において前記点火プラグの側方に設けられた吸気バルブ(19)及び排気バルブ(21)と、前記気筒内にタンブル流を発生させる気流発生機構(19、28)と、を備え、前記燃料噴射弁は、前記気筒の吸気側上部の周縁側に配置され、前記気筒の内壁面に向かう方向に燃料を噴射するサイド噴射式であり、前記吸気バルブが最大リフト位置に変位している状態において、前記気筒の上方から前記燃料噴射弁の軸線方向に見て、前記燃料噴射弁の噴孔(24)から前記燃料が噴射される噴射方向(R)と、前記吸気バルブの外周縁部(20)のうち前記噴孔に最も近接する位置(K1)と前記噴孔とを結ぶ線(S)とのなす角度が5度以上になるように前記燃料噴射弁が配置されている、内燃機関である。
上記第1の構成によれば、燃料噴射弁から噴射された霧状の燃料の並進経路と吸気バルブとが最も近付いた状態において、燃料と吸気バルブとの間の距離を十分に確保することによって両者が干渉しないようにすることができる。これにより、気筒内に発生しているタンブル流によって、燃料噴射弁から噴射された燃料の並進経路が偏向した場合にも、その燃料が吸気バルブに付着することを抑制できる。その結果、排気エミッションの低下を抑制することができる。
第2の構成は、気筒(11)内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁(23)と、前記気筒の上部中央に設けられた点火プラグ(25)と、前記気筒の上部において前記点火プラグの側方に設けられた吸気バルブ(19)及び排気バルブ(21)と、前記気筒内にタンブル流を発生させる気流発生機構(19、28)と、を備え、前記燃料噴射弁は、前記気筒の吸気側上部の周縁側に配置され、前記気筒の内壁面に向かう方向に燃料を噴射するサイド噴射式であり、1燃焼サイクルのうちタンブル流の強度が最大である状態において、前記気筒の上方から前記燃料噴射弁の軸線方向に見て、前記燃料噴射弁の噴孔から前記燃料が噴射される噴射方向と、前記吸気バルブの外周縁部のうち前記噴孔に最も近接する位置と前記噴孔とを結ぶ線とのなす角度が5度以上になるように前記燃料噴射弁が配置されている、内燃機関である。
上記第2の構成によれば、気筒内のタンブル流の強度が最大の状態において、燃料噴射弁から噴射された霧状の燃料の並進経路と吸気バルブとの間の距離を十分に確保することによって両者が干渉しないようにすることができる。これにより、気筒内に発生しているタンブル流によって、燃料噴射弁から噴射された燃料の並進経路が偏向した場合にも、その燃料が吸気バルブに付着することを抑制できる。その結果、排気エミッションの低下を抑制することができる。
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態の相互において、互いに同一又は均等である部分には、図中、同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。
本実施形態は、内燃機関である車載多気筒ガソリンエンジンを具体化している。図1に、エンジン10の概略構成図を示す。エンジン制御システムは、電子制御ユニット(以下、「ECU」という。)を中枢として、エンジン10の燃料噴射や点火等を制御している。なお、図1においては、エンジン10が備える複数の気筒11のうち1気筒のみを例示している。以下の説明では、気筒11の軸線方向を上下方向とする。
エンジン10において、気筒11は円筒状をなしており、その内部にピストン12が配置されている。ピストン12は、気筒11の内部において上下方向に往復動可能に収容されている。気筒11内には、シリンダ内壁とピストン12の上面12aとによって燃焼室13が区画形成されている。気筒11の上部(シリンダヘッド11a)には、燃焼室13の吸気側開口部である吸気口14と、排気側開口部である排気口15とが形成されている。吸気口14には、吸気管17が吸気ポート17aを介して接続され、排気口15には、排気管18が排気ポート18aを介して接続されている。
シリンダヘッド11aには、吸気口14を開閉する吸気バルブ19と、排気口15を開閉する排気バルブ21とが設けられている。吸気バルブ19及び排気バルブ21はそれぞれ、気筒11内に配置されたバルブヘッドと、バルブヘッドの中心位置に設けられたバルブステムとを備えている。バルブヘッドは、吸気口14及び排気口15の内周形状とほぼ同じ円形状であり、吸気口14及び排気口15の内径よりも大きい外径を有している。
吸気バルブ19及び排気バルブ21はそれぞれ、図示しないカム軸の回転に応じて上下方向(すなわち、ピストン12に向かう方向及び離間する方向)に移動することにより、吸気口14及び排気口15を開閉する。吸気バルブ19の開動作により、吸気管17内の空気が吸気ポート17aを通って燃焼室13内に導入され、排気バルブ21の開動作により、燃焼後の排気が排気ポート18aを通って排気管18に排出される。
吸気ポート17aは、吸気バルブ19が開弁して空気が燃焼室13内に流入することに伴い、燃焼室13内にタンブル流(縦渦)を発生可能に形成されている。燃焼室13内に導入される空気量(吸入空気量)は、吸気管17内に設けられたスロットルバルブ22の開度が制御されることにより調整される。
吸気通路においてスロットルバルブ22の下流側には、タンブル制御弁28が配置されている。タンブル制御弁28は、吸気通路の開口断面積を可変とする開閉弁である。タンブル制御弁28の開度が調整されることにより、燃焼室13内に発生するタンブル流の強度が可変設定される。エンジン10のタンブル比は2.5以上であり、本実施形態のエンジン10ではタンブル比3.0以上を実現可能となっている。なお、本明細書において「タンブル比」とは、1燃焼サイクルのうちタンブル流が最も強くなるタイミングにおけるピストン12の駆動方向の旋回流とその軸線方向の比を表す。吸気ポート17a、吸気バルブ19及びタンブル制御弁28が、気筒11内にタンブル流を発生させる「気流発生機構」として機能する。
エンジン10の各気筒11には、燃焼室13内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁23が取り付けられている。燃料噴射弁23は、気筒11の吸気側上部の周縁側に配置され、当該周縁側から斜め下方に向けて燃料を噴射するサイド噴射式である。燃料噴射弁23は、コイル(図示略)への通電により開閉する電磁駆動弁であり、その先端部に噴孔24が複数(本実施形態では6個)設けられている。コイルへの非通電時には、弁本体の内部に収容されたニードル(図示略)によって各噴孔24が塞がれた状態(閉弁状態)となり、コイルへの通電により、ニードルが内側へ移動して開弁状態となる。この開弁状態において各噴孔24から燃料が霧状に噴射される。なお、噴孔24の数は特に限定されず、6個より多くても少なくてもよい。
エンジン10のシリンダヘッド11aの中央には、気筒ごとに点火プラグ25が取り付けられている。点火プラグ25には、点火コイル等よりなる点火装置(図示略)を通じて、所望とする点火時期において高電圧が印加される。この高電圧の印加により、各点火プラグ25の対向電極間に火花放電が発生し、燃焼室13内の混合気が着火され燃焼に供される。
排気管18には、排気を浄化するための触媒として三元触媒26が設けられている。また、排気管18には、三元触媒26の上流側において、排気を検出対象として混合気の空燃比を検出する空燃比センサ27が設けられている。
エンジン10の吸排気系の概略構成について、図2を用いて更に説明する。図2は、燃焼室13の周辺部の構成を気筒11の軸線方向においてシリンダヘッド11a側から見た平面図である。図2に示すように、気筒11の上部には、中央に点火プラグ25が配置されており、点火プラグ25の側方に、円形状の吸気口14及び排気口15が形成されている。吸気口14は、気筒11の中心軸線C1を含みかつ中心軸線C1に沿った方向の断面(以下「中央縦断面A1」という。)を中心にして対称となる位置に一対設けられている。一対の吸気口における各吸気口14a,14bの中心を繋ぐ線D1は、気筒11の軸線方向に見て、中央縦断面A1に直交している。各吸気口14a,14bには、一対の吸気バルブ19a,19bが上下方向に移動可能に配置されている。
排気口15は、点火プラグ25を挟んで吸気口14とは反対側に、中央縦断面A1を中心にして対称となる位置に一対設けられている。一対の排気口における各排気口15a,15bの中心を繋ぐ線D2は、気筒11の軸線方向に見て、中央縦断面A1に直交している。各排気口15a,15bには、一対の排気バルブ21a,21bが上下方向に移動可能に配置されている。また、気筒11の軸線方向に見て、中央縦断面A1上に燃料噴射弁23が配置されている。燃料噴射弁23は、吸気ポート17aの下方に吸気通路に並行に配置されている。
ECU50は、CPUや、ROM、RAM等のメモリよりなる周知のマイクロコンピュータを主体として構成され、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで、都度のエンジン運転状態に応じてエンジン10の各種制御を実施する。具体的には、ECU50には、上述の空燃比センサ27のほか、エンジン回転速度を検出する回転速度センサや、吸気管内圧力等をエンジン負荷として検出する負荷センサ等が接続されており、これら各センサの検出信号がECU50に逐次入力される。ECU50は、入力した各種検出信号に基づいて、燃料噴射弁23による燃料の噴射量や噴射時期、燃料噴射弁23の噴射圧、スロットルバルブ22の開度、吸気バルブ19及び排気バルブ21の開閉タイミング、点火プラグ25の点火時期、タンブル制御弁28の開度等を制御する。
ここで、タンブル比が2.5以上と比較的高い強タンブルエンジンと、タンブル比が1.5〜2.0程度の従来のタンブルエンジンとでは、燃焼室13内にタンブル流が発生している状態における燃焼室13内の気流の速度分布の態様が相違する。この点について、図3及び図4を用いて説明する。図3及び図4は、一対の吸気バルブ19a、19bを同時に開弁した場合の燃焼室13内における気流の速度ベクトルを表す図である。図3及び図4中、矢印Y1を付した領域は、タンブル流の流速がV1以上である第1高速気流領域を表し、矢印Y2を付した領域は、流速がV1よりは遅いがその他の領域よりも速い第2高速気流領域を表している。図4中の矢印J1は、燃料噴射弁23から噴射される燃料の噴射方向を表している。
タンブル比が1.5〜2.0程度の弱タンブルエンジンでは、図3に示すように、吸気管17内の空気が吸気ポート17aから導入された直後においては、タンブル流の流速はV1と速い(強度が強い)ものの、空気が旋回する過程の比較的早い段階で流速が弱まる。これに対し、タンブル比が2.5以上の強タンブルエンジンでは、図4に示すように、吸気ポート17aから導入された空気が燃焼室13内を下降し、その後上昇に転じた段階においても流速V1のタンブル流が発生している領域が存在する。すなわち、強タンブル流を発生可能なエンジン10では、燃焼室13内に、排気側の筒内壁面近くにおいて下方に向かうタンブル流Q1と同等の強度を有する領域が、吸気側の筒内壁面近くにおいて上方に向かうタンブル流Q2として燃料噴射弁23の下方に存在する。
ところで、燃料噴射弁23から噴射された霧状の燃料をタンブル流に乗せて、燃料と空気とを均一に混ぜるようにするには、燃料噴射弁23の噴射方向をできるだけ上向きに(より具体的には、気筒11の中心軸線C1に垂直な断面とできるだけ平行な方向に)配置することが望ましい。一方、強タンブル流を発生可能なエンジン10では、吸気ポート17aから導入された空気が燃焼室13内を下降し、その後、吸気側の筒内壁面近くを燃料噴射弁23の下方から燃料噴射弁23に向かっている段階でも気流が未だ強い。そのため、タンブル流Q2が、燃料噴射弁23の噴霧貫徹力を上回ることがある。かかる場合、燃料噴射弁23から噴射された燃料(噴霧)がタンブル流Q2により流されて上方向に偏向し、その偏向した噴霧が吸気バルブ19に付着するおそれがある。また、吸気バルブ19に付着したウェット燃料に起因してPM排出量が増大し、排気エミッションが低下することが懸念される。
図5は、図4のB−B線断面を燃料噴射弁23の軸線方向に見た図である。図5中の矢印Y1及びY2の説明は、図3及び図4と同じである。符号Pは、燃料噴射弁23の各噴孔24から噴射された燃料の並進経路の位置を表している。この図5からも、エンジン10においては、燃料噴射弁23に向かって巻き上がる旋回流が強いことが分かる。このようにエンジン10では、燃料噴射弁23から噴射された燃料の噴霧がタンブル流によって偏向しやすく、その噴霧偏向により吸気バルブ19に燃料ウェットが発生しやすい。
こうした点に着目し、本実施形態のエンジン10では、気筒11の上方から燃料噴射弁23の軸線方向に見て、燃料噴射弁23の噴孔24から燃料が噴射される噴射方向と、吸気バルブ19の外周縁部20のうち噴孔24に最も近接する位置K1と噴孔24とを結ぶ線とのなす角度(以下、「投影角度θ」という。)が5度以上になる位置に噴孔24が配置されるよう、気筒11に取り付ける燃料噴射弁23の位置及び向きを定めている。つまり、噴孔24を起点にして、燃料の噴射方向に対し吸気バルブと噴孔とを結ぶ線が離間する角度を一定以上確保するようにする。これにより、噴孔24から噴射された燃料の並進経路と吸気バルブ19との間の余裕度を十分に確保し、燃料の噴霧が吸気バルブ19に付着することを抑制するようにしている。
この実施形態では、エンジン10の1燃焼サイクルのうち吸気バルブ19が最大リフト位置Lmaxに変位しているタイミングT1での投影角度θが5度以上になるように、吸気バルブ19の外周縁部20に対して噴孔24が配置されている。(図6参照)。
なお、投影角度θが5度以上になるようにするには、燃料噴射弁23として既存の噴射弁を用い、燃料噴射弁23の気筒11に対する取付位置及び向きを調整することにより行ってもよいし、あるいは、燃料噴射弁23における噴孔24の位置を既存の噴射弁から変更することにより行ってもよい。
図7に、噴孔24から噴射される燃料の噴射方向Rと、吸気バルブ19の外周縁部20上の位置K1と噴孔24とを結ぶ線Sとの関係を、中央縦断面A1に面する方向から見た図として示す。なお、図7には、燃料噴射弁23が有する複数の噴孔24のうち1つの噴孔24及びその噴孔24から噴射される燃料の並進経路F1を示している。
図7に示すように、噴射方向Rは放射状の噴霧の中心軸線であり、線Sは噴孔24の中心と位置K1を結ぶ線である。位置K1について具体的には、一対の吸気バルブ19a、19bのうち噴孔24に近い方の吸気バルブの外周縁部20において噴孔24に最も近接する位置である。例えば、燃料噴射弁23の先端部において一方の吸気バルブ19a側に位置する噴孔24については、その一方の吸気バルブ19aの外周縁部20において噴孔24に最も近接する位置である。噴射方向Rと線Sとのなす角度である投影角度θは、好ましくは8度以上、より好ましくは10度以上である。
図8は、図2のB−B線断面を気筒11の上方から燃料噴射弁23の軸線方向に見た場合において、燃料噴射弁23の中心軸線上の点をゼロ点(図中のO)としたときの燃料の並進経路の位置P及び外周縁部20の位置をX−Y座標により表した図である。なお、図8中、X軸は、気筒11の上方から燃料噴射弁23の軸線方向に見た場合の左右方向(図2の紙面に対して直交する方向)を示し、Y軸は、気筒11の上方から燃料噴射弁23の軸線方向にみた場合の上下方向を示している。なお、図8では、右方向及び上方向を正で表している。符号VL1及びVL2は、吸気バルブ19の外周縁部20(すなわちバルブヘッドの輪郭線)を表す。
従来のエンジンにおいては、噴射方向Rを下方向に向けるとピストン12に燃料が付着しやすくなり、エミッション低下に繋がることを考慮して、噴射方向Rをできるだけ上方向に向けることが行われている。これに対し、本実施形態では、強タンブル流のエンジン10において燃焼室13内の旋回流によって燃料の噴霧が偏向することを考慮し、燃料噴射弁23の各噴孔24から噴射された燃料の並進経路と吸気バルブ19の輪郭線との距離Lを十分に確保することとしている。
特に本実施形態では、複数の噴孔24の全てにおいて投影角度θが5度以上、より具体的には10度以上になるように、吸気バルブ19の外周縁部20に対する各噴孔24の位置が定められている。より具体的には、複数の噴孔24のうち、投影角度θが最も小さくなる噴孔24において、その投影角度θが10度に設定されている。また、投影角度θが最も大きくなる噴孔24において、その投影角度θが25度に設定されている。
なお、投影角度θが最も大きくなる噴孔24の投影角度θを25度としたが、投影角度θは30度以下とすることが好ましく、本実施形態では25度以下に設定されている。これにより、燃料噴射弁23から噴射された燃料の噴霧がピストン12に付着することを好適に抑制することができる。
次に、燃料噴射弁23から噴射される燃料の噴射圧とタンブル比との関係について説明する。本実施形態では、タンブル制御弁28の開度を制御することにより、エンジン運転状態(エンジン回転速度及びエンジン負荷等)に応じて燃焼室13内のタンブル流の強度を可変にしている。具体的には、図9(a)に示すように、エンジン回転速度が高いほど、又はエンジン負荷が高いほど、タンブル制御弁28の開度を大きくして、燃焼室13内のタンブル流の強度を高くしている。
ここで、燃焼室13内のタンブル流が強いエンジン運転領域ほど、タンブル流による燃料の噴霧偏向が大きくなり、吸気バルブ19への燃料の付着が起きやすくなる。この点を考慮して本実施形態では、エンジン運転状態に基づき設定されるタンブル比に応じて、燃料噴射弁23による燃料の噴射圧を可変に設定している。具体的には、図9(b)に示すように、タンブル比が高い運転領域ほど、燃料の噴射圧を高圧側に設定している。これにより、燃料の噴霧貫徹力を十分に確保してタンブル流による噴霧偏向を抑制し、吸気バルブ19への燃料の付着を抑制するようにしている。なお、ECU50が「噴射圧制御部」の機能を実現する。
以上詳述した本実施形態によれば、次の優れた効果が得られる。
吸気バルブ19が最大リフト位置Lmaxに変位している状態において、燃料噴射弁23の軸線方向に見て、燃料噴射弁23の噴孔24から燃料が噴射される噴射方向Rと、吸気バルブ19の外周縁部20のうち噴孔24に最も近接する位置K1と噴孔24とを結ぶ線Sとのなす角度(投影角度θ)が5度以上になるように気筒11に燃料噴射弁23を配置した。この構成によれば、燃料噴射弁23から噴射された霧状の燃料の並進経路と吸気バルブ19とが最も近付いた状態において、燃料と吸気バルブ19との間の距離を十分に確保することができ、両者が干渉しないようにすることができる。これにより、燃焼室13内に発生しているタンブル流によって、燃料噴射弁23から噴射された燃料の並進経路が偏向した場合にも、その燃料が吸気バルブ19に付着することを抑制でき、ひいては排気エミッションの低下を抑制することができる。
燃料噴射弁23に設けられている複数の噴孔24の全部について、投影角度θが5度以上になる位置に各噴孔24が配置されるよう、気筒11に取り付ける燃料噴射弁23の位置及び向きを設定する構成とした。こうした構成によれば、燃料噴射弁から噴射された燃料の並進経路がタンブル流によって偏向された場合にも、吸気バルブ19に付着する燃料を極力少なくすることができ、排気エミッションの低下を好適に抑制することができる。
気筒11内に発生するタンブル流の強度に応じて、燃料噴射弁23の噴射圧を可変に設定する構成とした。タンブル流の強度が強いほど、燃料噴射弁23の下方から上方に向かうタンブル流によって噴霧が上方に偏向しやすく、吸気バルブ19への燃料の付着が生じやすいことが懸念される。この点を考慮し、タンブル流強度が強いエンジン運転領域ほど燃料噴射弁23の噴射圧を高圧にして噴霧貫徹力を確保することで、タンブル流による燃料の噴霧偏向に起因するバルブウェットをエンジン運転領域の全域に亘って抑制することができる。
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態に限定されず、例えば以下のように実施されてもよい。
本発明は上記実施形態に限定されず、例えば以下のように実施されてもよい。
・上記実施形態では、吸気バルブ19が最大リフト位置Lmaxに変位しているタイミングにおいて投影角度θが5度以上になる位置に各噴孔24が配置されるようにした。本実施形態ではこれを変更し、1燃焼サイクルのうちタンブル流の強度が最大となるタイミングにおいて投影角度θが5度以上になる位置に各噴孔24を配置する構成とする。図10に示すように、エンジン10の吸気行程では、クランク角度に応じてタンブル流の強度が異なり、吸気行程前半のタイミングT2でタンブル流の強度が最大となる。また、タンブル流の強度が大きいほど、燃料噴射弁23から噴射した燃料の噴霧偏向が起きやすく、バルブウェットが生じやすくなる。したがって、上記構成とした場合にも、バルブウェットによる排気エミッション低下を抑制する効果を得ることができる。
・投影角度θを設定する際に、エンジン10のタンブル比に応じて投影角度θを設定してもよい。タンブル比が高いほど、タンブル流による燃料噴霧の偏向が大きくなる。このため、各エンジンのタンブル比に応じて投影角度θ(すなわち、噴孔24からの燃料の噴射方向)を設定することにより、バルブウェットとピストンウェットとをバランス良く抑制することができる。具体的には、図11に示すように、タンブル比が高いエンジンほど、投影角度θを大きく設定する。
・吸気バルブ19及び排気バルブ21の数及び配置は、気筒11内にタンブル流を発生可能であればよく、図1及び図2に示すものに限定されない。例えば吸気バルブ19及び排気バルブ21をそれぞれ1個ずつ設ける構成に適用してもよい。
・上記実施形態では、吸気管17内にタンブル制御弁28が設けられているシステムに適用する場合について説明したが、タンブル制御弁28が設けられていないシステムに本発明を適用してもよい。また、タンブル制御弁28として、燃焼室13内にタンブル流を発生するためのバタフライ式の開閉弁を吸気通路に配置し、タンブル制御弁28により燃焼室13内にタンブル流を発生させる構成としてもよい。
・上記の各構成要素は概念的なものであり、上記実施形態に限定されない。例えば、一つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分散して実現したり、複数の構成要素が有する機能を一つの構成要素で実現したりしてもよい。
10…エンジン(内燃機関)、19…吸気バルブ(気流発生機構)、23…燃料噴射弁、25…点火プラグ、28…タンブル制御弁、50…ECU(制御装置)。
Claims (6)
- 気筒(11)内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁(23)と、
前記気筒の上部中央に設けられた点火プラグ(25)と、
前記気筒の上部において前記点火プラグの側方に設けられた吸気バルブ(19)及び排気バルブ(21)と、
前記気筒内にタンブル流を発生させる気流発生機構(19、28)と、
を備え、
前記燃料噴射弁は、前記気筒の吸気側上部の周縁側に配置され、前記気筒の内壁面に向かう方向に燃料を噴射するサイド噴射式であり、
前記吸気バルブが最大リフト位置に変位している状態において、前記気筒の上方から前記燃料噴射弁の軸線方向に見て、前記燃料噴射弁の噴孔(24)から前記燃料が噴射される噴射方向(R)と、前記吸気バルブの外周縁部(20)のうち前記噴孔に最も近接する位置(K1)と前記噴孔とを結ぶ線(S)とのなす角度が5度以上になるように前記燃料噴射弁が配置されている、内燃機関。 - 気筒(11)内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁(23)と、
前記気筒の上部中央に設けられた点火プラグ(25)と、
前記気筒の上部において前記点火プラグの側方に設けられた吸気バルブ(19)及び排気バルブ(21)と、
前記気筒内にタンブル流を発生させる気流発生機構(19、28)と、
を備え、
前記燃料噴射弁は、前記気筒の吸気側上部の周縁側に配置され、前記気筒の内壁面に向かう方向に燃料を噴射するサイド噴射式であり、
1燃焼サイクルのうちタンブル流の強度が最大である状態において、前記気筒の上方から前記燃料噴射弁の軸線方向に見て、前記燃料噴射弁の噴孔から前記燃料が噴射される噴射方向と、前記吸気バルブの外周縁部のうち前記噴孔に最も近接する位置と前記噴孔とを結ぶ線とのなす角度が5度以上になるように前記燃料噴射弁が配置されている、内燃機関。 - 前記燃料噴射弁は、前記噴孔を複数備え、それら複数の前記噴孔の全部において前記角度が5度以上になるように前記燃料噴射弁が配置されている、請求項1又は2に記載の内燃機関。
- 前記角度が10度以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関。
- 2.5以上のタンブル比を実現可能な内燃機関である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の内燃機関。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の内燃機関を制御する制御装置であって、
前記気筒内のタンブル流の強度に応じて、前記燃料噴射弁から噴射する燃料の噴射圧を可変に設定する噴射圧制御部を備える、内燃機関の制御装置。
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