JP2020066638A - ヘパリンの会合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、ヘパリンとポリアミンとの新規会合体、会合体からなる抗血液凝固剤、会合体を含む薬剤組成物、会合体の製造のためのキット、徐放性付与剤、及び会合体の製造方法等に関する。【解決手段】〔1〕ヘパリンと、3以上のアミノ基を有する直鎖状又は分岐状のポリアミンとの会合体、〔2〕〔1〕に記載の会合体からなる抗血液凝固剤、〔3〕〔1〕に記載の会合体を含む薬剤組成物、〔4〕ヘパリン又はその塩と、3以上のアミノ基を有する直鎖状若しくは分岐状のポリアミン、又はその塩とを含む、会合体の製造のためのキット、〔5〕3以上のアミノ基を有する直鎖状若しくは分岐状のポリアミン、又はその塩を含むからなる、ヘパリンの徐放性を付与するための徐放性付与剤、及び〔6〕ヘパリン又はその塩の水溶液と、3以上のアミノ基を有する直鎖状若しくは分岐状のポリアミン又はその塩の水溶液とを混合すること含む、会合体の製造方法。【選択図】図3

Description

本発明は、ヘパリンとポリアミンとの会合体、会合体からなる抗血液凝固剤、会合体を含む薬剤組成物、会合体の製造のためのキット、徐放性付与剤、及び会合体の製造方法等に関する。
未分画ヘパリン (UFH) は、ウロン酸とグルコサミンが交互に結合し、各糖水酸基の一部に硫酸基が付加した直鎖の酸性多糖類であり、抗血液凝固薬として汎用されている。効能・効果は、1) 汎発性血管内血液凝固症候群の治療、2) 血液透析・人工心肺その他の体外循環装置使用時の血液凝固防止、3) 血管カテーテル挿入時の血液凝固の防止、4) 輸血及び血液検査の際の血液凝固の防止、5) 血栓塞栓症 (静脈血栓症、心筋梗塞症、肺塞栓症、脳塞栓症、四肢動脈血栓塞栓症、手術中・術後の血栓塞栓症等)の治療及び予防が挙げられる。
近年、未分画ヘパリンを改良した低分子量ヘパリン (例えば、商品名:アリクストラ(登録商標))やワルファリンに替わる新規経口抗凝固薬 (例えば、商品名:プラザキサ(登録商標)、商品名:イグザレルト(登録商標))が開発されたため市場規模は年々拡大し、2022年には1,647億円に続伸すると予想されている。しかしながら手術の際は休薬し、ヘパリン置換されることからUFHの需要は未だに高く、国内だけで現在10社の製薬企業が生産している。手術の際、UFHは静脈内点滴注射法、静脈内間歇注射法、皮下注射法により投与される。
特許文献1では、局所においてヘパリンあるいは低分子量ヘパリンを長時間にわたって徐放することにより、副作用となる出血傾向を軽減しつつ、病変部において効率よく肝細胞増殖因子(HGF)の産生を促進して、腎臓における線維化を抑制できる組成物を提供することを課題として、カチオン化ゼラチンとヘパリンを含む徐放性ゼラチンハイドロゲル組成物が開示されている(特許文献1)。
特開2013-75835号公報
UFHは、高い負電荷を有し、数平均分子量が約13,000と高分子であるため、経口吸収効率は著しく低く、投与は静脈内注射か皮下投与に限られる。更に、血液や血管の蛋白質と非特異的に結合する。そのため、UFHの静脈内投与は、血管内皮細胞やマクロファージとの結合による急速な消失相と腎臓からの排泄に起因する緩慢な消失相がある。さらに、UFHは、半減期が短く (約40〜60分) 治療域が狭いという課題があった。
半減期を延長するため低分子量ヘパリンが開発されたが、適応がUFHに比べ限られている。そのため、新規ヘパリンの開発が望まれる。
そこで、本発明は、ヘパリンとポリアミンとの新規会合体、会合体からなる抗血液凝固剤、会合体を含む薬剤組成物、会合体の製造のためのキット、徐放性付与剤、及び会合体の製造方法等に関する。
また、ある側面で、本発明は、投与後のヘパリンの半減期が長く、治療域が長く持続する会合体、会合体からなる抗血液凝固剤、会合体を含む薬剤組成物、会合体の製造のためのキット、徐放性付与剤、及び会合体の製造方法等に関する。
本発明は、下記の〔1〕〜〔11〕に関する。
〔1〕ヘパリンと、3以上のアミノ基を有する直鎖状又は分岐状のポリアミンとの会合体。
〔2〕〔1〕に記載の会合体からなる抗血液凝固剤。
〔3〕〔1〕に記載の会合体を含む薬剤組成物。
〔4〕ヘパリン又はその塩と、3以上のアミノ基を有する直鎖状若しくは分岐状のポリアミン、又はその塩とを含む、会合体の製造のためのキット。
〔5〕3以上のアミノ基を有する直鎖状若しくは分岐状のポリアミン、又はその塩からなる、ヘパリンの徐放性を付与するための徐放性付与剤。
〔6〕ヘパリン又はその塩の水溶液と、3以上のアミノ基を有する直鎖状若しくは分岐状のポリアミン又はその塩の水溶液とを混合すること含む、会合体の製造方法。
〔7〕抗血液凝固のための、〔1〕に記載の会合体。
〔8〕抗血液凝固のための、〔1〕に記載の会合体の使用。
〔9〕抗血液凝固剤の製造のための、〔1〕に記載の会合体の使用。
〔10〕ヘパリンを含む抗血液凝固剤に徐放性を付与するための、3以上のアミノ基を有する直鎖状若しくは分岐状のポリアミン又はその塩の使用。
〔11〕〔1〕の会合体を生体内に投与する、血液凝固防止方法。
本発明によれば、ヘパリンとポリアミンとの新規会合体、会合体からなる抗血液凝固剤、会合体を含む薬剤組成物、会合体の製造のためのキット、徐放性付与剤、及び会合体の製造方法等を提供することができる。
また、ある側面で、本発明によれば、投与後のヘパリンの半減期が長く、治療域が長く持続する会合体、会合体からなる抗血液凝固剤、会合体を含む薬剤組成物、会合体の製造のためのキット、徐放性付与剤、及び会合体の製造方法等を提供することができる。
各pH条件下で調製した会合体に含まれるSPMとUFHを解離させ、会合体におけるSPMを〔SPM定量〕に示した方法により定量した結果を図1Aに、会合体におけるUFHを〔ヘパリン定量〕に示した方法により定量した結果を図1Bに示す。 図2は、上清中のUFH及びTaaの量と、UFHが有する負電荷とTaaが有する正電荷の比 (negative/positive ratio, N/P ratio)との関係を示した図である。 図3は、マウスにUFH及びUFH-Taaの会合体を皮下投与した後の血漿中Anti-Factor Xa activityの経時的な変化を示す。図3Aは、UFHの投与量4 mg/kg (body weight)での結果を示し、図3Bは、UFHの投与量30 mg/kg (body weight)での結果を示し、図3Cは、UFH-Taaの会合体の投与量30 mg/kg (body weight)での結果を示す。 図4は、マウスにUFH及びUFH-Taaの会合体を皮下投与した後の血漿中Anti-Factor IIa activityの経時的な変化を示す。図4Aは、UFHの投与量4 mg/kg (body weight)での結果を示し、図4Bは、UFHの投与量30 mg/kg (body weight)での結果を示し、図4Cは、UFH-Taaの会合体の投与量30 mg/kg (body weight)での結果を示す。 図5は、マウスにLMWH及びLMWH-Taaの会合体を皮下投与した後の血漿中Anti-Factor Xa activityの経時的な変化を示す。
本明細書において、各種用語について以下の略語を用いることがある。
未分画ヘパリン又はその塩は、「UFH」と省略することがある。
低分子量ヘパリン又はその塩は、「LMWH」と省略することがある。
スペルミンは、「SPM」と省略することがある。
スペルミジンは、「SPD」と省略することがある。
プトレシンは、「PUT」と省略することがある。
テトラキス(3-アミノプロピル)アンモニウムは、「Taa」と省略することがある。
[会合体]
本発明の会合体は、ヘパリンと、3以上のアミノ基を有する直鎖状又は分岐状のポリアミンとの会合体である。ヘパリンと当該ポリアミンとの会合体を形成することで、水中でゲル状の会合体乃至は固形状の会合体が得られる。当該会合体は、ポリイオンコンプレックスを形成していると考えられる。当該会合体を形成することで、投与後、血液内でヘパリンが徐放され、ヘパリン半減期が長くなり、治療域が長く持続するという効果を奏する。
ヘパリンは、酸性多糖類であり高い負電荷を有する。当該表面の電荷をポリアミンで中和することで会合体を形成する。会合体は、例えば、ヘパリンの分子内に存在する酸性基に基づく負電荷と、ポリアミン分子内に存在する塩基性基に基づく正電荷とによる、静電的相互作用により結合している。
<ヘパリン>
ヘパリンは、ウロン酸とグルコサミンが交互に結合し、各糖水酸基の一部に硫酸基が付加した直鎖の酸性多糖類である。
ヘパリンとしては、例えば、未分画ヘパリン (UFH)、光分解ヘパリン (例えば、後述のHP7000) 、低分子量ヘパリン (LMWH)が挙げられる。
会合体の原料としては、ヘパリン又はその塩が用いられる。
ヘパリンの塩としては、例えば、ナトリウム塩、カルシウム塩が挙げられる。
ヘパリンナトリウムは、例えば、健康な食用獣の肝、肺、腸粘膜から得たものである。
ヘパリンカルシウムは、例えば、健康なブタの腸粘膜から得たものである。
ヘパリンの調製は、例えば、日本薬局方に開示された方法等が利用できる。ナトリウム塩は日本薬局方収載品として、カルシウム塩はイギリス薬局方収載品あるいは例えば、カーボマー社(CarboMer Inc.)製として入手可能である。
なお、原料として塩を用いた場合、当該塩の一部が残存している可能性もある。
未分画ヘパリンの数平均分子量は、好ましくは5,000以上、より好ましくは8,000以上、更に好ましくは10,000以上、更に好ましくは12,000以上であり、そして、好ましくは15,000以下、より好ましくは14,000以下、更に好ましくは13,000以下である。数平均分子量は、実施例の「ヘパリン分子量測定」に記載の方法により測定される。
原料として用いられる未分画ヘパリンの市販品としては、例えば、ヘパリンナトリウム塩(New Zealand Pharmaceutical社製)、「ヘパリンカルシウム皮下注5千単位/0.2 mLシリンジ」(持田製薬株式会社製)が挙げられる。
光分解ヘパリンとは、未分画ヘパリンを、二酸化チタンを用いた光分解反応により低分子量化したヘパリンである。光分解ヘパリンは、特に限定されないが、例えば国際公開公報WO2008/059869号に記載された方法によって得られる。
光分解ヘパリンの数平均分子量は、好ましくは3,000以上、好ましくは5,000以上、より好ましくは6,000以上であり、そして、好ましくは10,000以下、より好ましくは9,000以下、更に好ましくは8,000以下である。数平均分子量は、実施例の「ヘパリン数平均分子量測定」に記載の方法により測定される。
低分子量ヘパリンは、例えば、ウシ又はブタ腸粘膜由来のヘパリンを過酸化水素と硫酸第二銅等により分解して得られた解重合ヘパリンである。
低分子量ヘパリンの数平均分子量は、好ましくは2,000以上、より好ましくは2,500以上、更に好ましくは3,000以上であり、そして、好ましくは7,000以下、より好ましくは6,000以下、更に好ましくは5,000以下である。数平均分子量は、実施例の「ヘパリン数平均分子量測定」に記載の方法により測定される。
低分子量ヘパリンとしては、例えば、パルナパリン、ダルテパリン(数平均分子量約5,500)、ダナパロイド、レビパリン、及びエノキサパリン(数平均分子量約3,500〜4,500)が挙げられる。
原料として用いられる低分子量ヘパリンの市販品としては、例えば、エノキサパリンナトリウム注射液「クレキサン皮下注キット2000 IU」(サノフィ株式会社製)が挙げられる。
これらのヘパリンの中でも、未分画ヘパリン又は低分子量ヘパリンが好ましく、血液内でヘパリンが徐放され、ヘパリン半減期が長く、治療域を長く持続する観点から、未分画ヘパリンがより好ましい。
ヘパリンの力価は、好ましくは80 IU/mg以上、より好ましくは90 IU/mg以上であり、そして、好ましくは220 IU/mg以下、より好ましくは210 IU/mg以下、更に好ましくは200 IU/mg以下である。なお、ヘパリン単位は、国際単位(IU)で表記している。
ヘパリンの二糖あたりの平均負電荷は、好ましくは-3.00以下、より好ましくは-3.20以下、更に好ましくは-3.30以下であり、そして、好ましくは-4.00以上、より好ましくは-3.80以上、更に好ましくは-3.60以上、更に好ましくは-3.40以上である。
原料としてヘパリン製剤を用いてもよい。ヘパリン製剤としては、例えば、製薬学的に許容されるヘパリン含有溶液、用時溶解して用いるヘパリン含有固形製剤(粉末製剤、凍結乾燥製剤等)が挙げられる。これらの中でも、溶液が好ましい。
<ポリアミン>
ヘパリンと、3以上のアミノ基を有する直鎖状又は分岐状のポリアミンとの組み合わせにより、会合体を形成する。
ポリアミンは、会合体の形成性を高める観点、及び血液内でヘパリンが徐放され、ヘパリン半減期が長く、治療域を長く持続する観点から、好ましくは分岐状のポリアミンであり、より好ましくは十字状ポリアミンである。
十字状ポリアミンとは、4以上の置換基が1の窒素原子に結合したアミンを意味する。
ポリアミンは、それぞれの窒素原子が炭素数3若しくは4の2価の脂肪族炭化水素基で互いに連結されていてもよい。
ポリアミンのアミノ基数は、会合体の形成の観点から、3以上であり、好ましくは4以上であり、そして、好ましくは6以下、より好ましくは5以下である。
ポリアミンの炭素数は、会合体の形成性を高める観点から、好ましくは5以上、より好ましくは6以上、更に好ましくは8以上、更に好ましくは10以上、更に好ましくは11以上であり、そして、好ましくは20以下、より好ましくは18以下、更に好ましくは16以下、更に好ましくは14以下である。
ポリアミンは、会合体の形成性を高める観点、及び血液内でヘパリンが徐放され、ヘパリン半減期が長く、治療域を長く維持する観点から、好ましくは分子内に4級アンモニウム部位を有する。
ポリアミンは、血液内でヘパリンが徐放され、ヘパリン半減期が長く、治療域を長く維持する観点から、好ましくは、式( 1 ):

〔式中、R1, R2, R3, R4は、それぞれ独立に炭素数3又は4の2価の脂肪族炭化水素基である。〕で表される化合物である。
2価の脂肪族炭化水素基は、例えば、1, 3-プロパンジイル基、1, 4-ブタンジイル基が挙げられる。これらの中でも好ましくは1,3-プロパンジイルである。
ポリアミンには、カウンターアニオンX-が含まれていてもよい。X-としては、Cl-,Br-,I-等のハロゲン化物イオン等が挙げられる。
ポリアミンとしては、例えば、スペルミジン、スペルミン、テルミン、カルドペンタミン、トリス(3-アミノプロピル)アミン(以下、「ミツビシン」ともいう)、テトラキス(3-アミノプロピル)アンモニウムが挙げられる。
これらの中でも、会合体の形成性を高める観点、及び血液内でヘパリンが徐放され、ヘパリン半減期が長く、治療域を長く維持する観点から、テトラキス(3-アミノプロピル)アンモニウムが好ましい。
上述のテトラキス(3-アミノプロピル)アンモニウムは、例えば、[dentification, chemical synthesis, and biological functions of unusual polyamines produced by extreme thermophiles By: Oshima, Tairo; Moriya, Toshiyuki; Terui, Yusuke Methods in Molecular Biology (New York, NY, United States) Vol. 720, IssuePolyamines, Pages81-111. General Review, 2011]に記載を参考にした方法により得られる。
会合体は、ヘパリン1 gあたりの、ポリアミンのモル比率が、例えば、好ましくは0.5 mmol/g以上、より好ましくは0.7 mmol/g以上、更に好ましくは0.8 mmol/g以上であり、そして、好ましくは8 mmol/g以下、より好ましくは7 mmol/g以下、更に好ましくは6 mmol/g以下である。
会合体における、ヘパリンが有する負電荷とポリアミンが有する正電荷の比(negative/positive ratio, N/P ratio)は、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2以下、更に好ましくは1.5以下であり、そして、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.8以上である。
なお、ポリアミンの正電荷は、分子構造からアミノ基及びアンモニウム基の数を一分子あたりの正電荷の数とし、ポリアミンのモル量から全体の正電荷を算出する。例えば、Taaの場合、一分子あたりの電荷+5とする。
ヘパリンの負電荷は、二糖あたりの平均分子量及び二糖あたりの平均電荷から、ヘパリン全体の負電荷を算出する。例えば、UFHの場合、二糖あたりの平均電荷-3.38を用いて計算する。なお、上記電荷の比は絶対値の比率である。なお、二糖あたりの平均分子量及び二糖あたりの平均電荷は以下の方法により測定する。
(ヘパリンの二糖組成、二糖あたりの平均分子量、及び二糖あたりの平均電荷の測定法)
ヘパリンをへパリナーゼI,II及びIIIで切断した後に、逆相イオンペアクロマトグラフィーにより、不飽和二糖を分離し、蛍光検出器により二糖組成を同定する。
検出された二糖の組成(ΔUA-GlcNAc (カルボキシ基数1, 硫酸基数0, 分子量379.3)、ΔUA-GlcNS (カルボキシ基数1, 硫酸基数1,分子量417.3)、ΔUA-GlcNAc6S (カルボキシ基数1, 硫酸基数1, 分子量459.3)、ΔUA-GlcNS6S (カルボキシ基数1, 硫酸基数2, 分子量497.4)、ΔUA2S-GlcNS (カルボキシ基数1, 硫酸基数2, 分子量497.4)、ΔUA2S-GlcNS6S (カルボキシ基数1, 硫酸基数3, 分子量577.4))から、二糖あたりの平均分子量を算出する。二糖あたりの平均電荷は、二糖あたりのカルボキシ基及び硫酸基の平均値から算出する。
[会合体の製造方法]
会合体は、例えば、ヘパリン又はその塩の水溶液(以下、単に「ヘパリン水溶液」ともいう)と、3以上のアミノ基を有する直鎖状若しくは分岐状のポリアミン、又はその塩の水溶液(以下、単に「ポリアミン水溶液」ともいう)とを混合することにより得られる。
ヘパリン水溶液とポリアミン水溶液との混合比率及びその濃度は、混合後の各成分の濃度が、好ましくは以下のとおりになるよう調整される。
ヘパリン水溶液の混合後のヘパリン濃度は、会合体の形成性を高める観点から、好ましくは0.5 mg/mL以上、より好ましくは1 mg/mL以上、更に好ましくは3 mg/mL以上、更に好ましくは5 mg/mL以上、更に好ましくは8 mg/mL以上であり、そして、好ましくは20 mg/mL以下、より好ましくは15 mg/mL以下、更に好ましくは13 mg/mL以下である。
なお、ヘパリン水溶液は、例えば、上述のとおりヘパリン製剤であってもよい。
ポリアミン水溶液の混合後のポリアミン濃度は、会合体の形成性を高める観点から、好ましくは5 mM以上、より好ましくは10 mM以上、更に好ましくは30 mM以上であり、そして、好ましくは80 mM以下、より好ましくは60 mM以下、更に好ましくは50 mM以下である。
ヘパリン水溶液とポリアミン水溶液との混合時の条件は、特に限定されず、常温でこれらの水溶液を混合することで、簡便に会合体を形成することができる。
会合体を含む混合液のpHは、会合体の形成性の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは3以上、更に好ましく4以上であり、そして、好ましくは6以下である。
[会合体の用途]
会合体は、好ましくは抗血液凝固剤として用いられる。会合体を抗血液凝固剤として用い、当該会合体を生体内に投与することで、ヘパリンが生体内で徐放されるため、投与後のヘパリンの半減期が長く、治療域が長く持続する。つまり、会合体を生体内に投与する、血液凝固防止方法として用いられる。
抗血液凝固剤等の用途として用いる観点から、会合体は、好ましくは、未分画ヘパリンと、上述の式( 1 )で表される化合物との会合体であり、より好ましくは、未分画ヘパリンとTaaとの会合体である。当該会合体を用いることで、ヘパリンの最大血中濃度到達時間と半減期が延長され、更には、最大血中濃度も低く抑えることができる。
また、別の面において、抗血液凝固剤等の用途として用いる観点から、会合体は、好ましくは、低分子量ヘパリンと、上述の式( 1 )で表される化合物との会合体であり、より好ましくは、低分子量ヘパリンとTaaとの会合体であることが好ましい。当該会合体を用いることで、ヘパリンの最大血中濃度到達時間が延長され、更には最大血中濃度も低く抑えることができる。
投与方法は、例えば、経口投与、皮下投与、静脈内投与が挙げられるが、好ましくは皮下投与又は静脈内投与、より好ましくは皮下投与である。
会合体は、会合体を含む薬物剤組成物として用いられる。
薬物剤組成物は、経口投与に用いる観点から、例えば、上述のヘパリン水溶液と、ポリアミン水溶液の混合物をそのまま用いてもよい。
薬剤組成物は、皮下投与に用いる観点から、上述のヘパリン水溶液と、ポリアミン水溶液の混合物を遠心分離にかけ、分離した会合体と、コーンオイル等の植物油とを混合して用いてもよい。
薬剤組成物は、静脈投与に用いる観点から、生理食塩水等へ懸濁して用いてもよい。
会合体の投与量は、例えば、会合体に含まれるヘパリンの質量換算で、1〜60 mg/kg (body weight)、より好ましくは10〜50 mg/kg (body weight)、更に好ましくは20〜40 mg/kg (body weight)である。
[キット]
本発明の会合体は、2種の水溶液を混合することで簡便に得られる。そのため、ヘパリン又はその塩と、ポリアミン又はその塩を含むキットとして実施することもできる。
会合体の製造のためのキット(以下、単に「キット」ともいう)は、ヘパリン又はその塩と、3以上のアミノ基を有する直鎖状若しくは分岐状のポリアミン、又はその塩とを含む。
キットにおいて、ヘパリン又はその塩は、ヘパリン水溶液であることが好ましい。
キットにおいて、ポリアミン、又はその塩は、ポリアミン水溶液であることが好ましい。
ヘパリン水溶液及びポリアミン水溶液の濃度は、好ましくは、上述の混合の後の濃度となる範囲である。
キットは、ヘパリン又はその塩と、ポリアミン又はその塩とを、別々の包装単位として含んでいてもよい。
キットは、ヘパリン又はその塩と、ポリアミン又はその塩とを混合する旨の説明書を含んでいてもよい。また、キットは、混合物を遠心分離にかけ、分離した会合体と、コーンオイル等の植物油とを混合して、皮下投与する旨の説明書を含んでいてもよい。
キットに含まれる化合物及び薬剤はいずれも、必要に応じて、上記のような1種類又は2種類以上の医薬的に許容される担体(医薬用担体)を含むことができる。
[徐放性付与剤]
本発明の会合体は2種の水溶液を混合することで簡便に得られるため、3以上のアミノ基を有する直鎖状若しくは分岐状のポリアミン又はその塩を、ヘパリンの徐放性を付与するための徐放性付与剤として用いてもよい。
徐放性付与剤は、例えば、市販品のヘパリン製剤等と混合し、会合体を形成して用いることができる。つまり、上述のポリアミン又はその塩の、ヘパリンの徐放性を付与するための使用、或いは、上述のポリアミン又はその塩の、ヘパリンとの会合体を形成するための使用が意図される。
以上、本発明の会合体によれば、新規会合体、会合体からなる抗血液凝固剤、会合体を含む薬剤組成物、会合体の製造のためのキット、徐放性付与剤、及び会合体の製造方法が提供され、更には、投与後のヘパリンの半減期が長く、治療域が長く持続する会合体、会合体を含む薬剤組成物、会合体の製造のためのキット、徐放性付与剤、及び会合体の製造方法が得られる。
以下、本発明の実施例を具体的に示すが、当該態様に限定されるものではない。
[試料]
ヘパリンナトリウム塩 (Unfractionated Heparin, 当該ヘパリンを「UFH」として用いた。) (ブタ小腸由来, 力価 100 IU/mg, 数平均分子量13,000, 二糖あたりの平均分子量534, 二糖あたりの平均負電荷-3.38) はNew Zealand Pharmaceutical社より購入した。クレキサン皮下注キット2000 IU (エノキサパリンナトリウム注射液)はサノフィ株式会社より購入した。ヘパリンの6糖 (MW : 1800), 10糖(MW : 3000)及び20糖(MW : 5750)の標準品はiduron社より購入した。 1,3-diaminopropane, thermine, caldopentamine, mitsubishine及びTetrakis(3-aminopropyl)ammonium (Taa,塩化物塩) は千葉科学大学の照井祐介先生より供与していただいた。その他の試薬は全て市販の特級品及びHPLCグレードを使用し、水はMilli-Q 超純水装置システムにより精製したものを用いた。
[装置]
1-1. ポリアミン定量
溶離液のポンプは株式会社日立ハイテクサイエンス製 Chromaster 5110 Pump, オートサンプラーは株式会社日立ハイテクサイエンス製 ELITE LaChrom L-7200, カラム恒温槽は株式会社日立ハイテクサイエンス製 ELITE LaChrom L-7300, 蛍光検出器は日本分光株式会社製Intelligent Fluorescence Detector FP-1520S, カラムは東ソー株式会社製 TSKgel Polyaminepak (4.6 mm x 50 mm) をそれぞれ用いた。
1-2. ヘパリン定量
溶離液のポンプは東ソー株式会社製 DP8020, デガッサーは株式会社島津製作所製 DGU-12A, ポストポンプは日本精密科学株式会社製 MINICHEMI PUMP, オートサンプラーは東ソー株式会社製 AS-8020, ドライ反応槽は株式会社フロム製 Reactor 522, 蛍光検出器は日本分光株式会社製 Intelligent Fluorescence Detector FP-1520S, カラムは昭和電工株式会社製 Asahipak NH2P-50 4E (4.6 mm x 250 mm) , ガードカラムは昭和電工株式会社製Asahipak NH2P-50G 4A (4.6 mm x 10 mm) をそれぞれ用いた。
1-3. ヘパリン分子量測定
1-2. ヘパリン定量で用いたものと同一の装置を用いた。 カラムは昭和電工株式会社製 Asahipak GF-510 HQ (7.6 mm x 300 mm) を用いた。
1-4. データ解析
ヘパリン定量には東ソー株式会社製LCデータ解析アプリケーションを、その他のデータ解析には株式会社ランタイムインスツルメンツ製 chromatoPRO-GPCとchromatoPROを用いた。
2. 光分解反応
光源はセン特殊光源株式会社製高圧水銀ランプHL100CH-4, 電源はセン特殊光源株式会社製HB100A-1, ランプジャケットはセン特殊光源株式会社製水冷ランプジャケットJW-1G, 反応槽はセン特殊光源株式会社製反応槽VG500を使用した。
[製造例]
LMWH精製
クレキサン皮下注キット2000 IUをSpectra Pore Dialysis Membrane 1Kを用いて透析した後、凍結乾燥することで得られた粉末をLMWH(Low Molecular Weight Heparin, 力価 120 IU/mg, 二糖あたりの平均分子量535, 二糖あたりの平均負電荷-3.43)とした。
光分解ヘパリン(HP 7,000)の調製
UFHの低分子量化は光分解反応装置を用いた(K. Higashi, S. Hosoyama, A. Ohno, S. Masuko, B. Yang, E.Sterner, Z. Wang, R.J. Linhardt, T. Toida, Photochemical Preparation of a Novel Low Molecular Weight Heparin, Carbohydr. Polym., 67 (2012) 1737-43.)。本装置は高圧水銀ランプ、反応槽、及び水冷ランプジャケットから成る。水冷ランプジャケットに冷却水を流しながら反応させることにより、反応時に発生する熱を冷却することが可能である。UFH 130 mgをガラスチューブに秤量し、二回蒸留水 (DDW) 13 mL に溶解した後、二酸化チタン 13 mgを加えよく撹拌した。このサンプルを計三本調製し、装置内で撹拌しながら一定時間光を照射することにより調製した。反応時間0, 0.5, 1, 2, 3, 3.5, 3.75, 4, 4.5時間で行い、それぞれのサンプルがMW : 6,700程度になったところで回収した。その後、遠心分離を行い、上清をシリンジフィルターで濾過することにより二酸化チタンを除去後、透析し、凍結乾燥を経て光分解ヘパリン (以下、「HP 7,000」ともいう, 力価 100 IU/mg, 二糖あたりの平均分子量523, 二糖あたりの平均負電荷-3.20) 粉末を得た。
[測定方法]
〔ヘパリン定量〕
pH 1からpH 3の会合体から得たUFHについては精製水5 mLに溶解し、pH 4からpH 9の会合体から得たUFHについては精製水500 μLに溶解したものをサンプルとした。ヘパリン定量は蛍光ポストカラム検出法を用いた (Y. Huang, Y. Washio, M. Hara, H. Toyoda, I. Koshiishi, T. Toida, T. Imanari., Simultaneous determination of dermatan sulfate and oversulfated dermatan sulfate in plasma by high-performance liquid chromatography with postcolumn fluorescence derivatization, Anal. Biochem., 240 (1996) 227-34.)。Asahipak NH2カラムを用い、流速0.5 mL/min、カラム温度は室温で行った。2液グラジエントのため、溶離液は (A) 0.1 M NaCl含む0.1 M sodium carbonate buffer (pH 10.0) と(B) 1.0M NaCl含む0.1 M sodium carbonate buffer (pH 10.0) を用いて、0-20 min (0-100 v/v% B) , 20-25 min (100 v/v% B) , 25-27 min (100-0 v/v% B) の条件でグラジエント溶出を行い、0 v/v% eluent Bで8分間平衡化した。ポストカラム試薬として用いた50 mM グアニジンと1.0 M NaOHはダブルプランジャーポンプで両液とも0.25 mL/minの流速で送液した。混合液は反応コイル (0.5 mm i.d. x 10 m) を通過中にドライ反応槽を用いて120℃で加熱、反応させ、冷却コイル (0.25 mm i.d. x 5 m) で冷却した。反応後は励起波長320 nm, 蛍光波長425 nmで蛍光検出した。標準品としてUFH 25 ppm, 50 ppm, 75 ppm, 100 ppmを用いて検量線を描くことでUFHを定量した。
〔SPM定量〕
SPMの定量は蛍光ポストカラム法を用いて行った (K. Igarashi, K. Kashiwagi, H. Hamasaki, A. Miura, T. Kakegawa, S. Hirose, S. Matsuzaki, Formation of a compensatory polyamine by Escherichia coli polyamine-requiring mutants during growth in the absence of polyamines, J. Bacteriol., 166 (1986) 128-34.)。TSKgel polyaminepak (4.6 mm x 50mm) を用い、溶離液としてBuffer II (0.08 w/v% Briji-35, 20 v/v% MeOH, 0.64 mM ヘキサン酸, 2 M NaCl, 0.35 M クエン酸ナトリウム) を流速0.42 mL/minで送液した。ポストカラム試薬であるオルトフタルアルデヒド溶液 (0.63 v/v% MeOH, 0.1 w/v% Briji-35, 0.4 M ホウ酸, 0.35 M NaOH, 4 mM オルトフタルアルデヒド, 28 mM 2-メルカプトエタノール) は流速0.42 mL/minで送液した。反応後は励起波長336 nm, 蛍光波長470 nmの条件で検出した。カラム温度は50℃で行った。標準品にはSPM 5 μM溶液を20 μL用いた。
〔Taa定量〕
Taaの定量は上記のSPM定量を改変し行った。3 Mの塩酸を用いてBuffer IIをpH 3.2に調節したものを溶離液として用い、流速0.7 mL/minで送液した。カラム温度は70℃で行った。標準品にはTaa 20 μM溶液を20 μL用いた。その他の条件はSPM定量法に従った。
〔ヘパリン数平均分子量測定〕
ヘパリンの数平均分子量測定は蛍光ポストカラム法を用いて行った。Asahipak GF-510 HQカラムを用い、流速 0.3 mL/min, カラム温度は室温で行った。溶離液は10 mM ammonium hydrogen carbonateを用い、アイソクラティック条件で分析した。 検出は204 nmのUVで行った。dp 6 (MW 1,800), dp 10 (MW 3,000)及びdp 20 (MW 5,750) の標準品を用いて検量線を描くことでヘパリンの数平均分子量を測定した。データの解析には株式会社インスツルメンツ製 chromatoPRO-GPCを用いた。
〔透過率〕
透過率はSPECTRONIC 20D+ (Thermo)で測定した。
[会合体の製造]
会合体形成における濃度比の影響
目的とする会合体溶液の2倍濃度となるように100μLのUFH水溶液及び100μLのポリアミン水溶液の濃度をそれぞれ精製水で調整した (表1) 。ポリアミン水溶液に同体積のUFH水溶液を混合することで目的濃度の溶液を調製し、よく混和した。白濁の程度は透過率(%T)で評価した。UFH水溶液と各ポリアミン水溶液を混合した結果を表1に示す。濃度は混合後の最終濃度として示した。
三種のポリアミンの中ではSPMが高い形成効率を示し、SPD, PUTとアミノ基の数が減少するにつれて会合体形成効率が低下した。この結果は、PUTが他のポリアミンに比べて分子鎖が短く、一分子あたりの電荷も小さいためにUFHとの相互作用が弱かったためだと考えられ、会合体形成効率はポリアミンの長さや電荷の数に影響を受けることが示唆された。溶液中のUFHとSPMの濃度が高いほど高い形成効率を示したが、 UFH又はSPMいずれかの濃度が極端に高くなった場合は形成効率が低下する傾向が見られた。以上の結果より, 会合体形成効率には溶液中のUFHとポリアミンの比が影響することが示唆された。
会合体形成におけるヘパリン分子量の影響
目的とする会合体溶液の2倍濃度となるようにヘパリン水溶液及びSPM水溶液の濃度をそれぞれ精製水で調整した (表2) 。ポリアミン水溶液に同体積のヘパリン水溶液を混合することで目的濃度の溶液を調製し、よく混和した。白濁の程度は透過率(%T)で評価した。ヘパリンの分子量を変化させた際の会合体形成効率の変化を表2に示す。ここで、ポリアミンにはSPM, SPD及びPUTの中で最も高い会合体形成効率を示したSPMを用いた。HP 7,000, LMWHを用いた場合にも会合体の形成が確認されたが、その形成効率は分子量が小さくなるにしたがって低下する傾向が見られた。
会合体形成におけるpHの影響
20 mg/mLのUFH水溶液と20 mmol/LのSPM水溶液を等体積混合することで、会合体を形成した後、1mol/L HCl及び0.2 mol/L NaOHを用いてpHを1から8まで調整した。pH 9の会合体溶液を作る際は2 mol/L NaOHを用いた。溶液を6,000 x gで5分間遠心にかけ、会合体層を沈殿させ水層を除いた後、同じpHに調整した水を用いて会合体を二度洗浄した。会合体の解離は2.0 mol/L NaOHを用いて会合体溶液のpHを 9以上とすることで行い、Amikon Ultra 10Kを用いて6,000 x g, 4℃で30分間遠心にかけてUFHとSPMを分離した。Amikon Ultra 10K上の残渣をUFH溶液とし、凍結乾燥することでUFHを得た。一方、通過画分をSPM画分とし、凍結乾燥することでSPMを得た。
各pH条件下で調製した会合体に含まれるSPMとUFHを解離させ、会合体におけるSPMを上述の〔SPM定量〕に示した方法により定量した結果を図1Aに、会合体におけるUFHを上述の〔ヘパリン定量〕に示した方法により定量した結果を図1Bに示す。酸性側では会合体を形成するUFH量とSPM量はいずれも増大していた。UFHとSPMから調製した会合体は負電荷を帯びており、pHを変化させた会合体溶液のゼータ電位を測定すると、酸性側に進むにつれて表面電荷が0に近づいたことから、会合体溶液のpHを酸性側に傾けることで負電荷が中和され会合体の形成が亢進したと考えた(表3)。
また、UFH一分子に対するSPMの分子数の比をとったものを表4に示す。pH が6より小さい範囲においてはUFH一分子あたり30分子から40分子のSPMが結合していた。
ポリアミンを用いた会合体の形成
目的とする会合体溶液の2倍濃度となるように20μLのUFH水溶液及び20μLのポリアミン水溶液の濃度をそれぞれ精製水で調整した (表5)。ポリアミン水溶液に同体積のUFH水溶液を混合することで目的濃度の溶液を調製し、よく混和した。白濁の程度は目視で判断した。UFHと各ポリアミンを混合した結果を表5に示す。表示した濃度は混合後の最終濃度である。また、Taaを用いて形成した会合体は固体状であり、他のポリアミンを用いて形成した液状の会合体とは形態が大きく異なっていた。これらの結果から、ポリアミンの分子内に含まれるアミノ基の数及び分岐鎖構造が重要であることが示唆された。これらの中でも、UFHとTaaの相互作用は特に強いことがわかった。なお、UFHとTaaとの会合体については、膠状であった。そのため透過率が測定できなかったので、目視評価で示した。
会合体形成における電荷比の影響
20 mg/mLのUFH水溶液 20 μLと80, 40, 20, 10, 5 mMのTaa水溶液 20 μLをそれぞれ混合して調製したPIC溶液を6,000 x g で5分間遠心にかけ、会合体と上清を分離した。上清のうち20 μLに5 w/w% TCA (トリクロロ酢酸) 80 μLを加えて、Taaを定量した。また、上清のうち20 μLに80 μLの水を加えて希釈し、UFHを定量した。UFHが有する負電荷は二糖あたりの平均分子量 534 二糖あたり平均電荷 -3.38を用いて計算した。Taaが有する正電荷は、一分子あたり電荷 +5を用いて計算した。算出された電荷を用いて、UFHが有する負電荷とTaaが有する正電荷の比 (negative/positive ratio, N/P ratio) を求めた。
上述のとおり、会合体を調製した後に、上清中に残存するUFH及びTaaを定量することで、会合体形成性を検討した。図2は、上清中のUFH及びTaaの量と、UFHが有する負電荷とTaaが有する正電荷の比 (negative/positive ratio, N/P ratio)との関係を示した図である。なお、図中、Taaの濃度は、aが80 mM, bが40 mM, cが20 mM, dが10 mM, eが5 mMである。Taaの濃度を5 mM (e), 10 mM (d), 20 mM (c) と高くするにつれて上清中のUFH及びTaaの割合が低下しており、PICの形成効率の増加が確認された。特に20 mM (c)のTaaを混合するとほぼすべてのUFHとTaaがPICを形成しており、混合したUFHが有する負電荷とTaaが有する正電荷の比 (negative/positive比, N/P比)は1.3であった。40 mM (b), 80 mM (a)とTaaの濃度を更に高くすると、上清中に遊離Taaが増加したことから、この条件下ではTaaは過剰であることが明らかとなった。以上の結果より、UFHとTaaから構成される会合体はN/P比が1となる濃度比で会合体形成効率が最も高くなることが示唆された。
また、UFH一分子あたり20分子程度のTaaが会合していたことから、UFH二糖単位あたり1分子程度のTaaが会合していることが示唆された。
[In vivo実験]
1.マウス
雌性のddY系マウス (以下、「ddYマウス」ともいう)は日本エスエルシー株式会社より購入した。千葉大学薬学部動物舎で25℃、相対湿度 55%に保たれたチップ入りゲージの中で一週間以上予備飼育した後、実験に用いた。食餌 (MF, オリエンタル酵母)、飲水は全て自由摂取とした。経口投与実験を行う場合は、食餌中に含まれるヘパリンの影響を考慮し、24時間絶食させた。
2. 試料
2.1. 標準タンパク質, 合成基質
Factor Xa, Normal human plasma, Antithrombin III及び発色性合成基質S-2222は積水メディカル株式会社よりヘパリンキット テストチーム(登録商標)ヘパリンSを購入し使用した。Thrombinとchromozyme THはRoche Diagnostics GmbHより購入した。
2.2. 試薬
ヘパリンナトリウム塩 (20 kDa, ブタ小腸由来, 力価 100 IU/mg, 数平均分子量13,000, 二糖あたりの平均分子量534, 二糖あたりの平均負電荷-3.38, 当該ヘパリンを「UFH」として用いた。) はNew Zealand Pharmaceutical社より購入した。サノフィ株式会社より購入したクレキサン皮下注2000 IU (エノキサパリンナトリウム注射液) をSpectra Pore Dialysis Membrane 1Kを用いて透析した後、凍結乾燥することで、エノキサパリンを得た当該ヘパリンをLMWHとして用いた(力価 120 IU/mg, 二糖あたりの平均分子量535, 二糖あたりの平均負電荷-3.43)。H3393-50KU heparin sodium salt, grade I-A : from porcine imtestinal mucosa (212 USP units/mg) はシグマアルドリッチ社から購入した。
2.3. その他
その他の試薬は全て市販の特級品及びHPLCグレードを使用し、水はMilli-Q 超純水装置システムにより精製したものを用いた。
3.装置
3.1. 吸光度測定
検出器として、TECAN Austria GmbH オーストリア製 サンライズサーモを用いた。
Anti-Factor Xa activety assay
・標準溶液の調製
標準品にはクレキサン皮下注キット (2000 IU/0.2 mL) を用いた。標準品を0.9 w/w%塩化ナトリウム水溶液を用いて10 IU/mLに希釈し、更に50 mM Tris buffer (pH 8.4) を用いて0.2 IU/mLに希釈した。希釈液0, 6, 12, 18, 24 μLをそれぞれ50 mM Tris buffer (pH 8.4) 48, 42, 36, 30, 24 μLに溶解し、1 U/mL ATIII 6 μL及びヒト正常血漿6 μLを加え、それぞれ0, 0.2, 0.4, 0.6, 0.8 U/mL plasmaの標準溶液を調製した。
・測定
測定試料6 μLを50 mM Tris buffer (pH 8.4) 48 μLに溶解した。これに1 U/mL ATIII 6 μLを加え、試料溶液を調製した。標準溶液又は測定試料60 μLを37℃で5分間加温した後、7.1 nkat/mL に調整したFactor Xa溶液30 μLを加え、37℃で正確に30秒加温した。これに0.75 mg/mLに調整したS-2222液60 μLを加え、37℃で正確に3分加温した後、50 w/w%酢酸水溶液90 μLを加え反応を停止させた。反応停止後、405 nmで測定した。標準液を用いてAnti-Factor Xa activity (IU/mL plasma) と吸光度をプロットして検量線を作成し、各試料のAnti-Factor Xa activityを算出した。この際、0時間後検体中のAnti-Factor Xa activityをそのマウスのブランクとして扱った。測定試料中のAnti-Factor Xa activityが0.8 U/mLより大きい場合には測定試料をヒト正常血漿で希釈して測定試料溶液を調製し、再度測定した。
なお、Anti-Factor Xa activityの治療域は0.3〜0.8 IU/mLである。
Anti-Factor IIa activity assay
・標準溶液の調製
標準品には heparin sodium salt (212 USP units/mg, sigma Aldrich) を用いた。標準品を精製水で0.2 USP/mLに希釈した。希釈液0, 10, 20, 30, 40 μLをそれぞれ50mM Tris-HClと227 mM NaCl から成る buffer (pH 8.4) 270, 260, 250, 240, 230 μLに溶解し、3 U/mL FIIa溶液 6 μL及びヒト正常血漿9 μLを加え、それぞれ0, 0.2, 0.4, 0.6, 0.8 USP/mL plasmaの標準溶液を調製した。
・測定
測定試料9 μLをbuffer 270 μLに溶解した。これに3 U/mL FIIa 溶液 6 μLを加え、試料溶液を調製した。標準溶液又は測定試料285 μLを25℃で5分間加温した後、1.9 mmol/L に調整したChromozyme TH溶液15 μLを加え、25℃で正確に5分加温した。これに10 w/w%クエン酸水溶液100 μLを加え反応を停止させた。反応停止後、405 nmで測定した。標準液を用いてAnti-Factor IIa activity (USP/mL plasma) と吸光度をプロットして検量線を作成し、各試料のAnti-Factor IIa activityを算出した。この際、0時間後検体中のAnti-Factor IIa activityをそのマウスのブランクとして扱った。測定試料中のAnti-Factor IIa activityが0.8 U/mLより大きい場合には測定試料をヒト正常血漿で希釈して測定試料溶液を調製し、再度測定した。
UFHとTaaからなる会合体の皮下投与
UFHとTaaから成る会合体をddYマウスに皮下投与した。会合体については、20 mg/mL UFHと80 mM Taaを同体積混合した後、800 x gで10分間遠心を行い、上清を除いた。得られた沈殿にcone oil 1.7 mL/kg (body weight)を加え、oil中に会合体を懸濁した後、マウスの背部に皮下投与した。UFHの量は、投与したUFHが4 mg/kg (body weight) (ヘパリンカルシウム皮下注5千単位/0.2 mLシリンジ「モチダ」添付文書, 持田製薬株式会社, 2016年1月改訂 第5版) となるように混合するUFHとTaaの体積を計算して、調整した。すなわち、30 gのマウスに対してはUFHとTaaをそれぞれ6 μLずつ混合した会合体を調製することで120 μgのUFHを皮下投与した。その後、 2, 4, 8, 12, 16, 20, 24時間後に尾静脈より採血した。皮下投与前にも尾静脈より採血し、0時間後の検体とした。採取した血液を4℃, 800 x gで15分間遠心することで血漿を得た。また、投与したUFHが30 mg/kg (body weight) となるようにUFHとTaaを混合した会合体も調製し、同様の処理を施した後にマウスへ皮下投与した。すなわち、30 gのマウスに対してはUFHとTaaをそれぞれ45 μLずつ混合した会合体を調製し900 μgのUFHを皮下投与した。対照群として, UFH 4 mg/kg (body weight) 及びUFH 30 mg /kg (body weight) をそれぞれcone oilに懸濁し皮下投与したマウスについても、皮下投与0, 0.5, 1, 2, 4, 6, 8, 12時間後に尾静脈より採血し、会合体群と同様に血漿を調製した。すなわち、30 gのマウスに対しては20 mg/kg UFH 6 μL, 100 mg/kg UFH 9 μLをそれぞれcone oilに懸濁して皮下投与した。
上述のとおりddYマウス12匹にUFHとTaaから調製した会合体を皮下投与し血漿中Anti-Factor Xa activityの経時的な変化を検討した(図3)。
図3は、マウスにUFH及びUFH-Taaの会合体を皮下投与した後の血漿中Anti-Factor Xa activityの経時的な変化を示す。図3Aは、UFHの投与量4 mg/kg (body weight)での結果を示し、図3Bは、UFHの投与量30 mg/kg (body weight)での結果を示し、図3Cは、UFH-Taaの会合体の投与量30 mg/kg (body weight)での結果を示す。4 mg/kg (body weight)対照群 (図3A) では最大血中濃度到達時間が投与0.5時間後であり、Anti-Factor Xa activityの半減期は1時間程度であった。また、4時間で血中から消失した。一方、30 mg/kg (body weight)のUFHを会合体として投与したマウスにおいては最大血中濃度到達時間が投与4時間後に延長され、20時間後までAnti-Factor Xa activity を検出することができた(図3C)。Anti-Factor Xa activityの半減期は6時間まで延長していた。会合体と同容量のUFH (20 mg/kg body weight)をマウスの皮下に投与したところ、最大血中濃度到達時間は1時間であり、投与後すぐに急激なAnti-FXa活性の上昇が確認された (図3B)。
UFH投与量4 mg/kg (body weight)では、Anti-FXa活性の治療域持続時間は、0.86時間であり、UFH投与量30 mg/kg (body weight)では、Anti-FXa活性の治療域持続時間は、1.3時間であり、UFH-Taaの会合体の投与量30 mg/kg (body weight)では、Anti-FXa活性の治療域持続時間は、4.5時間であった。これらの治療域持続時間は、各マウスの血中濃度推移からそれぞれの治療域の持続時間を算出し、その平均値を求めた。
以上の結果より、UFHとTaaから調製した会合体がUFHの徐放性製剤としての有用性を持つことが示唆された。
同マウス群における血漿中Anti-Factor IIa activityの経時的な変化を検討した。
図4は、マウスにUFH及びUFH-Taaの会合体を皮下投与した後の血漿中Anti-Factor IIa activityの経時的な変化を示す。図4Aは、UFHの投与量4 mg/kg (body weight)での結果を示し、図4Bは、UFHの投与量30 mg/kg (body weight)での結果を示し、図4Cは、UFH-Taaの会合体の投与量30 mg/kg (body weight)での結果を示す。会合体を投与したマウス群においても血漿中Anti-Factor IIa activityを検出することができた。
LMWHとTaaからなる会合体の皮下投与
LMWHとTaaから成る会合体については、20 mg/mL LMWHと80 mM Taaを同体積混合した会合体をUFHと同様に調製し、マウスへ皮下投与した。LMWHの量は、投与したLMWHが2 mg/kg (body weight) (医薬品インタビューフォーム クレキサン(登録商標)皮下注キット2000 IU, 科研製薬株式会社, 2015年3月改訂 第8版) となるように混合するLMWHとTaaの体積を計算して、調製した。すなわち、30 gのマウスに対してはLMWHとTaaをそれぞれ3 μLずつ混合した会合体を調製することで60 μgのLMWHを皮下投与した。その後、0.5, 1, 2, 4, 6, 8時間後に尾静脈より採血し、血液を4℃, 800 x gで15分間遠心することで血漿を得た。また、投与したLMWHが10 mg/kgとなるようにLMWHとTaaを混合した会合体も調製し、同様の処理を施した後にマウスへ皮下投与した。すなわち、30 gのマウスに対してはLMWHとTaaをそれぞれ15 μLずつ混合した会合体を調製し300 μgのLMWHを皮下投与した。
対照群としてLMWH 2 mg/kg (body weight) 及びLMWH 10 mg/kg (body weight) をそれぞれcone oilに懸濁し皮下投与したマウスについても、会合体群と同様に経時的な採血を行い、血漿を得た。すなわち30 gのマウスに対しては20 mg/kg LMWH 3 μL又は15 μLをそれぞれcone oilに懸濁して皮下投与した。
ddYマウス3匹にLMWHとTaaから調製した会合体を皮下投与し血漿中Anti-Factor Xa activityの経時的な変化を検討した。
図5は、マウスにLMWH及びLMWH-Taaの会合体を皮下投与した後の血漿中Anti-Factor Xa activityの経時的な変化を示す。
2 mg/kg (body weight) 対照群及び10 mg/kg (body weight) 対照群では最大血中濃度到達時間が投与0.5時間後であった。一方、2 mg/kg (body weight), 10 mg/kg (body weight)のLMWHをそれぞれ会合体として投与したマウスにおいては最大血中濃度到達時間が投与2時間後に延長された。
本発明の会合体は、例えば、徐放性を有する抗血液凝固剤として用いられ得る。

Claims (9)

  1. ヘパリンと、3以上のアミノ基を有する直鎖状又は分岐状のポリアミンとの会合体。
  2. 前記ポリアミンが、分岐状のポリアミンである、請求項1に記載の会合体。
  3. ポリアミンが、式( 1 ):

    〔式中、R1, R2, R3, R4は、それぞれ独立に炭素数3又は4の2価の脂肪族炭化水素基である。〕で表される化合物である、請求項1又は2に記載の会合体。
  4. 前記ヘパリンが、未分画ヘパリン又は低分子量ヘパリンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の会合体。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の会合体からなる抗血液凝固剤。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の会合体を含む薬剤組成物。
  7. ヘパリン又はその塩と、3以上のアミノ基を有する直鎖状若しくは分岐状のポリアミン、又はその塩とを含む、会合体の製造のためのキット。
  8. 3以上のアミノ基を有する直鎖状若しくは分岐状のポリアミン、又はその塩からなる、ヘパリンの徐放性を付与するための徐放性付与剤。
  9. ヘパリン又はその塩の水溶液と、3以上のアミノ基を有する直鎖状若しくは分岐状のポリアミン又はその塩の水溶液とを混合することを含む、会合体の製造方法。
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