JP2020066562A - WC−Si3N4系複合セラミックス及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、Ti(C、N)の添加量を増加することにより、ヤング率や硬さが増加すること(非特許文献1)、焼結助剤としてAlNを用いた場合、Al2O3を用いるよりも硬さが硬くなること(非特許文献2)が分かっている。また、Si3N4には、α型相とβ型相の2種類の結晶多形が存在しており、α相率の増加により硬さが増加することが、Si3N4セラミックス及びTaCやZrCとの複合化で報告されている(非特許文献3)。また、TiCを複合化した場合は、緻密な焼結体が得られ、破壊靱性値が向上すること(非特許文献4)も報告されている。
1)WCを70〜80mol%含有し、残部がSi3N4系セラミックスからなることを特徴とするWC−Si3N4系複合セラミックス。
2)前記Si3N4系セラミックスが、AlをAlN換算で17〜27mol%含有し、YをY2O3換算で2〜6mol%含有し、SiをSi3N4換算で残部として含有することを特徴とする上記1)記載のWC−Si3N4系複合セラミックス。
3)ヤング率が450GPa以上であることを特徴とする上記1)又は2)に記載のWC−Si3N4系複合セラミックス。
4)ビッカース硬度(Hv)が20GPa以上であることを特徴とする上記1)〜3)のいずれか一に記載のWC−Si3N4系複合セラミックス。
5)破壊靱性値が8MPam0.5以上であることを特徴とする上記1)〜4)のいずれか一に記載のWC−Si3N4系複合セラミックス。
6)かさ密度が8.5g/cm3以上であることを特徴とする上記1)〜5)のいずれか一に記載のWC−Si3N4系複合セラミックス。
7)AlN粉末及びY2O3粉末を含むSi3N4系粉末を20〜30mol%、WC粉末を70〜80mol%となるように秤量し、これらの粉末を混合した後、混合粉末を焼結温度1500℃〜1700℃で一軸加圧成形することを特徴とするWC−Si3N4系複合セラミックスの製造方法。
8)前記Si3N4系粉末が、AlN粉末を17〜27mol%含有し、Y2O3粉末を2〜6mol%含有し、残部がSi3N4粉末からなることを特徴する上記7)記載のWC−Si3N4系複合セラミックスの製造方法。
まず、原料粉末として、Si3N4粉末、焼結助剤であるAlN粉末、Y2O3粉末、添加粉末であるWC粉末を準備する。なお、Si3N4粉末にはα型とβ型があるが、使用するSi3N4粉末の種類に特に制限はない。
Si3N4−17〜27mol%AlN−2〜6mol%Y2O3をベース組成とし、これに70〜80mol%のWCを添加するように、各原料粉末を秤量した。次に、各原料粉末をボールミルによりSi3N4ボールを用いて、24時間、湿式混合を行う。なお、混合条件や混合方法は特に制限はなく、湿式混合の条件を変えたり、混合方法を変えることができる。
(焼結体の密度の測定)
焼結体のかさ密度は、アルキメデス法で測定した。
構成相の同定には、XRD(X線回折装置)を用いた。各相の存在率は、それぞれの相の最も強度の高いピークを用い、相対強度比をとり、存在率とした。
ヤング率は、室温で超音波パルス法により測定した。
硬さの測定は、ビッカース硬さ試験機により、室温で試験力98N、保持時間15秒の条件で測定した。
破壊靱性値は、ビッカース硬さ試験(室温、試験力98N、保持時間15秒)で生じた圧痕の対角長さ、及び圧痕の先端から伸びる亀裂の長さを測定し、IF法のED式で評価した。
焼結体の微細組織は、EPMA(電子線マイクロアナライザー)により観察した。
WCを添加することによって、またそれぞれの添加量において、緻密なセラミックス焼結体が得られているかを調べるために、上記によって作製した焼結体の密度を測定した。そして、実際に測定したかさ密度と計算により求めた理想的な密度とを比較した。図1にWCの添加量とセラミックス焼結体のかさ密度との関係を示す。Si3N4の密度が3.104g/cm3に対して、WCの密度は15.669g/cm3と高いためWCの添加量の増加によりかさ密度の増加していた。
焼結体の構成相やヤング率に影響されるヤング率の変化について、ヤング率に及ぼすWC添加量の影響を調べた。図2にWC添加量とヤング率との関係を示す。WCの添加量の増加によりヤング率は増加し、WC無添加の約300GPaから80mol%WC添加で約512GPaまで増加した。WCのヤング率が700GPaとSi3N4の約300GPaに比べ高いため、WC量の増加によりヤング率が増加したと考えられる。図3にWC添加量とヤング率の実測値、等ひずみモデルと等応力モデルによる計算値との関係を示す。作製した焼結体のヤング率は、等ひずみモデルに近い変化を示した。
次に、Si3N4系セラミックスとWCを複合化したときの硬さの変化について調べた。図4にWCの添加量とビッカース硬さの関係を示す。WC無添加の硬さは、19.2GPaとなった。WCを添加した場合、WCの添加量に伴って硬さが増加した。WC添加量が70mol%では21GPaとなり、WC無添加と比べて高い硬さとなった。Si3N4へのWC複合化は、硬さの増加に効果的であることが分かる。なお、Si3N4にTaCやZrCを添加した場合、α相率が硬さに影響していたことから、α相率と硬さの関係を調べたが、これらの添加材とWCの硬さが大きく異なるため、WCの場合はα率との間の相関は見られなかった。
焼結体のヤング率および硬さ等の機械的性質は、その構成相に影響される。そこで、X線回折分析法により構成相を同定し、WC添加量による各相の存在率の変化について調べた。各相の存在率は、それぞれの相の最も強度の高いピークを用い、相対強度比をとり存在率としている。図5にWC添加量と構成相の存在率との関係を示す。WCを添加することにより、α−Si3N4、α−SiAlON、β−SiAlON、WCが確認された。一方、WCとSi3N4の反応生成物は確認されなかった。原料粉末のSi3N4はほとんどがα型で、焼結後は、β型も見られるが、α型の方が多くなっている。WC添加量が40mol%まではα率[α/(α+β)]が若干増加し、WC添加量が40mol%を超えるとα率は低下し、80mol%では、50%程度まで低下した。なお、焼結助剤にAl2O3を用いた場合は、1600℃で焼結すると、ほぼβ型になっていた。
次に、焼結体の硬さ等の機械的性質は、その微細組織の影響を受けるため、微細組織の観察を行った。図6にセラミックス焼結体の組織変化を示す。WC添加量が0〜80mol%までのWC添加量による微細組織の変化を調べた。Al2O3を焼結助剤に用いた場合、同一の焼結条件では粗大な板状粒が見られたが、AlNを焼結助剤に用いた場合には、微細な粒状の組織となっており、WCを加えても組織の粗大化は見られず、WC粒の割合が増えていった。
一般的にセラミックスでは、硬さが増加すると、破壊靱性値が低下する関係にある。そこで、WCを添加することにより、破壊靱性値がどのように変化するかを測定した。図7にWC添加量と破壊靱性値との関係を示す。WC無添加では、約4.2MPam0.5程度であったが、WCを添加することにより破壊靱性値は増加し、80mol%で最大の8.9MPa0.5になった。なお、WCのみでは約6MPam0.5程度であるが、それよりも高い破壊靱性値となった。セラミックスでは、破壊靱性値が上がれば、硬さが低下するのが一般的であるが、Si3N4とWCとの複合化は硬さを低下させることなく、破壊靱性値を向上させることができることが分かった。
Claims (8)
- WCを70〜80mol%含有し、残部がSi3N4系セラミックスからなることを特徴とするWC−Si3N4系複合セラミックス。
- 前記Si3N4系セラミックスが、AlをAlN換算で17〜27mol%含有し、YをY2O3換算で2〜6mol%含有し、SiをSi3N4換算で残部として含有することを特徴とする請求項1記載のWC−Si3N4系複合セラミックス。
- ヤング率が450GPa以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のWC−Si3N4系複合セラミックス。
- ビッカース硬度(Hv)が20GPa以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のWC−Si3N4系複合セラミックス。
- 破壊靱性値が8MPam0.5以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のWC−Si3N4系複合セラミックス。
- かさ密度が8.5g/cm3以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のWC−Si3N4系複合セラミックス。
- AlN粉末及びY2O3粉末を含むSi3N4系粉末を20〜30mol%、WC粉末を70〜80mol%となるように秤量し、これらの粉末を混合した後、混合粉末を焼結温度1500℃〜1700℃で一軸加圧成形することを特徴とするWC−Si3N4系複合セラミックスの製造方法。
- 前記Si3N4系粉末がAlN粉末を17〜27mol%含有し、Y2O3粉末を2〜6mol%含有することを特徴する請求項7記載のWC−Si3N4系複合セラミックスの製造方法。
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CN113135763A (zh) * | 2021-04-27 | 2021-07-20 | 山东大学 | 一种用于整体式陶瓷铣刀的近成型方法 |
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