JP2020066093A - ロータリドレッサ - Google Patents

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Abstract

【課題】旋回中心に対するドレス工具の位置決め作業を短時間で行うことができるロータリドレッサを提供すること。【解決手段】回転軸CLを中心として回転可能な主回転軸部材30と、該主回転軸部材の一端面30aに着脱可能に取付けられ、前記主回転軸部材とともに回転する保持部材49と、該保持部材に回転可能に取り付けられるドレス工具と、前記ドレス工具に回転力を与える無端状のベルト55と、を備えたロータリドレッサ10。前記保持部材は、前記主回転軸部材の前記一端面と当接する取付面40aを有し、前記一端面と前記取付面とは、凸部の存在しない面として形成され、前記下端面には凹部32,33が形成され、前記取付面の前記凹部と対応する位置には貫通孔42,43が形成され、前記貫通孔と前記凹部に、前記主回転軸部材と前記保持部材とを固定する固定用部材35,36が挿入される。【選択図】図2

Description

本発明は、研削用砥石の形状を整えるロータリドレッサに関する。
従来、ワークを研削する研削用砥石の表面形状を整えるために、研削用砥石の表面をドレスするロータリドレッサが使用されている。ロータリドレッサは、例えば、円弧状の表面を有する研削用砥石(一例として、ワークであるボールベアリングの外輪の丸溝を研削する研削用砥石)の表面形状を整えるために用いられ、研削用砥石の表面と接触して、この表面を所定の円弧状にドレスするドレス工具を備えている。
ロータリドレッサとしては、特許文献1に記載された総型ドレッサや、特許文献2に記載された旋回型ドレッサが知られている。
総型ドレッサは、研削用砥石が固定される砥石軸と、この砥石軸と平行なドレス工具軸とを備えている。ドレス加工は、砥石軸に固定された研削用砥石の外周面にドレス工具軸に固定されたドレス工具の外周面を対向させ、研削用砥石とドレス工具とをそれぞれ軸まわりに回転させながら、ドレス工具を研削用砥石に押付けることで行われる。これにより、研削用砥石の外周面は、ドレス工具の外周面に対応した形状に整えられる。
図10(a)に示すように、旋回型ドレッサ100は、上下方向に伸びる円柱状であって回転軸CLまわりに往復回転可能な主回転軸部材130と、主回転軸部材130の下端面に取付けられる旋回アーム140と、旋回アーム140に固定され、ドレス工具120を保持する工具ホルダ150とを備える。主回転軸部材130の下端面の中央には、中心位置合せ用の突起である雄部131が形成されており、主回転軸部材130に対する旋回アーム140の取付面142には、雄部131と嵌合する貫通孔である雌部141が形成されている。旋回アーム140は、雌部141に雄部131を嵌め込んで、その周辺部を固定用螺子136で螺子止めすることにより、主回転軸部材131に取付けられている。
ドレス工具120は、工具ホルダ150に回転可能に保持されており、回転軸となる軸部材122と、軸部材122の一端部に設けられたドレスヘッド124と、軸部材122の他端部に設けられたプーリ126とを有している。プーリ126には、無端状のベルト155が回転軸CLの方向に伸長した状態で巻き掛けられている。ベルト155を介してプーリ126に駆動力が伝達されると、図10(a)において矢印で示すように、主回転軸部材130の回転軸CLと直交する工具回転軸まわりに回転する。この状態で主回転軸部材130を往復回転させることにより、回転軸CLを旋回中心としてドレス工具120が旋回移動しつつ研削用砥石の表面をドレスする。
総型ドレッサでは、研削用砥石の種類や形状に合わせて、その都度、形状の異なる新たなドレス工具が必要となる。一方、図10(a)に示す旋回型ドレッサ100では、ドレスヘッド124と主回転軸部材130の回転軸CLとの距離を変えて、ドレスヘッド124の旋回軌跡を変えることにより、形状の異なる研削用砥石を一つのドレス工具120でドレスすることができる。
近年では、ワークの生産が少品種大量生産から多品種少量生産へ変化してきており、同一のドレス工具で多種の研削用砥石をドレスできる旋回型ドレッサの需要が高まっている。
特開2002−103224号公報 特開平4−244376号公報
旋回型ドレッサ100において、ドレス工具120の旋回軌跡を変更する場合、旋回アーム140及び工具ホルダ150に設けられたアリ溝144及びアリ154とからなる位置調整手段によってドレス工具120と回転軸CLとの距離を変える必要がある。
主回転軸部材130に旋回アーム140及び工具ホルダ150を装着した状態で、アリ溝144内のアリ154の位置を調整する場合、加工結果を確認しながら、位置の調整を何度も繰り返す必要があるため、回転軸CLに対するドレス工具の位置決めに多大な時間がかかってしまう。量産作業中にこのような位置決め作業を行うと、製造工程に大幅な遅れが生じることから、改善策として、アリ溝144とアリ154の位置決めが成された旋回アーム140及び工具ホルダ150のセットを予め用意しておき、旋回アーム140ごとドレス工具120を付け替える方法が採用されている。
主回転軸部材130に旋回アーム140ごとドレス工具120を付け替える際には、図10(b)に示すように、ドレス工具120のプーリ126に巻き掛けられたベルト155を緩め、その後、図10(c)に示すように、固定用螺子136を外し、主回転軸部材130の下端面131から旋回アーム140の取付面141全体を下方に離間させて雄部131と雌部141との嵌合を解除し、旋回アーム140ごとドレス工具120を取り外す。次に、予め用意されている、位置決めが成された別の旋回アーム140、工具ホルダ150及びドレス工具120のセットを主回転軸部材130に取付ける。取付作業では、まず、主回転軸部材130の雄部131に旋回アーム140の雌部141を嵌め込み、この状態で固定用螺子136により主回転軸部材130と旋回アーム140とを固定する。その後、ベルト155をプーリ126に巻き掛けて、再びベルト155にテンションがかかるように引張状態を調整する。
このように、雄部131と雌部141の嵌合構造を用いて、ドレス工具120を旋回アーム140ごと交換することで、ドレス工具120の回転軸CLに対する位置決めの作業時間を大幅に短縮することができる。
しかしながら、ドレス工具120を旋回アーム140ごと交換する場合、その都度、ベルト155を緩めたり張り直したりする必要があり、さらに、交換後には、必要に応じて加工精度を高めるためにドレス工具120の位置の微調整を行ったりすることから、ドレス工具120の位置決め作業をさらに短縮することができるロータリドレッサが求められていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ドレス工具の旋回中心からの距離を変更する際に、旋回中心に対するドレス工具の位置決め作業を短時間で行うことができるロータリドレッサを提供することにある。
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、回転軸を中心として回転可能な主回転軸部材と、前記主回転軸部材の前記回転軸方向の一端面に着脱可能に取付けられ、前記主回転軸部材とともに回転する保持部材と、該保持部材に回転可能に取り付けられるドレス工具と、前記ドレス工具に連結されたプーリを介して前記ドレス工具に回転力を与える無端状のベルトと、を備えたロータリドレッサにおいて、前記保持部材は、前記主回転軸部材の前記一端面と当接する取付面を有する取付部を有し、前記一端面と前記取付面とは、凸部の存在しない面として形成され、前記一端面には一以上の凹部が形成され、前記取付面の前記凹部と対応する位置には前記取付部を貫通する貫通孔が形成され、前記取付部の貫通孔と前記一端面の凹部に挿入されて前記主回転軸部材と前記保持部材とを固定する固定用部材を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、主回転軸部材に保持部材ごとドレス工具を付け替えて、ドレス工具の旋回中心からの距離、すなわち主回転軸部材の回転軸からの距離を変更する際に、ベルトを緩めることなく、付け替えを行うことができる。すなわち、主回転軸部材から保持部材を取外す場合、固定用部材を取外した後、保持部材の取付面を主回転軸部材の一端面に対して大きく離間させることなく、スライド移動させることができ、これにより、ベルトを緩めずにプーリから外すことができる。また、主回転軸部材に別の保持部材を取り付ける場合には、ベルトを緩めずに、保持部材の取付面を主回転軸部材の一端面に当接させた状態でプーリにベルトを巻き掛けることができるとともに、主回転軸部材の凹部と保持部材の貫通孔とに固定用部材を挿入して、これらの部材を固定することにより、ドレス工具の位置決めを行うことができる。これにより、ドレス工具の付け替え時にベルトのテンションを調節する手間や時間を省くことができ、ドレス工具の旋回中心からの距離を変更する際のドレス工具の位置決め作業を短時間で行うことができる。
また、本発明は、請求項1に記載のロータリドレッサにおいて、前記凹部は、前記回転軸が位置する部位に形成された軸上凹部を含み、前記貫通孔は、前記軸上凹部に対応する軸上貫通孔を含むことを特徴とする。
この構成によれば、軸上貫通孔及び軸上凹部に固定用部材を挿入して固定することにより、主回転軸部材及び保持部材の回転軸の位置をより確実に一致させることができ、ドレス工具の位置決め精度を高めることができる。
また、本発明は、請求項2に記載のロータリドレッサにおいて、前記軸上貫通孔に回転可能に嵌装される偏心カラーを備え、前記偏心カラーの中空部及び前記軸上凹部に前記固定用部材が挿入された状態で前記偏心カラーを回転させることにより、前記回転軸に対するドレス工具の位置を変化させる位置調整手段を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、偏心カラーの回転に伴ってドレス工具を回転軸に対して連続的に変位させることができるので、ドレス工具の位置の微調整を容易に行うことができる。
本発明に係るロータリドレッサによれば、ドレス工具の旋回中心からの距離を変更する際に、旋回中心に対するドレス工具の位置決め作業を短時間で行うことができる。
本発明の第1の実施形態であるロータリドレッサの斜視図。 ロータリドレッサの要部を拡大した一部断面図。 ドレス工具による研削用砥石のドレス作業を説明する図。 図2に示すロータリドレッサの要部を下方から見た図。 ロータリドレッサの要部側面図。 ドレス工具が装着された旋回アームを主回転軸部材から取り外す工程を説明する図。 ロータリドレッサの第2の実施形態を示す図であって、(a)は図2と同様の要部拡大一部断面図、(b)は(a)の一部拡大図。 図7に示すドレッサを矢印B方向から見た一部断面図。 (a)は偏心カラーの回転状態を説明する図、(b)は偏心カラーの回転に伴うドレス工具の移動量の変化を示すグラフ。 (a)は従来のロータリドレッサの要部拡大一部断面図。(b)は(a)に示すロータリドレッサにおいてベルトを緩めた状態を説明する図。(c)はドレス工具が装着された旋回アームを主回転軸部材から取り外した状態を示す一部断面図。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態であるロータリドレッサの斜視図であり、図2はロータリドレッサの要部を拡大した一部断面図である。本実施形態のロータリドレッサ10(以下、単に「ドレッサ10」と称する)は、図3(a)(b)に示すように、研削用砥石90,90´の表面をドレスするドレス工具20が、研削用砥石90,90´に対して旋回移動する旋回型ドレッサである。
ドレッサ10は、固定用基台11と、固定用基台11に設けられた支持軸12と、支持軸12に支持されたドレッサアーム13と、ドレッサアーム13の先端部13aに取付けられたホルダ14と、ホルダ14に保持された主回転軸部材30と、ホルダ14の上面を覆う蓋型プーリ15Aと、蓋型プーリ15Aを介して主回転軸部材30に動力を付与する第1の駆動手段16とを備える。また、ドレッサ10は、主回転軸部材30の回転軸方向の一端面である下端面30aに取付けられる旋回アーム40と、旋回アーム40にセットされる工具ホルダ50からなる保持部材40と、工具ホルダ50に保持されるドレス工具20と、ドレス工具20に回転力を付与する駆動手段18とを備える。
固定用基台11は図示していない台座に固定される。支持軸12は円柱状に形成されており、軸方向が台座の表面と平行に配置される。支持軸12の周面には、ドレッサアーム13の基端部13bが支持軸12の軸まわりに回動可能に支持されている。
ドレッサアーム13の先端部13aには、円筒状のホルダ14が一体的に取付けられている。ホルダ14の筒軸方向は、ドレッサアーム13の延在方向と直交している。図示例では、筒状のホルダ14が上下方向に伸びており、蓋型プーリ15Aがホルダ14の上端側を覆っている。ドレッサアーム13の基端部13b側には、第1の駆動手段16であるモータのモータ軸(図示せず)に連結されたプーリ15Bが設けられている。
主回転軸部材30は図2に示すように、ベアリング38を介してホルダ14の内部に回転可能に保持されている。本実施形態の旋回軸部材30は上下方向に伸びる円柱状であって、中心軸CLを回転軸として回転する。主回転軸部材30の上端は、図示していないケレ(回し金)を介して蓋型プーリ15Aに取付けられている。
蓋型プーリ15Aとプーリ15Bとには無端状のベルト17が巻き掛けられており、第1の駆動手段16を作動すると、プーリ15B及びベルト17を介して蓋型プーリ15Aが回転する。主回転軸部材30は、蓋型プーリ15の回転に連動して中心軸CLまわりに回転する。本実施形態では、図1において双頭矢印で示すように、第1の駆動手段16の駆動力により主回転軸部材30が中心軸CLまわりに往復回転する。
主回転軸部材30の下端面30aには、螺子(固定用部材)35,36を用いて旋回アーム40が着脱可能に取付けられる。下端面30aは、凸部が存在しない面として形成され、複数の凹部32,33を有している。本実施形態では、中心軸CLが通る下端面30aの中心軸上に位置決め用の凹部である軸上凹部32が形成されており、その周囲に、軸上凹部32よりも凹部径が小さい複数の周辺凹部33が形成されている。本実施形態では、軸上凹部32を囲むように等間隔で4つの周辺凹部33が形成されているが、凹部32,33の数はこれに限られず、少なくとも一つ形成されていればよい。
旋回アーム40は、主回転軸部材30に取付けられた状態で、中心軸CLと直交する方向に伸びるアーム状の部材である。旋回アーム40の基端側は板状に形成され、主回転軸部材30に対する取付部を構成しており、この取付部には下端面30aと当接する取付面40aが形成されている。取付面40aは、凸部が存在しない面として形成され、螺子35,36が挿入される複数の貫通孔42,43を有している。貫通孔42,43は、主回転軸部材30の凹部32,33と対応する位置に形成されており、本実施形態では、軸上凹部32に対応する軸上貫通孔42と、複数の周辺凹部33に対応する複数の周辺貫通孔43とが形成されている。
また、図2に示すように、主回転軸部材30の下端面30a及び旋回アーム40の取付面40aには窪み部が形成されており、この窪み部に、主回転軸部材30に対する旋回アーム40の相対的な回転を止めるためのピン39を挿入している。ピン39の下端面30aからの突出長さは、主回転軸部材30に対する旋回アーム40の取付け・取り外しに影響のない程度に短く(すなわち、ベルト55を緩める必要のない程度に短く)設定されている。なお、ピン39はオプションであって、これを設けない構成としてもよい。
螺子35,36は、軸上凹部32及び軸上貫通孔42に挿入される位置決め用螺子35と、周辺凹部33及び周辺貫通孔43に挿入され、位置決め用螺子35よりも径の小さい固定用螺子36とを含む。螺子締結状態において、位置決め用螺子35の頭部35aは、軸上貫通孔42から突出しており、固定用螺子36の頭部36aは周辺貫通孔43内に収容された状態となっている。本実施形態では、図3に示すように、位置決め用螺子35及びこれを囲むように配置された4つの固定用螺子36によって、旋回アーム40を固定している。
図2に示すように、旋回アーム40の先端側には、ドレス工具20を回転可能に保持する工具ホルダ50が装着される。工具ホルダ50には、旋回アーム40に形成されたアリ溝44と嵌合するアリ54が形成されているとともに、アリ溝44内のアリ54の位置を調節するための調整螺子56が設けられている。図5は、ドレッサ10の要部側面図であって、図2に示す要部の一部を図2の矢印A方向から見た図である。工具ホルダ50は、アリ54をアリ溝44に嵌合させた状態で、これらを固定する固定用螺子57を締結することにより旋回アーム40に固定される。アリ溝44とアリ54との間の隙間部分には、この隙間を埋めてアリ溝44の遊びを無くす薄板状のジブ58が挿入される。
旋回アーム40を主回転軸部材30に装着した状態で、アリ溝44は、中心軸CLと直交する方向に伸びており、工具ホルダ50は、ドレッサ10に取付けられた状態で、アリ54及びアリ溝44を介して、中心軸CLと直交する方向(図4の矢印Xの方向)に移動させることが可能である。アリ溝44、アリ54及びこれらの位置を固定する固定用螺子57は、中心軸CLとドレス工具20との間の距離dを変更する位置調整手段を構成している。
工具ホルダ50は、図2に示すように、ドレッサ10に装着された状態で、ドレス工具20を主回転軸部材30の中心軸CLと直交する工具回転軸RLまわりに回転可能に保持する。ドレス工具20は、円柱状の軸部材22と、軸部材22の一端部に設けられ、円盤状のドレス部24aを有するドレスヘッド24とを有する。また、軸部材22の他端部側はプーリ26に連結・固定されている。プーリ26は、円中心が軸部材22の工具回転軸RLと一致した状態で、工具ホルダ50に回転可能に支持されている。ドレスヘッド24は、円形中心が軸部材22の中心軸(すなわち、工具回転軸RL)に一致するように設けられている。ドレスヘッド24のドレス部24aの円形の外周縁部には、ドレス部材である複数のダイヤモンド粒が取付けられている。
第2の駆動手段18はドレス工具20に回転力を付与するものであり、本実施形態ではモータであって、モータ軸の端部にプーリ19が連結されている。このプーリ19と、ドレス工具24のプーリ26とには無端状のベルト55が中心軸CLの方向に伸長した状態で巻き掛けられ、モータの回転に伴ってプーリ19が回転すると、ベルト55を介してプーリ26が回転し、プーリ26に連結されたドレス工具24が工具回転軸RLまわりに回転する。
上述したドレッサ10において、第1の駆動手段16及び第2の駆動手段18を作動すると、図2及び図4において双頭矢印で示すように主回転軸部材30の中心軸CLまわりに往復回転に伴ってドレス工具20が中心軸CLまわりに往復旋回移動し、さらに、ドレス工具20が工具回転軸RLまわりに回転する。これにより、ドレッサ10は、図3(a)に示すように、研削用砥石90の円弧形状の表面を往復旋回移動しながらドレスする。また、中心軸CLからのドレスヘッド24の距離d(図4参照)を変更することにより、図3(b)に示すように、表面の円弧形状の大きさ(Rの大きさ)の異なる研削用砥石90´を適切にドレスすることができる。
次に、上述したドレッサ10において、主回転軸部材30に対して旋回アーム40ごとドレス工具20を付け替えることにより、ドレス工具20の中心軸CLに対する距離dの設定変更を行う場合の手順を説明する。既述のとおり、距離dの設定変更は、主回転軸部材30に、旋回アーム40、工具ホルダ50及びドレス工具20を装着した状態で、旋回アーム40のアリ溝44と工具ホルダ50のアリ54の位置を調整することによって行われるが、加工結果(すなわち、ドレス後に研削用砥石によって加工を行ったワーク形状の加工結果)を確認しながら位置の調整を何度も繰り返す必要があるため時間がかかってしまう。そのため、量産工程とは別の段階で、距離dの設定を行った旋回アーム40、工具ホルダ50及びドレス工具20のセットを予め用意しておき、量産時には、このセットごとドレス工具20の付け替えを行う。
まず、図6(a)に示すように、位置決め用螺子35及び周辺部螺子36を緩めてそれぞれ取り外し、ドレス工具20及び工具ホルダ50が装着された旋回アーム40を主回転軸部材30から取り外す。この際、旋回アーム40の先端側をベルト55の内側に僅かに向けて傾けて、プーリ26からベルト55を外すことで、ベルト55を緩めることなく旋回40aを下端面30aに対して大きく離間させることなく、旋回アーム40を主回転軸部材30に対してスライド移動させることができる。
次に、予め用意していた別のドレス工具20、工具ホルダ50及び旋回アーム40のセットを主回転軸部材30に取付ける。取付け作業は、取り外し作業と逆の手順で行われる。すなわち、ベルト55を緩めずに、取付面40aを下端面30aに当接させた状態でプーリ26にベルト55を巻き掛け、その後、主回転軸部材30の各凹部32,33と旋回アーム40の各貫通孔42,43とに螺子35,36を挿入・締結して、これらの部材を固定する。
上述したように、本実施形態のドレッサ10は、ドレス工具20の付け替え時にベルト55のテンションを調節する手間や時間を省くことができるので、図10に示す従来のドレッサ100のように、その都度ベルト155を緩めたり張り直したりするものに比べて、ドレス工具20の位置決め作業を短時間で行うことができる。また、軸上貫通孔43及び軸上凹部32に位置決め用螺子35を挿入した状態で、各部材を固定することにより、主回転軸部材30及び旋回アーム40の回転軸の位置をより確実に一致させることができるので、ドレス工具20の位置決め精度を高めることができる。
(第2の実施形態)
次に、図7−図9を用いて本発明の第2の実施形態の位置調整構造を説明する。なお、各図において、上述した第1の実施形態と同様の要素には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態のドレッサ10では、中心軸CLとドレス工具20との間の距離dを変更する位置調整手段が、保持部材49である旋回アーム40の軸上貫通孔42に設けられた偏心カラー80と、偏心カラー80の回転位置を固定するカラー固定螺子85とによって構成されている。なお、位置調整手段以外の構成は、第1の実施形態に記載されたものと同様であるため、ここでは説明を省略する。本実施形態の位置調整手段は、ドレス工具20を旋回アーム40ごと付け替えた後、ドレス工具20の位置の微調整を行う場合に好適に用いることができる。
図7及び図8に示すように、偏心カラー80は、筒状の本体部82と、本体部82の一端部に一体的に形成されたフランジ部83とを有する。設置状態で、本体部82は軸上貫通孔42に回転可能に嵌装されており、フランジ部83と旋回アーム40の下面との間にはバネワッシャ88が介在されている。位置決め用螺子35は、偏心カラー80の中空部に挿入した状態で主回転軸部材30に取り付けられる。
本体部82は、図9(a)に示すように、外径の軸線Cと内径の軸線とにズレを有し、周方向で肉厚が変化しており、内径の軸線は、設置状態で主回転軸部材30の中止軸CLと一致する。なお、図9(a)は偏心カラー80の回転状態を示す図であって、設置状態における偏心カラー80と、位置決めピン39との位置関係を示しており、位置決めピン39と、偏心カラー80の内径軸線との距離が最も遠くなる位置を位置P1とし、位置P1から時計まわりに60度、120度及び180度回転させた位置をそれぞれ位置P2、位置P3及び位置P4としている。
次に、偏心カラー80とカラー固定螺子85を用いたドレス工具20の位置の調整方法について説明する。
まず、図7(a)に示すドレッサ10において、旋回アーム40を固定する固定用螺子36を緩めるとともに、カラー固定螺子85を緩めて、主回転軸部材30に対して旋回アーム40を位置ずれ可能な状態にする。この状態で、偏心カラー80を回転させてドレス工具20の位置決めを行う。その後、カラー固定螺子85を締結して偏心カラー80の回転位置を固定し、螺子35,36を締結して旋回アーム40と主回転軸部材30とを固定する。
図9(b)は偏心カラー80の回転に伴うドレス工具20の移動量の変化を示すグラフである。図9(a)の偏心カラー80の回転位置P1、P2、P3及びP4は、それぞれ、図11(b)の角度の0度、60度、120度、180度の位置を示している。位置P2から位置P3までの間は、移動量が直線的に変化するため、この領域を位置調整に用いることが好ましい。
本実施形態の位置調整手段では、偏心カラー80の回転に伴ってドレス工具20を連続的に変位させることができるので、ドレス工具20の細かな調整を容易に行うことができる。例えば、第1の実施形態に示したアリ溝44のアリ54を調整螺子56で移動させる位置調整手段では、調整螺子56に遊びがあることから、調整螺子56の正転・逆転の際にバックラッシュが生じ、細かな調整が難しくなるが、本実施形態の位置調整手段では、偏心カラー80を回転させることでバックラッシュを生じることなくドレス工具20の位置を連続的に変化させることができるので、位置の微調整を容易に行うことができる。
また、位置調整用治具60と偏心カラー80との間に介在させたバネワッシャ88により、カラー固定螺子85を緩めた際に各部材間に完全な隙間が生じることを防止することができるので、位置調整の安定性を確保することができる。
なお、本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、ロータリドレッサ10は、第1の実施形態に示したアリ溝44とアリ54とによって構成される位置調整手段ととともに、第2の実施形態に記載した偏心カラー80によって構成される位置調整手段を設けてもよい。
10 ロータリドレッサ
13 ドレッサアーム
14 ホルダ
15A 蓋型プーリ
15B プーリ
16 第1の駆動手段
17 ベルト
18 第2の駆動手段
19 プーリ
20 ドレス工具
24 ドレスヘッド
26 プーリ
30 主回転軸部材
30a 先端面(一端面)
32 軸上凹部(凹部)
33 周辺凹部(凹部)
35 位置決め用螺子(固定用部材)
36 固定用螺子(固定用部材)
40 旋回アーム(保持部材)
40a 取付面
42 軸上貫通孔(貫通孔)
43 周辺貫通孔(貫通孔)
50 工具ホルダ(保持部材)
55 ベルト
80 偏心カラー
CL 中心軸(回転軸)

Claims (3)

  1. 回転軸を中心として回転可能な主回転軸部材と、
    該主回転軸部材の前記回転軸方向の一端面に着脱可能に取付けられ、前記主回転軸部材とともに回転する保持部材と、
    該保持部材に回転可能に取り付けられるドレス工具と、
    前記ドレス工具に連結されたプーリを介して前記ドレス工具に回転力を与える無端状のベルトと、を備えたロータリドレッサにおいて、
    前記保持部材は、前記主回転軸部材の前記一端面と当接する取付面を有する取付部を有し、
    前記一端面と前記取付面とは、凸部の存在しない面として形成され、前記一端面には一以上の凹部が形成され、前記取付面の前記凹部と対応する位置には前記取付部を貫通する貫通孔が形成され、
    前記取付部の貫通孔と前記一端面の凹部に挿入されて前記主回転軸部材と前記保持部材とを固定する固定用部材を備えたことを特徴とするロータリドレッサ。
  2. 前記凹部は、前記回転軸が位置する部位に形成された軸上凹部を含み、
    前記貫通孔は、前記軸上凹部に対応する軸上貫通孔を含むことを特徴とする請求項1に記載のロータリドレッサ。
  3. 前記軸上貫通孔に回転可能に嵌装される偏心カラーを備え、
    前記偏心カラーの中空部及び前記軸上凹部に前記固定用部材が挿入された状態で前記偏心カラーを回転させることにより、前記回転軸に対するドレス工具の位置を変化させる位置調整手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載のロータリドレッサ。
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