JP2020064246A - トナー - Google Patents

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政志 河村
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Abstract

【課題】現像耐久性と低温定着性に優れ、かつ、低温低湿環境及び高温高湿環境のいずれの環境においても転写性が良好なトナーを提供すること。【解決手段】有機ケイ素重合体を含有する表層を有するトナー粒子を有するトナーであって、トナー粒子は結着樹脂、着色剤及びエステルワックスを含有し、有機ケイ素重合体が下記式(1)で表される部分構造を有し、エステルワックスのエステル基濃度が2.00mmol/g〜4.00mmol/gであり、トナー粒子は透過型電子顕微鏡を用いた断面観察において、トナー粒子の断面の輪郭から0.5μmまでの領域に存在するエステルワックスの面積割合をAsとしたときに、Asが1.5%〜20.0%であることを特徴とするトナー。R−SiO3/2(1)(該式(1)中の該Rは、炭素数が1以上6以下の炭化水素基を示す。)【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法及びトナージェット法のような画像形成方法に用いられるトナーに関する。
電子写真法など静電潜像を経て画像情報を可視化する方法は、複写機、複合機、プリンターに適用されている。近年は、複合機やプリンターの普及が進み、オフィスから家庭まで幅広い分野で、また、様々な地域、環境で使用されるようになった。
複写又はプリントを多く行うようなオフィスでの使用においては、プリントスピードの高速化、多数枚の複写又はプリントによっても画質低下のない高安定性、及び省エネルギー性が強く求められている。さらに、温度及び湿度が異なるような様々な環境においても、安定した性能が求められている。
これらは、トナーにも求められる性能である。すなわち、プリントスピードの高速化、多数枚の複写に対しても劣化しない高現像耐久性、定着温度を低くしても画像欠陥が生じない低温定着性、様々な環境においても特性が変化しない環境安定性がトナーに求められている。
特許文献1では、現像耐久性の向上のために、ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層を有する重合トナーが提案されている。
特許文献2では、トナーの流動性、凝集性改善を目的に、多面体オリゴマーシルセスキオキサン化合物を含むトナーが提案されている。
特許文献3では、低温定着性の向上のために、エステルワックスを軟化剤として用いたトナーが提案されている。
特開2001−075304号公報 特開2010−145994号公報 特許第6020458号公報
特許文献1に記載されたトナーは、ケイ素化合物を含む粒子塊の隙間から離型剤や樹脂成分が染み出すブリードが発生する。また、トナー粒子表面へのシラン化合物の析出量やシラン化合物の加水分解及び縮重合が不十分であり、現像耐久性、環境安定性に対してさらなる改善が必要であると考えられる。
特許文献2に記載されたトナーは、現像耐久性について、多面体オリゴマーシルセスオキサン化合物による機械的強度では不十分であり、さらなる改善が必要と考えられる。
特許文献3に記載されたトナーにおいて、これらエステルワックスは、トナーの製造工程において、その一部が結着樹脂に相溶したままになっている可能性がある。その場合、トナーの機械的強度にさらなる改良の余地がある。
本発明は、上記背景技術に鑑みたトナーを提供するものである。
すなわち、本発明は、現像耐久性と低温定着性に優れ、かつ、低温低湿環境及び高温高湿環境のいずれの環境においても転写性が良好なトナーを提供するものである。
本発明は、
有機ケイ素重合体を含有する表層を有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナー粒子は結着樹脂、着色剤及びエステルワックスを含有し、
該有機ケイ素重合体が、下記式(1)で表される部分構造を有し、
該エステルワックスのエステル基濃度が、2.00mmol/g〜4.00mmol/gであり、
該トナー粒子は透過型電子顕微鏡を用いた断面観察において、
該トナー粒子の断面の輪郭から0.5μmまでの領域に存在する該エステルワックスの面積割合をAsとしたときに、
該Asが1.5%〜20.0%であることを特徴とするトナー。
R−SiO3/2 (1)
(該式1中の該Rは、炭素数が1以上6以下の炭化水素基を示す。)
本発明によれば、現像耐久性と低温定着性に優れ、かつ、低温低湿環境及び高温高湿環境のいずれの環境においても転写性が良好なトナーを提供することができる。
本発明において、数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○〜××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
本発明は、
有機ケイ素重合体を含有する表層を有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナー粒子は結着樹脂、着色剤及びエステルワックスを含有し、
該有機ケイ素重合体が、下記式(1)で表される部分構造を有し、
該エステルワックスのエステル基濃度が、2.00mmol/g〜4.00mmol/gであり、
該トナー粒子は透過型電子顕微鏡を用いた断面観察において、
該トナー粒子の断面の輪郭から0.5μmまでの領域に存在する該エステルワックスの面積割合をAsとしたときに、
該Asが1.5%〜20.0%であることを特徴とするトナーである。
R−SiO3/2 (1)
(該式1中の該Rは、炭素数が1以上6以下の炭化水素基を示す。)
有機ケイ素重合体は、式(1)で表される部分構造を有する。
式(1)の構造を有する有機ケイ素重合体において、Si原子の4個の原子価のうち1個はRと、残り3個はO原子と結合している。ここで、該有機ケイ素重合体において、Siには−Rで表される基及びOのみが結合していることが好ましい。
O原子は、原子価2個がいずれもSiと結合している状態、つまり、シロキサン結合(Si−O−Si)を構成する。
有機ケイ素重合体としてのSi原子とO原子を考えると、Si原子2個でO原子3個を有することになるため、−SiO3/2と表現される。
この有機ケイ素重合体の−SiO3/2構造は、多数のシロキサン結合で構成されるシリカ(SiO)と類似の性質を有することが考えられる。従って、従来の有機樹脂により表層が形成されたトナーに比べて無機物に近い構造を有するため、現像耐久性に優れていると考えられる。
また、式(1)で表される部分構造による現像耐久性と、式(1)中のRの疎水性及び帯電性により、表層よりも内部に存在する、染み出しやすい低分子量の樹脂(例えば、重量平均分子量「Mw」1000以下の樹脂)、及びガラス転移温度Tgの低い(例えば、40℃以下)の樹脂、並びに、場合によっては離型剤のブリードが抑えられる。
式(1)で表される部分構造は、有機ケイ素重合体の形成に用いる有機ケイ素化合物の種類及び量、並びに、有機ケイ素重合体形成時の、有機ケイ素化合物の加水分解、付加重合及び縮合重合の反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。
式(1)で表される部分構造において、Rは炭素数が1以上6以下の炭化水素基である。
これによりトナーの帯電量が安定する。環境安定性の向上の観点からは、炭素数は1以上3以下の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
炭素数が1以上3以下の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、又はビニル基が例示できる。環境安定性と保存安定性の観点から、より好ましくは、Rはメチル基である。
一般的にエステルワックスは結着樹脂に対する可塑性が高く、軟化剤として用いられる。この効果によって、低温定着性が達成されるが、一方で、トナーの製造工程において一部のエステルワックスが結着樹脂に相溶したままになっている可能性があり、耐久性が低下する一因となる。
しかしながら、該有機ケイ素重合体と併用することで、現像耐久性及び低温定着性を高次元で両立させることができる。
さらに、上記構成によって、低温低湿環境及び高温高湿環境のいずれの環境においても、転写性が良好なトナーを提供しうる。
エステルワックスのエステル基濃度は、2.00mmol/g〜4.00mmol/gである。ここで、エステル基濃度とは、エステルワックス中のエステル基の割合を示すものであり、下記式で定義される。
[エステル基濃度(mmol/g)]=[エステルワックス一分子におけるエステル基の個数]/[エステルワックスの数平均分子量]
2種以上のエステルワックスを含有する場合は、単独のエステルワックスのエステル基濃度を求めて、それぞれの質量比を掛けたものの合計で求めることができる。
また、トナー粒子は透過型電子顕微鏡を用いた断面観察において、
該トナー粒子の断面の輪郭から0.5μmまでの領域に存在する該エステルワックスの面積割合をAsとしたときに、
該Asが1.5%〜20.0%である。
すなわち、上記は、エステル基濃度が特定範囲のエステルワックスが、トナー粒子の表面近傍に特定割合で存在することを示している。
トナー粒子の表面近傍に存在する、エステル基濃度が特定範囲のエステルワックスが、トナー粒子の表面に存在する有機ケイ素重合体と相互作用して、転写性の良化効果を発現させていると考えている。
より具体的には、エステルワックスのエステル基が、有機ケイ素重合体の極性部位をトナー粒子の内側に配向させる働きを果たしている。その結果、トナー粒子最表面における、有機ケイ素重合体の部分構造中のRの割合がより多くなると推察する。
それゆえ、環境安定性に対する効果が増大し、低温低湿環境及び高温高湿環境のいずれの環境においても、転写性が顕著に向上すると考えられる。
エステル基濃度が2.00mmol/g以上、かつ、Asが1.5%以上であることで、上記の有機ケイ素重合体との相互作用が起こり、転写性が良化する。
エステル基濃度が4.00mmol/gを超えると、エステルワックス自体の極性が過剰に高く、エステルワックス同士で相互作用が起こりやすくなり、有機ケイ素重合体との相互作用が抑制される。
また、Asが20.0%を超えると、エステルワックスがトナー粒子の表面近傍に過剰
に存在することになり、現像耐久性が低下する。
該エステルワックスのエステル基濃度は、2.50mmol/g〜3.50mmol/gであることが好ましく、該Asは、5.0%〜16.0%であることが好ましい。
該Asは、使用するエステルワックスの種類、トナー粒子製造時の製造条件などで制御できる。
該エステルワックスとしては、上記要件を満たすものであれば特に限定されることなく、下記のようなトナーに用いられる公知のワックスを用いることができる。
パルミチン酸パルミチルのような1価のアルコールと脂肪族カルボン酸のエステル、又は、1価のカルボン酸と脂肪族アルコールのエステル;エチレングリコールジステアレート、セバシン酸ジベヘニル、ヘキサンジオールジベヘネートのような2価のアルコールと脂肪族カルボン酸のエステル、又は、2価のカルボン酸と脂肪族アルコールのエステル;グリセリントリベヘネートのような3価のアルコールと脂肪族カルボン酸のエステル、又は、3価のカルボン酸と脂肪族アルコールのエステル;ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラパルミテートのような4価のアルコールと脂肪族カルボン酸のエステル、又は、4価のカルボン酸と脂肪族アルコールのエステル;ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテートのような6価のアルコールと脂肪族カルボン酸のエステル、又は、6価のカルボン酸と脂肪族アルコールのエステル;ポリグリセリンベヘネートのような多価アルコールと脂肪族カルボン酸のエステル、又は、多価カルボン酸と脂肪族アルコールのエステル;カルナバワックス、ライスワックスのような天然エステルワックス。
この中でも、高温ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定される測定される該エステルワックスのoージクロロベンゼン可溶分の数平均分子量(Mn)が、500〜1000であることが好ましく、550〜850であることがより好ましい。
該数平均分子量(Mn)が500以上である場合、トナー粒子表面への該エステルワックスの染み出しがより少なくなり、現像耐久性がより向上する。
一方、1000以下である場合、結着樹脂に対する可塑性が高く、低温定着性がより向上する。
該エステルワックスは、現像耐久性及び低温定着性のバランスの観点から、下記式(2)又は(3)で表されるエステルワックスであることが好ましい。
Figure 2020064246
該式(2)及び(3)中、Rは炭素数1以上6以下(好ましくは2以上4以下)のアルキレン基を示し、R及びRは、それぞれ独立して炭素数11以上25以下(好ましくは16以上22以下)の直鎖アルキル基を示す。
トナー粒子中の該エステルワックスの含有量をX質量%とし、
トナー粒子中の該有機ケイ素重合体の含有量をY質量%としたときに、
Xは、5.0以上であることが好ましく、10.0以上であることがより好ましく、一
方、25.0以下であることが好ましく、20.0以下であることがより好ましい。なお、これらの数値範囲は任意に組み合わせることができる。
一方、該Xの該Yに対する比(X/Y)は、2.0〜20.0であることが好ましく、4.0〜15.0であることがより好ましい。
該X及び比(X/Y)が上記範囲であることにより、現像耐久性と低温定着性により優れ、かつ、低温低湿環境及び高温高湿環境のいずれの環境においても転写性により優れる。
トナー粒子は透過型電子顕微鏡を用いた断面観察において、
該トナー粒子の断面の最大径である長軸Lの中点を通り、且つ、該中点における交差角が均等であり、該交差角が11.25°になるように該断面を横断する直線を16本ひくことにより該中点から該トナー粒子の表面まで32本の線分が形成されたとき、
該32本の線分上において、有機ケイ素重合体を含有する表層の平均厚みDav.は、5.0nm〜70.0nmであることが好ましい。
有機ケイ素重合体を含有する表面層の平均厚みDav.は、トナー粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた断面観察において規定できるが、詳細は後述する。
上述のように、該平均厚みDav.は5.0nm〜70.0nmであることが好ましい。
平均厚みDav.が5.0nm以上である場合、トナーの機械的強度が増し、現像耐久性がより向上する。一方、平均厚みDav.が70.0nm以下である場合、エステルワックスと有機ケイ素重合体の相互作用が有機ケイ素重合体の最表面まで作用し、転写性向上の効果がより得られる。
該平均厚みDav.は、10.0nm〜50.0nmであることがより好ましい。
該平均厚みDav.は、有機ケイ素重合体形成時におけるトナー粒子の製造方法、有機ケイ素重合体形成時の有機ケイ素化合物の加水分解、付加重合及び縮合重合の反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。また、有機ケイ素重合体の含有量によっても制御することができる。
トナーの最大荷重2.0×10−4Nの条件で測定したときのマルテンス硬度は、200MPa〜1100MPaであることが好ましく、300MPa〜900MPaであることがより好ましい。
トナーのマルテンス硬度が200MPa以上である場合、従来のトナーよりも現像部におけるトナーの耐摩耗性が向上し、現像耐久性がさらに向上する。これにより、高速高画質化のためのプロセス設計の自由度を上げることができる。つまり、規制ブレードニップ幅を増加させる、現像ローラー回転速度を増加させる、及び/又はキャリア混合撹拌速度を増加させるなど、選択の幅を広げることが可能となる。
その結果、高印字で高速連続印字を行った場合においても、スジが発生しにくいなど、現像耐久性に優れたトナーを提供することが可能となる。
一方、トナーのマルテンス硬度が1100MPa以下の場合、規制ブレードや現像ローラーなどの部材の耐久性を向上させることができる。
トナーのマルテンス硬度を上記範囲に調整するための1つの手段として、例えば、適切な硬度を持つ無機物などの物質でトナーの表層を形成させ、さらにその化学構造やマクロ構造を適切な硬度を持つ様に制御する方法が挙げられる。
具体的には、上記特定の硬度を持ち得る物質としては有機ケイ素重合体が挙げられ、材料の選択として有機ケイ素重合体のケイ素原子に直接結合している炭素原子の数や炭素鎖長などによって硬度を調整することが可能である。
トナー粒子が、有機ケイ素重合体を含有する表層を有し、該有機ケイ素重合体のケイ素原子に直接結合している炭素原子の数が、ケイ素原子1個当たり、平均1個以上3個以下
(好ましくは1個以上2個以下、より好ましくは1個)であると、上記特定の硬度に調整しやすい。
化学構造によりマルテンス硬度を調整する手段としては表層物質の架橋や重合度などの化学構造の調整などにより可能である。マクロ構造によりマルテンス硬度を調整する手段としては、表層の凸凹形状や凸間を繋ぐネットワーク構造の調整などにより可能である。
これらの調整は有機ケイ素重合体を表層として用いる場合には、有機ケイ素重合体を前処理する際のpH、濃度、温度、時間などで調整可能である。また、トナーのコア粒子に有機ケイ素重合体を表層付けするタイミングや形態、濃度、反応温度などによって調整可能である。
以下の方法を好適に例示できる。まず、結着樹脂及び着色剤を含むトナーのコア粒子を製造して水系媒体に分散し、コア粒子分散液を得る。この時の濃度はコア粒子分散液総量に対し、コア粒子の固形分が10質量%以上40質量%以下となる濃度で分散することが好ましい。そして、該コア粒子分散液の温度は35℃以上に調整しておくことが好ましい。
また、該コア粒子分散液のpHは有機ケイ素化合物の縮合が進みにくいpHに調整することが好ましい。有機ケイ素重合体の縮合が進みにくいpHは物質によって異なるため、最も反応が進みにくいpHを中心として、±0.5以内が好ましい。
一方、有機ケイ素化合物は加水分解処理を行ったものを用いることが好ましい。例えば、有機ケイ素化合物の前処理として別容器で加水分解しておく。加水分解の仕込み濃度は有機ケイ素化合物の量を100質量部とした場合、イオン交換水やRO水などイオン分を除去した水40質量部以上500質量部以下が好ましく、より好ましくは水100質量部以上400質量部以下である。加水分解の条件としては、好ましくはpHが2〜7、温度が15℃〜80℃、時間が30分〜600分である。
得られた加水分解液とコア粒子分散液とを混合して縮合に適したpH(好ましくは6〜12、又は1〜3、より好ましくは8〜12)に調整することで、有機ケイ素化合物を縮合させながらトナーのコア粒子表面に表層付けすることができる。縮合と表層付けは35℃以上で60分間以上実施することが好ましい。また、縮合に適したpHに調整する前に35℃以上で保持する時間を調整することで表面のマクロ構造を調整可能であるが、特定のマルテンス硬度を得やすくするため、該保持時間は3分以上120分以下とすることが好ましい。
該トナー粒子は結着樹脂を含有する。該結着樹脂は特に限定されず、下記に示すような従来公知のものを用いることができる。
スチレン樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレン−酢酸ビニル系樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリブタジエン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリブチラール樹脂、ポリエステル樹脂など。
これらの中でも、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂などがトナー特性の観点から好ましい。
該トナー粒子は着色剤を含有する。該着色剤は特に限定されず、以下に示すような従来公知のものを用いることができる。
黄色着色剤としては、黄色酸化鉄、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキなどの縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物が挙げられる。
具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー74、C
.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー111、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー180が例示できる。
橙色着色剤としては以下のものが挙げられる。
パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK。
赤色着色剤としては、ベンガラ、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドC、レーキッドD、ブリリアントカーミン6B、ブリラントカーミン3B、エオキシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキなどの縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が挙げられる。
具体的には、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド254が例示できる。
青色着色剤としては、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBGなどの銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物などが挙げられる。
具体的には、C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー7、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66が例示できる。
紫色着色剤としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。
緑色着色剤としては、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGが挙げられる。
白色着色剤としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛が挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、アニリンブラック、非磁性フェライト、マグネタイト、上記黄色着色剤、赤色着色剤及び青色着色剤を用い黒色に調色されたものが挙げられる。これらの着色剤は、単独で、又は混合して、さらには固溶体の状態で用いることができる。
該着色剤の含有量は、結着樹脂又は重合性単量体100質量部に対して、3.0質量部以上10.0質量部以下であることが好ましい。
トナー粒子は、上記結着樹脂以外に、本発明の効果に影響を与えない範囲で、以下の樹脂を含有することができる。
ポリスチレン、ポリビニルトルエンのようなスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリ酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体のようなスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂。これらは単独で又は混合して使用できる。
該トナー粒子は荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤としては、公知のものが使用できる。負帯電制御剤として、サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸などに代表される芳香族カルボン酸の金属化合物;アゾ染料あるいはアゾ顔料の金属塩又は金属錯体;ホウ素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。また、正帯電制御剤として、四級アンモニウム塩、四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物;グアニジン化合物;ニグロシン系化合物;イミダゾール化合物が挙げられる。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂又は重合性単量体100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
該トナー粒子は、エステルワックスに加えて、離型剤として作用するワックスを含有してもよい。例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムなどの石油系ワックス及びその誘導体;モンタンワックス及びその誘導体;フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスなどの天然ワックス及びその誘導体;高級脂肪族アルコール;ステアリン酸、パルミチン酸などの脂肪酸;酸アミドワックス;硬化ヒマシ油及びその誘導体;植物系ワックス;動物性ワックスなどが挙げられる。この中で特に、離型性に優れるという観点からパラフィンワックス及び炭化水素ワックスが好ましい。
離型剤の含有量は、結着樹脂又は重合性単量体100.0質量部に対して、5.0質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
有機ケイ素重合体の製造例としては、ゾルゲル法が好ましい。ゾルゲル法は、液体原料を出発原料に用いて加水分解及び縮合重合させ、ゾル状態を経てゲル化する方法である。該方法は、ガラス、セラミックス、有機−無機ハイブリット、ナノコンポジットを合成するときに用いられる。この製造方法を用いれば、表層、繊維、バルク体、微粒子などの種々の形状の機能性材料を液相から低温で作製することができる。
トナー粒子の表層に存在する有機ケイ素重合体は、具体的には、アルコキシシランに代表されるケイ素化合物の加水分解及び縮重合によって生成されることが好ましい。
この有機ケイ素重合体を含有する表層をトナー粒子に設けることによって、環境安定性が向上し、かつ、長期使用時におけるトナーの性能低下が生じにくく、保存安定性に優れたトナーを得ることができる。
さらに、ゾルゲル法は、液体から出発し、その液体をゲル化することによって材料を形
成しているため、様々な微細構造及び形状をつくることができる。特に、トナー粒子が水系媒体中で製造される場合には、有機ケイ素化合物のシラノール基のような親水基による親水性によってトナー粒子の表面に析出させやすくなる。上記微細構造及び形状は反応温度、反応時間、反応溶媒、pHや有機金属化合物の種類及び量などによって調整することができる。
トナー粒子の表層の有機ケイ素重合体は、下記有機ケイ素化合物の縮重合物であることが好ましい。
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、エチルトリアセトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリクロロシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリクロロシラン、ブチルメトキシジクロロシラン、ブチルエトキシジクロロシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシランなど。
該有機ケイ素化合物は単独で用いても、又は2種類以上を複合して用いてもよい。
該トナー粒子は、外添せずにトナーとすることもできるが、流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、いわゆる外添剤である流動化剤、クリーニング助剤などを添加してトナーとしてもよい。
外添剤としては、フッ化ビニリデン微粉未、ポリテトラフルオロエチレン微粉末などのフッ素系樹脂粉末;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛などの脂肪酸金属塩;酸化チタン微粒子、酸化アルミニウム微粒子、酸化亜鉛微粒子などの金属酸化物又は、上記金属酸化物を疎水化処理した微粒子;及び湿式製法シリカ微粒子、乾式製法シリカ微粒子などのシリカ微粒子又は、それらシリカ微粒子にシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルのような処理剤により表面処理を施した表面処理シリカ微粒子などが挙げられる。
これらの種々の外添剤の添加量は、その合計が、トナー粒子100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上3質量部以下である。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
トナー粒子の製造方法は公知の手段を用いることができ、混練粉砕法や湿式製造法を用いることができる。粒子径の均一化や形状制御性の観点からは湿式製造法を好ましく用いることができる。さらに、湿式製造法には懸濁重合法、溶解懸濁法、乳化重合凝集法、乳化凝集法などを挙げることができる。
ここでは懸濁重合法について説明するがこれらに限定されるわけではない。
懸濁重合法においてはまず、結着樹脂を生成するための重合性単量体、着色剤及びエステルワックス、並びに、必要に応じてその他の添加剤をボールミル、超音波分散機のような分散機を用いてこれらを均一に溶解又は分散させた重合性単量体組成物を調製する(重合性単量体組成物の調製工程)。
このとき、必要に応じて多官能性単量体や連鎖移動剤、また、離型剤や荷電制御剤などを適宜加えることができる。懸濁重合法における重合性単量体として、以下に示すビニル系重合性単量体が好適に例示できる。
スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンのようなスチレン誘導体;
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−
ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体;
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートのようなメタクリル系重合性単量体;
メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、蟻酸ビニルのようなビニルエステル;
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトン。
次に、上記重合性単量体組成物を予め用意しておいた水系媒体中に投入し、高せん断力を有する撹拌機や分散機により、重合性単量体組成物からなる液滴を所望のトナー粒子のサイズに形成する(造粒工程)。
造粒工程における水系媒体は分散安定剤を含有していることが、トナー粒子の粒径制御、粒度分布のシャープ化、製造過程におけるトナー粒子の合一を抑制するために好ましい。
分散安定剤としては、一般的に立体障害による反発力を発現させる高分子と、静電気的な反発力で分散安定化を図る難水溶性無機化合物とに大別される。難水溶性無機化合物の微粒子は、酸やアルカリにより溶解するため、重合後に酸やアルカリで洗浄することにより溶解させて容易に除去することができるため、好適に用いられる。
難水溶性無機化合物の分散安定剤としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、リンのいずれかが含まれているものが好ましく用いられる。より好ましくは、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、リンのいずれかが含まれていることが望まれる。具体的には、以下のものが挙げられる。
リン酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ヒドロキシアパタイド。
上記分散安定剤に有機系化合物、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプンを併用しても構わない。これら分散安定剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.01質量部以上2.00質量部以下使用することが好ましい。
さらに、これら分散安定剤の微細化のため、重合性単量体100質量部に対して、0.001質量部以上0.1質量部以下の界面活性剤を併用してもよい。具体的には市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤が利用できる。例えばドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムが好ましく用いられる。
造粒工程の後、又は造粒工程を行いながら、好ましくは50℃以上90℃以下の温度に設定して、重合性単量体組成物に含まれる重合性単量体の重合を行い、トナー粒子分散液を得る(重合工程)。
重合工程では容器内の温度分布が均一になる様に攪拌操作を行うことが好ましい。重合
開始剤を添加する場合、任意のタイミングと所要時間で行うことができる。また、所望の分子量分布を得る目的で重合反応後半に昇温してもよく、さらに、未反応の重合性単量体、副生成物などを系外に除去するために反応後半、又は反応終了後に、一部水系媒体を蒸留操作により留去してもよい。蒸留操作は常圧又は減圧下で行うことができる。
懸濁重合法において使用する重合開始剤としては、一般的に油溶性開始剤が用いられる。例えば、以下のものが挙げられる。
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルのようなアゾ化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、デカノニルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、プロピオニルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルヒドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシピバレート、クメンヒドロパーオキサイドのようなパーオキサイド系開始剤。
重合開始剤は必要に応じて水溶性開始剤を併用してもよく、以下のものが挙げられる。
過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチロアミジン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミノジノプロパン)塩酸塩、アゾビス(イソブチルアミジン)塩酸塩、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルスルホン酸ナトリウム、硫酸第一鉄又は過酸化水素。
これらの重合開始剤は単独又は複数を併用して使用でき、重合性単量体の重合度を制御するために、連鎖移動剤、重合禁止剤などをさらに添加し用いることも可能である。
トナー(粒子)の粒径は、高精細かつ高解像の画像を得るという観点から、重量平均粒径が3.0μm以上10.0μm以下であることが好ましい。
トナー(粒子)の重量平均粒径は細孔電気抵抗法により測定することができる。例えば「コールター・カウンター Multisizer 3」(ベックマン・コールター(株)製)用いて測定することができる。
こうして得られたトナー粒子分散液は、トナー粒子と水系媒体を固液分離する濾過工程へと送られる。
得られたトナー粒子分散液からトナー粒子を得るための固液分離は、一般的な濾過方法で行うことができ、その後トナー粒子表面から除去しきれなかった異物を除去するため、リスラリーや洗浄水のかけ洗いなどによってさらに洗浄を行うことが好ましい。
十分な洗浄が行なわれた後に、再び固液分離してトナーケーキを得る。その後、公知の乾燥手段により乾燥され、必要であれば分級により所定外の粒径を有する粒子群を分離してトナー粒子を得る。このとき分離された所定外の粒径を有する粒子群は最終的な収率を向上させるために再利用してもよい。
有機ケイ素重合体を有する表層を形成する場合は、水系媒体中でトナー粒子を形成する場合には水系媒体中で重合工程などを行いながら前述のように有機ケイ素化合物の加水分解液を添加して該表層を形成させることができる。重合後のトナー粒子の分散液をコア粒子分散液として用いて、有機ケイ素化合物の加水分解液を添加し、該表層を形成させてもよい。また、混練粉砕法など水系媒体以外の場合には得られたトナー粒子を水系媒体に分散してコア粒子分散液として用いて、前述のように有機ケイ素化合物の加水分解液を添加し、該表層を形成させることができる。
以下、本発明に関係する各種測定方法を述べる。
<エステルワックスの分離方法、含有量の測定及びその構造分析>
(トナーからのワックスの分離)
トナーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、得られた可溶分から溶媒を減圧留去して、トナーのTHF可溶成分を得る。
得られたトナーのTHF可溶成分をクロロホルムに溶解し、濃度25mg/mLの試料溶液を調製する。
得られた試料溶液3.5mLを、下記装置に注入し、下記条件で、数平均分子量(Mn)2000未満を分取する。
分取GPC装置:日本分析工業(株)製 分取HPLC LC−980型
分取用カラム:JAIGEL 3H、JAIGEL 5H(日本分析工業(株)社製)
溶離液:クロロホルム
流速:3.5mL/min
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
各成分を分取した後、溶媒を減圧留去し、アセトンからの再結晶法により固体を分取し、さらに90℃雰囲気中、減圧下で24時間乾燥する。各成分がそれぞれ100mg程度得られるまで上記操作を繰り返す。
(ワックスの構造の特定)
ワックスの構造は核磁気共鳴分光分析(1H−NMR)[400MHz、CDCl、室温(25℃)]を用いて特定する。
測定装置:FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数:64回
上記で特定された構造をもとに、エステルワックス一分子におけるエステル基の個数を求める。また、トナーのNMR測定を、上記方法を用いて行い、ワックスのスペクトル強度から、その含有量を求める。
<エステルワックスの数平均分子量(Mn)の測定方法>
エステルワックスの数平均分子量(Mn)は、高温ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定する。
具体的には、エステルワックス0.03gをゲルクロマトグラフ用のo−ジクロロベンゼンに、特級2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)を濃度が0.10質量/体積%となるように添加し、室温で溶解する。サンプルビンにエステルワックスと上記のBHTを添加したo−ジクロロベンゼンとを入れ、150℃に設定したホットプレート上で加熱し、エステルワックスを溶解する。
エステルワックスが溶けたら、予め加熱しておいたフィルターユニットに入れ、本体に設置する。フィルターユニットを通過させたものをGPCサンプルとする。なお、サンプル溶液は、濃度が約0.15質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
[分析条件]
装置:HLC−8121GPC/HT(東ソー社製)
検出器:高温用RI
カラム:TSKgel GMHHR−H HT 2連(東ソー社製)
温度:135.0℃
溶媒:ゲルクロマトグラフ用o−ジクロロベンゼン(BHT0.10質量/体積%添加)流速:1.0mL/min
注入量:0.4mL
エステルワックスの分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<NMR測定用のトナー粒子のTHF不溶分の調製方法>
トナー粒子のテトラヒドロフラン(THF)不溶分は、以下のように調製した。
トナー粒子10.0gを秤量し、円筒濾紙(東洋濾紙製No.86R)に入れてソックスレー抽出器にかける。溶媒としてTHF200mLを用いて20時間抽出し、円筒濾紙中の濾物を40℃で数時間真空乾燥を行って得られたものをNMR測定用のトナー粒子のTHF不溶分とした。
なお、外添剤などでトナー粒子の表面が処理されている場合は、下記方法によって外添剤を除去し、トナー粒子を得る。
イオン交換水100mLにスクロース(キシダ化学製)160gを加え、湯せんをしながら溶解させ、ショ糖濃厚液を調製する。遠心分離用チューブ(容量50mL)に上記ショ糖濃厚液を31gと、コンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を6mL入れ分散液を作製する。この分散液にトナー1.0gを添加し、スパチュラなどでトナーのかたまりをほぐす。
遠心分離用チューブをシェイカーにて350spm(strokes per min)、20分間振とうする。振とう後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(容量50mL)に入れ替えて、遠心分離機(H−9R 株式会社コクサン製)にて3500rpm、30分間の条件で分離する。この操作により、トナー粒子と外れた外添剤が分離する。トナーと水溶液が十分に分離されていることを目視で確認し、最上層に分離したトナーをスパチュラなどで採取する。採取したトナーを減圧濾過器で濾過した後、乾燥機で1時間以上乾燥し、トナー粒子を得る。この操作を複数回実施して、必要量を確保する。
<式(1)で表される部分構造の確認方法>
有機ケイ素重合体における、式(1)で表される部分構造の確認には以下の方法を用いる。
式(1)のRで表される炭化水素基は、13C−NMRにより確認した。
13C−NMR(固体)の測定条件)
装置:JEOL RESONANCE製 JNM−ECX500II
試料管:3.2mmφ
試料:NMR測定用のトナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分 150mg
測定温度:室温
パルスモード:CP/MAS
測定核周波数:123.25MHz(13C)
基準物質:アダマンタン(外部標準:29.5ppm)
試料回転数:20kHz
コンタクト時間:2ms
遅延時間:2s
積算回数:1024回
該方法にて、ケイ素原子に結合しているメチル基(Si−CH)、エチル基(Si−C)、プロピル基(Si−C)、ブチル基(Si−C)、ペンチル基(Si−C11)、ヘキシル基(Si−C13)又はフェニル基(Si−C−)などに起因するシグナルの有無により、式(1)のRで表される炭化水素基を確認した。
<トナー(粒子)の粒径の測定方法>
細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置(商品名:コールター・カウンター Multisizer 3)と、専用ソフト(商品名:ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51、ベックマン・コールター社製)を用いる。
アパーチャー径は100μmを用い、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、ベックマン・コールター社製のISOTON II(商品名)が使用できる。なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は(標準粒子10.0μm、ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON II(商品名)に設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、前記専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れる。ここにコンタミノンN(商品名)(精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器(商品名:Ultrasonic Dispersion System Tetora150、日科機バイオス(株)製)の水槽内にイオン交換水所定量とコンタミノンN(商品名)を約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー(粒子)約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー(粒子)を分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)又は個数平均粒径(D1)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
<トナー粒子中の有機ケイ素重合体の含有量の測定方法>
トナー粒子中に含まれる有機ケイ素重合体の含有量は以下の方法で求める。
トナー粒子中に、有機ケイ素重合体以外のケイ素含有物が含まれる場合、トナーをクロ
ロホルムなどの溶媒に分散させ、その後に遠心分離等で比重の差で有機ケイ素重合体以外のケイ素含有物を除去してから有機ケイ素重合体の含有量を求める。
まず、プレスしたトナーを蛍光X線で測定し、検量線法またはFP法などの解析処理を行うことでトナー粒子中のケイ素の含有量を求める。
次に、固体29Si−NMR及び熱分解GC/MSを用いて構造を特定した有機ケイ素重合体の構成化合物について、その分子量からケイ素の質量比を求める。
蛍光X線で求めたトナー粒子中のケイ素の含有量と、構成化合物中のケイ素の含有量比の関係から、計算によってトナー粒子中の有機ケイ素重合体量を求める。
<透過型電子顕微鏡(TEM)を用いたトナー粒子の断面観察によって測定される、トナー粒子の表層の平均厚みDav.の測定方法>
トナー粒子の断面観察は以下の方法により行う。
トナー粒子の断面を観察する具体的な方法としては、常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナー粒子を十分分散させた後、40℃の雰囲気下で2日間硬化させる。得られた硬化物からダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用い薄片状のサンプルを切り出す。このサンプルを透過型電子顕微鏡(JEOL製JEM−2800)(TEM)で1万〜10万倍の倍率に拡大し、トナー粒子の断面を観察する。
結着樹脂と表層材料の原子量の違いを利用し、原子量が大きいとコントラストが明るくなることを利用して確認を行うことができる。材料間のコントラストを付けるためには四酸化ルテニウム染色法及び四酸化オスミウム染色法を用いる。
該測定に用いた粒子は、上記TEMの顕微鏡写真より得られたトナー粒子の断面から円相当径Dtemを求め、その値が上記トナー粒子の重量平均粒径D4の±10%の幅に含まれるものとする。
上述のように、JEOL製JEM−2800を用い、加速電圧200kVでトナー粒子断面の暗視野像を取得する。次にGatan社製EELS検出器GIF Quantamを用い、Three Window法によりマッピング像を取得して表層を確認する。
次いで、円相当径Dtemがトナー粒子の重量平均粒径D4の±10%の幅に含まれるトナー粒子1個について、トナー粒子の断面の最大径である長軸Lの中心を通り、且つ、該中点における交差角が均等であり、該交差角が11.25°になるように該断面を横断する直線を16本ひくことにより該中点から該トナー粒子の表面まで32本の線分を形成する。
次に、該中心からトナー粒子の表層へ向かう分割軸をそれぞれAn(n=1〜32)とし、分割軸の長さ(中心から断面の輪郭までの長さ)をRAn、表層の厚みをFRAnとする。
そして、該線分(分割軸)上の32箇所の有機ケイ素重合体を含有するトナー粒子の表層の平均厚みDav.を求める。
本発明では、平均化するため、トナー粒子10個の測定を行い、トナー粒子1個あたりの平均値を計算した。
<透過型電子顕微鏡(TEM)を用いたトナー粒子の断面観察によって測定される、円相当径(Dtem)]
上記TEMの顕微鏡写真より得られたトナー粒子の断面から求めた円相当径(Dtem)は以下の方法で求める。まず、1つのトナー粒子に対して、TEMの顕微鏡写真より得られるトナー粒子の断面から求めた円相当径Dtemを下記式に従って求める。
[TEMの顕微鏡写真より得られたトナー粒子の断面から求めた円相当径(Dtem)]=(RA1+RA2+RA3+RA4+RA5+RA6+RA7+RA8+RA9+RA10+RA11+RA12+RA13+RA14+RA15+RA16+RA17+RA18+RA19+RA20+RA21+RA22+RA23+RA24+RA25+RA26+RA27+RA28+RA29+RA30+RA31+RA32)/16
トナー粒子10個の円相当径を求め、粒子1個あたりの平均値を計算してトナー粒子の
断面から求めた円相当径(Dtem)とする。
<トナーのマルテンス硬度の測定方法>
ナノインデンテーション法を用いてトナーのマルテンス硬度を測定する。
具体的には、ISO14577−1に準拠した市販の装置を用い、ISO14577−1に規定された押込み試験の手順に従って、得られた荷重−変位曲線から算出する。
本発明においては、前記ISO規格に準拠した装置として、超微小押し込み硬さ試験機「ENT−1100b」(株式会社エリオニクス製)を用いる。
測定方法は、装置に付属の「ENT1100操作マニュアル」に記載されているが、具体的な測定方法は以下の通りである。
測定環境は、付属の温度調節装置にてシールドケース内を30.0℃に保つ。
雰囲気温度を一定に保つことは熱膨張やドリフトなどによる測定データのバラつき低減に有効である。
設定温度は、トナーが摩擦される現像機近辺の温度を想定した30.0℃の条件とする。
試料台は装置に付属の標準試料台を用い、トナーを塗布した後にトナーが分散するように微弱なエアーを吹き付け、その試料台を装置にセットして1時間以上保持してから測定を行う。
圧子には装置に付属の先端が20μm四方の平面である平圧子(チタン製圧子、先端はダイヤモンド製)を用いて測定する。
トナーの様に小径かつ球形の物体、外添剤が付着している物体、表面に凹凸が存在する物体においては、尖った圧子を用いると測定精度に大きな影響を与えるため平圧子を用いる。
試験の最大荷重は2.0×10−4Nに設定して行う。この試験荷重に設定することで、現像部においてトナー1粒が受けるストレスに相当する条件で、トナーの表層を破壊せずに硬度を測定することが可能である。
測定対象の粒子としては、装置付属の顕微鏡による測定用画面(視野サイズ:横幅160μm、縦幅120μm)にトナーが単独で存在しているものを選択する。ただし、変位量の誤差を極力無くすため、粒径(D)が個数平均粒径(D1)の±0.5μmの範囲にあるもの(D1−0.5μm≦D≦D1+0.5μm)を選択する。なお、測定対象粒子の粒径測定は装置付属のソフトを用いてトナーの長径と短径を測定し、[(長径+短径)/2]をもって粒径D(μm)とする。
また、個数平均粒径(D1)は「コールター・カウンター Multisizer 3(ベックマン・コールター株式会社製)を用いた前述の方法にて測定する。
測定に際しては、粒径D(μm)が上記条件を満たす任意のトナー100粒を選んで測定を行う。測定の際に入力する条件は以下の通りである。
試験モード:負荷−除荷試験
試験荷重:20.000mgf(=2.0×10−4N)
分割数:1000step
ステップインターバル:10msec
解析メニュー「データ解析(ISO)」を選択して測定を行うと、測定後に装置付属ソフトでマルテンス硬度が解析され、出力される。トナー100粒について上記測定を行って、その相加平均値を本発明におけるマルテンス硬度とする。
<トナー粒子の断面の輪郭から0.5μmまでの領域に存在するエステルワックスの面積割合(As)の測定方法>
トナー粒子中のワックス分布状態は、トナー粒子の断面を透過型電子顕微鏡で観察し、エステルワックスによって形成されたドメインの断面積からエステルワックスドメインの面積百分率を算出し、任意に選択したトナー粒子10個の平均値をもってAsとする。
詳細には、トナー粒子を可視光硬化性包埋樹脂(D−800、日新EM社製)で包埋し
、超音波ウルトラミクロトーム(EM5、ライカ社製)により60nm厚に切削し、真空染色装置(フィルジェン社製)によりRu染色を行う。
その後、透過型電子顕微鏡(H7500、日立社製)により加速電圧120kVで観察を行う。観察するトナー粒子の断面は、トナー粒子の重量平均粒径±2.0μm以内のものを10個選んで撮影を行う。
得られた画像に画像処理ソフト(Photoshop 5.0、Adobe製)を用い、エステルワックスのドメインとバインダーの領域の区別を明確化する。
トナー粒子の断面の輪郭から0.5μmまで(0.5μmの境界を含む)の領域を残しマスキング処理を行い、残った領域の面積に対するエステルワックスドメインの面積百分率を算出し、トナー粒子10個の平均値をAs(%)とした。
以下、具体的な製造方法、実施例、比較例をもって本発明をさらに詳細に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。なお、以下の配合における部数は全て質量基準である。
実施例及び比較例に用いたエステルワックスの名称及び物性を表1に示す。
Figure 2020064246
<実施例1>
(水系媒体1の調製工程)
反応容器中のイオン交換水500.0部に、リン酸ナトリウム(ラサ工業社製・12水
和物)7.0部を投入し、窒素パージしながら65℃で1.0時間保温した。
T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、12000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水5.0部に4.6部の塩化カルシウム(2水和物)を溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。さらに、水系媒体に10質量%塩酸を投入し、pHを5.0に調整し、水系媒体1を得た。
(表層用有機ケイ素化合物の加水分解工程)
撹拌機、温度計を備えた反応容器に、イオン交換水60.0部を秤量し、10質量%の塩酸を用いてpHを3.0に調整した。これを撹拌しながら加熱し、温度を70℃にした。
その後、表層用有機ケイ素化合物であるメチルトリエトキシシラン40.0部を添加して2時間以上撹拌して加水分解を行った。加水分解の終点は目視にて油水が分離せず1層になったことで確認を行い、冷却して表層用有機ケイ素化合物の加水分解液を得た。
(重合性単量体組成物の調製工程)
・スチレン :60.0部
・C.I.ピグメントブルー15:3 : 6.5部
前記材料をアトライタ(三井三池化工機株式会社製)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5.0時間分散させて、顔料分散液を調製した。前記顔料分散液に下記材料を加えた。
・スチレン :20.0部
・n−ブチルアクリレート :20.0部
・架橋剤(ジビニルベンゼン) : 0.3部
・エステルワックスA1 :15.0部
・極性樹脂 : 5.0部
(スチレン−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体、酸価が10mgKOH/g、ガラス転移温度(Tg)が80℃、重量平均分子量(Mw)が15,000)
これらを65℃に保温し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、500rpmにて均一に溶解、分散し、重合性単量体組成物を調製した。
(造粒工程)
水系媒体1の温度を70℃、T.K.ホモミクサーの回転数を12000rpmに保ちながら、水系媒体1中に重合性単量体組成物を投入し、重合開始剤であるパーブチルPV(10時間半減期温度54.6℃(日本油脂製))9.0部を添加した。そのまま、該撹拌装置にて12000rpmを維持しつつ10分間造粒した。
(重合工程)
造粒工程の後、攪拌機をプロペラ撹拌羽根に換え150rpmで攪拌しながら70℃を保持して5.0時間重合を行い、85℃に昇温して2.0時間加熱することで重合反応を行ってコア粒子を得た。スラリーの温度を55℃に冷却してpHを測定したところ、pH=5.0だった。55℃で撹拌を継続したまま、表層用有機ケイ素化合物の加水分解液を20.0部添加してトナー粒子の表層形成を開始した。そのまま30分保持した後に、水酸化ナトリウム水溶液を用いてスラリーを縮合完結用にpH=9.0に調整してさらに300分保持し、表層を形成させた。
(洗浄、乾燥工程)
重合工程終了後、トナー粒子のスラリーを冷却し、トナー粒子のスラリーに塩酸を加えpH=1.5以下に調整して1時間撹拌放置してから加圧ろ過器で固液分離し、トナーケーキを得た。これをイオン交換水でリスラリーして再び分散液とした後に、前述のろ過器
で固液分離した。リスラリーと固液分離とを、ろ液の電気伝導度が5.0μS/cm以下となるまで繰り返した後に、最終的に固液分離してトナーケーキを得た。
得られたトナーケーキは気流乾燥機フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業製)にて乾燥を行い、さらにコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて微粗粉をカットしてトナー粒子1を得た。乾燥の条件は吹き込み温度90℃、乾燥機出口温度40℃、トナーケーキの供給速度はトナーケーキの含水率に応じて出口温度が40℃から外れない速度に調整した。
トナー粒子1のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。また、ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
以下の実施例及び比較例においても、同様に有機ケイ素重合体を含有する表層はケイ素マッピングでも確認を行った。本実施例においては、得られたトナー粒子1には外添せずにそのままトナー1として用いた。
トナー1について行った評価について、その方法を以下に述べる。
<トナー評価>
市販のキヤノン製レーザービームプリンタLBP7600Cの改造機を用いた。
改造点は、評価機本体及びソフトウェアを変更することにより、現像ローラーの回転速度を可変にできるように設定した。
LBP7600Cのトナーカートリッジに、トナーを装填した。そして、そのトナーカートリッジを以下の各評価における環境下で24時間放置した。当該環境下で24時間放置後のトナーカートリッジを上記LBP7600Cに取り付けた。
<現像耐久性(現像スジ)の評価>
常温常湿環境下(25℃、50%RH)において、35.0%の印字率画像をA4用紙横方向で4,000枚までプリントアウトした。
その後、LETTERサイズのXEROX4200用紙(XEROX社製、75g/m)にハーフトーン(トナーの載り量:0.2mg/cm)の画像をプリントアウトし、現像スジの評価をした。上記の評価を現像ローラーの周速を通常200mm/sec(表4中ではS1と標記する)であるのを、300mm/sec(表4中ではS2と標記する)として同様に行なった。
(評価基準)
A:現像ローラー上にも、画像上にも排紙方向の縦スジは見られない。
B:現像ローラーの両端に周方向の細いスジが5本以下見られる。又は画像上に排紙方向の縦スジがほんの少し見られる。しかし、画像処理で消せるレベル。
C:現像ローラーの両端に周方向の細いスジが6本以上20本以下見られる。又は画像上にも細かいスジが数本見られる。画像処理でも消せないレベル。
D:現像ローラー上に21本以上のスジが見られる。又は、画像上に1本以上の顕著なスジ、あるいは多数の細かいスジが見られる。画像処理でも消せないレベル。
<低温定着性の評価>
プリンターから定着ユニットを取り外し、LETTERサイズのXEROX4200用紙(XEROX社製、75g/m)に、縦2.0cm、横15.0cmの未定着のトナー画像(トナー載り量:0.9mg/cm)を、通紙方向に対し上端部から1.0cmの部分に形成した。
次いで、取り外した定着ユニットを定着温度とプロセススピードを調節できるように改造し、これを用いて未定着画像の定着試験を行った。
常温常湿環境下(23℃、60%RH)、プロセススピードを300mm/sに設定し、初期温度を150℃として設定温度を5℃ずつ順次昇温させながら、各温度で上記未定着画像の定着を行った。得られた定着画像について、コールドオフセットが発生しない定
着温度を最低定着温度(表4中ではT1と標記する)として、以下の基準に従って低温定着性の評価を行った。
(評価基準)
A:最低定着温度が165℃以下
B:最低定着温度が170℃
C:最低定着温度が175℃
D:最低定着温度が180℃以上
<転写性の評価>
転写効率(転写残濃度)の評価を行った。低温低湿環境下(LL:15℃、10%RH)及び高温高湿環境下(HH:30℃、80%RH)において、35.0%の印字率画像をA4用紙横方向で4,000枚までプリントアウトした。
その後、ベタ画像を出力し、ベタ画像形成時の感光体上の転写残トナーを、透明なポリエステル製の粘着テープを用いてテーピングしてはぎ取った。はぎ取った粘着テープを紙上に貼ったものの濃度から、粘着テープのみを紙上に貼ったものの濃度を差し引いた濃度差を算出した。そして、その濃度差の値から、以下のようにして判定した。
なお、濃度はX−Riteカラー反射濃度計(X−rite社製、X−rite 500Series)で測定した。
(評価基準)
A:濃度差が0.05未満
B:濃度差が0.05以上0.10未満
C:濃度差が0.10以上0.20未満
D:濃度差が0.20以上
<実施例2〜21、及び、比較例1〜3>
使用するエステルワックスの種類と添加量、(表層用有機ケイ素化合物の加水分解工程)において用いる表層用有機ケイ素化合物、(重合工程)における加水分解液を添加する時の条件、及び添加後の保持時間を表2のように変えた以外は、実施例1と同様の方法でトナーを作製した。スラリーのpH調整は塩酸及び水酸化ナトリウム水溶液で行った。なお、トナー22については、有機ケイ素化合物を添加しなかった。得られたトナーの評価結果を表3及び4に示す。
Figure 2020064246
Figure 2020064246
Figure 2020064246


Claims (6)

  1. 有機ケイ素重合体を含有する表層を有するトナー粒子を有するトナーであって、
    該トナー粒子は結着樹脂、着色剤及びエステルワックスを含有し、
    該有機ケイ素重合体が、下記式(1)で表される部分構造を有し、
    該エステルワックスのエステル基濃度が、2.00mmol/g〜4.00mmol/gであり、
    該トナー粒子は透過型電子顕微鏡を用いた断面観察において、
    該トナー粒子の断面の輪郭から0.5μmまでの領域に存在する該エステルワックスの面積割合をAsとしたときに、
    該Asが1.5%〜20.0%であることを特徴とするトナー。
    R−SiO3/2 (1)
    (該式(1)中の該Rは、炭素数が1以上6以下の炭化水素基を示す。)
  2. 前記トナー粒子中の前記エステルワックスの含有量をX質量%とし、
    前記トナー粒子中の前記有機ケイ素重合体の含有量をY質量%としたときに、
    該Xが5.0以上であり、該Xの該Yに対する比(X/Y)が、2.0〜20.0である、請求項1に記載のトナー。
  3. 前記トナー粒子は透過型電子顕微鏡を用いた断面観察において、
    該トナー粒子の断面の最大径である長軸Lの中点を通り、且つ、該中点における交差角が均等であり、該交差角が11.25°になるように該断面を横断する直線を16本ひくことにより該中点から該トナー粒子の表面まで32本の線分が形成されたとき、
    該32本の線分上において、前記表層の平均厚みDav.が、5.0nm〜70.0nmである、請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記トナーの最大荷重2.0×10−4Nの条件で測定したときのマルテンス硬度が、200MPa〜1100MPaである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナー。
  5. 高温ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定される前記エステルワックスのo−ジクロロベンゼン可溶分の数平均分子量が、500〜1000である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナー。
  6. 前記エステルワックスが、下記式(2)又は(3)で表されるエステルワックスである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のトナー。
    Figure 2020064246
    (該式(2)及び(3)中、Rは炭素数1以上6以下のアルキレン基を示し、R及びRは、それぞれ独立して炭素数11以上25以下の直鎖アルキル基を示す。)
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