JP2020063409A - インク組成物及び波長変換層 - Google Patents

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嘉孝 寺島
秀一 木村
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Abstract

【課題】本発明の課題は、量子ドットの劣化が抑制され量子収率が高く、また経時後の量子収率の低下を抑制することが可能な量子ドット含有組成物、該組成物からなる光波長変換層、光波長変換部材を提供することである。【解決手段】上記課題は、量子ドット、有機溶剤、並びに、スチレン系モノマー及び(メタ)アクリル酸をモノマー単位として含む、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂を含有するインク組成物、該組成物からなる光波長変換層、光波長変換部材によって解決される。【選択図】なし

Description

本発明は、量子ドットを含有するインク組成物、より詳細には、量子ドットを含有するインキジェットインキ、さらに光散乱粒子を含有するインキジェットインキ、印刷物及び波長変換層に関する。
量子ドットは、量子力学に従う独特な光学特性を発現させるために、電子を微小な空間に閉じ込めるために形成された極小さな粒(ドット)である。1粒の量子ドットの大きさは、直径1ナノメートルから数十ナノメートルであり、約1万個以下の原子で構成されている。発する蛍光の波長が、粒の大きさで連続的に制御できること、蛍光強度の波長分布が対称性の高いシャープな発光が得られることから近年注目を集めている。
量子ドットは、人体を透過しやすい波長に蛍光を調整でき、体内のあらゆる場所に送達できることより発光材料として生体イメージング用途、褪色の恐れがない波長変換材料として太陽電池用途、鮮明な発光材料、波長変換材料としてエレクトロニクス・フォトニクス用途への展開検討が行われている。
また、近年は、量子ドットを含有するインキジェットインキの形態で用いることが検討されており、特許文献1には、インキ化する際にカルボキシル基を含む光重合性化合物を含有させ、印刷後に硬化させる方法(特許文献1)や、アミン価を有する分散剤を用いて、印刷後に外部刺激に応答して硬化する方法(特許文献2)が提案されている。いずれも印刷後に、硬化させるために、硬化中のQD劣化が懸念される。
特開2016−071362号公報 国際公開第2018/123821号
本発明の課題は、量子ドットの劣化が抑制され量子収率が高く、また経時後の量子収率の低下を抑制することが可能な量子ドット含有組成物、該組成物からなる光波長変換層、光波長変換部材を提供することである。
本発明者は、前記課題を解決するために、鋭意検討した結果、スチレン系モノマー及び(メタ)アクリル酸をモノマー単位として含む、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂を含むことにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、下記発明に関する。
〔1〕 量子ドット、有機溶剤、並びに、スチレン系モノマー及び(メタ)アクリル酸をモノマー単位として含む、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂を含有するインク組成物。
〔2〕 前記スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂の質量平均分子量が、2,000〜20,000である、〔1〕に記載のインク組成物。
〔3〕 前記スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂のモノマー単位であるスチレン系モノマーが、α−メチルスチレンを含む、〔1〕又は〔2〕に記載のインク組成物。
〔4〕 光散乱粒子をさらに含有する、〔1〕〜〔3〕いずれか1項に記載のインク組成物。
〔5〕 前記光散乱粒子が酸化チタンである、〔4〕に記載のインク組成物。
〔6〕 〔1〕〜〔5〕いずれか1項に記載のインク組成物からなる光波長変換層。
〔7〕 〔6〕に記載の光波長変換層を有する光波長変換部材。
本発明により、量子ドットの劣化が抑制され量子収率が高く、また経時後の量子収率の低下を抑制することが可能な量子ドット含有組成物、該組成物からなる光波長変換層、光波長変換部材を提供することができる。
本発明のインク組成物は、量子ドット、有機溶媒、並びに、スチレン系モノマー及び(メタ)アクリル酸をモノマー単位として含むスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂を含有することを特徴とする。スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂は、樹脂の主鎖にフェニル基が結合した剛直な樹脂であるため、熱硬化や紫外線硬化等を必要せずとも、タック性のない膜を形成可能であり、さらに、フェニル基の遮蔽効果により量子ドットの経時劣化を抑制できるという優れた効果を発揮する。
以下、本発明を詳細に説明する。
<量子ドット>
量子ドットは、ナノサイズの半導体であり、量子ドットは、光による刺激で発光できる量子ドットであれば特に限定されず、従来公知のものを使用できる。
量子ドットは、2族元素、10族元素、11族元素、12族元素、13族元素、14族元素、15族元素及び16族元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物半導体であることが好ましく、2種以上の元素を含んでいてもよい。
具体的には、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイアモンドを含む)、P、Co、Au、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdSeZn、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、Si、Ge、Al、(Al、Ga、In)(S、Se、Te)、AlCO及び二つ又はそれ以上のそのような材料の適切な組み合わせが挙げられる。
前記のうち、Zn、Cd、B、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、N、P、As、Sb、Pb、S,Se,Teで示される元素群から選ばれる少なくとも2種の元素を含む化合物からなる半導体が好ましい。
さらに好ましくは、Zn、B、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、N、P、S,Teで示される元素群から選ばれる少なくとも2種の元素を含む化合物からなる半導体である。さらに好ましくは、バンドギャップの狭さからInを構成元素として含む半導体が、可視光を発光する用途では好ましい。
量子ドットの構造は、前記記載の元素を含む構造であれば、均一な単一構造、コア/シェル型構造、グラジエント構造等のような複層構造又はこれらの混合構造であってもよいが、中でも、コア/シェル型構造をとる化合物半導体が好ましい。コアを形成する化合物半導体成分と異なる化合物半導体成分でコア構造を被覆し、外部がバントギャップの大きい化合物半導体であることにより、光等のエネルギ−励起によって生成された励起子(電子−正孔対)はコア内に閉じ込められる。その結果、化合物半導体表面での無輻射遷移の確率が減少し、発光の量子収率及び量子ドットの蛍光特性の安定性が向上する。
量子ドットとして使用される場合に、前記の条件を満たす好適な材料の組合せとしては、CdSe/ZnS、CdSe/ZnSe、CdS/ZnS、CdSe/CdS、CdTe/CdS、InP/ZnS、PbSe/PbS、GaP/ZnS、Si/ZnS、InN/GaN、InP/CdSSe、InP/ZnSeTe、InGaP/ZnSe、InGaP/ZnS、Si/AlP、InP/ZnSTe、InGaP/ZnSTe、InGaP/ZnSSe等が挙げられる。
また、本発明に用いられる量子ドットを形成する化合物半導体のシェル成分としては、ZnS、CdS、ZnSe等が良く用いられるが、この中でものコア成分がInを構成元素として含む場合、ZnSは、量子ドットとしての励起子閉じ込め等の特性的にも特に優れており、好適に使用される。
量子ドットを形成する化合物半導体の平均粒径は、0.5nm〜100nmであることが好ましく、所望の特性が得られる粒径を選択することができる。コア/シェル型の化合物半導体の場合、コアの平均粒径は0.5nm〜25nmであることが好ましく、より好ましくは0.5nm〜15nmである。平均粒径が0.5nm以上であると、合成面で好ましく、また100nm以下であると、量子閉じ込め効果が良好で求める蛍光が得られやすいことから好ましい。
量子ドットにおいては、同じ材料であってもコア粒径を変えることで蛍光波長を任意に変更可能なことが特徴であり、求める蛍光波長に応じて粒径を設定することになる。コア/シェル型の場合、一つの化合物半導体の中に複数のシェル微粒子を含有してもよい。シェルの平均厚みは無機材料部分の粒子半径とコア粒子半径の差に相当するが、シェルの厚みが適切であると、強度や閉じ込め効果が十分であり、さらに、全体粒径が大きくならず塗工液やインキにした場合の分散性が良好となり、量子ドットの場合、励起方法によらずコアを励起させやすくなるため、好ましい。量子ドットの形状は、球状に限らず、棒状、円盤状、その他形状であっても良い。
量子ドットは、さらに有機物で被覆処理されていても良い。これらの有機物は被覆材料又は保護材料と称され、特に合成時には微粒子表面の処理剤、さらには量子ドットの場合には、リガンド又は配位子と呼ばれることも多い。一般的に被覆材料として用いることのできる有機物としては、無機半導体微粒子の金属部分に吸着する強い極性、又は非共有電子対を有し、さらに、炭素鎖や芳香環が連結した構造、ポリアルキレングリコ−ル構造等を有することで、塗液やインキとして使用する溶剤や樹脂との親和性が高い部分構造を有する有機物である。このような有機物は一般的には、有機及び無機顔料や無機化合物材料の分散剤や、洗剤やエマルジョン形成等の際に使用される界面活性剤、乳化剤として良く知られているものであり、本発明でもこれらの化合物を使用することが出来る。また、金属錯体の配位子(リガンド)として使用される部分構造を有する化合物、特に金属への配位座を2個以上有するキレ−ト配位子構造を有する化合物は、化合物半導体の金属部分へ吸着しやすく、かつ脱離しにくいため、使用することが可能である。
中でも、チオール基、カルボキシル基、リン酸基、ホスホン酸及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を部分構造として有するリガンドを、コア剤、シェル剤の種類に合わせて選択して用いることが好ましい。
インク組成物中における量子ドットの含有量は、インク組成物全量に対して1〜50質量%含有することが量子ドットからの蛍光強度は強く、量子ドットの分散を維持しやすいため、好ましい。外部量子効率向上の観点から、より好ましくは5〜15質量%である。
<有機溶剤>
有機溶剤としては、特に制限なく従来公知のものを選択することができ、例えば、トルエン、1,2,3−トリクロロプロパン、1,3−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ジオキサン、2−ヘプタノン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−1,3−ブタ
ンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3−メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、4−ヘプタノン、m−キシレン、m−ジエチルベンゼン、m−ジクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ブチルアルコール、n−ブチルベンゼン、n−プロピルアセテート、N−メチルピロリドン、o−キシレン、o−クロロトルエン、o−ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−クロロトルエン、p−ジエチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、トリメチルベンゼン、γ―ブチロラクトン、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ターシャルターシャルブタノール、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n−アミル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、及び二塩基酸エステル等が挙げられる。
これらの有機溶剤は、1種を単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
有機溶剤は、用途によって選択することができ、前述のスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂に対する溶解性や、インクジェットインキとして用いる場合は、吐出に適した粘度、ノズルにおける乾燥性、インクジェット吐出装置部材に対する膨潤作用等の観点から、下記有機溶剤(A−1)、(A−2)、及び(A−3)からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、かつ760mmHgでの沸点が135℃以上の有機溶剤を含むことが好ましい。
一般式(1):R−(O−C)m−O−C(=O)−CH
[一般式(1)中、Rは炭素原子数1〜8のアルキル基であり、Cは直鎖若しくは分岐エチレン鎖であり、1≦m≦3である。]で表される有機溶剤(A−1)。
一般式(2):R−(O−C)p−O−C(=O)−CH
[一般式(2)中、Rは炭素原子数1〜8のアルキル基であり、Cは直鎖若しくは分岐プロピレン鎖であり、1≦p≦3である。]で表される有機溶剤(A−2)。
・アセテート構造を2つ以上持つ有機溶剤(A−3)。
さらに好ましくは、前記760mmHgでの沸点が135℃以上の有機溶剤が、全有機溶剤中60質量%以上含まれることが、吐出安定性やノズルにおけるインクジェットインキの乾燥性の点から好ましい。
前記760mmHgでの沸点が135℃以上の有機溶剤の具体例としては、例えばジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、トリアセチン等を挙げることができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。中でも、好ましくはジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテートが、吐出安定性の点から好ましい。
<スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂>
スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂は、スチレン系モノマー及び(メタ)アクリル酸をモノマー単位として含むものであり、ランダム重合体又はブロック重合体のいずれであっても使用することができる。
[スチレン系モノマー]
スチレン系モノマーとしては、置換又は無置換のスチレンを用いることができる。スチレンに置換してもよい置換基としては、炭素1〜8の直鎖、分岐、環状のアルキル基、アリール基、ハロゲン基、エーテル基、エステル基、アミノ基、ケトン基、が挙げられ、これらの組み合わせやスチレンのベンゼン環は拡張されていても良い。
具体例として、ビニルトルエン、2,4,6−トリメチルスチレン、n−オクチルスチレン、4−ターシャルブチルスチレン、α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、1−ビニルナフタレン等のアルキル置換スチレン、ビニルビフェニル等のフェニル基置換スチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、酢酸ビニルフェニル等のエステル基置換スチレン、フルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等ハロゲン基置換スチレン、アミノスチレン、ジメチルアミノスチレン、イソプロピルアミノスチレン等のアミノ基置換スチレン;
メトキシスチレン、ビニルジフェニルエーテル等のエーテル基置換スチレン等が挙げられる。また、これらの化合物の異性体と異性体の混合物も含まれる。
中でも、α−メチルスチレンを含むことが、樹脂のガラス転移温度を上昇させ、光波長変換層の保存安定性を良化させるため、好ましい。
スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂中を構成するモノマー単位におけるスチレン系モノマーのモノマー比率は、特に制限はないが、好ましくは10〜90質量%である。インク組成物の印刷後タックの観点から、より好ましくは30〜90質量%であり、特に好ましくは50〜90質量%である。特に、スチレン系モノマー中、α−メチルスチレンが50〜80質量%であると、内部量子収率の保持率の観点で好ましい。
上記範囲とすることで、より優れた乾燥後のタック抑制及び基材への密着性を発揮し、両物性の両立を達成することができる。
[(メタ)アクリル酸]
(メタ)アクリル酸は、基板密着性付与とIJ吐出性に関与し、より好ましくはアクリル酸である。スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂中を構成するモノマー単位における(メタ)アクリル酸の比率は、好ましくは10〜85質量%であり、より好ましくは、タック性及びIJ吐出性の観点から12〜50質量%である。
(メタ)アクリル酸は、樹脂の酸価にも関与するが、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂の酸価は、好ましくは30〜500mgKOH/gであり、より好ましくは40〜250mgKOH/gであり、特に好ましくは60〜120mgKOH/gである。
[スチレン、(メタ)アクリル酸以外の共重合可能なその他モノマー]
本発明におけるスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂は、スチレン、(メタ)アクリル酸以外の共重合可能なその他モノマーをモノマー単位に含んでいてもよい。
スチレン、(メタ)アクリル酸以外の共重合可能なその他モノマーとしては、特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステル及び(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、アクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
その他モノマーは、光波長変換層に要求される物性を調整する目的でモノマー全量に対して、0〜80質量%用いることが好ましく、スチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸モノマーの効果を阻害しない0〜50質量%がより好ましいである。
本発明におけるスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂の質量平均分子量(以下、Mwともいう)は、塗工物の成膜性及び組成物の粘度の観点から、好ましくは2,000以上30,000以下である。粘度の観点から、より好ましくは20,000以下であり、インクジェットインキとして用いる場合には、更なる低粘度化が求められるため、より好ましく15,000以下である。
本明細書において、「質量平均分子量」の値は、標準物質をポリスチレンとするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定された値を採用するものとする。
<光散乱粒子>
本発明の量子ドット含有組成物は光散乱粒子を含有することができる。光散乱粒子により光変換層内で光を散乱させる事により量子ドットの光吸収を増大させることができる。光散乱粒子としては、有機光散乱粒子、又は無機光散乱粒子等が挙げられ、有機光散乱粒子としては、例えば、ポリアクリレートビーズ、ポリメタクリレートビーズ、アクリル−スチレン共重合体ビーズ、メラミン樹脂ビーズ、ポリカーボネートビーズ、架橋ポリスチレンビーズ、ポリ塩化ビニルビーズ、及びベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒド
縮合物ビーズ、トリフルオロエチルメタクリレート共重合体ビーズ等が挙げられる。また、無機光散乱粒子としては、SiO、ZrO、及びTiO等が挙げられ、屈折率の大きさから、TiO(酸化チタン)を好適に用いることができる。
光散乱粒子は、散乱効果と光取出し効率との両立の観点から、インク組成物全量に対して0.01〜10質量部含有することが好ましい。
光散乱粒子は、有機溶媒に必要に応じて分散剤を添加し、分散機を用いて分散して用いることが好ましい。分散機としては、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノーミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル、ホモミキサー、ホモジナイザー(エム・テクニック社製「クレアミックス」等)、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスP Y 」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」)、微小ビーズミル(寿工業(株)社製「スーパーアペックミル」及び「ウルトラアペックミル」)、超音波分散機等が使用できる。分散機にメディアを使う場合には、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、アルミナビーズ、磁性ビーズ、及びポリスチレンビーズ等を用いることが好ましい。
分散剤としては、ビックケミー・ジャパン社製のDisperbyk−101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、167、168、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155、2163、2164、又はAnti−TeRRa−U、203、204、又はBYK−P104、P104S、220S、6919、又はLactimon、Lactimon−WS又はBykumen等、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE−3000、9000、11200、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、3300、33500、32600、34750、35100、35200、36600、37500、38500、39000、41000、41090、53095、56000、55000、7100、76500等、BASF社製のEFKA−46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503、等、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が挙げられ、光散乱粒子に合わせて適宜選択される。
<インクジェットインキ>
本発明のインク組成物は、印刷に適切な粘度である3〜50mPa・sに調製することでインクジェットインキとして使用することができる。インクジェットインキとして使用する場合、上述の必須の構成成分の他に、印刷物の要求物性により、レベリング剤や酸化防止剤等の添加剤を適宜含有してもよい。
[レベリング剤]
レベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造又はポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ−2122、ビックケミー社製BYK−333等が挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては
、ビックケミー社製BYK−310、BYK−370等が挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。レベリング剤の含有量は通常、インク組成物の全量に対して、0.003〜0.5質量%用いることが好ましい。
[酸化防止剤]
酸化防止剤としては、紫外線吸収機能、ラジカル補足機能、又は過酸化物分解機能を有する化合物であればよく、具体的には、酸化防止剤としてヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒドロキシルアミン系、サルチル酸エステル系、及びトリアジン系の化合物が挙げられ、公知の紫外線吸収剤、酸化防止剤等が使用できる。
<光波長変換層>
本発明の量子ドット含有のインク組成物を用いて塗工・印刷後に有機溶剤を乾燥して形成された層は、光波長変換層として用いることができる。光波長変換層は、励起光を長波長側の蛍光に変換して放出することが可能であり、励起光波長と放出蛍光波長の関係を維持できれば特に制限はなく、例として、青色や紫外光を励起光として用いて緑色や赤色の蛍光を得ることや、紫外光や可視光を励起光として近赤外領域の蛍光を得る事等を挙げることができる。
光波長変換層の厚みは、好ましくは1〜500μmであり、より好ましくは1〜50μmであり、さらに好ましくは1〜10μmである。厚みが1μm以上であると、高い波長変換効果が得られるため、好ましい。また、厚みが500μm以下であると、光源ユニットに組み込んだ場合に、光源ユニットを薄くすることができるため、好ましい。
<光波長変換部材>
光波長変換部材とは、特定基材の少なくとも片面に、光波長変換層が形成された部材である。基材は特に限定はないが、ポリカーボネート、硬質塩ビ、軟質塩ビ、ポリスチレン、発砲スチロール、PMMA、ポリプロピレン、ポリエチレン、PETなどのプラスチック基材やこれら混合または変性品、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙などの紙基材、ガラス、ステンレスなどの金属基材などが挙げられる。
用途によって使用される基材は選択されるが、プリペイドカードや通行カード等であれば、耐久性の観点から、プラスチック基材やこれらの混合または変性品が好ましい。情報記録媒体としての1次元バーコード、2次元バーコード、QRコード(登録商標)(マトリックス型2次元コード)であれば、プラスチック基材の他にも紙基材が好ましい。波長変換用カラーフィルタであれば、透明基板が好ましい。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、特に断りがない限り、「部」及び「%」とは「質量部」及び「質量%」を意味する。
<質量平均分子量(Mw)の測定方法>
Mwの測定は、昭和電工社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「GPC−101」を用いた。GPCは溶媒(THF;テトラヒドロフラン)に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーである。本発明における測定は、カラムに「KF−805L」(昭和電工社製:GPCカラム:8mmID×300mmサイズ)を直列に2本接続して用い、試料濃度1質量%、流量1.0ml/min、圧力3.8MPa、カラム温度40℃の条件で行い、質量平均分子量(Mw)の決定はポリスチレン換算で行った。データ解析はメーカー内蔵ソフトを使用して検量線及び分子量、ピーク面積を算出し、保持時間15〜30分の範囲を分析対象として質量平均分子量を求めた。
<酸価の測定方法>
共栓三角フラスコ中にダイヤフラムポンプで合成溶媒を取り除いた樹脂約1gを精密に量り採り、テトラヒドロフラン/エタノール(容量比:テトラヒドルフラン/エタノール=2/1)混合液100mLを加えて溶解した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間保持した。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定し、酸価を次式により求めた(単位:mgKOH/g)。
酸価(mgKOH/g)=(5.611×a×F)/S
ただし、
S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(mL)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
<スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂の製造>
(樹脂1)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えたフラスコにスチレン104部、アクリル酸72部、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(以下、BGAcともいう)400部を加えて撹拌した。窒素気流下で80℃に加熱して、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(以下、AIBNともいう)4部を加えた。撹拌しながら温度を維持し2時間後に再度、AIBN 0.8gを加えて、さらに2時間加熱撹拌を行い、放冷後、BGAcを用いて固形分濃度を30%に調整し、樹脂1の溶液を得た。
(樹脂2〜9、比較樹脂1、3)
表1に示すモノマー組成部、開始剤量に変更した以外は、樹脂1と同様にして、樹脂2〜9及び比較樹脂1、3を調製した。
(比較樹脂2)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート2個及び窒素導入管を備えたフラスコを用意した。1つの滴下ロートにはN−ベンジルマレイミド45部、メタクリル酸45部、トリシクロデシルメタクリレート10部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート4部、BGAc40部を投入し混合した。他方の滴下ロートにはn−ドデカンジオール6部、PGMAc24部を入れて混合した。
続けて、フラスコにBGAc370部を導入し、フラスコ内の雰囲気を空気から窒素に置換した後撹拌しながら、フラスコの温度を90℃まで昇温した。次に、2つの滴下ロートから同時に滴下を開始した。滴下は90℃を維持しながら2時間かけて行った。滴下終了1時間後に110℃に昇温して3時間維持した。その後、窒素置換をやめて、酸素/窒素=5/95(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。
次に、グリシジルメタクリレート10部、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)0.4部、トリエチルアミン0.8部をフラスコ内に投入して、110℃で8時間反応を継続し、その後、室温まで冷却し、BGAcを用いて固形分濃度を30%に調整した。質量平均分子量が10,600、酸価が98mgNaOH/gのアルカリ可溶性樹脂である比較樹脂2の溶液を得た。
得られた樹脂について、スチレン系モノマー質量比率、酸価、分子量を表1に示す。表中、酸価の単位は、mgKOH/gである。
Figure 2020063409
表1中の略称を以下に示す。
スチレン系モノマー比率:スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂中を構成するモノマー単位におけるスチレン系モノマーのモノマー質量比率
α−MeSt比率:スチレン系モノマー全量に対するα−メチルスチレンの質量比率
AIBN:2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)
<量子ドット分散体の製造>
(量子ドット1)
無水酢酸亜鉛0.55部、ドデカンチオ−ル7.0部、オレイルアミン5.0部を加熱溶解し添加液を調整した。塩化インジウム0.22部、オクチルアミン8.25部を反応容器に入れ、窒素バブリングを行いながら、200℃に加熱した。塩化インジウムが溶解した後、ジメチルアミノホスフィン0.86部を短時間で注入し、20分間200℃に制御した。その後、急冷し、40度に冷却した。上記添加液を注入し、240℃2時間加熱した後に、室温まで放冷した。放冷後、ヘキサンとエタノ−ルを用いて再沈澱法で精製を行い、量子ドット中間体を得た。次に、量子ドット中間体をトルエン中固形分濃度1%に希釈し、同量の6−(ジエチルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオ−ルの5%トルエン溶液を添加し、12時間撹拌した。トルエンとエタノ−ルを用いて再沈澱法で精製を行い、BGAcを用いて固形分濃度30%に調整し、量子ドット1の分散液を得た。
(量子ドット2)
A液:窒素置換した汎用容器に酸化鉛0.18部、水酸化セシウム1水和物0.13部、オレイン酸3.58部を加えて、溶解するまで加熱した後室温まで冷却した。
B液:臭化テトラオクチルアンモニウム0.44部、オレイン酸0.90部、トルエン3.5部を撹拌して、溶解した。
A液とB液とを20秒で混合して、微結晶を生成させた。エタノール、アセトン及びトルエンを用いて微結晶を精製し、BGAcで固形分濃度30%になるように調整して、量子ドット2の分散液を得た。
<光散乱粒子分散体の製造>
(光散乱粒子分散体1)
酸化チタンとしてJR−603(テイカ株式会社製、平均粒子径280nm)を2.4g、高分子分散剤を0.4g、及びBGAcを混合して得られた固形分濃度60%の混合物に、ジルコニアビーズ(直径:1.25mm)を加え、ペイントコンディショナーを用いて2時間振とうして混合物の分散処理を行い、ナイロンメッシュフィルターにてジルコニアビーズを除去し、BGAcを用いて固形分濃度を40%に調製することで光散乱粒子分散体1を得た。
(光散乱粒子分散体2)
酸化チタンとして、JR(テイカ株式会社製、平均粒子径270nm)を用いたこと以外は、光散乱粒子分散体1と同様にして、光散乱粒子分散体2を得た。
<インク組成物の製造>
[実施例1〜9、比較例1〜5]
(インクジェットインキ(QDIJ−1〜22))
表2に示した配合組成になるよう、密閉できる容器に、量子ドット分散体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂の溶液、有機溶剤の順番で計量し、その後、密閉して30分間振とうして、インクジェットインキ(QDIJ−1〜22)を得た。
<インク組成物の評価>
得られたインクジェットインキについて、下記評価を実施した。結果を表2に示す。
[インクジェット吐出評価]
下記条件でインクジェット吐出を行い、下記基準で評価した。
≪インクジェット吐出条件≫
インクジェットプリンター: FUJIFILM Dimatix社製 Materials Printer DMP−2831
カートリッジ:10Dimatix Materials Cartriges、10pL
基板温度:30℃
ヘッド温度:40℃
≪評価基準≫
印刷機のカートリッジのインキを吐出するヘッドには16個のノズルがあり、6個が同時に観察可能である。まず、30秒間連続吐出(初期吐出)させ、その後30秒休止してから再吐出した場合の吐出性を、以下の基準で評価した。
○:全てのノズルが再吐出可能(良好)
△:6ノズル中4ノズル以上が再吐出可能(使用可能)
×:初期吐出不可、又は、6ノズル中1〜3ノズルが吐出可能(使用不可)
[タック性評価]
厚み100μmのPETフィルム基材上に、インクジェット吐出評価と同様の印刷条件にて、解像度303dpiにて直径10mmの円形画像を印刷した。印刷後、オーブン中で70℃5分の乾燥処理を行い、常温に10分放置した。得られた印刷面について、下記基準でタック性を評価した。
○:タック無し(良好)
△:印刷面積の5%未満にタックあり(使用可能)
×:印刷面積の5%以上にタックあり(使用不可)
[量子収率測定]
タック性評価が△又は○の試験片を用いて、内部量子収率、及び、励起光450nmに対する500−800nmの透過光の外部量子効率の測定を行い、下記基準で評価した。ただし、比較例4については、光照射(高圧水銀灯、大気下、200mJ/cm)を行
い、タックが消失した試験片を用いて量子収率の評価を行った。
≪測定条件≫
測定装置: 量子効率測定システム QE−2000(大塚電子株式会社製)
励起光波長: 450nm、蛍光積算範囲: 500−800nm
≪評価基準(内部量子収率)≫
○: 40%以上45%未満(良好)
△: 20%以上40%未満(使用可能)
×: 20%未満(使用不可)
≪評価基準(外部量子収率)≫
◎: 25%以上(非常に良好)
○: 20%以上25%未満(良好)
△: 10%以上20%未満(使用可能)
×: 10%未満(使用不可)
[内部量子収率保持率]
量子収率測定を行った試験片を、25℃常圧かつ遮光の条件下の状態で1週間保管した後、再び内部量子収率を測定した。(1週間保管後の内部量子収率)/(初期の内部量子収率)の比を求め、以下の基準で内部量子収率保持率を判定した。
◎: 0.98以上(非常に良好)
○: 0.95以上0.98未満(良好)
△: 0.90以上0.95未満(使用可能)
×: 0.90未満(使用不可)
Figure 2020063409
表2中の略称を以下に示す。
BGAc:エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
ε−CL:ε−カプロラクトン
1,3−BGDA:1,3−ブチレングリコールジアセテート
光重合性化合物:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートコハク酸モノエステル
光重合開始剤:2−[4−(メチルチオ)ベンゾイル]−2−(4−モルホリニル)プロパン
硬化剤:1−メチルシクロヘキサンー4,5−ジカルボン酸
硬化触媒 ジメチルベンジルアミン
[印刷物の読み込み評価1]
インク組成物QDIJ−1を用いてQRコード(登録商標)を白色のインクジェット記録用紙(富士フイルム社製画彩 写真仕上げPro)に印刷した。印刷されたQRコード(登録商標)を可視光下でRコードリーダーを用いて読み込もうとしたところ、QRコード(登録商標)に記録されている情報を読み取ることができた。
[印刷物の読み込み評価2]
インク組成物QDIJ−1を用いてQRコード(登録商標)を下記条件で黒色のカーボン用紙(ゼネラル社製ハイタッチカーボン紙 クロ)に印刷した。印刷されたQRコード(登録商標)を蛍光灯下でコードリーダーを用いて読み込もうとしたところ、QRコード(登録商標)に記録されている情報を読み取ることができなかった。つづいて、印刷されたQRコード(登録商標)に波長365nmのブラックライトを照射したところ、照射部にQRコード(登録商標)のパターンが可視化された。可視化された状態のQRコード(登録商標)をコードリーダーで読み込もうとしたところ、QRコード(登録商標)に記録されている情報を読み取ることができた。
本発明のインク組成物は、スチレン系モノマー及び(メタ)アクリル酸をモノマー単位として含むスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂を含有することで、IJ印刷が可能でありながら、硬化による量子ドットの劣化が抑制され、その結果、高い内部蛍光収率と、色変換した外部量子効率の高い色変換層を形成可能であることが示された。
特に、インク組成物中の量子ドットの含有率が5〜15質量%であり、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂を構成するモノマー単位の50〜90質量%がスチレン系モノマーであり、その分子量が2,000〜15,000の範囲である場合に良好な結果を示した。中でも、スチレン系モノマー中のαメチルスチレンの比率が50〜80質量%である実施例3〜5は、外部量子効率と内部量子収率保持率が特に優れていた。
本発明のインク組成物を用いて特定の記録紙上に印刷されたQRコード(登録商標)は、可視光下ではQRコード(登録商標)に記録されている情報を読み取ることができないが、特定波長の光源で照射されている状態では情報を読み込むことができるため、高いセキュリティを有する印刷物を提供することができる。
本発明のインク組成物を用いて印刷された印刷物は、カラーフィルタ、光変換層、太陽電池、レーザー、蛍光標識などに好適に用いることができる。さらに、特定波長による蛍光応答を利用することによって、ブランドラベル、1次元バーコード、2次元バーコード、QRコード(登録商標)、シンボルマーク等にセキュリティ性を持たせることができ、光源の波長を切り替えることで多重化情報を印刷することが可能になる。また、本発明のインク組成物は、従来のる蛍光体含有インキよりも発色性が高く、色域が広いという顕著な効果が期待できる。本発明のインキ組成物を単体または既存のCMYKのインキと組み合わせて用いることで、特定波長の光線照射によって絵柄を浮き出させたり、絵柄を変えたりすることも可能となる。

Claims (7)

  1. 量子ドット、有機溶剤、並びに、スチレン系モノマー及び(メタ)アクリル酸をモノマー単位として含む、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂を含有するインク組成物。
  2. 前記スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂の質量平均分子量が、2,000〜20,000である、請求項1に記載のインク組成物。
  3. 前記スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂のモノマー単位であるスチレン系モノマーが、α−メチルスチレンを含む、請求項1又は2に記載のインク組成物。
  4. 光散乱粒子をさらに含有する、請求項1〜3いずれか1項に記載のインク組成物。
  5. 前記光散乱粒子が酸化チタンである、請求項4に記載のインク組成物。
  6. 請求項1〜5いずれか1項に記載のインク組成物からなる光波長変換層。
  7. 請求項6に記載の光波長変換層を有する光波長変換部材。
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