JP2020062684A - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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【課題】鋼の連続鋳造方法においてミストスプレーにより鋳片の二次冷却を行う際、スプレーノズルから吐出される冷却水の流量を増加させたとしても、当該流量が一定以上となると冷却能力が徐々に線形に増加しなくなり、冷却水の流量増加と比例した冷却が期待できない。【解決手段】鋳型から引き抜かれた鋳片にミストスプレーを噴射させて前記鋳片の二次冷却を行う、鋼の連続鋳造方法であって、スプレーノズルから吐出される冷却水の流量が最大流量の1/2以上である場合、前記スプレーノズルから吐出される冷却水の流量が最大流量の1/2未満である場合と比較して、前記スプレーノズルから前記冷却水とともに吐出される気体の流量を増加させる、鋼の連続鋳造方法とする。【選択図】図5

Description

本願は鋼の連続鋳造方法を開示する。具体的には、鋳型から引き抜かれた鋳片に対して効果的に二次冷却を行うことにより、鋳片バルジング等を抑制し、鋳片品質改善と鋳造時の操業安定を図り、生産性を向上させることが可能な連続鋳造方法を開示する。
鋼を高速で連続鋳造する場合、鋳型から引き抜かれた鋳片が二次冷却帯で抜熱不足(冷却不足)に陥り易く、サポートロール間でバルジングによる内部割れを起こす虞がある。これを回避するためには二次冷却帯での冷却能力の向上が必要である。例えば、特許文献1に開示されているように、二次冷却スプレーとして用いられるミストスプレーの冷却水流量等を制御することで、二次冷却帯における冷却能力を向上させることができるものと考えられる。
特開2010−253525号公報
従来においては、ミストスプレーによって鋳片の二次冷却を行う場合、スプレーノズルから吐出される冷却水の流量を増加させることで冷却能力を向上させていた。しかしながら、特許文献1に開示されているように、ノズルから吐出される冷却水の流量を増加させたとしても、当該流量が一定以上(例えば最大流量の1/2以上)となると冷却能力が徐々に線形に増加しなくなり、冷却水の流量増加と比例した冷却が期待できないという課題があった。
本願は上記課題を解決するための手段の一つ(第1の形態)として、鋳型から引き抜かれた鋳片にミストスプレーを噴射させて前記鋳片の二次冷却を行う、鋼の連続鋳造方法であって、スプレーノズルから吐出される冷却水の流量が最大流量の1/2以上である場合、前記スプレーノズルから吐出される冷却水の流量が最大流量の1/2未満である場合と比較して、前記スプレーノズルから前記冷却水とともに吐出される気体の流量を増加させる、鋼の連続鋳造方法を開示する。
なお、「ミストスプレー」とは、水と空気(エアー)等の気体とを所定の気液比で供給し、水をミスト状にしたものであり、鋳型から連続的に鋳造される鋳片にミストスプレーをスプレーノズルから吹き付けて、蒸発潜熱を利用して鋳片を冷却するものである。
第1の形態に係る鋼の連続鋳造方法において、前記スプレーノズルから吐出される冷却水の流量が最大流量の1/2以上である場合、前記スプレーノズルから前記冷却水とともに吐出される気体の流量を、下記式(1)で規定される流量Q(m/h)以上とすることが好ましい。
Q=0.5・X+C ・・・(1)
(Q:気体の流量(m/h)、X:冷却水の流量(L/min)、C:冷却水の最小流量と該最小流量における気水比とを用いて特定される任意切片)
本願は上記課題を解決するための手段の一つ(第2の形態)として、鋳型から引き抜かれた鋳片にミストスプレーを噴射させて前記鋳片の二次冷却を行う、鋼の連続鋳造方法であって、スプレーノズルから吐出される冷却水の流量が最大流量の1/2以上である場合、前記スプレーノズルから前記冷却水とともに吐出される気体の流量を、上記式(1)で規定される流量Q(m/h)以上とする、鋼の連続鋳造方法を開示する。
第1及び第2実施形態に係る鋼の連続鋳造方法において、昇圧ポンプを用いて前記冷却水の圧力を上昇させることが好ましい。
第1及び第2実施形態に係る鋼の連続鋳造方法において、前記最大流量が20L/min以上50L/min以下であることが好ましい。
本願において「気体」とは、冷却水と混合するためのガスをいう。通常の連続鋳造においては空気(エアー)である。
本願において「最大流量」とは、スプレーノズルが流すことができる冷却水流量の仕様上の最大値をいう。
本願において「最小流量」とは、スプレーノズルが流すことができる冷却水流量の仕様上の最小値をいう。例えば、上記の「最大流量」とスプレーノズルの「ターンダウン比」とから特定できる。
本願において「ターンダウン比」とは、「最大流量」と「最小流量」との比(最大流量/最小流量)をいい、スプレーノズルの仕様上決定されるものである。ターンダウン比は例えば10以下である。
本願において「最小流量における気水比」とは、スプレーノズルの仕様上決定されるものである。最小流量における気水比は例えば200以下である。
なお、スプレーノズルの仕様書(特性調査表)には、上記の最小流量および最大流量時の気水比などが通常、記載されている。
本開示の鋼の連続鋳造方法においては、スプレーノズルから吐出される冷却水の流量が多い領域においてスプレーノズルから冷却水とともに吐出される気体の流量を増加させることで、鋳片表面に高い衝突力でもって冷却水を供給することができ、二次冷却効率が向上するものと考えられる。これにより、冷却水の流量が増加した場合でも冷却性能が略線形に増加し、冷却水の流量増加と略比例した冷却が期待できる。
式(1)の一例を説明するための図である。 P−Qカーブ(ノズルにおける冷却水流量Q及び冷却水圧力P並びに気体流量Q及び気体圧力Pの関係)を示す図である。 抜熱試験用の実験装置を説明するための図である。 実施例1及び比較例1について抜熱試験条件を説明するための図である。 実施例1及び比較例1について抜熱試験結果を示す図である。 実施例2及び比較例2について抜熱試験条件を説明するための図である。 実施例2及び比較例2について抜熱試験結果を示す図である。
1.第1実施形態
第1実施形態に係る鋼の連続鋳造方法は、鋳型から引き抜かれた鋳片にミストスプレーを噴射させて前記鋳片の二次冷却を行う、鋼の連続鋳造方法であって、スプレーノズルから吐出される冷却水の流量が最大流量の1/2以上である場合、前記スプレーノズルから吐出される冷却水の流量が最大流量の1/2未満である場合と比較して、前記スプレーノズルから前記冷却水とともに吐出される気体の流量を増加させることを特徴とする。
ミストスプレーによって鋳片の二次冷却を行う場合、鋳片表面に供給される冷却水の流量をスプレーノズルの仕様上の最大流量の1/2以上とすると、冷却能力が徐々に線形に増加しなくなり、冷却水の流量増加と比例した冷却が期待できないという課題が生じる。本発明者の知見によれば、このような課題は、スプレーノズルの種類(スプレーノズルの大きさ等)によらず生じ得る。これに対し、本開示の鋼の連続鋳造方法によれば、ミストスプレーによる冷却能力が線形に増加しなくなる領域(スプレーノズルから吐出される冷却水の流量が多い領域)においてスプレーノズルから冷却水とともに吐出される気体の流量を増加させることで、冷却水の流量と冷却能力との関係を理想的な線形増加に近付けることができる。
ミストスプレーによって鋳片の二次冷却を行う場合、鋳片表面に供給される冷却水の流量をスプレーノズルの仕様上の最大流量の2/3以上とすると、冷却能力が一層線形に増加しなくなる。すなわち、本開示の鋼の連続鋳造方法は、スプレーノズルから吐出される冷却水の流量が最大流量の2/3以上である場合に、より冷却水の流量と冷却能力との関係を理想的な線形増加に近付ける顕著な効果を発揮するといえる。よって、本開示の鋼の連続鋳造方法は、スプレーノズルから吐出される冷却水の流量が最大流量の2/3以上である場合、スプレーノズルから吐出される冷却水の流量が最大流量の2/3未満である場合と比較して、スプレーノズルから冷却水とともに吐出される気体の流量を増加させることが好ましい。
スプレーノズルから冷却水とともに吐出される気体の具体的な流量は、スプレーノズルから吐出される冷却水量に応じて決定することが好ましい。例えば、スプレーノズルから吐出される冷却水の流量が最大流量の1/2以上である場合、スプレーノズルから冷却水とともに吐出される気体の流量を、下記式(1)で規定される流量Q(m/h)以上とすることが好ましい。本発明者の知見によれば、式(1)にしたがって気体流量の最低値を冷却水量に応じて線形に増加させることで、ミストスプレーによる冷却能力が一層向上し、冷却水の流量と冷却能力との関係を理想的な線形増加により近付けることができる。
Q=0.5・X+C ・・・(1)
(Q:気体の流量(m/h)、X:冷却水の流量(L/min)、C:冷却水の最小流量と該最小流量における気水比とを用いて特定される任意切片)
上述の通り、「最小流量」及び「最小流量における気水比」はいずれもスプレーノズルの仕様上決定されるもので、スプレーノズルの種類に応じて明確に特定可能である。式(1)の任意切片Cは、このようにスプレーノズルの種類に応じて特定される「最小流量」と「最小流量における気水比」とを用いて容易に特定できる。例えば、冷却水の最大流量30L/min、ターンダウン比10(すなわち冷却水の最小流量3L/min)、最小流量における気水比90のスプレーノズルを用いた場合、任意切片Cは以下の通り求められる。すなわち、図1に示すように、冷却水の最小流量3L/minにおける気体流量は3×90=270L/min(16.2m/h)となり、これを式(1)に代入すると、16.2=0.5×3+Cとなり、C=14.7となる。
本発明者の知見によれば、スプレーノズルから吐出される気体の流量を増加させた場合、スプレーノズルから吐出される冷却水の流量が低下し、所望の冷却水流量を維持できない場合がある。図2にP−Qカーブ(ノズルにおける冷却水流量及び冷却水圧力並びに気体流量及び気体圧力の関係)を示すように、スプレーノズルから吐出される気体の流量を増加させた場合においても冷却水の流量を維持するためには、スプレーノズルにおける冷却水の圧力を上昇させることが有効である。すなわち、本開示の鋼の連続鋳造方法においては、昇圧ポンプを用いて冷却水の圧力を上昇させることが好ましい。昇圧ポンプの設置箇所は特に限定されるものではない。例えば、冷却水供給源とスプレーノズルとの間の導管に昇圧ポンプを設置すればよい。昇圧ポンプそのものは公知であることから、ここでは詳細な説明を省略する。
本開示の連続鋳造方法において、ミストスプレーを行うためのスプレーノズルそのものは従来と同様のものを採用すればよい。例えば、特許文献1に開示されているような2流体ミストスプレーノズルを採用することができる。ただし、連続鋳造の二次冷却帯において高い冷却能力が必要となる場合に、わざわざ冷却能力が小さいスプレーノズル(最大流量が小さいスプレーノズル)を用いることは考え難い。すなわち、本開示の技術は、冷却能力が大きいスプレーノズル(最大流量が大きいスプレーノズル)を用いる場合により実利的な効果が得られる。具体的には、冷却水の最大流量が20L/min以上であるスプレーノズルを用いることが好ましい。一方で、同一の連続鋳造ラインにおいて鋼種(材料)に応じて多種多様な操業を行うのが一般的であり、操業条件によっては二次冷却帯における冷却水の流量を絞る場合もある。このような場合に、最大流量が大きなスプレーノズルを用いると、冷却水の流量を絞った場合にミストスプレーの噴霧が不安定になり、冷却ムラが発生し鋳片表面に割れが発生する虞がある。この観点からは、スプレーノズルの最大流量は大き過ぎないことが好ましい。具体的には、冷却水の最大流量が50L/min以下であるスプレーノズルを用いることが好ましい。以上をまとめると、本開示の連続鋳造方法においては、上記の最大流量が20L/min以上50L/min以下であることが好ましい。
本開示の連続鋳造方法に用いられるスプレーノズルのターンダウン比は特に限定されるものではない。例えば、ターンダウン比が10以下のスプレーノズルを用いることが好ましい。スプレーノズルのターンダウン比が10以下であれば、当該スプレーノズルに接続される流量計についてもターンダウン比10以下のものを使用でき、小流量から大流量まで一層安定した流量制御が可能となる。
2.第2実施形態
第1実施形態においては冷却水の流量が少ない場合と多い場合とを比較して気体流量を相対的に変化させる形態について説明した。以下、第2実施形態においては冷却水の流量が多い場合における気体流量を絶対的に決定する形態について説明する。すなわち、第2実施形態に係る鋼の連続鋳造方法は、鋳型から引き抜かれた鋳片にミストスプレーを噴射させて前記鋳片の二次冷却を行う、鋼の連続鋳造方法であって、スプレーノズルから吐出される冷却水の流量が最大流量の1/2以上である場合、前記スプレーノズルから前記冷却水とともに吐出される気体の流量を、上記式(1)で規定される流量Q(m/h)以上とすることを特徴とする。
第2実施形態に係る鋼の連続鋳造方法のように、スプレーノズルから吐出される冷却水の流量が多い場合に冷却水とともに吐出される気体の流量を一定以上とすることで、ミストスプレーによる冷却効率が向上し、冷却水の流量と冷却能力との関係を理想的な線形増加に近付けることができる。
尚、第1実施形態における好ましい形態を第2実施形態においても適用することができる。例えば、第2実施形態においても、昇圧ポンプを用いて冷却水の圧力を上昇させることが好ましい。また、冷却水の最大流量が20L/min以上50L/min以下のスプレーノズルを用いることが好ましい。さらに、スプレーノズルから吐出される冷却水の流量が最大流量の2/3以上である場合、スプレーノズルから冷却水とともに吐出される気体の流量を、上記式(1)で規定される流量Q(m/h)以上とすることが好ましい。
3.補足
本開示の鋼の連続鋳造方法において、ミストスプレーによる二次冷却条件以外のその他の操業条件については、従来と同様とすることができる。すなわち、鋼種、鋳片種(スラブ、ブルーム、ビレット等)、連続鋳造機の型(垂直型、垂直曲げ型、湾曲型等)、鋳造速度等の操業条件については特に限定されるものではなく、いずれの場合でも本開示の鋼の連続鋳造方法によって所望の効果を発揮できる。その他の操業条件については自明であることから、ここでは詳細な説明を省略する。
本開示の鋼の連続鋳造方法は、鋼を高速で連続鋳造する場合に一層顕著な効果を発揮するものと考えられる。すなわち、本開示の鋼の連続鋳造方法において、鋳造速度は2.0m/min以上5.0m/min以下であることが好ましい。
上記説明においては、ミストスプレーによって鋳片の二次冷却を行う場合において、スプレーノズルから吐出される冷却水の流量が最大流量の1/2以上である場合に、スプレーノズルから冷却水とともに吐出される気体の流量を増加させる形態等について説明した。ここで、本開示の鋼の連続鋳造方法において、スプレーノズルから吐出される冷却水の流量が最大流量の1/2未満である場合における気体の流量は特に限定されるものではない。第1実施形態においては、スプレーノズルから吐出される冷却水の流量が最大流量の1/2未満である場合、スプレーノズルから吐出される冷却水の流量が最大流量の1/2以上である場合よりも気体の流量を相対的に減少させればよい。一方、第2実施形態においては、スプレーノズルから吐出される冷却水の流量が最大流量の1/2未満である場合における気体の流量の大小によらず、スプレーノズルから吐出される冷却水の流量が最大流量の1/2以上である場合における気体の流量を式(1)のQ以上とすればよい。尚、スプレーノズルから吐出される冷却水の流量が最大流量の1/2未満の領域においては、冷却水の流量に応じて気体の流量を変化させる必要はなく、気体流量を一定とすることも可能である。
本発明者は、連続鋳造設備の二次冷却に用いられるミストスプレー(気液2流体)の抜熱特性について、単に冷却水量を増加させることが有効であるかを調査した結果、スプレー流量使用範囲の約1/2程度から、冷却水流量を増加させたとしても抜熱量が徐々に線形に増加しなくなり、冷却水の流量増加と比例した冷却が確保できなくなることを確認した。冷却水流量をさらに増やすことで抜熱量はわずかに増加するが、二次冷却水の供給設備能力アップ、さらには、二次冷却水制御系の改造が必要であり、現実的でない。そこで、既設設備の大幅な改造もなく、より効果的に抜熱量を増加させる方法を冷却実験により検証した。その結果、ミストスプレーの噴霧安定化で得られる最適気水比と抜熱面から考える最適気水比とが異なることが判明した。具体的には、抜熱試験を実施した結果、冷却水流量と抜熱との関係を比例的(線形増加)にするためには、ノズルから吐出される冷却水の流量に応じて、冷却水とともに吐出されるエアー流量(気体流量)を増加させることが有効であることを知見した。以下、実施例について説明するが、本開示の技術は以下の実施例に限定されるものではない。
1.大型ノズルを用いた場合
ミストスプレーの抜熱量調査を実施した条件を表1に示す。連続鋳造用二次冷却ミストスプレーとして使用する場合、冷却される材料は、鋼(鉄)であるが抜熱量調査としては、抜熱量の定量的な評価を目的に、冷却される材料はステンレス(SUS)鋼を用いた。ステンレス鋼は、加熱および冷却時に表面にスケールが発生せず、抜熱評価時の冷却界面が安定していることが特徴である。
図3に抜熱量調査を実施した実験装置のイメージ図を示す。図3に示すように、加熱した材料(SUS304の板)を噴射スプレー下部にセットし、セット完了後、実験開始温度(今回は980℃)に到達したら、スプレーガード(噴射スプレーが冷却開始前に加熱材を冷却しないための保護部材)を取り外し、抜熱実験を行った。材料内部に取り付けた熱電対の温度から抜熱量を試算した。本実施例では、熱電対による測定温度を入力し、熱電対の深さ、材料特性などに基づいてスプレーの熱伝達率Hwを計算した。ただし、簡易的には、下記の式(A)及び式(B)により求めることもできる(特別報告No.29、鋼材の強制冷却、社団法人日本鉄鋼協会、S53.11.10発行、p5)。
Hw=101.399・Tw−0.1358・W0.6293・V0.2734 …(A)
V=103.25・R0.35・P0.62・S0.52・H−0.4 …(B)
(V:流速(m/s)、R:水量/空気量、P:空気圧(kgf/cm)、H:ノズル高さ(cm)、S:スリット幅(cm)、Tw:冷却開始温度(℃)、W:水量密度(L/min・m))
図4に抜熱試験における冷却水量とエアー流量との関係を示す。図4に示すように、実施例1については、下記式(1’)で示されるように、冷却水流量Xを増加させた場合に、エアー流量Qも線形に増加させるものとした。一方、比較例1については、冷却水流量Xによらず、エアー流量Qを一定とした。
Q=0.5X+23.35 …(1’)
(Q:エアー流量(m/h)、X:冷却水流量(L/min))
尚、図4のグラフにおいて、中塗りのシンボル(冷却水流量3.3〜33L/min)がノズルの仕様上の冷却水流量範囲であり、中抜きのシンボル(冷却水流量42L/min)についてはノズルの最大流量を超えて冷却水流量を増加させた場合である。
図5に抜熱試験結果を示す。図5における「最大抜熱量」とは、比較例1における最大抜熱量を1として指数化したものである。図5に示すように、比較例1にあっては、冷却水流量が最大流量の約1/2を超えると、冷却水流量を増加させたとしても抜熱量が徐々に線形に増加しなくなり、冷却水の流量増加と比例した冷却が確保できなくなることがわかる。一方、実施例1にあっては、冷却水流量が多い領域においてスプレーノズルから冷却水とともに吐出されるエアーの流量を増加させることで、冷却水の流量が増加した場合でも冷却能力が略線形に増加し、冷却水の流量増加と略比例した冷却が確保できる。エアー流量を増加させることで、鋳片表面に高い衝突力でもって冷却水を供給することができ、冷却効率が向上したものと考えられる。
2.小型ノズルを用いた場合
上記の実施例では、冷却水の最大流量が33L/minの大型のスプレーノズルを用いた場合について示したが、本開示の技術は、スプレーノズルの大きさによらず、所望の効果を発揮できる。以下、小型ノズルを用いた場合について実施例を示す。
ミストスプレーの抜熱量調査を実施した条件を表2に示す。
図6に抜熱試験における冷却水量とエアー流量との関係を示す。図6に示すように、実施例2については、下記式(1’’)で示されるように、冷却水流量Xを増加させた場合に、エアー流量Qも線形に増加させるものとした。一方、比較例2については、冷却水流量Xによらず、エアー流量Qを一定とした。
Q=0.5X+4 …(1’’)
(Q:エアー流量(m/h)、X:冷却水流量(L/min))
尚、図6において、中塗りのシンボル(冷却水流量0.35〜3.5L/min)がノズルの仕様上の冷却水流量範囲であり、中抜きのシンボル(冷却水流量4L/min)についてはノズルの最大流量を超えて冷却水流量を増加させた場合である。
図7に抜熱試験結果を示す。図7における「最大抜熱量」とは、比較例2における最大抜熱量を1として指数化したものである。図7に示すように、比較例2にあっては、冷却水流量が最大流量の約1/2を超えると、冷却水流量を増加させたとしても抜熱量が徐々に線形に増加しなくなり、冷却水の流量増加と比例した冷却が確保できなくなることがわかる。一方、実施例2にあっては、冷却水流量が多い領域においてスプレーノズルから冷却水とともに吐出されるエアーの流量を増加させることで、冷却水の流量が増加した場合でも冷却能力が略線形に増加し、冷却水の流量増加と略比例した冷却が確保できる。
3.まとめ
以上の通り、鋳型から引き抜かれた鋳片にミストスプレーを噴射させて鋳片の二次冷却を行う場合は、以下の(1)及び/又は(2)の形態とすることで、冷却水の流量と冷却能力との関係を理想的な線形に近付けることができることが分かった。
(1)スプレーノズルから吐出される冷却水の流量が最大流量の1/2以上である場合、スプレーノズルから吐出される冷却水の流量が最大流量の1/2未満である場合と比較して、スプレーノズルから冷却水とともに吐出される気体の流量を増加させること。
(2)スプレーノズルから吐出される冷却水の流量が最大流量の1/2以上である場合、スプレーノズルから冷却水とともに吐出される気体の流量を、下記式(1)で規定される流量Q(m/h)以上とすること。
Q=0.5・X+C ・・・(1)
(Q:気体の流量(m/h)、X:冷却水の流量(L/min)、C:冷却水の最小流量と当該最小流量における気水比とを用いて特定される任意切片)
本開示の技術によれば鋼の連続鋳造時に鋳片の二次冷却を効果的に行うことができる。連続鋳造において鋳片の二次冷却を効果的に行うことにより、鋳片バルジング等を抑制することができ、鋳片品質改善と鋳造時の操業安定を図ることができ、生産性が向上する。

Claims (5)

  1. 鋳型から引き抜かれた鋳片にミストスプレーを噴射させて前記鋳片の二次冷却を行う、鋼の連続鋳造方法であって、
    スプレーノズルから吐出される冷却水の流量が最大流量の1/2以上である場合、前記スプレーノズルから吐出される冷却水の流量が最大流量の1/2未満である場合と比較して、前記スプレーノズルから前記冷却水とともに吐出される気体の流量を増加させる、
    鋼の連続鋳造方法。
  2. 前記スプレーノズルから吐出される冷却水の流量が最大流量の1/2以上である場合、前記スプレーノズルから前記冷却水とともに吐出される気体の流量を、下記式(1)で規定される流量Q(m/h)以上とする、請求項1に記載の鋼の連続鋳造方法。
    Q=0.5・X+C ・・・(1)
    (Q:気体の流量(m/h)、X:冷却水の流量(L/min)、C:冷却水の最小流量と該最小流量における気水比とを用いて特定される任意切片)
  3. 鋳型から引き抜かれた鋳片にミストスプレーを噴射させて前記鋳片の二次冷却を行う、鋼の連続鋳造方法であって、
    スプレーノズルから吐出される冷却水の流量が最大流量の1/2以上である場合、前記スプレーノズルから前記冷却水とともに吐出される気体の流量を、下記式(1)で規定される流量Q(m/h)以上とする、
    鋼の連続鋳造方法。
    Q=0.5・X+C ・・・(1)
    (Q:気体の流量(m/h)、X:冷却水の流量(L/min)、C:冷却水の最小流量と該最小流量における気水比とを用いて特定される任意切片)
  4. 昇圧ポンプを用いて前記冷却水の圧力を上昇させる、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼の連続鋳造方法。
  5. 前記最大流量が20L/min以上50L/min以下である、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の鋼の連続鋳造方法。
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