JP2004058117A - 連続鋳造における二次冷却方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】連続鋳造装置の二次冷却帯において鋳片を二次冷却するに当たり、低水量域では気液二流体冷却とし、高水領域では一流体水冷却とする。また、連続鋳造における二次冷却装置に連続鋳造装置の二次冷却帯に気液二流体冷却手段と一流体水冷却手段とを具備せしめるとともに、低水量域では気液二流体冷却とし高水領域では一流体水冷却とする切り替え手段を具備せしめてなる。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は連続鋳造における二次冷却方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼を連続鋳造は、溶鋼を鋳型に連続的に注入する一方、表面が固化した鋳片を案内ロールによって引き出しながら、その表面から冷却水を吹き付けて二次冷却して完全に固化することによって行われる。この二次冷却は連続鋳造の鋳込み条件に合わせて変化させる必要があり、また、近年の連続鋳造速度の大きい連続鋳造設備では、二次冷却水の吹き付け量、いいかえれば二次冷却能を大きく変化させて鋳造条件にマッチした二次冷却水量を確保することが必要になってきている。そのような目的を達成する手段として実開昭53−69412号公報、特開昭52−128836号公報に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら提案は、いずれも水のみを噴射する一液の噴射ノズルから冷却水を噴射する複数の噴射ノズルを備え、これらに切り替えによって冷却水量を調節するものであるが、水のみを噴射する一液型噴射ノズルの特性、すなわち流量Qが圧力の平方根に比例するという特性に依存して、実用的なレベルでのターンダウン分布安定性(水量制御範囲)が低く、そのため比較的小さい鋳造速度に適応した少ない二次冷却水量を確保するのが困難である。
【0004】
一方、連続鋳造用の二次冷却設備としていわゆるミスト冷却、すなわち気液二流体の冷却手段が採用されることがある。この手段はターンダウン比を大きく取れる利点はあるものの、高水量を確保しようとすれば背圧を大きくしなければならないために圧損が極めて大きくなり、そのため能力の大きなポンプを設置しなければならず、設備費が大きくなるおそれがある。
【0005】
本発明は、低水量領域から高水量領域にわたってターンダウン分布安定性を大きく取ることができ、かつ圧損の小さい連続鋳造における二次冷却方法及び装置を提案することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の連続鋳造における二次冷却方法では、連続鋳造装置の二次冷却帯において鋳片を二次冷却するに当たり、低水量域では気液二流体冷却とし、高水領域では一流体水冷却とする。
【0007】
また、連続鋳造における二次冷却装置は、連続鋳造装置の二次冷却帯に気液二流体冷却手段と一流体水冷却手段とを具備せしめるとともに、低水量域では気液二流体冷却とし高水領域では一流体水冷却とする切り替え手段を具備せしめてなる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の適用される連続鋳造設備の概略説明図である。本発明の適用される場合も通常のとおりタンディッシュ1から溶鋼2がロングノズル3を通して連続鋳造鋳型4内に注入され、薄い凝固シェル5を有する鋳片6がローラ7によって下方に引き出される。本発明にかかる二次冷却装置10は二次冷却帯を構成する一群のローラ7の間に配置される。二次冷却装置10には冷却媒体を噴射するノズルが設けられており、そのノズルから噴射される冷却媒体によって連続鋳造鋳型から引き出された鋳片6の凝固シェル5は次第に成長する。
【0009】
図4は気液二流体冷却の場合と一流体水冷却の場合についてノズル背圧とノズルから流出する水量(以下、「ノズル流量」という)の関係を示したグラフである。ここに示すように、気液二流体冷却(A)の場合には、ノズル流量をノズル背圧によって広い範囲にわたってコントロールできる。しかし、この場合、ノズル流量を大きくしようとすれば、背圧を大きくしなければならないが、これは気体の圧縮を伴うので配管圧損の増大を招く。一方、一流体水冷却(B)の場合には、ノズル背圧をわずかに増加することによりノズル流量の大きな増加が得られる。しかし、ノズル背圧が小さい場合にはノズル流量をコントロールすることができない。
【0010】
本発明では上記関係を利用する。すなわち、連続鋳造装置の二次冷却帯において鋳片を二次冷却するに当たり、低水量域、たとえばノズル流量が40l/min以下では気液二流体冷却として低ノズル背圧の下で、ノズル流量を正確にコントロールし、それを超えた高水領域、たとえばノズル流量40l/min以上では一流体水冷却として低背圧の下で高ノズル流量を得るのである。
【0011】
図2は、本発明による二次冷却装置の要部概念図(図1のA−A矢視図)である。ここに示すように凝固過程にある鋳片6の全幅にわたって気液二流体冷却手段11及び一流体水冷却手段12が設けられており、そのいずれかを用いて鋳片6の二次冷却を行えるようになっている。
【0012】
本発明による二次冷却装置に利用する配管系統図の一例を図3に示す。この配管系統では、高圧水が水タンク(図示しない)からバルブ19、水配管16、さらに切り替えバルブ20を経て、直接に一流体水冷手段12のノズルチップ15に送られる。一方、空気溜(図示しない)からはバルブ18、空気配管17により圧縮空気が気液混合器14に送られる。この気液混合器には、切り替えバルブ20を経て高圧水が送りこまれるようになっており、生成した気液二流体(ミスト)が、ノズルチップ13に送られるようになっている。したがって、切り替えバルブ20の操作により気液二流体冷却(ミスト冷却)又は一流体水冷却を行える。
【0013】
この切り替えは、連続鋳造の状況を観察しながら手動で行ってもよいが、予めインプットした操業データに基づきプロセスコンピュータによる切り替え指示により自動的に行うようにしてもよい。
【0014】
【実施例】
鋳造速度が0.2〜3.5m/minの間で変化する連続鋳造機の二次冷却帯(全9ゾーン中上部ゾーン)に本発明を適用した。気液二流体冷却手段及び一流体水冷却手段のノズル背圧−ノズル流量の関係は先に示した図4のとおりである。これら冷却手段の切り替えは冷却水量が35〜37.5l/minとなるときを基準に行い、それより水量が多いときは一流体水冷却を、少ないときには気液二流体冷却を用いるようにし、最大水量60l/minまでの冷却水量を与えた。
【0015】
その結果を従来例に対比すると、表1に示すとおりとなった。なお、従来例とは、図4に示すノズル背圧−ノズル流量の関係を有する気液二流体冷却手段を用い、ノズル背圧が750kPa(7.5kgf/cm2)、ノズル水量40l/minに達するまで気液二流体冷却を行うものである。また、参考例とは、図4のC曲線に示すようなノズル背圧−ノズル流量特性をもつ気液二流体冷却手段を用いた場合である。
【0016】
【表1】
【0017】
このように本発明では冷却水量を従来法に比べて1.5倍としたのにもかかわらず、ターンダウン分布安定性に優れ、かつ参考例のような気液二流体冷却手段を強化する場合に場合に比べ必要ポンプ圧力、必要モータ出力が少なくてすんでいる。
【0018】
【発明の効果】
本発明によりターンダウン分布安定性に優れ、高水量の二次冷却装置を、必要ポンプ圧力等の設備コストを抑制して建設することが可能になり、高速連続鋳造の安定操業が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用される連続鋳造設備の概略説明図である。
【図2】本発明による二次冷却装置の要部概念図である。
【図3】本発明による二次冷却装置に利用する配管図である。
【図4】気液二流体冷却の場合と一流体水冷却の場合についてノズル背圧とノズル流量との関係を示したグラフである。
【符号の説明】
1: タンディシュ
2:溶鋼
3:浸漬ノズル
4:連続鋳造鋳型
5:凝固シェル
6:鋳片
7:ローラ
10:二次冷却装置
11:気液二流体冷却手段
12:一流体水冷却手段
13:ノズルチップ
14:気液混合器
15:ノズルチップ
16:水配管
17:空気配管
18、19:バルブ
20:切り替えバルブ
Claims (2)
- 連続鋳造装置の二次冷却帯において鋳片を二次冷却するに当たり、低水量域では気液二流体冷却とし、高水領域では一流体水冷却とすることを特徴とする連続鋳造における二次冷却方法。
- 連続鋳造装置の二次冷却帯に気液二流体冷却手段と一流体水冷却手段とを具備せしめるとともに、低水量域では気液二流体冷却とし高水領域では一流体水冷却とする切り替え手段を具備せしめてなることを特徴とする連続鋳造における二次冷却装置。
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