JP2020062658A - レーザ加工装置およびレーザ加工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】結像光学系におけるビーム品質を高める。【解決手段】レーザ加工装置が、レーザ光源からのレーザビームを互いに直交する二方向に偏向させる第1および第2のAODと、第1のAODからのレーザビームの走査焦点を第2のAODの位置またはその近傍に位置させる第1のレンズ光学系と、第2のAODからのレーザビームの第1のAODおよび第2のAODの偏向方向の走査焦点をそれぞれ第1および第2の共通位置に位置させる第2のレンズ光学系と、第1および第2の共通位置に配置されて第2のAODからのレーザビームの断面形状を整形する第1および第2のアパーチャグリルと、そのレーザビームを互いに直交する二方向に偏向させる第1および第2のガルバノスキャナと、第2のガルバノスキャナから出射されるレーザビームを加工対象物の位置で収束させるfθレンズとを具える。【選択図】図1
Description
本発明は、加工対象物にレーザビームを照射して微細な穴空け加工を行うレーザ加工装置およびレーザ加工方法に関する。
近年のプリント配線板の技術分野では、電子回路の高密度化の要求に応じるために、コア基板上や支持板上に複数層のビルドアップ層を積層することで多層プリント配線板を形成することが提案されている。
ビルドアップ層は通常、層間絶縁層とその上の導体層とで構成されており、多層プリント配線板では、コア基板とビルドアップ層との導体層間や、ビルドアップ層同士の導体層間を電気的に接続するため、層間絶縁層に貫通穴が形成され、その貫通穴内にメッキ等によってバイアホール導体が設けられている。
このバイアホール導体用の貫通穴は極めて小径かつ多数であり、その形成には、近年では例えば特許文献1に記載されているようなレーザ加工装置によるレーザビームの照射が用いられるようになっている。
図3は、この種の従来のレーザ加工装置における結像光学系と走査光学系とを図の上部と下部とにそれぞれ模式的に示しており、このレーザ加工装置は、プリント配線板の層間絶縁層とされる平板状の加工対象物Wに炭酸ガスのレーザビームBを照射して微細な穴空け加工を行うものであって、炭酸ガスレーザ等の発振器からなるレーザ光源21からのレーザビームBを第1のアパーチャグリル22の開口に通してビームの断面形状を整形する。
次いでそのレーザビームBを、入力された超音波の周波数に応じた角度で入射光を互いに直交する二軸方向に偏向させる第1および第2のAODとしてのX軸およびY軸AOD(音響光学偏向器)23,24に順次に通して二次元的に偏向させて、そのレーザビームBで微小矩形領域内を走査し、その際、X軸およびY軸AOD23,24間に位置する図示しないダンパーおよび1/2波長板のうちダンパーがX軸AOD23からの0次光を遮断し、1/2波長板がX軸AOD23からのレーザビームBの偏光方向をY軸AOD24への入射に適合するように90度回転させる。
次いでその微小矩形領域内で走査するレーザビームBを、図示しないダンパーでY軸AOD24からの0次光を遮断しつつ、複数枚のレンズ25a,25bを組み合わせたレンズ光学系25で拡径した後、第2のアパーチャグリル26の開口に通してビームの断面形状を整形し、次いでそのレーザビームBを、互いに直角方向に延在する支持軸周りにモータでガルバノミラーを回動させる第1および第2のガルバノスキャナとしてのX軸およびY軸ガルバノスキャナ27,28に順次に通し、それらX軸およびY軸ガルバノスキャナ27,28のガルバノミラーでの反射で二次元に偏向させて、そのレーザビームBで走査する微小矩形領域をそれより大きい小矩形領域内で移動させることで、その小矩形領域内全体をレーザビームBで走査する。
次いで、その小矩形領域内全体を走査するレーザビームBをfθレンズ29に通して、加工対象物Wの表面に垂直に照射するとともにその加工対象物Wの表面の穴空け位置Hで収束させ、その一方、加工対象物Wを支持する図示しないテーブルを二次元的に移動させて、レーザビームBで走査する小矩形領域を加工対象物Wの表面の穴空け加工範囲全体で移動させる。
従来のレーザ加工装置は、上記構成により加工対象物にレーザビームで微細な貫通穴を形成することで、極めて小径かつ多数の貫通穴の、加工対象物の表面の穴空け加工範囲全体に亘る微細な穴空け加工を短時間で行い、穴空け加工の高スループット化を図っている。
ところで、上記従来のレーザ加工装置は、第1のアパーチャグリル22を通ったレーザビームBをX軸およびY軸AOD23,24に順次に通して二次元的に偏向させているところ、第1のアパーチャグリル22で断面形状を円形に整形したレーザビームBが、X軸AOD23を出るとその偏向方向であるX軸方向に伸び、さらにY軸AOD24を出るとその偏向方向であるY軸方向に伸びて、X軸およびY軸方向にそれぞれ広がった状態で第2のアパーチャグリル26を通り、結像光学系におけるビーム品質が低下してしまうという問題があった。
また上記従来のレーザ加工装置は、X軸AOD23の位置とY軸AOD24の位置とが光路方向に距離L1だけ離れているため、レンズ光学系25で拡径した後の、レーザビームBのX軸方向偏向量が0になるX軸走査焦点の位置とレーザビームBのY軸方向偏向量が0になるY軸走査焦点の位置とが光路方向に、距離L1よりも大きい距離L2だけ離れてしまい、X軸AOD23およびY軸AOD24の偏向角が大きいと、レーザビームBが第2のアパーチャグリル26の開口内ならびにX軸およびY軸ガルバノスキャナ27,28のガルバノミラー内に収まらない場合が生じるという走査光学系の問題もあった。
本発明のレーザ加工装置は、加工対象物にレーザビームを照射して微細な穴空け加工を行うものであって、
レーザ光源から出射されるレーザビームの光路上に互いに直列に配置されてそのレーザビームを順次に入射され、互いに直交する二軸方向に、各々入力された超音波の周波数に応じた角度で偏向させて出射させる、第1のAODおよび第2のAODと、
第1のAODと第2のAODとの間のレーザビームの光路上に配置され、第1のAODから出射されるレーザビームの第1のAODの偏向方向の走査焦点を第2のAODの位置またはその近傍に位置させる第1のレンズ光学系と、
互いに直列に配置されるとともに、互いに直角な軸線周りにガルバノミラーが回動するように組み合わされて、第2のAODから出射されるレーザビームを順次に入射され、そのレーザビームを各々ガルバノミラーでの反射により偏向させる、第1のガルバノスキャナおよび第2のガルバノスキャナと、
第2のAODと第1のガルバノスキャナとの間のレーザビームの光路上に配置され、第2のAODから出射されるレーザビームの第1のAODの偏向方向の走査焦点および第2のAODの偏向方向の走査焦点をそれぞれ、第2のAOD側から順次に第1の共通位置と、第1のガルバノスキャナの近傍に位置する第2の共通位置とに位置させる第2のレンズ光学系と、
第1の共通位置に配置され、第2のAODから出射されるレーザビームの断面形状を整形する第1のアパーチャグリルと、
第2の共通位置に配置され、第1のアパーチャグリルを通ったレーザビームの断面形状を整形する第2のアパーチャグリルと、
第2のガルバノスキャナから出射されるレーザビームを加工対象物に垂直に入射させ、その加工対象物の位置で収束させるfθレンズと、
を具えるものである。
レーザ光源から出射されるレーザビームの光路上に互いに直列に配置されてそのレーザビームを順次に入射され、互いに直交する二軸方向に、各々入力された超音波の周波数に応じた角度で偏向させて出射させる、第1のAODおよび第2のAODと、
第1のAODと第2のAODとの間のレーザビームの光路上に配置され、第1のAODから出射されるレーザビームの第1のAODの偏向方向の走査焦点を第2のAODの位置またはその近傍に位置させる第1のレンズ光学系と、
互いに直列に配置されるとともに、互いに直角な軸線周りにガルバノミラーが回動するように組み合わされて、第2のAODから出射されるレーザビームを順次に入射され、そのレーザビームを各々ガルバノミラーでの反射により偏向させる、第1のガルバノスキャナおよび第2のガルバノスキャナと、
第2のAODと第1のガルバノスキャナとの間のレーザビームの光路上に配置され、第2のAODから出射されるレーザビームの第1のAODの偏向方向の走査焦点および第2のAODの偏向方向の走査焦点をそれぞれ、第2のAOD側から順次に第1の共通位置と、第1のガルバノスキャナの近傍に位置する第2の共通位置とに位置させる第2のレンズ光学系と、
第1の共通位置に配置され、第2のAODから出射されるレーザビームの断面形状を整形する第1のアパーチャグリルと、
第2の共通位置に配置され、第1のアパーチャグリルを通ったレーザビームの断面形状を整形する第2のアパーチャグリルと、
第2のガルバノスキャナから出射されるレーザビームを加工対象物に垂直に入射させ、その加工対象物の位置で収束させるfθレンズと、
を具えるものである。
また、本発明のレーザ加工方法は、加工対象物にレーザビームを照射して微細な穴空け加工を行う方法であって、
レーザ光源から出射されるレーザビームを、そのレーザビームの光路上に互いに直列に配置されてそのレーザビームを順次に入射される第1のAODおよび第2のAODにより、互いに直交する二軸方向に、各々入力された超音波の周波数に応じた角度で偏向させて出射させることと、
第1のAODと第2のAODとの間のレーザビームの光路上に配置された第1のレンズ光学系により、第1のAODから出射されるレーザビームの第1のAODの偏向方向の走査焦点を第2のAODの位置またはその近傍に位置させることと、
第2のAODから出射されるレーザビームの光路上に互いに直列に配置されるとともに互いに直角な軸線周りにガルバノミラーが回動するように組み合わされて、第2のAODからのレーザビームを順次に入射される第1のガルバノスキャナおよび第2のガルバノスキャナにより、そのレーザビームをガルバノミラーでの反射で偏向させて出射させることと、
第2のAODと第1のガルバノスキャナとの間のレーザビームの光路上に配置された第2のレンズ光学系により、第2のAODから出射されるレーザビームの第1のAODの偏向方向の走査焦点および第2のAODの偏向方向の走査焦点をそれぞれ、第2のAOD側から順次に第1の共通位置と、第1のガルバノスキャナの近傍に位置する第2の共通位置とに位置させることと、
第1のアパーチャグリルを第1の共通位置に配置して、第2のAODから出射されるレーザビームの断面形状を整形することと、
第2のアパーチャグリルを第2の共通位置に配置して、第1のアパーチャグリルを通ったレーザビームの断面形状を整形することと、
第2のガルバノスキャナから出射されるレーザビームをfθレンズにより、加工対象物に垂直に入射させ、その加工対象物の位置で収束させることと、
を含んでいる。
レーザ光源から出射されるレーザビームを、そのレーザビームの光路上に互いに直列に配置されてそのレーザビームを順次に入射される第1のAODおよび第2のAODにより、互いに直交する二軸方向に、各々入力された超音波の周波数に応じた角度で偏向させて出射させることと、
第1のAODと第2のAODとの間のレーザビームの光路上に配置された第1のレンズ光学系により、第1のAODから出射されるレーザビームの第1のAODの偏向方向の走査焦点を第2のAODの位置またはその近傍に位置させることと、
第2のAODから出射されるレーザビームの光路上に互いに直列に配置されるとともに互いに直角な軸線周りにガルバノミラーが回動するように組み合わされて、第2のAODからのレーザビームを順次に入射される第1のガルバノスキャナおよび第2のガルバノスキャナにより、そのレーザビームをガルバノミラーでの反射で偏向させて出射させることと、
第2のAODと第1のガルバノスキャナとの間のレーザビームの光路上に配置された第2のレンズ光学系により、第2のAODから出射されるレーザビームの第1のAODの偏向方向の走査焦点および第2のAODの偏向方向の走査焦点をそれぞれ、第2のAOD側から順次に第1の共通位置と、第1のガルバノスキャナの近傍に位置する第2の共通位置とに位置させることと、
第1のアパーチャグリルを第1の共通位置に配置して、第2のAODから出射されるレーザビームの断面形状を整形することと、
第2のアパーチャグリルを第2の共通位置に配置して、第1のアパーチャグリルを通ったレーザビームの断面形状を整形することと、
第2のガルバノスキャナから出射されるレーザビームをfθレンズにより、加工対象物に垂直に入射させ、その加工対象物の位置で収束させることと、
を含んでいる。
本発明の実施形態によれば、レーザ光源から出射されて第1および第2のAODで二次元的に偏向されたレーザビームが、第1および第2のガルバノスキャナに入射され、それらのガルバノスキャナのガルバノミラーでさらに大きな範囲で二次元的に偏向されて出射され、そのレーザビームが、fθレンズによって加工対象物に垂直に入射されてその加工対象物の位置で収束する。これにより、加工対象物に微細な貫通穴を形成することができ、小径かつ多数の貫通穴の、加工対象物Wの表面の穴空け加工範囲全体に亘る微細な穴空け加工を短時間で行うことができる。
さらに本発明の実施形態によれば、第1および第2のAODの間に配置された第1のレンズ光学系が、第1のAODから出射されるレーザビームの、第1のAODの偏向方向の走査焦点を第2のAODの位置またはその近傍に位置させ、第2のレンズ光学系が、第2のAODから出射されるレーザビームの、第1のAODの偏向方向の走査焦点および第2のAODの偏向方向の走査焦点をそれぞれ、第2のAOD側から順次に第1の共通位置と、第1のガルバノスキャナの近傍に位置する第2の共通位置とに位置させる。これにより、第1および第2のガルバノスキャナの各々のガルバノミラーの中央からのレーザビームのずれ量が小さくなるので、ガルバノミラーを拡大しなくてもレーザビームが第1および第2のガルバノスキャナの各々のガルバノミラー内に収まることから、第1および第2のガルバノスキャナの動作速度低下を回避しつつ、第1および第2のAODの各々による最大偏向角を有効活用して穴空け加工の加工効率を高めることができる。
さらに本発明の実施形態によれば、第1のアパーチャグリルを第1の共通位置に配置するとともに第2のアパーチャグリルを第2の共通位置に配置して、それぞれの共通位置でレーザビームの断面形状を整形する。これにより、第1のアパーチャグリルで断面形状を整形したレーザビームが、第1および第2のAODの各々による偏向角が大きくても第2のアパーチャグリルの開口内に収まるので、fθレンズに入射されるレーザビームの断面形状の真円度を向上させて、結像光学系におけるビーム品質を向上させ、特にfθレンズから加工対象物の表面に入射されるレーザビームの強度を維持するとともに、そのレーザビームで穴空け加工する貫通穴の真円度を高めることができる。
以下、図面を参照して本発明に係るレーザ加工装置およびレーザ加工方法の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態のレーザ加工装置の結像光学系と走査光学系とを、互いに関連付けて上部と下部とに示す説明図である。
この実施形態のレーザ加工装置は、プリント配線板の層間絶縁層とされる平板状の加工対象物Wに炭酸ガスのレーザビームBを照射して直径数十μmの微細な穴空け加工を行うものであって、炭酸ガスレーザ等の発振器からなるレーザ光源1と、レーザ光源1から出射されるレーザビームBの光路上に互いに直列配置された第1のAOD(音響光学偏向器)としてのX軸AOD2および第2のAOD(音響光学偏向器)としてのY軸AOD5と、X軸AOD2とY軸AOD5との間のレーザビームBの光路上に配置された第1のレンズ光学系3と、第1のレンズ光学系3とY軸AOD5との間に配置された1/2波長板4と、図示しない第1のダンパーとを具えている。
X軸AOD2は、レーザ光源1からのレーザビームBの1次光を光路方向と直交するX軸方向に、入力された超音波の周波数に応じた角度で偏向させて出射させる。また第1のレンズ光学系3は、互いに同一焦点距離の二枚のレンズ3a,3bを組み合わせて構成され、X軸AOD2からのレーザビームBの偏向方向であるX軸方向の走査焦点(偏向量0の点)を二枚のレンズ3a,3bによってY軸AOD5の位置またはその近傍に位置させて、その位置を原共通位置P0とする。そしてY軸AOD5は、X軸AOD2を出たレーザビームBの1次光を、光路方向およびX軸方向と直交するY軸方向に、入力された超音波の周波数に応じた角度で偏向させて出射させる。
これらX軸およびY軸AOD2,5によってこの実施形態のレーザ加工装置は、レーザビームBを二次元的に偏向させて、そのレーザビームBで微小矩形領域内を走査し、その際、上記第1のダンパーが、X軸AOD2からの0次光を遮断し、1/2波長板4が、X軸AOD2からのレーザビームBの偏光方向をY軸AOD5への入射に適合するように90度回転させる。
この実施形態のレーザ加工装置はまた、Y軸AOD5から出射するレーザビームBの光路上に互いに直列に配置された第1のガルバノスキャナとしてのX軸ガルバノスキャナ10および第2のガルバノスキャナとしてのY軸ガルバノスキャナ11と、Y軸AOD5とX軸ガルバノスキャナ10との間のレーザビームBの光路上に配置された二組のレンズ光学系6,8からなる第2のレンズ光学系と、図示しない第2のダンパーとを具えている。
第2のダンパーは、Y軸AOD5から出射されるレーザビームBの0次光を遮断する。また第2のレンズ光学系の二組のレンズ光学系6,8は、それぞれ二枚のレンズを組み合わせて構成され、Y軸AOD5から出射されるレーザビームBの1次光を第2のレンズ光学系全体で例えば3倍に拡径するとともに、そのレーザビームBのX軸AOD2の偏向方向であるX軸方向の走査焦点(X軸走査焦点)およびY軸AOD5の偏向方向であるY軸方向の走査焦点(Y軸走査焦点)を共に、Y軸AOD側5から順次に、二組のレンズ光学系6,8の間の第1の共通位置P1と、X軸ガルバノスキャナの手前側の近傍の第2の共通位置P2とに位置させる。そしてX軸ガルバノスキャナ10およびY軸ガルバノスキャナ11は、互いに直角な軸線周りにガルバノミラーが回動するように組み合わされて、Y軸AOD5から出射されるレーザビームBを順次に入射され、そのレーザビームBをガルバノミラーでの反射によりX軸方向およびY軸方向にそれぞれ偏向させる。
これらX軸およびY軸ガルバノスキャナ10,11によってこの実施形態のレーザ加工装置は、それらX軸およびY軸ガルバノスキャナ10,11の各々のガルバノミラーでの反射でレーザビームBを二次元的に偏向させて、そのレーザビームBで走査する微小矩形領域をそれより大きい小矩形領域内で移動させることで、その小矩形領域内全体をレーザビームBで走査する。
この実施形態のレーザ加工装置はさらに、Y軸AOD5とX軸ガルバノスキャナ10との間のレーザビームBの光路上で、第1の共通位置P1に配置された第1のアパーチャグリル7と、第2の共通位置P2に配置された第2のアパーチャグリル9とを具えている。
第1のアパーチャグリル7は開口を有し、レンズ光学系6から出射されるとともにその開口位置でY軸AOD5におけるよりもビーム径を絞られたレーザビームBをその開口内に通すことでビームの断面形状を整形する。また第2のアパーチャグリル9も開口を有し、レンズ光学系8から出射されるとともにその開口位置で拡径されているレーザビームBをその開口内に通すことでビームの断面形状を整形する。
第1のアパーチャグリル7と第2のアパーチャグリル9とは各々、X軸AOD2の偏向量が0になるX軸方向の走査焦点とY軸AOD5の偏向量が0になるY軸方向の走査焦点との共通位置に位置しているので、X軸AOD2とY軸AOD5との偏向量が大きい場合でも、レーザビームBをそれらの開口内に収めることができる。
この実施形態のレーザ加工装置はさらに、Y軸ガルバノスキャナ11の近傍に位置するfθレンズ12と、加工対象物Wをfθレンズ12に対向する位置に配置して支持する図示しないワークテーブルとを具えている。
fθレンズ12は、X軸およびY軸ガルバノスキャナ10,11で偏向されて小矩形領域内全体を走査するレーザビームBを、加工対象物Wの表面に垂直に照射するとともにその加工対象物Wの表面の穴空け位置Hで収束させる。また、上記ワークテーブルは、加工対象物Wをその表面に平行な平面内で二次元的に移動させて、レーザビームBが走査する小矩形領域を加工対象物Wの表面の穴空け加工範囲全体で移動させる。
ところで、従来のレーザ加工装置では、X軸AOD23とY軸AOD24との間に図示しない上述の1/2波長板を具えているので、図3の上部に示されるように、X軸AOD23とY軸AOD24との間の距離L1が大きくなっている。このため、図3の下部に示されるように、X軸AOD23とY軸AOD24との各々による最大偏向角でのX軸走査焦点とY軸走査焦点との間の、図3中に破線で示す無偏向のレーザビームの光軸(走査中心光軸)方向の距離L2が大きくなり、第2のアパーチャグリル26の開口ならびにX軸およびY軸ガルバノスキャナ27,28のガルバノミラーからのレーザビームBの一部分の外れを生じる。
これに対しこの実施形態のレーザ加工装置では、図1に示されるように、X軸AOD2とY軸AOD5との間に、第1のレンズ光学系3を具えており、この第1のレンズ光学系3は、例えば互いに同一仕様の凸レンズからなる二枚のレンズ3a,3bを、それらのレンズの焦点距離Aの2倍の距離2Aを置いて組み合わせ、レンズ3aをX軸AOD2に対し光路方向後側でX軸AOD2からその焦点距離Aの位置に配置するとともに、レンズ3bをY軸AOD5に対し光路方向前側でY軸AOD5からその焦点距離Aの位置に配置して構成することができる。
この第1のレンズ光学系3によれば、偏向されてX軸AOD2から出射されたレーザビームBは、レンズ3aで無偏向のレーザビームの光軸(走査中心光軸)に平行なビームにされてレンズ3bに向かい、次いでレンズ3bでその焦点位置にあるY軸AOD5に入射されることになり、X軸AOD2によるX軸走査焦点がY軸AOD5の位置に生じることになる。
このため、図1に示されるように、X軸AOD2とY軸AOD5との各々による最大偏向角でのX軸走査焦点とY軸走査焦点との間の、無偏向のレーザビームの光軸(走査中心光軸)方向の距離が原共通位置P0において極めて小さくなり、もしくは実質的に0(ゼロ)となって、X軸走査焦点とY軸走査焦点とが共に第1の共通位置P1および第2の共通位置P2に位置することから、X軸AOD2とY軸AOD5との各々による偏向量が大きくなってもレーザビームBの断面全体が、第1の共通位置P1において第1のアパーチャグリル7の開口内に収まるとともに第2の共通位置P2にて第2のアパーチャグリル9の開口内に収まることになる。
従って、この実施形態のレーザ加工装置および、そのレーザ加工装置で上述の如くして穴空け加工を行うこの実施形態のレーザ加工方法によれば、極めて小径かつ多数の貫通穴の、加工対象物Wの表面の穴空け加工範囲全体に亘る微細な穴空け加工を短時間で行うことができ、しかもX軸走査焦点とY軸走査焦点とが共に、第1の共通位置P1および第2の共通位置P2に位置することから、X軸およびY軸ガルバノスキャナ10,11のガルバノミラー内にレーザビームBが収まるので、X軸AOD2とY軸AOD5との各々による最大偏向角を有効活用して穴空け加工の加工効率を高めることができ、さらに、第2のアパーチャグリル9の開口内にレーザビームBが収まるので、fθレンズ12に入射されるレーザビームBの真円度を向上させて、穴空け加工する貫通穴の真円度を高めることができる。
図2は、本発明の他の一実施形態のレーザ加工装置の結像光学系と走査光学系とを、互いに関連付けて上部と下部とに示す説明図であり、この実施形態のレーザ加工装置は、図1に示される先の実施形態のレーザ加工装置とは第1のアパーチャグリル7付近の構成が異なるのみであるので、以下にはその異なる部分を主に説明する。
すなわち、この実施形態のレーザ加工装置は、第2のレンズ光学系を構成する二つのレンズ光学系6,8の間に第1のアパーチャグリル7が位置する点では先の実施形態と同一であるが、レーザビームBの光路上でY軸AOD5寄りのレンズ光学系6と第2のアパーチャグリル9寄りのレンズ光学系8との間で、先の実施形態ではレーザビームBが絞られて第1のアパーチャグリル7の開口に通されているのに対し、この実施形態ではレーザビームBがY軸AOD5におけるよりもビーム径を拡径されて第1のアパーチャグリル7の開口に通されている。
この実施形態のレーザ加工装置および、そのレーザ加工装置で先の実施形態の方法と同様にして穴空け加工を行うこの実施形態のレーザ加工方法によっても、極めて小径かつ多数の貫通穴の、加工対象物Wの表面の穴空け加工範囲全体に亘る微細な穴空け加工を短時間で行うことができ、しかもX軸走査焦点とY軸走査焦点とが共に、第1の共通位置P1および第2の共通位置P2に位置することから、X軸およびY軸ガルバノスキャナ10,11のガルバノミラー内にレーザビームBが収まるので、X軸AOD2とY軸AOD5との各々による最大偏向角を有効活用して穴空け加工の加工効率を高めることができ、さらに、第2のアパーチャグリル9の開口内にレーザビームBが収まるので、fθレンズ12に入射されるレーザビームBの真円度を向上させて、穴空け加工する貫通穴の真円度を高めることができる。
本発明は、上記実施形態に限定されず、請求の範囲の記載から逸脱しない範囲で種々の変更、修正が可能である。例えば、実施形態のレーザ加工装置およびレーザ加工方法では、X軸走査焦点とY軸走査焦点とが共に位置する第2の共通位置は、X軸ガルバノスキャナ10の手前側の近傍の第2のアパーチャグリル9の位置に設定されているが、これに代えてX軸ガルバノスキャナ10またはY軸ガルバノスキャナ11の位置もしくはそれらの間の近傍の位置に設定してもよい。
また、上記実施形態のレーザ加工装置およびレーザ加工方法では、第2のレンズ光学系の二組のレンズ光学系6,8はそれぞれ、二枚のレンズを組み合わせて構成されているが、これ以外の構成を有していてもよい。
1,21 レーザ光源
2,23 X軸AOD(第1のAOD)
3 第1のレンズ光学系
3a,3b レンズ
4 1/2波長板
5,24 Y軸AOD(第2のAOD)
6,8 レンズ光学系(第2のレンズ光学系)
6a,6b,8a,8b レンズ
7,22 第1のアパーチャグリル
9,26 第2のアパーチャグリル
10,27 X軸ガルバノスキャナ(第1のガルバノスキャナ)
11,28 Y軸ガルバノスキャナ(第2のガルバノスキャナ)
12,29 fθレンズ
25 レンズ光学系
25a,25b レンズ
B レーザビーム
H 穴空け位置
P0 原共通位置
P1 第1の共通位置
P2 第2の共通位置
W 加工対象物
2,23 X軸AOD(第1のAOD)
3 第1のレンズ光学系
3a,3b レンズ
4 1/2波長板
5,24 Y軸AOD(第2のAOD)
6,8 レンズ光学系(第2のレンズ光学系)
6a,6b,8a,8b レンズ
7,22 第1のアパーチャグリル
9,26 第2のアパーチャグリル
10,27 X軸ガルバノスキャナ(第1のガルバノスキャナ)
11,28 Y軸ガルバノスキャナ(第2のガルバノスキャナ)
12,29 fθレンズ
25 レンズ光学系
25a,25b レンズ
B レーザビーム
H 穴空け位置
P0 原共通位置
P1 第1の共通位置
P2 第2の共通位置
W 加工対象物
Claims (6)
- 加工対象物にレーザビームを照射して微細な穴空け加工を行うレーザ加工装置であって、
レーザ光源から出射されるレーザビームの光路上に互いに直列に配置されてそのレーザビームを順次に入射され、互いに直交する二軸方向に、各々入力された超音波の周波数に応じた角度で偏向させて出射させる、第1のAODおよび第2のAODと、
第1のAODと第2のAODとの間のレーザビームの光路上に配置され、第1のAODから出射されるレーザビームの第1のAODの偏向方向の走査焦点を第2のAODの位置またはその近傍に位置させる第1のレンズ光学系と、
互いに直列に配置されるとともに、互いに直角な軸線周りにガルバノミラーが回動するように組み合わされて、第2のAODから出射されるレーザビームを順次に入射され、そのレーザビームを各々ガルバノミラーでの反射により偏向させる、第1のガルバノスキャナおよび第2のガルバノスキャナと、
第2のAODと第1のガルバノスキャナとの間のレーザビームの光路上に配置され、第2のAODから出射されるレーザビームの第1のAODの偏向方向の走査焦点および第2のAODの偏向方向の走査焦点をそれぞれ、第2のAOD側から順次に第1の共通位置と、第1のガルバノスキャナの近傍に位置する第2の共通位置とに位置させる第2のレンズ光学系と、
第1の共通位置に配置され、第2のAODから出射されるレーザビームの断面形状を整形する第1のアパーチャグリルと、
第2の共通位置に配置され、第1のアパーチャグリルを通ったレーザビームの断面形状を整形する第2のアパーチャグリルと、
第2のガルバノスキャナから出射されるレーザビームを加工対象物に垂直に入射させ、その加工対象物の位置で収束させるfθレンズと、
を具える。 - 請求項1記載のレーザ加工装置であって、第2の共通位置に第2のアパーチャグリルが位置する。
- 請求項1または2記載のレーザ加工装置であって、第1の共通位置でレーザビームが第2のAODの位置におけるよりも絞られている。
- 加工対象物にレーザビームを照射して微細な穴空け加工を行うレーザ加工方法であって、
レーザ光源から出射されるレーザビームを、そのレーザビームの光路上に互いに直列に配置されてそのレーザビームを順次に入射される第1のAODおよび第2のAODにより、互いに直交する二軸方向に、各々入力された超音波の周波数に応じた角度で偏向させて出射させることと、
第1のAODと第2のAODとの間のレーザビームの光路上に配置された第1のレンズ光学系により、第1のAODから出射されるレーザビームの第1のAODの偏向方向の走査焦点を第2のAODの位置またはその近傍に位置させることと、
第2のAODから出射されるレーザビームの光路上に互いに直列に配置されるとともに互いに直角な軸線周りにガルバノミラーが回動するように組み合わされて、第2のAODからのレーザビームを順次に入射される第1のガルバノスキャナおよび第2のガルバノスキャナにより、そのレーザビームをガルバノミラーでの反射で偏向させて出射させることと、
第2のAODと第1のガルバノスキャナとの間のレーザビームの光路上に配置された第2のレンズ光学系により、第2のAODから出射されるレーザビームの第1のAODの偏向方向の走査焦点および第2のAODの偏向方向の走査焦点をそれぞれ、第2のAOD側から順次に第1の共通位置と、第1のガルバノスキャナの近傍に位置する第2の共通位置とに位置させることと、
第1のアパーチャグリルを第1の共通位置に配置して、第2のAODから出射されるレーザビームの断面形状を整形することと、
第2のアパーチャグリルを第2の共通位置に配置して、第1のアパーチャグリルを通ったレーザビームの断面形状を整形することと、
第2のガルバノスキャナから出射されるレーザビームをfθレンズにより、加工対象物に垂直に入射させ、その加工対象物の位置で収束させることと、
を含んでいる。 - 請求項4記載のレーザ加工方法であって、第2の共通位置に第2のアパーチャグリルが位置する。
- 請求項4または5記載のレーザ加工方法であって、第1の共通位置でレーザビームが第2のAODの位置におけるよりも絞られている。
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JP2018195384A JP2020062658A (ja) | 2018-10-16 | 2018-10-16 | レーザ加工装置およびレーザ加工方法 |
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JP2018195384A Pending JP2020062658A (ja) | 2018-10-16 | 2018-10-16 | レーザ加工装置およびレーザ加工方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2018-10-16 JP JP2018195384A patent/JP2020062658A/ja active Pending
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