JP2020061530A - 磁性部品及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 層間剥離や軟磁性合金扁平粉の連鎖的な脱落を生じない磁性部品を提供すること。【解決手段】 磁性部品10は、上下方向と直交する上面102及び下面104と、上面102と下面104とを繋ぐ側面110とを有している。磁性部品10は、軟磁性扁平粉20と結着部材30とを含む。軟磁性扁平粉20の表面は、絶縁体膜24で覆われている。軟磁性扁平粉20は、厚み方向と交差する二つの主表面22を有している。軟磁性扁平粉20の主表面22の一方は、上面102、下面104及び側面110の夫々において、磁性部品10の外側へ向いている。【選択図】図2

Description

本発明は、磁性部品及びその製造方法に関し、特に、軟磁性扁平粉を用いた磁性部品及びその製造方法に関する。
軟磁性合金扁平粉を用いた複合磁性体が知られている。複合磁性体は、軟磁性合金扁平粉を所定方向に配向させることにより、所定方向において高い透磁率を実現する。一般に、複合磁性体は、シート状に形成される。しかし、複合磁性体を利用して磁性コアやノイズフィルタ等の磁性部品を構成したいという要望が存在する。
特許文献1は、軟磁性合金扁平粉を用いた圧粉磁心を開示している。特許文献1の圧粉磁心は、複数の成型体を重ね合わせて接合することにより形成されている。成型体の夫々において、軟磁性合金扁平粉は、成型体の製造時のプレス方向と直交する方向に配向されている。複数の成型体は、軟磁性合金扁平粉の配向方向が一致するように、プレス方向に重ねられて互いに接合されている。
特開2007−214425号公報
特許文献1の圧粉磁心には、重ねられた成型体の接合部分において、成型体が互いに剥離する層間剥離が生じる可能性があるという問題がある。同様の問題は、シート状の複合磁性体を積層して構成された磁性部品においても起こり得る。加えて、これらの圧粉磁心や磁性部品には、その側面から軟磁性合金扁平粉が次々に脱落するという問題も起こり得る。
本発明は、上記問題が起こることを防ぐことのできる構造を備える磁性部品を提供することを目的とする。また、本発明は、そのような磁性部品を製造することができる一例としての製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、第1の磁性部品として、軟磁性扁平粉と結着部材とを含む磁性部品であって、
前記軟磁性扁平粉の表面は、絶縁体膜で覆われており、
前記軟磁性扁平粉は、その厚み方向と交差する二つの主表面を有しており、
前記磁性部品は、上下方向と直交する上面及び下面と、前記上面と前記下面とを繋ぐ側面とを有しており、
前記軟磁性扁平粉の前記主表面の一方は、前記上面、前記下面及び前記側面の夫々において、前記磁性部品の外側へ向いている
磁性部品を提供する。
また、本発明は、第2の磁性部品として、第1の磁性部品であって、
前記磁性部品は、前記側面から前記磁性部品の内部へ広がる側部領域と、それ以外の主領域とを有しており、
前記側部領域において、前記軟磁性扁平粉の前記主表面の一方は、前記側面へ向いており、
前記主領域において、前記軟磁性扁平粉の前記主表面は、前記上下方向と交差している
磁性部品を提供する。
また、本発明は、第3の磁性部品として、第2の磁性部品であって、
前記上下方向における前記磁性部品の中央位置において、前記側面と直交する方向の前記側部領域のサイズは、30μm以上300μm以下である
磁性部品を提供する。
また、本発明は、第4の磁性部品として、第1から第3の磁性部品のいずれかであって、
前記結着部材は、SiOである
磁性部品を提供する。
また、本発明は、第5の磁性部品として、第1から第4の磁性部品のいずれかであって、
前記軟磁性扁平粉は、Fe−Si系の軟磁性合金材料から製造され、
前記軟磁性扁平粉の平均アスペクト比は、10以上である
磁性部品を提供する。
本発明は、第1の磁性部品の製造方法として、
絶縁体膜で覆われた軟磁性扁平粉をバインダと混錬して造粒粉を生成し、
前記造粒粉を金型内に充填して一軸プレス法によりプレスして成型体を形成し、
前記金型内において前記成型体に対して熱硬化プロセスを行って前記バインダを熱硬化させ、
その後、前記成型体を前記金型から取り出す
磁性部品の製造方法を提供する。
本発明は、第2の磁性部品の製造方法として、第1の磁性部品の製造方法であって、
熱硬化プロセスを1時間以上行う
磁性部品の製造方法を提供する。
本発明は、第3の磁性部品の製造方法として、第1又は第2の磁性部品の製造方法であって、
前記金型から取り出された前記成型体をさらに熱処理する
磁性部品の製造方法を提供する。
本発明の磁性部品において、軟磁性扁平粉は、磁性部品の上面、下面及び側面の夫々において、主表面の一方が外側へ向いている。即ち、軟磁性扁平粉は、各面の近傍において各面に沿うように配向されている。そのため、薄型の成型体やシートを積層した場合の層間部に相当する部位がなく、層間剥離は生じない。加えて、側面からの軟磁性扁平粉の脱落も防止される。また、軟磁性扁平粉は、磁性部品の主領域において、主表面が上下方向と交差するように配向しており、高い透磁率を実現することができる。
本発明の一実施の形態による磁性部品を示す斜視図である。 図1の磁性部品のA−A線断面における軟磁性扁平粉の配向を示す模式図である。図において、軟磁性扁平粉の密度は、実際よりも極めて低く描かれている。軟磁性扁平粉の配向方向は、夫々の位置における代表的な例を示している。 図2の一点鎖線Bで示す枠内を拡大して示す模式図である。図において、各部寸法は実際の磁性部品における各部寸法を表すものではない。 図1の磁性部品のA−A線断面の第1角部を拡大して示す写真である。 図1の磁性部品のA−A線断面の第2角部を拡大して示す写真である。 図1の磁性部品のA−A線断面の第3角部を拡大して示す写真である。 図1の磁性部品のA−A線断面の第4角部を拡大して示す写真である。 図1の磁性部品のA−A線断面の中央部を部分的に拡大して示す写真である。 図1の磁性部品の内周面と端面との境界を部分的に拡大して示す写真である。 図1の磁性部品の端面を部分的に拡大して示す写真である。 本発明の磁性部品の製造方法の一例を示すフローチャートである。 図11の製造方法に含まれるプレス工程において、造粒粉体に生じる圧力分布を示す図である。図は、トロイダル形状の磁性部品の径方向に沿った断面を表している。
図1を参照すると、本発明の一実施の形態に係る磁性部品(複合磁性コア)10は、上下方向に沿った軸を持つ半円筒(半円環状)の形状を有している。詳しくは、磁性部品10は、上下方向と直交する半環状の上面102及び下面104と、上面102と下面104とを繋ぐ側面110とを有している。また、本実施の形態において、側面110は、外側面112と、内側面114と、一対の端面116とを含んでいる。
図1の磁性部品10は、使用時において同一構成の他の磁性部品と組み合わされて、円筒状(トロイダル形状)の磁性コアを構成する。換言すると、磁性部品10は、分割型磁性コアを構成する一部品である。但し、本発明は、これに限られない。本発明の磁性部品は単体で磁性コアを構成するものでもよいし、2以上の部品と組み合わされて磁性コアを構成するものでもよい。また、本発明の磁性部品の形状は、その用途に応じて様々に変更し得る。たとえば、磁性部品は、円筒形、円環形、枠形、角筒形、柱形又は棒形等であってもよい。
図3に示されるように、本実施の形態による磁性部品10は、軟磁性扁平粉20と、軟磁性扁平粉20を相互に結着させる結着部材30とで構成される。磁性部品10は、軟磁性扁平粉20が持つ形状磁気異方性を利用するものである。
軟磁性扁平粉20は、特に限定されないが、Fe−Si系、Fe−Si−Al系またFe−Si−Cr系の軟磁性合金材料を用いて形成することができる。軟磁性扁平粉20は、その名から理解されるように扁平形状を有している。そして、軟磁性扁平粉20は、図3に示されるように、その厚み方向と交差する二つの主表面22を有している。本実施の形態において、軟磁性扁平粉20の平均粒径は30〜40μmであり、平均アスペクト比は10以上である。軟磁性扁平粉20の粒径は、厚み方向と直交する方向の長さであり、アスペクト比は、粒径と厚みとの比である。
図3に示されるように、軟磁性扁平粉20の表面は、絶縁体膜24で覆われている。絶縁体膜24は、特に限定されないが、軟磁性扁平粉20を熱処理することによって形成される酸化膜(不動態膜)又は窒化膜を用いることができる。
結着部材30は、特に限定されないが、無機物であることが望ましい。結着材としての無機物として、SiOを用いることができる。
図2に示されるように、磁性部品10の内部において軟磁性扁平粉20は配向している。詳しくは、軟磁性扁平粉20は、磁性部品10の上面102、下面104及び側面110の夫々において、各面に沿うように配向している。換言すると、軟磁性扁平粉20は、上面102、下面104及び側面110の夫々において、その主表面22(図3参照)の一方が磁性部品10の外側へ向いている。また、磁性部品10の上面102、下面104及び側面110の夫々の近傍において、軟磁性扁平粉20は、各面に沿うように配向している。換言すると、軟磁性扁平粉20は、磁性部品10の上面102、下面104及び側面110の夫々の近傍において、その主表面22の一方が磁性部品10の各面へ向いている。これにより、磁性部品10の上面102及び下面104の近傍では、軟磁性扁平粉20の主表面22の一方が上下方向と交差する。さらに、磁性部品10の上面102、下面104及び側面110から離れた領域において、軟磁性扁平粉20は上下方向と交差する方向に沿って配向している。換言すると、軟磁性扁平粉20は、磁性部品10の上面102、下面104及び側面110から離れた領域において、その主表面22の一方が上下方向と交差している。図2において、磁性部品10の側面110から離れた領域では、上面102から下面104まで、軟磁性扁平粉20の主表面22の一方が上下方向と直交している。但し、本願発明はこれに限定されず、軟磁性扁平粉20は、その主表面22が上下方向と直交していない場合もある。
図2から理解されるように、磁性部品10の内部は、軟磁性扁平粉20の配向状態に基づいて、側部領域40と主領域42とに区分することができる。換言すると、磁性部品10は、側部領域40と主領域42とを有している。ここで、側部領域40は、側面110から磁性部品10の内部へ広がる領域である。主領域42は、側部領域40以外の領域である。主領域42は、上下方向において上面102から下面104まで連続している。側部領域40は、上下方向と直交する方向において、主領域42と接している。上下方向と直交する方向において、対向する二つの側部領域40の間には、主領域42が存在する。本実施の形態において、上下方向における磁性部品10の中央位置における、側面110と直交する方向の側部領域40のサイズTは、30μm以上300μm以下である。
図4から図8までの図から理解されるように、磁性部品10の一実施例によると、軟磁性扁平粉20は、図2に示されるように整然とは配列していない。しかしながら、軟磁性扁平粉20は、概ね、図2に示されるように配列している。
また、図4から図10までの図から理解されるように、磁性部品10には、複数の薄型成型体や複数のシートを積層して形成される磁性部品が持つ層間部に相当する部位が存在しない。そのため、本実施の形態の磁性部品10は、層間剥離を生じない。
さらに、図4から図10までの図から理解されるように、本実施の形態の磁性部品10において、軟磁性扁平粉20は、上面102、下面104及び側面110の夫々において、その主表面22(図3参照)の一方が、磁性部品10の外側へ向いている。換言すると、磁性部品10の最表面は、軟磁性扁平粉20の主表面22で構成されている。これにより、磁性部品10の表面において、配向方向に沿ったクラックの発生が防止されるとともに、磁性部品10の最表面は、総じて滑らかとなる。その結果、磁性部品10の表面に形成されたクラックが内部へ拡がって生じる、層間剥離に類似する軟磁性扁平粉20の剥離を抑制することができる。また、磁性部品10を他の磁性部品と組み合わせる際に、それらの間に生じる隙間の小さくし又は無くすことができる。たとえば、磁性部品10の端面116は、略平面とみなすことができるので、同形の他の磁性部品の端面と突き合わせたとき、それらの端面を互いに密着させることができる。その結果、二つの磁性部品10で形成されたトロイダル形状の磁性コアは、単一部品からなるトロイダル形状の磁性コアと同等の磁気特性を示す。
また、磁性部品10の最表面が軟磁性扁平粉20の主表面22で構成されていることから、磁性部品10が他の物体に接触又は衝突しても、軟磁性扁平粉20に対して剥離方向の力が働き難い。よって、バインダ成分の分解等によって生じる空孔26(図3参照)が磁性部品10の内部に存在しても、軟磁性扁平粉20の剥離が生じ難い。また、軟磁性扁平粉20のいくつかが磁性部品10の表面から脱落しても、その脱落は他の軟磁性扁平粉20の脱落に繋がりにくい。つまり、本実施の形態による磁性部品10は、軟磁性扁平粉20が連鎖的に次々と脱落することを抑制することができる。
上述のように磁性部品10の主領域42において、軟磁性扁平粉20の主表面22は、上下方向と交差している(図2及び図3参照)。これにより、磁性部品10は、主領域42における軟磁性扁平粉20の配向方向に沿って高い透磁率を持つ。したがって、磁性部品10と同一構成の他の磁性部品とを組み合わせて構成したトロイダル形状の磁性コアは、径方向に高い透磁率を持つ。よって、このような磁性コアに上下方向に延びる信号線(対)を通すと、磁性コアは、信号線(対)に対して良好なノイズフィルタ(コモンモードノイズフィルタ)として機能する。本実施の形態による磁性部品10を用いた磁性コアは、1〜3GHzの高周波ノイズの抑制に特に有効である。
次に、図11を参照して、本発明の磁性部品の製造方法の一例について説明する。但し、本発明は、これに限定されず、本発明の磁性部品は、他の製造方法によっても製造することが可能である。また、以下の説明では、トロイダル形状の磁性部品の製造を想定しており、製造される磁性部品は、上述した磁性部品10とその形状が異なる。しかしながら、その内部構成については磁性部品10と共通するので、以下の説明では、共通の参照番号を使用し、必要に応じて図2及び図3を参照する。また、以下の説明では、磁性部品のサイズとして、外径13mm、内径8mm、厚み5mmを想定しているが、本発明はこれに限られない。本発明の磁性部品の製造方法は、様々なサイズ、形状の磁性部品に適用可能である。
まず、軟磁性合金原料を粉砕するとともに扁平化し、軟磁性扁平粉20を得る(ステップS101)。軟磁性合金材料として、Fe−Si系、Fe−Si−Al系、Fe−Si−Cr系の合金材料を用いることができる。また、軟磁性合金原料の粉砕及び扁平化には、特に限定されないが、スラリー循環式のメディア攪拌型ミルを用いることができる。
次に、軟磁性扁平粉20の表面に絶縁体膜24を形成する(ステップS102)。絶縁体膜24の形成は、軟磁性扁平粉20を大気中又は窒素雰囲気中において熱処理することで行うことができる。熱処理温度は、500℃〜900℃とすることができる。これにより、軟磁性扁平粉20の表面には、高い絶縁性を持つ酸化膜(不動態膜)又は窒化膜が絶縁体膜24として形成される。
次に、表面に絶縁体膜24が形成された軟磁性扁平粉20とバインダとを混錬して造粒粉を生成する(ステップS103)。バインダは、特に限定されないが、シリコーン樹脂を用いることが好ましい。シリコーン樹脂を溶剤に溶解させたバインダ溶液と軟磁性扁平粉20と混合し、混合物を乾燥するまで混錬する。溶剤は特に限定されないが、エタノールやアセトンを用いることができる。軟磁性扁平粉20は、比表面積が大きいため、バインダの割合は、軟磁性扁平粉20に対して3wt%〜9wt%とすることが好ましい。その後、乾燥した混合物を所定の目開きの金属メッシュを用いてふるい分けし、所定の粒径を持つ造粒粉を得る。
次に、造粒粉を秤量し(ステップS104)、所定量の造粒粉を金型内に充填する(ステップS105)。その際、造粒粉の密度を高めるため、金型に振動を加えてもよい。続いて、金型内に充填された造粒粉(造粒粉体)を一軸プレス法によりプレスして成型体を形成する(ステップS106)。このプレスは、1ton/cm以上の荷重で行う。金型は、例えば、上パンチ、下パンチ及びダイスで構成される。プレス成型を行う前に、上パンチ及び下パンチの夫々のパンチ面とダイスの内面に、潤滑・離型剤を塗布しておくことが好ましい。潤滑・離型剤として、ステアリン酸亜鉛を用いることができる。
図12に矢印で示されるように、プレス工程において、金型(図示せず)内の造粒粉体50は、上パンチと接する上界面52及び下パンチと接する下界面54に上下方向の圧縮力(プレス圧力)を受ける。上界面52及び下界面54が受けた圧縮力は、造粒粉体50内において、主として上下方向に伝わる。そのため、造粒粉体50の内部の圧力は、その中央部で最も高くなる。その一方で、造粒粉体50に加えられた力は、上下方向と交差する方向にも伝わる。ダイスの内面に接する側界面56に近い領域において造粒粉体50に働く力は、上下方向の力よりも上下方向と交差する方向の力の方が大きい。
プレス工程(ステップS106)により造粒粉体50は圧縮され、それに伴い軟磁性扁平粉20の配向が生じる。この軟磁性扁平粉20の配向メカニズムは、以下のようなものと推定される。即ち、プレス工程により造粒粉体50が圧縮されると、造粒粉は押し潰される。このとき、造粒粉に含まれる軟磁性扁平粉20は、造粒粉を押し潰そうとする力の向きに直交する方向へ配向しようとする。ここで、造粒粉を押し潰そうとする力は、図12に示される圧力等高線に直交する方向の力である。したがって、軟磁性扁平粉20は、図12に示される圧力等高線に沿うように配向しようとする。
一方、図12に示す造粒粉体50において、金型の表面に接する軟磁性扁平粉20は、金型の表面によってその移動が制限される。即ち、上界面52、下界面54及び側界面56の夫々に位置する軟磁性扁平粉20は、上パンチ、下パンチ、及びダイスによってそれぞれ移動が制限される。また、金型の表面に接する軟磁性扁平粉20には、金型の表面と直交する方向の力が大きく働く。詳しくは、上界面52及び下界面54に位置する軟磁性扁平粉20は、上下方向の力を大きく受け、側界面56に位置する軟磁性扁平粉20は、上下方向と直交する方向の力を大きく受ける。そのため、金型の表面に接する軟磁性扁平粉20は、その主表面22の一方を金型の表面に向けるように移動する(向きを変える)。その結果、プレス工程(ステップS106)により形成される成型体の最表面は、主表面22の一方を外側に向けた軟磁性扁平粉20で構成される。上界面52、下界面54及び側界面56の近くに位置する軟磁性扁平粉20は、上述の造粒粉が押し潰されることによる配向メカニズムより、その主表面22の一方を金型の表面へ向けるように移動する。その結果、上界面52に近い領域において、軟磁性扁平粉20は主表面22の一方を上界面52に向けるように配向する(図2参照)。こうして、上界面52に近い領域において、軟磁性扁平粉20は主表面22の一方を上界面52に向けるように配向する(図2参照)。また、下界面54に近い領域において、軟磁性扁平粉20は主表面22の一方を下界面54に向けるように配向する(図2参照)。さらに、側界面56に近い領域において、軟磁性扁平粉20は主表面22の一方を側界面56に向けるように配向する(図2参照)。なお、側界面56に近い領域の軟磁性扁平粉20は、側部領域40(図2参照)を形成する。
一方、金型の表面からある程度離れた造粒粉は、上下方向の力を受ける。そのため、これらの造粒粉に含まれる軟磁性扁平粉20は、その主表面22が上下方向と交差するように配向する(図2参照)。なお、これらの軟磁性扁平粉20は、上界面52及び下界面54の近傍に位置する軟磁性扁平粉20とともに主領域42(図2参照)を形成する。
プレス工程(ステップS106)において、上述した軟磁性扁平粉20の配向を実現するためには、金型内での軟磁性扁平粉20の移動が容易でなければならない。軟磁性扁平粉20の移動容易性は、軟磁性扁平粉20のサイズ及び形状に依存する。本実施の形態において、軟磁性扁平粉20の平均粒径は30〜40μm、平均アスペクト比は10以上としている。このような軟磁性扁平粉20を用いることで、プレス工程において上述した軟磁性扁平粉20の配向を生じさせることができる。
再び図11を参照すると、プレス工程の後、金型から成型体を取り出すことなく、固定治具を用いて上パンチと下パンチとを互いに固定する(ステップS107)。そして、金型を恒温槽内に置き、金型内の成型体に対して熱硬化プロセスを行って、バインダを熱硬化させる(ステップS108)。金型から成型体を取り出すことなく熱硬化プロセスを行うことで、硬化の前後における成型体の形状変化を抑制するとともに、軟磁性扁平粉20の配向状態の変化を抑制することができる。十分な熱硬化を行うことなく金型から成型体を取り出すと、上パンチ及び下パンチからの圧縮力から解放された成型体は、(特に上下方向に)膨張する。この膨張は、上下方向のサイズ(厚み)が大きいほど大きく、たとえば、成型体の厚みが3mmを超えると顕著になる。本実施の形態では、このような成型体の膨張が生じないように十分に熱硬化を行う。たとえば、熱硬化プロセスは、恒温槽内の温度を150℃〜200℃として1時間以上保持することにより行う。
固定治具及び金型を冷却した後、金型から熱硬化した成型体(磁性部品10)を取り出す(ステップS109)。この後、必要に応じてさらに熱処理を行ってもよい。本実施の形態では、取り出した磁性部品(複合磁性コア)10に対して、さらに熱処理(脱脂処理)を行う(ステップS110)。この熱処理は、大気中又は窒素雰囲気中において、600℃〜900℃の温度で行うことができる。この熱処理により、シリコーン樹脂の有機成分も分解され、結着部材30としてSiOが残る。こうして、有機成分を含まない磁性部品10を得ることができる。
以上のようにして製造された磁性部品10は、薄型の成型体やシートを積層した場合の層間部に相当する部位がなく、層間剥離は生じない。また、磁性部品10の上面102、下面104及び側面110の夫々において、軟磁性扁平粉20の主表面22の一方が外側へ向いているので、各面にクラックが生じておらず、各面からの軟磁性扁平粉20の脱落も防止される。さらに、この磁性部品10の主領域42において、軟磁性扁平粉20は、その主表面22が上下方向と交差するように配向しているため、配向方向において高い透磁率を実現することができる。たとえば、磁性部品10の形状がトロイダル形状の場合、径方向に高い透磁率を持つ。
また、上記のように製造された磁性部品10において、軟磁性扁平粉20同士の間には、有機分の分解により形成される空孔26と無機酸化物(結着部材30としてのSiO)とが残る(図3参照)。その結果、得られた磁性部品10は、高い絶縁性を持つ。一般に、磁性コアをコモンモードフィルタとして信号線に装着する場合、磁性コアは信号線に密着していることが好ましい。本実施の形態により得られる磁性部品(複合磁性コア)10は高い絶縁性を有しているため、(被覆)信号線に直接取り付けることが可能であり、信号線に密着させることが可能である。即ち、本実施の形態により製造される磁性部品(複合磁性コア)10は、優れたコモンモードフィルタ(EMIコア)として利用することができる。
以上、本発明について実施の形態を掲げて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の変形・変更が可能である。たとえば、上記実施の形態では、成型体を金型内で熱硬化させたが、成型体の形状変化及び軟磁性扁平粉20の配向変化を抑制することができるのであれば、成型体を金型から取り出した後に熱硬化を行うようにしてもよい。
10 磁性部品
102 上面
104 下面
110 側面
112 外側面
114 内側面
116 端面
20 軟磁性扁平粉
22 主表面
24 絶縁体膜
26 空孔
30 結着部材
40 側部領域
42 主領域
50 造粒粉体
52 上界面
54 下界面
56 側界面

Claims (8)

  1. 軟磁性扁平粉と結着部材とを含む磁性部品であって、
    前記軟磁性扁平粉の表面は、絶縁体膜で覆われており、
    前記軟磁性扁平粉は、その厚み方向と交差する二つの主表面を有しており、
    前記磁性部品は、上下方向と直交する上面及び下面と、前記上面と前記下面とを繋ぐ側面とを有しており、
    前記軟磁性扁平粉の前記主表面の一方は、前記上面、前記下面及び前記側面の夫々において、前記磁性部品の外側へ向いている
    磁性部品。
  2. 請求項1に記載の磁性部品であって、
    前記磁性部品は、前記側面から前記磁性部品の内部へ広がる側部領域と、それ以外の主領域とを有しており、
    前記側部領域において、前記軟磁性扁平粉の前記主表面の一方は、前記側面へ向いており、
    前記主領域において、前記軟磁性扁平粉の前記主表面は、前記上下方向と交差している
    磁性部品。
  3. 請求項2に記載の磁性部品であって、
    前記上下方向における前記磁性部品の中央位置において、前記側面と直交する方向の前記側部領域のサイズは、30μm以上300μm以下である
    磁性部品。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれかに記載の磁性部品であって、
    前記結着部材は、SiOである
    磁性部品。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一つに記載の磁性部品であって、
    前記軟磁性扁平粉は、Fe−Si系の軟磁性合金材料から製造され、
    前記軟磁性扁平粉の平均アスペクト比は、10以上である
    磁性部品。
  6. 磁性部品の製造方法であって、
    絶縁体膜で覆われた軟磁性扁平粉をバインダと混錬して造粒粉を生成し、
    前記造粒粉を金型内に充填して一軸プレス法によりプレスして成型体を形成し、
    前記金型内において前記成型体に対して熱硬化プロセスを行って前記バインダを熱硬化させ、
    その後、前記成型体を前記金型から取り出す
    磁性部品の製造方法。
  7. 請求項6に記載の磁性部品の製造方法であって、
    熱硬化プロセスを1時間以上行う
    磁性部品の製造方法。
  8. 請求項6又は請求項7に記載の磁性部品の製造方法であって、
    前記金型から取り出された前記成型体をさらに熱処理する
    磁性部品の製造方法。
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