JP2020061505A - リアクトルの冷却構造、及び電力変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】より効率的にリアクトルを冷却可能なリアクトルの冷却構造、及び電力変換装置を提供する。【解決手段】リアクトルの冷却構造は、第1の開口部(2a)が設けられた底壁部(2n)、及び第2の開口部(2b)が設けられた側壁部(2m)により、コア(11)にコイル(12)が巻かれたトロイダル形状のリアクトル(1)を収納する第1の凹部(2o)が形成されたケース(2)と、第1の凹部内にリアクトルが収納されたケースをモジュールとして収納する第2の凹部(3a)が設けられた筐体(3)と、モジュールが収納された第2の凹部内に、底壁部、リアクトルの少なくとも一部、及び側壁部に設けられた第2の開口部の少なくとも一部を含む位置まで存在する、第2の凹部内に充填材として充填された樹脂(4)と、を備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、リアクトルの冷却構造、及び電力変換装置に関する。
電気自動車、ハイブリッド自動車等の電動化車両には、電力変換装置が搭載されている。電動化車両に搭載される電力変換装置として、具体的には、商用の交流電力を直流電力に変換して高圧バッテリに充電する充電器、高圧バッテリの直流電力を異なる電圧の直流電力に変換するDC(Direct Current)/DCコンバータ、高圧バッテリからの直流電力をモータへの交流電力に変換するインバータ等が挙げられる。
電力変換装置のなかには、ノイズ除去、電流制御などのために、リアクトルを備えたものがある。比較的大きいインダクタンスを必要とする場合、リアクトルとしては、磁路内に空気、あるいはその他部材による空間が存在しない中空円柱状のコアを使用したトロイダル形状のリアクトルが適している。具体的には、中空円柱状のコアでは、U字形状などのコアと比較し、コア全体の投影面積に対して、コイルを巻き付けることが可能な面積が大きい。従って、比較的大きいインダクタンスを必要とする場合には、トロイダル形状のリアクトルが多用されている。
リアクトルは、流れる電力が大きいほど発熱量も大きくなる。電動化車両に搭載される電力変換装置では、リアクトルに流れる電力は、比較的大きい。そのため、リアクトルの冷却構造が必要である。従来のリアクトルの冷却構造としては、底面に貫通穴が設けられたケース内にリアクトルを収納し、ケースを筐体に接触させ、貫通穴に充填された樹脂により、リアクトルと筐体との間を熱的に接続させたものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2015−89179号公報
例えば、電動化車両の分野では、燃費向上、及び車室空間の拡大が求められている。そのため、電動化車両に搭載される電力変換装置には、軽量化、小型化、低コスト化、及び電力の高効率化が求められている。
電力変換装置にトロイダル形状のリアクトルを適用する際の小型化策としては、導線の直径をより小さくさせることにより、コイルの巻太り、及びコイルの巻層を減少させ、リアクトルの直径をより小さくさせることが挙げられる。導線の直径減少が可能であれば、コイルの巻き数を増加させ、コアの体積を小さくさせることで、リアクトル全体の大幅な小型化が可能となる。しかし、このような小型化策を採用した場合、コイルの抵抗値が増大し、コイルの表面積減少により、発熱密度が増大する。このため、より効率的にリアクトルを冷却するリアクトルの冷却構造が必要となる。
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、より効率的にリアクトルを冷却するリアクトルの冷却構造、及び電力変換装置を提供することを目的とする。
本発明に係るリアクトルの冷却構造は、第1の開口部が設けられた底壁部、及び第2の開口部が設けられた側壁部により、コアにコイルが巻かれたトロイダル形状のリアクトルを収納する第1の凹部が形成されたケースと、第1の凹部内にリアクトルが収納されたケースをモジュールとして収納する第2の凹部が設けられた筐体と、モジュールが収納された第2の凹部内に、底壁部、リアクトルの少なくとも一部、及び側壁部に設けられた第2の開口部の少なくとも一部を含む位置まで存在する、第2の凹部内に充填材として充填された樹脂と、を備えている。
本発明によれば、より効率的にリアクトルを冷却することができる。
本発明の実施の形態1に係る電力変換装置を示す側断面図である。 本発明の実施の形態1に係る電力変換装置に採用されたリアクトルを構成するコアを示す斜視図である。 本発明の実施の形態1に係る電力変換装置に採用されたリアクトルの構成を示す斜視図である。 本発明の実施の形態1に係る電力変換装置に採用されたリアクトルを含むモジュールを示す斜視図である。 本発明の実施の形態1に係る電力変換装置に採用されたリアクトルを含むモジュールを示す底面図である。 本発明の実施の形態1に係る電力変換装置に採用されたリアクトルを含むモジュールを収納する筐体を示す斜視図である。 図1に示すA部を拡大した図である。 図1に示すB部を拡大した図である。 本発明の実施の形態1の変形例1に係る電力変換装置を示す側断面図である。 本発明の実施の形態1の変形例2に係る電力変換装置に採用されたリアクトルを含むモジュールを示す底面図である。 本発明の実施の形態1の変形例2に係る電力変換装置を示す側断面図である。 本発明の実施の形態2に係る電力変換装置を示す側断面図である。 本発明の実施の形態2に係る電力変換装置に採用されたリアクトルを含むモジュールを示す斜視図である。 本発明の実施の形態2の変形例1に係る電力変換装置に採用された樹脂板、及び放熱板を示す側断面図である。 本発明の実施の形態2の変形例1に係る電力変換装置に採用された樹脂板、及び放熱板を示す上面図である。 本発明の実施の形態2の変形例2に係る電力変換装置に採用された樹脂板、及び放熱板を示す側断面図である。 本発明の実施の形態2の変形例3に係る電力変換装置に採用された樹脂板、及び放熱板を示す側断面図である。 本発明の実施の形態2の変形例4に係る電力変換装置に採用された樹脂板、及び放熱板を示す側断面図である。 本発明の実施の形態2の変形例5に係る電力変換装置に採用された樹脂板、及び放熱板を示す側断面図である。 本発明の実施の形態2の変形例6に係る電力変換装置を示す側断面図である。 本発明の実施の形態3に係る電力変換装置を示す側断面図である。
以下、本発明に係る電力変換装置の各実施の形態を、図を参照して説明する。本発明に係る電力変換装置は、本発明に係るリアクトルの冷却構造を備えたものである。各図では、同一または対応する要素には、同一符号を付している。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る電力変換装置を示す側断面図、図2は、本発明の実施の形態1に係る電力変換装置に採用されたリアクトルを構成するコアを示す斜視図、図3は、本発明の実施の形態1に係る電力変換装置に採用されたリアクトルの構成を示す斜視図、図4は、本発明の実施の形態1に係る電力変換装置に採用されたリアクトルを含むモジュールを示す斜視図、図5は、本発明の実施の形態1に係る電力変換装置に採用されたリアクトルを含むモジュールを示す底面図、図6は、本発明の実施の形態1に係る電力変換装置に採用されたリアクトルを含むモジュールを収納する筐体を示す斜視図である。
図2及び図3にそれぞれ示す斜視図では、1構成要素の1部分を取り除き、その1部分の内部を表している。以下の説明における位置関係については、図1に示すように、図1に向かって左右方向を平面方向、図1に向かって上下方向を上下方向と想定し表現する。
リアクトル1の構成要素であるコア11は、図2に示すように、中空円柱状であり、ボビン13によって全体が覆われている。コア11は、例えば透磁率の高いフェライト、ナノ結晶磁性材料などの金属で形成されている。そして、コア11は、例えば合金溶湯を単ロール法などの急速冷却により金属薄帯状とし、磁心形状に成形加工後、熱処理によって結晶化させる工程により製造される。
ボビン13は、PBT(PolyButylene Terephthalate)などの電気絶縁性に優れた絶縁性樹脂材料で形成されており、上ボビン13bと下ボビン13cとにより構成される。上ボビン13bと下ボビン13cとは、例えば射出成形などの製造方法により作製される。上ボビン13bと下ボビン13cとを、コア11を挟む様に装着することで、コア11とボビン13とは一体化される。そして、コア11と各コイル12との絶縁をボビン13で確保し、ボビン13の中央に設けた絶縁壁13aにより、2つのコイル12間の絶縁を確保する。
コア11に装着されたボビン13の周りには、図3に示すように、例えばエナメル被覆処理が施された銅線などの導体で形成された2つのコイル12が、絶縁距離を確保しつつ巻かれている。2つのコイル12の巻方向は、互いに反対方向になっている。両コイル12に通電することで、大きなインダクタンスが得られる。通電により、コイル12からは、ジュール熱が発生する。各コイル12への通電用に4本の端子部12a〜12dが設けられている。例えば端子部12a及び12dは、2つのコイル12のうちの一方への通電用であり、端子部12b及び12cは、2つのコイル12のうちの他方への通電用である。
絶縁距離には、空間距離、及び沿面距離が存在する。電気的絶縁を確保するためには、空間距離、及び沿面距離を共に確保する必要がある。ここでは、特に断らない限り、絶縁距離とは、空間距離、及び沿面距離のなかで電気的絶縁の確保にとってより重要となる方を指す意味で用いる。
リアクトル1は、図2に示すように、コア11に装着されたボビン13に対して、コイル12を巻いた構造である。各コイル12を巻き付ける工程は、基本的に人によって行われる。人手により行われることから、コイル12の寸法バラツキが比較的大きい。
リアクトル1を収納する樹脂ケース2は、図1に示すように、上下方向に平行な平面で切断した場合の断面がU字状である。樹脂ケース2には、円形状の底壁部2nと、中空円柱状の側壁部2mとが形成されている。この結果、樹脂ケース2は、リアクトル1を収納可能な空間である凹部2oを有している。側壁部2mの直径、つまり平面方向上の幅は、リアクトル1の径方向最大寸法を越える長さである。
側壁部2mには、図4に示すように、開口部2bが設けられている。また、底壁部2nには、図5に示すように、開口部2aが設けられている。開口部2aは、本実施の形態1における第1の開口部に相当し、開口部2bは、本実施の形態1における第2の開口部に相当する。凹部2oは、本実施の形態1における第1の凹部に相当する。
樹脂ケース2は、例えばPBTなどの電気絶縁性樹脂材を用いた射出成形により作製されている。また樹脂ケース2は、底壁部2nにおいて、少なくとも一箇所以上のコイル12と接触して、リアクトル1の上下方向を位置決めする。図2に示すコア11の円柱中心軸11gと、図4に示す樹脂ケース2の中心軸2gとが平行となるように、リアクトル1が樹脂ケース2に収納される。これら中心軸2g及び11gは、上下方向と平行か、或いは略平行である。
樹脂ケース2に収納されるリアクトル1のコイル12には、図3に示すように、板状部材である樹脂板15が接着剤14により固定される。樹脂板15は、PBTなどの電気絶縁性の優れた絶縁性樹脂材料により作製されている。接着剤14は、例えばシリコーン系樹脂などの電気絶縁性に優れた絶縁性樹脂材料を用いたものである。
樹脂ケース2には、図4に示すように、上方向、言い換えれば底壁部2n側とは反対側
に突出する突起2cが設けられている。樹脂板15には、突起2cが貫通可能な大きさの開口部15aが設けられている。開口部15aは、本実施の形態1における第3の開口部に相当し、突起2cは、本実施の形態1における第2の突起に相当する。
突起2cを開口部15aに貫通させることで、リアクトル1と樹脂ケース2との間の平面方向の位置決めを行うことができる。樹脂ケース2に挿入したリアクトル1を接着剤などで固定することで、リアクトル1、樹脂ケース2及び接着剤14により固定した樹脂板15が一体品化されたモジュールが完成する。樹脂板15は、筐体3の凹部3aへのモジュールの収納時、図1に示すように、モジュールの底壁部2n側とは反対側に設置された状態となる。
図4に示すように、各コイル12への通電用の4本の端子部12a〜12dが、樹脂板15に向かって上方向に引き出されている。端子部12a〜12dは、それぞれ、樹脂板15に設けた4つの穴15bに挿入されることで、樹脂板15に対する位置が決定される。そのため、端子部12a〜12d間の絶縁が確保される。樹脂板15は、端子部12a〜12dを4つの穴15bにそれぞれ挿入させた状態で、接着剤14によりコイル12に固定される。樹脂板15は、端子部12a〜12d以外の部分のコイル12と他部品との間の絶縁も確保する。穴15bは、本実施の形態1における第1の穴に相当する。
筐体3は、例えばアルミダイカストで成形されたアルミ系金属製であり、リアクトル1に発生した熱量の除去に用いられる。筐体3は、図6に示すように、樹脂ケース2を収納可能な凹部として、例えば直径が樹脂ケース2の径方向最大寸法を越える長さとなっている凹部3aを有している。凹部3aの下方には、冷却用の放熱フィン3bを有している。放熱フィン3b間に流体を流すことにより、筐体3に伝達された熱量を効率的に除去できるようになっている。流体とは、例えばLLC(Long Life Coolant)等の不凍液、水、空気である。また、凹部3aの縁3fには、樹脂ケース2の位置決めを行うために、少なくとも1つ以上の穴3cが設けられている。凹部3aは、本実施の形態1における第2の凹部に相当し、穴3cは、本実施の形態1における第6の穴に相当する。
凹部3a内には、樹脂4が存在する。本実施の形態1では、樹脂4は、充填材が硬化したものである。そのため、本実施の形態1では、例えば凹部3a内に樹脂4となる充填材を注入し、充填材が硬化する前に、凹部3a内に図4に示すモジュールを挿入する。それにより、凹部3a内の空隙部、つまりリアクトル1、及び樹脂ケース2の何れも存在しない空間に樹脂4となる充填材が充填される。この結果、モジュールは、樹脂4により固定されると共に、リアクトル1から筐体3へ、樹脂4を介した熱伝達が可能となる。開口部2aを含む底壁部2n、及び開口部2bを含む側壁部2mは、その熱伝達のための経路となる。樹脂4となる充填材としては、例えば流動性、絶縁性、及び熱伝導性に優れたシリコーン系のポッティング樹脂材が挙げられる。
樹脂ケース2は、図4に示す円柱中心軸2gと、図6に示す凹部3aの中心軸3gとが平行となるように、凹部3a内に収納される。凹部3a内における樹脂ケース2の上下方向の位置は、図1及び図4に示すように、樹脂ケース2の底壁部2nに設けた1つ以上の突起2dによって決定される。つまり、突起2dが筐体3の凹部3aの底面3dと接触することにより、樹脂ケース2の凹部3a内における上下方向の相対的な位置が決定される。突起2dの高さ、つまり上下方向の幅は、リアクトル1と筐体3との間で必要な絶縁距離を確保する長さである。突起2dは、本実施の形態1における第1の突起に相当する。
突起2dを樹脂ケース2に設けたことにより、突起2dを別の部品とする場合と比較して、部品点数を少なくすることができる。そのため、突起2dを樹脂ケース2に設けることは、製造コストの抑制、電力変換装置10の製造に要する時間短縮などの面で効果的である。ただし、リアクトル1と筐体3との間で必要な絶縁距離を確保するためには、突起2dは、樹脂ケース2とは別の部品としても良く、突起2d自体を1つの部品として用意することも考えられる。樹脂ケース2とは別の部品としては、筐体3を挙げることができる。
樹脂ケース2の上側には、図4に示すように、2つの位置決め用の突起2fが設けられている。突起2fは、接続部2eに設けられ、接続部2eは、本実施の形態1における板状部である樹脂壁2hに設けられている。一方、筐体3の凹部3aの縁3fには、図6に示すように、2つの穴3cが設けられている。穴3cは、突起2fが挿入可能となっている。このため、各突起2fを、対応する穴3c内に挿入することで、樹脂ケース2と筐体3との間の平面方向における相対的な位置決めをすることができる。このような位置決めが可能なように、突起2fの上下方向の位置、及びその高さ、並びに穴3cの深さは、突起2dを底面3dと接触させた際に、接続部2eが縁3fに接触せず、且つ突起2fの先端が穴3cの底に接触しないように決定されている。突起2fは、本実施の形態1における第3の突起に相当する。
樹脂壁2hは、図4に示すように、リアクトル1の周方向に幅を有し、穴15b毎に設けられている。それにより、各樹脂壁2hは、端子部12a〜12dと凹部3aの側面3eとの間に配置される。このため、各樹脂壁2hにより、端子部12a〜12dと筐体3との間の絶縁を、より確実に確保することができる。なお、樹脂壁2hに関する詳細は、図7を用いて後述する。
樹脂ケース2には、図1及び図4に示すように、径方向の端側の位置に、周方向全体に渡って樹脂壁2iが設けられている。樹脂4は、樹脂壁2iの一部に接する位置まで充填される。そのため、樹脂ケース2の側壁部2mに設けた開口部2bの一部には、樹脂4が充填されている。樹脂壁2iは、本実施の形態1における絶縁性部材に相当する。なお、樹脂壁2iに関する詳細は、図8を用いて後述する。
リアクトル1の上部に位置するプリント配線板5は、図1に示すように、スルーホール5aによってリアクトル1と電気的に接続されている。つまり、リアクトル1の各端子部12a〜12dは、それぞれ対応するスルーホール5aと電気的に接続されている。電気的な接続は、例えば半田付けまたは溶接により行われる。プリント配線板5は、例えば筐体3に設けた図示しない少なくとも1つ以上のボスとネジにより固定されている。
次に、本実施の形態1におけるリアクトル1の冷却上の効果について具体的に説明する。本実施の形態1では、上記のように、樹脂ケース2の底壁部2n及び側壁部2mにそれぞれ開口部2a及び2bを設け、凹部3a内に充填材として注入し硬化させた樹脂4により、モジュールを固定させる。このため、リアクトル1から筐体3への主な放熱経路は、樹脂4のみが介在する構成となる。この放熱経路上の界面は、リアクトル1と樹脂4との間、及び樹脂4と筐体3との間の計2つとなる。
また、リアクトル1の下方における樹脂4の上下方向の厚みは、底壁部2nに設けた突起2dの高さによって決定される。そのため、人が手巻きするコイル12の寸法バラツキの絶縁性への影響が低減される。結果、突起2d及び樹脂ケース2の底壁部2nの各厚みの寸法公差に応じた誤差範囲内で、放熱経路上の中間部材である樹脂4の厚みを管理することができる。
中間部材数、及び界面の層数をより少なくすることにより、放熱経路の熱抵抗をより低減させることができる。熱抵抗が小さくなるほど、放熱性能は向上する。本実施の形態1では、図1に示すように、樹脂4は、リアクトル1と、筐体3の凹部3aの底面3dとの間に形成された第1の放熱経路の中間部材となっているとともに、リアクトル1と、筐体3の凹部3aの側面3eとの間に形成された第2の放熱経路の中間部材となっている。そのため、第1の放熱経路のみを形成する特許文献1に開示の冷却構造と比較して、本実施の形態1では、全体の放熱面積をより大きくさせることができ、熱抵抗はより小さくさせることができる。結果、より高い放熱性能、言い換えればより高い冷却性能が実現できる。
本実施の形態1では、底壁部2nと底面3dとの間を突起2dにより離している。その結果、底壁部2nの開口部2aが存在しない部分と底面3dとの間にも樹脂4が存在する構造となっている。そのような構造であり、また熱伝導性は樹脂4のほうが樹脂ケース2よりも優れているため、開口部2aから底面3dに伝導される熱量は、より広い面積に拡散されて伝導されることになる。そのような拡散により、熱抵抗はより小さくなる。このことから、底壁部2nと底面3dとの間に間隔を設けることは、放熱性能を向上させる効果がある。
より高い冷却性能の実現により、通電に伴うリアクトル1の温度上昇は抑制される。温度上昇の抑制により、コイル12の抵抗値の増大も抑制される。そのため、電力変換装置10による電力変換の高効率化も実現させることができる。
電力変換の高効率化により、電力エネルギー消費量を削減することができる。高効率化、及び放熱性能の向上に伴い、より直径の小さい導線をコイル12に用いることが可能となる。より直径の小さい導線の採用により、リアクトル1をより小型化することができる。具体的には、より直径の小さい導線の採用により、コイル12の巻き数を増加させることができ、コア11の体積をより小さくさせることができる。そのため、リアクトル1全体の大幅な小型化が可能となる。結果、電力変換装置10全体の小型化、軽量化、更には小型化による製造コストの抑制等が可能となる。
上記のように、樹脂ケース2に設けた突起2f、筐体3に設けた穴3cによって、樹脂ケース2、及び樹脂ケース2に収納させたリアクトル1の、筐体3の平面方向に対する相対的な位置決めが行われる。樹脂ケース2にリアクトル1を収納することにより、コイル12の寸法バラツキによるコア11の中心軸11gと筐体3の中心軸3gとの間の位置ズレ量を低減させることができる。つまり、リアクトル1が筐体3の凹部3aの中心から大きくずれることを抑制できる。それに伴い、リアクトル1周囲の樹脂4の平面方向の厚みを、より均一化することができる。この結果、位置による冷却能力の偏りが低減でき、偏りの低減により、より高効率なリアクトル1の冷却が可能となる。
樹脂ケース2を用いずにリアクトル1を固定する場合には、例えばリアクトル1上部に存在するプリント配線板5で、リアクトル1の位置決めを行うことになる。その場合、コイル12の寸法バラツキに応じて、樹脂4の厚みが変化する。特に樹脂4の上下方向の厚みが変化する。しかし、本実施の形態1では、筐体3の底面3dから樹脂ケース2までの上下方向の樹脂4の厚みは、樹脂ケース2に設けた突起2dにより決定される。その厚みは、通常、コイル12と底面3dとの間の最短距離に相当する。一方、リアクトル1と側面3eとの間は、樹脂ケース2に設けた突起2f、筐体3に設けた穴3c、及び樹脂ケース2の側壁部2mにより、適切に離される。これらのことから、リアクトル1、特にコイル12と筐体3との間の絶縁性を、確実に確保することができる。
図7は、図1に示すA部を拡大した図であり、図8は、図1に示すB部を拡大した図である。次に、図7及び図8を参照し、2種類の樹脂壁2h及び2iによって実現される絶縁性能の向上について具体的に説明する。
図7に示すように、樹脂壁2hは、コイル12の端子部12dと、筐体3の側面3eとの間に位置している。仮に樹脂壁2hが存在しない場合、端子部12dと筐体3との間の絶縁距離は、端子部12dから側面3eまでの直線の距離a+bとなる。しかし、樹脂壁2hを設けることにより、端子部12と筐体3との間の絶縁距離は、端子部12dから樹脂壁2hまでの直線距離cと、樹脂壁2hの端から側面3eまでの直線距離dとを加算した距離c+dとなる。これら絶縁距離の間の大小関係は、a+b<c+d、である。このように、樹脂壁2hを設けることにより、絶縁距離をより長くすることができるため、絶縁性能は向上し、端子部12dと筐体3との間の絶縁をより確実に確保することができる。
図8に示すように、樹脂壁2iは、コイル12と筐体3の側面3eとの間に位置している。仮に樹脂壁2iが存在しない場合、コイル12と筐体3との間の絶縁距離は、コイル12から側面3eまでの直線距離e+fとなる。しかし、樹脂壁2iを設けることにより、コイル12と筐体3との間の絶縁距離は、コイル12から樹脂壁2iの端までの直線距離gと、樹脂壁2iから側面3eまでの直線距離hとを加算した距離g+hとなる。これら絶縁距離の間の大小関係は、e+f<g+h、である。そのため、樹脂壁2iを設けることにより、樹脂壁2hを設ける場合と同様に、絶縁性能は向上し、コイル12と筐体3との間の絶縁をより確実に確保することができる。
本実施の形態1では、図1に示すように、凹部3a内でリアクトル1、及び樹脂ケース2の何れも存在しない空隙部に樹脂4が存在し、樹脂4により、リアクトル1、及び樹脂ケース2が凹部3a内に固定されている。そのため、例えば電力変換装置10が電動化車両に搭載される場合、車両の走行等によって電力変換装置10に外部から振動、衝撃等が加えられても、リアクトル1及び樹脂ケース2の凹部3a内における位置関係を、安定的に維持することができる。また、プリント配線板5は、筐体3にネジ固定されている。このことにより、筐体3とプリント配線板5との位置関係も、安定的に維持することができる。このようなことから、例えリアクトル1の重量が比較的重い場合であっても、高い耐震性を実現させることができる。この耐震性により、プリント配線板5と各端子部12a〜12dとを接続するスルーホール5aの接続部にかかる応力は、極めて小さい範囲内に抑制される。この結果、接続部が破断する恐れを抑制することができる。そのため、電力変換装置10の故障の発生も大きく抑制させることが可能となる。
なお、本実施の形態1では、コア11は、薄帯状の金属を磁心形状に成形加工後、熱処理によって結晶化させることにより製造しているが、コア11の製造方法は、そのようなものに限定されない。コア11は、鋳造、プレスによる打ち抜き加工、切削加工などにより製造されたものでも良い。これらのような製造方法を採用した場合、コア11の製造コストを、より抑制することが可能である。また、U字形状等の複雑なコア形状に対しても容易に対応可能であり、製造コストも低く抑えられる。複雑なコア形状に対しても容易に対応可能なことから、本実施の形態1は、トロイダル形状以外のリアクトル、及び他の電磁誘導機器に適用することもできる。
本実施の形態1では、絶縁距離を確保しつつ、2つのコイル12をボビン13に巻きつけているが、コイル12は1つ、もしくは3つ以上であっても良い。つまり、コイル12の数は特に限定されない。また、コイル12は、2本以上の導線が束となることで形成されるものであっても良い。2本以上の導線を用いた場合、コア11の径方向におけるコイル12の断面積をより大きくさせつつ、コイル12の抵抗値をより小さくさせることが可能である。そのため、リアクトル1の温度上昇を抑えつつ、電力変換装置10の電力効率をより向上させることが可能となる。
本実施の形態1では、ボビン13は、共に射出成形などにより形成される上ボビン13bと下ボビン13cを有しており、上ボビン13bと下ボビン13cとをコア11を挟む様にして装着させているが、ボビン13は、コア11をインサート成形することにより製造しても良い。インサート成形で製造することにより、コア11とボビン13との間に存在する空気などによる境界層を削減することが可能である。境界層の削減により、コア11の熱抵抗をより小さくさせることができる。
またコア11とボビン13との固定に使用される接着剤は、一般的にはコア11の材質、ボビン13を構成する樹脂よりも耐熱温度が低いため、リアクトル1の耐熱温度に大きく影響する場合が多い。しかし、インサート成形により、コア11固定用の接着剤を不要とすることができる。そのため、インサート成形を採用することで、リアクトル1の耐熱温度をより高くさせることが可能となる。
凹部3a内にモジュールとして収納されたリアクトル1及び樹脂ケース2は、樹脂4により固定される。このため、樹脂ケース2にリアクトル1を収納した際に、リアクトル1を樹脂ケース2に必ずしも固定しなくとも良い。しかし、リアクトル1が樹脂ケース2内で安定しないような場合、リアクトル1を樹脂ケース2に接着剤などにより固定しても良い。
本実施の形態1では、突起2dにより、樹脂ケース2の底壁部2nと凹部3aの底面3dとの間に間隔を設けている。しかし、図9に示すように、樹脂ケース2に設けた突起2f、及び筐体3に設けた穴3cにより、樹脂ケース2の底壁部2nと凹部3aの底面3dとの間に間隔を設けるようにしても良い。そのようにした場合、突起2dは、設けなくとも良い。
図9に示すような構造を採用した場合、底壁部2nと底面3dとの間の間隔は、突起2f、接続部2e、及び穴3cによって決定される。このため、突起2dを設けた場合と同様に、コイル12の寸法バラツキによる絶縁性への影響を抑制することができる。そのため、より確実に絶縁性を確保することができる。
樹脂ケース2の底壁部2nに設ける開口部2aとしては、図10に示すように、リアクトル1の有するコア11の最大外径未満の大きさの穴2jを含めても良い。穴2jの位置は、コア11の中心と許容範囲内で一致する位置とするのが好ましい。これは、トロイダル形状のリアクトル1では、通常、コア11内径より内側部分の熱密度がより高く、この内側部分で最高温度となるためである。そのため、樹脂ケース2の底壁部2nに、穴2jを開口部2aの一つとして設けることにより、リアクトル1の熱密度が最も高い領域に接する樹脂4の割合を最大化できる。言い換えれば、リアクトル1から筐体3の底面3dまでの熱抵抗を、より小さくさせることができる。従って、放熱性能をより向上させることができる。穴2jは、本実施の形態1の変形例における貫通穴に相当する。
図10に示すような穴2jを設ける場合、図11に示すように、穴2jの位置に合わせて、コイル12との絶縁性を確保できる高さの凸部3hを、底面3dに1つ以上、設けても良い。穴2jに対向する位置に凸部3hを設けることにより、リアクトル1から筐体3の底面3dまでの樹脂4の厚みがより小さくなることから、熱抵抗を、より小さくさせることができる。そのため、放熱性能を更に向上させることができる。凸部3hは、本実施の形態1の変形例における第2の凸部に相当する。
本実施の形態1では、リアクトル1、樹脂ケース2、及び樹脂板15を一体化したモジュールを完成させた後、凹部3aにモジュールを収納し、硬化後の充填材である樹脂4により固定するようにしている。樹脂ケース2にリアクトル1を収納させることにより、コイル12と筐体3との間の絶縁性、及び耐振性を確保しつつ、より高い放熱性能を実現させている。樹脂ケース2にリアクトル1を収納してモジュール化した場合、モジュール組み付けは容易に行うことができ、モジュールの凹部3aへの収納も容易に行うことができる。そのため、電力変換装置10の製造コストの削減に寄与する。
本実施の形態1では、より確実な絶縁を可能にするための樹脂壁2i、及び樹脂壁2hは、樹脂ケース2に設けられている。樹脂壁2i及び樹脂壁2hを樹脂ケース2に設けることにより、部品点数の増大が抑えられ、電力変換装置10の組み立てはより容易となる。しかし、樹脂壁2h及び2iのうちの少なくとも一方を、樹脂ケース2とは異なる部品に設けても良い。例えば樹脂壁2hは、樹脂板15に設けても良い。樹脂壁2hを樹脂板15に設けても、部品点数の増大は抑えられることから、電力変換装置10の製造コストの抑制に効果がある。樹脂壁2iを樹脂壁15に設けても、部品点数の増大は抑えられることから、電力変換装置10の製造コストの抑制に効果がある。
または、樹脂壁2h及び2iのうちの一方を、一つ以上の部品としても良い。例えば樹脂壁2iとして、絶縁シートを用いても良い。絶縁シートを樹脂壁2iとして用いた場合、コイル12と筐体3の側面3eとの間の絶縁を確保しつつ、その間に存在する樹脂4の厚みをより小さくさせることができる。このため、電力変換装置10の小型化に寄与する。
実施の形態2.
図12は、本発明の実施の形態2に係る電力変換装置を示す側断面図、図13は、本発明の実施の形態2に係る電力変換装置に採用されたリアクトルを含むモジュールを示す斜視図である。本実施の形態2では、樹脂ケース2、樹脂板15の形状、樹脂4の充填量、樹脂板15の上部が上記実施の形態1と異なっている。そのため、上記実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
本実施の形態2では、図12及び図13に示すように、樹脂板15の上部、つまり樹脂板15のモジュール側とは反対側に放熱板6が追加されている。放熱板6は、筐体3の凹部3aに挿入可能な外径を有している。放熱板6には、端子部12a〜12dを通す開口部6a、及び突起2cを通す開口部6bが設けられている。そのため、放熱板6は、図12に示すように、凹部3a内の樹脂板15の上、つまり樹脂板15のリアクトル1側とは反対側に重ねることができる。突起2cを開口部6bに通すことにより、放熱板6の平面方向が位置決めされる。開口部6aは、本実施の形態2における第4の開口部に相当し、開口部6bは、本実施の形態2における第5の開口部に相当する。
樹脂4は、放熱板6の上まで凹部3a内に充填されている。樹脂4は、コイル12と筐体3との間、放熱板6と筐体3との間、放熱板6と不図示の周辺部品との間の確実な絶縁を実現させる。このため、本実施の形態2では、樹脂壁2iは省かれている。
放熱板6は、例えば金属平板をプレス金型などにより打ち抜くことで製造される。この製造方法では、放熱板6を低コストで製造することができる。また、放熱板6は、金属平板に切削加工を施すことにより製造することもできる。放熱板6の製造方法は、特に限定されない。放熱板6は、金属であることから、高い熱伝導性を有している。放熱板6とコイル12との間には、樹脂4もしくは樹脂板15が存在する。そのため、放熱板6とリアクトル1との間の絶縁が確保されている。放熱板6と樹脂板15との間は、例えばギャップ充填剤によって熱的に接続されている。
次に、本実施の形態2におけるリアクトル1の冷却上の効果について具体的に説明する。
上記のように、コア11の内径より内側部分は、最も温度上昇の大きい部分である。上記実施の形態1では、コア11の内径より内側部分の熱量は、主に底面3dに流れるようになっている。しかし、本実施の形態2では、図12に示すように、樹脂板15の上部に放熱板6を追加し、放熱板6の上部まで樹脂4が存在する。そのため、コア11の内径より内側部分の熱量を筐体3に流す放熱経路として、内側部分→樹脂4→樹脂板15→樹脂4→側面3eにより形成される放熱経路、内側部分→樹脂4→樹脂板15→放熱板6→樹脂4→側面3eにより形成される放熱経路、及び内側部分→樹脂4→側面3eにより形成される放熱経路、が追加される。このような放熱経路の追加により、コア11の内径より内側部分と筐体3との間の熱抵抗は、より小さくなる。従って、本実施の形態2では、上記実施の形態1と比較して、より高い放熱性能が実現される。より高い放熱性能の実現により、上記実施の形態1と比較して、電力変換装置10の小型化、高効率化、軽量化、及び低コスト化が可能となる。樹脂板15の熱量は、放熱板6及び樹脂4を介して筐体3の側面3eに放熱できることから、上部に設置されたプリント配線板5の低温下も実現される。
放熱板6は、リアクトル1、樹脂ケース2、及び樹脂板15と共に一体化され、モジュールとして筐体3の凹部3aに収納される。そのため、上記実施の形態1と同様に、高い組立性が実現される。放熱板6は樹脂4に覆われるため、放熱板6と端子部12a〜12dとの間の絶縁を、確実に確保することができる。
なお、樹脂板15は、図14及び図15に示すように、例えば中心部に穴15cを設けても良い。この穴15cは、樹脂4となる充填材を充填した凹部3aにモジュールを挿入した際に、樹脂板15の下方に存在する空気を排除するためのものである。そのため、穴15cを設ける場合、図14に示すように、放熱板6は樹脂板15から離して配置する。図14に示す例では、放熱板6の上下に突出する2つの柱状部7を設け、放熱板6を樹脂板15から上部に離している。このように、柱状部7は、放熱板6の上下方向の相対的な位置決めに用いられている。
図14に示すように、樹脂板15と放熱板6とを離すことにより、樹脂板15の下方に存在する空気を効率的に排除することができる。空気の排除により、コア11の内径より内側部分と筐体3との間の熱抵抗を、より小さくすることができる。またさらに、この穴15c内が樹脂4で充填されることにより、コア11より内側部分の熱量を筐体3に流す放熱経路として、内側部分→樹脂4→放熱板6→樹脂4→側面3eが追加され、コア11より内側部分と筐体3との間の熱抵抗を、より小さくすることができる。つまり樹脂板15に穴15cを設けることで、より高い放熱性能を、より確実に実現できるようになる。
柱状部7は、例えばPBTなどの電気絶縁性の樹脂であり、放熱板6にインサート成形により設けることができる。柱状部7を樹脂とした場合、樹脂4となる充填材は、柱状部7を覆うように充填しなくとも良い。つまり図12に示すように、樹脂4となる充填材は、放熱板6を覆うことができるように充填すれば良い。
また、放熱板6には、図16に示すように、樹脂板15の穴15bの位置に合わせ、穴15cより小さい外径の凸部6cを樹脂板15側に設けても良い。このような凸部6cを設けることにより、放熱板6とコア11の内径より内側部分との間に存在する樹脂4の厚みを、より小さくさせることができる。このため、コア11の内径より内側部分と筐体3との間の熱抵抗を、更に小さくすることができ、更に高い放熱性能が実現される。凸部6cは、本実施の形態2の変形例2における第1の凸部に相当する。
凸部6cの上下方向の高さは、凸部6cの先端が穴15c内に存在し、且つ樹脂板15のリアクトル1側まで突出しない高さとするのが好ましい。これは、空気の排除を可能にしつつ、放熱板6とリアクトル1との間の絶縁を確実に確保するためである。
図17に示すように、放熱板6には、1つ以上の穴6dを更に設けても良い。この穴6dにより、放熱板6の下方に存在する空気の排除を、より確実に行えるようになる。そのため、放熱板6に穴6dを設けない場合と比較して、コア11の内径より内側部分と筐体3との間の熱抵抗を、より確実に小さくすることができ、高い放熱性能も、より確実に実現される。穴6dは、本実施の形態2の変形例3における第5の穴に相当する。
穴6dを設ける場合、図18に示すように、凸部6cを放熱板6に設けるようにしても良い。凸部6cを設けることにより、コア11の内径より内側部分と筐体3との間の熱抵抗を、更に確実に小さくすることができ、高い放熱性能も、更に確実に実現される。
凸部6cの先端部分には、図19に示すように、穴6eを設けても良い。この穴6eは、排除すべき空気を通す通路となる。また、放熱板6を含むモジュールを凹部3a内に挿入する際には、空気だけでなく、樹脂4が通る通路ともなる。そのため、穴6eは、高い放熱性能の確実な実現とともに、凹部3aへのモジュールの収納の迅速化を可能にする。穴6eは、本実施の形態2の変形例5における第3の穴に相当する。
穴15cは、図14及び図17に示す各例では、本実施の形態2における第2の穴に相当し、図16、図18及び図19に示す各例では、本実施の形態2における第4の穴に相当する。図16、図18及び図19に示す各例では、穴15cとは別に、第2、第4の穴に相当する穴を設けても良い。第4の穴に相当する穴を設けた場合、設けた穴に合わせた凸部6cとは別の凸部を設けることが可能となる。凸部の数を増やすほど、放熱はより効率的に行えるようになる。
放熱板6の径方向の端部には、図20に示すように、樹脂板15と筐体3の側面3eとの間に先端が突出する壁6fを設けても良い。壁6fは、樹脂4より高い熱伝導性を有している。そのため、壁6fを設けることにより、樹脂板15と筐体3の側面3eとの間の熱抵抗を更に小さくすることができ、放熱性能は向上することになる。壁6fは、本実施の形態2の変形例6における板状の突出部に相当する。
壁6fが存在しない場合、樹脂板15と筐体3の側面3eとの間には、樹脂板15→放熱板6と樹脂板15との間に存在する樹脂4→筐体3の側面3e、により形成される放熱経路、及び樹脂板15→樹脂4→筐体3の側面3e、により形成される放熱経路、が存在する。これら2つの放熱経路は、壁6fを設けることにより、樹脂板15→放熱板6と樹脂板15との間に存在する樹脂4→壁6f→樹脂4→筐体3の側面3e、により形成される放熱経路、及び樹脂板15→樹脂4→壁6f→樹脂4→筐体3の側面3e、により形成される放熱経路、に変化する。この結果、熱量が伝導される樹脂4の長さが短くなり、短くなった分は壁6fが熱量の伝導経路となる。このため、壁6fを設けることにより、樹脂板15と筐体3の側面3eとの間の熱抵抗を更に小さくすることができる。
凸部6c、穴6eを含む凸部6cは、例えばプレス加工により、放熱板6に設けることができる。穴6eを含む凸部6cは、切削加工により、放熱板6に設けることもできる。また、壁6fは、板金に対して曲げ加工を施すことにより形成させることができる。壁6fは、切削加工により形成させても良い。切削加工は、プレス加工と比較して、より高精度な加工が可能である。そのため、高い精度が要求される場合、壁6fの形成には、プレス加工より切削加工を用いるのが好ましい。
実施の形態3.
図21は、本発明の実施の形態3に係る電力変換装置を示す側断面図である。本実施の形態3では、樹脂ケース2の底壁部2nと筐体3の底面3dとの間に間隔を設ける実現方法が上記実施の形態1と異なっている。そのため、上記実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
本実施の形態3では、図21に示すように、筐体3の底面3d全体に絶縁シート8を設置し、樹脂ケース2の底壁部2nと筐体3の底面3dとの間に絶縁シート8を挟んでいる。それにより、樹脂ケース2の底壁部2nと筐体3の底面3dとの間を離すと共に、リアクトル1と筐体3との間の絶縁を確保させている。絶縁シート8としては、例えばシリコーン系ゴムを用いた電気絶縁性に優れたシートが好ましい。
樹脂ケース2には、破損、湾曲等が発生する恐れがある。リアクトル1は、重量が比較的重く、且つ発熱し、樹脂ケース2及び樹脂4は、経時劣化する。このことから、特に底壁部2nに破損、湾曲等が発生する恐れが高い。底壁部2nの破損、湾曲等は、底壁部2nと底面3dとの間に存在する樹脂4にも悪影響を及ぼす恐れが高い。これらのことから、底壁部2nに破損、湾曲等が発生した場合、リアクトル1と筐体3との間の絶縁が確保できない恐れがある。
しかし、図21に示すように、樹脂ケース2の底壁部2nと筐体3の底面3dとの間に絶縁シート8を配置した場合、例え底壁部2nに破損、湾曲等が発生したとしても、リアクトル1と筐体3との間の絶縁を確保することができる。そのため、上記実施の形態1と比較して、高い耐久性を実現でき、信頼性が向上することとなる。放熱性能は、上記実施の形態1と同等のレベルを実現できる。
1 リアクトル、2 樹脂ケース、2a 開口部(第1の開口部)、2b 開口部(第2の開口部)、2c 突起(第2の突起)、2d 突起(第1の突起)、2f 突起(第3の突起)、2h 樹脂壁(板状部)、2i 樹脂壁(絶縁性部材)、2j 穴(貫通穴)、2m 側壁部、2n 底壁部、2o 凹部(第1の凹部)、3 筐体、3a 凹部(第2の凹部)、3c 穴(第6の穴)、3f 縁、3h 凸部(第2の凸部)、4 樹脂、6 放熱板、6a 開口部(第4の開口部)、6b 開口部(第5の開口部)、6c 凸部(第1の凸部)、6d 穴(第5の穴)、6e 穴(第3の穴)、6f 壁(板状の突出部)、8 絶縁シート、10 電力変換装置、11 コア、12 コイル、12a〜12d 端子部、13 ボビン、15 樹脂板(板状部材)、15a 開口部(第3の開口部)、15b 穴(第1の穴)、15c 穴(第2の穴、第4の穴)。
本発明に係るリアクトルの冷却構造は、第1の開口部が設けられた底壁部、及び第2の開口部が設けられた側壁部により、コアにコイルが巻かれたトロイダル形状のリアクトルを収納する第1の凹部が形成されたケースと、第1の凹部内にリアクトルが収納されたケースをモジュールとして収納する第2の凹部が設けられた筐体と、モジュールが収納された第2の凹部内に、底壁部、リアクトルの少なくとも一部、及び側壁部に設けられた第2の開口部の少なくとも一部を含む位置まで存在する、第2の凹部内に充填材として充填された樹脂と、コイルの樹脂に覆われていない部分と第2の凹部の側面との間に配置された絶縁性部材と、を備えている。

Claims (24)

  1. 第1の開口部が設けられた底壁部、及び第2の開口部が設けられた側壁部により、コアにコイルが巻かれたトロイダル形状のリアクトルを収納する第1の凹部が形成されたケースと、
    前記第1の凹部内に前記リアクトルが収納された前記ケースをモジュールとして収納する第2の凹部が設けられた筐体と、
    前記モジュールが収納された前記第2の凹部内に、前記底壁部、前記リアクトルの少なくとも一部、及び前記側壁部に設けられた前記第2の開口部の少なくとも一部を含む位置まで存在する、前記第2の凹部内に充填材として充填された樹脂と、
    を備えるリアクトルの冷却構造。
  2. 前記ケースの前記底壁部と前記筐体の底面との間の間隔を確保するための第1の突起が設けられている、
    請求項1に記載のリアクトルの冷却構造。
  3. 前記第1の突起は、前記ケースに設けられ、前記底面と接する、
    請求項2に記載のリアクトルの冷却構造。
  4. 前記コイルの前記樹脂に覆われていない部分と前記第2の凹部の側面との間に配置された絶縁性部材、
    を更に備える請求項1から3の何れか1項に記載のリアクトルの冷却構造。
  5. 前記第2の凹部に収納した前記モジュールの前記底壁部側とは反対側に設置され、前記コアに巻かれたコイルの端子部が貫通する1つ以上の第1の穴が設けられた板状部材、
    を更に備える請求項1から4の何れか1項に記載のリアクトルの冷却構造。
  6. 前記第2の凹部内に、前記板状部材の前記モジュール側とは反対側に収納される放熱板、を更に備え、
    前記樹脂は、前記放熱板を覆う位置まで存在する、
    請求項5に記載のリアクトルの冷却構造。
  7. 前記ケースには、前記底壁部側の反対側に突出する第2の突起が設けられ、
    前記板状部材には、前記第2の突起を通す第3の開口部が設けられている、
    請求項6に記載のリアクトルの冷却構造。
  8. 前記放熱板には、前記第2の突起を通す第5の開口部が設けられている、
    請求項7に記載のリアクトルの冷却構造。
  9. 前記端子部と前記第2の凹部の側面との間に配置された絶縁性の板状部、
    を更に備える請求項6から8の何れか1項に記載のリアクトルの冷却構造。
  10. 前記板状部材には、少なくとも1つ以上の第2の穴を設けている、
    請求項6から9の何れか1項に記載のリアクトルの冷却構造。
  11. 前記放熱板には、前記端子部を通す第4の開口部が設けられている、
    請求項6に記載のリアクトルの冷却構造。
  12. 前記放熱板には、前記モジュール側に突出する第1の凸部が設けられている、
    請求項6から11の何れか1項に記載のリアクトルの冷却構造。
  13. 前記第1の凸部には、第3の穴が形成されている、
    請求項12に記載のリアクトルの冷却構造。
  14. 前記板状部材には、前記第1の凸部が挿入可能な第4の穴が設けられている、
    請求項12または13に記載のリアクトルの冷却構造。
  15. 前記放熱板には、前記板状部材と前記第2の凹部の側面との間に突出する板状の突出部が設けられている、
    請求項6から14の何れか1項に記載のリアクトルの冷却構造。
  16. 前記放熱板には、少なくとも1つ以上の第5の穴が設けられている、
    請求項6から15の何れか1項に記載のリアクトルの冷却構造。
  17. 前記絶縁性部材は、前記ケースに設けられている、
    請求項4に記載のリアクトルの冷却構造。
  18. 前記板状部は、前記ケースに設けられている
    請求項9に記載のリアクトルの冷却構造。
  19. 前記板状部は、前記板状部材に設けられている、
    請求項9に記載のリアクトルの冷却構造。
  20. 前記底壁部に設けられた前記第1の開口部には、前記リアクトルを構成する前記コアの最大外径未満の外径に形成された貫通穴が含まれる、
    請求項1から19の何れか1項に記載のリアクトルの冷却構造。
  21. 前記第2の凹部の底面には、前記貫通穴に対向する位置に第2の凸部が設けられている、
    請求項20に記載のリアクトルの冷却構造。
  22. 前記第2の凹部の底面に設置された絶縁シート、を更に備え、
    前記筐体と前記リアクトルとの間は、前記絶縁シートを介して熱的に接続されている、
    請求項1から21の何れか1項に記載のリアクトルの冷却構造。
  23. 前記筐体の前記第2の凹部の縁には、第6の穴が設けられ、
    前記ケースには、前記モジュールを前記第2の凹部に収納した場合に、前記第6の穴内に挿入される第3の突起が設けられている、
    請求項1から22の何れか1項に記載のリアクトルの冷却構造。
  24. 請求項1から23の何れか1項に記載のリアクトルの冷却構造、
    を有する電力変換装置。
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