JP2020061279A - 非水電解質蓄電デバイス用電極 - Google Patents

非水電解質蓄電デバイス用電極 Download PDF

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Abstract

【課題】スラリーのpHの上昇が抑制されるため、正極、負極ともに水塗工法による製造が可能であり、電気化学特性が良好で信頼性も高い非水電解質蓄電デバイス用電極、その製造方法、及び該電極を備えた非水電解質蓄電デバイスを提供すること。【解決手段】集電体上に、正極活物質又は負極活物質と、導電剤、バインダー及び増粘剤を含む活物質層からなる非水電解質蓄電デバイス用電極であって、前記正極活物質及び負極活物質が遷移金属酸化物であり、前記増粘剤がナトリウム成分を含まないカルボキシメチルセルロースの塩を含有する、非水電解質蓄電デバイス用電極、その製造方法、及び該電極を備えた非水電解質蓄電デバイス。【選択図】なし

Description

本発明は、非水電解質蓄電デバイス用電極、その製造方法、及び該電極を備えた非水電解質蓄電デバイスに関する。
非水電解質蓄電デバイスはリチウムイオン電池やリチウムイオンキャパシタ等に分類されるが、特にリチウムイオン電池は高エネルギー密度なことから種々のポータブル電子機器電源や電気自動車電源、産業用蓄電デバイス等に用いられており、さらなる高エネルギー密度化、安全性の向上、生産性の効率化等が求められている。
非水電解質蓄電デバイス用電極の製造方法には、有機塗工法と水塗工法があり、従来、正極の製造には有機塗工法が、負極の製造には水塗工法が主に採用されている。
有機塗工法には、溶媒としてポリビニルピロリドン(NMP)が、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)が汎用されている。
一方、水塗工法では、スチレンブタジエンラバー(SBR)エマルジョン等のゴム系のバインダーと、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の増粘剤が共に用いられている。
特許文献1には、正極と、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素質物及び結着剤を含む負極と、非水電解質とを具備した非水電解質二次電池であって、前記結着剤は、カルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩(CMC−NH)を含むことを特徴とする非水電解質二次電池が開示されている。これは、リチウムイオン電池においてカーボン負極の水塗工改良をねらったものであるが、CMC−NHとSBRのエマルジョンとを組み合わせたもので過充電時の異常発熱を抑制しようとする旨が記載されている。
特許文献2には、リチウムイオンを吸蔵・放出することが可能な負極活物質と増粘剤と結着剤とを含有する負極スラリーを負極集電体に塗着して形成された非水電解質二次電池用負極板であって、前記増粘剤はカルボキシルメチルセルロースアンモニウム塩(CMCアンモニウム塩)であるとともに、前記負極板の表面に無機酸化物の被覆層が形成されているとともに、該被覆層はジアセトンアルコールからなる溶媒に分散された前記無機酸化物を塗布することにより形成されていることを特徴とする非水電解質二次電池用負極板が開示されている。特許文献2には、黒鉛負極に、増粘剤としてCMC−NHを用いるとともに、該CMC−NHが膨張することによって活物質が脱落しないようにジアセトンアルコールからなる溶媒に無機酸化物を分散させ塗布して保護する旨が記載されている。
特許文献1、2はいずれも、本質的にはカーボン負極でのガス発生抑制や活物質脱落を狙ったものでカーボン負極の改良を特徴としている。
特許文献3には、正極及び負極、並びにリチウムイオンを移送可能な電解質を備え、正極のバインダーとして、フッ素重合体とアクリル重合体が用いられたリチウムイオンキャパシタが開示されている。特許文献3には、リチウムイオンキャパシタにおいて、含フッ素重合体とアクリル重合体からなるバインダーを、活性炭やポリアセン系有機半導体(PAS)正極のバインダーとして用いることが提案されており、その効果は高容量、高エネルギー密度、高出力、低抵抗、高耐電圧が得られる旨が記されている。
特許文献4には、正極と、含フッ素アクリルバインダーを含む負極活物質層を有する負極とを有し、前記負極活物質層の密度が0.75g/cc以上1.10g/cc以下である、蓄電デバイスが開示されている。特許文献4に記載の技術は、特許文献3の応用編とも受け止められるが、負極活物質は、黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、コークス及びポリアセン系有機半導体からなる群より選ばれる少なくとも一種の活物質と記載されている。
特開2005−100773号公報 特開2010−73547号公報 特開2009−246137号公報 国際公開第2012/86340号
有機塗工法は元々スラリーに水が含まれていないため、乾燥し易く水を嫌うリチウムイオン電池やリチウムイオンキャパシタには非常に適している。しかしながら、有機塗工法に汎用されているPVDFやNMPは高価であるうえに、環境に含まれる水分の悪影響を受け易いため水分管理が難しく、また加工設備も防爆構造としなければならないので環境負荷が大きくそれにかかる費用も大きい。
このような状況下、安価で安全性に優れる水塗工法が研究され一部に実用化されている。
しかしながら、水塗工法には、水系スラリーはpHが高くなり易く、pHが高すぎるとゲル化し易くなって均一な塗工が困難であり、不均一塗工により非水電解質蓄電デバイスの内部抵抗が上昇したり電気化学特性が低下したりするという課題があると同時に、pHの上昇によるバインダーの劣化により結着強度が弱まり電池内部抵抗の上昇や電気容量の低下、充放電サイクル寿命の低下等を招くため実用化がなかなか容易ではないのが現状である。
さらに電極によっては、内部のリチウムイオン等の溶出も加わりpHが12付近になると集電体がアタックされ、腐食により多数のピンホールが生成してしまい、集電体の強度、導電能力が低下すると同時に、腐食物が電池の品質に悪影響を及ぼしてしまうのでもはや電池にはならないような状況となってしまう場合もある。
本発明は、スラリーのpHの上昇が抑制されるため、正極、負極ともに水塗工法による製造が可能であり、電気化学特性が良好で信頼性も高い非水電解質蓄電デバイス用電極、その製造方法、及び該電極を備えた非水電解質蓄電デバイスを提供することにある。
本発明は、
〔1〕 集電体上に、正極活物質又は負極活物質と、導電剤、バインダー及び増粘剤を含む活物質層からなる非水電解質蓄電デバイス用電極であって、前記正極活物質及び負極活物質が遷移金属酸化物であり、前記増粘剤がナトリウム成分を含まないカルボキシメチルセルロースの塩を含有する、非水電解質蓄電デバイス用電極、
〔2〕 ナトリウム成分を含まないカルボキシメチルセルロースの塩が、カルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩である、前記〔1〕記載の非水電解質蓄電デバイス用電極、
〔3〕 ナトリウム成分を含まないカルボキシメチルセルロースの塩の含有量が、活物質層中、0.5〜3.0質量%である、前記〔1〕又は〔2〕記載の非水電解質蓄電デバイス用電極、
〔4〕 バインダーが、アクリル樹脂を含有する、前記〔1〕〜〔3〕いずれか記載の非水電解質蓄電デバイス用電極、
〔5〕 アクリル樹脂が、フッ素成分を含むアクリル樹脂である、前記〔4〕記載の非水電解質蓄電デバイス用電極、
〔6〕 バインダーの含有量が、活物質層中、1.0〜3.0質量%である、前記〔1〕〜〔5〕いずれか記載の非水電解質蓄電デバイス用電極、
〔7〕 正極活物質が、ニッケル・コバルト・マンガン酸化物、コバルト酸リチウム、ニッケル・コバルト・アルミニウム酸化物、マンガンスピネル、ハイニッケル酸化物、及びニッケル・マンガンスピネルからなる群より選ばれた少なくとも1種である、前記〔1〕〜〔6〕いずれか記載の非水電解質蓄電デバイス用電極、
〔8〕 負極活物質が、スピネル型チタン酸リチウム、酸化シリコン、酸化錫、五酸化ニオブ、及びチタンニオブ酸化物からなる群より選ばれた少なくとも1種である、前記〔1〕〜〔7〕いずれか記載の非水電解質蓄電デバイス用電極、
〔9〕 正極活物質又は負極活物質と、導電剤、バインダー、増粘剤及び水を含有するスラリーを、集電体上に塗工する工程、並びに塗工したスラリーを乾燥させる工程を含む、非水電解質蓄電デバイス用電極の製造方法、
〔10〕 前記〔1〕〜〔9〕いずれか記載の電極を備えた非水電解質蓄電デバイス、
〔11〕 リチウムイオン電池である、前記〔10〕記載の非水電解質蓄電デバイス、並びに
〔12〕 リチウムイオンキャパシタである、前記〔10〕記載の非水電解質蓄電デバイス
に関する。
本発明の非水電解質蓄電デバイス用電極は、スラリーのpHの上昇が抑制されるため、正極、負極ともに水塗工法による製造が可能であり、電気化学特性が良好で信頼性も高いという効果を奏するものである。
図1は、本発明の電池の一実施形態であるラミネート型非水電解質蓄電デバイスの概略断面図である。 図2は、図1に示すラミネート型非水電解質蓄電デバイスの上面図である。 図3は、実施例で作製した電気化学特性測定用電池の概略断面図である。
本発明の非水電解質蓄電デバイス用電極は、集電体上に、正極活物質又は負極活物質と、導電剤、バインダー及び増粘剤を含む活物質層を有するものであり、正極活物質及び負活極物質が遷移金属酸化物であり、増粘剤がナトリウム成分を含まないカルボキシメチルセルロースの塩である点に大きな特徴を有する。
一般的に、活物質を含まない、カルボキシメチルセルロース(CMC)の塩の単独の組成のスラリーのpHは5〜8であり中性付近又は弱酸領域で安定化しているのに対し、リチウムを含有する活物質を混合したスラリーの状態では活物質より微量であるもののリチウムイオンが溶出する影響のためかpHが上昇し易くなる。
さらに、増粘剤として汎用されているCMCの塩について検討してみると、CMCのナトリウム塩(CMC−Na)を用いたスラリーは、ナトリウム成分を含まないCMCのアンモニウム塩(CMC−NH)に比べて、pHが上昇しやすいことが判明した。これは、なんらかの相互作用によりスラリー中にNa成分やNH 成分が溶出するため、強アルカリのNa成分を含むCMC−Naはその分pHが高くなり、弱アルカリのNH 成分を含むCMC−NHの場合pH上昇はするもののその上昇度合いが抑えられるものと推察される。
本発明では、増粘剤としてナトリウム成分を含まないカルボキシメチルセルロースの塩、好ましくはCMC−NHを用いることによって、スラリーのpH上昇が抑制され、スラリーがゲル化しにくく安定するため、正極及び負極ともに、活物質として遷移金属酸化物を用いた水塗工法により、非水電解質蓄電デバイス用電極を製造することができる。
ナトリウム成分を含まないカルボキシメチルセルロースの塩の含有量は、活物質層中、好ましくは0.5〜3.0質量%、より好ましくは1.0〜2.0質量%である。
増粘剤の含有量は、活物質(正極活物質又は負極活物質)100質量部に対して、好ましくは0.5〜3質量部、より好ましくは0.7〜2質量部、さらに好ましくは1.0〜1.7質量部である。
なお、本発明の効果が損なわれない範囲で、ナトリウム成分を含まないカルボキシメチルセルロースの塩以外の増粘剤が含まれていてもよいが、ナトリウム成分を含まないカルボキシメチルセルロースの塩の含有量は、増粘剤中、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。
活物質としては、電極の極性によって、正極には正極活物質が、負極には負極活物質が、それぞれ用いられる。従来、リチウムイオン電池では、正極では金属酸化物が、負極ではカーボン系物質を用いるのが主流であり、リチウムイオンキャパシタでは、正極、負極ともカーボンや活性炭、ポリアセン等が用いられているが、本発明では、いずれの電極にも遷移金属酸化物が用いられる。
正極活物質としては、ニッケル・コバルト・マンガン酸化物(LiNiCoMn,x+y+z=1三元系物質)、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル・コバルト・アルミニウム酸化物(NCA)、マンガンスピネル(LiMn)、ハイニッケル酸化物、及びニッケル・マンガンスピネル(LiNi1/2Mn3/2)からなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。
負極活物質としては、スピネル型チタン酸リチウム(LiTi12、以下、LTOともいう)、酸化シリコン(SiO)、酸化錫(SnO)、五酸化ニオブ(Nb)、及びチタンニオブ酸化物(TiNb2−X,X=0〜0.2)からなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。
導電剤としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、グラファイト、金属粉末等が挙げられる。
導電剤の含有量は、活物質層中、通常、3〜10質量%程度が好ましい。
バインダーとしては、アクリル樹脂、スチレンブタジエンラバー(SBR)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)エマルジョン、FEP(テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレン共重合体)エマルジョン等が挙げられるが、これらの中では、アクリル樹脂を含むことが好ましい。本発明では、増粘剤としてナトリウム成分を含まないCMCを用いるため、強アルカリには侵されるが弱アルカリには安定なアクリル樹脂も好適に用いることができる。アクリル樹脂は、5V以上の高電位にも耐え得るため0V以上低電位の負極から5Vクラスの高電位正極まで幅広く使用することができ、かつ電気抵抗が低く、大電流特性等の電気化学特性を有することに加え、100℃以上の高温乾燥も可能な耐熱性も有するという特性を有している点においても、水塗工法に適しており、本発明では、これらの特性を十分に発揮することができる。
アクリル樹脂の含有量は、バインダー中、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。
アクリル樹脂としては、アクリル系単量体に由来する構造単位を40質量%以上含有するアクリル重合体が好ましく、本発明においては、フッ素成分を含むアクリル樹脂が好ましい。なお、アクリル系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、後述の(b)成分において記載の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
フッ素成分を含むアクリル樹脂は、アクリル系単量体に由来する構造単位と、フッ素原子を含有すれば特に制限されないが、
(a)成分:含フッ素重合体と、
(b)成分:(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を含有するアクリル重合体と
を含む重合体組成物(本発明において「特定の重合体組成物」ともいう)を含有することが好ましい。
前記(a)成分は、含フッ素重合体であり、含フッ素単量体に由来する構成単位の割合が重合体全体の50質量%以上である重合体のことをいう。
前記(a)成分を形成するために用いられる重合性単量体(以下「重合性単量体(A)」ともいう)としては、具体的には、(a−1)フッ化ビニリデン及び(a−2)六フッ化プロピレンを用いることが好ましい。
また、前記重合性単量体(A)としては、前記(a−1)及び(a−2)に加えて、さらに前記(a−1)及び(a−2)以外の、(a−3)その他の不飽和単量体を用いてもよい。
(a−3)その他の不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸i−アミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸n−デシル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有化合物;スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;フッ化ビニル、テトラフルオロエチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル系化合物;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の共役ジエン類、エチレンの他、後述する官能基含有不飽和単量体(但し、下記(b−1)以外の(メタ)アクリロイル基含有単量体を除く)を挙げることができる。これらのその他の不飽和単量体は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(a)成分は、粒子状であることが好ましく、この場合の50%体積累積径(以下「D50」ともいう)は、好ましくは100〜400nmであり、より好ましくは100〜300nmである。
なお、本発明において、D50の値は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置「LA−950V2」(堀場製作所製)を使用して測定される値である。
(a)成分における(a−1)フッ化ビニリデンに由来する構成単位(以下「フッ化ビニリデン成分」ともいう)の割合は、(a)成分の全体を100質量%としたときに80〜95質量%であることが好ましく、80〜93質量%であることがより好ましく、82〜93質量%であることがさらに好ましい。
フッ化ビニリデン成分の割合が前記範囲の下限を下回る場合、得られる(a)成分の(b)成分に対する相溶性が低くなる傾向にあるため、後述する(a)成分の粒子体をシードとして(b)成分による外殻が形成されることで得られる複合化された構造(以下「複合構造」ともいう)を有する特定の重合体組成物が層分離し易い場合がある。
一方、フッ化ビニリデン成分の割合が前記範囲の上限を超える場合、得られる(a)成分の粒子体をシードとした(b)成分を形成するために用いられる重合性単量体のシード重合が起こりにくい傾向にあるため、複合構造を有する特定の重合体組成物を得る場合に、該組成物が層分離し易い場合がある。
また、(a)成分における(a−2)六フッ化プロピレンに由来する構成単位(以下「六フッ化プロピレン成分」ともいう)の割合は、(a)成分の全体を100質量%としたときに2〜20質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましく、7〜18質量%であることがさらに好ましい。
六フッ化プロピレン成分の割合が前記範囲の下限を下回る場合、得られる(a)成分の粒子体をシードとした(b)成分を形成するために用いられる重合性単量体のシード重合が起こりにくい傾向にあるため、複合構造を有する特定の重合体組成物を得る場合に、該組成物が層分離し易い場合がある。
一方、六フッ化プロピレン成分の割合が前記範囲の上限を超える場合、得られる(a)成分の(b)成分に対する相溶性が低くなる傾向にあるため、複合構造を有する特定の重合体組成物を得る場合に、該組成物が層分離し易い場合がある。
さらに、(a)成分における(a−3)その他の不飽和単量体に由来する構成単位(以下「その他の不飽和単量体成分」ともいう)の割合は、(a)成分の全体を100質量%とした時に、0〜18質量%であることが好ましく、0〜13質量%であることがより好ましく、0〜10質量%であることがさらに好ましい。
(a)成分におけるその他の不飽和単量体成分の割合が、前記範囲の上限を超える場合、得られる(a)成分の(b)成分に対する相溶性が低くなる傾向があるため、複合構造を有する特定の重合体組成物を得る場合に、該組成物が層分離し易い場合がある。
(a)成分は、前記重合性単量体(A)を公知の方法で重合することにより得ることができる。重合法としては、乳化重合が好ましい。
前記(b)成分は、アクリル重合体であり、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位の割合が重合体全体の50質量%以上である重合体のことをいう。
前記(b)成分を形成するために用いられる重合性単量体(以下「重合性単量体(B)」ともいう)としては、具体的には、(b−1)(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び(b−2)官能基含有不飽和単量体を用いることが好ましい。
また、前記重合性単量体(B)としては、前記(b−1)及び(b−2)に加えて、さらに前記(b−1)及び(b−2)以外の、(b−3)その他の不飽和単量体を用いてもよい。
(b−1)(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、下記式(1)で表される化合物を挙げることができる。
式(1):CH2=CR1COOR2
(式(1)において、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数3〜18のシクロアルキル基を表す)
前記式(1)で表される化合物としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸i−アミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル等を挙げることができる。
これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(b−2)官能基含有不飽和単量体としては、例えば、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、アミド基、アミノ基、シアノ基、エポキシ基、スルホン酸基、スルホン酸塩基等を含有する不飽和単量体を挙げることができる。前記(b−2)としては、前記不飽和単量体の他に、さらに、前記(b−1)以外の(メタ)アクリロイル基含有単量体が挙げられる。これらのうち、カルボキシル基、アミド基、エポキシ基、シアノ基、スルホン酸基、スルホン酸塩基を含有する不飽和単量体、及び(b−1)以外の(メタ)アクリロイル基含有単量体が好ましい。
カルボキシル基を有する不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和ポリカルボン酸類;前記不飽和ポリカルボン酸の遊離カルボキシル基含有アルキルエステルや遊離カルボキシル基含有アミド類を挙げることができる。
カルボン酸無水物基を有する不飽和単量体としては、例えば、前記不飽和ポリカルボン酸の酸無水物類を挙げることができる。
アミド基を有する不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、α−クロロアクリルアミド、N,N'−メチレン(メタ)アクリルアミド、N,N'−エチレン(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、クロトン酸アミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸ジアミド等の不飽和カルボン酸アミド類を挙げることができる。
アミノ基を有する不飽和単量体としては、例えば、2−アミノメチル(メタ)アクリレート、2−メチルアミノメチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、2−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−n−プロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−n−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−アミノプロピル(メタ)アクリレート、2−メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレート、3−メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸のアミノアルキルエステル類;N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N−2−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−2−メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−2−エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−3−アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−3−メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミドのN−アミノアルキル誘導体類を挙げることができる。
シアノ基を有する不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等の不飽和ニトリル類;2−シアノエチル(メタ)アクリレート、2−シアノプロピル(メタ)アクリレート、3−シアノプロピル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸のシアノアルキルエステル類を挙げることができる。
エポキシ基を有する不飽和単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アリルグリシジルエーテル等の不飽和基含有グリシジル化合物を挙げることができる。
スルホン酸基、スルホン酸塩基を有する不飽和単量体としては、例えば、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸(塩)、イソプレンスルホン酸(塩)を挙げることができる。
(b−1)以外の(メタ)アクリロイル基含有単量体としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチルを挙げることができる。
以上の官能基含有不飽和単量体は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(b−3)その他の不飽和単量体としては、例えば、前述の(a−3)その他の不飽和単量体として例示した、芳香族ビニル化合物、ビニルエステル類、共役ジエン類、エチレンを挙げることができる。
以上のその他の不飽和単量体は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(b)成分における(b−1)(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位(以下「(メタ)アクリル酸アルキルエステル成分」ともいう)の割合は、(b)成分の全体を100質量%とした時に50〜98質量%であることが好ましく、60〜95質量%であることがより好ましく、70〜90質量%であることがさらに好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル成分の割合が前記範囲の下限を下回る場合、得られる(b)成分の(a)成分に対する相溶性が低くなる傾向にあるため、複合構造を有する特定の重合体組成物を得る場合に、該組成物が層分離し易い場合がある。一方、(メタ)アクリル酸アルキルエステル成分の割合が前記範囲の上限を超える場合、得られる特定の重合体組成物が、電極製造時に用いられるスラリー中において過度に体積膨潤するおそれがある。
前記特定の重合体組成物における(b)成分としては、特に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル成分の1種であるメタクリル酸メチルに由来する構成単位(以下「メタクリル酸メチル成分」ともいう)を含有する成分であることが好ましく、前記(b)成分がメタクリル酸メチル成分を含有する場合、当該メタクリル酸メチル成分の割合は、(b)成分の全体を100質量%としたときに10〜35質量%であることが好ましく、15〜33質量%であることがより好ましく、20〜30質量%であることがさらに好ましい。
メタクリル酸メチル成分の割合が前記範囲の下限を下回る場合、得られる(b)成分の(a)成分に対する相溶性が低くなる傾向にあるため、複合構造を有する特定の重合体組成物を得る場合に、該組成物が層分離し易いおそれがある。一方、メタクリル酸メチル成分の割合が前記範囲の上限を超える場合、得られる特定の重合体組成物が、電極製造時に用いられるスラリー中において過度に体積膨潤するおそれがある。
また、(b)成分における(b−2)官能基含有不飽和単量体に由来する構成単位(以下「官能基含有不飽和単量体成分」ともいう)の割合は、(b)成分の全体を100質量%としたときに0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5〜18質量%であることがより好ましく、0.8〜15質量%であることがさらに好ましい。
官能基含有不飽和単量体成分の割合が前記範囲の下限を下回る場合、得られる特定の重合体組成物が化学的安定性の低い組成物となって良好な水系分散体を得にくいおそれがある。一方、官能基含有不飽和単量体成分の割合が前記範囲の上限を超える場合、得られる特定の重合体組成物の粘度が過度に高くなって前記特定の重合体組成物が凝集し、その結果、良好な水系分散体を得にくいおそれがある。
さらに、(b)成分における(b−3)その他の不飽和単量体に由来する構成単位(以下「その他の不飽和単量体成分」ともいう)の割合は、(b)成分の全体を100質量%としたときに0〜49.9質量%であることが好ましく、0〜30質量%であることがより好ましく、0〜20質量%であることがさらに好ましい。
(b)成分におけるその他の不飽和単量体成分の割合が前記範囲の上限を超える場合、得られる(b)成分の(a)成分に対する相溶性が低くなる傾向にあるため、複合構造を有する特定の重合体組成物を得る場合に、該組成物が層分離し易い場合がある。
(b)成分は、前記重合性単量体(B)を公知の方法で重合することにより得ることができる。重合法としては、乳化重合が好ましい。
前記特定の重合体組成物中の(a)成分含有量は、好ましくは5〜20質量%、より好ましくは8〜15質量%である(但し、(a)成分と(b)成分との合計は100質量%である)。前記特定の重合体組成物中に(a)成分が前記範囲で含まれると、耐薬品性等に優れるバインダーが得られ、酸化還元耐性に優れる電極活物質層が得られる。また、静電容量が低下しにくく、良好なサイクル特性を有する蓄電デバイスが得られる。
前記特定の重合体組成物中の各成分の含有量は、用いる原料の量から確認でき、又は得られた組成物を、蛍光X線を用いて測定することで確認することができる。
前記特定の重合体組成物中に含有される含フッ素重合体が前記範囲の下限を下回る場合、得られるバインダーが耐薬品性等に劣ったバインダーとなるおそれがあり、得られる電極活物質層が酸化還元耐性に劣った層となるおそれがある。一方、特定の重合体組成物中に含有される含フッ素重合体が前記範囲の上限を超える場合、得られるバインダーの結着力が低くなるおそれがあり、さらに、最終的に得られる蓄電デバイスを高速放電させた場合に静電容量が低下するおそれや良好なサイクル特性が得られないおそれがある。
前記特定の重合体組成物中の(b)成分の含有量は、好ましくは80〜95質量%、より好ましくは85〜92質量%である(但し、(a)成分と(b)成分との合計は100質量%である)。前記特定の重合体組成物中に(b)成分が前記範囲で含まれると、得られる電極活物質層の集電体への付着性が良好になる。
前記特定の重合体組成物は、(a)成分と(b)成分とが複合化された構造を有することが好ましく、粒子状であることが好ましい。具体的には、前記(a)成分の粒子体をシードとして前記重合性単量体(B)を用いてシード重合することにより、(b)成分による外殻が形成されることで得られる複合構造を有する粒子であることが好ましい。
前記特定の重合体組成物が複合構造を有する粒子である場合、該粒子のD50は、結着し得る活物質のD50の1/3より小さいことが好ましく、より好ましくは100〜600nmであり、さらに好ましくは100〜400nmである。
前記特定の重合体組成物が複合構造を有する粒子である場合、該粒子のD50が前記範囲にあると、活物質間の結着が効果的に行われるため、低抵抗、高信頼性であり、さらに工業的に有利に生産可能な蓄電デバイスを得ることができる。
特定の重合体組成物のD50が前記範囲の下限を下回る場合、電極製造時、さらには電極製造時に用いられるスラリー調製時に、分散不安定化により凝集物が発生しやすくなるおそれがあり、一方、特定の重合体組成物のD50が前記範囲の上限を超える場合、得られる含フッ素アクリルバインダーと活物質との接着点数が不足し、活物質の集電体への付着性が劣るおそれがある。
前記特定の重合体組成物の調製方法は、特に制限されず、公知の方法を用いることができ、例えば、特開平7−258499号公報に開示される方法を好ましく採用することができる。
具体的には、前記特定の重合体組成物は、(a)成分の粒子体をシードとして前記重合性単量体(B)を用いたシード重合により調製してもよく、好ましくは、以下の方法((1)及び(2))で行われる。
(1)(a)成分を形成するための重合性単量体(A)を用いて乳化重合を行うことで粒子状の含フッ素重合体(粒子体)を得る。
(2)次いで、前記粒子体の存在下で(b)成分を形成するための重合性単量体(B)を用いて乳化重合することにより、(b)成分による外殻が形成された複合構造を有する粒子を得る。
活物質層中のバインダーの含有量は、好ましくは1.0〜3.0質量%、より好ましくは1.5〜2.0質量%である。
集電体としては、特に限定されないが、正極の集電体の材質としては、アルミニウム、ステンレス等が挙げられる。また、負極の集電体の材質としては、ステンレス、銅、アルミニウム等が挙げられる。
本発明の電極は、正極、負極ともに、水塗工法により製造することができる。即ち、正極活物質又は負極活物質と、導電剤、バインダー、増粘剤、及び水を含有するスラリーを、集電体上に塗工する工程、並びに塗工したスラリーを乾燥させる工程を含む方法により、本発明の電極を製造することができる。
塗工するスラリーにおける固形分量、即ち活物質層原料の含有量は、スラリーを集電体上に均一に塗工する観点から、通常、40〜60質量%程度が好ましい。スラリーにおける固形分量がこれらの範囲となるよう、活物質層原料に適宜水を混合して調整することが好ましい。
スラリーを塗工した後、バインダーの種類等によって異なるが、60〜180℃程度の温度で真空乾燥することにより、集電体上に活物質層を形成することが好ましい。乾燥後、必要に応じて活物質層を加圧してもよい。
本発明の電極は、デバイスの内部抵抗を低減させるとともに大電流特性に優れており、リチウムイオン電池やリチウムイオンキャパシタ等の非水電解質蓄電デバイスの正極及び/又は負極として用いることができる。本発明の電極を備えた非水電解質蓄電デバイスの型は、特に限定されないが、ラミネート型、角型、円筒型等が挙げられる。
本発明の電池の一実施形態である、ラミネート型非水電解質蓄電デバイスの概略断面図を図1に、上面図を図2に示す。ラミネート型非水電解質蓄電デバイスでは、正極集電体1aと正極活物質層1bからなる正極と負極集電体2aと負極活物質層2bからなる負極、これらに挟まれたセパレータ3が、外装フィルム4に内包されている。外層フィルム4の周縁部は溶着面5で封止されており、正極端子6と負極端子7は外装フィルム溶着面に挟持されて外部に露出している。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
スラリーの製造例1
(1) LTO(LiTi12)の合成
アナタース(aTiO)と水酸化リチウム(LiOH)を同化学量論比となるように秤量、混合し、その後均一分散させるために蒸留水を添加し、充分練合した。その後、乾燥し、800℃で焼成し、Li分の過不足のない高純度のLTOを得た。
(2) LTO電極スラリーの調製
CMC−NH(ダイセル社製、DN800H)の3.0質量%水溶液に、アセチレンブラック(AB)を混合し、ミキサーで混合した。
次に合成したLTOを投入し同じミキサーで混合した。
固形分が約50質量%になるように蒸留水を適当量追加し混合した。
バインダーとしてSBRエマルジョン(JSR社製、TRD104A)を投入、混合し、脱泡して、固形分濃度が50質量%のスラリーAを得た。
なお、スラリーAにおける固形分組成が、質量比で
LTO:AB:SBR:CMC−NH=92:5:1.5:1.5
となるように活物質層原料を用いた。
スラリーの製造例2
製造例1において、バインダーとして、SBRエマルジョンの代わりに、市販のアクリル樹脂エマルジョンを用い、製造例1と同様にして、スラリーBを得た。
スラリーの製造例3
製造例2において、バインダーとして、アクリル樹脂エマルジョンの代わりに、フッ素成分を含むアクリル樹脂エマルジョン(JSR社製、TRD202A、固形分約40質量%、D50=約200nm、pH=約7.6)を用いた以外は、製造例2と同様にして、スラリーCを得た。
スラリーの製造例4
製造例1において、CMC−NHの代わりに、CMC−Na(ダイセル社製、CMC2200)を用いた以外は、製造例1と同様にして、スラリーDを得た。
スラリーA〜DのpHを、製造直後から3日間測定した結果を表1に示す。
Figure 2020061279
表1の結果より、増粘剤としてCMC−NHを使用したスラリーA〜Cは、CMC−Naを使用したスラリーDよりも、3日間経過後も低いpHを維持していることが分かる。
これは、スラリーA〜Cでは、NH が一部溶出したとしても弱アルカリのためpH上昇が低く抑えられ、スラリーDでは、溶出したNa+強アルカリのためpHが大きく上昇してしまったものと推察される。
実施例1
厚み20μmのアルミシート集電体に、スラリーAを塗工し、80℃で真空乾燥した後、加圧して、厚み40μm、密度が約2.0g/mLの活物質層を形成し、負電極シートを得た。
有効電極の大きさを4cm×5cmにカットし、対極に同じ大きさの金属リチウム箔を用い、間にポリプレン(PP)微孔膜をセパレータとして挟んだ。
外装フィルムとして3方シールした三層アルミニウム袋を用い、この袋に、電極を挿入し電解液として1M−LiPF/EC−EMCの電解液を真空含浸法により注液した。
外装フィルムの上辺を未シールのまま、充放電を5回繰り返し、電池内に含まれるガスを十分に減圧排出した後シールし、電気化学特性測定用電池を作製した。
本実施例でテストセルとして作製した電池は、図3に示すように、作製した正電極シート又は負電極シートに対してリチウム対極を用いて作製している。即ち、電極集電体8aと電極活物質層8bからなる電極と金属リチウム箔9、これらに挟まれたセパレータ10が、外装フィルム11に内包されている。外層フィルム11の周縁部は溶着面12で封止されており、電極端子13と対極端子14は外装フィルム溶着面に挟持されて外部に露出している。
実施例2、3及び比較例1
スラリーAの代わりに、表2に示すスラリーを用いた以外は、実施例1と同様にして、電池を作製した。なお、実施例2では、スラリーBを塗工後の乾燥温度を150℃に変更した。
比較例2
増粘剤として、CMC−NHの代わりにCMC−Na(ダイセル社製、CMC2200)を用い、バインダーとして、アクリル樹脂エマルジョンの代わりに、フッ素成分を含むアクリル樹脂エマルジョン(JSR社製、TRD202A)を用いた以外は、スラリー製造例1と同様にして、スラリーEを得た。
得られたスラリーEを用い、実施例1と同様にして、電池を作製した。
実施例1〜3及び比較例1、2で作製した電池について、電池の内部抵抗(日置電機社の抵抗計を用い、交流法1kHzの周波数で測定)、0.1C放電特性、10C放電特性を対比した。結果を表2に示す。なお、0.1Cの放電容量はいずれもそれほど大きな差がなく170mAh/g近辺で揃っているが、これは放電電流値がセル容量の1/10と小さいため内部抵抗の差等がほとんど影響しなかったためと考えられる。
Figure 2020061279
表2の結果より、実施例1と比較例1とを対比すると、実施例1(CMC−NH)の方が、比較例1(CMC−Na)よりも内部抵抗が低く、10Cでの利用率も向上していることが分かる。これはpHの低減化によりスラリーの状態が良く、均一塗工度合いが優れているからではないかと推察される。これは、バインダーとしてフッ素成分を含むアクリル樹脂を用いた実施例3と比較例2の対比においても、同様の傾向がある。
また、バインダーとしてSBRを用いた実施例1に比べて、アクリル樹脂を用いた実施例2、3は、内部抵抗がより低く、10Cでの利用率もより高い。この理由として、アクリル樹脂は強アルカリには弱いとされているため、CMC−NHとの併用によりpH上昇を極力抑制することができ、バインダーが劣化せず、その特徴がよく発揮されたためではないかと考えられる。
さらに、アクリル樹脂として、フッ素成分を含むアクリル樹脂を用いた実施例3は、さらにフッ素特有の安定性等の効果が引き出されることにより、実施例2よりもさらに優れた大電流特性が得られたものと推察される。
実施例4
正極活物質として、5V級ニッケル・マンガンスピネル(LiNi1/2Mn3/2)(略してLNMOともいう)を用いた以外はスラリーAと同様にして調製したスラリーを用い、実施例3と同様にして、電池を作製した。
実施例5
正極活物質として、5V級ニッケル・マンガンスピネル(LiNi1/2Mn3/2)(以下、LNMOともいう)を用いた以外はスラリーAと同様にして調製したスラリーを用い、実施例2と同様にして、電池を作製した。
比較例3
正極活物質として、5V級ニッケル・マンガンスピネル(LiNi1/2Mn3/2)を用いた以外はスラリーAと同様にして調製したスラリーを用い、比較例2と同様にして、電池を作製した。
実施例4、5及び比較例3で作製した電池について、電池の内部抵抗(交流法を用い、交流法1kHzの周波数で測定)、0.1C放電特性、5C放電特性を対比した。結果を表3に示す。
Figure 2020061279
表3の結果より、実施例4と比較例3では、0.1C放電容量は双方とも約130mAh/g台でまずまず良好な値であるが、数値としては僅かではあるが実施例4の方が勝っており、5Cでの利用率も実施例4の方が明らかに勝っている。これはCMC−NHの影響によりバインダーがより安定化しているためと考えている。
また、アクリル樹脂として、フッ素成分を含むアクリル樹脂を用いた実施例4は、実施例5よりもさらに優れた大電流特性が得られていることが分かる。
本発明の非水電解質蓄電デバイス用電極は、ポータブル電子機器電源、自動車用電源、蓄電電源等に広く応用することができる。
1a 正極集電体
1b 正極活物質層
2a 負極集電体
2b 負極活物質層
3 セパレータ
4 外装フィルム
5 外装フィルムの溶着面
6 正極端子
7 負極端子
8a 電極集電体
8b 電極活物質層
9 金属リチウム箔
10 セパレータ
11 外装フィルム
12 外装フィルムの溶着面
13 電極端子
14 対極端子

Claims (12)

  1. 集電体上に、正極活物質又は負極活物質と、導電剤、バインダー及び増粘剤を含む活物質層からなる非水電解質蓄電デバイス用電極であって、前記正極活物質及び負極活物質が遷移金属酸化物であり、前記増粘剤がナトリウム成分を含まないカルボキシメチルセルロースの塩を含有する、非水電解質蓄電デバイス用電極。
  2. ナトリウム成分を含まないカルボキシメチルセルロースの塩が、カルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩である、請求項1記載の非水電解質蓄電デバイス用電極。
  3. ナトリウム成分を含まないカルボキシメチルセルロースの塩の含有量が、活物質層中、0.5〜3.0質量%である、請求項1又は2記載の非水電解質蓄電デバイス用電極。
  4. バインダーが、アクリル樹脂を含有する、請求項1〜3いずれか記載の非水電解質蓄電デバイス用電極。
  5. アクリル樹脂が、フッ素成分を含むアクリル樹脂である、請求項4記載の非水電解質蓄電デバイス用電極。
  6. バインダーの含有量が、活物質層中、1.0〜3.0質量%である、請求項1〜5いずれか記載の非水電解質蓄電デバイス用電極。
  7. 正極活物質が、ニッケル・コバルト・マンガン酸化物、コバルト酸リチウム、ニッケル・コバルト・アルミニウム酸化物、マンガンスピネル、ハイニッケル酸化物、及びニッケル・マンガンスピネルからなる群より選ばれた少なくとも1種である、請求項1〜6いずれか記載の非水電解質蓄電デバイス用電極。
  8. 負極活物質が、スピネル型チタン酸リチウム、酸化シリコン、酸化錫、五酸化ニオブ、及びチタンニオブ酸化物からなる群より選ばれた少なくとも1種である、請求項1〜7いずれか記載の非水電解質蓄電デバイス用電極。
  9. 正極活物質又は負極活物質と、導電剤、バインダー、増粘剤及び水を含有するスラリーを、集電体上に塗工する工程、並びに塗工したスラリーを乾燥させる工程を含む、非水電解質蓄電デバイス用電極の製造方法。
  10. 請求項1〜9いずれか記載の電極を備えた非水電解質蓄電デバイス。
  11. リチウムイオン電池である、請求項10記載の非水電解質蓄電デバイス。
  12. リチウムイオンキャパシタである、請求項10記載の非水電解質蓄電デバイス。
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