JP6236964B2 - リチウムイオン二次電池用多孔膜組成物、リチウムイオン二次電池用セパレーター、リチウムイオン二次電池用電極、及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Description
また、前記の多孔膜を、電極の極板上に設けることも提案されている。電極が多孔膜を備える場合、電極から脱落した電極活物質が異物となってセパレーターを破損させることを防止できる。
電池にハロゲン化物イオンが含まれる場合、例えば、次のようなことが考えられる。一般に電極活物質の近傍では、電解液が分解してガスが発生し易いが、電解液の分解物により電極活物質が覆われることで、それ以上に電解液が分解してガスが発生することが抑制されている。しかし、ハロゲン化物イオンが電解液中に存在することで、電極活物質を覆っていた被膜が壊れる場合があり、それにより電解液が電極活物質と再び接し、電解液が分解してガスを発生する。
すなわち、本発明は以下の通りである。
前記重合体が、酸基含有単量体単位を、0.1重量%〜50重量%含み、
前記イミノ基含有化合物の量が、前記重合体100重量部に対して、0.01重量部〜100重量部である、リチウムイオン二次電池用多孔膜組成物。
〔2〕 前記酸基含有単量体単位が、カルボキシル基、スルホン酸基及びリン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種類の酸基を含有する単量体を重合して形成される構造を有する構造単位である、〔1〕記載のリチウムイオン二次電池用多孔膜組成物。
〔3〕 前記重合体が、アミド単量体単位を含む、〔1〕又は〔2〕記載のリチウムイオン二次電池用多孔膜組成物。
〔4〕 前記イミノ基含有化合物の重量平均分子量が、10000〜2000000である、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用多孔膜組成物。
〔5〕 セパレータ基材と、
前記セパレータ基材上に〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用多孔膜組成物を塗布することを経て形成された多孔膜とを備える、リチウムイオン二次電池用セパレーター。
〔6〕 集電体及び前記集電体上に設けられた電極活物質層とを備える極板と、
前記極板上に〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用多孔膜組成物を塗布することを経て形成された多孔膜とを備える、リチウムイオン二次電池用電極。
〔7〕 正極、負極、電解液及びセパレーターを備えるリチウムイオン二次電池であって、
前記セパレーターが、〔5〕記載のリチウムイオン二次電池用セパレーターである、リチウムイオン二次電池。
〔8〕 正極、負極及び電解液を備えるリチウムイオン二次電池であって、
前記正極及び前記負極の少なくとも一方が、〔6〕記載のリチウムイオン二次電池用電極である、リチウムイオン二次電池。
本発明のリチウムイオン二次電池は、ガスの発生を抑制できサイクル特性に優れる。
本発明のリチウムイオン二次電池用多孔膜組成物(以下、適宜「多孔膜組成物」ということがある。)は、非導電性粒子、重合体(以下、適宜「特定重合体」ということがある。)及びイミノ基含有化合物を含む。また、前記の特定重合体は、酸基含有単量体単位を特定の割合で含む。ここで、酸基含有単量体単位とは、酸基含有単量体を重合して形成される構造を有する構造単位を示す。また、酸基含有単量体とは、酸基を含む単量体を示す。さらに、本発明の多孔膜組成物が含むイミノ基含有化合物の量は、特定重合体の量に対して特定の範囲に収まっている。
(1)本発明の多孔膜組成物を用いて製造されるリチウムイオン二次電池におけるガスの発生を抑制できる。
(2)通常は、本発明の多孔膜組成物を用いて製造されるリチウムイオン二次電池において負極における金属の析出を抑制できる。
(3)通常は、本発明の多孔膜組成物を用いて形成される多孔膜の機械的強度を向上させることができるので、本発明のリチウムイオン二次電池用セパレーター(以下、適宜「セパレーター」ということがある。)及び本発明のリチウムイオン二次電池用電極(以下、適宜「電極」ということがある。)の機械的強度を高めることができる。
(4)通常は、本発明の多孔膜組成物を用いて形成される多孔膜とセパレータ基材又は極板との結着性を向上させることができる。
(5)通常は、本発明の多孔膜組成物を用いて形成される多孔膜の水分量を低減させることができる。
(6)通常は、本発明の多孔膜組成物を用いて形成される多孔膜からの、その多孔膜を形成する成分の電解液への溶出を防止できるので、前記の利点(1)〜(5)を長期間にわたって発揮することができる。
(7)通常は、本発明の多孔膜組成物は、高い分散性を有し、且つ、その高い分散性を長期間にわたって保つことができる。
本発明の多孔膜組成物は、前記の特定重合体とイミノ基含有化合物とを組み合わせて含む。そのため、この多孔膜組成物を用いて形成される多孔膜は、特定重合体及びイミノ基含有化合物を含み、これらの成分が、ハロゲン化物イオンをトラップすることができる。そのため、電解液中のハロゲン化物イオンの量を少なくすることができる。ハロゲン化物イオンが電池に含まれていると、充放電に伴って電解液が分解され、ガスが生じることがありえる。しかし、本発明の多孔膜組成物を用いた電池では、電解液中のハロゲン化物イオンを減らすことができるので、ハロゲン化物イオンを原因としたガスの発生が抑制されているものと推察される。
本発明の多孔膜組成物を用いて形成される多孔膜が含むイミノ基含有化合物は、電解液中の金属イオンをトラップすることができる。そのため、充放電に伴う負極での金属の析出を抑制できているものと推察される。
特定重合体が含む酸基とイミノ基含有化合物が有するイミノ基とは、多孔膜組成物を用いて多孔膜を形成する過程において架橋反応を生じうる。例えば、多孔膜組成物を基材に塗布した後、乾燥のために加熱する工程において、架橋反応が進行しうる。そのため、得られた多孔膜は、架橋構造を有する重合体成分を含むので、高い機械的強度を有する。したがって、本発明のセパレーター及び電極の機械的強度を高めることができるものと推察される。
本発明の多孔膜組成物を用いて形成される多孔膜が含む特定重合体は、バインダーとして機能しうる。また、イミノ基含有化合物は、大きい分子量を有する場合には、バインダーとして機能しうる。よって、これらの成分がバインダーとして機能することにより、多孔膜とセパレータ基材又は極板との結着性が向上しているものと推察される。
前記のように特定重合体とイミノ基含有化合物とが架橋した場合、特定重合体及びイミノ基含有化合物が有する酸基及びイミノ基等の極性基の量が減る。そうすると、多孔膜中に水を保持する能力が低下するので、多孔膜から水を排出しやすくなる。したがって、多孔膜を形成するために乾燥を行う場合、乾燥によって効果的に水を除去できるので、多孔膜の水分量を低減させることができるものと推察される。なお、ハロゲン元素を含む電解質は、水と反応することで分解して、ハロゲン化物イオンを生じる可能性がある。したがって、多孔膜中の水分を除去することで、ガス発生をより効果的に抑制できる。
前記のように特定重合体とイミノ基含有化合物とが架橋した場合、これらの前記のように特定重合体及びイミノ基含有化合物は電解液に溶出し難くなる。そのため、多孔膜からの、その多孔膜を形成する成分の溶出を防止できるので、前記の利点を長期間にわたって発揮できるものと推察される。
特定重合体が酸基含有単量体単位を含むことにより、特定重合体は水等の極性溶媒に対して高い親和性を有する。また、イミノ基を有することにより、イミノ基含有化合物は水等の極性溶媒に対して高い親和性を有する。このため、本発明の多孔膜組成物は、高い分散性を有し、且つ、その高い分散性を長期間にわたって保つことができるものと推察される。
非導電性粒子は、多孔膜に充填される成分であり、この非導電性粒子同士の隙間が多孔膜の孔を形成しうる。非導電性粒子が非導電性を有するので、多孔膜を絶縁性にでき、そのため、リチウムイオン二次電池における短絡を防止することができる。また、通常、非導電性粒子は高い剛性を有し、これにより、多孔膜の機械的強度を高めることができる。そのため、熱によってセパレータ基材に収縮しようとする応力が生じた場合でも、多孔膜がその応力に抗することができるので、セパレータ基材の収縮による短絡の発生を防止することが可能である。
非導電性粒子としては、無機粒子を用いてもよく、有機粒子を用いてもよい。
特定重合体は、酸基含有単量体単位を含む重合体であり、多孔膜において通常はバインダーとして機能する。そのため、特定重合体は非導電性粒子に強固に結着でき、多孔膜の機械的強度を向上させることができる。また、特定重合体は、通常、セパレータ基材及び極板に対する結着性に優れる。そのため、多孔膜とセパレータ基材及び極板との結着性を向上させることができる。
また、架橋性単量体及び架橋性単量体単位は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
水系溶媒の例としては、水(100);ダイアセトンアルコール(169)、γ−ブチロラクトン(204)等のケトン化合物;エチルアルコール(78)、イソプロピルアルコール(82)、ノルマルプロピルアルコール(97)等のアルコール化合物;プロピレングリコールモノメチルエーテル(120)、メチルセロソルブ(124)、エチルセロソルブ(136)、エチレングリコールターシャリーブチルエーテル(152)、ブチルセロソルブ(171)、3−メトキシ−3メチル−1−ブタノール(174)、エチレングリコールモノプロピルエーテル(150)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(230)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(271)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(188)等のグリコールエーテル化合物;並びに1,3−ジオキソラン(75)、1,4−ジオキソラン(101)、テトラヒドロフラン(66)等のエーテル化合物が挙げられる。中でも水は可燃性がなく、重合体の分散体が容易に得られやすいという観点から特に好ましい。また、主溶媒として水を使用して、重合体の分散状態が確保可能な範囲において上記記載の水以外の水系溶媒を混合して用いてもよい。
また、アミンなどの添加剤を重合助剤として用いてもよい。
本発明の多孔膜組成物は、イミノ基含有化合物を有する。このイミノ基含有化合物を特定重合体と組み合わせて含むことにより、本発明の多孔膜組成物を用いたリチウムイオン二次電池において、ガスの発生を抑制でき、サイクル特性を向上させることができる。
イミノ基含有化合物としては、低分子イミノ基含有化合物を用いてもよく、高分子イミノ基含有化合物を用いてもよい。低分子イミノ基含有化合物としては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン等の鎖状イミノ基含有化合物;エチレンイミン、プロピレンイミン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン等の環状イミノ基含有化合物、などが挙げられる。また、高分子イミノ基含有化合物としては、例えば、ポリエチレンイミン;ポリN−ヒドロキシルエチレンイミン、カルボキシメチル化ポリエチレンイミン・ナトリウム塩等のポリエチレンイミン誘導体;ポリプロピレンイミン;ポリN−2−ジヒドロシキルプロピレンイミン等のポリプロピレンイミン誘導体、などが挙げられる。これらの中でも、高分子イミノ基含有化合物が好ましく、ポリエチレンイミンがより好ましい。また、イミノ基含有化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
測定装置は、示唆屈折率計と多角度光散乱検出器(MALS)を組み合わせたものを用いうる。また、カラムとしては、昭和電工社製「Shodex OHpak SB−806M HQ」を、直列で2本繋いて使用しうる。また、溶離液は、酢酸(濃度0.5M)と硫酸(濃度0.15M)の混合水溶液を用いうる。さらに、溶離液の流量は1.0ml/分、カラム温度は40℃としうる。また、測定試料のサンプル濃度は0.2重量%とし、サンプル注入量を100μlとする。
本発明の多孔膜組成物は、溶媒を含みうる。溶媒としては、多孔膜組成物において非導電性粒子を分散させ、且つ、特定重合体及びイミノ基含有化合物を溶解又は分散させうるものを用いうる。このような溶媒としては、水を用いてもよく、有機溶媒を用いてもよい。例えば、特定重合体を溶解させうる溶媒を用いると、特定重合体の一部が非導電性粒子の表面に吸着することによって非導電性粒子が特定重合体の層で覆われるので、非導電性粒子の分散性を向上させることができ、好ましい。
本発明の多孔膜組成物は、上述した非導電性粒子、特定重合体、イミノ基含有化合物及び溶媒以外に、任意の成分を含みうる。このような任意の成分としては、電池反応に過度に好ましくない影響を及ぼさないものを用いうる。任意の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
多孔膜組成物は、通常、例えばスラリーのような流体状の組成物である。また、本発明の多孔膜組成物は、通常、当該組成物に含まれる各成分の分散性に優れる。そのため、本発明の多孔膜組成物の粘度は、容易に低くできる。多孔膜組成物の具体的な粘度は、多孔膜を製造する際の塗布性を良好にする観点から、10mPa・s〜2000mPa・sが好ましい。ここで、前記の粘度は、E型粘度計を用いて25℃、回転数60rpmで測定した時の値である。
多孔膜組成物は、例えば、上述した各成分を混合して製造しうる。混合順序には特に制限は無い。また、混合方法にも特に制限は無い。通常は、非導電性粒子を速やかに分散させるため、混合装置として分散機を用いて混合を行う。
本発明の多孔膜組成物を適切な基材上に塗布する工程を経て、多孔膜を製造することができる。具体的には、多孔膜組成物を基材上に塗布して当該多孔膜組成物の膜を得る工程と、その膜を必要に応じて乾燥して水等の溶媒を除去する工程とを含む製造方法により、多孔膜を製造できる。この多孔膜は、通常、多孔膜組成物に含まれていた固形分により形成された膜である。また、多孔膜において、特定重合体の分子とイミノ基含有化合物の分子とは架橋していてもよい。
例えば、金型プレス及びロールプレス等のプレス方法によって、多孔膜に加圧処理を施してもよい。加圧処理を施すことにより、基材と多孔膜との結着性を向上させることができる。ただし、多孔膜の空隙率を好ましい範囲に保つ観点では、圧力および加圧時間が過度に大きくならないように適切に制御することが好ましい。
また、残留水分除去のため、例えば真空乾燥やドライルーム内で乾燥することが好ましい。
さらに、例えば加熱処理することも好ましく、これにより重合体成分に含まれる熱架橋基を架橋させて、結着力を高めることができる。
本発明のセパレーターは、セパレータ基材と多孔膜とを備える。本発明のセパレーターでは、多孔膜が設けられていることにより、異物によるセパレータ基材の破損、並びに、熱によるセパレータ基材の収縮を防止できる。したがって、このセパレーターを備えるリチウムイオン二次電池の内部短絡を防止して、電池の安全性を高めることができる。また、本発明のセパレーターが本発明に係る多孔膜を備えるので、当該セパレーターを備えるリチウムイオン二次電池においてガスの発生を抑制することができ、そのリチウムイオン二次電池のサイクル特性を改善することができる。
セパレータ基材としては、例えば、微細な孔を有する多孔性基材を用いうる。このようなセパレータ基材を用いることにより、二次電池において電池の充放電を妨げることなく短絡を防止することができる。セパレータ基材の具体例を挙げると、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、芳香族ポリアミド樹脂などを含む微孔膜または不織布などが挙げられる。
本発明のセパレーターは、セパレータ基材上に上述した多孔膜を備える。すなわち、本発明のセパレーターは、セパレータ基材と、前記セパレータ基材上に多孔膜組成物を塗布することを経て形成された多孔膜とを備える。このようなセパレーターは、例えば、基材としてセパレータ基材を用いて上述した多孔膜の製造方法を行うことにより、製造することができる。この際、多孔膜は、セパレータ基材の片方の面だけに設けられていてもよく、両方の面に設けられていてもよい。
本発明の電極は、極板と多孔膜とを備える。また、極板は、通常、集電体及び電極活物質層を備える。本発明の電極では、多孔膜が設けられていることにより、電極活物質層からの電極活物質等の粒子の脱離、電極活物質層の集電体からの剥離、並びに電池の内部短絡を防止することができる。また、本発明の電極が本発明に係る多孔膜を備えるので、当該電極を備えるリチウムイオン二次電池においてガスの発生を抑制することができ、そのリチウムイオン二次電池のサイクル特性を改善することができる。
集電体は、電気導電性を有し、且つ、電気化学的に耐久性のある材料を用いうる。通常、この集電体の材料としては、金属材料を用いる。その例を挙げると、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、タンタル、金、白金などが挙げられる。中でも、正極に用いる集電体としてはアルミニウムが好ましく、負極に用いる集電体としては銅が好ましい。また、前記の材料は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
電極活物質層は、集電体上に設けられた層であり、電極活物質を含む。
リチウムイオン二次電池の電極活物質は、電解液中で電位をかけることにより可逆的にリチウムイオンを挿入又は放出できるものを用いうる。電極活物質は、無機化合物を用いてもよく、有機化合物を用いてもよい。
また、例えば、鉄系酸化物を炭素源物質の存在下において還元焼成することで、炭素材料で覆われた複合材料を作製し、この複合材料を正極活物質として用いてもよい。鉄系酸化物は電気伝導性に乏しい傾向があるが、前記のような複合材料にすることにより、高性能な正極活物質として使用できる。
さらに、前記の化合物を部分的に元素置換したものを正極活物質として用いてもよい。
これらの正極活物質は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。また、前述の無機化合物と有機化合物との混合物を正極活物質として用いてもよい。
(i)ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ブチルアクリレート・スチレン共重合体、ブチルアクリレート・アクリロニトリル共重合体、ブチルアクリレート・アクリロニトリル・グリシジルメタクリレート共重合体などの、アクリル酸またはメタクリル酸誘導体の単独重合体またはそれと共重合可能な単量体との共重合体である、アクリル系軟質重合体;
(ii)ポリイソブチレン、イソブチレン・イソプレンゴム、イソブチレン・スチレン共重合体などのイソブチレン系軟質重合体;
(iii)ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン・スチレンランダム共重合体、イソプレン・スチレンランダム共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、イソプレン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン・ブロック共重合体などジエン系軟質重合体;
(iv)ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、ジヒドロキシポリシロキサンなどのケイ素含有軟質重合体;
(v)液状ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体(EPDM)、エチレン・プロピレン・スチレン共重合体などのオレフィン系軟質重合体;
(vi)ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリステアリン酸ビニル、酢酸ビニル・スチレン共重合体などビニル系軟質重合体;
(vii)ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エピクロルヒドリンゴムなどのエポキシ系軟質重合体;
(viii)フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン−プロピレンゴムなどのフッ素含有軟質重合体;
(ix)天然ゴム、ポリペプチド、蛋白質、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなどのその他の軟質重合体;などが挙げられる。これらの中でも、ジエン系軟質重合体及びアクリル系軟質重合体が好ましい。また、これらの軟質重合体は、架橋構造を有したものであってもよく、変性により官能基を導入したものであってもよい。
また、電極用バインダーとして使用しうる重合体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
本発明の電極は、前記の極板上に、上述した多孔膜を備える。すなわち、本発明の電極は、極板と、極板上に多孔膜組成物を塗布することを経て形成される多孔膜とを備える。このような電極は、例えば、基材として極板を用いて上述した多孔膜の製造方法を行うことにより、製造することができる。この際、多孔膜は、極板の片方の面だけに設けられていてもよく、両方の面に設けられていてもよい。ただし、通常は、多孔膜が電極活物質層上に設けられるので、本発明の電極は、集電体、電極活物質層及び多孔膜をこの順に備える。
本発明のリチウムイオン二次電池は、正極、負極及び電解液を備える。また、本発明の二次電池は、下記の要件(A)を満たすか、要件(B)を満たすか、要件(A)及び(B)の両方を満たす。
(A)本発明のリチウムイオン二次電池の正極及び負極の少なくとも一方が、本発明の電極である。
(B)本発明のリチウムイオン二次電池がセパレーターを備え、且つ、そのセパレーターが本発明のセパレーターである。
本発明のリチウムイオン二次電池は、原則として、正極及び負極の一方又は両方として、本発明の電極を備える。ただし、本発明のリチウムイオン二次電池がセパレーターとして本発明のセパレーターを備える場合には、正極及び負極の両方として本発明の電極以外の電極を備えていてもよい。
本発明のリチウムイオン二次電池は、原則として、セパレーターとして本発明のセパレーターを備える。ただし、本発明の二次電池が正極及び負極の少なくとも一方として本発明の電極を備える場合には、セパレーターとして本発明のセパレーター以外のセパレータを備えていてもよい。また、本発明の電極が備える多孔膜はセパレーターとしての機能を有するので、本発明の電極を備える二次電池においてはセパレーターを省略してもよい。
電解液としては、例えば、非水系の溶媒に支持電解質としてリチウム塩を溶解したものを使用しうる。リチウム塩としては、例えば、LiPF6、LiAsF6、LiBF4、LiSbF6、LiAlCl4、LiClO4、CF3SO3Li、C4F9SO3Li、CF3COOLi、(CF3CO)2NLi、(CF3SO2)2NLi、(C2F5SO2)NLiなどが挙げられる。特に溶媒に溶けやすく高い解離度を示すLiPF6、LiClO4、CF3SO3Liは好適に用いられる。これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
上述したように、本発明のリチウムイオン二次電池では、特定重合体又はイミノ基含有化合物がハロゲン化物イオンをトラップすることによりガスの発生が抑制されていると考えられる。このようなハロゲン化物イオンの発生源と考えられる成分としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
また、例えば、塩化物イオンの発生源としては、LiAlCl4、LiClO4等の電解液の支持電解質;カルボキシメチルセルロース塩等の添加剤;電極活物質の残留HClなどが挙げられる。
本発明のリチウムイオン二次電池の製造方法は、特に限定されない。例えば、上述した負極と正極とをセパレーターを介して重ね合わせ、これを電池形状に応じて巻く、折るなどして電池容器に入れ、電池容器に電解液を注入して封口してもよい。さらに、必要に応じてエキスパンドメタル;ヒューズ、PTC素子などの過電流防止素子;リード板などを入れ、電池内部の圧力上昇、過充放電の防止をしてもよい。電池の形状は、例えば、ラミネートセル型、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角形、扁平型などいずれであってもよい。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温及び常圧の条件において行った。
〔1.セルの体積変化の測定方法〕
実施例及び比較例で製造した800mAh捲回型のリチウムイオン二次電池を、25℃の環境下で24時間静置した。その後、25℃の環境下で、0.1Cで4.35Vまで充電し0.1Cで2.75Vまで放電する充放電の操作を行った。その後、電池のセルを流動パラフィンに浸漬し、その体積V0を測定した。
実施例及び比較例において製造した多孔膜を備えるセパレーターを、長さ100mm、幅10mmの長方形に切り出して、試験片を得た。この試験片を、多孔膜の表面を下にして、多孔膜の表面にセロハンテープを貼り付けた。この際、セロハンテープとしてはJIS Z1522に規定されるものを用いた。また、セロハンテープは水平な試験台に固定しておいた。その後、セパレーターの一端を鉛直上方に引張り速度50mm/分で引っ張って剥がしたときの応力を測定した。この測定を3回行い、応力の平均値を求めて、当該平均値をピール強度とした。測定されたピール強度が大きいほど、セパレータ基材と多孔膜との結着力が大きいことを示す。すなわち、測定されたピール強度が大きいほど、密着強度が大きいことを示す。
実施例において製造した多孔膜を備える電極を、長さ100mm、幅10mmの長方形に切り出して、試験片を得た。この試験片を、多孔膜の表面を下にして、多孔膜の表面にセロハンテープを貼り付けた。この際、セロハンテープとしてはJIS Z1522に規定されるものを用いた。また、セロハンテープは水平な試験台に固定しておいた。その後、集電体の一端を鉛直上方に引張り速度50mm/分で引っ張って剥がしたときの応力を測定した。この測定を3回行い、応力の平均値を求めて、当該平均値をピール強度とした。測定されたピール強度が大きいほど、電極活物質層と多孔膜との結着力が大きいことを示す。すなわち、測定されたピール強度が大きいほど、密着強度が大きいことを示す。
実施例及び比較例で製造した800mAh捲回型のリチウムイオン二次電池を、25℃の環境下で24時間静置した。その後、25℃の環境下で、0.1Cで4.35Vまで充電し0.1Cで2.75Vまで放電する充放電の操作を行い、初期容量C0を測定した。
実施例及び比較例で製造した多孔膜組成物について、B型粘度計により、25℃、回転数60rpmにおける粘度η0を測定した。
その後、多孔膜組成物を25℃で7日間静置した後、再び前記と同様にして粘度η1を測定した。
測定された粘度η0及び粘度η1から、粘度変化率={(η1−η0)/η0}×100(%)を計算した。粘度変化率が小さいほど、その多孔膜組成物は経時的に粘度変化を生じ難く、分散安定性に優れることを示す。
実施例及び比較例で製造した二次電池用セパレーター又は二次電池用電極を、長さ100mm、幅10mmの長方形に切り出して、試験片を得た。そして、この試験片の重量M0を測定した。
その後、試験片を電解液(溶媒:EC/DEC/VC=68.5/30/1.5体積比、電解質:濃度1MのLiPF6)に60℃、72時間浸漬し、25℃にて24時間乾燥させた。その後、乾燥させた試験片の重量M1を測定した。
溶出率を、「溶出率(%)=(M0−M1)/M0×100(%)」にて計算した。溶出率が小さいほど、多孔膜からの特定重合体及びイミノ基含有化合物の溶出の程度を小さくできるので、サイクル特性の向上が期待できる。
実施例及び比較例で製造した800mAh捲回型のリチウムイオン二次電池を、25℃の環境下で24時間静置した。その後、25℃の環境下で、0.1Cで4.35Vまで充電し0.1Cで2.75Vまで放電する充放電の操作を行った。さらに、このリチウムイオン二次電池に、60℃環境下で、前記と同様の条件で充放電の操作を1000サイクル繰り返した。
その後、リチウムイオン二次電池を分解して負極を取り出し、負極におけるコバルトの重量割合を測定した。測定は、ICP発光分光分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製「SPS3000」)を用いて行った。負極におけるコバルトの重量が大きいほど、負極において金属析出が大きく起こっていることを示す。
(1−1.特定重合体の製造)
攪拌機付き5MPa耐圧容器に、単量体としてブチルアクリレート94部、アクリロニトリル2部、メタクリル酸2部、アリルメタクリレート1部及びアクリルアミド1部;乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4部;イオン交換水150部;及び重合開始剤として過硫酸カリウム0.5部を入れ、十分に攪拌した後、50℃に加温して重合を開始した。重合転化率が96%になった時点で冷却し反応を停止して、粒子状重合体を含む混合物を得た。前記の粒子状重合体を含む混合物に、5%水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pH8に調整した。その後、その混合物から加熱減圧蒸留によって未反応単量体の除去を行った後、30℃以下まで冷却し、特定重合体として粒子状重合体を含む水分散液を得た。
非導電性粒子としてアルミナ粒子(日本軽金属社製「LS256」;体積平均粒子径0.5μm)100部、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(ダイセル社製「1220」)2部、イミノ基含有化合物としてポリエチレンイミン(シグマアルドリッチ社製、重量平均分子量750000)0.2重量部、及び、前記にて製造した粒子状重合体を含む水分散液を粒子状重合体換算の量で5部混合し、更に水を加えて固形分濃度を40重量%に調整して、スラリー状の多孔膜組成物を製造した。
こうして得られた多孔膜組成物について、上述した方法で、粘度変化率を測定した。
単層のポリプロピレン製セパレータ基材(セルガード社製「セルガード2500」)の片面に、前記にて製造した多孔膜組成物を、グラビアコーターで、乾燥後の塗布量が6mg/cm2となるように塗布し、乾燥させた。この乾燥は、セパレーターを20m/分の速度で100℃のオーブン内を1分間かけて搬送することにより行った。これにより、セパレータ基材及びそのセパレータ基材上に形成された多孔膜を備えるリチウムイオン二次電池用セパレーターを得た。
こうして得られたセパレーターについて、上述した方法で、セパレータ基材と多孔膜とのピール強度、及び溶出率を測定した。
攪拌機付き5MPa耐圧容器に、1,3−ブタジエン33.5部、イタコン酸3.5部、スチレン62部、2−ヒドロキシエチルアクリレート1部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4部、イオン交換水150部及び重合開始剤として過硫酸カリウム0.5部を入れ、十分に攪拌した後、50℃に加温して重合を開始した。重合転化率が96%になった時点で冷却し反応を停止して、粒子状バインダー(SBR)を含む混合物を得た。上記粒子状バインダーを含む混合物に、5%水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pH8に調整した。その後、この混合物から加熱減圧蒸留によって未反応単量体の除去を行った後、30℃以下まで冷却し、所望の粒子状バインダーを含む水分散液を得た。
人造黒鉛(体積平均粒子径:15.6μm)100部、及び、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(日本製紙社製「MAC350HC」)の2%水溶液を固形分相当で1部混合し、さらにイオン交換水を加えて固形分濃度を68%に調製した後、25℃で60分間混合した。さらにイオン交換水を加えて固形分濃度を62%に調製した後、さらに25℃15分間混合した。こうして得られた混合液に、前記の粒子状バインダーを含む水分散液を固形分相当で1.5部加え、更にイオン交換水を入れて最終固形分濃度が52%となるように調整し、さらに10分間混合した。これを減圧下で脱泡処理して、流動性の良い負極用スラリー組成物を得た。
上記で得られた負極用スラリー組成物を、コンマコーターで、集電体である厚さ20μmの銅箔の上に、乾燥後の膜厚が150μm程度になるように塗布し、乾燥させた。この乾燥は、銅箔を0.5m/分の速度で60℃のオーブン内を2分間かけて搬送することにより行った。その後、120℃にて2分間加熱処理して、プレス前の負極原反を得た。このプレス前の負極原反をロールプレスで圧延して、負極活物質層の厚みが80μmのプレス後の負極を得た。
正極活物質として体積平均粒子径12μmのLiCoO2を100部、導電材としてアセチレンブラック(電気化学工業社製「HS−100」)を2部、及び、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(クレハ社製、#7208)を固形分相当で2部混合し、更にN−メチルピロリドンを加えて全固形分濃度が70%となるように調整した。これらをプラネタリーミキサーにより混合し、正極用スラリー組成物を調製した。
上記で得られた正極用スラリー組成物を、コンマコーターで、集電体である厚さ20μmのアルミニウム箔の上に、乾燥後の膜厚が150μm程度になるように塗布し、乾燥させた。この乾燥は、アルミニウム箔を0.5m/分の速度で60℃のオーブン内を2分間かけて搬送することにより行った。その後、120℃にて2分間加熱処理して、正極を得た。
電池の外装として、アルミニウム包材外装を用意した。
前記の正極を5×39.5cm2の長方形に切り出し、アルミニウム包材外装内に、集電体側の表面がアルミニウム包材外装に接するように配置した。
前記のリチウムイオン二次電池用セパレーターを6×45cm2の長方形に切り抜き、これを正極の正極活物質層の面上に、セパレータ基材側の表面が正極に向かい合うように配置した。
さらに、前記の負極を5.5×40cm2の長方形に切り出し、これをセパレーター上に、負極活物質層側の表面がセパレーターに向かい合うよう配置し捲回した。
こうして得られたリチウムイオン二次電池について、上述した方法で、セルの体積変化ΔV、容量維持率ΔC、及び、負極におけるコバルトの重量割合を測定した。
前記工程(1−1)において、ブチルアクリレートの量を94.8部に変更し、アクリルアミドの量を0.2部に変更した。
以上の事項以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(1−1)において、ブチルアクリレートの量を76部に変更し、アクリルアミドの量を19部に変更した。
以上の事項以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(1−1)において、アクリルアミドの代わりにメタクリルアミドを用いた。
以上の事項以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(1−1)において、アクリルアミドの代わりにN,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミドを用いた。
以上の事項以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(1−1)において、アクリルアミドの代わりにN,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドを用いた。
以上の事項以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(1−2)において、アルミナ粒子100部に対するポリエチレンイミンの量を0.02部に変更した。
以上の事項以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(1−2)において、アルミナ粒子100部に対するポリエチレンイミンの量を0.8部に変更した。
以上の事項以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
重量平均分子量750000のポリエチレンイミン(シグマアルドリッチ社製)50重量部を水1000重量部に溶解した。その後、溶液を60℃に加温し、撹拌しながら、35%過酸化水素水55重量部を15分間かけて滴下し、その後1時間攪拌させた。こうして得られた反応液を減圧濃縮し、乾燥することにより、ポリN−ヒドロキシルエチレンイミン50重量部を得た。
以上の事項以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(1−2)において、ポリエチレンイミンとして重量平均分子量が110000のものを用いた。
以上の事項以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(1−2)において、ポリエチレンイミンとして重量平均分子量が2000000のものを用いた。
以上の事項以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(1−1)において、メタクリル酸の代わりにスチレンスルホン酸のナトリウム塩を用いた。
以上の事項以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(1−1)において、メタクリル酸の代わりにモノメチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェートを用いた。
以上の事項以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(1−1)において、ブチルアクリレートの量を95.8部に変更し、メタクリル酸の量を0.2部に変更した。
以上の事項以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
ブチルアクリレートの量を66部に変更し、メタクリル酸の量を30部に変更したこと以外は実施例1の工程(1−1)と同様にして、特定重合体として水溶性重合体を含む水溶液を得た。
以上の事項以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(1−1)において、単量体として、ブチルアクリレート94部、アクリロニトリル2部、メタクリル酸2部、アリルメタクリレート1部及びアクリルアミド1部の代わりに、スチレン49部、1,3−ブタジエン47.5部、メタクリル酸2.5部及びアクリルアミド1部を用いた。
以上の事項以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(1−2)において、アルミナ粒子100部に対する粒子状重合体を含む水分散液の量を、粒子状重合体換算の量で0.5部に変更した。
以上の事項以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(1−2)において、アルミナ粒子100部に対する粒子状重合体を含む水分散液の量を、粒子状重合体換算の量で18部に変更した。
以上の事項以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
攪拌機付き5MPa耐圧容器に、スチレン79部、メチルメタクリレート20部、エチレングリコールジメタクリレート1部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4部、イオン交換水150部及び重合開始剤として過硫酸カリウム0.5部を入れ、十分に攪拌した後、50℃に加温して重合を開始した。重合転化率が96%になった時点で冷却し反応を停止して、非導電性粒子を含む混合物を得た。上記非導電性粒子を含む混合物に、5%水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pH8に調整した。その後、この混合物から加熱減圧蒸留によって未反応単量体の除去を行った後、30℃以下まで冷却し、所望の非導電性粒子を含む水分散液を得た。
以上の事項以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(1−6)で得た負極を極板として用意した。この極板上に、前記工程(1−2)で得た多孔膜組成物を、グラビアコーターで、乾燥後の塗布量が6mg/cm2となるように塗布し、乾燥させた。この乾燥は、極板を20m/分の速度で100℃のオーブン内を1分間かけて搬送することにより行った。これにより、銅箔及び負極活物質層を備える極板とその極板上に形成された多孔膜とを備えるリチウムイオン二次電池用負極を得た。こうして得られた負極について、上述した方法で、極板と多孔膜とのピール強度、及び溶出率を測定した。
以上の事項以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
ブチルアクリレートの量を92部に変更し、メタクリル酸の量を4部に変更したこと以外は実施例1の工程(1−1)と同様にして、粒子状重合体を含む水分散液を得た。この水分散液の溶媒をN−メチルピロリドンに置換することにより、N−メチルピロリドンに溶解した特定重合体を含むN−メチルピロリドン溶液を得た。
以上の事項以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(1−1)において、ブチルアクリレートの量を95部に変更し、アクリルアミドを使用しなかった。
また、前記工程(1−2)において、ポリエチレンイミンを使用しなかった。
以上の事項以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(1−1)において、ブチルアクリレートの量を96部に変更し、メタクリル酸を使用しなかった。
また、前記工程(1−2)において、ポリエチレンイミンとして重量平均分子量が1800のものを用いた。
以上の事項以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(1−2)において、アルミナ粒子100部に対するポリエチレンイミンの量を0.0025部に変更した。
以上の事項以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(1−2)において、アルミナ粒子100部に対するポリエチレンイミンの量を5.5部に変更した。
以上の事項以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造しようとしたが、多孔膜組成物において凝集が生じ、多孔膜組成物の塗布ができなかったため、前記工程(1−3)において多孔膜を形成することができなかった。
前記工程(1−1)において、ブチルアクリレートの量を95.95部に変更し、メタクリル酸の量を0.05部に変更した。
以上の事項以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
ブチルアクリレートの量を31部に変更し、メタクリル酸の量を65部に変更したこと以外は実施例1の工程(1−1)と同様にして、特定重合体として水溶性重合体を含む水溶液を得た。
以上の事項以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記の実施例及び比較例の結果を、下記の表に示す。
下記の表の「他の単量体」の欄において、単量体を示す略称の横の数値は、全単量体中に占めるその単量体の量を示す。また、下記の表において、略称の意味は、以下の通りである。
MV:体積平均粒子径
PEI:ポリエチレンイミン
PHEI:ポリN−ヒドロキシルエチレンイミン
Mw:重量平均分子量
単量体I:アミド単量体
AAm:アクリルアミド
MAAm:メタクリルアミド
DMAEAAm:N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド
DMAPAAm:N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド
単量体II:酸基含有単量体
MAA:メタクリル酸
NaSS:スチレンスルホン酸のナトリウム塩
MMAOEP:モノメチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート
BA:ブチルアクリレート
AN:アクリロニトリル
AMA:アリルメタクリレート
I/P量:特定重合体100部に対するイミノ基含有化合物の量
CMC塩:カルボキシメチルセルロースの塩
NMP:N−メチルピロリドン
セパ:セパレータ基材
実施例において、比較例に比べて体積変化ΔVが小さく、また、容量維持率ΔCが大きい。このことから、本発明により、リチウムイオン二次電池の充放電に伴うガスの発生を抑制でき、サイクル特性を向上させられることが確認された。また、特定重合体及びイミノ基含有化合物の一方のみを用いた比較例1及び2において体積変化ΔVが大きくなっていることから、前記のようにガスの発生を抑制できるとの効果は、特定重合体及びイミノ基含有化合物を組み合わせてはじめて得られる効果であることが分かる。
また、実施例においては、イミノ基含有化合物を用いていない比較例1よりもコバルト析出量が小さい。このことから、本発明により、負極における金属の析出を抑制できるリチウムイオン二次電池が実現できることが確認された。
また、実施例においては、溶出率の値は小さくなっている。このことから、本発明の多孔膜組成物を用いることにより、電解液に溶出し難い多孔膜を製造できることが確認された。
さらに、上記の実施例の結果から、本発明により分散性及び分散安定性に優れる多孔膜組成物を実現できること、並びに、本発明の多孔膜組成物を用いることにおりセパレータ基材又は極板との結着性にするれる多孔膜を製造できることが確認された。
Claims (7)
- 非導電性粒子、重合体及びイミノ基含有化合物を含むリチウムイオン二次電池用多孔膜組成物であって、
前記重合体が、酸基含有単量体単位を、0.1重量%〜50重量%、及びアミド単量体単位を0.1重量%〜20重量%含み、
前記イミノ基含有化合物の量が、前記重合体100重量部に対して、0.01重量部〜100重量部である、リチウムイオン二次電池用多孔膜組成物。 - 前記酸基含有単量体単位が、カルボキシル基、スルホン酸基及びリン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種類の酸基を含有する単量体を重合して形成される構造を有する構造単位である、請求項1記載のリチウムイオン二次電池用多孔膜組成物。
- 前記イミノ基含有化合物の重量平均分子量が、10000〜2000000である、請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用多孔膜組成物。
- セパレータ基材と、
前記セパレータ基材上に請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用多孔膜組成物を塗布することを経て形成された多孔膜とを備える、リチウムイオン二次電池用セパレーター。 - 集電体及び前記集電体上に設けられた電極活物質層とを備える極板と、
前記極板上に請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用多孔膜組成物を塗布することを経て形成された多孔膜とを備える、リチウムイオン二次電池用電極。 - 正極、負極、電解液及びセパレーターを備えるリチウムイオン二次電池であって、
前記セパレーターが、請求項4記載のリチウムイオン二次電池用セパレーターである、リチウムイオン二次電池。 - 正極、負極及び電解液を備えるリチウムイオン二次電池であって、
前記正極及び前記負極の少なくとも一方が、請求項5記載のリチウムイオン二次電池用電極である、リチウムイオン二次電池。
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