JP2020061245A - リチウムイオン二次電池用負極材料、リチウムイオン二次電池用負極、およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用負極材料、リチウムイオン二次電池用負極、およびリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】サイクル特性および入出力特性が優れ、かつ、60℃で電池を保存した後の電池特性の低下を抑制できる、リチウムイオン二次電池用負極材料を提供する。【解決手段】圧縮してなる球状または楕円体状の黒鉛粒子の表面に式(1)で表される酸化物の被膜を有するリチウムイオン二次電池用負極材料。(Al2O3)1−x(MyOz)x(1)ただし、式(1)中、xは0〜0.7の実数であり、yおよびzは、実数であり、かつ、式(1)中においてMyOzで表される元素Mの酸化物が電気的に中性となる組合せである。【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用負極材料、リチウムイオン二次電池用負極、およびリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、近年、車載向けとして高容量、かつ、急速充放電という優れた特性を有する電源としての要望が高まっている。リチウムイオン二次電池の負極は、炭素を用いたものが主流であり、天然黒鉛、人造黒鉛、ハードカーボン、またはソフトカーボンなどの炭素系材料が利用される。これらの中でも、天然黒鉛は人造黒鉛と比べて安価で、しかも、黒鉛化度が高く、高容量であることから需要が多い。しかし、粒子形状が鱗片状のため、電極を作製したときに配向しやすく、急速充放電に不利であり、さらにリチウムイオンが出入りする黒鉛のエッジ面において電解液を還元分解しやすいという欠点がある。そのため、配向を抑制することを意図して、鱗片状黒鉛を機械的処理により球状化したり、さらにピッチなどを前駆体とした低結晶性カーボン被覆を行い、電解液の還元分解を抑制したりすることによって、天然黒鉛はリチウムイオン二次電池用負極材料として実用化されている。
しかしながら、鱗片状黒鉛粒子の機械的処理による球状化を施しても、それだけでは充電時の膨張が大きいため、負極合剤層と集電材との接着力が低下したり、SEI(固体電解質被膜;Solid Electrolyte Interface)の劣化により電解液の還元分解が進行したりして、サイクル特性の改善が十分ではない。また、低結晶性カーボンの被膜は電子伝導性が高いため、電解液の還元分解の抑制が十分ではなく、しかも、リチウムイオン伝導度も比較的低いため、入出力特性の改善が十分ではない。
特許文献1には、リチウム二次電池用負極材料の表面に金属化合物薄膜を被覆してなることを特徴とするリチウム二次電池用負極材料が記載されている。金属化合物薄膜として具体的にはアルミニウム酸化物薄膜が記載されている。このリチウム二次電池用負極材料を用いると、リチウムイオン二次電池の出力特性と充放電サイクル特性を向上させることができる旨が記載されている。
特許文献2には、粒子内部に空隙を1箇所以上有する炭素粒子の表面及び内部の少なくとも一部に金属化合物薄膜を被覆してなり、比表面積が0.5〜20m/gであり、かつアスペクト比が5以下であるリチウム二次電池用負極材料が記載されている。金属化合物薄膜として具体的にジルコニウム酸化物を含有する薄膜であることが記載されている。このリチウム二次電池用負極材料を用いると、リチウムイオン二次電池の急速充放電特性、出力特性、入力特性及びサイクル特性を優れたものとできる旨が記載されている。
特開2002−352801号公報 特許第4624722号公報
しかしながら、特許文献1の実施例に記載されている鱗片状黒鉛に被覆しても、該黒鉛基材は負極合剤層で配向し易いため急速充電の改善効果は不十分で、さらに膨張が大きいためサイクル特性が十分ではない。
また、特許文献2に記載された技術は、粒子内部に空隙を積極的に導入した炭素粒子の表面および/または内部の少なくとも一部に金属化合物薄膜を被覆するものであることから、粒子表面や粒子内部における構造破壊を十分抑制することはできない。そのため、サイクル特性の向上が十分ではない。また、60℃の温度で電池を保存した後の電池特性も十分ではない。
そこで、本発明は、サイクル特性および入出力特性が優れ、かつ、60℃で電池を保存した後の電池特性の低下を抑制できる、リチウムイオン二次電池用負極材料を提供することを課題とする。
さらに、本発明は、上記リチウムイオン二次電池用負極材料を用いた、リチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池を提供することも課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、圧縮してなる球状または楕円体状の黒鉛粒子の表面に特定の式で表される酸化物の被膜を有するリチウムイオン二次電池用負極材料を用いると、リチウムイオン二次電池のサイクル特性および入出力特性が優れ、かつ、60℃で電池を保存した後の電池特性の低下を抑制できることを知得し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の[1]〜[4]を提供する。
[1] 圧縮してなる球状または楕円体状の黒鉛粒子の表面に式(1)で表される酸化物の被膜を有するリチウムイオン二次電池用負極材料。
(Al1−x(M (1)
ただし、式(1)中、xは0〜0.7の実数であり、yおよびzは、実数であり、かつ、式(1)中においてMで表される元素Mの酸化物が電気的に中性となる組合せである。
[2] 上記元素Mが、Mg、BおよびPからなる群から選択される少なくとも1種である、上記[1]に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
[3] 上記[1]または[2]に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料を含む、リチウムイオン二次電池用負極。
[4] 上記[3]に記載のリチウムイオン二次電池用負極を有する、リチウムイオン二次電池。
本発明によれば、サイクル特性および入出力特性が優れ、かつ、60℃で電池を保存した後の電池特性の低下を抑制できる、リチウムイオン二次電池用負極材料を提供できる。
さらに、本発明は、上記リチウムイオン二次電池用負極材料を用いた、リチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池を提供できる。
図1Aは、圧縮処理前の球状天然黒鉛の断面SEM(走査型電子顕微鏡)写真である。 図1Bは、球状天然黒鉛を圧縮処理により内部空隙を低減した圧縮球状天然黒鉛の断面SEM(走査型電子顕微鏡)写真である。 図2は、実施例で用いた電池の断面模式図である。
本明細書において、「〜」を用いて表される範囲にはその範囲の両端を含むものとする。例えば、「A〜B」と表される範囲には、AおよびBを含む。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極材料では、従来に比べて、サイクル特性および入出力特性が大きく向上している。
このようにサイクル特性および入出力特性が大きく向上する理由は、明らかではないが、基材である球状天然黒鉛の空隙を圧縮処理により低減することで、鱗片状黒鉛の拘束が強くなり膨張が抑制され、負極合剤層と集電材との接着力が低下しにくくなることによると考えられる。これにより、60℃で電池を保存した後の電池特性の低下が小さくなり、さらに、充放電の繰り返しにより蓄積する黒鉛表面のSEI(固体電解質被膜;Solid Electrolyte Interface)生成量が低減するためと考えられる。また、基材の表面に、電子伝導性が低く、かつ、リチウムイオン伝導性が高い、資源的に豊富な元素であるアルミニウムを含むアルミナまたはその複合酸化物を被覆することで、リチウムイオン移動抵抗が低下するため、入出力特性がさらに向上すると考えられる。ただし、本発明の作用効果は、これらの機序に限定されるものではない。
[リチウムイオン二次電池用負極材料]
本発明のリチウムイオン二次電池用負極材料は、圧縮してなる球状または楕円体状の黒鉛粒子の表面に式(1)で表される酸化物の被膜を有する。
(Al1−x(M (1)
ただし、式(1)中、xは0〜0.7の実数であり、yおよびzは、実数であり、かつ、式(1)中においてMで表される元素Mの酸化物が電気的に中性となる組合せである。
〈圧縮してなる球状または楕円体状の黒鉛粒子〉
本発明のリチウムイオン二次電池用負極材料は、黒鉛を圧縮処理により内部空隙を低減し拘束力を高めているため膨張が小さく、さらに、電子伝導性が低く、かつ、リチウムイオン伝導性が高いアルミナまたはその複合酸化物〔式(1):(Al1−x(Mで表される酸化物,xは0〜0.7の実数であり、yおよびzは、実数であり、かつ、式(1)中においてMで表される元素Mの酸化物が電気的に中性となる組合せである。〕を被覆しているため、リチウムイオン移動抵抗が低下し、電解液の過剰な還元分解を充分に抑制できることから、優れたサイクル特性および入出力特性を示し、60℃で電池を保存した後の電池特性の低下が小さい。
《好ましい黒鉛》
上記黒鉛は天然黒鉛が好ましい。
天然黒鉛は、粒子径が5μm〜30μm程度の一次粒子に機械的処理によって剪断を与えることで、粉砕、粗大粒子による小粒子の捕捉凝集、塑性変形されて球状化または楕円体化する。
《平均粒径》
圧縮してなる球状または楕円体状の黒鉛粒子の平均粒径は、特に限定されないが、1μm〜30μmであることが好ましく、5μm〜15μmであることがより好ましい。球状または楕円体状の黒鉛粒子の平均粒径がこの範囲内であると、嵩密度が大きくなり、粉体の扱いが容易となって、後述の圧縮処理に支障をきたさないうえ、入出力特性が低下しない。
なお、黒鉛粒子の平均粒径は、レーザー回折式粒度分布計(LMS2000e,株式会社セイシン企業製)により測定した粒度分布の累積度数が、体積百分率で50%となる粒径である。
《細孔容積》
圧縮してなる球状または楕円体状の黒鉛粒子の細孔容積は、特に限定されないが、0.15cm/g未満であることが好ましく、0.01cm/g以上、0.15cm/g未満であることがより好ましい。
圧縮してなる球状または楕円体状の黒鉛粒子の細孔容積がこの範囲内であると、圧縮による特性改善の効果が十分に得られる。
本明細書において、細孔容積は水銀圧入法によって測定した値である。具体的には、水銀ポロシメーターを用いて横軸に細孔径、縦軸に細孔容積(累積体積)をプロットして求める。
〈酸化物被膜〉
酸化物の被膜は、アルミナまたはその複合酸化物の被膜であり、式(1)で表される。
(Al1−x(M (1)
式(1)中のx、yおよびzの意味は以下のとおりである。
xは0〜0.7の実数である。x>0.7であると、固溶限界を超えるため、被膜が混合酸化物を形成しやすくなり、さらに化学的に不安定になる場合がある。
yおよびzは、実数であり、かつ、式(1)中においてMで表される元素Mの酸化物が電気的に中性となる組合せである。
Mは、特に限定されないが、IUPAC(国際純正・応用化学連合)周期表の2族から16族の元素(AlおよびOを除く)が好ましく、IUPAC周期表の2族、13族、または15族の元素(Alを除く)がより好ましい。
《好ましい酸化物被膜》
酸化物の被膜は、Al単独の被膜であるか、または、AlとMgO、BおよびPからなる群から選択される1種以上を含む複合酸化物の被膜であることが好ましい。このような酸化物の被膜は、電子伝導性が低く、かつ、リチウムイオン伝導性が高いことから、リチウムイオン二次電池のサイクル特性および入出力特性が優れたものとなる。また、黒鉛と被膜の界面抵抗を低下させることが期待できる。
本発明における酸化物被膜は、緻密な被膜を形成しやすい非晶質が好ましい。非晶質であると、被膜にクラックが発生しにくく、被膜の機能を十分に発揮しやすくなる。
《酸化物被膜の被覆量》
酸化物の被膜の被覆量は、リチウムイオン二次電池用負極材料の1質量%〜5質量%となることが好ましい。酸化物被膜の被覆量がこの範囲内であると、電解液の還元分解をよりよく抑制することができるとともに、リチウムイオン移動抵抗を低下させる効果を十分に発揮でき、かつ、黒鉛粒子が凝集したり、厚膜化によるリチウムイオン移動抵抗の増大によって入出力の応答性が悪化したりすることが少なくなる。
〈リチウムイオン二次電池用負極材料の製造方法〉
本発明のリチウムイオン二次電池用負極材料の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、以下に説明する製造方法が挙げられる。
《黒鉛粒子圧縮工程》
黒鉛粒子の空隙を低減して球状または楕円体状の黒鉛粒子を得るために、圧縮処理を行う。圧縮処理は、圧力を特定の方向に掛ける異方加圧、またはガスもしくは液体などの加圧媒体を用いて圧力を等方的に掛ける等方加圧のいずれを利用してもよい。
異方加圧の方法は、特に限定されないが、例えば、金型プレス、ロールプレス、および押出成型などが挙げられる。具体例を挙げれば、黒鉛粒子を金型に装入し、40MPa〜300MPaで加圧して、加圧成型体の密度を1.5g/cm〜2.0g/cmに調整することにより、内部空隙を低減できる。加圧処理した黒鉛粒子は、必要に応じて解砕処理をしてもよい。
《被膜形成工程》
黒鉛粒子圧縮工程で得られた球状または楕円体状の黒鉛粒子に、アルミナまたはその複合酸化物を被覆して、黒鉛粒子の表面の少なくとも一部に、式(1)で表される酸化物の被膜を形成する。
黒鉛粒子の表面の少なくとも一部に、式(1)で表される酸化物の被膜を形成するには、被覆剤を用いることが好ましい。
被覆剤は、例えば、アルミニウムアルコキシドにキレート剤を加えて安定化した後、水を加えてオリゴマー化したアルミナ前駆体溶液を利用できる。
アルミニウムアルコキシドとしては、例えば、アルミニウムsec−ブチレート、アルミニウムイソプロピレートまたはアルミニウムエチレートが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのアルミニウムアルコキシドは、アルコール等の溶媒中でキレート剤:アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、トリアタノールアミン等とキレート化させて急激な加水分解反応を抑制する。
キレート剤とアルミニウムアルコキシドの配合量比(モル比)は、特に限定されないが、キレート剤のモル数/アルミニウムアルコキシドのモル数=1〜2であることが好ましい。キレート剤とアルミニウムアルコキシドの配合比(モル比)がこの範囲内であると、キレート化していないアルミニウムアルコキシドが残存しないため安定性が高く、かつ、アルミニウムアルコキシドとキレート化しない不要なキレート剤が残存するおそれも少ない。
キレート化したアルミニウムアルコキシドの溶液は、造膜性を高めるため、水を添加して加水分解を適度に促進させオリゴマー化させることが好ましい。水とアルミニウムアルコキシドの配合量比(モル比)は、特に限定されないが、水のモル数/アルミニウムアルコキシドのモル数=1〜2であることが好ましい。水とアルミニウムアルコキシドの配合量比(モル比)がこの範囲内であると、加水分解が適度に進行するため、成膜性がより向上するとともに、溶液中に沈殿が生じにくい。
アルミナとMgO、BおよびPからなる群から選択される少なくとも1種との複合酸化物の被膜とする場合は、キレート化したアルミニウムアルコキシドの溶液に複合酸化物の前駆物質を溶解させる。複合酸化物の前駆物質は、MgOの場合は酢酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム等、Bの場合はホウ酸、酸化ホウ素等、Pの場合はリン酸、五酸化リン等が挙げられる。
上記前駆体溶液を加温加圧して粒子成長させたベーマイトまたはベーマイト様物質の分散溶液も利用できる。加温は、特に限定されないが、例えば、60℃〜300℃の範囲を設定することが好ましく、溶媒の沸点を超える場合は加圧容器に密閉して行う。
アルミニウム塩の水溶液に、アンモニアまたは尿素を加えて、アルミナまたはその複合酸化物の前駆体を、圧縮してなる球状または楕円体状の黒鉛粒子に付着させる均一沈殿法も利用できる。アルミニウム塩は、特に限定されないが、例えば、酢酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、および硫酸アルミニウムが挙げられる。
複合酸化物の前駆体を含む溶液の固形分濃度は、酸化物に換算して5質量%〜10質量%であることが好ましい。この濃度範囲の溶液を用いると、圧縮してなる球状または楕円体状の黒鉛粒子への被覆物質の被覆量を1質量%〜5質量%の範囲内とすることが容易となる。
複合酸化物の前駆体を含む溶液に、圧縮してなる球状または楕円体状の黒鉛粒子を混合し、必要に応じて加圧含浸したあと、ろ過または遠心分離することにより、アルミナまたはその複合酸化物の前駆体が付着した被覆黒鉛粒子が得られる。
得られた被覆黒鉛粒子は、乾燥後、熱処理が行われ、本発明のリチウムイオン二次電池用負極材料が得られる。
熱処理の際の温度は、特に限定されないが、500℃〜800℃の温度範囲が好ましく、この温度範囲内での熱処理であると、結晶水などが残存しない完全な被膜となり、かつ、結晶化が過度に進行しない。
熱処理の際の雰囲気は、特に限定されないが、非酸化性雰囲気が好ましく、Ar等の非反応性ガスまたはN等の低反応性ガスを主成分とし、O等の酸化性ガスの濃度は1000ppm以下がより好ましい。
[リチウムイオン二次電池用負極]
本発明のリチウムイオン二次電池用負極は、上述した本発明のリチウムイオン二次電池用負極材料を含む点に特徴を有する。すなわち、リチウムイオン二次電池用負極材料として本発明のリチウムイオン二次電池用負極材料を用いる点を除いて、従来のリチウムイオン二次電池用負極と同様の構造であり、同様の製造方法により製造することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極は、通常の負極の成形方法に準じて作製される。負極の作製は、本発明のリチウムイオン二次電池用負極材料に、結合剤および溶媒を加えて調製した負極合剤を集電材に塗布することが好ましい。
結合剤は、電解質に対して化学的、および電気化学的に安定性を示すものが好ましく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系樹脂粉末、ポリエチレン、ポリビニルアルコールなどの樹脂粉末、カルボキシメチルセルロースなどが用いられる。これらを併用することもできる。結合剤は、通常、負極合剤の全量中の1〜20質量%の割合である。
より具体的には、まず、本発明のリチウムイオン二次電池用負極材料を分級などにより所望の粒度に調整し、結合剤および溶媒と混合してスラリー状の負極合剤を調製する。すなわち、本発明のリチウムイオン二次電池用負極材料と、結合剤および水、イソピロピルアルコール、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドなどの溶媒を、公知の攪拌機、混合機、混練機、ニーダーなどを用いて攪拌混合してスラリーを調製する。スラリーは、集電材の片面または両面に塗布し、乾燥することで、負極合剤層が均一かつ強固に接着した負極を得ることができる。負極合剤層の膜厚は、特に限定されないが、10μm〜200μmであることが好ましく、20μm〜100μmであることがより好ましい。
負極の作製に用いる集電材の形状としては、特に限定されることはないが、箔状、メッシュ、エキスパンドメタルなどの網状などである。集電材の材質は、銅、ステンレス、ニッケルなどが好ましく、その集電体の厚みは通常5〜20μmである。
なお、本発明のリチウムイオン二次電池用負極は、本発明の目的を損なわない範囲で、黒鉛質材料、ハードカーボンなどの炭素質材料、CNT(セルロースナノチューブ)、カーボンブラックなどの導電材を混合してもよい。
[リチウムイオン二次電池]
本発明のリチウムイオン二次電池は、上述した本発明のリチウムイオン二次電池用負極を有する点に特徴がある。すなわち、リチウムイオン二次電池用負極として本発明のリチウムイオン二次電池用負極を用いる点を除いて、従来のリチウムイオン二次電池と同様の構造であり、同様の製造方法により製造することができる。
〈リチウムイオン二次電池の製造方法〉
本発明のリチウムイオン二次電池は、上述したリチウムイオン二次電池用負極、正極、および非水電解質を、例えば、負極、非水電解質、正極の順で積層し、電池の外装材内に収容することで構成される。非水電解質を溶媒に溶解する場合は、負極と正極の間にセパレータを配置する。本発明のリチウムイオン二次電池の構造、形状、形態は特に限定されず、用途に応じて円筒型、角型、コイン型、ボタン型、ラミネート型などの中から任意に選択することができる。より安全性の高い密閉型非水電解液電池を得るためには、過充電などの異常時に電池内圧上昇を感知して電流を遮断させる手段を備えたものを用いることが好ましい。
〈正極〉
本発明のリチウムイオン二次電池に用いる正極は、例えば、正極材料、結合剤および導電剤よりなる正極合剤を集電体の表面に塗布することにより形成される。正極の材料(正極活物質)は、十分量のリチウムを吸蔵/離脱し得るリチウム含有遷移金属酸化物を選択するのが好ましい。リチウム含有遷移金属酸化物は、リチウムと遷移金属との複合酸化物であり、4種類以上の元素が含まれてもよい。複合酸化物は単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。具体的には、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiNi0.9Co0.1、LiNi0.5Co0.5、LiFePOなどがある。
正極活物質は、前記化合物を単独で使用しても2種類以上併用してもよい。正極を形成するに際しては、従来公知の導電剤や結着剤などの各種添加剤を適宜に使用することができる。
集電材の形状は特に限定されないが、箔状またはメッシュ、エキスパンドメタル等の網状等のものが用いられる。集電体の材質は、アルミニウム、ステンレス、ニッケル等で、その厚さは通常10μm〜40μmである。
《正極の製造方法》
正極は、上記正極材料、結合剤、および正極に導電性を付与するための導電剤よりなる正極合剤を、集電体の両面に塗布して正極合剤層を形成して作製される。結合剤としては、負極の作製に使用されるものと同じものが使用可能である。導電剤としては、黒鉛化物、カーボンブラックなど公知のものが使用される。
集電体の形状は特に限定されないが、箔状またはメッシュ、エキスパンドメタル等の網状等のものが用いられる。集電体の材質は、アルミニウム、ステンレス、ニッケル等である。その厚さは8μm〜40μmのものが好適である。
正極も負極と同様に、正極合剤を溶剤中に分散させペースト状にし、このペースト状の正極合剤を集電体に塗布、乾燥して正極合剤層を形成してもよく、正極合剤層を形成した後、さらにプレス加圧等の圧着を行ってもよい。これにより正極合剤層が均一且つ強固に集電材に接着される。
〈非水電解質〉
本発明のリチウムイオン二次電池に用いられる非水電解質としては、通常の非水電解液に使用される電解質塩である、LiPF、LiBF、LiAsF、LiClO、LiB(C)、LiCl、LiBr、LiCFSO、LiCHSO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiN(CFCHOSO、LiN(CFCFOSO、LiN(HCFCFCHOSO、LiN((CFCHOSO、Li[B{C(CF−3,5}]、LiAlCl、LiSiFなどのリチウム塩を用いることができる。酸化安定性の点からは、特に、LiPF、LiBFが好ましい。
上記非水電解液中の電解質塩濃度は0.1mol/L〜5.0mol/Lが好ましく、0.5mol/L〜3.0mol/Lがより好ましい。
非水電解質は液状の非水電解質としてもよく、固体電解質またはゲル電解質などの高分子電解質としてもよい。前者の場合、非水電解質電池は、いわゆるリチウムイオン二次電池として構成され、後者の場合は、非水電解質電池は高分子固体電解質、高分子ゲル電解質電池などの高分子電解質電池として構成される。
非水電解質液を調製するための電解液としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのカーボネート、1,1−または1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、アニソール、ジエチルエーテルなどのエーテル、スルホラン、メチルスルホランなどのチオエーテル、アセトニトリル、クロロニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル、ホウ酸トリメチル、ケイ酸テトラメチル、ニトロメタン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、酢酸エチル、トリメチルオルトホルメート、ニトロベンゼン、塩化ベンゾイル、臭化ベンゾイル、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、3−メチル−2−オキサゾリドン、エチレングリコール、ジメチルサルファイトなどの非プロトン性有機溶媒などを用いることができる。さらに、充電時に電解液が還元分解して電池が劣化することを防ぐため、添加剤を加えても良い。公知の添加剤としては、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ビニレンカーボネート(VC)、エチレンサルファイト(ES)などがあり、これらに限定されない。添加量は通常0.5〜10質量%程度である。
非水電解質を高分子固体電解質または高分子ゲル電解質などの高分子電解質とする場合には、マトリックスとして可塑剤(非水電解液)でゲル化された高分子を用いることが好ましい。上記マトリックスを構成する高分子としては、ポリエチレンオキサイドやその架橋体などのエーテル系高分子化合物、ポリメタクリレート系高分子化合物、ポリアクリレート系高分子化合物、ポリビニリデンフルオライドやビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素系高分子化合物などを用いることが特に好ましい。
〈セパレータ〉
本発明のリチウムイオン二次電池においては、セパレータを使用することもできる。
セパレータの材質は特に限定されるものではないが、例えば、織布、不織布、合成樹脂製微多孔膜などを用いることができる。上記セパレータの材質としては、合成樹脂製微多孔膜が好適であるが、なかでもポリオレフィン系微多孔膜が、厚さ、膜強度、膜抵抗の面で好適である。具体的には、ポリエチレンおよびポリプロピレン製微多孔膜、またはこれらを複合した微多孔膜等が好適である。
以下では、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
また、以下の実施例および比較例では、図2に示すように、少なくとも表面の一部に本発明の負極材料を有する負極合剤2が付着した集電体(負極)7bとリチウム箔よりなる対極(正極)4から構成される単極評価用のボタン型二次電池を作製して評価した。実電池は、本発明の概念に基づき、公知の方法に準じて作製することができる。
[測定方法]
(1)平均粒子径
平均粒子径は、レーザー回折式粒度計(LMS2000e,セイシン企業社製)測定される累積度数が体積百分率で50%となる粒子径とした。
(2)アルミナまたはその複合酸化物の被覆量
ICP発光分析(ICP発光分析装置:ICPS−8100型,島津製作所社製)、原子吸光分析(原子吸光分析装置:AA−7000型,島津製作所社製)で定量分析を行った。
(3)細孔容積
細孔容積は水銀ポロシメーター(AUTOPORE IV,MICROMORITICS社製)で測定した。
(4)比表面積
比表面積は、250℃で予備乾燥し、さらに30分間窒素ガスを流したのち、窒素ガス吸着によるBET1点法により測定した(MONOSORB,カンタクローム・インスツルメンツ・ジャパン合同会社製)。詳細には、JIS Z 8830:2013 ガス吸着による粉体(固体)の比表面積測定方法によって測定したBET比表面積である。
(5)電池特性
以下の構成で作製された評価電池について、25℃の温度下で以下に示す充放電試験を行い、初期充放電特性、急速充放電率、サイクル特性および高温保持特性を計算した。
<初期充放電特性>
リチウムイオンを負極材料に吸蔵する過程を充電、負極材料から離脱する過程を放電とした。回路電圧が1mVに達するまで0.9mAの定電流充電を行った後、回路電圧が1mVに達した時点で定電圧充電に切替え、さらに電流値が20μAになるまで充電を続けた。その間の通電量から質量当たりの初期充電容量(単位:mAh/g)を求めた。その後、10分間休止した。次に0.9mAの電流値で回路電圧が1.5Vに達するまで定電流放電を行い、さらに0.1mAの電流値で絞り出しを行った。質量当たりの初期放電容量(単位:mAh/g)は1.5Vまでの通電量からを求めた。初期充放電効率は下記式(A)により計算した。
続けて、回路電圧が1mVに達するまで1Cの定電流充電を行った後、回路電圧が1mVに達した時点で定電圧充電に切替え、さらに電流値が20μAになるまで充電を続けた。次に2Cの電流値で回路電圧が1.5Vに達するまで定電流放電を行った。1C充電率は式(B)、2C放電率は式(C)から計算した。なお1Cとは、電池容量に対する充放電時の電流の相対的な比率の指標で、公称容量値の容量を持つセルを定電流充放電して1時間で充放電が終了となる電流値のことである。この試験の1C、2Cの電流値は、初期放電容量と負極の活物質重量から計算した。
初期充放電効率(%)=(初期放電容量/初期充電容量)×100 … 式(A)
1C充電率(%)=(1C充電容量/初期充電容量)×100 … 式(B)
2C放電率(%)=(2C放電容量/初期放電容量)×100 … 式(C)
<サイクル特性>
初期充放電特性を評価した電池とは別の電池を作製し、以下のような評価を行なった。
回路電圧が1mVに達するまで1Cの定電流充電を行った後、定電圧充電に切替え、電流値が20μAになるまで充電を続けた後、10分間休止した。次に1Cの電流値で、回路電圧が1.5Vに達するまで定電流放電を行い、さらに0.1mAの電流値で絞り出しを行った。この操作を50回繰返した。サイクル特性は、得られた質量当たりの放電容量から式(D)を用いて容量維持率を計算して評価した。
容量維持率(%)=(50サイクル目の放電容量/初期放電容量)
×100 … 式(D)
<高温保存特性>
初期充放電特性を評価した電池とは別の電池を作製し、以下のような評価を行なった。
回路電圧が1mVに達するまで0.2Cの定電流充電を行った後、定電圧充電に切替え、電流値が20μAになるまで充電を続けた後、10分間休止した。次に0.2Cの電流値で、回路電圧が1.5Vに達するまで定電流放電(保存前放電容量)を行い、さらに0.1mAの電流値で絞り出しを行った。この操作を2回繰返した。次いで0.2Cの定電流充電および定電圧充電を行い、60℃の恒温槽で1週間保存した。保存後は常温に戻してから0.2Cの電流値で回路電圧が1.5Vに達するまで定電流放電(保存後放電容量)を行い、得られた質量当たりの残存容量から式(E)を用いて残存容量率を計算して評価した。
残存容量率(%)=(保存後放電容量/2回目の保存前放電容量)
×100 … 式(E)
[実施例1]
〈負極材料の作製〉
(1)圧縮球状天然黒鉛の製造
市販の球状天然黒鉛300gを100MPaで異方加圧して成型体を作製し、次いでアトマイザー粉砕機で解砕することで圧縮球状天然黒鉛を作製した。
なお、図1Aは、圧縮処理前の球状天然黒鉛のSEM(走査型電子顕微鏡)による写真であり、図1Bは、圧縮処理前の球状天然黒鉛(圧縮球状天然黒鉛)のSEMによる写真である。SEMは、日立ハイテクノロジーズ製SEM(型番s4800)を用いて撮影したものである。
(2)Al被覆圧縮球状天然黒鉛の負極材料の製造
アルミニウムsecブトキシド(0.5mol)およびアセト酢酸エチル(0.5mol)を溶解したイソプロピルアルコール溶液に、水(1mol)を溶解したエタノール溶液を加え、Alとして3質量%の前駆体溶液を調製した。次いで、平均粒径8μmの圧縮球状天然黒鉛200gを前駆体溶液に加えてスラリーとし、0.5MPaで加圧ろ過した。分離した圧縮球状天然黒鉛は乾燥し、N雰囲気下800℃で熱処理して、Al被覆圧縮球状天然黒鉛の負極材料を得た。
〈作用電極(負極)の作製〉
得られた負極材料98質量部と、結合剤(カルボキシメチルセルロース)1質量部と、スチレンブタジエンゴム1質量部とを水に入れて撹拌し、負極材料を52質量%含む負極合剤ペーストを調製した。
負極合剤ペーストを厚さ15μmの銅箔上に均一な厚さで塗布し、さらに真空中100℃で分散媒の水を蒸発させて乾燥した。次いで、この銅箔上に塗布した負極合剤層をハンドプレスによって加圧した。さらに、銅箔と負極合剤層を直径15.5mmの円柱状に打抜いてプレスし、銅箔に密着した負極合剤層を有する作用電極(負極)を作製した。負極合剤層の目付量は10mg/cm、密度は1.6g/ccであった。
〈評価電池の作製〉
図2に評価電池の構成としてボタン型二次電池を示す。
外装カップ1と外装缶3は、その周縁部において絶縁ガスケット6を介在させ、両周縁部をかしめて密閉した。その内部に外装缶3の内面から順に、ニッケルネットからなる集電体7a、リチウム箔よりなる円筒状の対極(正極)4、電解液が含浸されたセパレータ5、負極合剤2が付着した銅箔からなる集電体7bが積層された電池である。
前記評価電池は電解液を含浸させたセパレータ5を集電体7bと負極合剤2からなる作用電極(負極)と、集電体7aに密着した対極4との間に挟んで積層した後、集電体7bを外装カップ1内に、対極4を外装缶3内に収容して、外装カップ1と外装缶3とを合わせ、さらに、外装カップ1と外装缶3との周縁部に絶縁ガスケット6を介在させ、両周縁部をかしめて密閉して作製した。
電解液は、エチレンカーボネート(EC)33体積%とメチルエチルカーボネート(MEC)67体積%の混合溶媒に、LiPFを1mol/Lとなる濃度で溶解させて調製した。また該電解液は厚さ20μmのポリプロピレン多孔質体のセパレータに含浸させ、電解液が含浸したセパレータを作製した。なお、実電池については、本発明の概念に基づき、公知の方法に準じて作製することができる。
各種電池特性の評価結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1のAl前駆体溶液の代わりに、(Al0.9・(MgO)0.1として3質量%に調製した前駆体溶液を用いた以外は実施例1と同様にして被覆圧縮球状天然黒鉛の負極材料を得た。実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1のAl前駆体溶液の代わりに、(Al0.33・(P0.67として3質量%に調製した前駆体溶液を用いた以外は実施例1と同様にして被覆圧縮球状天然黒鉛の負極材料を得た。実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1のAl前駆体溶液の代わりに、(Al0.32・(P0.64・(B0.03として3質量%に調製した前駆体溶液を用いた以外は実施例1と同様にして被覆圧縮球状天然黒鉛の負極材料を得た。実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
圧縮処理していない球状天然黒鉛を用いたこと以外は、実施例1と同様にして被覆球状天然黒鉛の負極材料を得た。実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
被覆剤をピッチにしたこと以外は、実施例1と同様にして被覆圧縮球状天然黒鉛の負極材料を得た。ピッチは5μmに粉砕した粉を圧縮球状天然黒鉛に対して10質量%混合し、N雰囲気下1100℃で熱処理してカーボン被覆を施した。実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例3]
圧縮処理した球状天然黒鉛用のみを負極材料とした(被覆なし)。実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例4]
圧縮処理していない球状天然黒鉛を用いたこと以外は、比較例2と同様にして被覆球状天然黒鉛の負極材料を得た。実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例5]
圧縮処理していない球状天然黒鉛用のみを負極材料とした(被覆なし)。実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例6]
実施例1のAl前駆体溶液の代わりに、ZrOとして3質量%に調製した前駆体溶液を用いた以外は実施例1と同様にして被覆圧縮球状天然黒鉛の負極材料を得た。実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1〜4から、本発明のLiイオン二次電池用負極材料を用いたLiイオン二次電池は、圧縮処理により内部空隙を低減し拘束力を高めた球状天然黒鉛に、電子伝導性が低くかつLiイオン伝導性が高いアルミナまたはその複合酸化物を被覆することで、サイクル特性および入出力特性が大きく向上することが分かる。
比較例1、4の圧縮なしの球状天然黒鉛は、膨張が大きくサイクル特性が悪い。
比較例2、4のカーボン被覆は電子伝導性が高くLiイオン伝導が低いため、サイクル特性、入出力特性が悪い。
比較例6のZrO被覆もサイクル特性、入出力特性が悪く、60℃保存の残存容量も十分ではない。
比較例3は被覆が無いため、60℃保存の残存容量が悪い。
本発明は、圧縮処理により内部空隙を低減し拘束力を高めた球状天然黒鉛に、電子伝導性が低くかつリチウムイオン伝導性が高いアルミナまたはその複合酸化物を被覆することで、耐久性および入出力特性が向上した負極材料を提供する。そのため、本発明のリチウムイオン用負極材料を用いるリチウムイオン二次電池は、耐久性、入出力特性を重視する車載用電池等に有用である。
1 外装カップ
2 負極合剤
3 外装缶
4 対極
5 セパレータ
6 絶縁ガスケット
7a、7b 集電体

Claims (4)

  1. 圧縮してなる球状または楕円体状の黒鉛粒子の表面に式(1)で表される酸化物の被膜を有するリチウムイオン二次電池用負極材料。
    (Al1−x(M (1)
    ただし、式(1)中、xは0〜0.7の実数であり、yおよびzは、実数であり、かつ、式(1)中においてMで表される元素Mの酸化物が電気的に中性となる組合せである。
  2. 前記元素Mが、Mg、BおよびPからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
  3. 請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料を含む、リチウムイオン二次電池用負極。
  4. 請求項3に記載のリチウムイオン二次電池用負極を有する、リチウムイオン二次電池。
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