JP2020060417A - 異常検出装置及び異常検出システム - Google Patents

異常検出装置及び異常検出システム Download PDF

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Abstract

【課題】紐状部材の異常を検出することが可能な異常検出装置を提供する。【解決手段】異常検出装置は、位置または姿勢を変更可能な可動部12の動作中の所定のタイミングにおける、紐状部材15が正常な場合における紐状部材15に掛かるストレスを表す基準値を記憶する記憶部23と、その所定のタイミングにおける、紐状部材15に掛かるストレスを測定して得られる測定値と、その所定のタイミングにおける基準値との差に基づいて、紐状部材15に異常が有るか否かを判定する異常判定部33とを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、紐状部材の異常を検出する異常検出装置及び異常検出システムに関する。
工作機械またはロボットのように、動作する際に位置または姿勢が変化する可動部を有する機械において、その可動部にケーブルまたはチューブといった紐状部材が接続されることがある。このような紐状部材に掛かる、引張応力または圧縮応力といったストレスによっては、機械が正常な動作を行えなくなることがある。そこで、電気ケーブルの張力によって電気ケーブルが接続される接合部に加わる力を検出し、検出した力が閾値以上になれば、警報を報知する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。また、水中ロボットと複合ケーブルとの連結部に取り付けられた張力センサーからの信号により、複合ケーブルを巻き取り、あるいは巻き戻すケーブルドラムを駆動するモータの速度調節または発停制御を行う技術が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
特開2014−193039号公報 特開平4−108906号公報
しかしながら、上記の技術では、正常な状態におけるケーブルの張力が調べられていないので、ケーブルにどの程度のストレスが生じているのかが分からない。その結果として、ケーブルの異常を早期に発見できないおそれがある。
一つの側面では、紐状部材の異常を検出することが可能な異常検出装置を提供することを目的とする。
一つの実施形態によれば、位置または姿勢を変更可能な可動部に接続された紐状部材の異常を検出する異常検出装置が提供される。この異常検出装置は、可動部の動作中の所定のタイミングにおける、紐状部材が正常な場合における紐状部材に掛かるストレスを表す基準値を記憶する記憶部と、その所定のタイミングにおける、紐状部材に掛かるストレスを測定して得られる測定値と、その所定のタイミングにおける基準値との差に基づいて、紐状部材に異常が有るか否かを判定する異常判定部とを有する。
他の実施形態によれば、異常検出システムが提供される。この異常検出システムは、紐状部材と接続され、かつ、位置または姿勢を変更可能な可動部を有する複数の機器と、複数の機器のそれぞれの紐状部材の異常を検出する異常検出装置とを有する。そして異常検出装置は、複数の機器のそれぞれについて、その機器の可動部の動作中の所定のタイミングにおける、その機器の紐状部材が正常な場合における紐状部材に掛かるストレスを表す基準値を記憶する記憶部と、複数の機器のそれぞれについて、その機器の可動部の動作中の所定のタイミングにおける、その機器の紐状部材に掛かるストレスを測定して得られる測定値とその機器のその所定のタイミングにおける基準値との差に基づいて、その機器の紐状部材に異常が有るか否かを判定する異常判定部とを有する。
一つの側面によれば、紐状部材の異常を検出することができる。
異常検出装置を含む、工作機械システムの概略構成図である。 異常検出装置の一つの実施形態による制御装置の概略構成図である。 制御装置が有するプロセッサの機能ブロック図である。 チューブが正常な場合の歪みの測定値の時間変化の模式図である。 チューブが異常な場合の歪みの測定値の時間変化の模式図である。 異常検出処理の動作フローチャートである。 変形例による、異常検出システムの概略構成図である。
以下、図を参照しつつ、異常検出装置について説明する。この異常検出装置は、工作機械などが有する可動部に取り付けられた紐状部材の異常を検出する。そのために、この異常検出装置は、紐状部材に掛かるストレスが変化するように可動部が動作している間に、紐状部材または可動部などに取り付けられたセンサから、紐状部材に掛かるストレスを表す測定値を取得する。そしてこの異常検出装置は、可動部の動作中の所定のタイミングにおけるその測定値と、その所定のタイミングにおける、紐状部材が正常な状態のときの紐状部材に掛かるストレスを表す基準値との差に基づいて、紐状部材の異常を検出する。
なお、本実施形態において、紐状部材の異常には、紐状部材の経時劣化だけでなく、紐状部材の設置の異常、紐状部材の長さが仕様により定められた長さよりも短い、あるいは、紐状部材を構成する部材の物理特性が仕様を満たしていないといった製造不良が含まれる。また、本実施形態では、紐状部材はチューブであるが、紐状部材はこれに限られず、例えば、信号線または動力線といったケーブル、あるいはチェーンなどであってもよい。
図1は、異常検出装置を含む、工作機械システムの概略構成図である。工作機械システム1は、工作機械2と、工作機械2を制御する制御装置3とを有する。工作機械2は、位置または姿勢を変更可能な可動部を有する機器の一例である。制御装置3は、異常検出装置の一例である。なお、可動部を有する機器は、工作機械に限られず、例えば、ロボット、物品の検査用の機器あるいは物品の搬送用の機器などであってもよい。
工作機械2は、台座11と、テーブル12と、接続端子13と、ひずみゲージ14とを有する。テーブル12は、位置または姿勢を変更可能な可動部の一例である。工作機械2は、テーブル12以外にも一つ以上の可動部を有していてもよい。
テーブル12は、台座11上に設けられる平板状の部材であり、制御装置3からの制御信号にしたがって動作するサーボモータ16により駆動されることで台座11上を所定の方向に沿って移動可能となっている。なお、サーボモータ16は、可動部を駆動する駆動部の一例である。本実施形態では、テーブル12は、台座11上を矢印Aに沿って直線状に移動可能となっている。なお、テーブル12の形状は、平板状でなくてもよく、任意の形状を有することができる。また、テーブル12は、一方向だけでなく、互いに直交する二方向に移動可能であってもよく、あるいは、円周状または円弧状に移動可能であってよい。さらに、テーブル12は、台座11の上面に対して垂直な方向に移動可能であってよい。さらにまた、テーブル12は、台座11の上面に対して垂直な回転軸の周りを回動可能であってもよい。さらにまた、テーブル12は、制御装置3からの制御信号にしたがって、台座11の上面に対する傾き角が変化するものであってもよい。
接続端子13は、テーブル12に設けられ、かつ、紐状部材を接続するための端子である。本実施形態では、接続端子13は、テーブル12の上面に設けられ、テーブル12の上面に対して略直交する接続端子13の一方の側面に、紐状部材の一例であるチューブ15を固定するための固定機構13aを有する。固定機構13aは、例えば、チューブ15を挿入するための挿入口を有し、チューブ15の一端は、その挿入口に挿入される。さらに、固定機構13aは、挿入口に挿入されたチューブ15が外れないようにするためのロック機構を有していてもよい。なお、接続端子13の位置は上記の例に限られず、テーブル12の何れかの位置に設けられればよい。また、接続端子13に対するチューブ15の取り付け位置も上記の例に限られず、例えば、接続端子13の上面に固定機構13aが設けられ、その固定機構13aにチューブ15の一端が取り付けられてもよい。
なお、チューブ15の他端は、他の機器、工作機械2が設置される施設の壁面または床面、あるいは、テーブル12の動作とは独立して動作し、若しくは固定される工作機械2の他の部位と接続されてもよい。
ひずみゲージ14は、紐状部材に掛かるストレスを表す値を測定する測定部の一例である。本実施形態では、ひずみゲージ14は、接続端子13のチューブ15が接続される側面とは反対側の側面に貼り付けられ、チューブ15の引張により生じる張力に応じてチューブ15に生じる歪みを測定する。その歪みは、紐状部材に掛かるストレスを表す値の一例である。そしてひずみゲージ14は、テーブル12が動作している間、所定の周期ごとに、測定した歪みの測定値を表す電圧(以下、単に測定値と呼ぶ)を制御装置3へ出力する。なお、ひずみゲージ14の取り付け位置は、この例に限られず、テーブル12の動作によりチューブ15に生じる歪みの変化を測定できる位置であればよい。また、ひずみゲージ14の代わりに、テーブル12の動作中においてチューブ15に掛かるストレスの変化を測定可能な他のセンサが用いられてもよい。
制御装置3は、例えば、computerized numeric control(CNC)により工作機械2を制御する制御装置である。また制御装置3は、テーブル12の動作中にひずみゲージ14から取得した一連の測定値に基づいて、チューブ15に対する異常検出処理を実行する。
図2は、制御装置3の概略構成図である。制御装置3は、ユーザインターフェース21と、通信インターフェース22と、メモリ23と、プロセッサ24とを有する。
ユーザインターフェース21は、通知部の一例であり、例えば、操作信号入力用のキーボードあるいはマウスといった入力機器と、液晶ディスプレイといった表示装置とを別個に有する。あるいは、ユーザインターフェース21は、タッチパネルといった、入力機器と表示装置とが一体化された機器を有してもよい。さらに、ユーザインターフェース21は、スピーカを有していてもよい。そしてユーザインターフェース21は、ユーザによる操作に応じた操作信号、例えば、工作機械2の動作設定または動作制御に関する信号を生成し、その操作信号をプロセッサ24へ出力する。またユーザインターフェース21は、プロセッサ24から受け取った表示用の信号に従って、チューブ15の異常検出結果などを表示する。
通信インターフェース22は、例えば、制御装置3を工作機械2及びひずみゲージ14と接続するための通信インターフェースなどを含む。そして通信インターフェース22は、例えば、プロセッサ24から受け取った、工作機械2に対する制御信号などを、通信回線を介して工作機械2へ出力する。また通信インターフェース22は、ひずみゲージ14から受信した測定値をプロセッサ24へわたす。
メモリ23は、記憶部の一例であり、例えば、読み書き可能な半導体メモリと読み出し専用の半導体メモリとを有する。さらに、メモリ23は、半導体メモリカード、ハードディスク、あるいは光記憶媒体といった記憶媒体及びその記憶媒体にアクセスする装置を有していてもよい。
メモリ23は、制御装置3のプロセッサ24で実行される、工作機械2の制御用の各種プログラム、及び、異常検出処理用のコンピュータプログラムなどを記憶する。また、メモリ23は、テーブル12を一定期間にわたって動作させた場合における、その動作中の所定のタイミングにおける、チューブ15が正常な場合にひずみゲージ14から得られる歪みの基準値などを記憶する。
プロセッサ24は、制御部の一例であり、例えば、Central Processing Unit(CPU)及びその周辺回路を有する。さらにプロセッサ24は、数値演算用のプロセッサを有していてもよい。そしてプロセッサ24は、工作機械システム1全体を制御する。またプロセッサ24は、異常検出処理を実行する。
図3は、異常検出処理に関する、プロセッサ24の機能ブロック図である。プロセッサ24は、制御部31と、タイミング検知部32と、異常判定部33とを有する。プロセッサ24が有するこれらの各部は、例えば、プロセッサ24上で実行されるコンピュータプログラムにより実現される機能モジュールである。あるいは、これらの各部は、プロセッサ24の一部に実装される専用の演算回路として実装されてもよい。
制御部31は、異常検出処理が開始されると、一定期間の間、テーブル12を動作させる。本実施形態では、制御部31は、テーブル12が所定の方向に沿って往復運動するように工作機械2を制御する。そのために、制御部31は、異常検出処理が実行されている間、テーブル12を駆動するサーボモータ16に対して、テーブル12を所定の方向に沿って往復運動させる制御信号を生成し、生成した制御信号を、通信インターフェース22を介してサーボモータ16へ出力する。そして制御部31は、異常検出処理が開始されてから一定期間が経過すると、テーブル12を停止させる制御信号を生成して、その制御信号を、通信インターフェース22を介してサーボモータ16へ出力する。
なお、所定の方向は、テーブル12の運動によってチューブ15に掛かるストレスが変化する向きであればよい。テーブル12が一方向にしか移動しない場合には、制御部31は、その方向に沿ってテーブル12を往復運動させればよい。また、一定期間は、例えば、テーブル12が所定方向に沿って少なくとも一回、好ましくは複数回、往復運動する期間とすることができる。
また、異常検出処理の実行中におけるテーブル12の動作は往復運動に限られず、チューブ15に掛かるストレスがテーブル12の動作によって周期的に変化するものであればよい。例えば、テーブル12が回動可能である場合には、制御部31は、テーブル12を、所定角度だけ時計回りと反時計回りの回転を交互に実行させることで、テーブル12の姿勢を周期的に変化させてもよい。
さらに、異常検出処理は、工作機械2による通常の作業中に実行されてもよい。この場合には、制御部31は、その通常の作業にしたがってテーブル12を動作させる制御信号を生成して、その制御信号を、通信インターフェース22を介してサーボモータ16へ出力すればよい。
タイミング検知部32は、異常検出処理の実行中において、ひずみゲージ14から通信インターフェース22を介して継続して測定値を受信する。そしてタイミング検知部32は、テーブル12の動作中において、異常判定に用いられる測定値が得られる所定のタイミングを検知する。
本実施形態では、タイミング検知部32は、所定のタイミングとして、チューブ15に掛かるストレスが最大となるタイミングを検知する。チューブ15に掛かるストレスが最大となるタイミングでは、チューブ15の長さが仕様よりも短いといった異常によって、チューブ15に掛かるストレスが、チューブ15が正常な場合のストレスと比べて大きく異なることがある。そこで、異常検出装置は、チューブ15に掛かるストレスが最大となるタイミングにおける歪みの測定値をチューブ15の異常の検出に利用することで、チューブ15の異常を正確に検出することができる。
チューブ15に掛かるストレスが最大となるタイミングは、例えば、テーブル12の動作により、チューブ15が最も引張されるタイミングである。そのために、タイミング検知部32は、例えば、ひずみゲージ14から受信した測定値の時間変化を調べて、テーブル12の動作中においてその測定値が最大となるタイミングを、チューブ15に掛かるストレスが最大となるタイミングとして検出する。あるいは、チューブ15が最も引張されるときのテーブル12の位置が既知である場合、タイミング検知部32は、テーブル12が、チューブ15が引張される方向へ向けて移動し、かつ、最も引張されるときの位置に達したタイミングを、チューブ15に掛かるストレスが最大となるタイミングとして検出すればよい。この場合には、タイミング検知部32は、例えば、制御部31からサーボモータ16へ出力される制御信号、または、工作機械2に設けられた、テーブル12の位置を測定するためのセンサ(図示せず、例えば、サーボモータ16に設けられたエンコーダ)からの位置測定信号に基づいて、テーブル12の位置及び移動方向を求めることで、テーブル12が、チューブ15が最も引張されるときの位置に達したか否かを判定すればよい。あるいはまた、タイミング検知部32は、テーブル12の動作を開始させてからの経過時間により、テーブル12が、チューブ15が最も引張されるときの位置に達したタイミングを特定してもよい。
タイミング検知部32は、所定のタイミングにおける、ひずみゲージ14からの測定値を異常判定部33へわたす。
異常判定部33は、テーブル12が動作中の所定のタイミングにおける、ひずみゲージ14からの測定値と、その所定のタイミングにおける、歪みの基準値との差を算出し、その差に基づいて、チューブ15に異常が有るか否かを判定する。本実施形態では、異常判定部33は、所定のタイミングにおける歪みの測定値と歪みの基準値との差の絶対値を異常検出閾値と比較する。そして異常判定部33は、差の絶対値が異常検出閾値より大きい場合、チューブ15に何らかの異常が有ると判定する。
図4は、チューブ15が正常な場合の歪みの測定値の時間変化の模式図である。図4において、横軸は、異常検出処理開始からの経過時間を表し、縦軸は、ひずみゲージ14によって測定されるチューブ15の歪みの大きさを表す。そして波形401は、歪みの基準値の時間変化を表す。また波形402は、チューブ15が正常と判定される歪みの大きさの下限値(すなわち、基準値−異常検出閾値)の時間変化を表し、波形403は、チューブ15が正常と判定される歪みの大きさの上限値(すなわち、基準値+異常検出閾値)の時間変化を表す。そして波形410は、ひずみゲージ14により測定された歪みの測定値の時間変化を表す。
図4に示される例では、チューブ15に掛かるストレスが最大となるタイミングtmaxにおいて、波形410で表される歪みの測定値は、チューブ15が正常と判定される範囲内(すなわち、波形402で示される下限値と波形403で示される上限値の間)に含まれている。したがって、この場合には、異常判定部33は、チューブ15には異常が無い、すなわち、チューブ15は正常であると判定する。
図5は、チューブ15が異常な場合の歪みの測定値の時間変化の模式図である。図5において、横軸は、異常検出処理開始からの経過時間を表し、縦軸は、ひずみゲージ14によって測定されるチューブ15の歪みの大きさを表す。そして波形501は、歪みの基準値の時間変化を表す。また波形502は、チューブ15が正常と判定される歪みの大きさの下限値(すなわち、基準値−異常検出閾値)の時間変化を表し、波形503は、チューブ15が正常と判定される歪みの大きさの上限値(すなわち、基準値+異常検出閾値)の時間変化を表す。そして波形510は、ひずみゲージ14により測定された歪みの測定値の時間変化を表す。
図5に示される例では、チューブ15に掛かるストレスが最大となるタイミングtmaxにおいて、波形510で表される歪みの測定値は、チューブ15が正常と判定される範囲内(すなわち、波形502で示される下限値と波形503で示される上限値の間)から外れている。すなわち、その測定値と基準値の差の絶対値が異常検出閾値よりも大きくなっている。例えば、チューブ15が劣化してチューブ15に生じた歪みが大きくなったり、あるいは、チューブ15の長さが仕様で定められた長さよりも短いために過剰な力がチューブ15に掛かる場合に、ひずみの測定値が正常と判定される範囲から外れると想定される。また、チューブ15の他端が正しく固定されていない場合にも、歪みの測定値が正常と判定される範囲から外れると想定される。したがって、歪みの測定値と基準値の差の絶対値が異常検出閾値よりも大きくなっている場合には、異常判定部33は、チューブ15に何らかの異常が有ると判定する。
異常判定部33は、判定結果を表す情報をユーザインターフェース21に表示させる。なお、異常判定部33は、チューブ15に何らかの異常が生じたとする判定結果が得られた場合、例えば、判定結果を表す情報を点滅表示させるといった、ユーザの注意を惹起させるような表示態様にて、その判定結果を表す情報をユーザインターフェース21に表示させてもよい。これにより、異常判定部33は、チューブ15に何らかの異常が生じたことをユーザに気付かせ易くして、チューブ15または工作機械2の破損が生じることを未然に防止できる。また、異常判定部33は、チューブ15に何らかの異常が生じたとする判定結果が得られた場合、工作機械2の動作を停止させてもよい。
図6は、異常検出処理の動作フローチャートである。プロセッサ24は、下記の動作フローチャートに従って異常検出処理を実行する。
プロセッサ24の制御部31は、異常検出処理が開始されると、接続端子13を介してチューブ15が接続されたテーブル12を所定の方向に沿って一定期間往復運動させるよう、工作機械2を制御する(ステップS101)。
プロセッサ24のタイミング検知部32は、テーブル12が動作している間、ひずみゲージ14からチューブ15についての歪みの測定値を継続的に受信する(ステップS102)。そしてタイミング検知部32は、テーブル12の動作中においてチューブ15に掛かるストレスが最大となるタイミングを検知して、そのタイミングにおける歪みの測定値を特定する(ステップS103)。
プロセッサ24の異常判定部33は、チューブ15に掛かるストレスが最大となるタイミングにおける歪みの測定値とそのタイミングにおける歪みの基準値との差diffを算出する(ステップS104)。そして異常判定部33は、差diffの絶対値が異常検出閾値Thよりも大きいか否か判定する(ステップS105)。
差diffの絶対値が異常検出閾値Thよりも大きい場合(ステップS105−Yes)、異常判定部33は、チューブ15に何らかの異常が有ると判定する。そして異常判定部33は、チューブ15に異常が有ることを表す判定結果をユーザインターフェース21に表示させる(ステップS106)。
一方、差diffの絶対値が異常検出閾値Th以下である場合(ステップS105−No)、異常判定部33は、チューブ15は正常であると判定する。そして異常判定部33は、チューブ15が正常であることを表す判定結果をユーザインターフェース21に表示させる(ステップS107)。
ステップS106またはS107の後、プロセッサ24は、異常検出処理を終了する。
以上に説明してきたように、この異常検出装置は、紐状部材が接続される可動部が動作している間の所定のタイミングにおいて、紐状部材に掛かるストレスを表す測定値を、その紐状部材が正常である場合のその所定のタイミングにおける紐状部材に掛かるストレスを表す基準値と比較する。そしてその比較結果により、この異常検出装置は、紐状部材に異常が有るか否かを判定する。そのため、この異常検出装置は、紐状部材の異常を適切に検出することができる。
変形例によれば、異常判定に用いられる測定値が得られる所定のタイミングは上記の実施形態に限られない。例えば、その所定のタイミングは複数であってもよい。この場合、例えば、タイミング検知部32は、テーブル12が動作を開始してからの所定のサンプリング周期ごとのタイミングを、それぞれ、所定のタイミングとしてもよい。この場合、異常判定部33は、各タイミングについて、上記の実施形態と同様に、チューブ15の歪みの測定値とその歪みの基準値との差を算出し、その差の絶対値を異常検出閾値と比較すればよい。そして何れかのタイミングにおいて、その差の絶対値が異常検出閾値よりも大きくなると、異常判定部33は、チューブ15に異常が有ると判定してもよい。これにより、異常判定部33は、テーブル12が動作している間に、チューブ15が工作機械2よりも後から設置された他の機器などに引っ掛かるといった、工作機械2の設置時には想定されていない、工作機械2の周囲の状況の変化あるいは工作機械2の改造などにより生じる異常を検出することが容易となる。
また、異常検出処理の実行の際にテーブル12が複数回往復運動する場合には、タイミング検知部32は、所定のタイミングとして、テーブル12の動作中における、歪みの測定値の時間変化において歪みの測定値が極大値または極小値となるタイミングをそれぞれ検知してもよい。そして異常判定部33は各極大値となるタイミングにおける、歪みの測定値と歪みの基準値との差の絶対値を異常検出閾値と比較することで、チューブ15に異常が有るか否かを判定してもよい。この場合も、異常判定部33は、何れかのタイミングにおいて差の絶対値が異常検出閾値よりも大きくなった場合に、チューブ15に異常が有ると判定してもよい。
他の変形例によれば、複数の異常検出閾値が設定されてもよい。例えば、第1の異常検出閾値と、第1の異常検出閾値よりも大きい第2の異常検出閾値が設定されてもよい。そして異常判定部33は、歪みの測定値と歪の基準値との差の絶対値と各異常検出閾値との比較結果に応じて異なる処理を実行してもよい。例えば、異常判定部33は、歪みの測定値と歪の基準値との差の絶対値が第1の異常検出閾値よりも大きく、かつ、第2の異常検出閾値以下である場合に、チューブ15に異常が有ることを表すメッセージをユーザインターフェース21に表示させるものの、工作機械2の動作を継続させてもよい。一方、異常判定部33は、歪みの測定値と歪の基準値との差の絶対値が第2の異常検出閾値よりも大きいと、チューブ15に異常が有ることを表すメッセージをユーザインターフェース21に表示させ、かつ、工作機械2の動作を停止させてもよい。
また、テーブル12の動作中において、テーブル12を駆動するサーボモータ16に掛かる負荷は、チューブ15の引張によりチューブ15に生じる張力に応じて変化する。このことから、テーブル12を駆動するサーボモータ16に掛かる負荷を表す測定値、例えば、サーボモータ16からのフィードバック電流は、チューブ15に掛かるストレスを表す値の他の一例となる。
そこで他の変形例によれば、制御装置3は、テーブル12の動作中において、テーブル12を駆動するサーボモータ16から継続して、サーボモータ16に掛かる負荷を表す測定値を、チューブ15に掛かるストレスを表す測定値として取得する。そしてプロセッサ24の異常判定部33は、テーブル12の動作中における所定のタイミングでの、テーブル12を駆動するサーボモータ16に掛かる負荷を表す測定値と、チューブ15が正常な場合における、その所定のタイミングでのテーブル12を駆動するサーボモータ16に掛かる負荷を表す基準値との差を、上記の実施形態におけるひずみゲージ14による歪みの測定値と歪みの基準値との差の代わりに用いて異常判定処理を実行すればよい。なお、この変形例において、基準値を取得する際のテーブル12の負荷と異常検出処理を実行する際のテーブル12の負荷とは、チューブ15以外については同じとなるように設定されることが好ましい。また基準値は、メモリ23に予め記憶されればよい。
この変形例によれば、異常判定部33は、テーブル12を駆動するサーボモータ16の制御に用いられる情報を利用して、チューブ15の異常を検出できる。そのため、この変形例では、ひずみゲージ14といった、チューブ15に掛かるストレスを測定するためのセンサが別途設けられなくてよい。
さらに他の変形例によれば、制御装置3とは別個に設けられる装置、例えば、制御装置3とは別個に設けられるコンピュータにより、異常検出処理が実行されてもよい。この場合には、異常検出処理を実行するコンピュータ(すなわち、異常検出装置の他の一例)も、図2に示される構成を有していればよい。そして制御装置3を介してテーブル12の動作が開始されると、異常検出装置の他の一例となるコンピュータは、ひずみゲージ14からの測定値またはテーブル12を駆動するサーボモータ16の負荷を表す測定値を、通信インターフェースを介して取得する。そしてコンピュータのプロセッサが、タイミング検知部32及び異常判定部33の処理を実行すればよい。
この変形例によれば、制御装置3に異常検出処理用のソフトウェアを組み込む必要が無く、複数の種類の工作機械に対して共通して利用できるコンピュータにおいてにおいて実装される1種類の異常検出処理用のソフトウェアを準備すればよい。そのため、複数の種類の工作機械に対して異常検出処理を実行する場合における、異常検出処理用のソフトウェアの開発の工数が削減される。
さらに他の変形例によれば、一つの異常検出装置が、可動部と接続される紐状部材を有する複数の工作機械のそれぞれに対して異常検出処理を実行してもよい。
図7はこの変形例による異常検出システムの概略構成図である。異常検出システム100は、n台の工作機械101−1〜101−n(nは2以上の整数)と、異常検出装置102とを有する。各工作機械101−1〜101−nと異常検出装置102とは、通信回線103を介して通信可能に接続される。
工作機械101−1〜101−nは、それぞれ、例えば、図1に示される工作機械2と同様の構成を有する。すなわち、工作機械101−1〜101−nは、それぞれ、可動部と接続され、かつ、その可動部の動作に応じて掛かるストレスが変化する紐状部材を有する。なお、工作機械101−1〜101−nは、同一の構成を有していてもよく、あるいは、互いに異なるものであってもよい。そして工作機械101−1〜101−nは、それぞれ、異常検出処理の実行中において、その工作機械が有する、紐状部材と接続された可動部(例えば、図1に示されるテーブル12)を所定の方向に沿って動作させるとともに、ひずみゲージ14といった、紐状部材に掛かるストレスを表す値を測定するセンサからの測定値、あるいは、可動部を駆動するサーボモータの負荷の測定値を、その工作機械の識別情報とともに、継続して通信回線103を介して異常検出装置102へ出力する。
異常検出装置102は、工作機械101−1〜101−nのそれぞれについて、上記の実施形態またはその変形例にしたがって異常検出処理を実行することで、その工作機械の可動部に接続される紐状部材の異常を検出する。そのために、異常検出装置102は、例えば、図2に示される制御装置3と同様の構成を有する。そして異常検出装置102のメモリには、工作機械ごとの、接続される紐状部材が正常な場合の所定のタイミングにおける紐状部材のストレスを表す基準値を、その工作機械の識別情報と対応付けて記憶する。そして異常検出装置102のプロセッサは、工作機械101−1〜101−nの何れかについて異常検出処理を実行する場合、異常検出処理の対象となる工作機械の識別情報と対応付けて記憶された基準値をメモリから読み出して、その工作機械から受信した測定値とともに用いて異常検出処理を実行すればよい。そしてプロセッサは、異常検出処理の結果を、その処理の対象となった工作機械の識別情報とともにユーザインターフェースに表示すればよい。これにより、ユーザは、一つの異常検出装置102を用いて、異なる場所に設置された複数の工作機械における紐状部材の異常の有無を管理できる。
なお、各工作機械について、定期的、あるいは、不規則に、複数回の異常検出処理が実行されてもよい。そして異常検出装置102は、各工作機械について、紐状部材がその工作機械に取り付けられた日時を記憶してもよい。異常検出装置102は、何れかの工作機械について紐状部材に異常有りと判定すると、紐状部材がその工作機械に取り付けられてから、異常有りと判定されるまでの工作機械の稼働期間、あるいは、紐状部材がその工作機械に取り付けられてから、異常有りと判定されるまでの可動部の動作の実行回数を求めて、紐状部材に異常が生じるまでの予測期間または予測動作回数として利用してもよい。そして異常検出装置102は、他の工作機械について、予測期間から、その工作機械について紐状部材が取り付けられてからの経過時間を減じた残りの時間、あるいは、予測動作回数から、その工作機械について紐状部材が取り付けられてからの可動部の動作回数を減じた残りの動作回数を、紐状部材に異常が生じるまでの残余予測期間として、ユーザインターフェースに表示してもよい。
また、異常検出装置102が、何れかの工作機械について、異常検出処理でその工作機械の可動部に接続された紐状部材に異常を検出しないにもかかわらず、紐状部材に何らかの不具合(例えば、断線、または部分断裂など)が生じた場合には、設定されている異常検出閾値(例えば、予めシミュレーションまたは実験により定められた値)は、より小さな値に再設定されてもよい。さらに、紐状部材に不具合が生じていないにもかかわらず、異常が検出された場合は、設定されている異常検出閾値は、より大きな値に設定されてもよい。そして複数の工作機械について同様の処理が繰り返されることで、異常検出閾値が最適化される。
ここに挙げられた全ての例及び特定の用語は、読者が、本発明及び当該技術の促進に対する本発明者により寄与された概念を理解することを助ける、教示的な目的において意図されたものであり、本発明の優位性及び劣等性を示すことに関する、本明細書の如何なる例の構成、そのような特定の挙げられた例及び条件に限定しないように解釈されるべきものである。本発明の実施形態は詳細に説明されているが、本発明の精神及び範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。
1 工作機械システム
2 工作機械
3 制御装置(異常検出装置)
11 台座
12 テーブル
13 接続端子
13a 固定機構
14 ひずみゲージ
15 チューブ
16 サーボモータ
21 ユーザインターフェース
22 通信インターフェース
23 メモリ
24 プロセッサ
31 制御部
32 タイミング検知部
33 異常判定部
100 異常検出システム
101−1〜101−n 工作機械
102 異常検出装置
103 通信回線

Claims (5)

  1. 位置または姿勢を変更可能な可動部に接続された紐状部材の異常を検出する異常検出装置であって、
    前記可動部の動作中の所定のタイミングにおける、前記紐状部材が正常な場合における前記紐状部材に掛かるストレスを表す基準値を記憶する記憶部と、
    前記所定のタイミングにおける、前記紐状部材に掛かるストレスを測定して得られる測定値と前記基準値との差に基づいて、前記紐状部材に異常が有るか否かを判定する異常判定部と、
    を有する異常検出装置。
  2. 前記所定のタイミングを検知するタイミング検知部をさらに有する、請求項1に記載の異常検出装置。
  3. 前記タイミング検知部は、前記所定のタイミングとして、前記可動部の動作中において前記紐状部材に掛かるストレスが最大となるタイミングを検知する、請求項2に記載の異常検出装置。
  4. 前記測定値は、前記可動部を駆動する駆動部の負荷を表す値である、請求項1〜3の何れか一項に記載の異常検出装置。
  5. 紐状部材と接続され、かつ、位置または姿勢を変更可能な可動部を有する複数の機器と、
    前記複数の機器のそれぞれの前記紐状部材の異常を検出する異常検出装置とを有し、
    前記異常検出装置は、
    前記複数の機器のそれぞれについて、当該機器の前記可動部の動作中の所定のタイミングにおける、当該機器の前記紐状部材が正常な場合における前記紐状部材に掛かるストレスを表す基準値を記憶する記憶部と、
    前記複数の機器のそれぞれについて、当該機器の前記可動部の動作中の前記所定のタイミングにおける、当該機器の前記紐状部材に掛かるストレスを測定して得られる測定値と当該機器の前記基準値との差に基づいて、当該機器の前記紐状部材に異常が有るか否かを判定する異常判定部と、
    を有する異常検出システム。
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