JP2020059885A - 蒸発原料用容器及び蒸発原料用容器の製造方法 - Google Patents

蒸発原料用容器及び蒸発原料用容器の製造方法 Download PDF

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篤 齋
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文一 水谷
雅昭 塚田
Masaaki Tsukada
雅昭 塚田
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泰寛 渡貫
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Masaaki Tanaka
正秋 田中
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Abstract

【課題】耐腐食性に優れた蒸発原料用容器を提供する。【解決手段】熱伝導性の容器壁20を有し密閉可能な容器本体10と、この容器本体10内にキャリアガスを導入するキャリアガス導入口12と、容器本体10内の蒸発原料とキャリアガスとの混合ガスを容器本体10外に導出する混合ガス導出口42と、を備え、容器壁20の内表面上の少なくとも一部には、樹脂コーティング層及び金属溶射層の少なくとも一方が設けられている、蒸発原料用容器100。【選択図】図1

Description

本発明は、蒸発原料用容器及び蒸発原料用容器の製造方法に関する。更に詳しくは、耐腐食性に優れた蒸発原料用容器及び蒸発原料用容器の製造方法に関する。
従来、例えば化学気相成長(CVD)法において蒸発原料を貯留するための容器として蒸発原料用容器が知られており、そして、この蒸発原料用容器の蒸発器本体を構成する材料として、ステンレス鋼などが報告されている(特許文献1参照)。
特開2016−866号公報
しかし、特許文献1に記載のような蒸発器は、容器壁にステンレス鋼を採用しており、このステンレス鋼製の容器壁は、熱伝導性が良いものであるが、耐腐食性が十分でないという問題がある。
ここで、最近では、半導体製品の更なる高性能化が求められるようになり、その結果、より高純度の蒸発原料(即ち、不純物の割合がより小さい蒸発原料)であることが要求されてきている。
ここで、ステンレス鋼は、耐腐食性を有するものであるが、蒸発原料と触れることで僅かに腐食し、極微量の不純物が蒸発原料中に混ざることがあった。また、ハステロイなどのその他の材料であっても、ステンレス鋼と同様に極微量の不純物が蒸発原料中に混ざることがあった。
つまり、最近では、ステンレス鋼からなる容器であっても、その耐腐食性は十分というものではなくなってきており、更なる耐腐食性を有する蒸発原料用容器(蒸発器本体)の開発が求められている。特に原子層堆積(ALD)法による成膜を行う場合、その膜には、原子レベルでの無欠陥や均一性が求められるため、蒸発原料に含まれる不純物の量を極限まで少なくする必要があることに本発明の発明者らは着目し、このような課題を解決すべく本発明を完成したものである。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものである。本発明の蒸発原料用容器は、容器壁の内表面上の少なくとも一部に、樹脂コーティング層及び金属溶射層の少なくとも一方が設けられていることによって、耐腐食性に優れる蒸発原料用容器を提供するものである。
本発明によれば、以下に示す蒸発原料用容器及び蒸発原料用容器の製造方法が提供される。
[1] 熱伝導性の容器壁を有し密閉可能な容器本体と、
前記容器本体内にキャリアガスを導入するキャリアガス導入口と、
前記容器本体内の蒸発原料と前記キャリアガスとの混合ガスを前記容器本体外に導出する混合ガス導出口と、を備え、
前記容器壁の内表面上の少なくとも一部には、樹脂コーティング層及び金属溶射層の少なくとも一方が設けられている、蒸発原料用容器。
[2] 前記容器壁の内表面上の少なくとも一部には、前記樹脂コーティング層が設けられ、更に当該樹脂コーティング層上に金属溶射層が設けられている、前記[1]に記載の蒸発原料用容器。
[3] 前記樹脂コーティング層は、少なくとも一部がフッ素に置換された樹脂からなる層である、前記[1]または[2]に記載の蒸発原料用容器。
[4] 前記樹脂コーティング層は、ポリテトラフルオロエチレンからなる層である、前記[3]に記載の蒸発原料用容器。
[5] 前記金属溶射層は、アルミニウムからなる層またはチタンからなる層である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の蒸発原料用容器。
[6] 前記容器壁の内表面は、その少なくとも一部が、下記条件(i)で研磨処理されている、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の蒸発原料用容器。
条件(i):
直径250〜350mmの電極を用い、電流密度を28.5mA/cm以下、電解溶液の濃度を15〜30質量%、液流量を1〜8L/分、電解溶液のpHをアルカリ性とし、更に、研磨条件としては、圧力20〜60kPa、回転数350rpm以下とし、砥粒として砥粒径0.020〜0.10μmの無機粒子を用いる。
[7] 前記容器本体は、下記条件(A)で測定した際の蒸発原料中の金属不純物の総計が、200ppb未満である、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の蒸発原料用容器。
条件(A):
前記蒸発原料用容器の前記容器本体内に蒸発原料を充填し、その後、前記容器本体を、室温から200℃の範囲で加熱手段を用いて24時間加熱する。その後、前記蒸発原料用容器の前記容器本体内の蒸発原料を昇華させて回収する。そして、回収されたものを、誘導結合高周波プラズマ質量分析装置にて、王水を用いて所定量を溶解させる。その後、これを別の加熱手段で120℃に加熱して蒸発乾固させる。そして、蒸発乾固されたものを希釈し、測定試料を得る。その後、前記誘導結合高周波プラズマ質量分析装置にて、前記測定試料中の金属不純物を測定する。
[8] 化学気相成長法による成膜に用いられる、前記[1]〜[7]のいずれかに記載の蒸発原料用容器。
[9] 原子層堆積法による成膜に用いられる、前記[1]〜[7]のいずれかに記載の蒸発原料用容器。
[10] 熱伝導性の容器壁を有し密閉可能な容器本体と、
前記容器本体内にキャリアガスを導入するキャリアガス導入口と、
前記容器本体内の蒸発原料と前記キャリアガスとの混合ガスを前記容器本体外に導出する混合ガス導出口と、を備える蒸発原料用容器の製造方法であって、
熱伝導性の容器壁を有し密閉可能な未処理容器本体を用意する準備工程と、
前記未処理容器本体の内表面を、前記条件(i)で研磨処理して、研磨処理が施された前記容器本体を得る研磨処理工程と、
研磨処理が施された前記容器本体の内表面上の少なくとも一部に、樹脂コーティング層及び金属溶射層の少なくとも一方を形成する表層形成工程と、を備える、蒸発原料用容器の製造方法。
本発明の蒸発原料用容器は、耐腐食性に優れるという効果を奏する。
本発明の蒸発原料用容器の製造方法によれば、耐腐食性に優れる蒸発原料用容器を製造することができるという効果を奏する。
本発明の蒸発原料用容器の一実施形態を模式的に示す断面図である。 図1に示す領域Pを拡大して模式的に示す拡大断面図である。 本発明の蒸発原料用容器の他の実施形態における図1に示す領域Pに対応する領域を拡大して模式的に示す拡大断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。即ち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に属することが理解されるべきである。
[1]蒸発原料用容器:
本発明の蒸発原料用容器の一の実施形態は、図1に示す蒸発原料用容器100である。この蒸発原料用容器100は、熱伝導性の容器壁20を有し密閉可能な容器本体10と、容器本体10内にキャリアガスを導入するキャリアガス導入口12と、容器本体10内の蒸発原料とキャリアガスとの混合ガスを容器本体10外に導出する混合ガス導出口42と、を備えている。更に、蒸発原料用容器100は、容器壁20の内表面上の少なくとも一部には、樹脂コーティング層24(図2参照)及び金属溶射層25(図3参照)の少なくとも一方が設けられている。
このような蒸発原料用容器100は、容器壁20の内表面上の少なくとも一部に、樹脂コーティング層24及び金属溶射層25の少なくとも一方が設けられているため、耐腐食性に優れるものである。ここで、蒸発原料用容器100の耐腐食性が劣る場合、蒸発原料が不純物で汚染されること(蒸発原料に不純物が混ざること)になり、より精度の高い半導体製品を製造する妨げにもなってしまう。このように、最近では特に耐腐食性に優れることも重要になっている。
なお、容器壁20の内表面上には、樹脂コーティング層24及び金属溶射層25の少なくとも一方が設けられていればよく、樹脂コーティング層24及び金属溶射層25の両方が設けられていてもよい。この場合、樹脂コーティング層24上に金属溶射層25が設けられてもよいし(図3参照)、金属溶射層25上に樹脂コーティング層24が設けられてもよい。樹脂コーティング層24及び金属溶射層25の両方を設けることによって、不純物が蒸発原料中に混ざることを更に抑制することができる。
樹脂コーティング層24は、樹脂からなる層であり、容器壁20の表面(または、金属溶射層が下層に設けられている場合には、この金属溶射層の表面)の少なくとも一部をコーティングしている層である。
この樹脂コーティング層24を構成する材料は、特に制限はなく、コーティング可能な樹脂であれば良いが、例えば、少なくとも一部の水素がフッ素に置換された樹脂などを挙げることができ、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(商品名「テフロン」)などを挙げることができる。このような材料であると、不純物が蒸発原料中に混ざることを更に良好に抑制することができる。
樹脂コーティング層24の厚さは、特に制限はないが、例えば、150〜500μmとすることが好ましく、200〜400μmとすることが更に好ましく、250〜350μmとすることが特に好ましい。なお、300μm程度が最も好ましい。樹脂コーティング層24の厚さが上記下限値未満であると、十分な耐腐食性が得られないおそれがある。上記上限値超であると、層が厚くなりすぎてしまうおそれがある。
樹脂コーティング層24は、例えば蒸着により形成することができるが、その蒸着方法は従来公知の方法を採用することができ特に制限はない。
金属溶射層25は、金属からなり溶射法によって形成される層であり、容器壁20の表面(または、樹脂コーティング層が下層に設けられている場合には、この樹脂コーティング層の表面)の少なくとも一部をコーティングしている層である。
金属溶射層25を構成する材料は、特に制限はなく、溶射可能な金属であれば良いが、例えば、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、イットリウム(Y)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)でもよく、これらの材料であると、不純物が蒸発原料中に混ざることを更に良好に抑制することができる。
金属溶射層25の厚さは、特に制限はないが、例えば、0.5〜5.0μmとすることが好ましく、0.5〜3.0μmとすることが更に好ましく、1.0〜2.5μmとすることが特に好ましい。なお、1.8μm程度が最も好ましい。金属溶射層25の厚さが上記下限値未満であると、十分な耐腐食性が得られないおそれがある。上記上限値超であると、層が厚くなりすぎてしまうおそれがある。
金属溶射層25は、金属を容器壁20の表面などに溶射することにより形成されるものであり、その溶射(即ちイオンプレーティング)の条件は特に制限はなく、従来公知の条件を適宜採用することができる。
ここで、容器壁20の内表面上のうち、樹脂コーティング層及び金属溶射層の少なくとも一方が設けられている位置は、特に制限はないが、少なくとも、蒸発原料用容器100に蒸発原料を入れたときに蒸発原料が接する部分が上記構成であることがよい。具体的には、底壁及びこの底壁から延びる側壁の一部(底壁と連続した一部)とすることができる。なお、容器壁20の全部が、樹脂コーティング層及び金属溶射層の少なくとも一方が設けられていることがよい。
容器壁20は、具体的には、図2に示すように、単層22(1種の材料からなる壁)で構成されていてよいし、図3に示すように、外壁21と内壁23の2層などの複数の層から構成されてもよい。外壁21と内壁23の2層からなる容器壁20においては、外壁21はステンレス鋼からなり、内壁23はニッケル合金(例えば、ハステロイやインコネルなど)からなるものとすることができる。なお、単層22の内面及び内壁23の内面は、所定の研磨処理がなされていてもよい。また、容器本体10は、キャリアガス導入口12と混合ガス導出口42を備える蓋体31と、この蓋体31の受け体32と、を備えている。
容器壁20の材料としては、特に制限はなく、ニッケル合金、アルミニウム、アルミニウム合金、スーパーステンレス、ステンレス鋼などを挙げることができ。これらのうち、ニッケル合金としては、例えば、ハステロイ、インコネルなどを挙げることができ、この「ハステロイ」及び「インコネル」は、Ni、Moを含む合金のことである。
「ハステロイ」は、その組成については適宜決定することができるが、具体的には、Niが40〜60質量%、Moが30〜50質量%である。
「インコネル」は、その組成については適宜決定することができるが、具体的には、Niが20〜50質量%、Moが70〜50質量%である。
「スーパーステンレス」とは、Niを17.00〜19.50質量%、Crを19.00〜21.00質量%、Moを5.50〜6.50質量%、Nを0.16〜0.24質量%、Cuを0.50〜1.00質量%含み、更に、Cが0.020質量%以下、Siが0.80質量%以下、Mnが1.00質量%以下、Pが0.030質量%以下、Sが0.015質量%以下であり、耐腐食性を更に高めたステンレス鋼をいう。
容器壁20は、その内表面が、所定の条件で研磨処理がなされていることが好ましい。このように内表面に研磨処理がなされることで、耐腐食性を更に向上させることができる。また、研磨処理を行うことで、容器壁20の内表面と溶射層との密着性が更に良くなる。ここで、研磨処理は、以下の条件(i)にて行う。
条件(i):
直径250〜350mmの電極を用い、電流密度を28.5mA/cm以下、電解溶液の濃度を15〜30質量%、液流量を1〜8L/分、電解溶液のpHをアルカリ性とし、更に、研磨条件としては、圧力20〜60kPa、回転数350rpm以下とし、砥粒として砥粒径0.020〜0.10μmの無機粒子を用いる。
上記条件(i)において、電流密度は15〜20mA/cmとすることが好ましい。また、電解溶液のpHは、11〜11.5であることが好ましい。
研磨条件の回転数としては、50〜350rpmとすることができる。砥粒としては、無機粒子を用い、この無機粒子としては、特に制限はないが、例えば、上記Colloidal SiOなどを挙げることができる。
このような研磨処理を行った容器壁20の内表面は、その表面粗さをRa=0.8〜1.1μmとすることができる。
なお、「容器壁」は、側壁だけでなく底壁も含む概念である。つまり、蒸発原料が蒸発原料用容器100内に投入された際に、この蒸発原料が接する壁部分はこの容器壁ということがよい。
図1における符号11,41は、蒸発原料用容器100の流路の開閉を行うバルブを示している。このバルブ11,41を開くことで、蒸発原料用容器100(容器本体10内)にキャリアガスを導入したり、キャリアガスとの混合ガスを容器本体10外に導出したりすることができる。このように、本発明の蒸発原料用容器は、2本以上の開閉バルブを備えることができる。
蒸発原料用容器100の容器本体10は、以下の条件(A)で測定した際の蒸発原料中の金属不純物の総計が、200ppb未満であることが好ましい。ここで、「金属不純物」は、具体的には、表3に示す20種類の元素が該当する。
条件(A)は、以下の通りである。蒸発原料用容器の容器本体内に固体または液体の化合物(蒸発原料)を充填し、その後、容器本体を、室温から200℃の範囲で外部ヒータなどの加熱手段を用いて、モニタリングしながら、24時間加熱する。その後、蒸発原料用容器の容器本体内の化合物(蒸発原料)を昇華させて回収する。そして、回収されたものを、ICPMS(誘導結合高周波プラズマ質量分析法)の装置にて、王水を用いて所定量を溶解させる。その後、これをホットプレートなどの加熱手段で120℃に加熱して蒸発乾固させる。そして、蒸発乾固されたものを希釈し、測定試料を得る。その後、上記分析装置にて、測定試料中の金属不純物を測定する。
容器本体10は、上述したように蓋体31と受け体32を備えるもの(分離可能な構造を有するもの)であってもよいし、蓋体31と受け体32が一体となっているものであってもよい。
キャリアガスとしては、特に制限はなく、例えば、水素、ヘリウム、窒素、酸素、アルゴン、一酸化炭素、二酸化炭素などを挙げることができる。
蒸発原料としては、特に制限はなく、例えば、化学気相成長(CVD)法、有機金属化学気相成長(MOCVD)法、原子層堆積(ALD)法による成膜に用いられるものなどを適宜決定して採用することができ、固体、液体に制限は無く、揮発性を有するものであればよい。より具体的には、第3アミリミドトリス(ジメチルアミド)タンタル(タイマータ)、テトラキス(ジエチルアミド)チタン(TDEAT)、テトラキス(ジメチルアミド)チタン(TDMAT)、五リン酸ジメチルアミドタンタル(PDMAT)、タンタルペンタエトキシド(TAETO)、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム(II)(Ru(EtCp))などの液体原料を挙げることができる。
更に、蒸発原料としては、例えば、ホウ素、亜リン酸、銅、ガリウム、ヒ素、ルテニウム、インジウム、アンチモン、ランタン、タンタル、イリジウム、デカボラン(B1014)、四塩化ハフニウム(HfCl)、四塩化ジルコニウム(ZrCl)、三塩化インジウム(InCl)、四塩化ガリウム、六塩化タングステン、五塩化タングステン、βジケトナト複合体、シクロペンタジエニルシクロヘプタトリエニルチタン(CpTiChT)、三塩化アルミニウム(A1Cl)、ヨウ化チタン(TixIy)、シクロオクタテトラエンシクロペンタジエニルチタン((Cot)(Cp)Ti)、ビス(シクロペンタジエニル)チタンジアジド、タングステンカルボニル(Wx(CO)y)、ビス(シクロペンタジエニル)ルテニウム(II)(Ru(Cp))、三塩化ルテニウム(RuCl)などの固体原料を挙げることができる。
なお、本発明の蒸発原料用容器は、塩化ジルコニウム、塩化アルミニウムなどの塩化物のように腐食性が強い蒸発原料であっても良好に保存することができ、蒸発原料に存在する不純物の割合が非常に小さくなる。
なお、本発明の蒸発原料用容器は、外部から加熱または冷却が可能な加熱媒体や冷却媒体と接触し、容器内の化合物を気体、固体のいずれかの状態を保持することが可能な容器である。
本発明の蒸発原料用容器は、化学気相成長(CVD)法、有機金属化学気相成長(MOCVD)法、原子層堆積(ALD)法による成膜に用いられる蒸発原料を溜めておくための容器として使用することができ、原子層堆積(ALD)法による成膜に用いられる容器として使用することが好ましい。具体的には、原子層堆積(ALD)法は、化学気相成長(CVD)法によって形成される膜よりも薄い膜を形成することができる方法であり、数nm程度の非常に薄い膜を成膜することができるが、その反面、膜の精度が、蒸発原料に含まれる不純物による影響を受けやすい。そこで、本発明の蒸発原料用容器を用いることによって、蒸発原料に含まれる不純物を極微量とすることができる。
[2]蒸発原料用容器の製造方法:
本発明の蒸発原料用容器は、例えば以下のように製造することができる。まず、従来公知の方法で、ステンレス鋼からなる外壁(外側容器)を作製する。その後、ニッケル合金、アルミニウム、アルミニウム合金、及びスーパーステンレスなどからなる内壁(内側容器)を作製する。このとき、内側容器は、外側容器に収納した際に隙間なく収まる大きさのものとする。そして、外壁内に内壁を収納して容器材を作製する。同様にして、蓋体も作製する。このようにして、未処理容器本体を有する容器を得る(準備工程)。
次に、必要に応じて未処理容器本体を研磨処理する(研磨処理工程)。具体的には、未処理容器本体の内表面を、上述の条件(i)で研磨処理して、研磨処理が施された容器本体を得る。
次に、この「研磨処理が施された容器本体」の内表面上の少なくとも一部に、樹脂コーティング層及び金属溶射層の少なくとも一方を形成する(表層形成工程)。このとき、上述したように樹脂コーティング層は蒸着法などを採用することができ、金属溶射層は溶射法(イオンプレーティング法)を採用することができる。以上のようにして蒸発原料用容器100を作製できる。
[3]蒸発原料用容器の使用方法:
まず、蒸発原料用容器100のキャリアガス導入口12を、キャリアガスタンク(図示せず)と連結させ、更に、混合ガス導出口42を、半導体処理設備(不図せず)に連結させる。次に、蒸発原料用容器100内に、蒸発原料を投入し、その後、容器本体10を密閉状態とする。次に、キャリアガスタンクからキャリアガスを蒸発原料用容器100内に導入する。そして、蒸発原料用容器100内で蒸発した蒸発原料(原料ガス)とキャリアガスとが混合し、混合ガスとして、混合ガス導出口42から導出される。なお、蒸発原料は、加熱などによって蒸発(気化)されて原料ガスになる。その後、半導体処理設備において、化学気相成長(CVD)法、有機金属化学気相成長(MOCVD)法、原子層堆積(ALD)法による成膜が行われる。半導体処理設備は、被膜対象である基板が配置される設備(例えば、CVD装置の反応室)であり、この半導体処理設備内に配置された基板上に所望の薄膜を形成する。
蒸発原料用容器100は、その容器本体10の容器壁20が上記構成を有するため、耐腐食性に優れる。その結果、蒸発原料中における容器由来の不純物の割合が非常に小さくなり、高純度の混合ガスを半導体処理設備に供給することができる。本発明の蒸発原料用容器は、CVD、ALD、MOCVD等の気相としてガス化させる用途の容器であり、半導体用のバルブを備える圧力容器として用いられるものである。
以下、本発明を実施例および比較例によって、さらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1〜21、比較例1,2)
図1〜図3に示す蒸発原料用容器100のような容器(蓋付きで有底の円筒状の容器)を作製した。具体的には、表1に示す各材料(「容器壁」の「内壁」、「外壁」の欄に記す)を用いて、「蓋付きで有底の円筒状の容器」を作製し、この容器の内表面を、以下の条件(i)で研磨処理して、研磨処理が施された容器本体を得た(研磨処理工程)。その後、研磨処理が施された容器本体の内表面上に、樹脂コーティング層を形成した(表層形成工程)。樹脂コーティング層は、電子照射真空蒸着法による蒸着を行う装置を用いてポリテトラフルオロエチレン(テフロン)を蒸着させることによって行った。具体的には、テフロン樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)を塗布法で蒸着させて300μmの樹脂コーティング層を形成した。このようにして各蒸発原料用容器を得た。
条件(i):
直径300mmの電極を用い、電流密度を20mA/cm以下、電解溶液の濃度を20質量%、液流量を3L/分、電解溶液のpHを10とし、更に、研磨条件としては、圧力31.35kPa、回転数300rpmとし、砥粒として砥粒径0.07μmのColloidal SiOを用いる。
この蒸発原料用容器について耐腐食性の評価を行った。なお、蒸発原料用容器の容器本体の内壁の厚さは、3mmであり、外壁の厚さは、3mmであった。更に、内側容器の内径は、140mmであった。
耐腐食性の評価は、具体的には、実施例及び比較例の各蒸発原料用容器に蒸発原料を入れて、熱処理後の蒸発原料中の不純物(表2に示す20種の元素)の量をICPMS(誘導結合プラズマ質量分析計)によって測定した。なお、蒸発原料としては、塩化アルミニウムを用いた。
不純物の量の測定は、具体的には、以下の条件(上述した「条件(A)」)で行った。まず、蒸発原料用容器の容器本体内に蒸発原料を充填し、その後、容器本体を、室温から200℃の範囲で外部ヒータを用いて、モニタリングしながら、24時間加熱した。その後、蒸発原料用容器の容器本体内の蒸発原料を昇華させて回収し、回収されたものを、ICPMS(誘導結合高周波プラズマ質量分析法)の装置にて、王水を用いて所定量を溶解させた。その後、これをホットプレートで120℃に加熱して蒸発乾固させた。そして、蒸発乾固されたものを希釈し、測定試料を得た。その後、上記分析装置にて、測定試料中の金属不純物を測定した。なお、この条件(A)で測定した際の蒸発原料中の金属不純物(表2に示す20種の元素)の総計は、実施例1〜21の全てにおいて、200ppb未満であった。
また、「ハステロイ」としては、具体的には、「ハステロイC276」を用いた。「インコネル」としては、具体的には、「インコネル600」を用いた。「アルミニウム合金」としては、具体的には、「アルミニウム合金A5052」を用いた。「ステンレス鋼」としては、具体的には、「SUS316L」を用いた。「スーパーステンレス」としては、具体的には、Niを17.98質量%、Crを20.19質量%、Moを6.26質量%、Nを0.22質量%、Cuを0.67質量%含み、更に、Cを0.014質量%、Siを0.55質量%、Mnを0.57質量%、Pを0.017質量%、Sを0.001質量%含むものを用いた。
また、上記加熱前後の容器本体10の内表面の表面粗さを、AFM(原子間力顕微鏡)アナライザー(HORIBA社製)によって測定した。この表面粗さは、複数回測定してその平均値を算出した。
なお、実施例12〜17、19〜21では、樹脂コーティング層の上に、アークイオンプレーティング法を用いてイオン化した金属を蒸着させる装置で、AlイオンプレーティングまたはTiイオンプレーティングによって厚さ1.8μmの金属溶射層(アルミニウムからなる層またはチタンからなる層)を形成した。実施例18では、容器壁上に樹脂コーティング層を形成することなく、Alイオンプレーティングによって厚さ1.8μmの金属溶射層(アルミニウムからなる層)を形成した。
Figure 2020059885
Figure 2020059885
Figure 2020059885
表3から分かるように、実施例1〜21の蒸発原料用容器は、比較例1,2の蒸発原料用容器に比べて、不純物の量が少ないことが分かる。また、耐腐食性の試験前後における表面粗さの差が小さいことが分かる。ここで、この表面粗さの差が小さいということは、蒸発原料による腐食の程度が少なかったことを表しており、耐腐食性が高いことが分かる。このような結果から、実施例1〜21の蒸発原料用容器は、耐腐食性に優れたものであることが分かる。
本発明の蒸発原料用容器は、化学気相成長(CVD)法、有機金属化学気相成長(MOCVD)法、原子層堆積(ALD)法による成膜に用いられる容器として利用することができる。
10:容器本体、11,41:バルブ、12:キャリアガス導入口、20:容器壁、21:外壁、22:単層、23:内壁、24:樹脂コーティング層、25:金属溶射層、31:蓋体、32:受け体、42:混合ガス導出口、100:蒸発原料用容器。

Claims (10)

  1. 熱伝導性の容器壁を有し密閉可能な容器本体と、
    前記容器本体内にキャリアガスを導入するキャリアガス導入口と、
    前記容器本体内の蒸発原料と前記キャリアガスとの混合ガスを前記容器本体外に導出する混合ガス導出口と、を備え、
    前記容器壁の内表面上の少なくとも一部には、樹脂コーティング層及び金属溶射層の少なくとも一方が設けられている、蒸発原料用容器。
  2. 前記容器壁の内表面上の少なくとも一部には、前記樹脂コーティング層が設けられ、更に当該樹脂コーティング層上に金属溶射層が設けられている、請求項1に記載の蒸発原料用容器。
  3. 前記樹脂コーティング層は、少なくとも一部がフッ素に置換された樹脂からなる層である、請求項1または2に記載の蒸発原料用容器。
  4. 前記樹脂コーティング層は、ポリテトラフルオロエチレンからなる層である、請求項3に記載の蒸発原料用容器。
  5. 前記金属溶射層は、アルミニウムからなる層またはチタンからなる層である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の蒸発原料用容器。
  6. 前記容器壁の内表面は、その少なくとも一部が、下記条件(i)で研磨処理されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の蒸発原料用容器。
    条件(i):
    直径250〜350mmの電極を用い、電流密度を28.5mA/cm以下、電解溶液の濃度を15〜30質量%、液流量を1〜8L/分、電解溶液のpHをアルカリ性とし、更に、研磨条件としては、圧力20〜60kPa、回転数350rpm以下とし、砥粒として砥粒径0.020〜0.10μmの無機粒子を用いる。
  7. 前記容器本体は、下記条件(A)で測定した際の蒸発原料中の金属不純物の総計が、200ppb未満である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の蒸発原料用容器。
    条件(A):
    前記蒸発原料用容器の前記容器本体内に蒸発原料を充填し、その後、前記容器本体を、室温から200℃の範囲で加熱手段を用いて24時間加熱する。その後、前記蒸発原料用容器の前記容器本体内の蒸発原料を昇華させて回収する。そして、回収されたものを、誘導結合高周波プラズマ質量分析装置にて、王水を用いて所定量を溶解させる。その後、これを別の加熱手段で120℃に加熱して蒸発乾固させる。そして、蒸発乾固されたものを希釈し、測定試料を得る。その後、前記誘導結合高周波プラズマ質量分析装置にて、前記測定試料中の金属不純物を測定する。
  8. 化学気相成長法による成膜に用いられる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の蒸発原料用容器。
  9. 原子層堆積法による成膜に用いられる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の蒸発原料用容器。
  10. 熱伝導性の容器壁を有し密閉可能な容器本体と、
    前記容器本体内にキャリアガスを導入するキャリアガス導入口と、
    前記容器本体内の蒸発原料と前記キャリアガスとの混合ガスを前記容器本体外に導出する混合ガス導出口と、を備える蒸発原料用容器の製造方法であって、
    熱伝導性の容器壁を有し密閉可能な未処理容器本体を用意する準備工程と、
    前記未処理容器本体の内表面を、前記条件(i)で研磨処理して、研磨処理が施された前記容器本体を得る研磨処理工程と、
    研磨処理が施された前記容器本体の内表面上の少なくとも一部に、樹脂コーティング層及び金属溶射層の少なくとも一方を形成する表層形成工程と、を備える、蒸発原料用容器の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006052427A (ja) * 2004-08-10 2006-02-23 Nuclear Fuel Ind Ltd メチルトリクロロシランガス発生装置
JP2008060536A (ja) * 2006-06-09 2008-03-13 Air Products & Chemicals Inc 高流量のGaCl3供給

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