JP2020059535A - ガセット袋 - Google Patents

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渕田 泰司
Taiji Fuchita
泰司 渕田
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Abstract

【課題】高度の耐衝撃性、特に高度の落下耐性を有する、ガセット袋を提供すること。【解決手段】少なくとも、基材層1、第1の接着樹脂層2、及びシーラント層7をこの順に有する袋形成用積層体10から構成されているガセット袋であって、シーラント層7は、ガセット袋の内側に向くように配置されており、かつシーラント層7は、JIS K7244の引張振動−非共振法に準拠して測定した損失正接の、70℃における測定値が0.20以下であり、110℃における測定値が0.40以上0.80以下である、直鎖低密度ポリエチレンの層である、ガセット袋。【選択図】図1

Description

本発明は、ガセット袋に関する。
液状物品(例えば液状食品)の流通には、バッグインボックスが多用されている。バッグインボックスとは、折り畳み可能な合成樹脂製の薄肉内容器と、積み重ね性、持ち運び性、及び印刷適正を有する外装段ボール箱とを組み合わせた容器をいう。
このようなバッグインボックスに用いる内容器は、内容物の保護と、輸送、落下等の際の衝撃に耐えうる耐衝撃性とを具備していることが要求され、従来、種々の検討がなされている。
例えば特許文献1には、特定のエチレン含有量及びケン化度のエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)と、ポリアミノアミドとから成るガスバリア層を有するバッグインボックス内容器が開示されている。このガスバリア層は、他の樹脂層、例えばメタロセン触媒を使用して得られたポリオレフィン樹脂層と積層して用いることができと説明されている。
一方、袋とともに外装段ボール箱を用いるバッグインボックスとは異なり、外装段ボール箱を用いずに、袋自体が単独で用いられるスパウト付きガセット袋についても、検討されている。
特に、食品容器、容器、包装等についての衛生規則を国際整合的に整備するために、食品衛生法等の改正が検討されており、食品工場への段ボールの持ち込み規制が見込まれている。そのため、食品流通分野において、バッグインボックス容器から段ボールを用いないガセット袋、特にガセット重量袋への転換が求められている。
例えば、特許文献2は、外装段ボール箱を用いないスパウト付きガセット袋に関する。この特許文献2には、例えば、ナイロンフィルム、アルミニウムを蒸着したポリエステルフィルム、及び鎖状低密度ポリエチレンフィルムがこの順に積層されて成る合成樹脂製シートから構成されたガセット袋が開示されており、熱接着層(シーラント層)として直鎖低密度ポリエチレンを用いる場合のヒートシール温度として170〜210℃が推奨されている。
特開平10−128883号公報 特開2017−119529号公報
バッグインボックスを代替するガセット袋は、外装段ボール箱を持たないため、段ボール箱の保護がない状態でも、輸送時の振動、落下時の衝撃等によって破袋が生じ難い、高度の耐衝撃性が求められる。
この点、従来技術によるバッグインボックス用の容器を、そのまま外装段ボール箱を持たないガゼット袋として用いると、落下耐性が不十分であり、落下した際に内容物の漏れが生じる場合があり、改善が求められている。
本発明の目的は、上記の問題点を解決することであり、具体的には、高度の耐衝撃性、特に高度の落下耐性を有する、ガセット袋を提供することである。
本発明は、以下のとおりである。
《態様1》
少なくとも、基材層、第1の接着樹脂層、及びシーラント層をこの順に有する袋形成用積層体から構成されているガセット袋であって、
上記シーラント層は、上記ガセット袋の内側に向くように配置されており、かつ、
上記シーラント層は、JIS K7244の引張振動−非共振法に準拠して、歪振幅0.1%及び周波数1.0Hzにて測定した損失正接(tanδ)の、70℃における測定値(tanδ(70℃))が0.20以下であり、110℃における測定値(tanδ(110℃))が0.40以上0.80以下である、直鎖低密度ポリエチレンの層である、ガセット袋。
《態様2》
上記損失正接(tanδ)の、110℃における測定値(tanδ(110℃))が0.45以上0.60以下である、態様1に記載のガセット袋。
《態様3》
上記シーラント層が、チーグラー−ナッタ触媒又はフィリップス触媒によって製造された直鎖低密度ポリエチレンを含む層である、態様1又は2に記載のガセット袋。
《態様4》
上記袋形成用積層体が、内部保護層、第2の接着樹脂層、バリア層、及び第3の接着樹脂層を更に有し、
上記基材層、上記第1の接着樹脂層、上記内部保護層、上記第2の接着樹脂層、上記バリア層、上記第3の接着樹脂層、及び上記シーラント層をこの順に有する積層体である、
態様1〜3のいずれか一項に記載のガセット袋。
《態様5》
上記バリア層が、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む、態様4に記載のガセット袋。
《態様6》
上記ガセット袋が、一対の正面部、及び一対の折込部を有し、
上記正面部及び上記折込部は、それぞれ、上記袋形成用積層体から成り、
上記折込部は、上記正面部の両端に配置され、かつ上記正面部の間に折り込まれており、
少なくとも上記正面部及び上記折込部の端辺部同士がヒートシールされて成る、
態様1〜5のいずれか一項に記載のガセット袋。
《態様7》
スパウトを更に有するスパウト付きガセット袋である、態様1〜6のいずれか一項に記載のガセット袋。
《態様8》
容量が1L以上である、態様1〜7のいずれか一項に記載のガセット袋。
《態様9》
少なくとも、基材層、第1の接着樹脂層、及びシーラント層をこの順に有する袋形成用積層体を準備すること;
上記袋形成用積層体から、一対の正面部、及び一対の折込部を作製すること;
上記一対の折込部を、上記一対の正面部の両端に配置して、上記一対の正面部の間に折り込むこと;
少なくとも上記正面部及び上記折込部の端辺部同士をヒートシールすること;
を含む、態様1〜8のいずれか一項に記載のガセット袋の製造方法であって、
上記シーラント層は、JIS K7244の引張振動−非共振法に準拠して、歪振幅0.1%及び周波数1.0Hzにて測定した損失正接(tanδ)の、70℃における測定値(tanδ(70℃))が0.20以下であり、110℃における測定値(tanδ(110℃))が0.40以上0.80以下である、直鎖低密度ポリエチレンの層である、ガセット袋の製造方法。
本発明のガセット袋は、高度の落下耐性を有し、落下した場合の内容物の漏れが抑制されている。したがって本発明のガセット袋は、例えばバッグインボックス代替用途に好適である。
図1は、本発明のガセット袋を構成する袋形成用積層体の層構成の一例を示す概略断面図である。 図2は、本発明のガセット袋を構成する袋形成用積層体の層構成の別の一例を示す概略断面図である。 図3(a)は、本発明のある実施態様で好ましく用いられるスパウトの一例を示す概略斜視図である。図3(b)は、図3(a)のスパウトと、袋形成用積層体のシーラント層とを固定する態様の一例を示す概略断面図である。 図4(a)は、本発明の別の実施態様で好ましく用いられるスパウトの一例を示す概略斜視図である。図4(b)は、図4(a)のスパウトと、袋形成用積層体のシーラント層とを固定する態様の一例を示す概略断面図である。 図5(a)は、本発明の更に別の実施態様で好ましく用いられるスパウトの一例を示す概略斜視図である。図5(b)は、図5(a)のスパウトと、袋形成用積層体のシーラント層とを固定する態様の一例を示す概略断面図である。 図6(a)は、本発明のスパウト付きガセット袋の構成の一例を示す概略正面図であり、図6(b)は、図6(a)のスパウト付きガセット袋のA−A線断面図である。 図7は、図6(a)および図6(b)のスパウト付き袋の内容物充填時の形態を示す概略斜視図である。 図8は、実施例及び比較例のシーラント層として用いた樹脂について測定された、損失正接(tanδ)の温度依存性を示すグラフである。 図9は、実施例1及び比較例1の袋形成用積層体について測定された、ヒートシール強度のヒートシール温度依存性を示すグラフである。 図10は、実施例2及び比較例2の袋形成用積層体について測定された、ヒートシール強度のヒートシール温度依存性を示すグラフである。
《ガセット袋》
本発明のガセット袋は、
少なくとも、基材層、第1の接着樹脂層、及びシーラント層をこの順に有する袋形成用積層体から構成されているガセット袋であって、
シーラント層は、ガセット袋の内側に向くように配置されており、かつ
シーラント層は、JIS K7244の引張振動−非共振法に準拠して、歪振幅0.1%及び周波数1.0Hzにて測定した損失正接(tanδ)の、70℃における測定値(tanδ(70℃))が0.20以下であり、110℃における測定値(tanδ(110℃))が0.40以上0.80以下である、直鎖低密度ポリエチレンの層である。
〈袋形成用積層体の層構成〉
本発明のガセット袋を構成する袋形成用積層体は、基材層、第1の接着樹脂層、及びシーラント層をこの順に有する積層体である。
この袋形成用積層体は、
基材層、第1の接着樹脂層、及びシーラント層をこの順に有する3層構成の積層体であってよく、或いは、
基材層、第1の接着樹脂層、及びシーラント層とともに、内部保護層、第2の接着樹脂層、バリア層、及び第3の接着樹脂層を更に有し、基材層、第1の接着樹脂層、内部保護層、第2の接着樹脂層、バリア層、第3の接着樹脂層、及びシーラント層をこの順に有する7層構成の積層体であってもよい。
図1及び図2に、本発明のガセット袋を構成する袋形成用積層体の層構成の例を示した。
図1の袋形成用積層体(10)は、基材層(1)、第1の接着樹脂層(2)、及びシーラント層(7)をこの順に有する3層構成の積層体である。
図2の袋形成用積層体(11)は、基材層(1)、第1の接着樹脂層(2)、内部保護層(3)、第2の接着樹脂層(4)、バリア層(5)、第3の接着樹脂層(6)、及びシーラント層(7)をこの順に有する7層構成の積層体である。
以下、本発明における袋形成用積層体の各層について、順に説明する。
(シーラント層)
本発明における袋形成用積層体のシーラント層は、損失正接の70℃における測定値(tanδ(70℃))が0.20以下であり、110℃における測定値(tanδ(110℃))が0.40以上0.80以下である、直鎖低密度ポリエチレンを含む層である。
従来技術によるガセット袋は、落下耐性が不十分であり、落下した際に内容物の漏れが生じる場合がある。本発明者らは、ガセット袋が落下した際の漏れについて詳細に検討したところ、ヒートシール部、特に、ガセットの折込部のヒートシール部から漏れるケースが多いことを見出した。その理由は、以下のように推察される。
ガセット袋において、ヒートシールのためのシーラント層を構成する樹脂として、近年特にメタロセン触媒によって製造された直鎖低密度ポリエチレン(以下、「M−LLDPE」ともいう。)が用いられ、ヒートシール工程が高速で行われる傾向にある。その理由は、M−LLDPEの以下の特徴を活かしたためと考えられる。
M−LLDPEは、分子量、メチレン連鎖長、結晶サイズ等の分布幅が狭く、組成が均一であり、薬品臭が少ない等の特徴を有する。分子量が均一であることは、低分子量成分又はべたつき成分が少ないことを意味する。メチレン連鎖長及び結晶サイズが均一であることは、融点がシャープであって、昇温の際に狭い温度範囲で一斉に軟化し得ることを意味する。すなわち、M−LLDPEは、べたつき成分が少なく、薬品臭も少ないことから、内容物と直接接するガセット袋の最内層に好適であり、更に融点がシャープであることから、シーラント層として用いたときにヒートシール工程を高速で行うことが可能になると考えられる。
しかしながら、ガセット袋では、一対の正面部の例えば両端に、材料フィルムが折り込まれた折込部を有しており、この折込部では材料フィルムの重なり枚数が、通常よりも多くなっている。このようなガセット袋のヒートシールを高速で行うと、折込部の重なりの中央付近では、シーラント層の温度が上がり難いことがある。ヒートシール工程を高速で行いつつ、ガゼット袋の全部のヒートシール部分の温度を所定温度(例えばシーラント層の融点)まで上げるためには、例えば、ヒートシーラーの温度を高く設定することが考えられる。このとき、シーラント層として融点がシャープなM−LLDPEを用いていると、折込部の重なりの中央付近のシーラント層が所定温度に達したときには、袋の外表面付近のシーラント層がシール部分から流出して「肉痩せ」が起こり、したがって所期のヒートシール強度が得られない場合が生ずると考えられる。
これに対して本発明のガセット袋のシーラント層は、損失正接(tanδ)の、70℃における測定値(tanδ(70℃))が0.20以下であり、110℃における測定値(tanδ(110℃))が0.40以上0.80以下である、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む。
損失正接(tanδ)は、材料の粘性と弾性とのバランスを表す指標であり、動的粘弾性測定における損失弾性率E”と貯蔵弾性率E’との比E”/E’で表される。tanδの値が小さいほど弾性体的であって硬くて流れ難く、この値が大きいほど粘性体的であって柔らかくて流れ易いことを示す。本発明者らは、シーラント層として、tanδが特定の温度変化を示す材料を用いたときに、シーラント層による内容物の汚染が抑制されるとともに、落下耐性が高く、特にヒートシール部からの内容物の漏れが抑制されているガセット袋が得られることを見出した。
シーラント層に含まれるLLDPEのtanδ(70℃)が0.20以下であることにより、当該温度における低分子量成分又はべたつき成分が少ないことが担保され、このことによって内容物と直接接するガセット袋の最内層としての適性が確保されると考えられる。この0.20以下のtanδ(70℃))の値は、M−LLDPEと略同等である。
シーラント層に含まれるLLDPEのtanδ(70℃)は、通常の使用温度範囲におけるべたつきを少なくする観点から、0.20以下であり、0.19以下、0.18以下、又は0.17以下であってよい。tanδ(70℃)は、過度に低い必要はなく、例えば、0.13以上、0.14以上、0.15以上、又は0.16以上であってよい。
また、シーラント層に含まれるLLDPEのtanδ(110℃)が0.40以上であることは、ポリエチレンの代表融点(例えば120℃)を下回る110℃の温度においても、シーラント層が粘性体の性質を示すことを意味する。このことにより、高速ヒートシール時にシーラント層の温度が局所的に所定温度に達しない場合でも、当該箇所のシール強度は極端には低下しない。したがって、ヒートシール工程を高速で行うときに、ヒートシーラーの温度を過度に高く設定しなくてもよいから、折込部の重なりの中央付近においてもーラント層の「肉痩せ」が起こらず、所期のヒートシール強度が得られると考えられる。なお、M−LLDPEは、tanδ(110℃)が通常0.3程度であり、ポリエチレンの代表融点を下回る温度では粘性体の性質を十分に発現できないと考えられる。
シーラント層に含まれるLLDPEのtanδ(110℃)は、ポリエチレンの代表融点を下回る温度においても実用的なヒートシール性を示す観点から、0.40以上であり、0.43以上、0.45以上、0.47以上、0.49以上、0.50以上、0.51以上、又は0.52以上であってよい。一方で、ヒートシール時にシーラント層が過度の流動性を示してシール部から流出することを抑制して、高いヒートシール強度を提供するために、シーラント層のtanδ(110℃)は、0.80以下であり、0.75以下、0.70以下、0.65以下、0.60以下、0.58以下、0.56以下、0.55以下、又は0.54以下であってよい。
シーラント層に含まれるLLDPEについてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を測定したときの、ポリスチレン換算の重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mnの値は、ポリエチレンの代表融点を下回る温度においてもヒートシール性を示す、比較的低い分子量領域の分子を確保するとの観点から、例えば、5.0以上、5.5以上、6.0以上、6.5以上、又は7.0以上であってよく、ヒートシール時のシーラント層の流出を防止して、高いヒートシール強度を提供するとの観点からは、例えば、20.0以下、15.0以下、14.0以下、13.0以下、12.0以下、11.0以下、又は10.0以下であってよい。なお、M−LLDPEのGPCによるMw/Mnの値は、概ね4.0以下、特に3.0以下程度であると考えられる。
シーラント層は、例えば、チーグラー−ナッタ触媒、フィリップス触媒等によって製造されたLLDPEを含む層であってよい。チーグラー−ナッタ触媒は、酸化チタン(典型的にはTiCl又はTiCl)及び有機アルミニウムから構成される触媒である。フィリップス触媒は、典型的には、クロムがシリカ上に担持された触媒である。チーグラー−ナッタ触媒又はフィリップス触媒は、それぞれ、動的粘弾性測定において上記特定のtanδ(70℃)及びtanδ(110℃)の値、並びにGPCにおいて上記特定のMw/Mnの値を示すLLDPEが得られ易い傾向にある。
シーラント層は、チーグラー−ナッタ触媒又はフィリップス触媒によって製造されたLLDPEのみから構成される層であってよく、又はこのLLDPEと、その他の成分とを含む樹脂組成物から構成される層であってもよい。その他の成分は、例えば、チーグラー−ナッタ触媒又はフィリップス触媒以外によって製造されたLLDPE以外の樹脂(その他の樹脂)、添加剤等であってよい。
その他の樹脂は、例えば、M−LLDPE、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン等であってよい。その他の樹脂として、特にM−LLDPEを用いてよい。シーラント層がその他の樹脂を含む場合、その他の樹脂の含有割合は、樹脂の合計に対して、例えば、70重量%以下、60重量%以下、50重量%以下、40重量%以下、又は30重量%以下であってよく、例えば、1重量%以上、5重量%以上、10重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、又は30重量%以上であってよく、典型的には10重量%以上50重量%以下であってよい。
添加剤は、例えば、滑材、酸化防止剤、難燃剤、可塑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等であってよいが、シーラント層が内容物に直接接触する層であることため、ブリードアウトし易い添加剤は使用しないことが好ましい。
シーラント層が、その他の成分を含む樹脂組成物から構成される層であるとき、
この組成物の全体が本発明所定の損失正接(tanδ)を示せばよく、組成物全体が上記特定のMw/Mnの値を示すことが好ましい。
3層構成の袋形成用積層体に適用されるシーラント層の厚みは、内容物を保護し、かつ、十分に高いシール強度を発現させる観点から、例えば、50μm以上、60μm以上、70μm以上、80μm以上、90μm以上、又は100μm以上であってよく、例えば、200μm以下、180μm以下、160μm以下、150μm以下、140μm以下、又は130μm以下であってよい。
7層構成の袋形成用積層体に適用されるシーラント層の厚みは、内容物を保護し、かつ、十分に高いシール強度を発現させる観点から、例えば、10μm以上、20μm以上、30μm以上、40μm以上、又は50μm以上であってよく、例えば、150μm以下、140μm以下、130μm以下、120μm以下、110μm以下、又は100μm以下であってよい。
(基材層)
基材層は、本発明のガセット袋に、強度と、袋としての保形性とを付与することの他、袋外部からの衝撃に対する防御層として機能する。また、所望により、印刷可能な材料から成っていてもよく、内容物の明示、内容物の説明、消費意欲向上のための意匠等が印刷されていてもよい。
基材層は、ポリアミドを含む層であってよく、例えば、ナイロンを含む層であってよく、具体的には、例えば、6−ナイロン、6,6−ナイロン等を含む層であってよい。
基材層は、延伸フィルム及び無延伸フィルムのどちらであってもよい。延伸は、1軸延伸及び2軸延伸のどちらであってもよい。2軸延伸の場合の延伸方法は任意であり、例えば、チューブラー2軸延伸、同時2軸延伸、逐次2軸延伸等によって延伸されたフィルムを使用してよい。
基材層は、単層であっても多層であってもよい。多層は、ナイロンから成る複数のフィルムによって構成されていてもよいし、これらのフィルムと他のフィルムとの組み合わせであってもよい。他のフィルムは例えば、ポリオレフィン等から成るフィルムであってよい。本発明における基材層は、典型的には、上記の好ましいナイロンから成るフィルムの単層、このようなナイロンフィルムが2層以上積層された多層、又は単層若しくは多層のナイロンフィルムの最表面側(第3の接着樹脂層とは反対の面側)にポリオレフィンフィルムの層を有するものであってよい。
ガセット袋に強度及び自立性を付与し、防御層としての機能を果たすために、基材層の厚みは、例えば、10μm以上、11μm以上、12μm以上、13μm以上、14μm以上、又は15μm以上であってよい。一方、袋形成用積層体が適当な柔軟性を維持し、積層体の総厚みを過度に大きくしないとの観点から、基材層の厚みは、例えば、50μm以下、45μm以下、40μm以下、35μm以下、又は30μm以下であってよい。
(第1の接着樹脂層)
第1の接着樹脂層は、袋形成用積層体が3層構成の場合には基材層とシーラント層とを接着し、袋形成用積層体が7層構成の場合には基材層と内部保護層とを接着して、袋形成用積層体の一体性を確保する機能を有する。したがってこの第1の接着樹脂層は、基材層とシーラント層との双方、又は基材層と内部保護層との双方に対して親和性を持つ材料から構成されていてよい。
第1の接着樹脂剤層は、ドライラミネート用接着剤の硬化物から成る単層であってよく、又はアンカーコート剤と熱可塑性樹脂との組み合わせから得られる2層であってよい。
ドライラミネート用接着剤は、例えば、ポリオールとイソシアネートから成る2液系の接着剤であってよい。ポリオールは、例えば、ポリエステル系、ポリエステルポリウレタン系等の骨格を有するものであってよい。イソシアネートは、芳香族系及び脂肪族系のどちらであってもよい。芳香族系イソシアネートを用いると、接着力に優れる接着樹脂層が得られる。脂肪族系イソシアネートを用いると、臭気等の問題のない接着樹脂層が得られる。食品、医薬品等を収納する袋に用いる場合には、ポリエステル系又はポリエステルポリウレタン系ポリオールと、脂肪族イソシアネートとの組み合わせから構成されるドライラミネート用接着剤を使用してよい。
第1の接着樹脂層の厚みは、1μm以上100μm以下であってよい。第1の接着樹脂層がドライラミネート用接着剤の硬化物から成る層である場合、その厚みは、例えば、1μm以上、2μm以上、又は3μm以上であってよく、例えば、10μm以下、8μm以下、6μm以下、又は5μm以下であってよい。第1の接着樹脂層がアンカーコート剤と熱可塑性樹脂との組み合わせから得られる2層である場合、その厚みは、これら2層の合計として、例えば、5μm以上、10μm以上、15μm以上、又は20μm以上であってよく、例えば、100μm以下、80μm以下、60μm以下、50μm以下、又は40μm以下であってよい。
(内部保護層)
内部保護層は、本発明の袋形成用積層体が7層構成のときに、第2の接着樹脂層、第3の接着樹脂層、及びシーラント層とともにバリア層を挟み込み、積層体外部からの衝撃を緩和させてバリア層を保護する機能を有する。
内部保護層を構成する材料は、熱可塑性樹脂を含んでいてよく、特にポリオレフィンを含んでいてよい。このポリオレフィンは、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等であってよく、特にポリエチレンが好ましい。内部保護層のポリエチレンとして、具体的には例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等が挙げられ、これらから選択される1種以上を使用してよい。内部保護層は、良好な低温ヒートシール性、加工性等を付与する観点からは、LLDPEを含むポリオレフィンフィルムから構成されることが好ましく、LLDPEフィルムから構成されることがより好ましい。
内部保護層を構成するLLDPEフィルムは、チーグラー−ナッタ系触媒又はフィリップス触媒により製造されたLLDPEのフィルムでも、メタロセン触媒により製造されたLLDPEのフィルムでも、どちらでもよい。
内部保護層は、上記に例示された材料から選択される1種以上を含む単層であってもよく、上記材料から選択される1種以上を含む層が2層以上積層された多層であってもよい。多層である場合は、各層が同種の材料から構成されていてもよく、それぞれ別の材料から構成されていてもよい。
内部保護層の厚みは、バリア層の保護、及び基材層とバリア層との接着を確実なものとする観点から、例えば、10μm以上、20μm以上、30μm以上、40μm以上、又は50μm以上であってよく、袋形成用積層体を過度に厚くしない観点から、例えば、100μm以下、90μm以下、80μm以下、70μm以下、60μm以下、又は50μm以下であってよい。
(第2の接着樹脂層)
第2の接着樹脂層は、本発明の袋形成用積層体が7層構成のときに、バリア層と内部保護層とを接着し、袋形成用積層体の一体性を確保する機能を有する。したがって、この第2の接着樹脂層は、バリア層の構造との親和性が高い極性部位、及び内部保護層の構造との親和性が高い例えばポリオレフィン骨格の双方を有していてよい。
第2の接着樹脂層は、内部保護層、第3の接着樹脂層、及びシーラント層とともにバリア層を挟み込んで、積層体外部からの衝撃を緩和させてバリア層を保護する機能を更に有していてもよい。したがって、この第2の接着樹脂層は、比較的軟質の樹脂から構成されていてもよい。
第2の接着樹脂層を構成する材料は、熱可塑性樹脂であってよい。この熱可塑性樹脂は、例えば、酸変性ポリオレフィン等であってよい。酸変性ポリオレフィンは、例えば、カルボン酸変性ポリオレフィン等であってよく、特に不飽和ジカルボン酸変性ポリオレフィン等であってよく、好ましくはα,β−不飽和ジカルボン酸変性ポリオレフィンであってよい。ここで、ポリオレフィンは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等であってよい。ポリオレフィンの修飾に好ましく用いられるα,β−不飽和ジカルボン酸は、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等であってよい。第2の接着樹脂層を構成する熱可塑性樹脂は、好ましくは、カルボン酸変性ポリエチレン、又はカルボン酸変性ポリプロピレンを含み、好ましくはカルボン酸変性ポリエチレンを含み、典型的にはカルボン酸変性ポリエチレンから構成されてよい。
第2の接着樹脂層がカルボン酸変性ポリオレフィンを含む場合、ポリオレフィンの酸変性度は任意である。
第2の接着樹脂層の厚みは、例えば、1μm以上、3μm以上、又は5μm以上であってよく、例えば、20μm以下、15μm以下、又は10μm以下であってよい。
(バリア層)
バリア層は、本発明の袋形成用積層体が7層構成のときに、積層体に酸素遮断機能を与え、袋に収納された内容物を酸化から保護するとともに、袋に収納された内容物が袋の外部に漏れ出ることを抑制する機能を有する。このような機能を効果的に発現するため、袋形成用積層体のバリア層は、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)を含んでいてよい。
バリア層におけるエチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン含量は、袋形成用積層体のバリア性、特に酸素遮断性を確保する観点から、例えば、50モル%以下、48モル%以下、46モル%以下、45モル%以下、44モル%以下、43モル%以下、42モル%以下、又は40%以下であってよく、一方で、得られるガセット袋の耐衝撃性、特に落下耐性を確保する観点から、例えば、30モル%以上、33モル%以上、34モル%以上、35モル%以上、又は36モル%以上であってよい。エチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン含量は、典型的には例えば、33モル%以上46モル%以下、又は35モル%以上42モル%以下であってよい。
袋形成用積層体におけるバリア層の厚みは、十分に高い酸素遮断性を確保する観点から、例えば、1μm以上、3μm以上、5μm以上、7μm以上、8μm以上、9μm以上、又は10μm以上であってよく、ガセット袋としたときの袋としての柔軟性を確保する観点から、例えば、20μm以下、18μm以下、16μm以下、14μm以下、12μm以下、11μm以下、又は10μm以下であってよい。
(第3の接着樹脂層)
第3の接着樹脂層は、バリア層と、シーラント層とを接着し、袋形成用積層体の一体性を確保する機能を有する。したがって、この第3の接着樹脂層は、バリア層の構造との親和性が高い極性部位、及びシーラント層の構造との親和性が高い例えばポリオレフィン骨格の双方を有していてよい。
第3の接着樹脂層は、内部保護層、第2の接着樹脂層、及びシーラント層とともにバリア層を挟み込んで、積層体外部からの衝撃を緩和させてバリア層を保護する機能を更に有していてもよい。したがって、この第3の接着樹脂層は、比較的軟質の樹脂から構成されていてもよい。
第3の接着樹脂層を構成する材料は、熱可塑性樹脂である。この熱可塑性樹脂は、第2の接着樹脂層を構成する材料として上記に例示したものの中から適宜に選択して用いてよく、カルボン酸変性ポリオレフィン、例えば不飽和ジカルボン酸変性ポリオレフィン等、特にα,β−不飽和ジカルボン酸変性ポリオレフィン、具体的には例えばマレイン酸変性ポリエチレン等であってよい。これらにおけるポリオレフィンの酸変性度は任意であってよい。
第3の接着樹脂層の厚みは、例えば、1μm以上、3μm以上、又は5μm以上であってよく、例えば、20μm以下、15μm以下、又は10μm以下であってよい。
〈ガセット袋の形状〉
本発明のガセット袋は、一対の正面部、及び一対の折込部を有し、
正面部及び折込部は、それぞれ、本発明所定の袋形成用積層体から成り、
折込部は、正面部の両端に配置され、かつ一対の正面部の間に折り込まれており、
少なくとも正面部及び折込部の端辺部同士がヒートシールされて成る、
ガセット袋であってよい。
正面部及び折込部は、それぞれ、矩形であってよい。折込部を構成する矩形の1つの辺の長さは、正面部の矩形を構成する1つの辺の長さと略同じであってよい。一対の正面部は、シーラント層同士が相対するように、かつ4辺をそろえて積層されてよい。折込部は、正面部の1辺と同じ長さの辺に平行な折れ線で、シーラント層を外側として2つに折り畳まれた状態で、一対の正面部の両端に配置されてよい。折込部を正面部の両端に配置するときには、折込部のシーラント層と正面部のシーラント層とが相対するように、かつ、折れ線が正面部の中心よりに位置するように、一対の正面部の間(2枚の正面部の間)に折り込まれていてよい。この状態で正面部及び折込部の端辺部同士をヒートシールすれば、正面部を構成する袋形成用積層体の端辺部と、折込部を成する袋形成用積層体の端辺部とがシールされて、ガセット袋を得ることができる。
正面部及び折込部の端辺部同士をヒートシールするとき、例えば、正面部の矩形の外周4辺のうちの3辺をヒートシールし、残り1辺を開口部とすれば、開口部を介して内容物を出し入れすることができ;正面部の矩形の4辺すべてをヒートシールする外周シールとすれば、内容物を密封して保存等することができる。
ヒートシールは、正面部及び折込部の端辺部同士の他、正面部の四隅を斜めにシールする傾斜シールを含んでもよい。
本発明のガセット袋は、使用時、又は持ち運び時に手を入れることができる把持部を有していてもよい。本発明のガセット袋を、特に重量袋として適用する場合には、使用時、及び持ち運び時の利便性を考慮して、把持部を有する形態とすることが好ましい。
〈スパウト付きガセット袋〉
本発明のガセット袋は、スパウトを有するスパウト付きガセット袋であってもよい。スパウトは、袋の内容物を必要に応じて袋外部に取り出すための注ぎ口であり、袋形成用積層体のシーラント層側の面に固定されていてよい。
本発明のある実施態様では、例えば、スパウトの注出口部材が、袋本体を構成するためにシーラント層を内側に向けて対向する2枚の袋形成用積層体の端部に挟み込まれた状態で、スパウトの注出口部材の外壁と、シーラント層とが、両者の接触部において固定されていてよい。この実施態様にて好ましく使用されるスパウトの一例を図3(a)に示した。また、図3(a)のスパウトとシーラント層とを固定する態様の一例を、袋形成用積層体が図1に示した3層構成の袋形成用積層体(10)である場合を例として、図3(b)に示した。
図3(a)のスパウト(20)は、円筒状の注出口部材(21)と、注出口部材(21)に係合して着脱自在のキャップ(22)とを有している。注出口部材(21)は外壁に雄ネジを有し、かつキャップ(22)は内壁に雌ネジを有し、これらの雄ネジと雌ネジとが互い螺合して滑動することにより、キャップ(22)が注出口部材(21)から着脱自在であってよい。
図3(a)のスパウト(20)は、図3(b)に示したように、シーラント層(7)を内側に向けて対向した2枚の袋形成用積層体(10)それぞれの端部に挟み込まれた状態で、注出口部材(21)の外壁とシーラント層(7)との接触部において固定されてよい。
本発明の別の実施態様では、注出口部材がフランジ部を有するスパウトを用い、袋本体の一部に形成された孔にスパウトの注出口部材が貫通し、かつ、フランジがシーラント層に接するように、袋本体にスパウトを配置した状態で、スパウトのフランジ部と、シーラント層の接触部とが固定されていてよい。この実施態様にて好ましく使用されるスパウトの一例を図4(a)に示した。また、図4(a)のスパウトとシーラント層とを固定する態様の一例を、袋形成用積層体が図1に示した3層構成の袋形成用積層体(10)である場合を例として、図4(b)に示した。
図4(a)のスパウト(20)は、円筒状の注出口部材(21)と、注出口部材(21)に係合して着脱自在のキャップ(22)とを有している。注出口部材(21)は外壁に雄ネジを有し、かつキャップ(22)は内壁に雌ネジを有し、これらの雄ネジと雌ネジとが互い螺合して滑動することにより、キャップ(22)が注出口部材(21)から着脱自在であってよい。注出口部材(21)は、キャップ(22)が係合する側とは逆側の端部近傍に、注出口部材(21)と同軸に半径方向外側に突出するフランジ部(21a)を更に有している。
図4(a)のスパウト(20)は、図4(b)に示したように、注出口部材(21)の円筒形の部分が、袋本体を構成する袋形成用積層体(10)に形成された孔に挿入されている。この孔は、注出口部材(21)うちの円筒形の部分は貫通できるが、フランジ部(21a)は貫通しない大きさに調整されている。フランジ部(21a)を有する注出口部材(21)が、このような大きさの孔にシーラント層(7)側の面から挿入されると、フランジ部(21a)の片面がシーラント層(7)と接触する。そして、スパウト(20)は、この接触部において、袋形成用積層体(10)に固定されてよい。
スパウトは、舟形の形態を有していてもよい。この実施態様にて好ましく使用されるスパウトの一例を図5(a)に示した。また、図5(a)のスパウトとシーラント層とを固定する態様の一例を、袋形成用積層体が図1に示した3層構成の袋形成用積層体(10)である場合を例として、図5(b)に示した。
図5(a)のスパウト(20)は、円筒状の注出口部材(21)と、注出口部材(21)に係合して着脱自在のキャップ(22)とを有している。注出口部材(21)は外壁に雄ネジを有し、かつキャップ(22)は内壁に雌ネジを有し、これらの雄ネジと雌ネジとが互い螺合して滑動することにより、キャップ(22)が注出口部材(21)から着脱自在であってよい。注出口部材(21)は、キャップ(22)が係合する側とは逆側の端部近傍に、底面が略菱形の四角柱の形状を有する舟形部(21b)を更に有している。
図5(a)のスパウト(20)は、図5(b)に示したように、シーラント層(7)を内側に向けて対向した2枚の袋形成用積層体(10)それぞれの端部に挟み込まれた状態で、舟形部(21b)の側面とシーラント層(7)との接触部において固定されてよい。
上記いずれの場合であっても、スパウトと袋本体との固定手段は、例えば、ヒートシール、接着剤による固定等であってよい。
スパウトは、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、金属、ガラス等から構成されていてよい。袋本体へ固定するときの工程上の便宜、衝撃耐性の確保等の観点から、スパウトは、熱可塑性樹脂から構成されてよい。スパウトを構成する熱可塑性樹脂は、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、及びその他の熱可塑性樹脂であってよい。
ポリオレフィンは、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等であってよく、特にポリエチレンが好ましい。ポリエチレンとして、具体的には例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等が挙げられる。
ポリエステルは、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート等であってよい。その他の熱可塑性樹脂には、例えば、ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル等が含まれる。
スパウトが、袋形成用積層体のシーラント層と同種の材料から構成されていると、スパウトと袋本体との融着による固定が容易となり、内容物の密閉性及び衝撃耐性の点で有利である。したがって、スパウト(特に注出口部材)は、ポリオレフィン、特にポリエチレン、好ましくはLLDPEを含む材料から構成されていてよい。
スパウトの注出口部材とキャップとは、同じ材料から構成されていてよく、それぞれ違う材料から構成されていてよい。注出口部材がフランジ部を有する場合、これらは同じ材料から構成されていてよく、それぞれ違う材料から構成されていてよい。
図6及び図7に、スパウト付きガセット袋の具体的な実施形態の例を示した。
図6(a)は、本発明におけるスパウト付きガセット袋のある実施形態の構成を示す概略正面図であり、図6(b)は、図6(a)のガゼット袋のA−A線断面図であり、図7は、図6(a)及び図6(b)のスパウト付き袋に内容物を充填したときの状態を示す概略斜視図である。
図6(a)及び図6(b)のスパウト付きガセット袋(100)は、一対の正面部(102)、及び一対の折込部(102a)を有し、折込部(102a)は、正面部(102)の両端に配置され、かつ一対の正面部(102)の内側に折り込まれており、
正面部(102)と折込部(102a)の端辺部同士がヒートシールされた外周シール部(111)を有する。
スパウト付きガセット袋(100)の正面部(102)及び折込部(102a)は、それぞれ、本発明所定の袋形成用積層体から構成されており、シーラント層が袋の内側を向くように配置されている。
スパウト付きガセット袋(100)の外周シール部(111)は、図6(a)に示したように、略矩形の正面部(102)の外周を一周して、スパウト付きガセット袋(100)を密閉している。スパウト付きガセット袋(100)は、この外周シール部(111)とともに、正面部(102)の四隅を斜めにシールする傾斜シール部(112)を有し、一対の正面部(102)は、これらのシール部によって囲まれた略八角形の領域を形成している。
図6(a)及び図6(b)のスパウト付きガセット袋(100)は、更に、一対の正面部(102)に固定されたスパウト(20)を有する。スパウト(20)は、注出口部材(21)及びキャップ(22)を有する。スパウト(20)は、例えば図3(b)に示した態様で、正面部(102)に固定されていてよい。
そして、スパウト付きガセット袋(100)に内容物が充填されたときに、一対の正面部(102)の八角形状の上下の台形部、及び一対の折込部(102a)がそれぞれ図6の紙面に対して略垂直な平面状に復元して、袋内部に略立方体状の空間が形成される。
図6(a)及び図6(b)のスパウト付きガセット袋(100)に内容物を充填し、袋内部に略立方体状の空間が形成された状態の概略斜視図を図7に示した。
〈ガセット袋の容量〉
本発明のガセット袋の容量は、任意の所望の容量であってよく、例えば、10mL以上、50mL以上、100mL以上、500mL以上、1L以上、5L以上、10L以上、又は20L以上であってよく、例えば、100L以下、80L以下、50L以下、40L以下、30L以下、又は20L以下であってよい。本発明のガセット袋は、一般に「重量袋」と呼ばれる大容量(例えば容量1L以上又は3L以上、特に5L以上)の袋として適用されてもよい。
《ガセット袋の製造方法》
本発明のガセット袋は、例えば下記の方法によって製造されてよい。
少なくとも、基材層、第1の接着樹脂層、及びシーラント層をこの順に有する袋形成用積層体を準備すること(袋形成用積層体形成工程);
上記袋形成用積層体から、一対の正面部、及び一対の折込部を作製すること(正面部及び折込部作製工程);
上記折込部を、上記一対の正面部の両端に配置して、上記一対の正面部の間に折り込むこと(袋概形形成工程);
少なくとも上記正面部及び上記折込部の端辺部同士をヒートシールすること(ヒートシール工程);
を含む、ガセット袋の製造方法であって、
上記シーラント層は、JIS K7244の引張振動−非共振法に準拠して、歪振幅0.1%及び周波数1.0Hzにて測定した損失正接(tanδ)の、70℃における測定値(tanδ(70℃))が0.20以下であり、110℃における測定値(tanδ(110℃))が0.40以上0.80以下である、直鎖低密度ポリエチレンの層である、ガセット袋の製造方法。
スパウト付きガセット袋は、上記の工程の他に、更に袋形成用積層体にスパウトを固定すること(スパウト固定工程)を含めてよい。この場合、スパウト固定工程は、袋形成用積層体形成工程の後の任意の時点で行われてよい。例えば、袋概形形成工程において、スパウト固定工程を経てスパウトが固定された1つの正面部と、スパウトを有さない他の部分とを組み合わせて使用することにより、スパウト付きガセット袋を製造してもよいし;スパウトを有さない正面部及び折込部を用いて袋概形形成工程を行い、袋の少なくとも1つの端部が開放されている状態でスパウト固定工程を行い、然る後に袋の開放端を閉じることにより、スパウト付きガセット袋を製造してもよい。
〈袋形成用積層体形成工程〉
袋形成用積層体形成工程では、少なくとも、基材層、第1の接着樹脂層、及びシーラント層をこの順に有する袋形成用積層体を形成する。袋形成用積層体は、上記の3層から成る3層構成の積層体であってもよいし;所望により、内部保護層、第2の接着樹脂層、バリア層、及び第3の接着樹脂層を更に有し、基材層、第1の接着樹脂層、内部保護層、第2の接着樹脂層、バリア層、第3の接着樹脂層、及びシーラント層をこの順に有する7層構成の積層体であってもよい。
袋形成用積層体形成工程で用いるシーラント層は、本発明のガセット袋におけるシーラント層としての要件を満たすLLDPEから適宜に選択されて用いられてよい。具体的には、動的粘弾性測定におけるtanδ(70℃)が0.20以下であり、かつtanδ(110℃)が0.40以上0.80以下であるLLDPEが用いられる。
袋形成用積層体の形成方法は任意であってよいが、具体的には例えば以下を例示できる。
3層構成の袋形成用積層体は、例えば、基材層及びシーラント層をそれぞれ別個に形成したうえ、基材層と内部保護層との間を第1の接着樹脂層によって接着することによって積層してよい。
7層構成の袋形成用積層体は、例えば、
基材層、内部保護層、バリア層、及びシーラント層をそれぞれ別個に形成したうえ、
基材層と内部保護層との間は、第1の接着樹脂層により、
内部保護層とバリア層との間は、第2の接着樹脂層により、
バリア層とシーラント層との間は、第3の接着樹脂層により、
それぞれ接着することによって積層してもよいし;
袋形成用積層体を構成する一部の層を形成した後、この層上に他の層を形成してもよいし;
袋形成用積層体を構成する複数の層を同時に形成してもよいし;
これらのうちの複数の方法を組み合わせて行ってもよい。
7層構成の袋形成用積層体の好ましい形成方法は、
内部保護層、第2の接着樹脂層、バリア層、第3の接着樹脂層、及びシーラント層をこの順に有する5層構成の積層体を、共押出しによって形成した後、
得られた5層積層体の内部保護層側の面上に、第1の接着樹脂層をドライラミネート用接着剤として用いて基材層をドライラミネートする方法であってよい。このような方法によると、所望の機能を有する袋形成用積層体が容易に得られる点で、好ましい。
(正面部及び折込部作製工程)
正面部及び折込部作製工程では、袋形成用積層体形成工程で得られた袋形成用積層体を用いて、正面部及び折込部を作製する。正面部及び折込部は、袋形成用積層体をそれぞれ所定の大きさの略矩形状にカットすることによって作製されてよい。正面部及び折込部は、ガセット袋1つ当たり2枚ずつ作成されてよい。
(袋概形形成工程)
袋概形形成工程では、正面部及び折込部作製工程で得られた正面部及び折込部各2枚を用いて、ガセット袋の概形を形成する。具体的には、2枚の正面部を前後一対に重ね合わせた後、折込部を一対の正面部の両端に配置して2枚の正面部の間に折り込んで、例えば、図6(a)及び図6(b)に示した袋の形状を形成する。このとき、袋形成用積層体は、シーラント層が袋の内側に向くように配置される。
(ヒートシール工程)
そして、ヒートシール工程において、袋概形形成工程で得られたガセット袋の概形について、少なくとも正面部及び折込部の端辺部同士をヒートシールすることにより、本発明のガセット袋を得ることができる。正面部及び折込部の端辺部同士をヒートシールすると、例えば図6(a)に示したスパウト付きガセット袋(100)における外周シール部(111)が形成される。このヒートシール工程では、正面部及び折込部の端辺部同士をヒートシールに加えて、正面部の四隅を斜めにヒートシールしてもよい。この操作により、例えば図6(a)に示したスパウト付きガセット袋(100)における傾斜シール部(112)が形成され、得られるガセット袋に内容物を充填したときに、略立方体状を呈することが容易となる。
ヒートシールは、1回だけ行ってもよく、複数回に分けて行ってもよい。使用する袋形成用積層体のダメージを避けつつ、例えば折込部のヒートシール強度を十分高くするために、ヒートシーラーの加熱部表面の温度を比較的低く設定し、複数回に分けてヒートシールする方法によってもよい。本発明のガセット袋のシーラント層に含まれるLLDPEは、ポリエチレンの代表融点に達しない温度でも強いヒートシール強度を発揮し得るため、ヒートシーラーの加熱部表面の温度を比較的低く設定してよい。
以上の工程を経由することにより、本発明のガセット袋を得ることができる。
〈スパウト固定工程〉
本発明のガセット袋がスパウトを有するスパウト付きガセット袋であるとき、上記の工程の任意の時点で、スパウト固定工程が更に行われてよい。このスパウト固定工程では、ガセット袋を構成する袋形成用積層体のシーラント層側の面に、スパウトが固定される。
具体的には例えば、袋形成用積層体のシーラント層の側の面と、スパウトの注出口部材とが、互いに接触するように配置すること、及び
スパウトの注出口部材と、シーラント層の接触部とを、固定すること
を含む方法によってよい。
袋形成層積層体とスパウトの注出口部材との配置は、例えば、上記で説明した図3(b)及び図4(b)、並びにこれら以外の態様から、適宜に設定された形態で行われてよい。
スパウトの注出口部材と、袋形成用積層体のシーラント層とを固定するには、例えば両者を融着する方法によってよい。
以上の工程を経由することにより、本発明所定の構成を有するスパウト付きガセット袋を製造することができる。
《ガセット袋の内容物》
本発明のガセット袋に収納される内容物は、例えば液状又は粘稠体状の物品であってよい。
液状の物品は、例えば、食品、医薬品、化粧品、塗料等であってよい。食品としては、例えば、飲料、食用油、スープ、液体調味料(例えば、醤油、酢、麺つゆ、割下、みりん、ウスターソース、タバスコ等)等を含む。医薬品は、例えば、注射薬、点滴薬、輸液薬、灌流薬、煎剤等を含む。化粧品は、例えば、シャンプー、コンディショナー、整髪料(例えば、ヘアウォーター、ヘアリキッド等)等を含む。塗料は、例えば、ペンキ、ニス、オイルステイン等を含む。
粘稠体状の物品は、例えば、食品、医薬品、化粧品、塗料等であってよい。食品としては、例えば、クリーム、粘調体状調味料(例えば、味噌、豆板醤、ケチャップ、甘味料、麹、メニュー用調味料(合わせ調味料)等)等を含む。医薬品は、例えば、外用薬(例えば、クリーム、軟膏、ゲル状薬剤等)等を含む。化粧品は、例えば、クリーム、クレンジング剤、整髪料(例えば、グリース等)等を含む。塗料は、例えば、水彩絵具、油彩絵具、アクリル塗料等を含む。
〈損失正接(tanδ)の測定〉
以下の実施例及び比較例で使用したシーラント層の損失正接(tanδ)は、それぞれ、JIS K7244の引張振動−非共振法に準拠して、歪振幅0.1%及び周波数1.0Hzにて測定した。実施例1及び2でシーラント層として使用したチーグラー−ナッタ系鎖状低密度ポリエチレン(ZN−LLDPE)、並びに比較例1及び2でシーラント層として使用したメタロセン系鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)についてそれぞれ測定された、損失正接(tanδ)の温度依存性を示すグラフを、図8に示す。
ここで得られたtanδの、70℃における測定値を、以下、「tanδ(70℃)」として参照し、110℃における測定値を、以下、「tanδ(110℃)」として参照する。
《実施例1》
(1)袋形成用積層体の作製
基材層としてのナイロンフィルム(厚み25μm)の片面上に、シーラント層としてチーグラー−ナッタ系鎖状低密度ポリエチレンフィルム(tanδ(70℃)=0.18、tanδ(110℃)=0.53、厚み130μm)をドライラミネートにより積層して、袋形成用積層体を作製した。ドライラミネートは、ポリエステル系ポリオール及び脂肪族イソシアネートから成る2液系のドライラミネート用接着剤を用い、基材層とシーラント層との間に厚み5μmの第1の接着樹脂層を形成することにより行った。
(2)袋形成用積層体の評価(ヒートシール強度の評価)
上記で得られた袋形成用積層体を2枚準備し、シーラント層同士が対向するように重ねて、ヒートシールを行った後の剥離強度を調べた。ヒートシール及び剥離強度測定の条件は、それぞれ、以下のとおりである。
〈ヒートシール〉
ヒートシール温度:90℃〜150℃の範囲で、5℃刻みで変量
ヒートシール圧力:0.2MPa
ヒートシール時間:0.5秒
〈剥離強度〉
測定装置:(株)東洋精機製作所製、形式名「ストログラフVE10D」
試験方法:JIS Z 0238準拠、T型剥離試験
チャック間距離:50mm
引張り速度:300mm/分
繰り返し測定回数:n=5
ヒートシール後の剥離強度は、いずれも繰り返し測定回数n=5の平均値として、0℃のとき39.5N/15m、110℃のとき64.9N/15mm、120℃のとき93.3N/15mmであり、低温のヒートシール温度においても比較的強いシール強度が発揮されることが確認された。
ヒートシール強度をヒートシール温度に対してプロットしたグラフを、図9に示す。
(3)スパウト付きガセット袋の作製
上記で得られた袋形成用積層体を用い、図6及び図7に示した形状を有する容量5Lのスパウト付きガセット袋(スパウト付き重量袋)を作製した。このガセット袋は、一対の正面部、及び一対の折込部を有し、折込部は正面部の両端に配置されて、一対の正面部の間に折り込まれており、正面部及び折込部の端辺部同士がヒートシールされている構造を有する。このヒートシールは、高速の条件にて行った。
このガセット袋に内容物を充填すると、袋部が略立方体の形状になり、スパウトは、立方体の1つの面の中央に配置される。以下では、立方体の6面のうち、スパウト配置面及びその対向面を「底面」とし、その他の4面を「側面」として参照する。
(4)落下耐性の評価
上記で作製したスパウト付きガセット袋に、内容物として水5Lを充填し、スパウトを密栓して、内容物入りガセット袋を作製した。この内容物入りガセット袋について、落下高さを1mとして、以下のように落下試験を実施して落下耐性を評価した。
先ず、内容物入りガセット袋を、スパウトを配置した底面の反対側の底面が下になるように落下させた。次いで、ガセット袋を、4つの側面のうちの1つの面が下になるように落下させた。この側面が下になる落下を、下になる側面を変えながら順番に行った。側面が下になる落下サイクルを2回繰り返し、底面が1回、4つの側面がそれぞれ2回ずつ下になるように、合計9回の落下を行い、内容物の漏れ(破袋)の有無を確認した。この操作を、50個のガセット袋について行い、漏れが発生した個数を調べ、以下の基準により評価した。結果は表1に示した。
A:50個すべてのガセット袋に漏れが発生しなかった場合
C:50個のガセット袋のうちの1個以上に漏れが発生した場合
《比較例1》
シーラント層としてメタロセン系鎖状低密度ポリエチレンフィルムフィルム(tanδ(70℃)=0.18、tanδ(110℃)=0.30、厚み130μm)を用いた他は、実施例1と同様にして、袋形成用積層体及びスパウト付きガセット袋を作製し、評価した。袋形成用積層体のヒートシール強度の評価結果を表1及び図9に、スパウト付きガセット袋の落下耐性の評価結果を表1に、それぞれ示す。
《実施例2》
(1)袋形成用積層体の作製
(1−1)5層シーラントフィルムの作製
内部保護層として厚み50μmのポリエチレンの層、第2の接着樹脂層として厚み5μmのマレイン酸変性ポリエチレンの層、バリア層として厚み10μmのエチレン−ビニルアルコール共重合体(エチレン含量38mol%)の層、第3の接着樹脂層として厚み5μmのマレイン酸変性ポリエチレンの層、及びシーラント層として厚み60μmのチーグラー−ナッタ系鎖状低密度ポリエチレンフィルム(tanδ(70℃)=0.18、tanδ(110℃)/tanδ(70℃)=2.96)の層が、この順に積層された総厚み130μmの5層シーラントフィルムを、共押出インフレーション成形によって作製した。
(1−2)基材層と5層シーラントフィルムとの積層(袋形成用積層体の作製)
基材層としてのナイロンフィルム(厚み25μm)の面上に、上記で得られた5層シーラントフィルムを、内部保護層が基材層側を向くようにドライラミネートにより積層して、袋形成用積層体を作製した。ドライラミネートには、ポリエステル系ポリオール及び脂肪族イソシアネートから成る2液系のドライラミネート用接着剤を用い、基材層と5層シーラントフィルムとの間に厚み5μmの第1の接着樹脂層を形成した。
(2)袋形成用積層体の評価(ヒートシール強度の評価)
上記で得られた袋形成用積層体を用いた他は実施例1と同様にして、ヒートシール後の剥離強度を測定した。評価結果を表2及び図10に示す。
(3)スパウト付き袋の作製及び落下耐性の評価
上記で作製した袋形成用積層体を用いた他は実施例1と同様にしてスパウト付きガセット袋を作製し、落下耐性を評価した。評価結果を表2に示す。
《比較例2》
シーラント層としてメタロセン系鎖状低密度ポリエチレンフィルムフィルム(tanδ(70℃)=0.18、tanδ(110℃)/tanδ(70℃)=1.68、厚み130μm)を用いた他は、実施例2と同様にして袋形成用積層体及びスパウト付きガセット袋を作製し、実施例1と同様に評価した。評価結果を表2及び図10に示す。
表1及び表2における袋形成用積層体の各層を構成する材料の略称は、それぞれ以下の意味である。
(基材層)
Ny:ナイロンフィルム
(内部保護層)
PE:ポリエチレン
(バリア層)
EVOH:エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン含量38mol%
(シーラント層)
M−LLDPE:メタロセン系鎖状低密度ポリエチレン、tanδ(70℃)=0.18、tanδ(110℃)=0.30
ZN−LLDPE:チーグラー−ナッタ系鎖状低密度ポリエチレン、tanδ(70℃)=0.18、tanδ(110℃)=0.53
(第1の接着樹脂層)
dry:ポリエステル系ポリオール及び脂肪族イソシアネートから成る2液系のドライラミネート用接着剤の硬化物
(第2及び第3の接着樹脂層)
M−PE:マレイン酸変性ポリエチレン、厚み5μm
表1及び表2、並びに図9及び図10に示されたヒートシール後の剥離強度の評価結果において、シーラント層の種類以外の層構成が同じ実施例1と比較例1とを比較し、実施例2と比較例2とを比較する。
図9を参照すると、基材層、第1の接着樹脂層、及びシーラント層の3層構成の場合、シーラント層としてメタロセン系鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)を用いた比較例1では、ヒートシール温度が100℃以上で剥離強度が立ち上がるのに対し、チーグラー−ナッタ系鎖状低密度ポリエチレン(ZN−LLDPE)を用いた実施例1では、ヒートシール温度95℃以上で剥離強度の立ち上がりが見られる。
これと同様に、図10を参照すると、基材層、第1の接着樹脂層、内部保護層、第2の接着樹脂層、バリア層、第3の接着樹脂層、及びシーラント層の7層構成の場合、シーラント層としてM−LLDPEを用いた比較例2では、ヒートシール温度が110℃以上で剥離強度が立ち上がるのに対し、ZN−LLDPEを用いた実施例2では、ヒートシール温度100℃程度で剥離強度の立ち上がりが見られる。
以上のことから、シーラント層として、M−LLDPEを用いるよりもZN−LLDPEを用いる方が、比較的低温のヒートシール温度で高い剥離強度が発現することが検証された。
更に、表1及び2に示したガセット袋の落下耐性を比較すると、シーラント層としてM−LLDPEを用いた比較例1及び2では、落下により漏れが発生したガセット袋が50個の袋のうち1個以上あったのに対し、ZN−LLDPEを用いた実施例1及び2では50個すべてのガセット袋に漏れは発生しなかった。
以上のことから、シーラント層として、M−LLDPEを用いるよりもZN−LLDPEを用いる方が、実用的な強度に優れるガセット袋を得られることが検証された。
以上の結果は、シーラント層として用いた樹脂の損失正接(tanδ)の温度依存性が関係していると考えられる。すなわち、図8を参照して、実施例1及び2で用いたZN−LLDPEと、比較例1及び2で用いたM−LLDPEとを比較する。
図8によると、M−LLDPEは、測定温度70℃〜110℃程度まではtanδが0.2程度であるが、この温度を超えるとtanδの急激な上昇がみられる。M−LLDPEのtanδ(110℃)は、表1及び2に示したとおり、0.30である。このことは、M−LLDPEが、110℃程度までは主として弾性体的な性質が発現されており、110℃では粘性体的な性質の発現が不十分であることを示している。
一方のZN−LLDPEでは、測定温度70℃〜100℃程度まではtanδが0.2程度であり、M−LLDPEとの比較において実質的な差はみられない。しかしながらZN−LLDPEでは、100℃程度からtanδの緩やかな上昇が見られ、tanδ(110℃)は、表1及び2に示したとおり、0.53である。このことは、ZN−LLDPEが、100℃程度から粘性体性を発現し始め、110℃では比較的高い粘性体性を発現することを示している。
実施例及び比較例のガセット袋の製造におけるヒートシール工程は、高速の条件で行った。このとき、M−LLDPEを用いた比較例1及び2では、十分なヒートシール強度が得られず、その結果、落下耐性に劣ったと考えられる。これに対して、ZN−LLDPEを用いた実施例1及び2では、高速のヒートシール工程によっても高いシール強度が得られ、実用上問題のない落下強度が発現されたと考えられる。
1 基材層
2 第1の接着樹脂層
3 内部保護層
4 第2の接着樹脂層
5 バリア層
6 第3の接着樹脂層
7 シーラント層
10、11 袋形成用積層体
20 スパウト
21 注出口部材
21a フランジ部
21b 舟形部
22 キャップ
100 スパウト付きガセット袋
102 正面部
102a 折込部
111 外周シール部
112 傾斜シール部

Claims (9)

  1. 少なくとも、基材層、第1の接着樹脂層、及びシーラント層をこの順に有する袋形成用積層体から構成されているガセット袋であって、
    前記シーラント層は、前記ガセット袋の内側に向くように配置されており、かつ
    前記シーラント層は、JIS K7244の引張振動−非共振法に準拠して、歪振幅0.1%及び周波数1.0Hzにて測定した損失正接(tanδ)の、70℃における測定値(tanδ(70℃))が0.20以下であり、110℃における測定値(tanδ(110℃))が0.40以上0.80以下である、直鎖低密度ポリエチレンの層である、ガセット袋。
  2. 前記損失正接(tanδ)の、110℃における測定値(tanδ(110℃))が0.45以上0.60以下である、請求項1に記載のガセット袋。
  3. 前記シーラント層が、チーグラー−ナッタ触媒又はフィリップス触媒によって製造された直鎖低密度ポリエチレンを含む層である、請求項1又は2に記載のガセット袋。
  4. 前記袋形成用積層体が、内部保護層、第2の接着樹脂層、バリア層、及び第3の接着樹脂層を更に有し、
    前記基材層、前記第1の接着樹脂層、前記内部保護層、前記第2の接着樹脂層、前記バリア層、前記第3の接着樹脂層、及び前記シーラント層をこの順に有する積層体である、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のガセット袋。
  5. 前記バリア層が、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む、請求項4に記載のガセット袋。
  6. 前記ガセット袋が、一対の正面部、及び一対の折込部を有し、
    前記正面部及び前記折込部は、それぞれ、前記袋形成用積層体から成り、
    前記折込部は、前記正面部の両端に配置され、かつ前記正面部の間に折り込まれており、
    少なくとも前記正面部及び前記折込部の端辺部同士がヒートシールされて成る、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載のガセット袋。
  7. スパウトを更に有するスパウト付きガセット袋である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のガセット袋。
  8. 容量が1L以上である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のガセット袋。
  9. 少なくとも、基材層、第1の接着樹脂層、及びシーラント層をこの順に有する袋形成用積層体を準備すること;
    前記袋形成用積層体から、一対の正面部、及び一対の折込部を作製すること;
    前記一対の折込部を、前記一対の正面部の両端に配置して、前記正面部の内側に折り込むこと;
    少なくとも前記正面部及び前記折込部の端辺部同士をヒートシールすること;
    を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載のガセット袋の製造方法であって、
    前記シーラント層は、JIS K7244の引張振動−非共振法に準拠して、歪振幅0.1%及び周波数1.0Hzにて測定した損失正接(tanδ)の、70℃における測定値(tanδ(70℃))が0.20以下であり、110℃における測定値(tanδ(110℃))が0.40以上0.80以下である、直鎖低密度ポリエチレンの層である、ガセット袋の製造方法。
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