JP2020059173A - 光輝性発現構造及び光輝性発現構造を用いた潜像印刷物 - Google Patents
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Abstract
Description
第一の実施の形態における光輝性発現構造(1)の構成について、図1を用いて説明する。光輝性発現構造(1)は、基材(2)上に光輝性蒲鉾状要素(3)を形成してなる構成である。基材(2)は、印刷が可能であれば特に制限はなく、上質紙、コート紙、フィルム等が用いられる。光輝性蒲鉾状要素(3)の高さ(T1)は、3μmから50μmまでであり、より好ましくは、5μmから30μmまでである。3μm以下では、要素表面が十分な蒲鉾状の曲面を有する形状とならず、観察角度による光沢度差が視認しづらいためである。また、50μm以上では、印刷適性が劣るためである。要素の幅(W1)は、50μmから1000μmまでであり、より好ましくは、100μmから600μmまでである。50μm以下では、光輝性蒲鉾状要素(3)の高さを3μm以上とすることが難しく、1000μm以上では、光輝性蒲鉾状要素(3)が蒲鉾状の曲面を有する形状ではなく台形に近づくため、観察角度による光沢度差が視認しづらいためである。なお、本発明における蒲鉾状とは、断面が曲線で構成された部分を備えていれば、図1に示す断面形状に限定されるものではなく、半円形状、半楕円形状等の画線であってもよい。
光反射層(4)は、光輝性インキをスクリーン印刷やフレキソ印刷により形成することができる。より表面光沢を高めるには、紫外線硬化型インキをスクリーン印刷することが望ましく、より光輝性を高めるためには、図2(b)に示すように光輝性顔料(14)を配合することができる。光輝性顔料としては、鱗片状パール顔料、鱗片状金属顔料、ガラスフレーク顔料、コレステリック液晶顔料等、公知の鱗片状光輝性顔料を使用することができる。
光透過着色層(5)は、着色インキをオフセット印刷、インクジェット印刷やグラビア印刷等により形成することができる。着色インキは、紫外線硬化型、酸化重合型等いずれのインキも用いることができる。
図16は、実施例及び比較例の光輝性発現構造(1)に用いた光反射層(4)用のスクリーンインキ及び光透過着色層(5)用のオフセットインキの条件を示したものであり、図16(a)は、光輝性発現構造(1)を作製するためのスクリーンインキ及びオフセットインキの条件を示したものである。
実施例2は、実施例1と同様に光反射層(4)上に有色紫外線硬化型インキによる光透過着色層(5)を形成する構成であり、オフセットインキとして図16(a)に示すUVLカートンイエローを用いて光透過着色層(5)を形成した。実施例2の光輝性蒲鉾状要素(3)の画線高さは、実施例1と同様に20μmであった。
実施例3は、実施例1及び2と同様に光反射層(4)上に有色紫外線硬化型インキによる光透過着色層(5)を形成する構成であり、オフセットインキとして図16(a)に示すUVLカートン藍を用いて光透過着色層(5)を形成した。実施例3の光輝性蒲鉾状要素(3)の画線高さは、実施例1及び2と同様に20μmであった。
実施例4は、実施例1から3までと同様に光反射層(4)上に有色紫外線硬化型インキによる光透過着色層(5)を形成する構成であり、オフセットインキとして図16(a)に示すUVLVECTAグリーンを用いて光透過着色層(5)を形成した。実施例4の光輝性蒲鉾状要素(3)の画線高さは、実施例1から3までと同様に20μmであった。
比較例1は、実施例1から4までで用いた光反射層(4)をそのままの状態で用いる構成とした。比較例1の光輝性蒲鉾状要素(3)の画線高さは、19μmであった。
比較例2は、実施例1から4までと同様に光反射層(4)上に有色紫外線硬化型インキによる光透過着色層(5)を形成する構成であり、オフセットインキとして図16(a)に示すUVLパントン黄緑(T&K製)を用いて光透過着色層(5)を形成した。比較例2の光輝性蒲鉾状要素(3)の画線高さは、20μmであった。
実施例5の光輝性発現構造(1)について、図17を用いて説明する。実施例5の光輝性発現構造(1)は、図17(a)に示すスクリーンインキによって光反射層(4)を形成し、オフセットインキによって光透過性着色層(5)を形成したものである。実施例5では、実施例1から4までと異なる色相を有する光輝性顔料クロマシャインGR20−X(東洋アルミニウム製)を6重量%配合したスクリーンインキを用いたが、光反射層(4)の形成方法については、実施例1と同様であるため、説明を省略する。
比較例3は、実施例5で用いた光反射層(4)をそのままの状態で用いる構成とした。
次に、実施例6の光輝性発現構造(1)について、図18を用いて説明する。実施例6の光輝性発現構造(1)は、図18(a)に示すスクリーンインキによって光反射層(4)を形成し、実施例1と同様のオフセットインキによって光透過性着色層(5)を形成したものである。実施例6では、図18(a)に示す光透過性2色性パール顔料であるカラーストリームT10−02(東洋アルミニウム製)を12.5重量%配合したスクリーンインキを用いたが、光反射層(4)の形成方法については、実施例1と同様であるため、説明を省略する。
比較例4は、実施例6で用いた光反射層(4)をそのままの状態で用いる構成とした。
比較例5は、実施例6のスクリーンインキに用いた光透過性2色性パール顔料であるカラーストリームT10−02(東洋アルミニウム製)の配合量を18重量%としたスクリーンインキを用いて光反射層(4)を形成し、比較例4と同様に、光透過着色層(5)を形成しない構成とした。
次に、実施例7の光輝性発現構造(1)について、図19を用いて説明する。実施例7の光輝性発現構造(1)は、図19(a)に示すスクリーンインキによって光反射層(4)を形成し、実施例1と同様のオフセットインキによって光透過性着色層(5)を形成したものである。実施例7では、図19(a)に示すように、スクリーンインキに光輝性顔料を配合しない構成としたが、光反射層(4)の形成方法については、実施例1と同様であるため、説明を省略する。
比較例6は、実施例7で用いた光反射層(4)をそのままの状態で用いる構成とした。
光輝感のある光輝性発現構造(1)であった。一方、比較例6は、光透過着色層(5)を有していないため、光輝性蒲鉾状要素(3)の彩度が低く、光輝感の劣る光輝性発現構造(1)となった。
次に、実施例1の光輝性発現構造(1)を用いて作製した潜像印刷物(8)について説明する。実施例8の潜像印刷物(8)は、図3(a)に示すように、光反射層(4)の全面に光透過着色層(5)を形成した光輝性蒲鉾状要素(3)を用いたものであり、図10に示す異なる方向に配置した光輝性蒲鉾状要素群(9−1、9−2)のように星型の潜像画像(17)を形成したものである。
次に、二つ目の応用例である潜像印刷物(8´)の実施例について説明する。実施例9では、実施例2の光輝性発現構造(1)を用い、かつ、図11(a)に示す積層順、図12(a)及び図13に示す構成の潜像印刷物(8´)を作製した。
次に、三つ目の応用例である潜像印刷物(8´´)の実施例について説明する。実施例10では、実施例3の光輝性発現構造(1)を用い、かつ、図11(a)に示す積層順、図12(b)及び図15に示す構成の潜像印刷物(8´´)を作製した。
2 基材
3 光輝性蒲鉾状要素
3−1、3−2、3−n 光輝性蒲鉾状要素
4、4´、4´´、4´´´ 光反射層
5、5´ 光透過着色層
6、6´ 光源
7 観察位置
8、8´、8´´ 潜像印刷物
9 光輝性蒲鉾状要素群
9−1、9−2、9−n 光輝性蒲鉾状要素群
10、10´ 潜像要素
11 潜像要素群
12 基画像
13 合成画線
14 光輝性顔料
15 輪郭領域
16 可視画像
17 潜像画像
T1 画線高さ
P1 画線ピッチ
W1 画線幅
L0 入射光
L1、L2、L3 反射光
Claims (5)
- 基材上の少なくとも一部に、光輝性蒲鉾状要素が規則的に所定のピッチで複数形成された光輝性蒲鉾状要素群を有し、
前記光輝性蒲鉾状要素群は、光輝性インキによって形成された蒲鉾形状の光反射要素が複数配置された光反射層と、前記光反射要素の上に光透過性の有色インキによって形成された光透過着色要素が複数配置された光透過着色層から成り、
前記光反射層の60°光沢度が32以上であり、
前記光透過着色層は、前記光反射層より60°光沢度が低く、かつ、その差が20以下であることを特徴とする光輝性発現構造。 - 前記光輝性蒲鉾状要素は、明度L*が210以上で、かつ、彩度C*abが前記光反射層のみの彩度C*abより3以上高いことを特徴とする請求項1記載の光輝性発現構造。
- 請求項1又は2記載の前記光輝性発現構造によって潜像画像を有する画像領域が形成された潜像印刷物であって、
前記画像領域は、第1の方向に沿って所定のピッチ及び画線幅の前記光輝性蒲鉾状要素が万線状に配列された第1の光輝性蒲鉾状要素群と、前記第1の方向と異なる第2の方向に沿って前記所定のピッチ及び画線幅の前記光輝性蒲鉾状要素が万線状に配列された第2の光輝性蒲鉾状要素群から成り、
前記潜像印刷物を拡散反射光下で観察した場合、前記第1の光輝性蒲鉾状要素群及び前記第2の光輝性蒲鉾状要素群は同じ濃度として視認され、正反射光下で観察した場合、前記第1の光輝性蒲鉾状画線群と前記第2の光輝性蒲鉾状画線群に反射光量の差が生じ、前記潜像画像が視認されることを特徴とする潜像印刷物。 - 請求項1又は2記載の前記光輝性発現構造によって潜像画像を有する画像領域が形成された潜像印刷物であって、
前記画像領域は、前記光輝性蒲鉾状要素群の上に、正反射光下で前記光輝性蒲鉾状要素群と異なる色彩を有し、基画像を分割及び/又は圧縮した潜像要素が複数配置された潜像要素群が形成されて成り、
前記潜像印刷物を正反射光下で観察した場合、前記光輝性蒲鉾状要素群と前記潜像要素群の表面からの色彩に差が生じることで前記潜像画像が視認され、更には正反射光下において前記潜像印刷物の観察角度を異ならせて観察すると、前記潜像画像が変化して視認されることを特徴とする潜像印刷物。 - 請求項1又は2記載の前記光輝性発現構造によって潜像画像を有する画像領域が形成された潜像印刷物であって、
前記画像領域は、前記潜像画像の基となる基画像の形状で形成された前記光輝性蒲鉾状要素群の上に、正反射光下で前記光輝性蒲鉾状要素群と異なる色彩を有し、前記基画像を分割又は分割圧縮した潜像要素が複数配置された潜像要素群が形成されて成り、
前記潜像要素は、前記基画像の形状で形成された前記光輝性蒲鉾状要素群の範囲内において、特定の方向に沿って形状を異ならせて形成されて成り、
前記潜像印刷物を正反射光下で視認した場合、前記光輝性蒲鉾状要素群と前記潜像要素群の表面からの色彩に差が生じることで前記潜像画像が視認され、更には正反射光下において前記潜像印刷物の観察角度を異ならせて観察すると、前記潜像画像が前記光輝性蒲鉾状要素群の範囲内において前記所定の方向に沿って変化して視認されることを特徴とする潜像印刷物。
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