JP2020058258A - ゲル化剤でコーティングされた米飯類の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】米飯類の食味の低下をもたらす添加物を用いることなく、β化の進行を抑制し、炊き立ての食味を維持することができる、米飯類の製造方法を提供する。【解決手段】米飯類を製造する工程と、前記米飯類の炊飯後にアガー、ゼラチン、寒天からなる群から選択された少なくとも1種類のゲル化剤を含有するゲル化剤溶解液を添加、混合する工程と、米粒表面にゲル化剤の被膜を形成させることによりコーティング米飯類を得る工程と、を有する、米飯類の製造方法により解決する。【選択図】なし
Description
本発明は、β化の進行を抑制し、炊き立ての風味を維持することができる、ゲル化剤でコーティングされた米飯類の製造方法に関する。
近年、コンビニエンスストア等で提供される弁当やおにぎりの需要が高まっている。弁当やおにぎりのような形態で提供される場合に重要視される特性は、米飯類の老化防止と食味である。そのため、米飯類の老化防止と食味向上のための技術がこれまでに種々提案されている。
例えば、特開2012−65645号公報には、米飯の炊飯製造に際して、米飯の品質改良剤として、置換型加工澱粉を加水分解或いは低分子化により、30質量%水溶液における粘度が15mPa・s以上、10質量%水溶液における粘度が3000mPa・s以下の粘度範囲に調整した置換型加工澱粉を加えることにより、米飯に、ほぐれ性、老化防止、及び/又は保水性改善効果を付与するとともに、米飯の本来の食感、風味の米飯を製造することができる旨が開示されている(特許文献1)。
また、特開2010−142138号公報には、乳化剤を食品に添加して混合、均質化することにより、でん粉質を主体とする食品に口腔内でのべたつき感を抑制しまとまりのあるの優れた摂食・嚥下適性を付与することができることが開示されている(特許文献2)。
さらに、特開2005−13058号公報には、芯部に食用油、より具体的にはオレイン酸を30%以上含有する食用油を含有し可食性皮膜で被覆してなるカプセルにおいて、食用油中に水溶性粉末物質、より具体的にはアミノ酸類、糖類、ミネラル類、ビタミン類、色素類、調味料類の群から選択される1種以上の物質を含有することを特徴とする食品用カプセル剤が開示されている(特許文献3)。
上記のように、従来から米飯類の老化防止や食味維持のための提案は種々なされているが、従来技術の米飯類の品質改良剤の原料として使用されていた増粘性多糖類、乳化剤、油脂等の添加物は、米飯類本来の食味を低下させてしまうという問題があった。また、同じ米飯類であっても、チルド弁当の製造に使用される米飯類はチルド状態(2〜10℃)に保持された状態で流通・保存される。炊きあがった瞬間から始まるβ化(老化)は、特にチルド帯である4〜5℃付近の温度帯が最も進行するため、米飯類を低温度で保存すると米が固くなってβ化が進行する、ボソボソとした食感になって食味が低下する、米粒同士がくっついてダマの状態を形成する、などの問題が依然としてあった。
従って本発明の目的は、米飯類の食味の低下をもたらす添加物を用いることなく、β化の進行を抑制し、炊き立ての食味を維持することができる、米飯類の製造方法を提供することにある。
本発明者が上記課題を解決するため鋭意検討したところ、炊飯後の米飯類にゲル化剤を適量添加して混合させることにより、米粒に被膜が形成されて、α化状態を維持するとともに、デンプンの流出を抑制し、ダマになりにくくする効果を奏するとの知見を得た。
本発明はかかる知見に基づきなされたものであり、米飯類を製造する工程と、前記米飯類の炊飯後にアガー、ゼラチン、寒天からなる群から選択された少なくとも1種類のゲル化剤を含有するゲル化剤溶解液を添加、混合する工程と、米粒表面にゲル化剤の被膜を形成させることによりコーティング米飯類を得る工程と、を有する、米飯類の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、炊飯後の米飯類にコーティングを施すことで、β化の進行を抑制して炊きたてのα化状態を維持することができる。また、米粒からのデンプンの流出後水分の蒸発による高粘度化を抑制してダマになりにくい。さらに、視覚(米飯類の輝きと白さ)、触覚(粘りの維持、弾力性、歯ごたえ、舌触り)、味覚(ほのかな甘さ)、嗅覚(炊き立てのほのかな香り)に優れた米飯類を製造することができる。これらの効果を奏するために米飯類の食味の低下をもたらす添加物を用いる必要もない。
以下、本発明に係る実施形態について詳細に説明する。本実施形態において、「ゲル化剤」は、アガー、ゼラチン、寒天からなる群から選択された少なくとも1種類を指す。これらは単独で使用することも、2種類以上を混合して使用することもできる。
本実施形態で使用される「アガー」は、海藻の抽出物であるカラギーナンと、マメ科種子の抽出物であるローカストビーンガムを原料とし、色は無色透明で、溶解温度は90℃以上、凝固温度は30〜40℃(常温で固まる)、凝固した後の溶解温度は60℃以上という性質を有している。
本実施形態で使用される「ゼラチン」は、牛や豚の骨や皮に含まれるコラーゲンを原料とし、色は透明感のある薄い黄色を有し、溶解温度は50〜60℃、凝固温度は20℃以下、凝固した後の溶解温度は25℃以上という性質を有している。
本実施形態で使用される「寒天」は、テングサやオゴノリ等の海藻を原料とし、色は白濁で、溶解温度は90℃以上、凝固温度は40〜50℃、凝固した後の溶解温度は70℃以上という性質を有している。
本実施形態において、「米飯類」とは、粳米や糯米を炊飯した食品を意味し、炊飯した米飯そのもの(白米)に加え、種々の食材や調味料と共に炊飯した食品や適宜追加の調理や調味を行った食品も包含する。米飯類としては、例えば、白米、炊き込みご飯、混ぜご飯、釜飯、おこわ、赤飯、おにぎり、チャーハン、ピラフ等を挙げることができる。本発明の効果がより発揮されうる観点から、本実施形態における米飯類は、好ましくは白米である。本実施形態において、米飯類は、そのまま提供されてもよく、あるいは、カレーライス、ハヤシライス、丼物(牛丼、親子丼等)のように他の調理済み食品と併せて提供されてもよい。
本実施形態において、米飯類の製造方法は、通常の米飯類の製造手順に従って実施することができる。例えば、水洗いした米を水に浸漬させた後、炊飯し、場合によってはさらなる加工処理(例えば、成型処理、加熱処理、調味料等による味付け処理)を施すことにより米飯食品を製造することができる。炊飯方法は特に限定されず、ガス式炊飯、電気式炊飯等、通常の方法で炊飯することができる。
米飯類の原料となる米は通常の米飯食品に用いられるものであれば特に制限はなく、粳米、糯米、精白米、玄米、ジャポニカ米、インディカ米等その精白度合いや品種等に関係なく用いることができ、複数種の米を混合して用いてもよい。白米以外の炊き込みご飯、釜飯、おこわ、赤飯等を製造する場合には米飯食品原料に米以外の原料を配合してもよい。
ゲル化剤は、通常、粉末で市販されていることが多く、粉末のまま炊飯後の米飯類に添加すると水に溶解せずダマになりやすいため、本実施形態で使用する場合は、ゲル化剤粉末を加熱した水に溶解して溶解液にして使用する。
アガーの溶解温度は90℃以上、ゼラチンの溶解温度は50〜60℃、寒天の溶解温度は90℃以上であるため、用いるゲル化剤に応じて、水を溶解温度まで加熱してゲル化剤を溶解することにより、ゲル化剤溶解液を調製する。
ゲル化剤含有溶解液におけるゲル化剤の濃度は、濃度が低すぎると米粒全体に被膜を形成することが難しくなる一方、濃度が高すぎても被膜が厚くなりすぎ食感が低下する観点から、1.0〜5.0重量%であることが好ましく、2.0〜3.0重量%であることがより好ましく、3.0重量%であることがさらに好ましい。
ゲル化剤溶解液の添加量は、上述した理由と同じ観点から、炊飯後の米飯類の重量に対し、10〜15重量%の範囲内であることが好ましく、11〜13重量%であることがより好ましく、12重量%であることがさらに好ましい。
米飯類へのゲル化剤溶解液の添加は、炊飯後であれば特に限定されないが、ゲル化剤の凝固温度以下になるとゲル化剤がゲル化しダマになりやすいため、米飯類の温度が低くならないうちに添加、混合することが好ましい。
また、上述した加工処理を行う場合は、加工処理の前(すなわち米飯類の炊飯直後)にゲル化剤溶解液を添加、混合することが、炊飯直後の米飯類の風味を保持する観点から好ましい。
なお、炊飯前にゲル化剤を添加、混合すると、米粒表面に被膜が形成されない部分が生じ、その被膜が形成されていない部分からβ化が進行してしまうといった問題や、炊飯中にゲル化剤が焦げることで米飯が褐色に着色してしまう等の理由により、所望の効果を得ることができない。
米粒表面にゲル化剤の被膜を形成させることによりコーティング米飯類を得る工程は、ゲル化剤溶解液を添加、混合した後、米粒一粒一粒にゲル化剤の被膜を形成するため、ゲル化剤の凝固温度まで温度を低下させるものである。
冷却の方法は特に限定されず、自然冷却又は冷蔵庫等による冷蔵などの手段を採用することができる。アガーの凝固温度は30〜40℃(常温で固まる)、ゼラチンの凝固温度は20℃以下、寒天の凝固温度は40〜50℃(常温で固まる)であるため、少なくともゲル化剤の凝固温度以下に冷却すれば、米粒の周囲にゲル化剤の皮膜を形成することができる。
おにぎりや常温で提供される弁当等に使用する米飯類は、常温で自然冷却することが好ましい。チルド弁当等で提供される米飯類は、冷蔵庫などで、チルド温度帯の2〜10℃の範囲内で冷却することが好ましい。
一般にβ化(老化)は4〜5℃付近の温度帯が最も進行するといわれているが、ゲル化剤によって米粒の周囲にゲル化剤の被膜が形成されているため、β化の進行を抑制して炊きたてのα化状態を維持することができる。また、米粒からのデンプンの流出後水分の蒸発による高粘度化を抑制してダマになりにくい。
本実施形態において、「チルド米飯類」とは、炊飯・調理後にチルド状態(2〜10℃)に保持された状態で流通・保存される米飯食品を意味する。チルド米飯類は、マイクロ波加熱(例えば、電子レンジ加熱)等の手段で加熱された後に喫食することができる。チルド弁当のように電子レンジで加熱して喫食される食品においては、加熱によりゲル化剤が溶けて米飯類に輝きを与え、適度な粘り、テクスチャー(弾力、歯ごたえ、舌触り)、ほのかな甘さ、香りがより一層引き立てられるため、好ましい。
なお、ゲル化剤自体に味や臭いはないため、米飯類本来の風味を損なうことはない。この点、従来技術の米飯類の品質改良剤の原料として使用されていた有機酸および無機酸並びにそれらの塩は加熱により酸味や臭いが強調されやすいため、マイクロ波加熱用のチルド米飯類は本発明の効果を発揮しやすい。
以下に例を挙げて本発明の詳細を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。なお、以下の例における「%」とは特段の記載が無い限り、重量%(W/W%)を意味する。
1.コーティングチルド米飯類の製造
(1)添加タイミングの検討
米(コシヒカリ)1,000gを水洗いし、1,260mlの水を添加して炊飯器で炊飯した。別途調製したアガー、ゼラチン、寒天の各種ゲル化剤1%溶解液を、炊飯直後の米2,300gに対し10%添加し、ゲル化剤溶解液が全体に行き渡るように十分に撹拌、混合した。その後、速やかに米飯を10℃で0.5時間冷却することで、米粒の周囲にゲル化剤の被膜が形成されたチルド米飯類を得た(サンプル1〜3)。
(1)添加タイミングの検討
米(コシヒカリ)1,000gを水洗いし、1,260mlの水を添加して炊飯器で炊飯した。別途調製したアガー、ゼラチン、寒天の各種ゲル化剤1%溶解液を、炊飯直後の米2,300gに対し10%添加し、ゲル化剤溶解液が全体に行き渡るように十分に撹拌、混合した。その後、速やかに米飯を10℃で0.5時間冷却することで、米粒の周囲にゲル化剤の被膜が形成されたチルド米飯類を得た(サンプル1〜3)。
比較対象として、ゲル化剤無添加であって、常法により炊飯した米飯類を製造した(サンプル4)。さらに、米の水洗い後、炊飯前にゲル化剤溶解液を添加し、その後炊飯したものをチルド米飯類とした例についても実施した(サンプル5〜7)。
なお、アガーは富士商事社製のパールアガー8(商品名)、ゼラチンはゼライス社製の ゼラチンA−U(商品名)、寒天は伊那食品工業社製の寒天粉末を使用した(以下、実施例において同じ)。
(2)老化防止効果の評価
上記のように製造したサンプルを用いて、老化防止効果と食味を評価した。評価方法は、視覚(米飯の輝きと白さ)、触覚(粘りの維持、弾力性、歯ごたえ、舌触り)、味覚(ほのかな甘さ)、臭覚(炊き立てのほのかな香り)をそれぞれ5(高い)〜1(低い)の5段階で評価することにより実施した。結果を表1に示す。
上記のように製造したサンプルを用いて、老化防止効果と食味を評価した。評価方法は、視覚(米飯の輝きと白さ)、触覚(粘りの維持、弾力性、歯ごたえ、舌触り)、味覚(ほのかな甘さ)、臭覚(炊き立てのほのかな香り)をそれぞれ5(高い)〜1(低い)の5段階で評価することにより実施した。結果を表1に示す。
2.ゲル化剤濃度の検討
米(コシヒカリ)1,000gを水洗いし、1,260mlの水を添加して炊飯器で炊飯した。濃度を調製したアガー0.5〜5.0%溶解液を、炊飯直後の米2,300gに対し10%添加し、全体に行き渡るように十分に撹拌、混合した。その後、速やかに米飯を10℃で0.5時間冷却することで、米粒の周囲にゲル化剤の被膜が形成されたチルド米飯類を得た(サンプル8〜11)。同様に、ゲル化剤としてゼラチン(サンプル12〜15)又は寒天(サンプル16〜19)を使用した場合についても実施した。なお、寒天のみ0.5〜1.2%溶解液で実施した。
米(コシヒカリ)1,000gを水洗いし、1,260mlの水を添加して炊飯器で炊飯した。濃度を調製したアガー0.5〜5.0%溶解液を、炊飯直後の米2,300gに対し10%添加し、全体に行き渡るように十分に撹拌、混合した。その後、速やかに米飯を10℃で0.5時間冷却することで、米粒の周囲にゲル化剤の被膜が形成されたチルド米飯類を得た(サンプル8〜11)。同様に、ゲル化剤としてゼラチン(サンプル12〜15)又は寒天(サンプル16〜19)を使用した場合についても実施した。なお、寒天のみ0.5〜1.2%溶解液で実施した。
上記のように製造したサンプルを用いて、老化防止効果と食味を評価した。評価方法は、視覚(米飯の輝きと白さ)、触覚(粘りの維持、弾力性、歯ごたえ、舌触り)、味覚(ほのかな甘さ)、臭覚(炊き立てのほのかな香り)をそれぞれ5(高い)〜1(低い)の5段階で評価することにより実施した。結果を表2に示す。
3.ゲル化剤溶解液の添加量の検討
米(コシヒカリ)1,000gを水洗いし、1,260mlの水を添加して炊飯器で炊飯した。濃度を調製したアガー3%溶解液を、炊飯直後の米2,300gに対し10〜15%添加し、全体に行き渡るように十分に撹拌、混合した。その後、速やかに米飯を10℃で0.5時間冷却することで、米粒の周囲にゲル化剤の被膜が形成されたチルド米飯類を得た(サンプル20〜23)。同様に、ゲル化剤としてゼラチン(サンプル24〜27)又は寒天(サンプル28〜31)を使用した場合についても実施した。なお、寒天のみ0.8%溶解液で実施した。
米(コシヒカリ)1,000gを水洗いし、1,260mlの水を添加して炊飯器で炊飯した。濃度を調製したアガー3%溶解液を、炊飯直後の米2,300gに対し10〜15%添加し、全体に行き渡るように十分に撹拌、混合した。その後、速やかに米飯を10℃で0.5時間冷却することで、米粒の周囲にゲル化剤の被膜が形成されたチルド米飯類を得た(サンプル20〜23)。同様に、ゲル化剤としてゼラチン(サンプル24〜27)又は寒天(サンプル28〜31)を使用した場合についても実施した。なお、寒天のみ0.8%溶解液で実施した。
上記のように製造したサンプルを用いて、老化防止効果と食味を評価した。評価方法は、視覚(米飯の輝きと白さ)、触覚(粘りの維持、弾力性、歯ごたえ、舌触り)、味覚(ほのかな甘さ)、臭覚(炊き立てのほのかな香り)をそれぞれ5(高い)〜1(低い)の5段階で評価することにより実施した。結果を表3に示す。
4.コーティング常温米飯類の製造
(1)コーティング米飯類を使用したおにぎりの製造
米(コシヒカリ)1,000gを水洗いし、1,260mlの水を添加して炊飯器で炊飯した。濃度を調製したアガー3%溶解液を、炊飯直後の米2,300gに対し10%添加し、全体に行き渡るように十分に撹拌、混合した。その後、速やかに米飯を常温で自然冷却し、米粒の周囲にアガーの被膜が形成された米飯類を得た。そして、その米飯類を用いて、シーチキンマヨネーズを具としておにぎりを製造した(サンプル32)。
(1)コーティング米飯類を使用したおにぎりの製造
米(コシヒカリ)1,000gを水洗いし、1,260mlの水を添加して炊飯器で炊飯した。濃度を調製したアガー3%溶解液を、炊飯直後の米2,300gに対し10%添加し、全体に行き渡るように十分に撹拌、混合した。その後、速やかに米飯を常温で自然冷却し、米粒の周囲にアガーの被膜が形成された米飯類を得た。そして、その米飯類を用いて、シーチキンマヨネーズを具としておにぎりを製造した(サンプル32)。
比較対象として、ゲル化剤無添加であって、常法により炊飯した米飯類を用いておにぎりを製造した(サンプル33)。
(2)老化防止効果の評価
上記のように製造したサンプルを用いて、老化防止効果と食味を評価した。評価方法は、製造後2日経過後の視覚(米飯の輝きと白さ)、触覚(粘りの維持、弾力性、歯ごたえ、舌触り)、味覚(ほのかな甘さ)、臭覚(炊き立てのほのかな香り)をそれぞれ5(高い)〜1(低い)の5段階で評価することにより実施した。
上記のように製造したサンプルを用いて、老化防止効果と食味を評価した。評価方法は、製造後2日経過後の視覚(米飯の輝きと白さ)、触覚(粘りの維持、弾力性、歯ごたえ、舌触り)、味覚(ほのかな甘さ)、臭覚(炊き立てのほのかな香り)をそれぞれ5(高い)〜1(低い)の5段階で評価することにより実施した。
結果を表4に示す。アガーコーティングされた米飯類を用いて製造したおにぎり(サンプル32)は、常温帯で2日間保存してもα化を維持し、具材の水分も米粒に染み込まないため、できたてのおにぎりの味を長時間維持することができた。
一方、常法により製造したおにぎり(サンプル33)は、2日間経過後はβ化が進行し、食味評価が低かった。また、具材の水分が米粒に移行して見た目もよくないものであった。
Claims (6)
- 米飯類を製造する工程と、
前記米飯類の炊飯後にアガー、ゼラチン、寒天からなる群から選択された少なくとも1種類のゲル化剤を含有するゲル化剤溶解液を添加、混合する工程と、
米粒表面にゲル化剤の被膜を形成させることによりコーティング米飯類を得る工程と、
を有する、米飯類の製造方法。 - 前記ゲル化剤溶解液のゲル化剤濃度が、1.0〜5.0重量%である、請求項1に記載の米飯類の製造方法。
- 前記ゲル化剤溶解液の添加量が、炊飯後の前記米飯類の重量に対し、10〜15重量%の範囲内である、請求項1又は2に記載の米飯類の製造方法。
- 前記ゲル化剤の被膜を形成させる工程が、自然冷却又は冷蔵により実施される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の米飯類の製造方法。
- 前記冷蔵が、2〜10℃の範囲内で実施される、請求項4に記載の米飯類の製造方法。
- さらに、前記コーティング米飯類をマイクロ波加熱で加熱する工程を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の米飯類の製造方法。
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